この作品は執筆を終了しています。
願いの向こう
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- 1 : 2017/07/06(木) 00:23:33 :
- こんにちは!こんばんは!初めての方ははじめまして!刹那と申します!
今回はサシャスキーさんと合作した「カガミノムコウ」の分岐ルート刹那編をお送りします
リンクはこちらです→http://www.ssnote.net/archives/54259
二つの結末を用意してそれぞれで書くというやり方で合作をしております
果たしてこちらはハッピーエンドなのかバッドエンドなのか......
楽しみながら読んでもらえると幸いです!
それではよろしくお願いします!
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- 2 : 2017/07/06(木) 22:32:08 :
- 二ヶ月後
私はここ数日かなりの頻度で代わってもらうようになっていた
理由は簡単
何回やっても上手くいかないのだ
何をやっても''私''ダメ出しされる
アドバイスをもらっても上手く実行に移す事は出来ない
何回入れ替わってもわからない
そのうち長期での観察が日常化してきたのだった
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- 3 : 2017/07/13(木) 19:04:52 :
- 「それじゃあダメだって!!」
毎度の如く反省会でのダメ出し
日常化してきているこの光景
理想の私を鏡から見ているはずなのに
一向によくならないと''私''は言う
サシャ「でも...これ以上どうすればいいのかわからないのよ!」
全て直してるはずだ
敬語も標準語で喋るようにして
食欲も抑えてる
振る舞いも気をつけてるのに
これ以上何をやればいいのか
「私がまた一週間くらい代わってあげるからそれ見て気づきなよ!!」
最近''私''はアドバイスをくれなくなった
曰く自分で気づかないと直らないから
気づくまでお手本を見せるのだそうだ
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- 4 : 2017/07/13(木) 19:21:10 :
- 鏡の世界での一週間
食べ物は倉庫にいくらでもあるから気にならない
唯一心細いのは周りに誰もいないことか
一日一日が過ぎていく
ただ外から眺めることしか出来ない一週間
例え元の世界に戻ってもまたダメ出しをされるのだろう
どうすればいいのか......
いっそ聞いてしまえばいいんじゃないか?
いつも間近で私と"私"を見ている人に
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- 5 : 2017/07/13(木) 19:55:14 :
- 一週間後
サシャ「ユミル!クリスタ!」
私は訓練後の二人を呼び止めた
ユミル「あ"?」
クリスタ「どうしたの?」
サシャ「私の悪い所とか直して欲しいところとかない?」
代わって初日
ここで聞いて直していけばもう大丈夫なんじゃないか?
そんな期待を抱いて
ユミル「全部だろ」
クリスタ「ちょっとユミル!そんな事ないよサシャ!」
いつも通りの光景
ユミルが酷いことを言ってクリスタがカバーする
二人だけの世界で完結しているこの光景
私が入る要素はない
サシャ「わかった。もういいよ」
私はその場を走り去った
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- 6 : 2017/07/16(日) 14:33:54 :
- 着いたのは自習室
まだ時間には圧倒的に早い
でも初めての日と同じように鏡の前に立つ
結局この世界のどこにも私の居場所はない
周りと仲良くなろうと自分を変えてきたのに
それでも世界は私を拒む
知らん振りをされ
傷つき
独り孤独にこの場所に来る
この繰り返し......
だから何を直してもダメ出しをされるのだろう
元々居場所がないこの世界に
私の居場所を創ろうとしても
そんな事が出来るはずがない
今までやってきたことは全て無意味だったのだろう
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- 7 : 2017/07/16(日) 14:40:54 :
- 「理解した?」
鏡の向こうからの声
まだ時間には早いはずなのに
"彼女"はそこに立っていた
「あなたの居場所、それはもうない」
微笑みながら呟く"彼女"
それは最早"私"ではなく
別の誰かのようで......
「あなたは頑張ったわ......それでもダメなのは世界が悪いから」
サシャ「この世界が......」
「もう苦しまなくてもいいのよ......私が代わってあげるから」
全ての苦しみを
全ての孤独を
全ての悲しみを
「私に任せて、あなた一人の世界にいなさい」
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- 8 : 2017/07/16(日) 14:55:34 :
- 吸い寄せられるように私は鏡の前へ行く
額を近づけ
コツンと鏡の彼女にぶつける
いつもの電流が流れ
私は鏡の向こうにいた
いつもの場所
落ち着く場所に
「さようなら......だね」
部屋を出ていく"彼女"
サシャ「ありがとう......今まで」
ふと振り返って
サシャ「!?」
ニヤリと下卑た笑いを浮かべて彼女は言った
「一生そこにいな......芋女」
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- 9 : 2017/07/16(日) 15:03:22 :
- サシャ「ちょっ――」
呼び止めようとした私を無視して彼女は部屋を出る
追いかけるように私も部屋を出て鏡に沿って走る
一つわかったことがあった
"あれ"は
あの笑い方は
あのしゃべり方は
私のものじゃない
紛れもなく"彼女"の
私がよく知る彼女のものだ
だとするなら私は......!
クリスタ「あ、サシャ!!」
"彼女"が歩いている方向からクリスタがやってきた
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- 10 : 2017/07/16(日) 15:21:09 :
- 「クリスタ、どうした?」
私と代わっていた時の言葉遣いじゃない
紛れも無く彼女の
クリスタ「ううん、さっきの質問に返事できなかったから」
「あぁ別にいいさ」
クリスタ「でも、凄い悩んでたから......」
申し訳なさそうに俯くクリスタ
私は......
