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この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

この作品は執筆を終了しています。

アルミン「壁内に巨人がいると仮定して、」

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  1. 1 : : 2017/09/10(日) 18:16:17
    「壁に妙なヒビがある」
    調査兵の1人が声をあげた。

    調査兵に駆け寄った、僕は見た。ヒビの内から、覗く目を。

    僕は見た。そいつが、息をしているのを。確かに、見た。

    ──────
    ───

    【壁の巨人についての会議】

    ハンジ「アルミンは、壁の中に巨人がいるといったね?」

    アルミン「はい。」

    ハンジ「ん~。おっかしいなぁ。もし、壁の中から、巨人が覗いていたとして、そこに居合わせた皆がその巨人の存在に気付かないって、おかしくない?」


    アルミン「・・・・・もっともです。」

    ハンジ「「もっともです。」じゃ、困るんだよな。君の目に見えたそれが事実なら、世界を揺るがしかねない大事件なんだ。」

    アルミン「はい。」

    ハンジ「・・・・。アルミン?ちょっと疲れてるんじゃない?」

    アルミン「え?」

    ハンジ「私もさ、アルミンの知略に頼りすぎた所もあるし、その疲れが、アルミンに「壁の巨人」を見せたんじゃないかな~、って思って」

    アルミン「ハンジさんは、僕が見たものを、幻覚だって言いたいんですか?」

    ハンジ「厳しいようだけど、確固たる証拠と根拠がないんだ。そう言わざるを得ない。エレン達、きっと心配してる。ごめんね、長い時間取らせちゃってさ。続きは明日!今日は帰りなよ。」

    アルミン「わかり、ました。」

    僕は、疲れていたのか。あれは幻覚だったのか。
    考えても、仕方がない。エレン達の元へ帰ろう。
    ───────
    ────
    ──



    どうも。みししっぴです。SSを書くのは初めて、かつ、投稿がスローペースですが、よろしくお願いします。

    また、オリキャラが出ると書いていますが、厳密にはオリジナルの巨人が登場します。キャラクターは本編から変わらずです。



  2. 2 : : 2017/09/10(日) 19:16:20
    エレン「アルミン!」

    ミカサ「アルミン、心配した。」

    アルミン「ごめん、エレン、ミカサ!話が予想以上にながくなっちゃって!」

    エレン「で、どうだったんだ?」

    アルミン「え?どうって?」

    エレン「壁の中の巨人の話だよ!ハンジさん、信じてくれたのか!?」

    アルミン「信じてくれなかったよ。」

    エレン「そっか、、、」

    ミカサ「何でも疑うものじゃない。アルミンは嘘なんてつかない。壁には巨人がいて、そいつがアルミンを睨み付けた。それが真実。」

    アルミン「ミ、ミカサ落ち着いて!ハンジさんの対応が正常なんだ。突然、「壁の中に巨人がいた」なんて言われても信用できっこないよ。」

    エレン「俺はアルミンを信じる!」

    ミカサ「私も、エレンと同じ。」

    アルミン「ありがとう。エレン、ミカサ。」

    エレン「しっかし、壁の中にどうやって巨人が入ったんだろうな?体のデカさでも変えられんのか?」

    アルミン「僕も疑問に思ってたんだ。あの巨体で、しかも気付かれずに壁の中に入るなんて────」

    ────巨人自身が、壁を造った?

    アルミン「違う。」

    エレン「違う?違うって何が──」

    アルミン「壁に入ったんじゃない・・・。巨人が壁を「造った」んだ、きっと・・・。」

    ミカサ「どういうこと?」

    アルミン「アニやライナーみたいに体を硬質化させる要領で、自分の体を中心に、壁を形成すれば、自身が中に入ったまま、壁を造る事が出来る・・・!」

    エレン「ってことは、俺達は、巨人に守られてるってことか・・・・?」

    アルミン「僕の考えが正しいなら、そうなるね・・・・。」

    エレン「・・・・・。」

    アルミン「もし、もし、壁内に巨人がいると仮定して、硬質化を使って壁を造ったとするなら、複数体の巨人が必要になる・・・。」

    エレン「それって、つまり・・・?」

    アルミン「少なくとも10数体、50m級の巨人が、壁の中に居ることになるね・・・。」

    エレン「なんだよ・・・、それ。」

    動かざる絶望。それは、僕らのすぐそばにいた。


    「現在公開可能な情報」
    【。ブヨト「ンジョキノイエ」ハレワレワ、ヲレソ。ルアガノモ、スクカヲタガス、イチモヲリカヒ、ハニカナノンジョキイナキヘ】




  3. 3 : : 2017/09/10(日) 20:30:42
    ─────
    ───
    ──
    【翌日 壁の巨人についての会議】

    アルミン「え?」

    ハンジ「壁の中の巨人を見たという兵士が、アルミン以外に居たよ。君は正しかった。ただね、妙なんだ。」

    アルミン「妙?」

    兵士の証言が書かれたらしい紙を見ながらリヴァイ兵長が口を開く。

    リヴァイ「壁の中の巨人を見たというヤツは、その日、3人で行動していた。3人の内2人は右を、1人は「左側」を手分けして点検したそうだ。」

    ハンジ「その「左側」を点検した人物こそ、巨人を見たと証言した兵士。右側で点検した兵士は見えず、左側を点検した兵士には見える。これは妙だ。」

    アルミン「!!!」

    リヴァイ「その顔、心当たりがありそうだな。」

    アルミン「僕も、「左側」から点検しました!右側は人手が足りてると思ったから、人数の少ない「左側」から!」

    ハンジ「そう。どうやら、壁内巨人には見る角度によって、姿を消すことができる能力を持ってることは確実みたいだ。」

    リヴァイ「ったく。めんどくせえ力を持った巨人だな。」

    ハンジ「見る角度によって、姿を消す仕組みとして考えられるのは、太陽だ。」

    リヴァイ「あ?」

    ハンジ「太陽は左から右に動く。壁の点検を行った時刻は朝早くで、すでに、太陽はあった、「左側」にね。壁内に存在する巨人が「日光を遮ることにより、不可視」となって、姿を完全に消すとするなら、日光が当たっている側から見たアルミンと兵士は見えて、日光が当たっていない側から見た、他の人には見えない。辻褄が合うだろ?」

    リヴァイ「壁の中は姿を隠すには最適ってことか。」

    ハンジ「そういうこと。彼は、壁の中に居ることで、「姿を認識されない体制」を築いた。ただ、左側が露呈する状態で壁がヒビ割れ、それを左側から見る者がいた。それが彼の「誤算」だ。」

    アルミン「ハンジさん。」

    ハンジ「ん?どうしたの?」

    アルミン「あれほど巨大な壁を造りあげたんです。壁の中に居る巨人は1体だけとは考えられません。」

    ハンジ「そうだね。間違いなく、複数体いる。」

    アルミン「そして、その巨人全てが同じ能力を備えているとも考えにくい。」

    リヴァイ「何が言いたい?」

    アルミン「壁の中に居る数体の巨人のすべてが違う能力を備えた巨人だと言ってるんです。」

    リヴァイ「それは分かる。違う能力を備えた巨人がいたとして、それにどういう問題がある?」

    アルミン「「脅威」です。」

    リヴァイ「超大型も女型も鎧も、脅威だっただろうが。それとどう違う?」

    アルミン「壁に居るからこその「脅威」です。巨人が沈黙を破り、一斉に壁を破って出てくるかもしれない。そうなれば、今度こそ、抵抗出来ない。壁に覆われ守られてきた人命が、壁によって奪われるかもしれない。」

    リヴァイ「ならどうする?」

    アルミン「えっ、、、」

    リヴァイ「巨人に壁越しで命乞いするか?」

    アルミン「そっ、そんなこと──」

    ハンジ「考えならあるよ。「壁を破壊せず、壁内巨人のみを速やかに削ぐ」。」

    アルミン「!?」


    「現在公開可能な情報」
    【。ルストンジョキノイウュジイダインュジ、ヲンジョキノコ、ラカトコノコ。ルウリナニンイウヨルスイセクヨヲウドウコ、ニキト、ハクョリウノノコ。ルスキッハヲカンシ、リヨニトコルギエサヲリカヒ、ハ「ンジョキノイエ」】





  4. 4 : : 2017/09/10(日) 20:33:35
    今日はここまでです。誤字があります、すいません。
  5. 5 : : 2017/09/10(日) 21:34:55
    期待です

