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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

最原「僕の手は血で塗れているんじゃないか」

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  1. 1 : : 2017/11/07(火) 18:26:17

    ししゃもさん主催、秋のコトダマ祭。
    それに参加させていただく事となりました、重武装連射と申します。

    テーマはナイフ。

    まさかの最終日、そしてこの様なぎりぎりで投稿する事となった事をお詫びいたします。

    この作品には、ニューダンガンロンパV3の超高校級のネタバレが含まれております。

    後、最春……最春?です。風味です。たぶんそうです。

    以上、ご確認の程……よろしくお願いいたします。
  2. 2 : : 2017/11/07(火) 18:41:24



    ??『良いかい、終一。言葉と言うのはね、刃物なんだ』



    それは、探偵業を営んでいる叔父の口癖の様なモノだった。

    ??『言葉、言の葉っぱ、って書くだろ?葉っぱで指先を斬った事、ある?』

    そうやって言葉を紡ぐ叔父さんは、微笑みながらも、目がどこか鋭い雰囲気を出していた事を覚えている。

    最原『ない……かな。紙なら、結構あるんだけど』
    ??『そうかそうか。だけど、葉っぱも紙も同じようなものだよ。薄っぺらくて、ひらひらふわふわとしちゃってるそんなものでも、人は簡単に傷付いてしまう』

    成程、と僕は頷く。
    解りやすく、そして容易にイメージできる。
    探偵は勿論、何かしら人と関わり、言葉を駆使する人々にとって、イメージの伝達能力は実に重要だ。
    ……駆使する、だなんてかっこつけすぎだろうか。推理小説にそこまでどっぷりとハマったつもりではないのだけれど。

    ??『だから、言葉はきちんと選ぶ。終一はまだ叔父さんの手伝い、探偵見習いだけど……そんな時だからこそ、しっかりこの事を覚えていて欲しい』

    何度も何度も、良く口にしているものだったから、自然と覚えてしまっていた。
  3. 3 : : 2017/11/07(火) 19:02:26


    ……その言葉の意味を、僕は軽く思ってしまっていたと、今でも思う。

    忘れもしない。僕が「超高校級の探偵」などと言うあまりに僕なんかに相応しくない呼称を手に入れてしまった、切っ掛け。
    警察より先に解決してしまった、あの事件。

    殺人事件というのは、探偵モノの作品の花形で有り、探偵というとそれを思い出す事がやっぱり多いんじゃないか、と僕は思う。

    しかし叔父さんが担当していたのは人探し、モノ探し、ちょっと踏み込んで人の浮気調査、とか、そういう、所謂、地味なものだった。
    勿論これだって立派な探偵の仕事で、それは僕も理解している。地味だなんてとてもじゃないが叔父さんの前は勿論、どこでだって口になんかしない。

    けどだからこそ。
    そういう仕事を手伝ってばかりだったからこそ、僕は叔父さんの教えを、軽く考えてしまっていた。

    殺人事件。
    それを解決したのは、胸を張れる事だ。

    だけど、僕は知ってしまった。
    犯人の家族が、被害者によって騙され、自殺してしまった事。
    犯人は、その復讐として、被害者を殺した。
    被害者は、殺されて当然の、クズだった。
  4. 4 : : 2017/11/07(火) 19:12:15

    それなのに。
    犯人が悪いと。
    貴方は、人殺しだと。

    僕は、その人に突きつける形となった。

    忘れもしない、あの目。
    どうしてあいつではなく自分がこういう扱いをされるんだ、という憎悪。
    どうして自分の家族を守ってくれなかった、という憤怒。


    だからといって、人を殺す事を赦しちゃいけない。
    だからといって、自分が同じ人殺しになっちゃダメに決まっている。

    そんな理屈はいくつも浮かんだ。
    周りは皆同じような事を言ってくれた。
    叔父さんは何も言わず見守ってくれた。

    文句を言葉をいくつ並べても、理屈として理解は出来てもずっと何かが僕の心をぐらぐらと揺らし続けた。
    僕の手を震えさせた。

    その時、ようやっと僕は軽く見ていた叔父さんの教えの意味を掴んだ。掴んでしまったのか、やっと掴めた、のか。

    言葉。言の葉っぱ。
    いや、違う。
    言の、刃。

    僕はその切れ味を勘違いしていた。

    それで人を斬ってしまったような感覚が、腕を振るわせて止まらなかった。
    そんなものを持ったまま人と相対していた、と言う事実が、怖くて怖くてたまらなかった。
    気が付けば相手を斬っていそうで、刺していそうで、目の前を、相手の眼を、見る事が酷く恐ろしかった。
  5. 5 : : 2017/11/07(火) 19:28:58

