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ことり「七夕のお願い事かぁ…」

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  1. 1 : : 2017/07/10(月) 10:02:51
    例のごとく七夕を過ぎてから七夕ssを書き始める馬鹿です。
    書き溜めてるわけでもないし更新も遅いしで、もはや救いようがないのは言わないでください。
  2. 2 : : 2017/07/10(月) 10:21:00



    今年もこの季節がやって来ました、七夕です。


    私たちの通う音ノ木坂学院は文芸部さんが毎年笹の葉と短冊を用意してくれて、地域の人も短冊にお願い事を書けるように昇降口の近くに『七夕コーナー』を設けてくれています。


    絵里ちゃんたちがそれぞれの道に進んで、私たちも───ことりたちも今までと違う歩み方を模索しています。少し大変だけど。


    それで、今日は音ノ木坂にある七夕コーナーに久しぶりに9人で集まってるんです。


    お星様にお願い事をするのは大学生だって変わらないのです。



    穂乃果「むむむ…むむむむむ…」


    海未「穂乃果…まだ悩んでいるのですか?」


    穂乃果「そりゃあ悩むよ!
    だってお願いしたい事なんてたっくさんあるんだもん!」


    絵里「まあまあ、時間はまだあるんだしゆっくりでいいんじゃない?」


    穂乃果「だよねだよね!
    うーん…むむむ…」


    花陽「穂乃果ちゃんって、絵里ちゃんたちがいるとフニャ〜ってなっちゃうね」


    穂乃果「フニャ〜?あれ?なってる?」


    凛「なんていうか、気負ってない?
    感じはするかも」


    絵里「あら、さては自分が1番上じゃないから無意識に私たちに甘えちゃってるんでしょ?」


    穂乃果「うーん、そうなのかな…?
    えへへ、そうかも」



    なんて笑いながら穂乃果ちゃんは頭を悩ませています。


    それを眺めてる私も…実はお願い事が決まらなくて頭を悩ませてるんです。



    真姫「それにしても…μ'sのイメージカラーの短冊9色を準備するなんて文芸部の子たちも張り切りすぎよね」


    にこ「確か『大ファンなんです〜♡』って子がいるんでしょ?しっかりファンサービスしときなさいよ?」


    真姫「な、なんで私が…
    今も部室にいるだろうからにこちゃんがしてくればいいじゃない」


    にこ「にこは『手の届かないアイドル』を目指してるんですー、安易に顔出しできないんですー」


    真姫「めんどくさいだけでしょ」


    にこ「違うわよ!」



    なんて言ってるにこちゃんのお願い事は相変わらず『宇宙ナンバーワンアイドルになる』


    ブレないというか、まっすぐというか。


    すっごくにこちゃんらしくて思わず笑っちゃった。


    確か真姫ちゃんのお願い事は『もっと音楽と寄り添えますように』だったっけ?


