ベルトルト「皆が泳げない」
-
- 1 : 2017/06/02(金) 16:40:33 :
- ベルトルト「川だ」
ライナー「川だなあ」
アニ「川だね」
ライナー「泳ぐか」ザブザブ
ベルトルト「うん」ザブザブ
アニ「仕方ないね」ザブザブ
エレン「う、うわあああっっ!??」
ベルトルト「!?」
-
- 2 : 2017/06/02(金) 16:56:38 :
- エレン「お前ら何してんだよ!!血迷ったか!?」ゾワッ
ライナー「何って…川
エレン「バカかよ!?」
ライナー「ちゃんと聞けよ」
アニ「なんかムカつくからアイツ黙らしてきて」チッ
ベルトルト「えっ!?」
アルミン「エ、エレン…置いてかないでぇ…」ゼエゼエ
ミカサ「班員を置いていくのは班長失格」
ベルトルト「あ、アルミンにミカサ」ザブン
ライナー「よう」ザブン
ミカサ「!!」
アルミン「なっ…!?」
-
- 3 : 2017/06/02(金) 17:02:03 :
- アルミン「おおおお落ち着くんだ、こういう時こそ冷静にっっ」
アニ「あんたがまず落ち着いて欲しいよ」
ベルトルト「舌噛みそう」
ミカサ「3人に何があったのかは知らない…けれど、その判断が間違っていることは確か」
ライナー「? こうする他ねえだろ」
エレン「だから早まんなって!!」
アニ「あいつら必死だね」コソッ
ベルトルト「も、もしかしてこの世界では泳ぐことがタブーなのかな…」コソコソ
-
- 4 : 2017/06/02(金) 17:08:17 :
- エレン「いいからこっちへ戻って来い!!速く!!」ブンブン
ライナー「随分遠くから呼びかけんなあ」
ベルトルト「説得力ないよね」
アニ「ね」
ライナー「…」
ライナー「そーれ」グイッ
エレン「!? もがっ!」ザブンッ
アルミン「エ、エレェェェェェンッッ!!!?」
ミカサ「!!!」
アニ「ちょっと、何やってんの」
ライナー「あんまりにも水に近寄らないんでな、つい」ハッハッハ
ベルトルト「エレンびっくりしちゃって腰の高さで溺れてるよ」
エレン「ガフッ、ゲホッ!」バシャバシャ
ライナー「ドジっ子だな」
ミカサ「許さない…許さない……」ギリッ
ベルトルト「あれ、なんかミカサの目ヤバくない?」
-
- 5 : 2017/06/02(金) 17:16:11 :
- ライナー「いつもの事だろ?」
ベルトルト「いやいつも以上にヤバくない?」
ミカサ「殺すッ…」ギロッ
ライナー「やべーわ」
アニ「見えないブレードが両手にあるね」
ベルトルト「手刀かな?」
ライナー「アルミンなんか号泣してるぞ」
アルミン「な、なんで…エレンを……!うえっ、ヒック」グスグス
ベルトルト「そんなに水嫌いなのかなあ、あの3人組」
アニ「殺意と絶望がわいてくるほど嫌いって尋常じゃないね」
ベルトルト「そういえばエレンは?」
ライナー「浮いてる」
エレン「」ブクブク
アルミン「助けてやれよぉ!!」
-
- 6 : 2017/06/02(金) 17:31:16 :
- エレン「はぁっ、はぁっ…げほっ!」グッタリ
アルミン「エレン、大丈夫…?」サスサス
ミカサ「待ってて…敵は排除してあげる…」スッ
アニ「ミカサが見えないブレードを持ってこっちに構えてるけど、どうする?」
ライナー「おいおい敵って誰のことだよ」
ベルトルト「ライナーじゃないかな」
ミカサ「エレンはあなた達の身投げを止めただけ。なのに…巻き込むなんて許せない…」
ライナー「お前ら死ぬ気だったのか?」
ベルトルト「そんな訳ないだろ!泳いで渡るつもりだったよ!」
ライナー「三途の川を?」
アニ「バカなこと言ってないで、誤解解いてきてよ」
-
- 7 : 2017/06/02(金) 18:09:11 :
