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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

スーパーダンガンロンパ2 未来編

    • Good
    • 12

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  1. 1 : : 2017/03/18(土) 21:02:24
    ダンガンロンパ2のネタバレ注意。
    最後まで見ていただけると嬉しいです。



    ٩( ᐛ )و
  2. 2 : : 2017/03/18(土) 21:04:00

    コロシアイ修学旅行が始まって3日目の夜













    俺の名前は日向創だ。希望ヶ峰学園に入学するはずだったが、訳あってジャバウォック島で殺し合いをさせられている。


    そして今、俺は何故か停電に巻き込まれている。






    -旧館の大広間-



    「うわっ、停電だよ!」


    「何も見えねーぞ!?」



    旧館は真っ暗で、戸惑うみんなの声だけが聞こえる。



    「おい、お前何をしている!やめろ!」


    「いてっ」



    すぐ近くで、誰かが怪我をした気がした。確かめようと動いた時、モノクマの声が大広間に響く。



    モノクマ「せっかく殺人計画を立ててくれた人には悪いんだけど、オマエラにはしばらく眠っててもらうよ!」



    プシュ-!



    日向「うわっ、何だ!?」



    真っ暗でよくわからないが、煙のようなものが大広間に広がった。
    そして、俺たちは眠ってしまった。



    モノクマ「うぷぷぷ……。次起きた時が、新しいコロシアイ修学旅行の幕開けだよ」
  3. 3 : : 2017/03/18(土) 21:07:29


    -ジャバウォック公園-


    日向「……ここは?」



    目が覚めると、まず辺りを見渡した。
    夜は明けていて、しかも公園に移動している。他のみんなはまだ寝ているみたいだ。



    十神「目が覚めたようだな、日向」


    日向「十神、起きてたのか!」


    十神「ああ。色々とこの状況に疑問はあるだろうが、まずは全員を叩き起こすぞ」



    十神の提案に従い、他の全員を起こした。その途中で俺はあるものに気づいた。
    自分の手首に取り付けられていた見覚えのない腕輪。何気ない気持ちでそれに触れてみると、赤く文字が浮かび上がった。




    --単独行動をする--




    日向(えっ、何だよこれ? 単独行動をしろってことか?)



    そう考えた俺は公園から出ようとすると…



    モノクマ「ちょっと待ったー!」
  4. 4 : : 2017/03/18(土) 21:10:03

    日向「うわっ! モノクマ!?」


    モノクマ「まだ死ぬのは早いよ! ルール説明すらしてないんだよ?」


    辺古山「おい、ルールとは何だ。そしてなぜ私たちは公園で眠っていたんだ」


    モノクマ「うん。全員起きたみたいだね。はい! それじゃあ発表します! コロシアイ修学旅行の新ルールを!」


    狛枝「新ルール?」


    モノクマ「ルールその1『タイムリミット』」


    モノクマ「腕に取り付けられたバングルに表示されるタイムリミットが来ると、オマエラには睡眠薬が注射されます」


    花村「眠らされるってこと!?」


    田中「この滅殺のブレスレッドから、そのようなものが流れ込んでくるというのか!」
  5. 5 : : 2017/03/18(土) 21:11:33
    期待!
  6. 6 : : 2017/03/18(土) 21:11:44

    モノクマ「ルールその2『襲撃者』」


    モノクマ「オマエラが眠らされるなか、襲撃者だけは眠らされません! 襲撃者は一度のタイムリミットで、他の生徒の誰か一人を殺します」


    モノクマ「つまり、裏切り者ってことだよ。そいつをなんとかしないと、オマエラに未来はないんだよ!」


    モノクマ「ま、襲撃者っぽい奴を選んで殺してみれば?」


    モノクマ「タイムリミットが来ても誰も死ななければ、ゲームクリアだよ」


    モノクマ「ちなみに、この襲撃者は立候補制にします! 襲撃者になりたい人は、この後、ボクを呼んで下さい」


    日向「は!?」


    モノクマ「襲撃者は1人だけ。早い者勝ちだよ!」


    狛枝「そ、そんな……。ボクらの中に、裏切る人間なんているはずがないよ!」


    西園寺「でも、この中には他にも、モノクマたちの仲間の裏切り者がいるんでしょ?」


    モノクマ「それと、襲撃者になった人は1人殺す度に、ご褒美として願いごとを叶えてあげるよ」


    左右田「お、おう……マジか」


    ソニア「左右田さん! 誘惑に負けてはダメですよ!」


    左右田「も、もちろん分かってますよソニアさん!」
  7. 7 : : 2017/03/18(土) 21:15:27
    >>5
    ありがとうございます。





    モノクマ「ルールその3『NG行動』」


    モノクマ「バングルをご覧あれ! オマエラには一つずつ、NGとなる行動が設定されています」


    モノクマ「それを行うと、バングルから致死量の毒が注射されます」


    日向(あ、危ない……。さっき1人で行動してたら……)





    周りを見渡すと、全員バングルを確認している。みんな驚いたり、狼狽えたりしている。



    モノクマ「あぁちなみに、襲撃者になった人はNG行動がなくなります! お得だよね、襲撃者ってお得だよね!」


    弐大「そんなんじゃあ、ワシらは釣られんぞ!」
  8. 8 : : 2017/03/18(土) 21:22:28

    モノミ「やいやいモノクマ! いきなりルール変更なんて、どういうつもりでちゅか!?」


    モノクマ「ルールその4『脱出カード』」


    モノミ「無視はやめてくだちゃい!」


    モノクマ「オマエラのなかに、脱出カードの所有者がいます」


    モノミ「……………」


    モノクマ「脱出カードを、2回目のタイムリミットのときに所有していた人には、もれなくこの島から、脱出する権利が与えられます!」


    モノミ「え? ホントに?」


    モノクマ「ただし、破いたり塗りつぶしたりしたら、脱出カードは効果を発揮しません。現在の所有者さんは気をつけてね!」


    九頭龍「へっ、そんなカードがあるとはなぁ…」


    終里「誰だ! そのカードを持ってる奴はよ!」


    モノミ「誰が持ってるんでちゅか!?」


    ソニア「みなさん、いったん落ち着いてください!」


    モノミ「わかりまちた!」


    左右田「お前元気だな……」


    モノクマ「ルールは以上です。ちなみに、修学旅行のルールがいくつか追加されてるので、見ておいてくださいね」


    モノクマ「それと、2つ目の島を解放したのでそちらもご確認を!」


    モノクマ「じゃ、ばいなら〜」


    モノミ「ま、待ちなちゃ〜い!」
  9. 9 : : 2017/03/18(土) 21:34:57
    期待しています!
  10. 10 : : 2017/03/18(土) 21:43:59
    >>9ありがとうございます。

    NG行動
    狛枝--?????--
    七海--???????????????--
    左右田--??????????????--
    ソニア--????????????????--
    十神--????--
    西園寺--???????--
    終里--?????--
    澪田--??????????????--
    花村--?????????--
    辺古山--??????????????--
    弐大--???????????--
    田中--??????????--
    罪木--?????????????????--
    九頭龍--??????--
    小泉--?????--
    日向--単独行動をする--

    ここまで?が多いと何の意味もないですね(笑)
  11. 15 : : 2017/03/19(日) 10:26:51

    終里「おい!待ちやがれ!」


    澪田「どっちも逃げちゃったっすよ!?」


    狛枝「こうしている間にも、タイムリミットは近づいてるんだよね?」


    十神「バングルによると…残り2時間だな」


    七海「そういえば、修学旅行のルールが追加されたらしいけど…」


    辺古山「一応確認してみるか」




    小泉「えーっと……ルールその12、”学級裁判に関するルールを全て無効化します”」


    罪木「”無効化”なんですかぁ?消せばいいだけなのに…」


    左右田「ルールを消せない理由でもあるんじゃねーか?」



    日向「ルールその13、”腕につけられたバングルを外すことを禁じます”」


    十神「チッ、これを外せないのは面倒だな…」


    花村「それより…これからどうするの?」


    田中「まずは新たに解放された地を探索すべきだろう」
  12. 16 : : 2017/03/19(日) 10:31:17

    九頭龍「そんなこと言って…襲撃者になるためにモノクマを呼ぶ気じゃねーだろうな!?」


    田中「な、なんだと貴様ッ!俺様を誰だと思っている!俺様があの程度の誘惑に負けるとでも?」


    九頭龍「テメーのことなんざ知らねーよ。不審者見たいな恰好しやがって……」


    日向「お前らちょっと落ち着けって!ひとまず…第2の島を調べるってことでいいな?」


    十神「そうだな。だが、もしかしたら第1の島と、この島にも変化があるかもしれない」


    終里「じゃあ、何人かで今まで行けた島も見てみっか!」



    こうして俺たちは新しい島を探索する班とこれまでの島の探索する班に分かれた。

    1番目の島を罪木と九頭龍と西園寺と終里

    中央の島を十神

    ドラッグストアを狛枝

    図書館を弐大と田中

    遺跡を左右田とソニア

    ダイナーを七海と澪田

    ビーチを小泉と辺古山

    ビーチハウスを俺と花村が担当することになった。
  13. 17 : : 2017/03/19(日) 10:34:29


    -ビーチハウス-


    日向「シャワールームは故障中か…」


    花村「ンフフフ、真っ先にシャワーをチェックするなんて、そんなに僕と入りたかったのかい?」


    日向「そ、そんなわけないだろ!」




    花村「………………」




    日向「…花村?」




    花村「……君は、凄いよね。自分の才能すらも覚えてないのに、あの”動機”で全く挫けていない………」



    日向「あの動機って…俺たちの記憶が奪われてるってやつか?」



    花村「うん……実は、僕の実家は定食屋でね」


    花村「僕が希望ヶ峰学園を卒業するまで、母が1人で切り盛りしてるんだ」



    花村「病気がちな母が、ずっと…僕を待っててくれてるんだ!」



    花村「そしたら、希望ヶ峰学園に入学して、もう何年も経ってるって言われて……」




    花村「だから、僕はすぐにでも…帰らなくちゃならないんだよ!お母ちゃんが待ってるから!」
  14. 18 : : 2017/03/19(日) 10:37:01

    日向「そうだったのか……」



    日向「でもさ、花村。お前の母さんはずっと待ってた大切な息子が人殺しになって帰ってきたら、どう思う?」



    花村「そ、それは………!」


    日向「悲しむはずだぞ!だから、人を殺してここから出るなんて間違ってる!」





    花村「……はは…そう、だよね…何でそんな簡単なことに、気づかなかったんだろう……」



    花村「僕は、お母ちゃんの悲しむ姿なんて見たくないよ……」




    花村「ありがとう、日向君」


    花村「ンフフ!じゃあ、日向君には特別に”トンカツのムニエル”を…って、これはNG行動に引っかかるのかな?」


    日向「NG行動?」


    花村「僕のNG行動は、”フランス料理を作る”事なんだ」



    --フランス料理を作る--

  15. 19 : : 2017/03/19(日) 10:41:23

    日向「なんか…簡単そうだな」


    花村「な、なにをぅ抜かしとるかぁ!僕にとっちゃぁ、致命的なNG行動っちゃがっ!」


    日向(え?訛った!?)


