この作品は執筆を終了しています。
キノ「SSの国?」
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- 1 : 2017/07/19(水) 22:08:42 :
- おじさん「ああ。この国ではSSといういわゆる二次創作がとても盛んな国なんだ。」
キノ「二次創作...ですか。すみません。二次創作というのはなんなのでしょう。」
エルメス「キノったら二次創作も知らないのかー。イテッ」コツン
キノ「ボクにも知らないものはたくさんあるよ。次はタンクじゃないところにする?」
エルメス「悪かったよキノ。」
おじさん「今朝入国したばかりの旅人さんが知らないのも無理はない。説明しても構わないかい? 」
キノ「ええ。是非お願いします。」
おじさん「...コホン。二次創作というのは...」
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- 2 : 2017/07/19(水) 22:09:45 :
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キノ「なるほど。既にある作品の設定やキャラでちょっとしたストーリーを考えて表現してるといった感じですかね?」
おじさん「その通り!いやはや旅人さんは物分りがいいね。」
キノ「そして、二次創作のSSがこの国では流行していると。」
おじさん「ああ。もっとも、流行といってもここ100年は続いてるって話だ。国民のほとんどはSSを書くかSSを読んで共有して楽しんでいるよ。」
キノ「それはすごい歴史ですね。」
エルメス「でもみんながSSを書くならその"オリジナル"は誰が書いてるの?」
おじさん「いい質問だね。ずばり、この国では"オリジナル"の作品は全て政府が公共事業として発行しているんだ。」
エルメス「なるほどー!そこで働きたい物好きもいるんだね!」
おじさん「まあね。その業務は給料がとてつもないほど多いってことしか知られてなくて、私もどのように彼らが雇用されているか知らないんだ。」
エルメス「国家機密ってやつだね。」
キノ「なんとも不思議な話ですね。そのSSというのはボクにも読めるものなのでしょうか?」
おじさん「もちろんだとも、この国では10歳以上になると全員に国からSSを書いて読むことの出来る端末が支給されているからね。生まれつき目の見えにくい方にも触るだけでわかる端末が渡される。旅人も例外にはならないはずだから役所に行ってみるといいよ。」
キノ「わかりました。お話ありがとうございました。あと、お茶ごちそうさまでした。」
おじさん「こちらこそ久々の旅人さんと話せて嬉しいよ。ぜひこの国のSSを楽しんでいってくれ。」
おじさん「私は用事があるので先に失礼するよ。」ポロッ
エルメス「じゃあねおっちゃん!」
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エルメス「とりあえず行く?役所に。」
キノ「うん行こう。そして....忘れ物だ。」
エルメス「それさっきのおっちゃんが落としたやつ?」
キノ「たぶんね。木に2羽の小鳥が彫ってあるキーホルダーだね。」
エルメス「届ける?」
キノ「役所で端末ついでに聞いてみることにしよう。」
エルメス「あいよー。」
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- 3 : 2017/07/19(水) 22:11:24 :
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役所のお兄さん「端末を?もちろんですとも! 旅人さんの中では興味が無い方もいるので入国時にはお渡ししていないんですが、申請していただければ滞在期間中の間無料で貸し出しをしています! ささっ!こちらの紙に記入お願いします!」
キノ「どうも。」カキカキ
エルメス「お兄さんがSSの元になる"オリジナル"を書いてる人ー?」
役所のお兄さん「とんでもない!自分はSSを書いて読んでるほかの国民と一緒ですよ! 元となる作品はたしかに国で発行していますが自分の管轄ではないんです。どこに部署があるかも知らないですし…。」
キノ「すみません。この『ランキングに参加するかどうか』というのは?」
役所のお兄さん「ああ!それはSS全国ランキングといって国の中で良いSSを常に投票で順位を出しているんです。ランキング上位ともなると大人気SS家ですし、たくさん書籍化されていてお金持ちです。それはもう全国民の夢ですね…!」
エルメス「すごーい!キノも書いて有名人になっちゃえば?」
キノ「ぼくにそんな文才ないよエルメス。とりあえず〇にしておきます。」
役所のお兄さん「ありがとうございます。ではこちらが端末と取り扱い説明書になります。バッテリーは1ヵ月は持ちますのでガンガン書いちゃってください!とりあえずどんなものか読んでみるのが良いと思います。」
キノ「ありがとうございます。四角くて画面しかないようなのですがこれで書けるんですか?」
役所のお兄さん「はい!横のボタンを押してつけていただくとわかると思うのですが画面全体が指でのタッチに反応するようにできています。この上のが読むためのページで下のが書くためのページです。」
キノ「これは便利な機械です。どうもありがとうございます。」
エルメス「キノってばそんなハイテクな機械使えるの〜?」
キノ「旅人に必要なのは適応力だよエルメス。」
役所のお兄さん「大丈夫そうですね。自分もそろそろ読みたくなってきたのでこのへんで。あっ!最後に。ランキング1位KDKさんの『俺と幼馴染の日常』というSSとても面白いのでぜひ!」
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- 4 : 2017/07/19(水) 22:13:13 :