- エレン「川を?」
アルミン「泳ごうとしてた?」
ミカサ「…バカ?」
ライナー「あ、すっげえ傷付いた」
アルミン「ご、ごめん。ミカサに悪気はないんだ…実際僕もちょっと思っちゃったし…」
ベルトルト「ひどくない?」
アニ「あのさ…この川幅だよ。深さもまあまああるし、水底を歩くのは難しいんじゃないかい」
ベルトルト「遠回りするのも賢明じゃないよね。山岳踏破訓練のゴール地点は目の前だもの」
ライナー「よく言った」
エレン「だからって死ぬこたないだろ…」
ライナー「死ににいったんじゃねーよ」
アニ「話聞いてないね」
-
- 8 : 2017/06/02(金) 21:10:22 :
- アルミン「だ、だけど川だよ?流されるかも…」
アニ「こんな下流で足取られてたら笑えるよ」
ベルトルト「逆にどうして泳がないんだ?」
エレン「巨人を倒すのに、泳ぎを習得する必要あるか…?」
ミカサ「無い」
ベルトルト「うっ」
ライナー「待った!作戦会議!」ピピーッ
ライナー「アニ、ベルトルト、ちょっとそこに集まれ」
ベルトルト「わかった」コソコソ
アニ「何」コソコソ
アルミン「あの3人、僕達から距離を取ってコソコソしだしたよ…」
エレン「怪しいな…」
ミカサ「…」
ミカサ「私達も対抗しよう」コソッ
アルミン「えっ」
エレン「ああ、俺達もコソコソするっきゃねえ」コソコソ
アルミン「えっ」
-
- 9 : 2017/06/02(金) 21:23:34 :
- ライナー「アルミンはともかく、ミカサまでカナヅチなのは異常だ」コソッ
ベルトルト「ここの人間は基本的に泳げないのかもね」コソコソ
アニ「まあ無理ないよ。海ないし」コソコソ
ライナー「よし、俺達はたまたま泳げる路線でいこう」
ベルトルト「うん」
アニ「ちょっとぐらい溺れる演技しといた方がいい?」
ライナー「今更だろ」
-
- 10 : 2017/06/03(土) 13:35:14 :
- ライナー「待たせたな」
アニ「…あいつらなんかコソコソしてるよ」
ベルトルト「怪しいね」
ライナー「怪しいな」
ライナー「おーいエレン」
ミカサ「」バシッ
ライナー「…」
ベルトルト「さっきの事件のせいでミカサの警戒度がMAXに」
アルミン「無理ないよ…」
ライナー「いいやあれは事故だ」
ミカサ「言い訳無用」
エレン「そう邪険にするなよ、ミカサ…俺もしばらくはライナーから距離置きたいけどさ」
ライナー「なんでだ」
-
- 11 : 2017/06/03(土) 13:48:20 :
- アニ「それより先を急がないと。こんなんじゃ日が暮れるよ」
アルミン「ま、待って!」
アニ「…」
アニ「嫌」ザブザブ
アルミン「あぁぁぁあ…!」
ライナー「待て待て、話ぐらいは聞いてやれ」ガシッ
アニ「チッ」
エレン「やっぱりライナーは頼りになるぜ!」
ライナー「ありがとな、物理的な距離感が気になるが」
ベルトルト「3mぐらい遠くにいるね」
ミカサ「フシュルルル…」
ベルトルト「何が怖いって、ミカサがその間で立ちはだかってること」
-
- 12 : 2017/06/03(土) 13:56:53 :
- ミカサ「あなた達は信用出来ない…けれど今、私達はある問題を抱えている」
ライナー「ほう」
ベルトルト「アルミンが足でまといとか?」
ライナー「辛辣過ぎてフォローできん」
アルミン「そ、そうじゃなくてぇ…!グスッ実際そうだけどぉ…っ」グスグス
アニ「あー泣かせた」
ベルトルト「本当に当たるとは思わなかった」
ミカサ「アルミンが可哀想」
エレン「謝れよベルトルト…」
ベルトルト「ご、ごめん。アルミン…」
エレン「なんだその態度は?謝る立場のくせに上から見下ろしてんじゃねーよ!」