    目の前の真実、というものを、切り開き暴く……。
    それを直視するのが、怖かった。

    知らなくても良い事、というもの。
    あの時だって被害者と犯人の関係を知らなければ、あそこまで悩まなかった。


    だから、知るべきじゃない。
    必要以上の事を視なくたって良い。


    だから帽子を被った。
    人の目を観なくたって、いくらでも手掛かりは他にある筈だ。

    ……今にして思えば、何という傲慢な考えだろう。
    事件は人が起こすモノ。ならば人こそが一番のヒントになってしかるべきなのに。

    そうやって、目を下へ逸らしたまま生きてきた。
    超高校級の探偵、だなんてあまりに不相応。
    そもそも、僕は見習いだったんだから。



    ??『真実から、目を背けちゃだめだよ』



    ……あぁ。
    勿論だ。

    そう、もう目を逸らさないと決めた。
    帽子を外して、まっすぐ前を向いて。
    何があっても向き合うって、約束。

    しちゃったもんね。
    君と僕の、約束。

    だけどね。
    正直に言うと、僕は今、苦しいよ。
    君をずるいと、恨めしいと、思っちゃってるんだ。
    どう足掻いても、僕は君に助けてもらった事実は変わらないし間違いないのに。



    ねぇ。



    赤松さん。
  6. 6 : : 2017/11/07(火) 19:45:49

    僕の推理のせいだった。
    僕の推理を聞いたから……赤松さんがあのような行動に出た。


    そう言っても赤松さんは笑って言うだろう。

    赤松『やったのは私なんだから、もう気にしないで。というか、私の事を思い出してくれるのは嬉しいけど……あんまり気にして悩んで、それで真実からまた目を逸らしちゃうようだと、男の子として失格だぞー?ほら、胸を張って張って!カッコいいキミにこそ、私はいつかピアノを聞いてほしいんだからさ!』

    本当に言っているように聞こえる。
    目の前で僕に人差し指を突き出し、茶目っ気たっぷりに笑う彼女が、容易に想像できてしまう。

    赤松『そんな未練たらたら状態のままこっちに来られても困るなぁ。お出迎えはピアノでしたいのに……このままだと、お出迎えがビンタになっちゃうかな?』
    最原「それは困るなぁ……」
    赤松『でしょ?ほらほら、まだふざけたコロシアイは続いちゃってるんだから、顔上げなきゃ!キミが、皆を護らないと駄目だよ、探偵さん』

    ……ねぇ、赤松さん。



    最原「そんな恰好で、そんな事を言わないでほしいな」



    身体のあちこちに穴が開いて。
    そこから血液を垂れ流していて。
    僕の手を握ってくれた繊細な指は原型さえ見えなくて。
    四肢はあちこちがあらぬ方向へ曲がっていて。
    首筋にはナイフが刺さってしまっている。