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キノ「ふーーーやっと寝れる」バフッ
エルメス「まだお昼過ぎだよキノ。また夜寝れなくなっちゃうよ。」
キノ「むう。たしかに。」
キノ「ちょっと読んでみるか。えーっと『読む』を押して、『全国ランキング』を押すっと。」ポチポチ
キノ「これかな?KDKって書いてある1匹の鳥のアイコン『俺と幼馴染の日常』これを押してっと。出てきた出てきた。」
エルメス「見せて見せてー!」
キノ「ほら。モトラドには見にくいかな?」
エルメス「ばーっと流してくれれば全部読めるからお願い!」
キノ「そんな一瞬で読めるんだね。はい。」スーッ
エルメス「はい全部読んだ。いい夫婦の話だった。」
キノ「便利でいいね。じゃあボクはいろいろ読むとするよ。」
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キノ「んんー目が疲れた。」
エルメス「キノ気付いた?」
キノ「まあこれだけ読めばね。」
エルメス「誰かに話す?」
キノ「やめておこう。そしてボクはシャワーを浴びて寝るよ。」
エルメス「なーんだ。おやすみキノ。」
キノ「おやすみエルメス。」
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- 5 : 2017/07/19(水) 22:14:26 :
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キノ「満腹だ満腹だ。」
エルメス「さいですか。朝からそんなによく食べれるね。」
キノ「食べれる時に食べるのさ。」
エルメス「ふーん。今日はどうするの?」
キノ「そうだな。ボクもSSを書くとしよう。」
エルメス「作家に目覚めちゃった?」
キノ「そうかもね。エルメスを売ってボクも作家になるべきかもしれない。」
エルメス「キノは作家には向いてないから旅人をやったほうがいい。間違いない。」
キノ「ボクも同感だよ。ちょっとだけ書いてみるだけさ。」
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キノ「...できた。」
エルメス「お、見せて見せてー」
キノ「いやだ。」
エルメス「えー!」
キノ「知ってる人に見られたくないよ恥ずかしいし。」
エルメス「知ってるモトラドは?」
キノ「もっとだめだ。」
エルメス「ちぇっ。あ、そうそう。あのキーホルダーはどうするの?」
キノ「...すっかり忘れてた…。」
エルメス「このままサハバハ?」
キノ「.....ネコババ?」
エルメス「そうそれ。」
キノ「明日にしよう。今日は疲れた。おやすみエルメス。」バフッ
エルメス「おやすみキノ。」
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キノ「さあ役所に行こうか。」
民衆「ガヤガヤザワザワ」
エルメス「騒がしいね。事故でもあったのかな?」
キノ「行ってみよう。」
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- 6 : 2017/07/19(水) 22:15:26 :
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男「号外!号外!『ランキング1位KDKさん引退!』です!どうぞ!」ポン
キノ「どうも。」
エルメス「なんだって?」
キノ「ふむ。どうやら1位の作家の人が引退するらしい。」
エルメス「へー。引退なんてするんだね。昨日読んだので最後ってことか。」
キノ「そうみたいだ。人気なのにもったいない。」
キノ「とりあえず役所に行こう。」
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- 7 : 2017/07/19(水) 22:16:25 :
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役所のお兄さん「昨日の旅人さんがまた来ました!」
役所の上司「ほう。気づいたか。わしが対応するから君は持ち場に戻りなさい。」
役所のお兄さん「はいわかりました。(気づいたとは???)」
キノ「こんにちは。落とし物のk」
役所の上司「旅人さんお話がありますゆえ。どうぞこちらへ。」
エルメス「おや?」
キノ「...わかりました。こいつも同行していいですか?モトラドですが。」
役所の上司「ええ構いません。どうぞ。」
役所の上司「そちらにお掛けくださいな。」
キノ「SSの"オリジナル"についてですか?」
役所の上司「やはり。気づいておられで。」
キノ「ボクが以前別の国で読んだことのある作品の登場人物がいろんなジャンルの作品で出ていました。」
役所の上司「ふむ。この話は他言無用だが約束できるかね?」
キノ「ボクは今日出国するので誰にも言うつもりはありません。」
エルメス「上に同じー。」
役所の上司「ではお話しましょう。この国では"オリジナル"となる作品は一切作られておりません。」
エルメス「やっぱり。」
役所の上司「この国で生まれ教育を受けた人で作品をゼロから創ることできるひとはまずいません。ですから"オリジナル"の本はすべて他国から面白いものを選び、秘密裏に輸入しています。」
キノ「すべて...ですか。」
役所の上司「ええ。すべてです。わしの知る限りここ100年はずっと。そしてその仕事を受け持つのが、ランキング1位を1ヵ月キープした特殊なジャンルの作品のSS家です。」
エルメス「わーお。SSを書いてる人にそんな仕事させちゃうんだ。」