    純粋で健気で、抱きしめたくなっちゃうぐらい可愛いお願い事だよねっ



    希「あれ?ことりちゃんペン止まってるよ?」


    ことり「あ、希ちゃん…
    えへへ、何だかお願い事が思いつかなくて…」


    希「ふーん?」

  3. 3 : : 2017/07/10(月) 10:31:33

    ことり「そうだ、希ちゃんはどんなお願い事にしたの?」


    希「うちはね、『みんなにスピリチュアルの加護がありますように』だよ」


    ことり「そっか…」


    希「…?
    どうしたの?」


    ことり「うーん…
    ホントはね、私もお願い事決まってたんだけどにこちゃんに却下されちゃって」



    そう、実はお願い事は昨晩から決まっていたのです。


    来てすぐに書いてみんなのこと待とうと思ってたんだけど、にこちゃんが私の短冊を見た瞬間

    にこ「却下、書き直し」

    ってだけ言ってすぐにどこかに行っちゃって…



    希「決まってたんだ?どんなお願い事にしてたん?」


    ことり「『みんながずっと元気でいられますように』って」


    希「あぁ…なるほどそれで…」


    ことり「?」


    希「ことりちゃん、なんでにこっちが書き直せー、って言ったんか分かってないやろ?」


    ことり「うん、にこちゃん教えてくれなかったし…
    それもあってお願い事が決まらないんだ」


    希「にこっちは多分ね、もっと自分の幸せに貪欲になれって言いたかったんやないかな?」


    ことり「自分の幸せに?
    私が考えたお願い事って、私の幸せに貪欲なお願いじゃなかった?」


    希「まあ違うってこと。もうちょっと考えてみよ?」


    ことり「うん…」



    自分の幸せに?どういうことだろう…

  4. 4 : : 2017/07/10(月) 14:26:09

    みんなが元気でいてくれたら、私はすごく幸せなのにな…


    自分の幸せに貪欲になれ、か。



    ことり「私のためだけのお願い事ってことなのかな…」



    分からないことを色々ぐるぐる考えてたら、穂乃果ちゃんはお願い事が決まったみたいです。



    穂乃果「ぃよしっ!書けた!」


    海未「どれどれ…
    『海未ちゃんとことりちゃんと同じ大学に行けますように』…ですか?」


    穂乃果「うんっ!
    だって一緒じゃなきゃ嫌だし…」


    海未「あの、穂乃果?あなた進学するつもりだったのですか?」


    穂乃果「へ?」


    海未「いえ、そもそもその前に…
    私は進学するのですか…?」


    穂乃果「あ、あれ…?」


    凛「それに、ことりちゃんは留学こそしないでもデザインのお勉強ができる学校に行くと凛は思うなー」


    穂乃果「私デザインはちょっと…」


    絵里「じゃあそのお願い事は無理があるんじゃないかしら…」


    穂乃果「えええええええ!!!」



    穂乃果ちゃんの悲鳴にも似た叫びが響きます。


    そう、きっと一緒にいられるのは今だけ。


    この学院を卒業したら、ずっと一緒だった私たちもいよいよ離ればなれなんです。


    それは少し…ううん、とても嫌だけど。



    穂乃果「じゃあどうしよう!
    そもそも私大学に行かないかもしれないんだ!?」


    海未「自分のことでしょう、ちゃんと把握しておかなくてどうするんですか!」


    穂乃果「ご、ごめぇん…」



    あらら、穂乃果ちゃん怒られちゃってる。


    止めに入った方がいいかな?ちょっと可哀想だし。



    ことり「海未ちゃん、せっかく9人集まってるんだからお説教はまた今度、ね?」


    海未「むぅ……一理あります…」


    ことり「ほっ…」


    穂乃果「ことりちゃあああん…」


    ことり「わっ!?」



    急に穂乃果ちゃんが腕にギュッてしてきてビックリしちゃいました。


    私の腕にほっぺをスリスリしてます。かわいい。



    穂乃果「どうしよおおお…私のお願い事ダメだったよおおお…」


    ことり「あははは…」



    穂乃果ちゃんの頭をナデナデしながら少し考えちゃいました。


    「ああ、こうしていられるのは今だけなのか」


    って。


    それは、やっぱりすごく嫌だなって。


  5. 5 : : 2017/07/10(月) 14:56:59


    そんな嫌な気持ちをグッとこらえて笑顔で穂乃果ちゃんに話しかけます。



    ことり「あのね、実は私もお願い事まだ決まってないんだ?だから一緒に考えよ?」


    穂乃果「え?ことりちゃんも決まってないの?
    1番に書き終わってるかと思ってた…」


    ことり「えーっと…うん、1番に書き終わってたんだけど…」



    チラリとにこちゃんの方を見ます。


    私の視線に気づいたにこちゃんが、真姫ちゃんとの会話を中断してこっちに近づいてきました。



    にこ「短冊に願い事を書けてないのが約2名いるわけだけど」


    穂乃果「だって仕方ないじゃん!
    頑張って考えたお願い事も却下されちゃったんだもん!