    あと、編集から誤字の修正できますよ
    このコメントも消してもらって大丈夫です
  6. 6 : : 2017/09/10(日) 23:01:30
    >>5 コメントと修正の仕方を教えていただいてありがとうございます! 早速誤字を修正しました!
  7. 7 : : 2017/09/11(月) 00:03:02
    リヴァイ「どうするつもりだ。」

    ハンジ「そうだね、私が考えてるのは、極力小さな穴で、うなじを一撃で狙う方法なんだ。できれば、ブレードの切っ先で確実に仕留めたい。」

    リヴァイ「無茶言うんじゃねえよ。」

    ハンジ「無茶じゃないよ!無茶じゃない!君は、どんな無茶だってやってのけた!一騎当千のリヴァイ兵士長がなにびびってんの!」

    リヴァイ「気持ち悪いんだよ、クソメガネ。」

    アルミン「壁内の巨人を倒したら、壁が倒壊しないでしょうか?」

    ハンジ「へ?」

    アルミン「いや、あの、意図して壁を作っているなら、巨人の思考そのものが無くなってしまえば、壁の維持ができないんじゃないかと思って・・・・」

    ハンジ「はぁぁぁぁぁあ!盲ッッッッッ点!完全に盲点だったァァァァァ!」

    リヴァイ「いつもの調子に戻ってきたな、クソメガネ。」

    ハンジ「あああああ!どうすんだよぉぉぉぉぉ!!」

    リヴァイ「いい加減黙れ。思い付く作戦も思い付かねえだろうが。」

    アルミン「エレン・・・・。」

    ハンジ「ん?なになに?なんか思い付いた!?」

    アルミン「いや、これは非現実的で・・・、」

    リヴァイ「言ってみろ。」

    アルミン「エレンに協力してもらうんです・・・。巨人が消滅しても、硬質化は維持できるのか・・・。」

    ハンジ「なるほど。エレンに「硬質化」を学んでもらう必要があるから、非現実的って言ったんだね?」

    アルミン「はい。」

    リヴァイ「・・・クソメガネ。エレンを表に呼べ。」

    ハンジ「は?」 アルミン「えっ?」

    リヴァイ「いいから、呼べ。」

    ────【兵士長宿舎前】

    エレン「はい?」

    リヴァイ「聞こえなかったか?お前には是が非でも「硬質化」を習得してもらう。時間はねえ、4週間以内だ。」

    エレン「で、でも!どうすれば、、、?」

    ハンジ「本物の硬質化でなくとも、擬似的な硬質化なら可能だと思うんだ。人間の皮膚は、ある程度ダメージを受ければ、皮が厚くなり、文字通り「硬質化」する。巨人にもこれが通用すると考えてる。」

    エレン「俺は何をすれば?」

    ハンジ「丸太を蹴ってくれ。」

    エレン「丸太を・・・・?」

    ハンジ「うん。巨人化し、時間が許すまで蹴り続ける。巨人化がとければ休む。これを繰り返す。」

    ──────
    ───


    エレン巨人「グォォォォォォォ!」

    ベキベキベキッッ!!!

    アルミン「(かれこれ3週間は丸太を蹴り続けてる。それでも硬質化の兆しは見えない。作戦は中止に・・・・)」

    ハンジ「かってぇぇぇぇぇぇ!」

    アルミン「!?」

    リヴァイ「成功か?」

    ハンジ「大成功!本物の硬質化には及ばないけど、実験はできる!」

    エレンの足では硬質化が始まっていた。ようやく僕らは、実験に臨むことができる。

    「公開可能な情報」
    【。ルギカニイアバルアガツシソノカツシウコ、ガルキデモトコルケツニミテシトイハカツシウコ】










  8. 8 : : 2017/09/11(月) 00:36:26
    アルミン「エレン?少しだけ、痛いけど我慢してね。」

    エレン巨人「グァァァァ、、、」

    アルミン「ハンジさん、準備出来ました!」

    ハンジ「よし、「せーの」の掛け声で、エレンは硬質化、アルミンはそれを見てブレードでうなじからエレンをひっぱりだす!いいね?」

    アルミン「大丈夫です!」

    ハンジ「せーの!」

    エレン巨人「グォォォォォォォァァァ!」

    バキバキバキバキッ!

    ハンジ「アルミン!エレンをひっぱりだして!」


    アルミン「エレン!大丈夫!?」

    心音も聞こえる。エレンは生きてる!

    アルミン「ハンジさん、エレンは大丈夫です!」

    ハンジ「あとは、硬質化がどうなるか・・・。」

    シュゥゥゥゥゥゥ・・・・・

    アルミン「あ・・・・」

    煙の隙間から、見えたのは、

    ハンジ「残った・・・・・・・・!」

    硬質化した、皮膚の欠片だった。

    これで、ハンジさんが計画した作戦を実行に移す事が出来る。僕らは、確かな一歩を踏み出した。

    ハンジ「残ったァァァァァァァァァァア!」

    ──────
    ────
    ──

    【医務室】
    エレン「ぅうん。あれ、アルミン?」

    アルミン「おつかれさま。エレン!」

    ミカサ「エレン。よく頑張った。」

    エレン「硬質化は・・・・?維持できたのか?」

    僕はポケットにしまってあった、「巨人の欠片」をエレンに見せた。

    アルミン「ばっちりだよ!これで、壁を維持しながら、壁内巨人を討伐できる!」

    エレン「よかった、、、。正直、2回目はしたくなかったし・・・」

    アルミン「ありがとう、エレン。」

    エレン「なんだよ?まだ初めの段階だろ?俺は何も・・・・」

    アルミン「大きな一歩だよ。エレンがいなければ、踏み出せなかった大きな一歩。」

    エレン「なんか、恥ずかしいな・・・。」

    ガチャッ!

    ハンジ「入るよー!」

    リヴァイ「言いながら入ったら意味ねえだろうが。」

    ハンジ「エレェェェェェン!エレンわかる!?君はスッゲェ事証明したんだよ!?君にしかできないことなんだよ?わかる!?」

    エレン「あ、は、はい。ありがとうございます・・・。」

    リヴァイ「クソメガネ、話したかったのはそれじゃねえだろうが。」

    ハンジ「あっ、やべ。そうだった。あのね、よく聞いて。」

    ──────壁のヒビがさらに深くなったんだ


    悲劇が、再び始まる。











  9. 9 : : 2017/09/11(月) 14:21:57
    期待です!
  10. 10 : : 2017/09/11(月) 19:39:48
    ハンジ「壁のヒビがさらに深くなったんだ。」

    エレン「壁の・・・・ヒビが?」

    ミカサ「中にいる巨人が動いたんですか?」

    ハンジ「そうとも考えられるし、壁の老朽化によるものとも考えられる。どちらにしても、“巨人討伐“を急がなきゃならないみたいだよ。」

    リヴァイ「周知の通り、ヤツは日光を遮ることにより姿を消す。よって、作戦の遂行は日が落ちる前。つまり、今からだ。」

    アルミン「いっ、今から?」

    リヴァイ「作戦の内容は簡潔にハンジが伝える。他のやつらを集めて、壁付近に集まれ。いいな?」

    アルミン「はい」
    ミカサ「わかりました」
    エレン「はい!」

    ハンジ「あ、エレンはお留守番!」

    エレン「え?俺だけですか?」

    ハンジ「今日はお疲れだろ?しっかり休みな!」

    リヴァイ「巨人と対峙してる時に、体の不調でも訴えられたらたまったもんじゃねえからな。」

    エレン「わかりました。気を付けろよ、アルミン、ミカサ。」

    アルミン「うん、気を付けるよ。」

    ミカサ「私は大丈夫。何匹巨人が現れようと、すべて葬り去る」

    ハンジ「お、心強いね!!人類最強のリヴァイに、百戦錬磨のミカサ、秀才のアルミン!!おーっ、負ける気しねー!」

    リヴァイ「てめえの感情の起伏はどうなってんだ。あと、耳元で騒ぐな。うるせえんだよ。」

    バタンッ

    アルミン「はは。ハンジさん、相変わらずだなぁ・・・・。」

    ミカサ「さて、私達も行こう。」

    アルミン「うん、行ってきますエレン!」

    エレン「おう!」



  11. 11 : : 2017/09/11(月) 20:49:34
    ──────
    ────
    ──
    【ウォールローゼ付近】

    ジャン「まさか、壁が恐ろしいって思う時がくるとはな・・・」

    コニー「なぁ?この壁の中にいる巨人って暇じゃねえのかな・・・・?」

    ジャン「バカ、そういう問題じゃねえんだよ!」

    バチンッ!