ライナー「落ち着け、ベルトルトは常日頃から周りを見下しがちだろ」
ベルトルト「語弊を招くような言い方やめて」
アニ「見下されたくないなら…アルミンがでかくなるか、ベルトルトの身長を縮めるしかないけど」
ミカサ「後者で」
アニ「おっけ」
ベルトルト「僕に代わってgoサイン出さないで!」
-
- 13 : 2017/06/04(日) 22:26:38 :
- アルミン「僕のことはいいから…本題に戻ろう」グスン
エレン「平気かよアルミン…なんか涙もろくないか?」
アルミン「年かも…」グス
ライナー「して、その本題とやらは」
ミカサ「…私達は…」
ベルトルト「うん」
ミカサ「……泳げない」
エレン「くっ…!」ギリッ
アルミン「っへくしゅん!」
アニ「へえ」
ライナー「アルミン、風邪か?」
ベルトルト「ハンカチあるよ」スッ
アルミン「あ、ありがとう…」ズビ
エレン「おい、俺達の告白を聞けよ」
-
- 14 : 2017/06/04(日) 22:34:15 :
- ライナー「エレンお前、アルミンの体調を把握してやれよ。班長だろ」
エレン「あっわり…」
ベルトルト「ライナーのハンカチもあるよ」
アルミン「ううん、大丈夫…ベ……君のは後で洗って返すね」
ベルトルト「おい今名前忘れたよな」
ライナー「落ち着けベルトルト」
ミカサ「アルミンに全部持っていかれた」
アルミン「ご、ごめんね」
アニ「まあ、泳げないことはさっきから勘づいてたし…別段驚くこともないよ」
ミカサ「なら話は早い」
ミカサ「私達はこの川を渡れない…つまり」
ライナー「つまり?」
ミカサ「後は任せた」バーン!
アニ「ちょっと誰か通訳呼んできて」
ライナー「ここまで言語能力が低いとは…」
ベルトルト「座学に国語を取り入れるべきだと僕は強く思う」
-
- 15 : 2017/06/05(月) 12:08:39 :
- アルミン「ええと…ミカサは、力を貸して欲しいって言ったんだ」
アニ「他の班まで面倒見てられないよ。私はパス」
エレン「芋やるから!」
アニ「生憎私はサシャじゃないんでね」
ライナー「まあ待て。ここで見捨てたとなったら、悪評が立つぞ」
ベルトルト「もしかしたら成績に反映されるかもしれないし…」
アルミン「お願いっ」
アニ「はあ…」
ミカサ「分かった…私の命を差し出す。ので、2人は助けて欲しい」
アルミン「ミカサ…!」ウルッ
アニ「重いよ気遣いが」
ライナー「芋とミカサのハッピーセットだぞ。これで手を打たないか?」
アニ「分かった。分かったから…」
アニ「…所詮私は、いち班員だしね…班長であるライナーの指示に従うよ」
エレン「本当か!ありがとな、芋は帰ってから渡すよ」
アニ「だからいらないって」
ミカサ「アニ、私の命は
アニ「いらない」
-
- 16 : 2017/06/05(月) 12:39:42 :
- ライナー「めでたく全員の意向が揃ったところで、次の課題に移ろう」
ベルトルト「どうやってこの3人を向こう岸まで運ぶか、だね」
アニ「全員が背負わされてる背嚢のことも忘れないでよ」
ライナー「そうだな…人と荷物で分けて運ぶしかねえな」
エレン「それ効率悪くねえか?この川何往復することになるんだ?」
ミカサ「私達も、6人分の背嚢を運ばせるのは心苦しい」
アルミン「一つ20キロあるもんね…これ」ハハ…
ベルトルト「…」
ベルトルト「ぐるぐるボンバー…」
アニ「は?」
-
- 17 : 2017/06/05(月) 13:58:25 :
- ベルトルト「知らない?ぐるぐるボンバー」
アニ「ダサいことは分かるよ」
エレン「おっあれか!」