    ことり「私はまだ思いついてないかな…」


    にこ「ふーん…
    穂乃果はまあ書けるとしても、ことりちゃんは?
    さっき希から色々ヒントもらってたでしょ?」


    ことり「うん、もらったんだけど…
    よくわかんなくなってきちゃって…」




    全然手が付いてないことをにこちゃんに報告すると、にこちゃんは大きく、大げさにため息をついて続けます。



    にこ「はぁ…
    なんていうか…うん、そういう所はことりちゃんらしいとは思うけど…」


    ことり「ごめんね…?」


    にこ「いや、謝るようなことじゃないわよ?
    ただ、ことりちゃん自身に対してのお願い事に少し興味があっただけだから」


    ことり「私に対しての…?」



    私に対しての…私からのお願い?



    穂乃果「ねえねえ2人ともさっきから何の話ししてるの?」


    にこ「あんたには関係ないわよ
    ほらさっさと短冊に願い事書きなさい、予定押しちゃうでしょ?」


    穂乃果「はーい…」



    渋々と私の腕から離れていく穂乃果ちゃんを名残惜しく感じながら、私も短冊へ書くお願い事をもう一度考えてみます。


    チーズケーキをたくさん食べたい?…うーん。


    もっとデザインのお勉強がしたい!…確かにしたいけど、あまりしっくりこないな…


    うーん、うーん……



    ことり「うーん…」


  6. 6 : : 2017/07/10(月) 15:18:36



    結局お願い事は決まらないまま、穂乃果ちゃんと凛ちゃんの「お腹すいたー!」で音ノ木坂からは離れることに。


    穂乃果ちゃんはオレンジの短冊、私は白の短冊をそれぞれ持って帰ることになりました。


    にこちゃん曰く「来週の月曜日までの宿題」だそうです。


    今日を入れたらあと2日間猶予はあるけど、それでも思いつくかは分かりません。


    むしろ思いつかないかも…


    お願い事のことは頭から離れてくれないまま、この日は9人で夜まで遊んで帰宅。


    久しぶりのμ'sがすっごく楽しかったから、1人になったときの孤独感が私を押しつぶしそうになります。


    1人は嫌だな、って思っちゃいます。


    ご飯はお外で食べたから、お風呂を済ませて自分のお部屋へ。


    椅子に腰掛けて、持って帰ってきた白色の短冊を眺めます。



    ことり「はぁ…」



    ホントなら短冊に書くお願い事なんてこんなに悩むようよなことじゃないのにな…


    諦めて『みんながずっと元気でいられますように』って短冊に書こうとすると、にこちゃんと希ちゃんが私に言った言葉が頭で何回も繰り返されちゃいます。


    何だかダメなような気がして、書きかけの文字を消して。


    何度かそれを繰り返して。


    何度も繰り返したから短冊がクシャクシャになっちゃって。


    なんだか私の頭もクシャクシャになったような気がしたから、今日は寝ることにしました。


    明日は日曜日だけどいつも通り練習があるし、今日はもう疲れちゃったし…


    また明日考えよう…


  7. 7 : : 2017/07/10(月) 15:38:34



    ちゅんちゅん、朝です。おはようございます。


    練習に行く準備をして、いつもの集合場所で穂乃果ちゃんと海未ちゃんを待ちます。


    実は海未ちゃんより私の方が集合場所に着いてるのが早いんですよ?


    海未ちゃんの方が私よりよっぽど早起きだけど、朝のお稽古とかがあるから私が1番なんです。


    そうは言っても私1人なのは5分もない時間だから差はないんだけど…



    海未「ことり、おはようございます」


    ことり「あ、海未ちゃん!おはよう〜」



    ほら、そんなに差はないでしょ?