    見るも無残な、そんな姿で。
  7. 7 : : 2017/11/07(火) 20:11:30

    ??『貴方には誰一人、結局救えないのよ!』

    全身あちこちをナイフで切り刻まれてあちこちおかしな方向へ曲がっている、女の子が現れた。

    最原「犯人は君だね、超高校級のメイド……東条斬美さん」



    ??『僕は一足先に失礼させてもらうヨ……君達がどんな結末を迎えるのかしっかり観察させてもらうからネ……』

    身体のあちこちが溶けていて、胸にナイフが突き刺さっている男の子が現れた。

    最原「君が犯人で間違いない……超高校級の民俗学者、真宮寺是清君」



    ??『こんな馬鹿で……本当に、ごめんなさい!』

    あちこちを虫に刺されたように腫れ上がらせて、お腹に大きなナイフが突き刺さっている大きな男の子が現れた。

    最原「君が、犯人なんだ。超高校級の昆虫博士、獄原、ゴン太、君」


    ??『なぁに、お前なら大丈夫!きっと真実にたどり着けるさ!』

    口から血を垂れ流し、あちこち焼けただれた男の子が現れた。

    最原「……どうして、そんな事を言うかな。犯人の癖に」



    いっそ憎んでくれたらいいのに。
    いっそあの時の様な目をして僕を睨んでくれたらいいのに。
    あの時の怖さは、もう大丈夫の筈だ。
    僕はその時の恐ろしさを乗り越えて、真実にたどり着こうと思ったのに。
  8. 8 : : 2017/11/07(火) 20:28:35

    恨み事の一言も言いたくなる。

    どうして皆、そうやって。
    正しいとは決して言えないながらも。
    何かの為に戦って、抗って、少しでも這い上がろうとして。



    僕に、君達を殺させるんだ。



    僕は護らなきゃいけないのに。
    大切な仲間は死んで。
    大切な仲間を疑い暴いて、犯人だと指さして。
    言の刃のナイフで、殺す。

    真実を暴くっていうのは、こういう方法でしか出来ないのか?
    僕は赤松さんとの約束を、何一つ果たせていないんじゃないか?

    僕は、死んでいった皆に……報いる事が、出来て、いるのか?

    解らない。
    解らない。

    君だったら、きっと笑い飛ばすんだろうね。

    ??「大丈夫だ!何てったってお前は俺の助手だからな!胸張っていきやがれ!」

    そうそう、そんな風に。

    最原「……ごめんよ。君が犯人だった、んだよね。超高校級の宇宙飛行士。百田……解斗君」

    君と……あの、まさにトリックスターって言葉が似合う彼が、仕掛けた渾身の仕掛けが作動していたら、どうなったんだろう。

    このコロシアイは、本当に終わったんだろうか。
    もうあれ以上、僕が誰かを殺す事も無かったんだろうか?
  9. 9 : : 2017/11/07(火) 21:41:08

    妙に身体が重い様な。
    身体が縛られている様な。
    けれどどこか、それは暖かくて。

    そう。
    息苦しさと心地良さが同居している感覚。

    そう、この感覚。
    いっその事苦しいだけなら開き直れたのに。

    どうして、どうして、皆。



    最原「……ぇ?」



    視界が開けた。
    電気の消えた空間。
    僕の部屋。
    僕に割り当てられた部屋。
    才囚学園、その閉鎖空間の1つ。
    そのベッドの上。
    僕の目の前に。



    ??「……あぁ。やっと目が覚めた?」



    長い黒髪。
    暗闇の中に滲むかのような紅。

    最原「は、春川さん!?」

    そう。
    僕の大切な仲間の一人が、同じベッドに寝転んでいた。
    僕を……抱き締める様な形で。

    最原「な、なな、なんで、僕の部屋に!?」
    春川「……それよりあんたの方が問題。部屋の扉の鍵もかけないままって、何考えてんの?」
    最原「……えっ」

    嘘だろ?
    確かに僕は閉めたはずで……だけど、占めたのなら確かに春川さんはいないはずだ。
    とすると、ひょっとして……。

    最原「春川さん……まさか、扉の鍵を壊して入って来たとか、無いよね?」
    春川「……殺されたいの?不用心にもほどがある。私がクロだったらあんた、死んでたよ?」

