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抜いた剣を振り下ろすまで

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  1. 1 : : 2017/06/02(金) 23:01:23
    こんにちは!こんばんは!初めての方ははじめまして!刹那と申します!

    今回はハンネスさんが主人公のss
    原作展開に沿ってハンネスさん視点で進撃の世界を描いていきます!
    コメントやスターなど非常に励みになるので気が向いた方は是非よろしくお願いします!

    それではお楽しみください!
  2. 2 : : 2017/06/02(金) 23:21:06













    轟音


    そして飛び散る岩石の塊


    それは巨人の領域と人類の領域を隔てる唯一の境界


    それが破壊されたのだ


    壁よりも高い巨人に




    その破片はシガンシナの街に壊滅的なダメージを与える


    それは......俺の恩人の家も例外ではなかった


    アルミンに話を聞き我武者羅に向かった家の先で見たものは


    母親を助け出そうとする子供たちと


    迫り来る巨人だった


    「子供たちを連れて......逃げて!!」


    「お願い!!」


    その言葉に


    俺は......


    決めたはずだった


    恩返しをすると


    願ったはずだった


    全員を助けたいと


    だが......












    抜いた(つるぎ)を振り下ろすことは出来なかった


























    『抜いた剣を振り下ろすまで』





  3. 3 : : 2017/06/03(土) 00:21:48
    うおおおおおお!!!刹那さあああああん!!!
    期待!!!
  4. 4 : : 2017/06/03(土) 22:56:13
    >>3
    ありがとうございます!
  5. 5 : : 2017/06/03(土) 23:05:26













    俺は一人で頭を抱えていた


    ここ一週間、''事件''の後始末でろくに眠れもせず


    寝ても悪夢にうなされる


    シガンシナを追われウォールマリアの領土も失った


    その避難民の誘導が目下の仕事だ


    だが連日の作業、連日の悪夢で疲れはとうにピークを過ぎている


    悪夢の内容はいつも変わらない


    俺が......逃げ出したあの場面


    記憶を確かめるかのように何度も何度も生々しく再現される


    その度に叫んでしまう


    悲しいというより


    悔しいというより


    ただただ自分という存在が気に入らない


    子供と理屈は一緒だ


    気に入らない


    でも自分では何も変えられない


    だから泣き叫ぶ


    どうして俺なんかが生き残っているのだと


    その自分の声で目が覚めるのだ
  6. 6 : : 2017/06/03(土) 23:44:22
    頭では理解出来ている


    自身が母親を喪った少年に向かって言った言葉


    俺には勇気がなかった


    あの巨人(化け物)に立ち向かう勇気が


    自信がなかった


    全員を助け出す自信が


    だから逃げた


    いや......


    本当はそれすらも言い訳なんだ


    助けられる可能性があったのに自分が逃げた事を正当化するための


    勇気がなかったから仕方がない


    力がなかったから仕方がない


    そうやって言い訳しても何も変えられない


    何も戻らないというのに


    あの時のエレンの...


    あの憎悪と苦渋に満ちた目が


    俺の頭から離れない


    普段からガキの戯言と小馬鹿にしていたツケは


    彼の母親の命によって(あがな)われた


    そしてもしかしたら彼の父親の命さえも.....


    ここ一週間俺は毎日エレンの様子を見に行っていたが


    その目は何一つ変わってない


    この世のすべてを憎むような目をしていた





    ただそれを欲している目


    その目の前に俺は顔を見せることは出来なかった


    もう一度あの目で責められたら


    俺はもう何も返すことは出来ないだろう


    そんな確信があったから
  7. 7 : : 2017/06/04(日) 21:09:39
    期待です
  8. 8 : : 2017/06/08(木) 21:33:46
    >>7
    ありがとうございます!
  9. 9 : : 2017/06/17(土) 22:53:51
    コツ……コツ……コツ……


    俺以外誰もいないはずの壁の上


    そこに足音が響く


    暗闇に目を向けると何やら手に瓶のようなものを持って歩いてくる影が見える


    「誰だ?」


    俺は立ち上がって剣を抜く体制で身構える


    ウォール教の関係者だろうか?


    壁が壊されたことで騒がしく活動しているのは知っている


    実際そうやって避難民の弱みにつけ入り着々と信者を増やそうとしているそうだ


    はたして――











    「職務ご苦労だの」


    のんびりした声と、飲んでいるのか少し酒気を帯びた息を吐きながらその人物は言った


    「ピ、ピクシス司令!」


    慌てて敬礼をする


    やばい......