    海未「全く、穂乃果は少しでもことりを見習うべきです!
    以前のように穂むらまで起こしに行くようなことは無くなりましたが、それでもたるんでいます!」


    ことり「そのゆる〜って感じが穂乃果ちゃんらしいけどね」


    海未「まあ…そうですけど…
    ことりは穂乃果に甘いです…」


    ことり「あれれ、妬いちゃった?」


    海未「や、妬いてなどいませんっ!
    大体今の会話のどこに妬く要素が…!」


    ことり「ことりは穂乃果ちゃんだけじゃなくて、海未ちゃんにも甘々のつもりだよー?」


    海未「そ、そうですか…?うふふ…
    …って、そうじゃなくて!」


    ことり「もう、海未ちゃん朝からそんなに大きな声出さないの!めっ、です!」


    海未「うぐぅっ…ッ!
    あまりイジメないでくださいよぉ…」



    弱ってる海未ちゃんも可愛いです♡


    さて、そろそろ穂乃果ちゃんが来る頃になんだけど…



    穂乃果「おっはよー2人とも!
    いつま待たせてごめんねー!」



    今日も走って穂乃果ちゃんはやって来ました。


    穂乃果ちゃんは実は私たちを待たせてることを気にはしてるみたいなんです。


    どうしてもお寝坊しちゃうみたいだけど。



    海未「おはようございます
    …待たせて申し訳ないと思うなら少しは早起きしてはどうですか?」


    穂乃果「ひぃっ!?
    そ、そんなに睨まないでよー、あ、あはは…」


    海未「ふんっ…
    さて、穂乃果も来たことですし行きましょうか」



    それだけ言って海未ちゃんは1人でスタスタと歩いて行っちゃいました。



    穂乃果「あー!海未ちゃん怒ってる!
    待ってよー!」


    ことり「海未ちゃんっ!やりすぎたって思ってるから許してよぉ!」


    海未「ふんっ、今日という今日は許しませんからね…」



    走って追いかけながら、プリプリ怒ってる海未ちゃんも可愛いって思っちゃうのがいけないんだろうなー、なんて考えてつつ。


    私たちはいつものように音ノ木坂学院に向かいます。


  8. 8 : : 2017/07/10(月) 20:28:45



    なんやかんやで学校に着いて、部室で着替えて屋上へ。


    するといつも通りに───



    雪穂「あ、海未さん!ことりさん!
    おはようございます!」


    亜里沙「おはようございます!」



    そう、なんで3人で登校してるかっていうと、雪穂ちゃんは穂乃果ちゃんと一緒に学校に行かないからです。


    とっても恥ずかしがり屋さんなのか、私たちと登校したくないみたいで…


    それで、亜里沙ちゃんと一緒にいつも1番に屋上で準備運動しているのです。



    海未「はい、おはようございます」


    ことり「雪穂ちゃん、亜里沙ちゃん、おはよ〜」


    穂乃果「あれ?雪穂…
    私に対しての挨拶は?」


    雪穂「なんで?」


    穂乃果「学校じゃ先輩じゃん!しかも生徒会長!2人は副会長と書記なんだよ!?私が1番偉いんだよ!?」


    雪穂「いやー、今更お姉ちゃんのことを偉大になんて思えないよー」


    穂乃果「ひどい!」


    海未「当然です」


    穂乃果「海未ちゃんまで!
    …こ、ことりちゃんは?そんなこと思ってない……よね?」


    ことり「あははは…ごめんね?」



    そんなこと思ってます、えへへ。



    穂乃果「うわあああ!みんな敵だ!
    みんな寄ってたかって穂乃果のこといじめるんだー!」


    海未「はいはい、はやく準備運動始めてください」