こんなに......?
「じゃあまぁ......どこを直せばいいと思う?」
クリスタ「うん、あのね。私はサシャは今のサシャのままでいいと思うんだ」
出された答えは明瞭で
クリスタ「今のサシャが私は好きだし」
とてつもなく重かった
クリスタ「無理して直すようなところはないよ」
サシャ「クリスタ......」
私はこんなにも気にされていた
この世界には
私の居場所はちゃんとあった......
私は......
「クリスタ!」
彼女はクリスタをがっちりと抱きしめる
「やっと......やっと......帰ってこれた」
そう呟く彼女
対称的にクリスタは慌てている
クリスタ「ど、どうしたの!?大丈夫?」
その時だった
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- 11 : 2017/07/16(日) 15:41:47 :
- ユミル「おい、芋女」
クリスタの背後から彼女へ声が掛かる
ユミル「てめぇ......私のクリスタから離れろ」
「......断る」
クリスタ「え?」
一拍置いた彼女のセリフにユミルは目を少し見開いた
ユミル「......なるほどね。抜け出してきたのか」
何かを理解したのかユミルがクククと笑い出す
「てめぇに好き勝手はさせねぇ」
ぞわりとした殺気を纏った言葉
"それ"は
もう"私"ではなくなっていた
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- 12 : 2017/07/16(日) 23:09:40 :
- サシャ「......」
あの後、教官が来てあの場は解決した
ユミルと"サシャ"
二人の争いも一旦は休戦のようだ
手鏡で部屋の様子を除くが
"彼女"はいつも通り寝ている
サシャ・ブラウスとして
でも......
その中身は違う
あれは――
その時だった
"彼女"の机の上に
一冊の手帳が置いてあった
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- 13 : 2017/07/16(日) 23:15:11 :
"ここでは一人しかいないようだから日記をつけてみようと思う"
それはそんな書き出しで始まっていた
"噂は本当だった。私は今鏡の中にいる。周りには誰もいない"
"鏡だけで向こうの世界を覗けるらしい。これが本当なら私は四六時中クリスタを見ていることが出来る"
"代わりに鏡の私は私の存在が欲しいとか言っていたがそんなもんくれてやる。クリスタを見ていられれば私はもうどうなってもいいんだ"
"いや、違う。私は......"
"私は......クリスタを......近くで見ていたかったんだ。話したり触れたりできるほど近くに"
"ここから抜け出してクリスタに会いたい"
"抜け出す方法がない。どうやっても、なにをやっても無駄だ"
"いや......一つだけ方法がある"
"私が......"
"私が誰かの理想になればいいんだ"
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- 14 : 2017/07/16(日) 23:23:50 :
- それは......
自分を捨てた少女の日記だった
鏡の中は恐ろしい程に孤独で
日記は彼女の孤独を淡々と物語っていた
誰かの理想になる
その理屈はわからないが
今私に成り代わっているのは......
本物のユミル
そして今まで私たちといたユミルが
おそらく前まで鏡に閉じ込められていた人なんだろう
あるいはこの環境の元凶か
まぁどちらでもいい
日記には一人で鏡の世界を抜け出そうとするユミルの努力があったが
いずれも失敗
つまりここから出る方法はたった一つ
誰かの理想になって
入れ替わること......
サシャ「ふふふ......」
自然と笑いがこみ上げてきた
サシャ「はははは......ははは」
今まで理想の私になろうとしてたのに
これからは他人の理想を目指さないといけないなんて
サシャ「あっははははは!!」
私は......
私は......
もう"私"ではない
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- 15 : 2017/07/16(日) 23:33:16 :
ギィ
午前二時四十五分
自習室の扉が開き
一人の人物が入ってきた
その人物は鏡の前にひざまづき
祈るようなポーズをとる
「どうか......二人を返してください」
声の主は
クリスタ・レンズ
クリスタ「ユミルと......サシャを」
クリスタ「立体機動の訓練中に二人で空中衝突事故で死んじゃうなんて......」
頬を伝う涙が月明かりに照らされて華麗に光る
クリスタ「お願いします......」
敬虔に祈る姿は......私が私であった頃なら女神だと感じていたのだろう
「その願い叶えてあげるよ」
自分の姿を彼女の姿と同じにして彼女の前に姿を見せる
死者を生き返らせる
そんな事......普通なら出来るわけがない
でもここでは違う
叶わない願いなんてない
だってここは
理想を写す鏡の世界なんだから
fin
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- 16 : 2017/07/16(日) 23:38:37 :
- 以上で「願いの向こう」終了です
bad end編いかがだったでしょうか?
今までサシャに成り代わってた偽サシャは実は本物のユミルだった
そして今度はサシャが偽物のクリスタとしてその存在を乗っ取ろうとするという無限ループな、そして救われないエンドになりました
今回二回目の合作でしたが、楽しく書くことが出来て本当によかった!
相棒のサシャスキーさん本当にありがとうございました!
そして重ねて、ここまで読んでくれた読者の皆様本当にありがとうございました!
他にもいろいろ作品を書いてるので読んで頂けると幸いです!
それではまた別の作品で!
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- 17 : 2017/07/16(日) 23:39:46 :
- これは悪循環に陥ったって事でいいのかな?
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- 18 : 2017/07/16(日) 23:40:09 :
- と、レスしたらもう答えが出てた。
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- 19 : 2017/07/16(日) 23:40:46 :
- 乙です
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