ライナー「なるほどな、ひょっとしたら上手くいくかもしれん」コソ
アルミン「ええ…僕はオススメしないなぁ」コソコソ
ミカサ「男子だけコソコソしてずるい」
アニ「そうだね」
ミカサ「アニ、私達も対抗しよう」
アニ「やだ」
-
- 18 : 2017/06/05(月) 14:31:19 :
- アルミン「ごめんね、2人とも。ぐるぐるボンバーっていうのは…」
エレン「聞いて驚け、男子の間で流行った禁断の遊びだ!主に度胸試しにやるんだよ」ワクワク
アニ「わあ」
ミカサ「びっくり」
エレン「…」
アルミン「驚くフリをしてくれただけでも2人は優しいと思うよ、エレン」
アニ「あのさ、何するのかいまいち分からないんだけど」
ライナー「具体的に言うと、相手の足を持ったままコマみてえにぐるぐる回る遊びだ」
アニ「は?」
エレン「ライナーは回すのうまかったよな、一番スピード出てたしよ!」
ライナー「まあな」フッ
アルミン「でも、アレ…誰かさんの手が滑ってコニーが兵舎の壁に突き刺さった事件をきっかけに、教官から全面禁止を言い渡されたよね…?」
ライナー「ドキッ」
ベルトルト「あの事件の犯人は君だったのか、ライナー…?」
アニ「バカじゃないの…」
ミカサ「壁に突き刺さったのがエレンでなくて良かった」
アニ「そこ?」
-
- 19 : 2017/06/05(月) 14:42:45 :
- ベルトルト「だけど今は不測の事態だ。それに回す対象は人間じゃないから…」
ミカサ「…背嚢をぐるぐるボンバーするということ?」
ライナー「そういうことだ」
アニ「あー頭痛くなってきた」
ミカサ「?背嚢を回しても何も起きない」
アルミン「勢いよく回った時の遠心力を利用して、向こう岸まで飛ばすんだよ…いつかのコニーのように」
エレン「コニーであれだけ飛んだんだからな、背嚢なんか余裕だぜ!」
ライナー「な、泳いで運ぶより効率的だろ?」
アニ「…うまくいくの?」
アルミン「一応予行演習挟んどこうよ」
エレン「おう!ミカサもやるだろ?」
ミカサ「エレンが言うなら、ぜひ」ムキッ
-
- 20 : 2017/06/19(月) 22:07:05 :
- エレン「…」
ライナー「結果は歴然だったな」
アニ「予想はついてたよ」
アルミン「じゃあ、上位3名に代表して投げてもらおうか。川幅よりも飛距離があったし…」
ライナー「ミカサ、俺、ベルトルトだな」
エレン「よし任せろ!」
ミカサ「エレン、落ち着いて。あなたの名前は呼ばれていない」
ベルトルト「エレンって確かビリだったよね…?」
エレン「ああん!?」
ベルトルト「!?」ビクッ
アニ「まさか、初心者の女子に適わないなんてね」
ミカサ「実力は十分にあった。ただ少し不器用だったために、それを活かしきれなかっただけ」
ライナー「おいおい、不器用が過ぎるぜ」
アルミン「全部真後ろへ飛ばすなんてね…」ハハ…
エレン「アルミンのアホ」
アルミン「ごめんて」
-
- 21 : 2017/06/20(火) 12:52:42 :
- ライナー「これで最後、っと」ブンッ
ミカサ「全ての背嚢をぐるぐるボンバーした」
ベルトルト「腰が痛い」
ライナー「変にひねったか?」
アルミン「おじいちゃん大丈夫?」
ライナー「誰がおじいちゃんだ」
アルミン「ごめん僕、おじいちゃんっ子だから…」
ベルトルト「関係ある…?」
エレン「3人とも、ありがとな。特にライナーとベルっ…ベルトルト!お前らのおかけで助かったぜ」
ベルトルト「ん〜〜〜??」ピキ
ライナー「落ち着け、今のは噛んだだけだ」
アニ「まだ感謝を述べるのは早いよ。最大の難関はここからさ」
-
- 22 : 2017/06/20(火) 16:34:49 :