    大変無礼な態度をとってしまった


    「よい、楽にしろ」


    手で腕を下ろすように促す


    それに従って俺は敬礼を解いた


    「巨人の様子はどうじゃ?」


    「今のところ動きはありません。壁より大きい巨人も今のところは」


    「そうか......」


    司令が蓋を開け瓶の中に入った酒を煽る


    「お前もどうじゃ?」


    「いえ......職務中ですので」


    「そうか......?報告によれば過去に職務中の飲酒は行われていたようじゃが?」


    誰が報告したんだよ......ったく


    これは遠まわしに責められてる......ってことなのか?


    「いえ......あの......。まぁ......こういう状況ですので自重を覚えるべきだと思いまして」


    「ほっほっほ......自重か......。わしも良く部下にそう言って酒を取り上げられとるわ」


    快活に笑う老人は話に聞く威厳のある司令のイメージとは似ても似つかぬ人物だった
  10. 10 : : 2017/06/17(土) 23:38:14
    「にしても巨人というのは本当に恐ろしいものじゃの」


    壁の下で動きを止めている巨人たちを見下ろしながらピクシスが呟く


    「ここ百年何事も無かったというのに......ある日いきなり壁を破壊していくのじゃからの…...」


    「.......はい」


    気の緩み


    そう言ってしまえば単純だろう


    慢心が起こした結果


    掛け替えのない命が一つ失われたというのに


    「超絶美人の巨人がいればわしは食べられても幸せなのじゃがの」


    「......」


    そうか


    ピクシス司令は''その瞬間''を見ていないのか


    誰かが目の前で食われるという


    その瞬間を


    でなければ


    こんな事を言えるはずがない


    ''食べられてもいい''だなんて


    「どうした?そんなに強く拳を握りしめて」


    司令の声に俺は我に返る


    掌を見ると爪痕がしっかりとついている


    「いえ......何も」


    「知り合いが食われたのか?」


    その言葉が胸を刺す


    手が震えるのを自分でも感じた


    「.......は...い」


    「そうか......辛い思いをしたの」


    「い......え.....全て私の力不足でした」


    あの場面が頭をよぎってやりきれない怒りが全身を駆け巡る











    「じゃが......その方がよかったのやもしれないな」












    鈍い音が辺りに響いた
  11. 11 : : 2017/06/18(日) 08:40:10
    ハンネスさんついにアニメでも……。かなりグッドタイミングでこのssを持ってきましたね!!期待です
  12. 12 : : 2017/06/18(日) 21:34:51
    >>11
    ありがとうございます!!
  13. 13 : : 2017/06/23(金) 22:47:11
    「死んだ方が良かった......そういったんですか!?」


    殴られ、尻餅をついている相手に俺は怒鳴り散らした


    「足を潰され動く事も出来ず、ただ巨人に捕まえられて抵抗もできず食われる......それが良かったことだって......あんた今そう言ったのか!!?」


    ありえない


    それは全てを拒否する言葉だった


    死者を悲しむ者への冒涜に等しい言動


    それが民を守る壁を管理するものの言葉かと




    「我々人類は......ウォールマリアを失った」


    倒れたまま司令はポツリと言う


    「これが何を意味するか......お主にわかるか?」
  14. 14 : : 2017/06/28(水) 23:01:05
    「......なんですか?」


    「人類の生活圏が大幅に縮小し、かつマリアの難民がローゼに流れ込んでおる......人口密度が増えるだけではないぞ」


    司令は立ち上がり脚についた埃を払う


    「食料がなくなる......それもかなりの早さでな」


    食料


    マリアでの食料生産率は格段に多い


    それがなくなり


    さらに消費も増える


    壁の中は確かに深刻な食糧難に見舞われるだろう
  15. 15 : : 2017/07/03(月) 15:31:03
    本当に続きが気になる…ハンネスさん主人公はあまり見たことがないけど、これすごく面白いです!

    期待です!
  16. 16 : : 2017/07/13(木) 19:56:06
    >>15
    ありがとうございます!
  17. 17 : : 2017/07/17(月) 19:54:16
    「増えすぎた人口......王政はどうすると思う?」


    続く問いかけ


    俺は答えることが出来ない


    その答えは


    あまりにも残酷で......


    「おそらく......人口の削減に乗り出すじゃろう。現王政に現状をどうにかする術はない」


    人口の削減


    それは意図的に口減らしをするということ


    その対象は――


    「マリアから逃げてきた住人を......適当な理由をつけて壁の外へ放り出すとかな」


    「そ、そんなの他の人が許すわけない!」


    あまりにも人道に反している


    「じゃが......他の人にも生活がかかっている。自らの生活が満ち足りている者しかそのような考えにたどり着かんじゃろうて」


    それがあまりにも利己的な人間の姿


    それがあまりにも残酷な世界の形

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stardust

刹那

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