    コニー「いってぇー!はたくことねえだろ!」

    ジャン「お前が的外れなこと言ってるから殴ったんだよ、バカ坊主!」

    コニー「言いやがったな、この馬面ァ!」

    ジャン「あーーーー!?誰が、馬面だよ?どこに馬面がいんだよ?ああ?言ってみろ!」

    ハンジ「はいはい。やめた、やめた。今から作戦をみんなに伝える。静かに聞くように。」

    ジャン「はい・・・すいません」

    コニー「すいません・・・。」

    ハンジ「作戦の内容はこう、」

    【壁内巨人討伐作戦】
    壁内に存在する巨人は、日光を遮ることで姿を消す。そのため、兵士一同は原則左側に位置取る。

    巨人のうなじを狙う方法としては、壁の裏側に小さな穴を開け、そこにブレードの切っ先を差し込み、確実に仕留める。

    巨人を仕留めたら、大量の煙が吹き出すことが予想される。仕留めたことを確認したら、速やかにヒビや、穴から、離れること。
    ─────────
    ────────
    ─────

    ハンジ「作戦はわかった?」

    一同「はい!」

    リヴァイ「よし、各自持ち場で待て。俺の合図を聞いたら穴を開け、その穴で俺は中の巨人を仕留める。」

    ─────────
    ─────
    ──
    【ウォールローゼ 上】

    壁内巨人「・・・・・。」ギロッ

    コニー「げっ、こいつ、俺のこと睨んでねえか?」

    ジャン「さっき、俺も睨まれたぜ」

    サシャ「品定めでもしてるんでしょうか・・・・?」

    ジャン「物騒な事言うんじゃねえよ!」

    壁内巨人「・・・・・。」ギロッ

    サシャ「ひぃぃぃぃ!私を食べても美味しくありません!!!!」

    壁内巨人「・・・・!?」

    ユミル「あ?なんだよ。」

    壁内巨人「・・・・・・!?」

    ユミル「こっちみんなよ。向こう見てろ、向こう。」

    アルミン「(なんだ?壁内巨人のユミルを見る目が他と違う?)」

    ジャン「もしかしてさ・・・・」

    ユミル「なんだよ?」

    ジャン「こいつ、お前の事好きなんじゃねえの?」

    ユミル「は?」

    コニー「ブッ!ハハハハハ!」

    ユミル「笑うな!第一、こんなデカブツこっちから願い下げだっての。」

    リヴァイ「準備が出来た。」

    ハンジ「アルミン、ミカサ!下の点検は大丈夫?」

    アルミン「はい!蒸気が漏れだしそうな穴は確認できません!」

    ミカサ「大丈夫です。」

    ハンジ「了解!よし、これより、「壁内巨人討伐作戦」を開始する!目標目の前!「壁内巨人」!」


    壁内巨人「・・・・・・みる・・・・ま。」

    ユミル「? お前ら、なんか言ったか?」

    ジャン「いや?何も」

    コニー「俺も何も言ってないぞ?」

    ユミル「空耳・・・・・か?」



  12. 12 : : 2017/09/11(月) 21:41:37
    コニー「おし、アンカーしっかり刺さった!」

    ジャン「こっちもだ!」

    サシャ「バッチリです!」

    ユミル「こっちも準備できた。」

    アルミン「今から、石の矛を渡すから、それを持って、立体機動で一気に壁から離れる。そして、反動を使って、壁に向かって矛を突き刺す。それで壁に穴を開けよう!」

    コニー「ジャン頑張れよ!」

    ジャン「俺が駄目なら次はお前だけどな。」

    コニー「えっ?」

    ジャン「えっ?って、作戦聞いてなかったのかよ・・・」

    ─────────
    ───────
    ───

    ジャン「(こいつを出来るだけうなじに近い位置に、、、、、)」

    ビュン

    キュルルルルルルルルルルルルル

    ジャン「(突き刺すッッッッ!)」

    ズドンッ・・・・・・!


    ジャン「・・・・・・」

    コニー「・・・・・」

    サシャ「・・・・・」

    ユミル「・・・・・」

    アルミン「・・・・・」

    ミカサ「・・・・・・」

    ガラララッ・・・・ガララッ・・・・

    ジャン「開いた!穴が開きました!兵長!」

    リヴァイ「よくやった。ハンジ、俺も立体機動に移る。援護を頼む。」

    ハンジ「了解。」
    ───────
    ────
    ──


    アルミン「立体機動の腕が確かなジャンに任せて正解だったよ。」

    ジャン「アルミンが俺を推薦したのか?」

    アルミン「うん。ジャンならやってくれると思ってた!」

    ジャン「もし、失敗したら赤っ恥だったな、、、」

    アルミン「ははは。でも、きっちりと穴を開けてくれた。」

    ジャン「誉めてもなにも出な────」

    ジュォォォォォォォォォォォォォォッ

    ハンジ「ジャン!ヒビから離れて!」

    サシャ「ジャン!こっちです!」グッ!

    ジャン「どわっ!」

    サシャ「あ、危ないところでした!」

    ジャン「わ、わりぃ、サシャ。」

    アルミン「蒸気が吹き出たってことは、、、」

    リヴァイ「討伐完了だ。ハンジ、総員撤退の・・・・・、ハンジ?おい、クソメガネ!聞こえねえのか?」

    ハンジ「リヴァイ。これ、何だと思う?」

    リヴァイ「そりゃ、手記・・・・か?」

    それは、壁にまつわる真実の記録









  13. 13 : : 2017/09/11(月) 22:23:17
    ハンジ「そうだよね。どうやら、壁の巨人の中にいた「何者か」が持っていたらしい」

    リヴァイ「何と書いてある?」

    僕を含め、みんながハンジさんの周りに駆け寄り、手記に書かれた内容を聞いた

    ハンジ「私は─────

    ────私は、人類を守るため、巨人の力を使って、巨大な壁を構築する。

    壁を作るのは全部で10体、造る壁は3層。
    作成する壁の硬度が弱い順に、「影」、「焔」、「閃光」、「嵐」、「破壊」、「金剛」、「司」、「繭」、「生命」、「絶壁」とする。

    影は、特定条件下で姿を消す。いずれ、壁の中に住まう人があるなら、壁が巨人で出来ていることを隠すためだ。

    焔は強烈な熱波を放つ。壁内に冬季が訪れた時、ここを憩いの場としてもらおう。

    閃光は光を発する。暗がりに怯えた民が、それ以上怯える事がないように。

    嵐の息吹はまるで突風だ。壁の建設地をまっさらにするため、その役割を担ってもらう。

    破壊は予期せぬ事態の打開策。10体の巨人の内、意図して壁を破壊できるのは、「破壊の巨人」のみだ。

    金剛は10体の巨人の中でも、「絶壁」についで、作成できる壁の硬度が高いと見られる。1層目の壁の中核を担って然るべきだ。

    司は巨人を意のままに操る。加えて、知能が高く、その場その場で、適切な判断をしてくれるはずだ。

    繭は壁を構築する上で、鎖のような役割を持つ。繭の巨人の髪によって、10体の巨人は支えられ、垂直な壁を形成する。

    生命は不死の力を持つ。その代わり、自らの意思を持たない。

    絶壁は我々が誇る、最高峰の巨人。壁の硬度、自我の確立、人語の理解など他の巨人の追随を許さない能力を持つ。

    これらの巨人を制御出来れば、人類はようやく、「大地の悪魔」から解放される。

    長い長い、地獄から解放される

    ────────────ユミル


    アルミン「ユミル・・・・?どういうことなの?」

    ユミル「はっ?知らないな。」

    アルミン「知らないわけがないじゃないか!?これじゃっ、、、この手記通りなら、、、ユミルが壁内巨人を作ったってことになるんだよ!?」

    ユミル「知らないもんは知らないんだよ!私にだって、記憶が───────」

    ────ユミル様。

    ユミル「っ!?」

    ────ユミル様。


    忌まわしき記憶が、蘇る。
  14. 14 : : 2017/09/11(月) 22:31:39
    壁の巨人の読みは以下です。

    影(えい)の巨人

    焔(ほむら)の巨人

    閃光(せんこう)の巨人

    嵐(あらし)の巨人

    破壊(はかい)の巨人

    金剛(こんごう)の巨人

    司(つかさ)の巨人

    繭(まゆ)の巨人

    生命(せいめい)の巨人

    絶壁(ぜっぺき)の巨人
  15. 15 : : 2017/09/11(月) 22:42:44
    アルミン「ユミル?どうしたの?」

    ユミル「ユミルユミルユミルユミルうるせえんだよ!!!!!お前らは私にへりくだってりゃ、何でも思い通りになると思いやがって!!!!」

    リヴァイ「ハンジ、構えておけ。」

    ハンジ「わかってる。」

    アルミン「なっ、なんの話?ユミル?わからないよ!?」

    ユミル「壁を作ってやったのも、巨人の力を教えてやったのも、お前らが「世界」を救いたいとッ、守りたいとほざいたからっ・・・・!」

    ユミルは涙を流しながら叫び続けた。なんのことかはわからない。けれど、ユミルが何かを思い出したのは確かだった。

    アルミン「お前ら?お前らって、僕らのこと?巨人の力を教えたって、どういうことなの!?」

    ジャン「離れろ、アルミン!今のユミルは普通じゃねえ!」

    ユミル「壁は、前の私がお人好しだったから作ってやったんだ!巨人の力だって、そうだ!だけど、だけどな!お前らのために死ねるほど、お人好しじゃねえんだよォッッッッッッッ!」