- アルミン「そうだね…背嚢よりも僕達3人を運ぶことの方が遥かに難しいよ」
ライナー「投げりゃいんじゃねえかな」
アルミン「え」
ベルトルト「出た、脳筋」
エレン「おお、楽しそうだな!俺やりたい!」
アルミン「せめてエレンは投げられる側に回ってほしい」
ミカサ「私が投げよう」
エレン「嫌だ」
ミカサ「…えーん」
エレン「嘘泣きしてもダメだ」
アニ「待った…あんた達、本気なの?」
-
- 23 : 2017/06/20(火) 17:11:50 :
- ライナー「久しぶりに禁断の遊びに挑んだが、思いの外よく飛んだし、いける気がする」
アニ「とかいって、アンタさっき手を滑らせてたじゃないか」
ミカサ「手を滑らせることに定評のあるライナー」
ライナー「1度だけだ。案ずるな」
ベルトルト「コニーの件も含めたら2度だよ」
エレン「あれすごかったよな。コニーが、壁に対して直角に頭をめりこませてさ」
ミカサ「ちょっと見てみたい」
アルミン「確かジャンが面白がってスケッチ描いてたよ。頼んでみる?」
エレン「あいつそんな事してたのかよ…」
ミカサ「見損なった」
-
- 24 : 2017/06/20(火) 17:23:17 :
- ベルトルト「直角に刺さったコニー、それをスケッチするジャン…うーんシュール極まる」
アニ「さっきのライナーも十分シュールだったけどね。川に背嚢を投げてから、自分も後を追って飛び込んでさ」
ライナー「兵団の官物を紛失したとなったら営倉行きだからな」ポタポタ
ベルトルト「めちゃ水滴ってる」
アルミン「前触れもなく川に飛び込むのは心臓に悪いからやめて欲しいな…」
エレン「うえ、思い出してきた…鳥肌立つ…」
ミカサ「恐ろしい」
アニ「…(ここの人間は水攻めが有効かもしれない)」
-
- 25 : 2017/06/20(火) 17:47:49 :
- ベルトルト「…3人には酷かもしれないけれど、やっぱり泳いで渡るのが現実的じゃないかな」
アニ「だよね」
エレン「影薄いくせに、爆弾発言するなよ!?地雷かよ!」
ベルトルト「えっ」ビク
アルミン「ぼ、ぼぼぼ僕も川に浸かるのはちょっと…」ガタガタ
アニ「男のくせにみっともないこと言うんじゃないよ」
ミカサ「投げる案にワンチャン」
ベルトルト「…無理だと思う…ね、ライナー」
ライナー「ああ。ぶっちゃけ無理だ」
エレン「おい」
アルミン「もっと責任持って発言してよぉ!」
-
- 26 : 2017/06/20(火) 18:11:43 :
- ライナー「悪いが、腹を決めてくれ。泳げとは言わん」
アニ「せめて水に浮いてほしいね」
アルミン「ひえぇ…」ビクビク
ライナー「そう怯えるな。何かあったら助けてやるから」
アルミン「エレンを殺しかけた人がなんか言ってる…」
ミカサ「ライナーは私の仲間に触れないで欲しい」
ライナー「ええ…」
ベルトルト「ライナーの信頼が最低レベル」
エレン「こりゃジャンよりひでえな…」
アニ「業が深すぎるね」
ライナー「ひとまず…水に浮けるかどうか浅瀬で試してみよう。ベルトルトは川全体の水深を調べてきてくれ」
ベルトルト「おっけー」ザブザブ
エレン「…こういう時ばっかりは、あいつの身長が羨ましいよ」
アルミン「川底を歩いていけそうだもんね」
アニ「本当、足を折ってやりたいよ」
エレン「!?」
アルミン「!?」
-
- 27 : 2017/06/20(火) 19:50:19 :
- ベルトルト「ただいま」ザブザブ
ライナー「どうだ?」
ベルトルト「川中は2m近くあるね。流れが緩やかなのが幸いだ」
ライナー「うーむ…」
ライナー「泳ぐしかねえな」
ベルトルト「ね」
ベルトルト「そっちはどう?」