    日向「い、いや…俺のやつも結構厳しいぞ」



    --単独行動をする--



    花村「………………」



    花村「あ、これはなかなか難しいね」


    日向「ああ、しかもどれくらいで単独行動かもわからないんじゃ………」





    ピンポンパンポーン!








    モノクマ「えーと、希望ヶ峰学園修学旅行実行委員会が、お知らせします」







    モノクマ「はい!”襲撃者”出ましたよー!誰かが名乗り出ましたよー!」パチパチパチパチ






    モノクマ「という訳なので…探索中かと思いますが、襲撃者探しをすることをお勧めします!」


    ブツン!



  16. 20 : : 2017/03/19(日) 14:37:03



    日向「………………は?」


    花村「ね、ねぇ!日向君!今のってどういうこと!?」


    日向「お、俺らの中から、襲撃者に立候補したやつがいるって事……なのか?」

    バン!


    辺古山「おい、お前たち!今の放送を聞いたか!」


    日向「ああ、でも今のって…」


    辺古山「とりあえず、話をするのは全員集まってからにするぞ!小泉がもう他のメンバーを集めに行っている」


    辺古山「集合場所はこの島の遺跡だ。行くぞ!」



    -2番目の島 橋の前-

    モノミ「あ、どうもでちゅ」ボロボロ...


    日向「モノミ!?お前、こんなところで何してるんだよ」


    モノミ「日向君たちがこの島にやってきた後、ここでモノクマと決闘してたんでちゅよ」


    花村「結果は目に見えてるのに…良くやるよね……」


    モノミ「ひどいでちゅ!あちしだって皆さんの役に立ちたいんでちゅ!」


    日向「なぁ、モノクマとどれくらい闘っていたんだ?」


    モノミ「ううぅ…瞬殺でちゅよ……やられてからは”ずっとここに居まちた”」


    日向「やっぱりか…じゃあモノクマは、いつ呼び出されても出てこれたんだな」


    辺古山「それは、襲撃者はいつでもモノクマを呼び出せたということか?」


    日向「ああ、俺たちがこの島に来てから、あの放送の間までに、”誰か”が襲撃者に立候補したんだ!」


    花村「……………」
  17. 21 : : 2017/03/19(日) 14:43:57

    -遺跡-

    左右田「おい!襲撃者が出たってどういうことだよ!」


    田中「ククク…俺様と破壊神暗黒四天王の力があれば…襲撃者を見破ることなど容易い…………」


    田中「襲撃者は、この16人の中の誰かだッ!!」


    左右田「それ以外に誰がいるんだよ……」




    辺古山「遅れてすまない。モノミと話していてな……」


    ソニア「辺古山さんに日向さんに花村さん!」


    狛枝「別の島にいる十神クン終里さん九頭龍クン罪木さん西園寺さんと、呼びに行った小泉さん以外は揃ってるよ」


    日向「……………」





    花村がここに来る途中、俺だけに教えてくれた、昨日の停電の真実。


    狛枝凪斗………こいつが旧館の停電を引き起こし、会場にナイフまで仕込んでいたらしい。


    そして花村が、狛枝を殺そうと思ったことも話してくれた。


    狛枝の正体は”超高校級の超高校級マニア”を自称し、”強い希望”を求めて殺人を起こそうとする、危険人物だったんだ。
  18. 22 : : 2017/03/19(日) 14:48:42

    弐大「しかし、未だに信じられんな………ワシらの中に裏切り者がいるなど…」




    小泉「みんな大変だよ!!」




    澪田「どうしたんすか?そんなに慌てて」




    小泉「日寄子ちゃんが………日寄子ちゃんが…………」







    小泉「殺されてたの!!」




    左右田「はああああああああああああ!?」


    七海「小泉さん、場所は!?」


    小泉「ホテルのレストランだよ!」


    花村「よりにもよって僕のホームグラウンドで!?」アビリルラビーン!?



    俺たちは、西園寺が殺されていたというレストランに急いだ。


    襲撃者が出ただけでなく、殺人まで起きた。今の状況は、控えめに言って最悪だ。


    そして、辿り着いたレストランでは、やはり、西園寺が血溜まりの中で死んでいた。

  19. 23 : : 2017/03/19(日) 15:03:13

    -レストラン-

    狛枝「そ、そんな………西園寺さん…」


    ソニア「ううっ…誰が、こんな酷いことを………」



    九頭龍「襲撃者に決まってんだろ!」



    左右田「は、何でだよ?」


    九頭龍「そいつのNG行動は”襲撃者に触れる”事だったんだ!つまり、そいつはNG行動で殺されたんだよ……」


    日向「それは違うぞ!」


    日向「西園寺の死因は、NG行動の毒じゃなくて、なんか、もっと血が出る殺され方だと思う」



    狛枝「僕もそう思うよ……レストランの端に、こんなものが置いてあったんだ…」



    そう言って狛枝が取り出した物は……血で汚れた包丁だった。
  20. 24 : : 2017/03/19(日) 15:08:28

    弐大「な、なんじゃあそりゃあああ!!!」


    狛枝「西園寺さんを殺した凶器じゃないかな?ほら、血がついてるし……」ベットリ


    九頭龍「じゃあ、こいつはNG行動で死んだんじゃなくて……」



    九頭龍「その包丁で、誰かにぶっ殺されたってことか!?」



    終里「つーか、襲撃者の仕業じゃねーのか?」


    十神「襲撃者が殺すのはタイムリミット後だぞ」


    七海「西園寺さんを、最初に見つけた人って誰?」


    罪木「わ、私です。小泉さんに遺跡に集まるように言われて、ホテルを調べてる西園寺さんを呼びに来たら、もう…この状態で………」グスッ



    花村「うーん……なんか、情報が少なすぎるね…」


    澪田「じゃあ、証拠を探しに行ってくるっすよ!」


    小泉「私も行く!日寄子ちゃんを殺したヤツを絶対に見つけ出してやる!」


    田中「俺様も力を貸してやろう!行け!破壊神……」





    田中「……………ククク、命拾いしたな…」


    田中「俺様は、”ハムスターから離れる”と毒属性のダメージを負うのだったな…」


    田中「貴様らも、俺様のNG行動に引っかからぬよう、注意するがいい!」


    左右田「俺らが注意する必要あんのか……?」
  21. 25 : : 2017/03/19(日) 15:12:32

    狛枝「田中クンはともかく、この中には他人の協力がないとNG行動に引っ掛かる人もいると思うんだよね」


    日向「ああ、そうだ!俺のNG行動は、”単独行動をする”ことなんだ」


    ソニア「単独行動?どのくらいなら離れられるのですか?」


    モノクマ「お答えしましょう!日向クンの半径10メートル以内に誰かいれば、OKです」




    弐大「なら、ワシもお前さんたちに配慮してもらわねばならんな…」


    弐大「ワシのNG行動は、”参加者の暴力を目撃する”ことじゃああ!」



    --参加者の暴力を目撃する--



    左右田「だとよ。終里、九頭龍、気をつけろよ」ケケッ


    終里「ああ?何を気をつけるんだ?」


    左右田「やべぇぞコイツ理解してねぇ!!」


    九頭龍「おい左右田……俺に喧嘩売るとはいい度胸してんじゃねーか……」


    九頭龍「表出ろやコラァ!!」


    左右田「うわっ!すいませんでしたー!!」


    辺古山「落ち着け、九頭龍」




    ソニア「お聞きください!わたくしのNG行動は、”5人続けて同性の参加者が死亡する”ことです!」


    --5人続けて同性の参加者が死亡する--


    左右田「おい!女子の連中はソニアさんを死なせないように頑張れよ!」



    ついでに花村もみんなにNG行動を伝えた後、俺たちは別れて西園寺殺しの証拠を探し始めた。



    ---タイムリミットまであと10分---
  22. 26 : : 2017/03/19(日) 15:49:46

    -コテージ前-

    日向「大丈夫か?小泉」


    小泉「うん…なんとか……」


    小泉「日寄子ちゃん…辛かっただろうな………」


    日向「あいつの無念を晴らすためにも、犯人を見つけないとな!」


    小泉「うん。そうだね」



    日向「さて、じゃあお邪魔しまーす」


    小泉「ちょっと日向!何女子の部屋に入ろうとしてんのよ!」


    日向「えっ、いや…だってここに何かあるかもしれないだろ…?」

    日向(冷静に考えると……何やってんだよ俺!)


    小泉「あんたってすごい度胸してるね……あたしが見てくるからここで待ってて!」


    小泉「って、そうだった。あんたは単独行動できないんだっけ……もう仕方ないから入っていいよ…」


    日向「なんか…すみません」


    -西園寺日寄子のコテージ-

    日向「ん?何だコレ?」


    小泉「何か見つけたの?」


    日向「手紙だ………しかも、西園寺宛の!」


    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    西園寺へ

    ホテルのレストランに来てください

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー


    日向「なんか、変な手紙だな」


    小泉「誰が書いたか分からないようにしたんだろうね」



    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!