    アルミン「あ────────」

    カッ─────────────────

    その叫びは報復の誓い。仲間に奪われた怒りの詩。
  16. 16 : : 2017/09/11(月) 22:52:32
    「現在公開可能な情報」
    【。スマゲササニマサルミユ、モクニモネホモチ。ニママノセオオノマサルミユルタウノンゼチンゼ、ハテベス】
  17. 17 : : 2017/09/11(月) 22:53:25
    >>9 コメントありがとうございます!
  18. 18 : : 2017/09/11(月) 23:30:16
    ミカサ「アルミン!!!!」

    ユミル巨人「グァァァァァァァァァァァァ!」

    アルミン「あ、あ、」

    ユミルが目映い閃光を放ち、ユミルが巨人になった時、情けないけど、腰が抜けた。現に、今だって動けない。

    アルミン「な、僕に、な、何か伝えたいの!?」

    ユミル巨人「アァァァァァァァァァァァァ!」

    リヴァイ「アルミンを救助するぞ!ハンジ!」

    ハンジ「待って!アルミンには何か、策がある!」

    リヴァイ「一刻の猶予もねえ!その策に賭ける余裕もだ!」

    ハンジ「リヴァイ!アルミンには策があるんだ
    !」

    リヴァイ「ッチ。俺は責任を持てねえぞ。」

    アルミン「僕を喰おうと思ってないんだろ!?ユミル!」

    ユミル巨人「グゥゥゥゥ・・・・」

    アルミン「今だって、手を伸ばせば僕を喰えるのに、そうしないのは、ユミル!!君の中に、善意があるからだ!!違う!?」

    ユミル巨人「グゥゥ、、、」

    アルミン「話をしよう!ユミル!」

    ユミル巨人「ア・・・ナ・・・・ジ・・・?」

    ・・・・・!今なら、今なら話が通じる!

    アルミン「そうだ、話だ!ユミル!あの手記を見る限り、君は巨人を使って、人類を救おとしていた。」

    ─そうだ、私は、壁を、作った───

    ──皆で、共に───

    アルミン「ユミル?僕の声がわかる?」

    ───だが、奴らが欲しかったのは巨人の力のみだった─────

    ───「世界を救うこと」を口実に、巨人の力を手に入れるために、壁構築に協力した───

    ───裏切りものが─────

    ───裏切りものが────

    ユミル巨人「ウラギリオロガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

    アルミン「っ!!!!?」

    リヴァイ「駄目だ、もう待てねえ。救出に向かうぞ!」

    ハンジ「仕方ない。行こう。」


    ────私にとっては、この空が、世界を覆う壁に見えるよ。自由なんか、どこにもないんだ──
  19. 19 : : 2017/09/12(火) 00:07:27
    あのあと、捕らえられたユミルは、地下室で尋問を受けていた。もう、取り乱した様子はなく、聞かれたことに素直に答えているらしい。
    ───────
    ────


    リヴァイ「つまり、壁内巨人の生みの親はお前だと?」

    ユミル「ああ。あんたが倒したやつは「影の巨人」。私が始めに作った巨人だ。まぁ、作ったって言っても、生身の人間が志願して巨人になるんだ。「ユミル様」って、持ち上げてな。」

    ハンジ「手記を書いたのは君?」

    ユミル「いいや。私はユミルの記憶を引き継いでる。例えるなら、体が器でその中にユミルが入ってるって感じか。だから、書いたのは「今」の私じゃない。」

    ハンジ「単刀直入に聞こう。君は────────敵か?」

    ユミル「味方だ。あんたらの。敵は、壁の中にいる巨人。やつらは、私から巨人の力を譲り受けたあと、その力で、巨人や人間を牛耳ってしまいたかった。」

    ハンジ「そう。」

    ユミル「あー、すまん。手記、持ってるか?」

    リヴァイ「ここにあるが?」

    ユミル「巨人の名前、読み上げてくれ。」

    ハンジ「巨人の名前?」

    ユミル「自分で名付けといてなんなんだけど、忘れちまってさ。頼むわ。」

    ハンジ「わかった。」

    ハンジ「影の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・。」

    ハンジ「焔の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・・。」

    ハンジ「閃光の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・・。」

    ハンジ「嵐の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・。」

    ハンジ「ユミル?これになんの意味が?」

    ユミル「忘れちまったんだって。思い出したいんだよ、記憶を。続けてくれ。」

    ハンジ「・・・・。破壊の巨人。」

    ユミル「・・・・。」

    ハンジ「金剛の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・。」

    ハンジ「司の巨人・・・・。」

    ユミル「・・・・。」

    ハンジ「繭の巨人・・・・。」

    ───ビリリッ!

    ユミル「ッ!!」

    ハンジ「ユミル?」

    ───ユミル!私が繭を引き受けるよ!

    ユミル「マ・・・・・・ユ?」

    リヴァイ「おい、どうした?」

    ────ユミルったら、いつもひとりで抱え込んで!

    ユミル「ヒ・・・スト・・・リア・・・?」

    ハンジ「ヒストリア?」

    ──────ユミルは友達でしょ?

    ユミル「繭は、繭は敵じゃない!」

    ハンジ「どういうこと?」

    ユミル「他の巨人どもはッ!!私利私欲のたもに私を使った!けど、繭は!ヒストリアは違う!!!!」

    ハンジ「ヒストリア・・・・。繭の巨人の正体はヒストリア・レイス?」

    ユミル「あぁ。ヒストリアの前身だ・・・・!」


  20. 20 : : 2017/09/12(火) 00:17:43
    【物語の注釈(このSSオリジナルの用語)】
    前身・・・母と父から産まれた娘は、母の名を継ぐ。名前を与えた母は「前身」と呼ばれ、娘は「現身」と呼ばれる。息子の場合はこうは呼ばない。
  21. 21 : : 2017/09/12(火) 00:38:35
    ──────
    ────
    ──
    【???】
    ヒストリア「ユーミル!こんなところでなにしてるの?」

    ユミル「あぁ。ヒストリアか。壁を建てるのはここにしようかと思うんだ。ここなら、巨人の襲来も少ないし、安全だろ?」

    ヒストリア「うん!私もここがいいと思うよ!」

    ユミル「だろ?草が生い茂ってるのが気になるが、それは「嵐」がなんとかしてくれる。」

    ヒストリア「うん。」

    ユミル「壁を構築する場所も決まったし、巨人の志願者も上々だ。だが、1人足りないんだ。」

    ヒストリア「「繭」・・・・だよね?」

    ユミル「あぁ。」

    ヒストリア「ユミル!繭は私が引き受けるよ!」

    ユミル「はっ?ヒストリア、お前わかってんのか?繭は巨人を縛る鎖だ!1人で巨人を支えるんだぞ?繭になった人間の体は、確実に壊れる!」

    ヒストリア「人が足りなかったら、ユミルが繭になるつもりだったんでしょ?」

    ユミル「お前・・・・、なんでそれを・・・?」

    ヒストリア「ユミルと私の仲だよ?気付かないわけないじゃない!ユミルったら、いつもひとりで抱え込んで!」

    ユミル「私は、お前を守りたくて、」

    ヒストリア「ユミルは友達でしょ?友達のお願い聞いてよ?ユミルに助けてもらってばかりじゃだめなの!」

    ユミル「だけどよ・・・・」

    ────────
    ──────
    ────
  22. 22 : : 2017/09/12(火) 01:03:59
    ────────
    ─────
    ───