ライナー「俺は何故か邪険にされてな、代わりにアニが指導にあたってるが…」
アニ「なんで……浮けないの…?」ゾワッ
エレン「むしろなんで浮くんだ…?」
アルミン「あっぷあっぷ」バチャバチャ
ライナー「この通りだ」
ベルトルト「こういう事あんまり言いたくないけど、言っていい?」
ライナー「いいぞ」
ベルトルト「ひどいなあ」
ライナー「だろ。一番ひどいのがミカサだ」
ベルトルト「ミカサが?」
ミカサ「…」ザバーッ
ベルトルト「うわっ!水中から何かが飛び出してきた!」
ライナー「ミカサだ」
ミカサ「…何をしても沈む」
ベルトルト「…」
ライナー「事態は思ったより深刻みたいだ」
-
- 28 : 2017/06/21(水) 10:02:15 :
- アニ「だから、足を地面から離すんだよ」
エレン「そんな事したら溺れちゃうだろ!」チャプチャプ
アニ「…緩流の浅瀬で溺れるとか、本気?」
アルミン「体がふわっとする…怖い…」
アニ「それが浮力ってやつだよ」
ライナー「アニ、なるべく早く出発したいんだが…」
アニ「そいつは無理だね。もう、一夜をここで過ごす覚悟さ」
ベルトルト「ええ、ここで寝たくはないな…」
ライナー「寝る環境がどうであれ、お前の寝相は変わらんから安心しろ」
ベルトルト「安心出来ないよ。川が近くにあったら、寝てる間に入水しちゃうじゃないか」
ライナー「死活問題だな…」
ベルトルト「だろう?」
-
- 29 : 2017/10/02(月) 00:53:40 :
- アニ「…二人とも、朗報だよ」ザブザブ
ライナー「なんだ、野宿に良さそうな場所でも見つかったか」
ベルトルト「もうここで一夜を明かす気でいる適応能力の高い君が僕は嫌いじゃないよ」
ライナー「照れるぜ」
アニ「いいや、今晩もいつも通り兵舎のベッドで寝られるかもしれない」
ライナー「なに?」
アニ「エレンとアルミンが水に顔をつけられるようになった」
ベルトルト「幼児レベルじゃないか…」
ライナー「壁内人よちよちすぎるだろ」
アニ「それだけじゃないよ。何かに捕まっている状態なら浮けるぐらいにはなった」
ベルトルト「すごいのかすごくないのか分からないけどきっとすごいんだよね?」
アニ「さっきまでハイハイで歩いてた赤んぼが、目を離した隙に一輪車を乗り回してたぐらいにはすごい」
ライナー「目ェ離し過ぎじゃねえかな」
ベルトルト「ざっと10年ぐらいはよそ見してるよそれ」
-
- 30 : 2017/10/02(月) 01:05:24 :
- アニ「とにかく、頑張ったと思うよ。あいつらは」
ベルトルト「…聞くのが怖いんだけど、ミカサの方は…」
アニ「…」フルフル
ベルトルト「む、無言で首を振らないでくれ!アニだけが最後の希望なんだ!」
アニ「あんたらも挑戦したみたらわかるよ…」フ…
ライナー「ぶっちゃけ、俺たちはミカサの指導なんかしたくないんだ。頼む」
アニ「ちょっと聞き捨てならないねそれは」
ベルトルト「だ、だって、さっきからミカサの視線が刃物だし…」ブルブル
ライナー「グサグサ刺さって痛いよな」
アニ「私だって本当は指導なんかしたくないさ。今も呪詛のように殺すって呟き続けてて気味悪いしね」
ベルトルト「ライナー、今日命日じゃない?」
ライナー「今日がバースデーみたいな軽い口調で言うな」
アニ「ライナー」
ライナー「あん?」
アニ「ハピバ」
ライナー「だからバースデーじゃねえよ」
-
- 31 : 2017/10/02(月) 01:11:57 :
- ライナー「もうあれだ、ミカサは沈めとこう」
ベルトルト「やられる前にやる気なのか?ライナー」
アニ「どうせやられると思うけどね」
ベルトルト「今のうちにお墓たてとこうか」
