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おにぎり
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- 1 : 2017/10/21(土) 19:04:50 :
- お久しぶりです
電車の中でふと思い付いたので書いてみました
1レス分しかないですが…
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- 2 : 2017/10/21(土) 19:05:06 :
- おにぎりだ
故郷に向かう列車の中に漂ってきた湿った海苔の独特な匂いを嗅いで、私は何か懐かしいものを食べたがっていた。
それに気付くまでに三駅分費やした。
それほどに久しい存在になってしまっていたのだ、おにぎりは。
おにぎりと言ってもコンビニで売っているようなものではない。
更に言えば作りたての、海苔のぱりっとした食感が心地よい温かなソレとはちがう。
冷めきった米に、湿った海苔が歯にくっつく。そんなおにぎりが食べたかった。
そのようなおにぎりを食べる機会というのは人生に於いて何回訪れるのだろうか。
小学校、中学校の運動会か?
それとも日々のお弁当か?
私の記憶にあるのは、ただ一度祖母の葬式に向かう列車の中で母が広げた弁当の中にもあった小ぶりのおにぎりだった。
電車の中で弁当を広げるなど非常識だと言う人もいるだろうが、普段仕事ばかりで弁当など作ることがない母の弁当は幼かった自分の目には輝いて見えた。
お世辞にも綺麗とは言えない形をしたソレは、少しのことで騒ぎだしかねない幼子を黙らせるための道具に過ぎなかったのかもしれないが、確かに私の中で母の味として息づいていた。
実家に帰り、母を見送った。
母親らしいことなど欠片ほどしか記憶にはなかったが、無性にあのおにぎりが食べたくなった。
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