    「ユミル様のために命を捧げたくないのか!」

    「巨人になりたくないだと!?貴様、反ユミル派か!?」

    「そっ、そんな訳ないだろう!?」

    「ユミルの民はユミル様にお守り頂いた!今こそ、命を持って、恩を返す時ではないのか!?」

    「わかった!俺が「繭」となって、ユミル様に忠誠を・・・・」

    ヒストリア「待って!」

    「ヒストリア?どうしてここに?」

    ヒストリア「私が────「繭」を引き受ける!みんな、命を捧げなくていいの!苦しまなくていいの!」

    ユミル「ってことだ。みんな、今まで辛い思いさせたな。」

    「・・・・・・ユミル様、バンサーイ!ヒストリア、バンサーイ!」

    「ユミル様、バンサーイ!ヒストリア、バンサーイ!」

    ──────
    ────
    ──

    ユミル「お前ら!どういうつもりだ!?」

    「俺が欲しかったのは巨人の力だ!壁なんざどうでもいい!」

    ユミル「騙しやがったな!裏切りものが!」

    「黙れ!巨人の力は我々の中にある!ここで、巨人となれば、お前を喰うことができる!ユミルを身に宿せば、世界の覇権は我々のものだ!」

    ユミル「ちくしょう・・・・!」

    ヒストリア「民よ!刮目せよ!」

    ユミル「ヒストリア・・・・?」

    カッ────────────



    「な、なんだ?あの小娘、巨人に──」

    繭の巨人「ウォォォォォォォォォォォ!」

    「なっ、なにしてる!巨人だ!巨人になれ!」

    奴らが巨人になると同時に、繭の巨人は奴らを包み込み、壁の陣形のまま固定した。やがて、身を守るために硬質化したやつらは、ヒストリアを飲み込み、壁となった。

    ─────────
    ──────
    ────
    ──

  23. 23 : : 2017/09/13(水) 02:39:42
    今日の夜頃、続きを更新する予定です。
  24. 24 : : 2017/09/13(水) 20:14:34
    期待です
  25. 25 : : 2017/09/13(水) 23:07:59
    ──────
    ───

    ユミルは尋問の場で話したことをありのまま、僕らに話した。壁のこと、自らの過去のこと、ヒストリアのこと。そのすべてを。

    ユミル「ヒストリア。いつか、現身に会ったら、伝えようと思ってたんだ。─────お前の母さんを守れなくて、悪かった。すまん。」

    ヒストリア「私の・・・・お母さんが・・・・壁を支えてる・・・・・の?」

    ユミル「あぁ。私の代わりに・・・・・なんつうか・・・・・犠牲になった。」

    「犠牲」という言葉を聞いた瞬間、ヒストリアの目に怒気がこもった。

    ヒストリア「あなたは、お母さんが壁になった時、黙って見てたの!?止めたりっ・・・・、しなかったの!?友達だったんでしょ!?」

    ユミル「すまん。あの時の私は、力不足で・・・・」

    ヒストリア「今もだよっ!!!今も、ユミルは力不足だよ!!!私はずっとっ・・・・お母さんに会いたかったんだよっ!?ユミルにも、話した事あるよね!?」

    ユミル「・・・・すまん。」

    ヒストリア「謝ってばっかり!ユミルのバカ!」

    アルミン「ひ、ヒストリアっ!!」

    そう、言い残して、ヒストリアは部屋を出てしまった。

    ユミル「アルミン、お前にも謝らねえと。悪かった。」

    アルミン「ううん。謝ることないよ。」

    ダダダダダダダッ!

    エレン「ユミルッッッッ!てめええええ!」

    ガッ!

    ユミル「ぐっ・・・・!エッ、エレン・・・!?」

    エレン「アルミンに何をした!!!!巨人ってなんの事だ!ユミル!答えろ!」

    ミカサ「エレン!やめて!あなたはまだ、本調子ではない!」

    アルミン「そうだよ!!ユミルは我を忘れていただけだ!」

    エレン「ユミル!お前は敵だったのか!?壁の巨人の存在を隠してたのかよ!!!」

    アルミン「ユミルは隠していたんじゃない。記憶が鮮明になったのも、さっきだ!」

    エレン「・・・・・・・。そうかよ、大丈夫か、ユミル。」

    ユミル「大丈夫だ・・・、、、」

    サシャ「話はよくわかりました!よくわかりましたから、ユミルはヒストリアを追いかけたらどうでしょうか?」

    ユミル「遠慮しとくよ。私の顔なんざ、見たくないだろうよ。」

    サシャ「いいえ!追うべきです!あなたも、伝えたい事があるでしょう?」

    ユミル「伝えたい事・・・・・か。」

    ────あるよ、山ほど

    ユミル「行ってくるわ、壁の巨人については、戻ってきたら話す。」

    アルミン「うん、いってらっしゃい。」

  26. 26 : : 2017/09/13(水) 23:32:54
    【兵舎 バルコニー】
    ユミル「ヒストリア・・・・。」

    ヒストリア「・・・・・・・。」

    ユミル「大きくなったな・・・。」

    ヒストリア「えっ・・・?」

    ユミル「ヒストリアが・・・・、お前の母さんが、壁になる前、お前を産んだんだ。」

    ヒストリア「・・・・・・。」

    ユミル「信じられないと思うが、赤子のお前を二番目に抱いたのは、私だ。まだ、ちっこくてな。ああ、懐かしい。」

    ヒストリア「私、どこで産まれたの?」

    ユミル「「ユミルの国」、正式は名前は「タナハ国」。それが、私とお前の故郷の名前だ。」
    ──────
    ────


    【タナハ国 タナハ寺院】

    ユミル「なぁ?ヒストリア?娘はどうすんだよ?あんなに、小さい赤ちゃん、お前無しじゃ、生きていけない・・・。」

    ヒストリア「ユミルがいるじゃない?」

    ユミル「バカ言え。私じゃ、まともな教育は出来ない。」

    ヒストリア「ユミルに教えてもらえることはたくさんあるよ?」

    ユミル「例えば?」

    ヒストリア「勇気、」

    ユミル「無鉄砲なだけだ。」

    ヒストリア「愛情、」

    ユミル「それはヒストリアだけにやるよ、」

    ヒストリア「弱さ、」

    ユミル「?」

    ヒストリア「ユミルは弱くて強いの!」

    ユミル「はっ、なんだそれ。」

    ヒストリア「ユミル?名前の継承が無かったらね?」

    ユミル「ああ、」

    ヒストリア「“クリスタ“って名付けようと思ったの。」

    ユミル「なんで?」

    ヒストリア「ユミルの輝きに及ばなくてもいいから、クリスタルみたいに輝いていて欲しいから。」

    ユミル「伝えとくよ。」

    ヒストリア「えっ?誰に?」

    ユミル「成長した、クリスタに。」

    ヒストリア「・・・・・・!」

    ユミル「クリスタは私が育てる。心配すんな。」

    ヒストリア「・・・・ユミル・・・・!」

    ───ユミルは、本当に女神さまなんだね?

    ──────────
    ─────


    ヒストリア「それが、私の名前の由来?」

    ユミル「そうだ。なかなか良い名前だろ?センスあるんだ、お前の母さんは。」

    ヒストリア「ねえ?ユミル?」

    ユミル「ん?」

    ヒストリア「“くりすたる“ってなに?」

    ユミル「あっ、はははは!そうか、こっちには無かったか!クリスタルは透き通った石みたいなもんだ。結晶とも言われてるが。」

    ヒストリア「きれいなの?」

    ユミル「まぁ、お前やお前の母さんには敵わないけど、それなりにな。」

    ヒストリア「ユミル、見てみたい!」

    ユミル「クリスタルをか?」

    ヒストリア「クリスタルも、タナハ国も!」

    ユミル「・・・・・・ふっ、壁の外に出られるようになったらな。」

    「現在公開可能な情報」
    【タナハ国(このSSオリジナル)
    遥か昔、女神ユミルが救った国。それ以来、名はユミル国とされ、国民の半数が、ユミルを神として崇める。】

  27. 27 : : 2017/09/14(木) 00:02:07
    ─────────
    ──────
    ───
    サシャ「仲直り、できたんですか?」