    日向「何だこの音!?」


    小泉「タイムリミット?もう来たの!?」


    日向「そういえば、俺らの中に襲撃者がいるんだったな……」


    小泉「ああ、もう!全然話し合えてないじゃん!!」


    日向「襲撃者なんていない。そう信じよう…」ウトウト


    小泉「そう、だね…」ウトウト


    襲撃者はいない。そう願って、俺は眠りについた。

    女の子の部屋で、別の女の子と一緒に寝るという奇妙な状況だが、そんなことに構ってられるほどの余裕は、俺には無かった。

    この島には、恐ろしい殺人鬼が潜んでいるかもしれないのだから。
  23. 27 : : 2017/03/19(日) 15:56:01

    モノクマ「おまたせ〜」




    モノクマ「襲撃者さん、起きてる?」




    モノクマ「お待ちかねの、襲撃タイムだよ!」




    モノクマ「襲撃者は、一度の襲撃タイムにつき、1人殺せます」




    モノクマ「さぁ、今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」





    残り生存者数

    15人
  24. 28 : : 2017/03/19(日) 16:16:31

    ----タイムリミット直前----


    -ロビー-


    俺の名前は左右田和一。超高校級のメカニックだ!希望ヶ峰学園に入学するはずが、訳あって南の島で殺し合いをさせられている。


    苦しい生活の中で、俺は一握りの希望を見出した!


    超高校級の王女 ソニアさんだ!!

    容姿端麗頭脳明晰、非の打ち所がない素晴らしいお方と共同生活できるなんて………




    十神「………………」

    弐大「………………」



    んで、俺は西園寺殺害事件の捜査を、この2人と一緒に行っている。



    何でこの2人なんだよ!!確かに2人とも悪い奴じゃないけどよぉ…






    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!




    左右田「ぎにゃあああああああ!」


    弐大「何じゃ!これは!?」


    十神「喚くな。タイムリミットが来た、という事だろう」



    左右田「マジか!?」ダダダッ


    タイムリミットが来たと聞いて、俺は慌てて室内から飛び出した。


    十神「おい、左右田!どこに行く気だ!」


    左右田「便所!」


    弐大「なるほどな。十神よ…止めてやるな……漢には行かなければならない時もある……」ゴゴゴゴゴ


    十神「それが今という事か……」




    -プールサイド-

    左右田「ふぅ…危ねぇ危ねぇ。死ぬところだったぜ」



    左右田「だ、大丈夫だよな…?誰も死なねぇよな?」



    左右田「…………もう、覚悟決めるしかねぇな……」ウトウト



    睡眠薬が効いてきた。ヤバイ………怖い。死ぬかもしれないんだよな?クソッ…これなら前のルールの方が断然良かったじゃねぇか!

    怯えながらも、俺は眠らされた。

  25. 29 : : 2017/03/19(日) 20:59:12

    左右田「んん………」


    左右田「は!生きてる!!」


    自分が生きている事に安心できたのも束の間だった。

    俺の鼻はある違和感を嗅ぎ取った。


    左右田(ん、鉄の匂いか?)



    狛枝「あ、左右田クン?」


    左右田「うおっ、狛枝ァ!?ビビらせんなよ!」


    狛枝「ゴメン……ボクなんかが驚かせちゃったね……」


    左右田「それより、何か変な匂いしねーか?鉄のような…」


    狛枝「ああ、これって、西園寺さんの血の匂いだと思ってたけど、何だろうね?」



    その後、少し狛枝と会話した。どうやら起きてから腕が痛むらしい。昨日の停電のときにどっかぶつけたとか。


    そして、何気なくホテルのロビーに入って、




    俺は本日2体目の死体を見つけた。







    ゲーム機の近くで、モノクマ柄のナイフが心臓部分に刺さって息絶えている………








    超高校級のマネージャー 弐大猫丸の死体を。






    左右田「う、うわああああああああああ!!」


    俺は確信した。


    狛枝「そ、そんな…弐大クン……!」


    この島には、襲撃者が潜んでいる。


    狛枝「ねぇ、起きて!十神クン!」ユサユサ


    そして、心に決めた。

    襲撃者から、ソニアさんを守り抜くと。
  26. 30 : : 2017/03/19(日) 22:07:26


    俺は目覚めてすぐ、左右田の悲鳴を聞いた。


    小泉もそれで目が覚めたらしく、急いで声の元に向かった。



    -ロビー-

    小泉「嘘でしょ………弐大…」


    ソニア「そんな…本当に、襲撃者がいるなんて……」


    九頭龍「へっ、弐大と一緒にロビーで寝てたのは、十神だけなんだろ………」


    十神「俺を疑っているというのなら、義務教育からやり直した方がいい。タイムリミット後は全員寝ているんだ。何処にいたかなど問題では無い」


    花村「うーん…じゃあ、襲撃者については、手掛かり無しかぁ」


    七海「モノクマは呼べばいつでも出てくるから、10秒もあれば襲撃者になるって契約ができる……はずだよ」


    ソニア「では、アリバイでは絞れないのですね…………」



    日向「襲撃者の方は難しくても、西園寺殺しの方なら、推理はできるぞ!」


    日向「西園寺が”脱出カードの所有者”で、それに気づいた誰かが、西園寺をレストランに呼び出して奪ったとは考えられないか?」


    小泉「日寄子ちゃんをレストランに呼び出すのに、あの手紙を使ったわけね!」


    七海「あの手紙?」


    日向「これだよ!」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    西園寺へ

    ホテルのレストランに来てください

    ーーーーーーーーーーーーーーーーー

    田中「そのときに殺したという訳か………卑劣な狂人め……」


    澪田「でも…脱出カード自体、そもそもあるんすかね?」
  27. 31 : : 2017/03/19(日) 22:13:55

    日向「えっ、どういう事だ?」


    狛枝「脱出カードは、これまで島からの脱出を目指してきたボクらにとっては喉から手が出るほど欲しい物だよね。なら、その存在を示すだけで争いの火種になるはずだよ」


    小泉「じゃあ、本当は脱出カードなんてないって事?」


    辺古山「まだ分からないな。全部推測でしかない」




    モノクマ「脱出カードはあるよ。ボクは嘘なんてつかないもん」


    左右田「で、出たぁ!!」


    モノクマ「ひどいなぁ…人を幽霊みたいに………」


    日向「お前クマだろ」


    花村「ぼ、僕はもう…お前の嘘には騙されないよ!」


    モノクマ「嘘って、もしかして前に話した”動機”のこと?」


    九頭龍「そんな事どうだっていい…それより俺らに何の用だ!」


    モノクマ「第3の島を解放しました。学園長命令です。探索してきなさい!」


    日向「新しい島?まさか、タイムリミットを乗り越えるごとに、解放していくつもりか!?」


    モノクマ「ご名答!わかったらとっとと行ってこいやー!時間は有限なんだよ!」



    十神「西園寺の件はとりあえず後だ。まずは新しい島を調査するぞ!」


    澪田「了解っす!じゃあみんなで行くっすよ〜!」


    田中「別れて探索するべきだろう。時間が惜しい。俺様たちは、これから西園寺殺しの犯人と、襲撃者も突き止めねばならないのだからな」


    小泉「その間にまた殺人が起きたらどうするのよ!」


    七海「…………なら、できるだけ3人以上でまとまって探索しない?」


    ソニア「それに賛成です!」


    七海の提案通り、俺たちは何人かで固まって行動することになった。
    俺は狛枝と罪木と一緒に、病院を担当した。
  28. 32 : : 2017/03/19(日) 22:19:32




    僕の名前は狛枝凪斗。”超高校級の幸運”なんていう残念な才能で希望ヶ峰学園に入学することになったんだけど、今はこのジャバウォック島で殺し合いをさせられているんだ。


    素晴らしい才能を持ったみんなが、殺し合いという絶望を乗り越えて輝く姿が見たかったんだけど……突然のルール変更。


    せっかく花村クンをそそのかして、ボクに殺意を抱かせたのに………


    しかもこの新ルールからは、黒幕の焦りが感じられる。わざわざ時間制限なんて設けたあたり、はやくボクらの人数を減らしたいんだろうね。


    でも、彼らはそんな絶望なんかに負けるはずはない。だって彼らは”希望の象徴”なんだから!



    -病院-

    日向クンと罪木さんと病院に来た。今朝からずっと腕が痛むから罪木さんに見てもらう予定なんだ。


    2人は先に奥の方を見てきてくれている。
    怪我人とはいえ、ボクなんかに気を使わなくてもいいのに。


    狛枝(………ん?)


    そこでボクは怪しい物を見つけた。


    狛枝(SDカード?)


    小さくて四角い。ボクの乏しい語彙力では、そうとしか表現できなかった。


    狛枝「あっ、これ。電子生徒手帳に差し込めるんだね」


    ボクはそのSDカードのような物を、電子生徒手帳に差し込んでみた。


    すると、驚くべき情報が流れ込んできた。


    狛枝「……は、はは、はははは…………」


    狛枝「ははははははは!」


    狛枝「そういうことだったんだね!西園寺さんを殺した犯人は、キミだったんだね!」


    どうやら”この人”も強い希望を持って殺人に及んだらしい。


    罪木「狛枝さん、診察室へどうぞ〜」


    狛枝「あ、うん。分かったよ」


    さて、そろそろボクも動くとしようか。
  29. 33 : : 2017/03/20(月) 09:51:32
    ゆゆゆゆしき事態よ!!
  30. 34 : : 2017/03/20(月) 11:46:53