    思わず睨まれた。
    うん、自分で言っておいてなんだが、それはない。
    モノクマーズが施錠をピッキングやその他手段では壊せない、と言っていた、様な。

    ……だけど。
  10. 10 : : 2017/11/07(火) 21:48:07

    最原「……まぁ、その心配は、無いよ。僕は春川さんを、信じてるから」

    百田君が信じた春川さんを。
    これまで色々と、何だかんだで話に付き合ってくれた、春川さんを。
    僕は、信じている。

    そう言うと、春川さんは呆れたかのように肩をすくめた。

    春川「あんた、本格的にあのバカに似てきたんじゃない?ついさっきまで、寝言言って魘されてた癖に」
    最原「う、魘されてた?」
    春川「そうだよ。あんたに用事があったから、呼んでみたけど反応は無いうえにまさかドアが動くとは思わなかったから。何かあったのか慌てて入ったら、予想以上に早く寝てたアンタが魘されてたって訳」
    最原「そ、そうだったのか……」

    それは、ありがとう。心配かけてごめん。
    そう言おうとして……ふと、気付く。
    いや、魘されたのは解る。心配をかけたのも解る。

    最原「……けど、どうして僕を、その、だ、抱き締めてくれてたの?いや、心配してくれたのは嬉しいけど、他にも、その、やり方はあったんじゃないかな、とか……」

    こんな非日常の異質な空間にいるっていうのに、それでもこういう事が妙に気になってしまうのは、何でだろう。
  11. 11 : : 2017/11/07(火) 22:58:22

    春川「あぁ……前に話した私の友達。あの子がよく泣いたりする時に、同じようにしてたから。そうすると気が楽かなって」
    最原「な、成程……」

    春川さんと話した時に会話にたびたび出てきていた、孤児院の時の友人の事で良いだろう。
    しかし、その友人は女の子で、春川さんのそれは幼稚園か小学生かの時の話だと聞いた様な……。
    ……いや、深く突っ込むのは止めよう。嫌な予感もするし。

    春川「……で、どうしたの。悪い夢でも見た?」
    最原「……まぁ、そうだね。嫌な夢、かな。僕が、ナイフで……クロを、殺す、夢」

    寝起きの影響もあってか、僕は夢の内容についてすんなりと話してしまっていた。
    夢は所詮夢であって、どんな夢を見ても今と言う状況が変わる訳もないし、それを説明したってどうしようもないのは解っているのに。

    最原「僕が犯人を示して、僕が殺すんだ……ナイフで。刺しても血が出ないから、その時はホッとするんだけど……」

    無言で続きを促す春川さん。息を吸い、続ける。

    最原「けど気が付けば、僕は血塗れで。振り返ったら、そこに今まで死んでいった皆が、酷い格好で立っててさ」

    ……言えなかった本音が、ぽろりと、あまりにもあっさりと、口を突いて出た。

    最原「僕が……殺したような、ものだよね」
    春川「ハァ?何言ってんの。そんなの、投票している全員がその人間を殺しているのと同じようなものでしょ」
  12. 12 : : 2017/11/07(火) 23:10:24

    ばっさりと。
    春川さんは切って見せた。いつも通りの春川さんだ。ちょっと、ほっとする。
    あの裁判の後、彼女はずっと俯いていたから。

    最原「それでも、謎を解いて、クロを指名して……その人に、死刑宣告している様なモノだよ、僕は。夢で見たみたいに、見えないナイフでも突き刺してる気分だ」

    勿論直接刺す訳じゃない。
    引き金を引く様なもの。
    銃弾を、撃ち込んでる様なもの、とでもいえば良いんだろうか。

    それでも。
    ついこの前まで、当たり前の様に笑っていた。
    一緒に触れあったり、ご飯を一緒に食べたりした。
    本当に、ほんの僅かであっても、仲間であった、皆が。
    そこにあったはずの体温が無くなる喪失感。
    引き金を引いただけ、だなんて言えない。まさに、冷たくなっていくのを感じるかのような、嫌な感覚。

    これを、直接刺したと言わず、何というのか。

    春川「あんたが謎を解き明かしてるから、私もあんたも……他の連中だって生きてる。あんたがそうしなきゃ、1人しか生き残れないでしょ」
    最原「うん……そうだね」
    春川「ここまで経験してるんなら、いい加減、慣れてると思ってた。速い内に割り切らないととんでもない事になる」
  13. 13 : : 2017/11/07(火) 23:19:16