    ヒストリア「うんっ!」

    ユミル「まぁな。」

    アルミン「ユミル、壁の巨人について、教えてくれるかい?」

    ユミル「ああ。」

    アルミン「繭の巨人は味方って言ったんだよね?」

    ユミル「言った。」

    アルミン「ということは、繭を除くのこり9体は敵なの?」

    ユミル「そうだ。そいつらは、「反ユミル派」と呼ばれるやつら。古くから国に住んでいて、私が国を統治するのをよしとしないやつらだ。」

    アルミン「古くから?ユミルが住んでいた国は、もともとユミルが統治していたんじゃないの?」

    ユミル「昔は違った。国は、干ばつやら疫病やらが勃発しててな。国の状態は劣悪そのものだった。だから、前の私が、巨人の力をつかって、他国から薬、水を持って、分け与えてやったんだ。そしたら、やつら、私を崇めるようになりやがって。」

    アルミン「なるほどね。なら、壁の外には、いろいろな国が広がってるの?」

    ユミル「ああ。そうだ。」

    サシャ「すごいです!!!知らない食べ物もありますか!?」

    コニー「芋女!今そんな話してないだろ!」

    サシャ「むっー!コニーにだけは言われたくないですねー!」


    アルミン「手記の中には、巨人の特性が書かれてたよね?その記述を見る限り、真っ先に討たなきゃならないのは、「司の巨人」だと思うんだけど、ユミルはどう思う?」

    ユミル「そうだな、司はいわば脳だ。先にやっとけば、安全は安全だろうが、それは奴らにとって非常事態だ。「破壊」が黙ってない。」

    アルミン「なら、先に討つべきは「破壊の巨人」?」

    ユミル「そうだろうな。だが、それにも問題がある。「破壊の巨人」は攻撃されるとわかったなら、まっさきに壁を破壊し、司を呼び出す。司が巨人に壁を破壊させたら、作戦は失敗、どころか、壁内人類は滅びる。」

    アルミン「なら、どうすれば?」

    ユミル「もう一度、国でやったように、壁をもう一層、構築出来れば、中で安全にやつらを倒せる。」

    アルミン「でも、それには命と、人員がたりな───────」


    ──────アニ・・・・・、君なら・・・・・、できるのか・・・?





  28. 28 : : 2017/09/14(木) 00:27:10
    アルミン「壁には、何人が必要?」

    ユミル「そうだな・・・・。ローゼに3体いる事と、巨人の硬質化が完璧だとすりゃあ、4人が妥当だな。」

    アルミン「アニは、水晶体になってるんだ。」

    ユミル「・・・・・!水晶?」

    アルミン「アニの水晶の力を使って、どうにか、壁が出来ないかな?」

    ユミル「水晶化は、募る想いに呼応して現れる現象だ。自力で解くことも出来なければ、それを壁と呼べるまで広げることも出来ない。」

    アルミン「募る想いが、そうさせるなら、アニの感情が揺らぐものを見せたり、聞かせたりすれば・・・・・」

    ユミル「無理だな。水晶にいる間は思考の全てを放棄してる。」

    アルミン「そう・・・・か。」

    ユミル「仕方ねえな。」

    アルミン「・・・・・・?」

    ユミル「私が「繭」となって、新たに壁を構築する。」

    ヒストリア「えっ!?」

    アルミン「どういうこと?」

    ユミル「もとは私が繭の巨人になるつもりだった。そのために「想定外」が無いようにはしたつもりだ。」

    アルミン「ユミルはどうやって、「繭」になるの・・・・?」

    ユミル「私が繭の巨人を────────」

    ドゴオオオオオオオオオオオオオン

    アルミン「なっ!?何の音だ!?」

    バンッ!!

    ハンジ「みんな、準備してくれ!!!!突如壁が崩壊、中から巨人が出現!!!!今、ローゼを守る物が無い常態だ!!!」

    エレン「なっ・・・・・!」

    アルミン「・・・・・!」

    ユミル「急ぐぞ!」
    ────────
    ────

    【ウォールローゼ付近】

    バキイイイイイイイ

    巨人「グオオオオオオオオオオオオオオオ!」

    僕らが到着した時には、壁を破壊し、兵士達をまとめて地面に叩きつける巨人の姿があった。

    ユミル「てめえは・・・・・」


    ユミル「破壊の巨人ッ・・・・!」

    破壊の巨人「・・・・る・・・・ま。」

    ユミル「私の名前を呼ぶんじゃねえ・・・!」

    破壊の巨人「みる・・・・さま・・・」

    カッ──────────

    ユミル/ユミル巨人「ウォァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!(うるせえんだよ!!!!!!!!!!!)」


    ジャン「じ・・・・地獄だ・・・・!」

    アルミン「しゅ、周囲を警戒!巨人がなだれ込んでくる可能性ががある!」

    ジャン「・・・・・・!」

    アルミン「ジャン!!!なにしてるのっ!!!!?」

    ジャン「あ、あぁ!わかった!」




  29. 29 : : 2017/09/14(木) 01:10:03
    リヴァイ「てめえ・・・・。俺の部下になにしやがった・・・・?」

    リヴァイは、壁から叩き落とされた兵士達の亡骸を見つめながら呟いていた。

    リヴァイ「ハンジ。」

    ハンジ「うん?」

    リヴァイ「こいつらを、安置してやってくれ。」

    ハンジ「リヴァイ・・・・。」

    リヴァイ「事が終息したら、ご遺族の元に帰らせる。」

    ハンジ「わかった。」

    リヴァイはああ見えて、仲間想いなんだ。部下が死んだ時、誰より辛いのはリヴァイなんだ。だれよりも巨人が憎いのは、リヴァイなんだ。

    ギロッ────

    リヴァイ「おい、「破壊」とか言ったか?」

    破壊の巨人「オオオオオオ!」

    リヴァイ「お前には虫けらのような命に見えたか?」

    破壊の巨人「グォォォォォォアアアア!」

    リヴァイ「あの中には、妻子がいる者、年老いた親が帰りを待っている者、愛娘が巨人に喰われてなお、俺を慕い、俺に付いてきてくれた者がいる。」

    リヴァイ「あいつらは俺の仲間であり、俺の命だった・・・・・!」

    リヴァイ「お前は俺の命を3つも奪ったんだ。覚悟は出来てんだろうな?」

    ヒュンッ────────

    ユミル「(速い!破壊が動きに追い付けてない!!!)」

    ブシュュュュュュュ!

    破壊の巨人「オオオオオオオオオオオオ!」

    リヴァイ「目を潰されたくらいで喚くな。俺の仲間はもっと痛い目に遭ったんだ。まだまだ、弔いには足りねえが、お前には壁になりながら消えてもらわなきゃならねえ。」

    リヴァイ「おい、ユミル。」

    ユミル巨人「グオオオオ?」

    リヴァイ「奴を壁に叩き込め。」

    ユミル巨人「(衝撃で硬質化させつつ、破壊を倒すのか・・・・、やってみる価値はありそうだ・・・)ガアアアア!」

    リヴァイ「あとは、頼む」

    ユミル巨人「(あの時はよくも裏切ってくれやがったな・・・・!)」

    アルミン「あの小さな体で、破壊を持ち上げてる!!!!なんて力なんだ・・・・・!」

    ヒストリア「ユミルッ!がんばって!」

    ユミル巨人「(お前みたいな害悪はッッッッ!)」

    ユミル巨人「(二度とッッッッ!もう二度とッッッッ!)」

    ユミル巨人「グアガァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!(出てくんじゃねええええ!)」

    ドガガガガガガガガガ!!!