    穂乃果「うぅ…わかりました…」



    しばらくして2年生の3人が来て、こうして8人でいつも練習しています。


    名前は結局決まってないけど…この8人が私たち『音ノ木坂学院 アイドル研究部』です。


  9. 9 : : 2017/07/10(月) 22:31:27


    ーーーーー


    練習の休憩時間、ふと気になって穂乃果ちゃんに聞いてみます。



    ことり「そういえば、穂乃果ちゃんは七夕のお願い事決まったの?」


    穂乃果「ふふふふ…」


    ことり「?」


    穂乃果「昨日ねー、あれからちょーっとだけ悩んでもう書いちゃったんだよね」


    ことり「えぇ!?ホントに!?」


    穂乃果「うんっ!
    …まあ、短冊を家に忘れちゃったから笹に結べないんだけど」


    ことり「そっかぁ…」



    なんだか裏切られた気分です。


    実際は私が決められないのが悪いんですけど。


    そっか…穂乃果ちゃん決めちゃったのか…



    穂乃果「あれ?もしかしてことりちゃんはまだお願い事決まってないの?」


    ことり「うん、そうなんだよね…
    なんだか難しく考えちゃって…」


    亜里沙「? 七夕のお話ですか?」


    穂乃果「うん、そうだよ」


    ことり「私がまだお願い事が決まらなくて…
    ちなみに亜里沙ちゃんは短冊にどんなことを書いたの?」


    亜里沙「私は『楽しいスクールアイドルになる!』です!」


    穂乃果「あははっ、亜里沙ちゃん前に言ってたもんね」


    亜里沙「はいっ!
    まだまだですから!全力トーキューです!」



    高ぶっちゃたのか、亜里沙ちゃんは走って雪穂ちゃんの方に行っちゃいました。



    穂乃果「…ふふっ、何だか懐かしいな、そんなに前の事でもないのに」


    ことり「ん?何が?」


    穂乃果「ほら、さっき亜里沙ちゃんが『楽しいスクールアイドルに〜』って言ってたでしょ?
    あれね、μ'sが楽しそうにしてるからそうなりたくなったらしくて」


    ことり「へ〜、そうだったんだ?」


    穂乃果「その話を聞いたのがね、ラブライブのためにμ'sを存続させるか、それとも決めた通りにおしまいにするかって事ですっごく悩んでた時だったからさ…」



    そう言った穂乃果ちゃんの顔はとても安らかでした。


    そっか…あの時穂乃果ちゃん、すっごく悩んでたんだね。



    穂乃果「まあ、答えはすごく簡単だったんだけどね…
    私のこの経験がアドバイスになるかは分かんないけどさ、ことりちゃんも難しく考えなくていいと思うよ?」


    ことり「お願い事のこと?」


    穂乃果「そうそう!
    どんな事だって "どうすればいいのか" は本当は自分が最初から分かってるもん!」


    ことり「私が…?」



    海未「そろそろ練習を再開しますよー!」



    穂乃果「はーい!
    よーし、もう一踏ん張りだ!いこっ、ことりちゃん!」


    ことり「う、うんっ」



    …自分が最初から分かってる………か。


  10. 10 : : 2017/07/10(月) 22:48:41




    練習が終わってみんなと別れて、そしてお風呂に入ってご飯を食べて。


    部屋に戻って短冊とにらめっこしても、やっぱりお願い事は決まりません。


    短冊は依然白いままで、文字を消した後だけがたくさん残っています。


    うーん…


    自分に対してのお願い事ってなんだろう?


    私が私に対してしてあげたいことって、なんだろう?