    罪木「あ、骨折ですね」


    狛枝「あはは、通りで痛むと思ったよ」


    罪木「とりあえず、時間も無いので応急処置だけしておきますねぇ」


    日向「………………」


    狛枝は笑っている。
    花村の話によると、こいつは危ないやつらしいけど………


    狛枝「ありがとう、罪木さん」ニコッ


    あまりそうは思えない。まだ会って数日だが、こいつは呑気でたまに冷静なやつだという印象が強い。


    それが狛枝の本当の性格なのか、凶悪な本性を隠すためにそう装っているだけなのかは、今はまだわからない。



    日向「…一応、病院を一通り見て回ったが、特にめぼしいものは無かったな」


    狛枝「へぇ…じゃあもうみんなのところに戻ろうか」


    罪木「……そうですね」




    -モーテル-


    十神「…………なるほど、有益な情報は得られなかったか」


    狛枝「でも、探せばきっとあるはずだよ?」


    狛枝「だからさ…もう一回この島を調べ直してみない?」


    辺古山「もう一度か?」


    田中「西園寺の件について、まだ何も話し合っていないぞ?」


    花村「うーん……残り時間は、1時間30分かー」


    ソニア「一度くらいならいいんじゃないですか?」


    十神「そうだな、では急げ!それが痩せている人間に課せられた使命だ!」


    九頭龍「チッ…面倒だな………」



    それから俺たちは、30分間だけこの島を調べ直してみることにした。
  31. 35 : : 2017/03/20(月) 11:51:30

    -ライブハウス-


    澪田「はい!では、次の曲は…”勢いで産んでみたは良いけど父親がわからない”!」


    花村「も、もう止めろっちゅうとるやろがぁ!」


    田中「クッ…俺様がここまで追い詰められたのは、4年ぶりだッ!」


    日向「頼む澪田………もうギブアップだ………」


    澪田「あれあれ?みんなどうしたんすか?」




    探索中、唐突に始まった澪田のリサイタル。花村と田中がダウンし、お開きとなった。



    澪田「創ちゃん、ちょっと質問してもいいっすか?」


    日向「ん…何だ?」


    澪田「創ちゃんは、脱出カードって、本当にあると思うっすか?」


    日向「うーん……モノクマはあるって言ってるけど、もし俺がそのカードを持ってても、使わない」


    澪田「も、勿体ないっすよ!次のタイムリミット後に島から出れるんすよ!?」


    日向「でも、ここにいるやつらはもう、俺にとって大切な仲間なんだ。そいつらを見捨てて自分だけ助かる道を、俺は選びたくはない」


    日向「どうせなら、みんな揃って出たいだろ?」


    澪田「…………………」


    澪田「そうっすね。唯吹、脱出カードに目がくらんでたっす……」



    澪田「さっきの質問は忘れて……」


    日向「ん、澪田?」




    バタン!



    左右田「おいお前ら大変だ来てくれ!」

  32. 36 : : 2017/03/20(月) 11:56:21



    突然、ものすごい形相の左右田が、ライブハウスに飛び込んできた。顔が真っ青で、しかも半泣きだ。


    日向「どうした!?左右田!」




    左右田「び、びょ………病院、病院で………」







    左右田「…病院で、ソニアさんが…………」



    田中「ソニアに何かあったのか!」


    澪田「これは行くしかないっすよ!」


    日向「そうだな。左右田、立てるか?」



    俺たちライブハウス組は、左右田を連れて病院へ向かった。




    殺人なんて、もう起きるはずがない。そう思っていたのに、事態はそんなに甘く無かった。




    病院の会議室には、超高校級の王女 ソニア・ネヴァーマインドの死体があった。




    花村「ソ、ソニアさぁん!!」てるてる…


    小泉「何で、ソニアちゃんまで……」


    九頭龍「けど……今回の犯人は一つミスを犯した。見ろよ、ソニアの死体の近く………」





    九頭龍に言われてソニアの死体の近くに目をやると、『ソウダ』、と血で書かれたダイイングメッセージがあった。



    左右田「へ?」


    小泉「これって、左右田のことだよね?」


    左右田「いやいや…何言ってんだよ!俺がソニアさんを殺すはずねーだろ!」


    九頭龍「ならこの『ソウダ』って文字はなんなんだよ!」


    左右田「知らねーよ!とにかく俺はソニアさんを殺してないんだって!」


    田中「フハハハハハ!見苦しいぞ!それ以上足掻くなら、マスターソードで串刺しにしてやろう!」
  33. 37 : : 2017/03/20(月) 12:03:23

    七海「……………この、血のダイイングメッセージをソニアさんが書いたなら…ソニアさんの指先には血がついてるはずだよね?」



    十神「だが、ソニアの指には……血は全くついていないな」


    小泉「あ!ならソニアちゃんは、その文字を書くことはできないよね!」


    九頭龍「いや、指以外を使ったかもしれねーぞ………」


    辺古山「指以外を使った……?」


    花村「なるほど、”舌先”だね!」


    左右田「何だそれ!ソニアさんが床を舐めたって言いたいのか!?」


    七海「…うーん、やっぱり無理なんじゃないかな?」


    終里「じゃあ、このメッセージは、ソニアを殺した犯人が書いたってことだな!」


    田中「左右田に罪を被せようとしたのか……」


    左右田「だ、誰だ……ソニアさんを殺した犯人はよ……」



    狛枝「大丈夫、キミらならきっと見つけられるよ。だってキミらは”希望の象徴”だからね」



    日向「………………」


    日向「なぁ、狛枝。お前なんじゃないか?」


    辺古山「何?狛枝が!?」


    日向「狛枝…この事件も、昨日の停電を起こしたのも………お前なんじゃないか?」


    小泉「え?そ、そうなの?」


    狛枝「……………………」




    十神「ここまで来た以上、言うしかないか。昨日の停電中の出来事を」


    田中「何か知っている口振りだな…」


    十神「ああ、俺は昨日の停電の時、暗視スコープを付けていたからな」


    十神「狛枝がテーブルの下に隠してあった、ナイフを取り出そうとしていたことも見えていたぞ!」


    澪田「ナイフ!?マジっすか、凪斗ちゃん!?」


    花村「ぼ、僕も見たよ…昨日、料理の下準備中に、狛枝君が、ニヤニヤ笑いながらナイフを仕掛けるのを…」


    田中「何故、それを黙っていたか、という質問は後にしておこうか」


    田中「まずは貴様だッ!貴様が停電を起こし、西園寺とソニアの命を奪った犯人なのか!?」


    狛枝「ははは…バレちゃったか……」
  34. 38 : : 2017/03/20(月) 12:11:18

    狛枝「うん、そうだよ。全部僕がやったんだよ」


    小泉「な、何でそんなことしたのよ!?」


    狛枝「ボクはキミたちのような才能溢れる人間が、殺し合いという絶望を乗り越えて輝く姿が見たかったんだ!」


    澪田「全く意味わかんないっすー!」


    狛枝「パーティー中に事件を起こそうと思ったけど、十神クンに阻止されちゃって……」


    狛枝「この腕の骨折も、十神クンに突き飛ばされた時に出来たやつだよ」



    小泉「それで、日寄子ちゃんを殺したのも、あんたってこと?」


    左右田「ソニアさんを殺したのもテメーか!」



    日向「いや、ちょっと待て!何かおかしいぞ!」



    花村「えっ?おかしいって、何が?」


    罪木「あの〜もう狛枝さんは自白してるんですよ?」


    日向「でも、狛枝がソニアを殺した時、ソニアの返り血が付いてるはずなんだ!」


    終里「血がついた服を、脱いで隠したんだろ?」


    左右田「……いや、狛枝は骨折中だ。短時間で着替えは難しくねーか?骨折したことなんてねーけど」


    罪木「でも、病室にあるベッドシーツとかで血を防いだのかも………」


    終里「左右田が他の奴らを呼びに行った間に病室を見てみたけど、事件前と何も変わってなかったぞ!」


    花村「じゃあ…狛枝君は返り血をどうしたの………?」



    辺古山「…………まさか、コイツは犯人では無いのか………?」


    九頭龍「ふ、ふざけんなよ!こいつ以外に誰がいるっつーんだ!!」


    七海「じゃあ、狛枝君は何で返り血を浴びてないの?」


    九頭龍「ぐっ……それは…」


    田中「やはり、狛枝以外の誰かが…」




    日向「…事件前後に、病院の近くにいた奴は誰だ?」
  35. 39 : : 2017/03/20(月) 12:19:05

    左右田「俺と狛枝と罪木と終里だ」


    罪木「私は病院の前にいたんですが、タイマーの音が聞こえてきて、気になって入ってみたんです」


    七海「ん、タイマー?」


    十神「タイマーとやらの話は後回しだ。それより、その4人の中に犯人がいるのは明確だ!」


    狛枝「さっき言った通り、ボクは除外されるよね?」


    小泉「左右田も、可能性は低いんじゃない?」


    澪田「蜜柑ちゃんか赤音ちゃん、どっちかが犯人なんすね!」



    罪木「わ、わたしは違いますっ!」


    終里「あ?俺が疑われてんのか?」



    田中「………今の所、どちらにも犯行は可能に見えるが………」






    日向(何か……ヒントはないか…?)