アニ「ちょうどよさそうな石ならたくさんあるよ」
ベルトルト「迷うなあ」
ライナー「俺を殺す方向で話を進めるな」
ライナー「俺が言いたいのは、ミカサには川底を歩かせるってことだ」
ベルトルト「息もつかな…」
アニ「間髪いれずに呪詛を唱え続けてるあたり、肺活量はありそう」
ライナー「決まりだな」
ベルトルト「判断材料が雑すぎる」
ライナー「いやいけるいける」
ベルトルト「ええ、いける…?」
-
- 32 : 2017/10/02(月) 01:47:12 :
- ミカサ「いけた」ザバーッ
アニ「やるじゃん」ザブ
アニ「一応補助として横泳いでたけど、意味なかったね」フウ
ミカサ「いいえ、アニが隣にいたので安心して挑戦することができた。この恩は忘れない」
アニ「別に…大したことじゃないよ」
ミカサ「ただ…恩人の仲間でも、あの2人は許せない」ジロッ
アニ「…あいつらとは仲間とかそういうんじゃないから。好きにして」
ミカサ「嬉しい」
アニ「(こいつこっわ)」
アニ「…ん?2人?…なんでベルトルトまで?」
ミカサ「…なんとなく」
アニ「なんとなく」
ミカサ「ライナーとベルトルトはセットな気がした…ので」
アニ「あーわかる」
-
- 33 : 2017/10/02(月) 02:03:19 :
- アルミン「アニとミカサ、楽々向こう岸まで着いちゃったね…」
ベルトルト「嘘だ…」
エレン「あいつ筋肉めちゃくちゃついてるからなあ、沈み続けるぐらい訳ないよなー」
エレン「クソ、羨ましい…」
アルミン「え、羨ましいの?」
ベルトルト「沈むのはともかく、息がもつとは思わなかった…」
ライナー「参ったな、大方失敗するだろうと踏んでいたんだが」
ベルトルト「本当にやられる前にやる気だったんだな君は」
エレン「じゃあ次俺!!」バッ
アルミン「エレン?なんで助走をつける構えをしているの?まさか大胆に飛び込む気なの?」
ベルトルト「は、早まらないで」
エレン「はあ?ミカサがいけたんだから俺もいけるだろ」
アルミン「あの大変申し上げにくいんだけど、エレンとミカサには結構な実力差があって…」
エレン「じゃいってきまーす!」ダッ ザバーンッ
アルミン「エレーーーーーンッッ!!」
ライナー「こいつ生き急ぎ過ぎだろ」
アルミン「いいから助けてきて!!!!!」
-
- 34 : 2017/10/02(月) 20:52:24 :
- ライナー「助けてきた」ザバサバ
アニ「おつかれ」
エレン「ゲホッゲホゲホ…!」ガフッ
ミカサ「エレン!!」バッ
ライナー「もう、もがいて暴れるのなんの…三途の川が見えかけたぜ」
アニ「ここから見てたけど…エレンって馬鹿なの?」
ライナー「考査の結果を鑑みるに賢くはないな」
エレン「ぜえ…はあ…」ウップ
ミカサ「エレン……!ライナー、一体エレンに何をしたの」ギロッ
ライナー「いや助けてきたんだよ」
エレン「はあ、はあ……あれ?俺…向こう岸まで泳ぎきったのか?」ゼエゼエ
エレン「俺ってすげー…」フフ…
ライナー「ポジティブにも程があるな」ヤレヤレ
アニ「あんたがしてたことと言えば、水をがぶがぶ飲んで暴れてたぐらいだよ」
エレン「ああ…だから腹がダボダボなのか…」
ミカサ「…仕方ない。ここは私が人工呼吸をして、水を出してあげる…」スッ
エレン「は?なんでだよ」
アニ「人工呼吸する必要どこにもないから」
ライナー「腹を殴った方がよっぽどエレンの為になるぞ」ゴスッ
エレン「うぷっ」ピュー
ライナー「ほら」
ミカサ「!!」
アニ「やめてライナー、これ以上ミカサのヘイトをためるような真似しないで」
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