    破壊の巨人「ゴアアアアアアアアア!」

    バキバキバキッ─────

    破壊の巨人は衝撃により、うなじを損傷。最後の最後に硬質化により、防御を試みるも、間に合わず、結果として、破壊の巨人の"あがき"が壁を再建させた。


    ───────
    ────
    ──

    「死んだ・・・・?夫が・・・・?」

    リヴァイ「・・・・。守ろうとしましたが、力及ばず、尊い人命を奪ってしまいました。申し訳ございません。」

    リヴァイが頭を下げる時、決まってご遺族に悲しい知らせをするときだ。

    ───────────
    ───────



    「息子は・・・・人類の役にたちましたか?」

    リヴァイ「・・・・・・。役にたたない兵士などいません。息子さんも、立派な兵士でした。」

    ハンジ「・・・・・。」

    ─────────
    ─────

    「覚悟してました。命がけだってっ、、、いつもっ、、、うぅ・・・・うぁぁぁぁ!」

    リヴァイ「──────」

    ──────
    ───

    【兵士長 宿舎】

    ハンジ「リヴァイ?」

    リヴァイ「・・・・・・。」

    ハンジ「リヴァイ!!聞こえてんだろー!」

    リヴァイ「なんだ、ハンジ。」

    ハンジ「手紙。届いてるよ。」

    リヴァイ「誰から?」

    ハンジ「ご遺族から。─────「ありがとう」って。」

    リヴァイ「「ありがとう」?」

    ハンジ「うん、ほら、読みなよ。私はアルミン達のところいくから。」

    リヴァイ「ああ。」

    ───リヴァイ兵士長殿
    夫を家に帰していただいて、ありがとうございます。

    夫はいつも、兵士長殿のお話をしていました。

    「目付きが悪いが、腕がたち、仲間想いで頼もしい」と。

    他の関係者は、夫を道具としか見ていませんでした。しかし、兵士長殿は違った。

    夫の為に、涙を堪えてくださったこと、夫を、最後の最後まで、守ってくださったこと、私は忘れません。

    夫を守ってくださいまして、ありがとうございます。お元気で。

    ──────────

    リヴァイ「─────ッ。俺は何もッ、、、」

    ハンジ「(あーあ。やっぱ泣いちゃうよな。そんな事言われたら。)」


  30. 30 : : 2017/09/14(木) 01:46:41
    ハンジ「おっ、ユミル!体は?大丈夫なの?」

    ユミル「何ともないよ、それより、あんたのほうが大変そうだけど?」

    ハンジ「えっ?私?なにが?」

    ユミル「泣いたろ?あんた。」

    ハンジ「──────ッやだなぁ!なんで私が泣くのさ!?」

    ユミル「破壊がころ─────」

    リヴァイ「それ以上アイツの名前を口にするんじゃねえ。耳が腐る。」

    ユミル「あいよ。」

    リヴァイ「ところで、ハンジ?てめえなんで泣いてる?」

    ハンジ「っはぁ、もう!泣いんじゃなくて、泣いてたの!!!恥ずかしいじゃんか!みんなして!」

    リヴァイ「涙は、死んでいった奴の為に取っておけ。」

    ハンジ「はあ────!?よく言うよなぁ?リヴァイだって、泣いてたくせに!」

    リヴァイ「ハンジ、てめえ・・・・!」

    エレン「えっ?兵長、泣いた・・・・んですか?」

    アルミン「い、意外です・・・・。」

    リヴァイ「俺も人間だ、泣きもする。なにより、あいつへの涙だ。恥ずかしくなんかねえよ。」

    エレン「兵長・・・・!」

    ハンジ「(リヴァイはずっりぃよな。そんなカッコいいこと無理なく言えて!わーーーー、私も言いてええええ!)」

    リヴァイ「ハンジ、口を半開きにするな。気色の悪い。」

    ハンジ「気色悪くて、悪かったなーーーー!」

    アルミン「破壊がいなくなった事で、司討伐にようやく乗り出せるね、ユミル」

    ユミル「破壊がこうも早くに出てくるとは思わなかったが、嬉しい誤算だ。アルミンの言うとおり、狙いを「司」一本に絞れる。」

    ハンジ「あのさぁ?狙いとか、司とか、聞いてないんだけど?」

    リヴァイ「俺はユミルから聞いて、その作戦を許可した。そして、俺も参加する。」

    ハンジ「はっ?聞いてないなぁ?聞いてないよ!リヴァイ!?」

    リヴァイ「言ってないからな。」

    ハンジ「なんで隠すの?なんで?私に知られたくなかったわけ?」

    リヴァイ「うるせえ。お前に伝える時間がなかっただけだ。今、この場でお前に伝えるつもりだった。」

    ハンジ「で?その作戦はなんなの?」

    リヴァイ「そのままだ。お前が考案した作戦で、司を倒し、指揮系統を奪う。」

    ユミル「いや─────待て。」

    アルミン「?」

    ユミル「「司」の能力を、私が奪っちまえば、巨人は私の言う事を聞く。」

    リヴァイ「つまり?」

    ユミル「私が「司」を「喰う」。」

    ──────

    目的は、世界を「司る」その能力を奪うこと。
  31. 31 : : 2017/09/14(木) 01:48:11
    今回はここまでです。誤字は後日、まとめて修正します。しばらく、見辛い箇所がありますがご容赦ください。
  32. 32 : : 2017/09/14(木) 01:48:46
    >>24 コメントありがとうございます!
  33. 33 : : 2017/09/15(金) 15:21:11
    今夜、続きを更新する予定です。
  34. 34 : : 2017/09/15(金) 20:14:22
    期待です
  35. 35 : : 2017/09/15(金) 23:31:34
    エレン「喰うって・・・・・。」

    アルミン「「司」を喰って、ユミルが、司になるの?」

    ユミル「そうだ。「司」は使用者によって、「大地の悪魔」にも、「救世の神」にもなれる。今の司が「大地の悪魔」なら、私は、「救世の神」になってやる。」

    リヴァイ「現実的じゃねえな。「司」を喰うまではいいとして、過程はどうする?壁を破壊して、「司」をあぶり出さなきゃいけねえんだぞ。」

    ユミル「「司」を奪えば、私らは自由になれるんだぞ?」

    リヴァイ「その為に犠牲は付き物だと?」

    ユミル「私らは、いくつもの犠牲を払ってきた・・・・!人類にとっての楽園を築く為に!」

    リヴァイ「その楽園を築く為に、死んでいった者達は、さぞ楽園を見たかっただろうな。」

    ユミル「・・・・。」

    リヴァイ「「破壊」との戦いで、兵士の大半が死んだ。そのご遺族の中のひとりから、手紙をいただいたんだ。」

    ハンジ「・・・・。」

    ユミル「手紙・・・・?」

    リヴァイ「「ありがとう」と書いてあった。夫が死に、悲しみに暮れているなか、「ありがとう」と。」

    ユミル「・・・・・。」

    リヴァイ「あいつが──────生きていたら、心の底からの「ありがとう」が言えたはずだ。悲しみを隠すための「ありがとう」を、俺は、もう、聞きたくない。」

    ユミル「・・・・・私の作戦に反対する理由はそれか?」

    リヴァイ「あ?」

    ユミル「一端の兵士が死んだからって、人類がどうなってもいいってか!?」

    アルミン「ユミル!やめなよ!」

    エレン「ひでえじゃねぇか!ユミル!」

    リヴァイ「てめえ、俺の部下に向かって何と言った・・・・・?」

    ユミル「・・・・・!」

    ジャキィ─────────

    ハンジ「リヴァイ!生身の人間にブレードは危な─────」

    リヴァイ「こいつも巨人だ。すぐに元に戻る。」

    ユミル「やれんのか?」

    リヴァイ「なに?」

    ユミル「斬れんのかよ?私を。」

    リヴァイ「いい度胸だ。望む通りに─────」

    ─────ガッ!