    日向「……………………」






    狛枝「これまで分かった事実を、彼女たちは”制限無く”行えたのかな?」



    花村「えーと…どういうこと?」

  36. 40 : : 2017/03/20(月) 12:24:38




    日向「あ!そうだ!2人のNG行動に、何か手掛かりがあるかもしれない!」


    罪木「NG行動…?」



    狛枝「凄い!そんな所に気づくなんて、さすがは超高校級だね!」


    日向「…………………」




    終里「NG行動だろ?えーと、俺のNG行動は”文字を書く”ことだ!」



    --文字を書く--




    左右田「おい待て!”文字を書く”?じゃあ、終里にはダイイングメッセージを偽造出来ねーじゃんか!」



    終里「え?何でだ?」


    七海「となると……ソニアさんを殺した犯人は…」




    日向「罪木……お前、なのか…?」


    罪木「ふぇぇぇぇ!?」


    罪木「ち、ちょっと待ってください!何で私なんですか?」



    十神「消去法だ。終里はダイイングメッセージを書けない。狛枝は着替えられない。左右田は自分の名前をダイイングメッセージにする訳がないからだ」


    狛枝「あ、でもさ。罪木さんが犯人だっていうなら、彼女は返り血をどうしたのかな?」


    九頭龍「ああ?何のことだよ…?」


    狛枝「罪木さんは返り血のついた服を、どうしたのかなって」


    左右田「んなもん、この部屋に隠してあるだけだろ!よしお前ら、探すぞ!」
  37. 41 : : 2017/03/20(月) 12:30:48


    -10分後-



    左右田「何処にも、ねぇぞ……」



    狛枝「そう、つまり彼女は返り血を浴びてないんだ。だから彼女は犯人じゃないんだよ」


    終里「別の部屋に隠してあるんじゃねーか?」


    辺古山「血のついた服を持ちながら移動するとは思えないが……」



    七海「じゃあ、病院にいるメンバーを、一箇所に集めて、その間に服を隠したんじゃない?」


    左右田「一箇所に集めるって、そんな都合のいいことが起きるわけ…………」



    日向「いや、可能性はある。さっき病院でタイマーが鳴ったんだったな」


    終里「ああ、すごい音だったな!」


    左右田「一階奥の病室のタイマーを狛枝が鳴らしちまったんだったな…」


    十神「そうか、大音量でタイマーを鳴らせば、近くにいた左右田と終里が、蛆虫のように這い寄ってくる」


    左右田「全員が病室に入って、廊下に誰もいなくなった隙に、服を着替えて処分したんだな!」


    左右田「って誰が蛆虫だッ!!」


    花村「罪木さんの生着替えを見れたなんて!澪田さんのデスソングを、聞いてる場合じゃなかったよ!」


    七海「多分…処分じゃなくて、隠したんだろうね…修学旅行のルールに、”ポイ捨て禁止”ってあったからさ」



    日向「これで返り血への対処法も暴いたぞ!狛枝、これで納得したか?」


    狛枝「うーん…これはもう降参するしか無いみたいだね……せっかく証拠隠滅を手伝ったのに、ボクの力不足で罪木さんの犯行はバレちゃったみたいだね」


    罪木「ちょっと!狛枝さん!?」
  38. 42 : : 2017/03/20(月) 12:36:44

    小泉「なら……日寄子ちゃんを殺したのも、蜜柑ちゃんなの……?」


    罪木「ひ、ひぃぃぃぃぃ!」


    田中「可能性は高いな。確か第一発見者も罪木だったはずだ」


    狛枝「だからと言って決めつけるのは良くないよ。キミたちには、ちゃんと推理してもらわないと……」


    小泉「あ、あんたは黙ってなさいよ!」


    田中「次に口を開けば、大いなる力で、アスファルトにしてやろう」


    狛枝「日向クンが持ってる手紙は西園寺さんを呼び出していたという内容だよね?」


    左右田「迷うことなく喋りやがった!」


    七海「………多分犯人が書いたんだろうね」


    日向「なら、終里は除外だな。NG行動で手紙を書くことはできないからな」


    辺古山「それと、2番目の島に行っていたメンバーにも、犯行は不可能だ。モノミが橋の前に居たからな」



    モノミ「はい!あちしはずっと橋の前に居まちたが、誰も通ってませんでした!」



    日向「これでだいぶ絞れたな。容疑者は1番目の島と中央の島を調べてたやつら。十神、九頭龍、罪木だ!」



    花村「罪木さんは、こっちでも容疑者なんだね…」


    罪木「ちが、ち……違いますぅ………私は犯人ではありませんよぉ…」


    左右田「怪しいのは3人か……」


    日向「やっぱり、手掛かりはNG行動だと思うんだ。だから、3人とも、NG行動を見せてくれないか?」
  39. 43 : : 2017/03/20(月) 12:42:55


    九頭龍「俺は構わなねぇぜ!俺のNG行動は、”金属を握る”だ!」



    --金属を握る--



    小泉「金属を握れないんだったら、包丁を握れないよね?ほら、あの包丁って、持つところも金属だったし」


    田中「なら、九頭龍には無理だな」



    十神「俺も話そう。俺のNG行動は、”着替える”ことだ」



    --着替える--



    花村「”着替える”?じゃあ、十神君は返り血がついても着替えられないよね!」


    澪田「布とかで、防いだのかもよ!」


    左右田「レストラン周辺は俺と十神と弐大が見て回ったけど、血塗れの布なんてなかったぜ!」




    日向「じゃあ……やっぱり、西園寺殺しも…罪木の犯行だったんだな!」


    罪木「ふぇぇぇぇぇぇぇ!?」


    澪田「何でっすか!?なんで日寄子ちゃんとソニアちゃんを殺しちゃったんすか!」



    狛枝「ちょっといい?今までNG行動を元に推理してきたわけだけど、終里さんが襲撃者だったら、NG行動が無くなるから、どっちの犯行も可能だよね?」


    罪木「そ、そうですよ!」




    日向「それでも、罪木にも犯行が可能だったことは変わらない。だから、お前のNG行動を見せてくれ!」



    罪木「う、うううぅぅぅ………」





    狛枝「罪木さんは言えないようだし、ここは共犯者である、ボクから説明させてもらうよ」


    罪木「ふぇっ!?狛枝さん!?」





    狛枝「罪木さんのNG行動は、”殺人をせずにタイムリミットを迎える”こと。それを知ったボクは、居ても立っても居られず、罪木さんに協力することにしたんだ」
  40. 44 : : 2017/03/20(月) 12:57:56

    NG行動
    狛枝--?????--
    七海--???????????????--
    左右田--??????????????--
    ×ソニア--5人続けて同性の参加者が死亡する--
    十神--着替える--
    ×西園寺--襲撃者に触れる--
    終里--文字を書く--
    澪田--??????????????--
    花村--フランス料理を作る--
    辺古山--??????????????--
    ×弐大--参加者の暴力を目撃する--
    田中--ハムスターから離れる--
    罪木--殺人をせずにタイムリミットを迎える--
    九頭龍--金属を握る--
    小泉--?????--
    日向--単独行動をする--


    トリックが適当になってしまい申し訳ありません。
  41. 45 : : 2017/03/21(火) 19:10:31

    日向「”殺人をせずにタイムリミットを迎える”?」


    左右田「何だよそれ…エグすぎだろ……」


    七海「罪木さんがNG行動に引っかかってないってことは、あなたは前のタイムリミット前に、西園寺さんを殺したんだね?」


    罪木「ゆ、許してくださいよぉ………」


    九頭龍「マジかよ…本当に、コイツが…?」




    西園寺とソニアを殺した犯人は、罪木だった。


    でも、優しくて献身的なあいつがそんな凶行に走ってしまったのは、NG行動のせいだ。


    どうすれば、罪木や西園寺やソニアを救えたんだろうか………俺は、そんな後悔の念に駆られていた。

    今までの行動から、罪木が襲撃者ではないのは確実だが、野放しにして、タイムリミットが来るたびに殺人を犯されても困る。


    全員の承諾を得て、俺たちは罪木をモーテルに監禁することにした。



    -モーテル-

    十神「次の次のタイムリミットを迎えれば、お前のバングルから毒が注射される」


    十神「俺がいながら…お前を守ることができなかった……すまない」



    十神が罪木に謝った。


    十神はプライドは高いが、それ以上に仲間を思う気持ちが強い。


    十神が昨日パーティーを開いた理由も、人を殺そうとしている”誰か”から俺たちを守るためだったそうだ。


    ”誰か”っていうのは、おそらく狛枝だろうな………




    罪木「…………………」


    一方の罪木は、犯行がバレて以来、全く喋らない。


    絶望しきった顔をしていた。


    当然だ。身動きを封じられ、そしてこれから死んでしまうんだ。誰だってああなる。


    あいつはNG行動を設定された瞬間から、詰んでいたんだ。
  42. 46 : : 2017/03/21(火) 19:16:49

    -ライブハウス-

    小泉「もし…脱出カードがあれば、蜜柑ちゃんを死なせずに外に出せたのかな……」


    田中「あるかどうかも分からんがな。それに、罪木は一国の王女を殺害したんだ。外に出ても最悪指名手配犯となるだろう」


    澪田「そうっすよね……」



    狛枝「うん……罪木さんのことは残念だったけど…ボクらはそんな絶望に負けちゃいけないんだ!だって……」

    ゴチン!

    左右田「うるせぇよ……狛枝…」


    辺古山「おい、左右田!」



    左右田は喋りだした狛枝の頭を、近くにあったギターで殴った。無理もない。あいつは好意を抱いていたソニアの殺人に協力したんだから…


    左右田「罪木も許せねぇけど、まだ納得できる理由があった」


    左右田「でも、何でお前は罪木を手伝ったんだよ!ソニアさんを殺す協力をしたんだよ!」


    狛枝「言わなかったっけ?罪木さんのNG行動を見たら、助けてあげたくなったんだよ。だって、彼女こそが、ボクの求めている”希望”かもしれなかったからね」


    九頭龍「何だそれ……こんな奴、とっとと殺しちまったほうがいいんじゃねーか!?」


    終里「なら任せろ!弐大のおっさんの分もやってやるぜ!」ポキポキ




    澪田「みんな注目してほしいっす!!」バァン!



    終里が今にも狛枝に掴みかかろうという時に、澪田が声を上げた。


    すると澪田は、ポケットから紙切れを一枚出した。
  43. 47 : : 2017/03/21(火) 19:20:39

    日向「ん、何だそれ?レシートか?」


    澪田「これは、”脱出カード”っす!」



    全員、耳を疑った。そして目を疑った。


    でも澪田はしっかりと脱出カードと言ったし、その紙切れには汚い字だが、『脱出カード』と書かれてある。


    そして、それを………………



    ビリッ!