    考え始めるとやっぱりグチャグチャになっちゃいます。



    ことり「どうするべきかは自分がわかってる……」



    穂乃果ちゃんが今日言ってたことを呟いてみたり。


    …それで思いつくならこんなに悩まなくても良かったんだけど。



    ことり「ううううん…」



    自分の頭をポカポカ叩いてみたりしても、やっぱり思いつかないものは思いつかないのです。


    私は穂乃果ちゃんと海未ちゃんが…ううん、みんなが元気で健康に過ごせていたらそれで十分幸せだから。


    それ以上は望まないし、それ以外は多分…



    ことり「はぁ…」



    少し汚れちゃってる短冊を机の上に置いて、私の部屋を出る。


    ダメ元でお母さんに聞いてみよう。


    このままじゃ宿題未提出になっちゃうもん…


  11. 11 : : 2017/07/10(月) 23:07:57



    リビングで何か事務作業をしているお母さんに向かって声をかけます。



    ことり「お母さん、今大丈夫?」


    ことりママ「あら、どうしたの?
    何か悩み事?」


    ことり「うん…悩みっていうか…」


    ことりママ「あらあら珍しいわね?
    何か飲み物淹れましょうか」



    そう言ってお母さんは作業を中断して立ち上がろうとしました。


    それを慌てて止めます。すごく些細な悩みだし。



    ことり「あ、いいよいいよ!すぐに終わるから!」


    ことりママ「あら本当?
    それで、悩みってなにかしら」


    ことり「あのね…七夕のお願い事が決まらないの」


    ことりママ「お願い事が?」


    ことり「うん…
    『みんながずっと元気でいられますように』ってお願い事にしようとしてたんだけど、にこちゃんに却下されちゃって」


    ことりママ「あら、矢澤さんが?
    どうしてかは分からないの?」


    ことり「自分に対してのお願い事にしろって言われたんだけど…
    希ちゃんにも同じようなこと言われちゃって」


    ことりママ「っふふふ、そういう事ね…」


    ことり「もうっ、私は真剣に悩んでるの!」


    ことりママ「あらあらごめんなさい?
    ふふふ、そうねぇ…」



    少し間を空けてお母さんはゆっくりと話します。



    ことりママ「ねえ、ことり?
    お母さんはことりが友だち想いの素直な子に育ってくれてとっても嬉しく思ってるの」


    ことり「え?何の話?」


    ことりママ「大丈夫、ちゃんと七夕のお願い事にも関係する話よ?
    …それでね、お母さんもずっと気になってたの。友だち想いになりすぎて、あなた自分のことを二の次にしちゃうでしょう?」



    と、言われちゃいました。


    もちろん思い当たる節なんてなく



    ことり「そう…かな?」



    と返すのが精一杯。



    ことりママ「ええそうよ?
    自分で分かってなかった?」


    ことり「そんなことないと思うけど…」


    ことりママ「そんな事あるわよ〜
    だってほら、あなたが留学する事になった時、確かμ'sはちょうど廃校阻止のために頑張って練習してたでしょう?」


    ことり「うん、そうだったね…」



    あの時のことは正直あまり思い出したくはないけど…


    今でもキューって胸が痛くなっちゃうから。



    ことりママ「あの時高坂さんがすごく張り切ってるからって、あなた留学のこと高坂さんに伝えてなかったでしょう?
    本当なら1番に伝えなきゃいけないはずなのに」


    ことり「それは…」


    ことりママ「あなた自身がどんなに苦しくても、高坂さんの士気を下げることを良しとしなかったから言うのを我慢した
    …これが自分を二の次にしてると言わずに何と言えるかしら」


    ことり「…」


    ことりママ「ふふふっ、そう落ち込まないの、別に怒ってるわけではないのだから
    むしろお母さんは誇らしいわ、あなたがそんな子に育ってくれて」


    ことり「うん…ありがと…」



    何だか、素直に喜べません。



  12. 12 : : 2017/07/10(月) 23:16:49


    ことりママ「…それで、お願い事に話を戻すのだけど」


    ことり「あ、うんっ」


    ことりママ「ことり?
    あなたはどうしたいの?」


    ことり「え?」



    どうしたい…って?何を?