    最原「そう、だね。けど、僕の手が、見えないだけで……血で、塗れてるんじゃ、ないかって」

    あぁ、僕は一体、誰にこんな悩みを言ってしまっているのだろう。

    春川魔姫。超高校級の暗殺者。
    僕が思っているよりも、ずっと過酷な道を生きて、頑張って耐えてきた女の子。
    ただ、彼女は断じて冷徹な殺戮者だとか、そんなものじゃない。
    彼女は、普通の女の子、なのだ。
    そんな彼女は、間違いなく僕なんかより両手を血で汚してしまっているだろう。
    そんな彼女にこんな事を言ってしまうだなんて、僕はなんて短慮なのだろうか。



    春川「……最原。ナイフは、軽いよ」



    帰って来たのは、呆れ声でもなく。冷たい声でもなく。
    ごくたまに顔を覗かせる、どこにでもいる女の子の、声だった。

    春川「本当に軽い。だから私も愛用してる。だけど、そんなに軽いのに、人を簡単に殺せる。小さいし、便利」

    真っ直ぐ僕を見つめてくる。
    暗闇に慣れた僕の視界で、紅が、僕を捉えて離さない。

    春川「……確かにあんたは見えないナイフで殺してるのかもしれない。だけど……それを、決して軽い、なんて思わないで」
    最原「軽い、と思わない……?」
  14. 14 : : 2017/11/07(火) 23:28:54

    春川「どう考えても良い。だけど、最原にはそのナイフに『慣れないで』欲しい。軽く思わないで。両手の血を見てどう思っても良い。だけど、それが当たり前、とだけは思わないで」

    ……春川さん。
    それは、おそらく。
    暗殺者として血塗れの道を歩いた、彼女だからこその言葉だろう。
    彼女からの、忠告。彼女からの、精一杯の応援であり、願い。

    ……流石に自惚れだろうか?

    だけど……うん、また変に抱え込みそうになっていた。僕は1人っきりではないというのに。
    そもそも、さっき春川さんが言ったのが全てだ。クロ指名の決定は、皆が行っている。
    僕だけが、苦しんでいるはずも、無いのに。

    最原「ありがとう……春川さん。気が楽になったよ」
    春川「別に。そんな状態のアンタを放っておく方がかえって鬱陶しいしね」

    相変わらず手厳しいな。
    思わず苦笑しながら、ふと思い出す。

    最原「そういえば、用事って何だったの?時間、結構経っちゃってるかもだけど……」
    春川「……いつもの癖で、トレーニングに誘いに来ちゃって。もう、呼んでくるウザい張本人がいないのにね」
  15. 15 : : 2017/11/07(火) 23:40:01

    そう言う春川さんは、微笑んでいるようで。
    だけど、やっぱり、苦しそうで。

    最原「春川さん……」
    春川「情けない話だけど、あんたと話してたら少しは楽になるかなって。だけど、肝心のアンタが魘されて変な事考えてるせいで……かえって私の方が落ち着いちゃった」
    最原「あ、あはは……」

    苦笑するしかない。
    僕を春川さんが折角頼ってくれたっていうのに、その肝心の僕が、春川さんに気を使わせてしまった、という事か。
    ……男として情けないな。と思うのも、百田君の影響だろうか。

    春川「……あぁ、でも。ちょっとだけ、肩、借りて良い?すぐ……終わると、思うし」
    最原「うん。……僕ので良ければ、喜んで」

    ……約束事が、また増えちゃったな。
    重さを忘れない。皆の事を、自分の決断を、真実を、忘れない。
    それはきっと、かなり重くて、ひ弱な僕じゃ押しつぶされそうだけど。

    こうして隣にいてくれる人がいるなら。
    僕は、もうちょっと、情けなくても、頑張ってみようと思うんだ。
  16. 16 : : 2017/11/07(火) 23:41:54

    以上で、秋のコトダ祭り参加作品は終了となります。

    ぎりぎりの滑り込み作品故に、色々粗もあるとは思いますが、それでもこの作品に何かしらの楽しみを見出していただければ作者として嬉しい限りでございます。

    改めまして、素敵な企画に感謝いたします。

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ArmoredMUGENin

重武装連射

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