    豪快に破った。




    花村「ちょっ!澪田さん?何してんの!?」


    澪田「このカードは、もういらないってことっすよ!」


    モノクマ「あーあ…やっちゃったね。2回目のタイムリミット直前なのに………」


    モノクマ「前にも言ったけど、脱出カードは破ったり落書きしたら効果を発揮しません!再発行もしませんから!」


    澪田「何度渡されても”いらない”って答えるっすよ!唯吹は、今生きてるみんなで、一緒にこの島から出たいっすからね!」

    日向「澪田………」


    十神「ならそれを破ったのは何故だ!それを罪木に渡せば、あいつは死ななかったかもしれないんだぞ!」


    澪田「……流石の唯吹も、死ぬ覚悟は無いっすよ」


    七海「…………死ぬ覚悟?」


    そう言うと、澪田は腕のバングルを押した。そしてNG行動が浮かび上がった。そこに書かれていたのは…………



    --脱出カードの所有権を奪われる--



    澪田「これが唯吹のNG行動っす!」


    日向「そうか………罪木に渡すと、澪田がNG行動に引っかかるのか」


    花村「だから破いたんだね?」
  44. 48 : : 2017/03/21(火) 19:26:15

    澪田「そうっす!もうすぐ2度目のタイムリミットっすけど、もう覚悟は決めたんで!」



    左右田「は?もうすぐタイムリミット!?」


    澪田に言葉に反応した左右田は、バングルで時間を確認すると、突然ライブハウスの外に飛び出した。


    辺古山「おい、左右田!?」


    小泉「何処行くの!?」


    左右田「便所!」


    十神「またか……確か前もそうだっ気が………」


    田中「フンッ、あいつも所詮は人の子。用を足さんことには生きていけん」




    終里「なー、それより狛枝はどうすんだ?」


    花村「そうだ、すっかり忘れてたよ」


    日向「………こいつが、襲撃者の可能性は、結構高いけど………」


    日向「でも、襲撃者だからって殺すのは間違ってる。罪木と同じく、監禁すれば良いんじゃないか?」


    十神「ククッ…それに賛成だ………このタイムリミットで犠牲者が出なければ殺し合いは終わり。上手くいけば罪木を助けられるかもしれない」


    狛枝「ははは…それがキミたちの希望だって言うなら、ボクは受け入れるよ………」



    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!


    こうして、襲撃者候補筆頭の狛枝をライブハウスの奥に監禁した。


    鎖で頑丈に繋げられているため、抜け出すのは難しい。抜け出せても、タイムリミット後に、全く同じ縛り方を1人でするのは不可能だ。


    これで殺し合いは終わるはず。


    そう信じて、俺たちはタイムリミットを迎えた。
  45. 49 : : 2017/03/21(火) 20:18:47
    ーーーーーーーー
    ーーーー
    ーーー





    左右田「は?もうすぐタイムリミット!?」


    俺は腕に取り付けられたバングルを見た。


    ---タイムリミットまであと3分---


    左右田(うおっ!ヤベェ!)


    残り時間を確認すると、俺は急いで室内から出た。




    -病院前-

    左右田「ふぅ……今回はアラーム鳴る前に出たぜ…」


    俺はまた一つ、死を回避した。


    でも、本当の勝負はここからだ。


    襲撃者は、いきなり飛び出した俺を怪しんで、狙ってくるかもしれない。


    そう思い、俺は病院の裏で身を隠すことにした。



    左右田「…………」


    病院…………ソニアさんが殺された場所だ。


    ソニアさんや弐大や西園寺の遺体はコテージに安置してある。




    ……ソニアさんが殺された。


    ………どうして守れなかったんだ。


    命を狙ってくるのは、何も襲撃者だけじゃない。罪木のように、ヤバイNG行動の持ち主だっているかもしれない。


    ソニアさんを守れなかった俺に、生きてる価値はあるのか?


    ここで死んだら、霊界とかでソニアさんとまた会えるかも………





    左右田「…………………」





    いや、そうじゃないよな。


    ソニアさんの分も生きるってことが大事なんだよな!


    左右田「よし!決めたぜ!俺は絶対に生き残る!こんなとこで死んでられっかよ!生きて、日本に戻って、凄いロケットを創り上げて、歴史に名を残すような偉人になってやるよ!」


    左右田「だから…………見てて下さい。ソニアさん」


    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!
  46. 50 : : 2017/03/21(火) 20:43:42


    モノクマ「おまたせ〜」




    モノクマ「襲撃者さん、起きてる?」




    モノクマ「お待ちかねの、襲撃タイムだよ!」




    モノクマ「襲撃者は、一度の襲撃タイムにつき、1人殺せます」




    モノクマ「さぁ、今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」





    残り生存者数

    13人
  47. 51 : : 2017/03/21(火) 22:36:08
    左右田はタイムリミットの時に近くに人がいることがNGかな?
  48. 52 : : 2017/03/21(火) 23:16:15







    『あいつ、希望ヶ峰学園に行くって本当?』




    『本当らしいな……でも、あいつってそんなにすごい才能あったっけ?』




    『あー違う違う。あいつの場合は違うらしいよ。いわゆる裏口入学』




    『だと思った。あいつそんなすごい才能あるように見えないもん』





    『だって、あいつは………………』







    日向「ハッ………!」




    変な夢を見た。変なのは内容だけではなく、終わり方もだ。裏口入学?………才能があるように見えない?


    俺の才能って……いったい…………




    目を擦ろうと左手をあげると、バングルがつけられている手首から肘にかけて、真っ赤だった。





    この島で、もう何度か目にした色。





    日向「血!?」






    慌てて横を見てみると、弐大と同じく、モノクマナイフが心臓に刺さった………………










    超高校級の飼育委員 田中眼蛇夢の死体が横たわっていた。




    日向「う、ぅ…………うわああああああああああああああ!!」




    俺の悲鳴で、みんなが目覚め、そして驚愕した。狛枝は縛ったはずだ。



    後で十神が確認したが、狛枝が縄抜けした痕跡は全くなかったという。




    襲撃者は狛枝以外の誰か。


    その事実が、確定してしまった。




    そして、俺たちはまた、頼れる仲間を1人失った。

  49. 53 : : 2017/03/23(木) 00:08:34
    期待です!
  50. 55 : : 2017/03/24(金) 17:43:50
    >>53
    ありがとうございます。



    バタン

    左右田「ういーっす。おはよ……」


    左右田「ってうわっ!?田中ッ!」


    十神「起きたか左右田。狛枝を縛っておいたんだが襲撃が起こってしまった。そいつは、襲撃者では無かったんだ」



    狛枝「田中クンが殺されちゃうなんて、本当に悲しいよ………」


    狛枝「でも、キミたちはこの絶望を乗り越えて……」


    モノミ「うわぁ!田中君がー!」


    狛枝「はぁ…うるさいのが来ちゃったね」


    モノクマ「ちょっと、妹を馬鹿にする奴は許さないよ。確かにこいつはデブだしブスだし主食はマリモだし、サッカーではボールを手で持って自分のゴールに……」


    モノミ「ちょっとー!あんたが一番バカにしてるじゃないでちゅか!?」



    日向「……何の用だよ」


    モノクマ「4つ目の島を解放しました!」


    モノミ「やいやいモノクマ、いつまでこんなことを続けるつもりでちゅか!もう4人も死んでしまったんでちゅよ!」


    花村「そっか……もう4人も、減っちゃったんだ…」


    澪田「改めて言われると辛いっすね」



    七海「………もうこれ以上犠牲を出させない。その為にも、襲撃者の手掛かりを見つけ出そうよ」


    終里「そうだな、襲撃者さえ居なくなれば殺し合いは終了するんだったな」


    九頭龍「へっ、次のタイムリミットを跨がなきゃならない以上、罪木の死は免れないけどな」


    十神「………ならさっさと探索を終わらせて襲撃者探しに移るぞ!」


    澪田「了解っすよ白夜ちゃん!」


    辺古山「では行くとするか」




    もう誰も死なせない。そのためには襲撃者探しは避けて通れない。


    罪木とも違い、自分の意思で仲間たちを殺して来た奴だ。生半可な気持ちで襲撃者をやってるわけじゃないだろう。


    そんな裏切り者がこの中にいるなんて、とても信じたくはないが……


    覚悟を決めなければ、また仲間が殺されてしまう。ターゲットが俺になることも考えられる。俺はまだ死にたくない。まだ十数年しか生きてないんだ。こんなところで殺される訳には行かない。


    自分の未来は、自分で創る。だから、絶対にその正体を暴いてみせる。
  51. 56 : : 2017/03/24(金) 17:54:24

    -ジェットコースター-

    ビューン!!!


    左右田「ぎにゃああああ!!」


    澪田「きゃはは!超楽しいっすー!」


    九頭龍「楽しんでどうすんだよ!俺らは手掛かりを見つけに来たんだぞ!?」


    花村「安全バーがあるせいで全裸になれないよー!」


    小泉「いや、ならなくていいからね?」


    十神「くっ……まさかこの俺をここまで弱らせるアトラクションがあるとはな……」





    モノクマ「はい、ごくろうさまでしたー。約束の、島の外の情報だよ」



    そう言って、突然モノクマは少し厚めの黒いファイルを渡して来た。



    日向「え、約束なんて誰かしてたのか?」


    モノクマ「別に誰かとした訳じゃないんだけど……取り敢えずあげるよ」


    左右田「なんだそりゃ……爆発したりしねーよな?」


    モノクマ「じゃあ左右田クンにはリンゴをあげるよ。この先重宝するかもね」


    左右田「いやどういう事だよ意味わかんねーよ!」


    モノクマはファイルとリンゴを渡し終えると、ぎこちない足取りで去って行った。



    七海「じゃあ……見てみよっか」


    日向「開くぞ」


    俺はファイルを開いた。

    そこに載っていたのは、島の外、というより学校だった。俺たちには見覚えのある、希望ヶ峰学園が写っていた。


    狛枝「これは……希望ヶ峰学園の情報?」
  52. 57 : : 2017/03/24(金) 17:57:44

    花村「えーっとさ、今更そんな情報手に入れてどうするの?」


    辺古山「いったいモノクマは何を考えているんだ?」


    日向「分からないな…全く………ん?」



    俺には馴染みのある希望ヶ峰の歴史などばかり載っていたため飛ばし読みしていたが、ふと気になる項目を見つけた。



    日向「なぁ、みんな、これを見てくれ」


    俺がみんなに見せたページ、ファイルの後ろの方で、およそ20ページほど掛けて紹介されている…”コロシアイ学園生活”というものだった。


    日向「コロシアイ学園生活………何だか、今の俺たちの置かれている状況と似てないか?」


    小泉「学級裁判とか、処刑とか……前のルールとほとんど同じだね」


    九頭龍「あ?おいお前ら、これを見ろ!コロシアイ学園生活の生き残り…………”十神白夜”って書いてあるぜ」


    終里「お、本当だ!同姓同名同才能なんて珍しいな!」


    左右田「アホか!そんなのありえねーだろ!十神がこっちの殺し合いにも参加してたってことだろ?」


    澪田「これって、どうなんすか………?白夜ちゃん」




    十神「………全く、記憶にないな」


    花村「えっ!覚えてないの?」


    十神「ああ…なんにしろ、これで確定したな。俺たちは学園生活の記憶を奪われている。この殺し合いを俺が覚えてないということはそういう事だ」
  53. 58 : : 2017/03/24(金) 18:08:20