    リヴァイ「!?」

    アルミン「ミ、ミカサ!?」

    ミカサ「不毛。今はじゃれている時間ではない。ユミルの作戦を承諾するか、しないか。それだけ。」

    リヴァイ「条件がある。」

    ユミル「条件?」

    リヴァイ「その作戦に同行するのは、ここにいる奴らだけだ。それが出来ないなら作戦は許可しない。」

    ユミル「・・・・・わかったよ。私も、ヒストリアを巻き込みたくねえ。」

    リヴァイ「・・・・・。ハンジ。「「司」奪取作戦」の指揮はお前に任せる。」

    ハンジ「わかったよ。」

    リヴァイ「ユミル、世界の命運はお前に委ねられた。失敗するな。」

    ユミル「わかってるよ。」

    リヴァイ「行くぞ、ハンジ。」

    ハンジ「おっ、おい!待てー!リヴァイ!」







  36. 36 : : 2017/09/15(金) 23:52:48
    ──────
    ───

    ヒストリア「私も協力するよ!!!」

    ユミル「駄目だっつうの。お前は、おとなしく待ってろ。」

    ヒストリア「ユミルったら、いつもひとりで抱え込んで!!!私にも、ユミルの手伝いをさせて!!」

    ユミル「プッ。」

    ヒストリア「なんで笑うの!?バカにして!!!」

    ユミル「バカになんかしてねえよ、、。お前の母さんと同じ事言うんだなぁ、と思ってよ。」

    ヒストリア「えっ?」

    ユミル「お前の母さんも、私のこと「ひとりで抱え込んで!」って言ってたんだ。どっからどうみても、ヒストリアだ・・・・・。」

    ヒストリア「・・・・・。」

    ユミル「ヒストリア、行ってくる。」

    ヒストリア「行ってらっしゃい、」

    ─────行ってらっしゃい、ユミル

    【地下室】
    アルミン「アニ?」

    アニ「・・・・・・。」

    アルミン「僕ら、人類のこれからに関わる作戦に携わることになったんだ。」

    アニ「・・・・・・。」

    アルミン「この作戦がうまくいけば、壁外に自由に行き来できるようになる。というか、僕らが壁外に住めるようになるんだ。」

    アニ「・・・・・・。」

    アルミン「アニ、作戦が成功したら、「うみ」を見に行こうよ。」

    アニ「・・・・・・。」

    アルミン「じゃあ、そろそろ行くね?」

    アニ「・・・・・・。」

    ─────行ってらっしゃい。アルミン。

    アルミン「!?アニ?君、今・・・・!?」

    アニ「・・・・。」

    アルミン「気のせい、か。」

    【兵舎】
    エレン「なぁ?ミカサ。」

    ミカサ「どうしたの?」

    エレン「この作戦がうまくいったら、俺達、自由になれるんだよな。」

    ミカサ「ええ。」

    エレン「この瞬間に、ペトラさん達がいればな・・・。」

    ミカサ「彼女達がいなければ、到底たどり着けなかった。彼女達の死は無駄じゃない。」

    エレン「・・・・・だよな。」

    ────
    ──
    【兵士長 宿舎】

    リヴァイ「ハンジ。この手紙をあいつの奥さんに届けてくれ。」

    ハンジ「・・・・リヴァイが手紙書くなんて、珍しいね?」

    リヴァイ「それから、」

    ハンジ「うん?」

    リヴァイ「中、見んじゃねえぞ。」

    バタンッ。

    ハンジ「・・・・・・・。見るなっていわれたら、見たくなるでしょ?どれどれ・・・?」

    ────
    この度は、お手紙をいただきまして、ありがとうございました。

    私は彼を守ってはいません。守られていたのです。

    私が、こうして生きていられるのは、彼が身を呈し、守ってくれたからです。

    感謝すべきは、私の方です。

    守っていただきまして、ありがとうございます。
    ────調査兵団 兵士長リヴァイ



    ハンジ「・・・・・。さぁ、私もいこうか。」


    バタンッ───────────

  37. 37 : : 2017/09/16(土) 00:21:45
    ───────
    ────

    【ウォールローゼ付近】

    リヴァイ「いいか?「司」がどれほどのやつかはわからねえ。俺達が考え得る、最悪の事態も想定しろ。」

    一同「はい!」

    ハンジ「「司」は動けないんだよね?」

    ユミル「ああ。「私らが奴に触れない限りは」。」

    ハンジ「なら、私達が、「司」を呼び出さなきゃならないわけだ?」

    ユミル「ああ。」

    ハンジ「・・・・やろう。」

    やり方は同じだ。矛によって、壁に穴をあける。違うのは、「司」に壁を破壊させる事。
    ───────
    ────


    リヴァイ「いくぞ、構えろ。」

    アルミン「・・・・・!」

    キュルルルルルルルルル!

    バキッッッッッ!!!

    バキッ、バキッ、バキキキキッ、

    リヴァイ「距離を開けろ!出てくるぞ!」

    ガキッッッッッッッ、ドゴォォォォォオ!

    司の巨人「オオオオオオオオオオオオ!」

    ─────ビリリッ!

    ユミル「ッ!───────」

    エレン「ってぇ──────!」

    アルミン「ユミル!?エレン!?どうしたの?」

    ユミル「「司」が、思考に干渉しようとしてやがるッ!」

    アルミン「大丈夫なの・・・・?」

    ユミル「私らは大丈夫だ!ただ、外の奴らがッ───────」

    司の巨人「ユミル、キサマ、ナゼ、、、」

    ユミル「何故?はっ!てめえ、私が死んだと思ってやがったのかよ?」

    司の巨人「マアイイ、イズレニシテモ、オマエハ、イキノビルコトハデキナイ」

    ユミル「どっちが、生き残るか、やってみようじゃねえか─────────!」

    カッ────────!

    司の巨人「グアガァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!」

    ユミル巨人「アアアアアアアアアアアア!」

    ハンジ「リヴァイ!周囲に巨人の群れ!」

    リヴァイ「数は!?」

    ハンジ「1000・・・・、1000はいる!」

    リヴァイ「1000だと・・・・?」

    ミカサ「こんな数の巨人は見たことがない・・・・。」

    アルミン「恐らく、「司」が、巨人達を全てこっちに呼び寄せたんだ・・・・!」

    エレン「俺が行く!」

    アルミン「いくらエレンでも、無茶だ!」

    エレン「やるしかねえだろ!!!!」

    バッッ!カッ─────────

    アルミン「エレン!!!!!」

    ミカサ「エレン!!!!」

    エレン巨人「ガアアアアアアアアアア!」

    ──────
    響き渡る闘いの音



  38. 38 : : 2017/09/16(土) 00:33:23
    エレン巨人「オオオオオオオォォォォォオ!」

    エレンは無数の巨人を自らに引き付けた、戦っていた。それを見て、ユミルは司の能力を封じるべく、首を締め上げ、脳への酸素を遮った。

    ユミル巨人「ドオジアアアア、コノテイドアアアアアア!(どうした?この程度か?)」

    司の巨人「グ・・・・・、アアアアアアアアアアアア!」

    ユミル巨人「(今なら、うなじを狙える!)」

    司の巨人「ウォアアアアアアアアアアア!」


    バキッッッッッ!

    アルミン「!!!!ミカサ!!!下だ!」

    ミカサ「くっっっっ!熱っっっっ!」


    ジュゥゥゥゥゥ

    焔の巨人「アアアアアアア・・・・、、、」

    アルミン「まっ、まずい!「司」が、壁の巨人を操ってる!!!!」

    ミカサ「ユミル!!「絶壁」が出てくる前に、「司」を!!!!」

    ユミル巨人「(悠長にやってる、時間はねえか・・・・・)」

    ユミル巨人「オオオオオオオオオオオオ!」

    ガブッ、ブチブチブチッッッッッ!

    司の巨人「アアアアアアアアアアアアアア!」

    「司」は煙をあげ、消滅していった。それが、意味するのは、人類の「勝利」だった。


    ─────
  39. 39 : : 2017/09/16(土) 00:52:03
    アルミン「────ここまでが、壁内であったこと、人類が人類たる理由を取り戻した記録です。」

    「壮絶な体験談をありがとう。それを、我々に聞かせてどうしたいのかな?」

    アルミン「これからは、巨人の私物化及び、巨人の他国への輸入を禁じていただきたい。」

    「・・・・・!いまや、巨人は国を動かす原動力だ!!!その輸入を禁ずるなど・・・」

    アルミン「第2の「巨人戦」を僕は見たくありません。あなた方は、巨人の恐怖をまだ知らない。」

    ──────────
    ─────


    エレン「よっ、アルミン・アルレルト団長!」

    アルミン「止してくれよ、、、、まだその肩書きはなれてないんだ。」

    ユミルと司が戦った、「巨人戦」から、長い時間が流れた。あの後、司の力を手に入れたユミルによって、巨人達は、ユミルの意のままに動くようになり、巨人は人間と力をあわせ、社会活動に貢献するまでに至った。

    ユミル「ヒストリア?」

    ヒストリア「うん?」

    ユミル「行くか。」

    ヒストリア「行くって、どこに?」

    ユミル「タナハ国。行きたかったんだろ?」

    ヒストリア「うん!!!」





    「現在公開可能な情報」
    【12年前のあの日、僕は、壁に巨人が居ることに気付いた。その時、僕が見たことのすべてを、ここに記す。 -アルミン・アルレルトの日記「壁内に巨人がいると仮定して」-】



    ─────END
  40. 40 : : 2017/09/16(土) 00:53:52
    今回で、最終回となります。

    いかんせん、はじめてのSSで素人感まるだしですが、、、w

    ここまで、読んでいただきまして、ありがとうございました。

    誤字は随時修正していきます。
  41. 41 : : 2017/09/16(土) 00:55:06
    >>32 コメントありがとうございます!
  42. 42 : : 2017/09/17(日) 08:18:57
    少年マンガ読んでるみたいにワクワクするバトルでした(少年漫画だけど)乙
  43. 43 : : 2017/09/22(金) 03:22:47
    >>42 そう言っていただけると嬉しいです!
  44. 44 : : 2019/05/11(土) 23:17:48
    約2年の歳月が流れましたが、ようやく誤字修正に乗り出しました。

    SS本編が終了してなお、閲覧くださっている方々に、心より感謝申し上げます。

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