役所の上司「はい。彼らでなくてはダメなのです。彼らの書くものは『俺』シリーズと呼ばれるもので正確には作品の二次創作でないものです。彼らの感性でしか面白い本は選べないと100年前に定められ、今日に至ります。」
キノ「つまり、今日引退するというのも...」
役所の上司「そうです。彼を含む『俺』シリーズのSS家は国の極秘命令でその役職を担うことになります。」
エルメス「それに断ると?」
役所の上司「...2度とSSを書くことも読むこともないでしょうね。どちらにせよですが。」
キノ「そうですか。お話ありがとうございました。最後に一つだけ、ランキング元1位のKDKさんに会うことは可能ですか?」
役所の上司「ほう。もしかしてファンになられですかな? 旅人さんなので特例でお会いできるよう取り計らいましょう。彼はこの件で少し抵抗があったので現在我々の監視下にありますので。」
エルメス「物騒だねー。でもキノがファンになるなんて意外。」
キノ「ちょっとした気まぐれさ。それでは会いに行きますのでお願いします。」
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- 8 : 2017/07/19(水) 22:17:28 :
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ピンポーン
エルメス「厳重に家が監視されてるね。国も大変だ。」
キノ「こんにちは。元1位のKDKさんにお話があって来ました。」
KDK「...連絡はもらってるよ。いま玄関に行く。」
ガチャ
キノ「...やっぱりあなたでしたか。」
おじさん「君は一昨日の...!」
キノ「どうも。」
エルメス「へぇ。ランキング元1位のKDKさんがおじさんだったんだー。」
おじさん「ここでもあれだ。中に入ってくれ。」
キノ「お邪魔します。」
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キノ「このキーホルダーはあなたの物ですよね?最初お会いした時に落として行かれたので。」
おじさん「これ..!!!! ありがとう旅人さん!!失くしたと思ってずっと探していたんだよ!!本当にありがとう。」
おじさん「でもどうしてこれが私の、KDKのだってわかったんだい?」
キノ「SSのアイコンが同じ鳥の片方でしたので。そうかなと思いました。」
おじさん「流石だよ。ああ。これは妻から貰った物で大切なものなんだ。」
キノ「奥さんはいまはここには?」
おじさん「...2年前に亡くなったよ。流行病だったんだ。それ以来私は片方の鳥のアイコンでKDK『孤独』というペンネームでSSを書き続けてきた。」
エルメス「そして1位になった。だけどおっちゃん選ばれちゃったんだよね?アレに。」
おじさん「ああ。私は...!亡くなった幼馴染の妻との生活を...! 私の人生の二次創作をSSで書いていただけなのに...!
妻だけでなくSSすらも失ってしまうんだよ...!うぅ...!」
キノ「...お話はここまでです。それと画面を見てください。」スッ
おじさん「うぅ...端末の画面?」
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- 9 : 2017/07/19(水) 22:18:09 :
- 『声は彼らに聞こえているのでここに記します。
奥さんとの生活の物語を書き続けることは可能です。
役所の偉い方は最後に「もし万が一、対象者がゼロからオリジナルの作品を創れる場合は選ぶ業務ではなく作品を書くことで代わりの業務とする古い法律もある。それが適用されたことは一度もないね。」と言っていました。奥さんとの物語をSSとしてではなくオリジナルとして書いてみてはいかがですか? 』
おじさん「え......。つまり...。」
キノ「あなたのSSとても面白かったです。それでは。」
エルメス「じゃあねおっちゃん。」
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- 10 : 2017/07/19(水) 22:19:03 :
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エルメス「国も見えなくなったね。」
エルメス「キノ、あれでよかったのかな?」
キノ「伝えるべきことは伝えたさ。それに」
エルメス「それに?」
キノ「ボクは彼の作品のファンになったのさ。」
エルメス「ふーん。」
キノ「さようなら。唯一の"作家"さん。」
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1ヶ月後、
ランキング1位『ボクとモトラドの旅』written by kino
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- 11 : 2017/07/19(水) 23:09:42 :
- 最高過ぎます!!
キノの旅ssやった事はあるんですが長続きしなくて......
珍しくこんな神作を読めて良かったです!
これからも頑張ってください!!!
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- 12 : 2017/07/19(水) 23:32:26 :
- >>刹那さん
とっても嬉しいです!ありがとうございます。
キノの旅大好きなのでまた思いついたら書いてみようと思います!
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- 13 : 2020/10/03(土) 09:06:30 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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