    ことりママ「あなたは、何か成し得たい事はある?目指したいものは?」


    ことり「それは……特にない、かも」


    ことりママ「だったら短冊に書かなきゃいけないのは1つしかないじゃない、あなたのワガママよ」


    ことり「ワガママ…?」



    ことりママ「ええ、ワガママ。
    こうじゃないと嫌だ!って駄々をこねちゃいたいぐらいのワガママ」


    ことり「…」



    それって…



    ことりママ「それぐらいあなたの中に1つぐらいあるでしょう?
    ほら、自分に聞いてごらんなさい?」


    ことり「私は…」



    私が嫌なことって何だろう?


    こうじゃないと嫌だって思うことって、何だろう?


    自分に問いかけてみる。


    …。


    ………。


    …………………………。


    …うん、それは嫌だね。



    ホントだ、こんなに簡単な事だったんだ。


    穂乃果ちゃんの言った通りだね…


    答えは自分が最初から分かってた。



    ことり「……ありがとうお母さん、見えた気がする」


    ことりママ「そう?それならよかったわ」



    お母さんはまた事務作業を始めました。


    私は部屋へ戻ります。


    机の上にある白い短冊に文字を記すために。



    ことり「…えーっと………」



    私が "こうじゃなきゃ嫌だ!" って思うことは。


    私のお願い事(ワガママ)は───。


  13. 13 : : 2017/07/10(月) 23:17:05









  14. 14 : : 2017/07/10(月) 23:29:50


    穂乃果「ことりちゃん、笹の葉に短冊結んできたんだって」


    海未「そうらしいですね…
    私もことりと一緒に結びに行こうと短冊を持っておいたのですが…」


    穂乃果「何書いたの?って聞いても "ナイショ♡" って返されちゃったし…」



    私と海未ちゃんは今、笹の葉に短冊を結びに昇降口へと向かってます。


    本当はことりちゃんと3人で来るつもりだったんだけど、ことりちゃん先に結んできたみたいで…


    どうしたのかな?お願い事の内容が恥ずかしいのかな?


    なんてことを海未ちゃんと話しながら歩いていると、笹の葉が飾ってある場所に到着。



    穂乃果「ほぇ〜…改めて見ると大きいねぇ…」


    海未「そうですね…
    それに、笹の葉にこんなにもたくさんの短冊が結ばれています」


    穂乃果「うん、たくさんあるね
    …すっごく嬉しいね」


    海未「ふふっ、そうですね」



    少し泣きそうになるのを堪えながら、どの辺りに短冊を結ぼうかを考える。


    穂乃果「あ、この辺りとかどう?
    私たちでも結べる高さだし、1枚しか結ばれてないし」


    海未「えぇいいですね、ではそこにしましょうか
    ことりを待たせちゃってますし」


    穂乃果「そうだね………って」



    あれ?この短冊…



    穂乃果「………ふふふ、ねえねえ海未ちゃん」


    海未「はい?どうしましたか?」


    穂乃果「ほら、この白い短冊」


    海未「これは……」



    2人でクスクスと笑いながら、白い短冊の両隣に短冊を結ぶ。


    私が書いたオレンジの短冊が右隣、海未ちゃんが書いた青の短冊が左隣。


    3つ並んだ短冊のお願い事は、名前が違うだけで内容は全くおんなじで。



    穂乃果「やっぱり考えてることは同じ、だね」


    海未「そうですね…
    …でも、その事が今はとても嬉しいです」



    結び終えて、急いでことりちゃんの元へと向かう。


    ぎゅーって抱きしめるために。





    お星様。


    私たちのお願い事、叶えてくれますか?



    どうか、どうかずっと。




    ずっと3人で一緒にいられますように。



  15. 15 : : 2017/07/10(月) 23:30:03



    おわり
  16. 16 : : 2017/07/10(月) 23:31:08


    おわり、です!
    皆さんは短冊にどんなお願い事を記しましたか?
    自分は『単位くれ』です。

    ここまで読んでくださってありがとうございました!また近々違うカテゴリでお会いしましょう!
  17. 17 : : 2020/10/26(月) 23:04:17
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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donguri

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