    花村「そ、そんな!ちょっと待って!最初に言われた動機の話は……本当だったってこと………?」


    日向「花村………」


    狛枝「ねぇ日向クン。そのファイル、ボクに預からせてもらってもいいかな?」


    日向「え、ああ構わないぞ」


    日向(これを読んでる間は少し大人しくなるだろ)



    十神「さて、これで残るはドッキリハウスだけだが……」


    十神「さて、俺たちには時間がない。ドッキリハウスに行くかどうか、3分後に多数決をする」



    ----3分後----



    十神「………と言う訳で、満場一致でドッキリハウスの探索もすることになったな」


    九頭龍「たしかこの列車に乗るんだったな」


    モノクマ「はーい。全員で乗ってくださーい」



    ドッキリハウスへと向かう列車に全員乗り込み、そして列車は出発した。




    澪田「おおー、これもアトラクションだったんすね!」


    狛枝「澪田さん、本当に満喫してるね…」



    狛枝は最後列でファイルを読み耽っている。度々喋ることもあるが………

    多分あいつが読んでるのはコロシアイ学園生活と言う記事だろう。


    俺もその記事を見たときは驚かされた。


    テレビでよく見るアイドルの惨殺された死体から真っ黒に焦げた正体不明の死体まで、たくさんの人間の命が散っていったところが写されていたからだ。

    と、狛枝に注目してる間にドッキリハウスが近づいてきた。




    ピッ



    日向「ん?」


    プシュー



    日向「なっ!バングルから!?」


    七海「これって、タイムリミット!?」


    辺古山「いや、まだ…1時間30分ある……」ウトウト


    左右田「ヤベェよ………眠い…」ウトウト


    日向「うっ……何で…急に睡眠薬が……」




    突然、バングルから睡眠薬が注射された。まさか罠だったのだろうか。


    俺たちは制限時間の所為で完全に焦っていたみたいだ。こんな簡単な罠に引っかかるなんて……………

  54. 59 : : 2017/03/26(日) 16:34:10

    -マスカットハウス-



    九頭龍「おい起きろ日向」


    日向「う…うん、ここは?」


    十神「ドッキリハウスの、マスカットハウスという建物らしい。お前が寝てる間に俺と左右田で一通り見てきたが…ここには出口がないんだ」


    日向「は?出口がない?」


    モノクマ「それについては、僕から説明させてもらいまーす」


    モノクマ「このドッキリハウスには、出口が存在しません。さっきみんなを入れた後、セメントで固めたからね!」


    モノクマ「さらに言うと、水や食料もありません」


    辺古山「何!?では私たちはどうすれば良いんだ?」


    モノクマ「ここから出る方法…?それはね……」



    モノクマ「襲撃タイム以外で、殺人が起きることだよ!」



    左右田「は!?何だよ…それ」


    日向「な、何で襲撃タイムを含めないんだ!?」


    モノクマ「そしたらあと1時間でここから出られちゃうじゃんか!せっかく頑張って作ったのにさ」


    終里「遠回しに俺らは襲撃者を見つけられねーって言ってんのか…」


    終里「だったら襲撃者を見つけて、殺し合いを終わらせればここからも出られるはずだ!」


    小泉「そうだよ!赤音ちゃんのいう通りだよ!」


    モノクマ「襲撃者を見つけるよりも、誰かを殺す方が簡単だけどね」


    モノクマ「あ、そうそう!このドッキリハウスには、マスカットハウスの他に、ストロベリーハウスっていう建物もあるんだー」


    モノクマ「後で見てみてね!」

  55. 60 : : 2017/03/26(日) 16:40:48

    澪田「あーあ、また行っちゃったっす……」


    七海「見ておいてって言われたけど、どうする?」


    十神「モノクマの命令に逆らうのは得策じゃない。もう一度俺と左右田で見てこよう」


    左右田「お、おう…分かった」




    十神と左右田がストロベリーハウスというもう一つの建物を調べに行った。


    そして、九頭龍と辺古山と花村と小泉はマスカットタワーへ向かった。


    七海と澪田と終里は本当に出口が無いのか確かめるべく、もう一度マスカットハウスを調べに行った。


    そして、マスカットハウスの3階には俺と、現在唯一襲撃者候補から外れている狛枝だけが残った。



    狛枝「殺さなければ出られない……黒幕は少しでも早くボクたちの数を減らしたいんだろうね」


    日向「………なぁ、狛枝。お前は何者なんだ?」


    狛枝「何者って、どう答えれば良いのかな?」


    日向「お前は罪木のNG行動を一足早く知っていたけど、罪木があのNG行動を他人に明かすはずがない」


    日向「間違いなくお前は、罪木のNG行動を、”教えてもらう”以外の方法で知ったはずだ!」



    狛枝「ははっ…鋭いね。そうだよ、ボクは罪木さんだけじゃなく、ここにいる全員のNG行動を知ってるんだ」



    日向「は?何でだよ!?」


    狛枝「日向クンと罪木さんと病院に行った時、偶然にもその情報を手に入れたんだよね」


    日向「…………偶然って、やっぱお前は超高校級の幸運だな」



    狛枝「……………いや、あれは本当に幸運だったのかな…」ボソッ



    日向「えっ?、悪い、聞き取れなかった」


    狛枝「ううん、何でもないよ。それで?ボクらはどうする?」


    日向「ひとまず、ストロベリーハウスに行こうと思う。左右田と十神しかいないからな」


    狛枝「それじゃあ行こうか。連絡エレベーターを使うんだっけ?」
  56. 61 : : 2017/03/26(日) 16:44:31

    -連絡エレベーター-


    狛枝「……………………」


    日向「……………………」




    バン!!




    日向「えっ!?何だ?今の音!」


    狛枝「……多分、銃声…だと思う」


    日向「銃声!?何で…」



    狛枝「やっぱり…このドッキリハウスがあの人を追い詰めたんだね……」



    -ストロベリーハウス-


    左右田「おい!日向に狛枝!」


    日向「あ!左右田、無事だったか」


    左右田「あの銃声のことを言ってんだろ?さっき十神とも会ったから、あいつも無事なはずだぜ!」


    狛枝「となると、マスカットハウスで銃が撃たれた、と考えるべきだね」



    その後、十神も合流し、俺たちはストロベリーハウスを後にした。


    マスカットハウスで銃が撃たれた。


    もしかすると、外に出たい誰かが……


    周りを見ると、左右田と十神も緊張して見えた。狛枝は……いつも通りニヤニヤしていた。




    頼む、みんな無事でいてくれ!
  57. 62 : : 2017/03/27(月) 00:37:39

    -マスカットハウス-


    小泉「日向!大変なの!赤音ちゃんが!」


    日向「終里が?」


    七海「とりあえず来て。モノクマ資料室だよ」



    -モノクマ資料室-


    日向「うっ…………」


    モノクマ資料室に入ると、まず目についたのは、超高校級の体操部 終里赤音の銃殺死体だった。


    左右田「お、おい…嘘だろ?」


    花村「うわああああ!何で終里さんが!?」


    日向「あの銃声……終里が狙われてたの
    か……」


    十神「しかし、銃なんて何処に…」



    九頭龍「なぁ、終里は…明らかに他殺だよな?」


    辺古山「この中の誰かが、終里を殺したと言うことか…」


    狛枝「ね、ねぇみんな…真っ先にボクの方を睨まないでよ……銃が撃たれた時、ボクには日向クンと一緒に居たっていうアリバイがあるんだからさ」


    七海「………そうなの?日向君?」


    日向「ああ、連絡エレベーターにいたから、狛枝に反抗は不可能だ」


    左右田「俺と十神も、銃声が響いた時はストロベリーハウスにいたから除外じゃねーか?」


    花村「僕と九頭龍君と小泉さんと辺古山さんもずっと同じ場所に居たよ!」


    辺古山「私たち4人にもアリバイがあるぞ」


    左右田「と、言うことは……」


    左右田「七海と澪田!お前らのどっちかしかありえねぇよな!?」


    澪田「えええっ!?唯吹はやってないっすよ!」


    七海「わたしも違う……と、思うよ?」
  58. 63 : : 2017/03/27(月) 16:32:01

    狛枝「確かに2人以外には難しそうだけど…問題はそこだけじゃないよね?」


    十神「銃をどうやって手に入れたか、そして身体能力の高い終里をどの様に殺したか、だな」


    左右田「銃はモノクマから貰ったってだけだろ」


    狛枝「なら試してみようか……おーい、モノクマー!」


    モノクマ「はいはい、お呼びですかぁ?」


    狛枝「拳銃が欲しいんだけど…」


    モノクマ「あー、ムリムリ。ボクはそんな野蛮なものを生徒たちに渡したりしません!」


    狛枝「……だってさ」


    小泉「じゃあモノクマから貰った訳じゃないのね」


    日向「何処かで手に入れたんだろうな」


    花村「次にどうやってあの終里さんを殺したか、だよね?」


    九頭龍「澪田も七海も、銃なんてほとんど使わねえだろうし……」


    左右田「いや、七海はゲームで銃の扱いにも慣れてんじゃねーか!?」


    七海「流石に本物を使いこなすのは無理だよ」



    モノクマ「ねぇねぇ、討論中に悪いんだけど、殺人が起きたんだしもうドッキリハウスから出てっていいよ」


    狛枝「ああ、そういえばそうだったね!」


    九頭龍「チッ、素直に喜べねーがな」


    日向「この件に関しては、外で話すか?」


    小泉「うん、その方がいいと思う…」




    十神「………すまん。ストロベリーハウスに忘れ物をして来た。先に外に行っていてくれ」


    日向「分かった。でもすぐに戻ってこいよ」




    忘れ物をしたという十神を残して、俺たちはドッキリハウスから出た。


    ドッキリハウスが、目が痛くなる様な壁の色をしていたせいか青空はとても新鮮に見えた。


    でも、この新鮮さは、終里の犠牲の上に成り立っているのだと思うと虚しく思えた。
  59. 64 : : 2017/03/27(月) 16:44:15

    -モノミハウス-

    モノミ「あれ?みなさんお久しぶりでちゅね」


    小泉「あ…モノミ……」


    花村「はぁ……」


    辺古山「…………………」


    モノミ「な、なんか…元気がないでちゅが……」


    モノミ「それに、十神君と終里さんの姿が見えないのでちゅが……」


    狛枝「十神クンは用事で別の場所に居るよ。そして終里さんは…この中の誰かに殺されちゃったんだ………」


    モノミ「こ、殺された〜!?本当でちゅか!?」


    七海「………うん」


    日向「十神が戻って来たら、終里を殺した犯人を見つけ出す。絶対にな」

  60. 65 : : 2017/03/27(月) 16:55:24

    -ファイナルデットルーム-

    ストロベリーハウスで、俺が唯一調べていない部屋………ファイナルデットルーム。


    ここに何か手掛かりがあるかもしれない。そう思ってみんなと別れて1人でここにやって来た。


    実際、1人で来たのは正解だった。謎解きも集中できたし、何よりロシアンルーレットを行うのが俺1人で済んだ。


    今、俺はファイナルデットルームの奥にある隠し部屋にいる。まるで狂気の宝物庫の様な部屋だ。


    その部屋の隅にある小さな窓には、誰かがこの部屋から出るために壊そうとした形跡もある。


    そして、俺は悟ってしまった。終里赤音を殺害した犯人を…


    犯人はこのファイナルデットルームの道具を利用して殺人に及んだ。そんなことが出来たのは1人しか居ないからな。


    十神「ククク…」


    この部屋を魅入っていたせいか、タイムリミットが残り30分になっていた。


    この部屋のものは今の俺には不要なものばかり。


    急ぎ足で、もう一つの出口であるモノクマ資料室に出ると、終里の死体を少しばかり検死して、ドッキリハウスから出た。
  61. 66 : : 2017/03/27(月) 17:00:47
    もしや左右田!?
  62. 67 : : 2017/03/27(月) 18:48:28

    -ネズミー城-


    左右田「十神遅えな…」


    小泉「何かあったのかな……」


    日向「何かあったって…十神以外は全員ここにいるんだぞ?」


    辺古山「残り20分か……」


    九頭龍「俺らを探しに、別の島まで行っちまったんじゃねーか?」


    花村「となると…十神君抜きで話し合いをする?」


    七海「そうだね…でもその前に、提案があるんだ」


    日向「提案?何だ?」


    七海「タイムリミット10分前になったら、全員バラバラになって、襲撃者に殺されない様に隠れる…なんてのはどうかな?」


    小泉「いいとは思うけど…日向はどうするの?」


    左右田「そっか、日向は単独行動禁止だったな」


    九頭龍「なら、一番襲撃者の可能性が低い狛枝と一緒にいろよ」


    小泉「えっ!?日向は大丈夫なの!?」


    狛枝「ああ…何か随分と信頼がないね、ボク」


    左右田「当たり前だろ!自分が今までにして来たことを忘れたわけじゃないだろうな!」


    七海「………とても反省してる様には見えないよね」


    狛枝「ボクだって無意味に日向クンを死なせたりはしないよ…」


    日向「俺は構わないよ。こいつと少し話したいこともあるからな」


    左右田「お前がそう言うなら…良いけどよ……」


    小泉「危なくなったら叫びなよ!すぐ駆けつけて縛るから!」


    狛枝「だ、だから大丈夫だって」


    辺古山「おい、話が逸れているぞ」


    澪田「そうっすよ。唯吹たち、なんの話をしてたんだっけ?」


    九頭龍「10分後、別れてタイムリミットを迎えるんだろ!」


    澪田「そうそう!じゃあそれまでに赤音ちゃん殺しの犯人を見つけ出すっす!」


    左右田「やっぱ、怪しいのは七海と澪田だな。アリバイがねえし」


    七海「アリバイが無いのは左右田君と十神君もだよね?」


    左右田「俺らはストロベリーハウスに居たんだぞ!連絡エレベーターには日向たちが、タワーには花村たちが居たんだからマスカットハウスに入れないだろ!」


    狛枝「でも、ストロベリーハウスとマスカットハウスを行き来する通路がその二つだけとは限らないよ」


    七海「誰もあの建物の構造を把握してないからね」


    日向「なら、一応左右田と十神も可能性はあるんだな?」
  63. 68 : : 2017/03/27(月) 18:53:34

    辺古山「4人も怪しい人物がいるのか…」


    花村「その中から犯人を見つけるだなんて無理だよ!天ぷら抜きで天丼を作る様なものだよ!」


    左右田「それただの米だな!」


    日向「七海と澪田はずっと一緒にいたのか?」


    七海「ううん。お互い違う個室を調べてたよ」


    辺古山「いつでも終里を殺しに行けたわけか…」


    九頭龍「十神と左右田に関しては、確かめようがないし……」


    狛枝「要するにお手上げって事だね」


    日向「手掛かりは…何か、ないのか…?」








    -10分後-


    日向(ダメだ、分からない……)


    日向(七海にも澪田にも、どちらにも犯行は可能。でも銃をどうやって入手したかが分からない)


    日向(個室にあったら、先に調べた左右田か十神に持ってかれるし……)


    狛枝「ねぇ…そろそろ時間だよ」


    小泉「あと10分…散らばって隠れようって話だったね……」


    辺古山「今は自分の命を守ることを優先させよう」


    澪田「もう誰かが死ぬなんて嫌っすよ…」


    花村「だ、大丈夫だよ!身を隠していれば襲撃者に狙われないって!」


    九頭龍「それじゃあ俺は行くぜ」


    左右田「じゃあな……」


    狛枝「じゃあ日向君、ボクらも行こうか」


    日向「ああ、ってお前またそのファイルを呼んでるのか?」


    狛枝「うん、このコロシアイ学園生活にボクと同じ幸運の才能を持った人が居るんだけど…」


    狛枝「彼はボクみたいなゴミクズとは違って、自分の意思で、絶望を打ち破った”希望の象徴”の名に相応しい人だったんだ!」


    狛枝「尊敬しちゃうよね……」


    日向「…まぁそうだな」
  64. 69 : : 2017/03/27(月) 19:06:32

    -ジャバウォック公園-


    日向「なぁ、狛枝…お前は終里を殺したヤツは誰だと思う?」


    狛枝「怪しい人なら何人かいるけど…どれも確証がないんだよね……」


    日向「そうか………」




    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!



    日向「うわっ……来たのか!」


    狛枝「木の茂みに隠れるってことで良いよね?」ガサガサ


    日向「ああ!」



    俺と狛枝はジャバウォック公園に隠れた。そして、そこで3度目のタイムリミットを迎えた。





    -モーテル-



    \テンテレレンテ-ン/



    罪木「………………」




    罪木「ふ、ふふふ…ふふふふふふ………」




    罪木「もう…終わり、です…よ………」




    罪木「………全て、の…終わり…」





    バタッ




    ??「……………………」
  65. 70 : : 2017/03/27(月) 20:28:48

    モノクマ「おまたせ〜」




    モノクマ「襲撃者さん、起きてる?」




    モノクマ「お待ちかねの、襲撃タイムだよ!」




    モノクマ「襲撃者は、一度の襲撃タイムにつき、1人殺せます」




    モノクマ「さぁ、今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」





    残り生存者数

    10人
  66. 71 : : 2017/03/28(火) 18:39:48




    日向「んー……」


    日向「………屋外で寝たからか、背中が痛いな……」


    狛枝「ああ…おはよう。日向クン」


    日向「俺らは生き残ったみたいだな」


    日向「誰も殺されてなきゃ良いけど…」


    狛枝「あ、ボクらは誰がどこでタイムリミットを迎えたのか知らないんだよね………」


    日向「そうだったな。よし、最初の島から回って行こう」




    -牧場-


    花村「ひ、日向君!」


    辺古山「無事だったか!」


    日向「花村に辺古山、それに九頭龍も!お前ら、一緒に居たのか?」


    九頭龍「アホか、さっき会ったばかりだ」


    日向「そうか。まぁ無事で何よりだ」


    狛枝「あとは七海さんと十神クンと小泉さんと澪田さんと左右田クンだね」


  67. 72 : : 2017/03/28(火) 18:50:16


    -図書館-


    花村「うーん、ここには居ないね」



    -遺跡-


    九頭龍「ここもハズレか…」




    -ダイナー-


    辺古山「あとはビーチハウスだけだ」


    日向「この島には誰も隠れなかったのか?」





    -ビーチハウス前-


    ガチャガチャ


    日向「ん?」


    九頭龍「おい、日向。何遊んでやがる!さっさと開けろや!」


    日向「開かないんだ。奥で何かがつっかえてるのかも」


    花村「ここって僕と日向君が調べた時以来誰も来てないはずだよ」


    狛枝「じゃあ誰かがこの中でタイムリミットを迎えたんだね」



    嫌な予感がする。


    もし中の奴が襲撃されないように出入り口を封鎖してたとしても、もうそいつは起きて封鎖を解いてるはず。


    じゃあ中の奴は動けない状態なのか?


    それとも襲撃者がいるのか?着替えが出来ないビーチハウスで血を浴びてしまった、とか…



    辺古山「おい、日向。何をしている?もう一つの入り口から入るぞ!」


    日向「あ、悪い。今行……」



    花村「うぎゃあああああああああああああああ!!」





    日向「花村!?」



    先にビーチハウスに入っていった花村が叫び出した。

    つまり、ビーチハウス内で何かが起こっている。思わず叫びたくなるような、何かが…………
  68. 73 : : 2017/03/28(火) 18:58:04




    -ビーチハウス-


    辺古山「何があったんだ!?」


    狛枝「あ、あれだよ……」





    狛枝が指差した先には、モノクマナイフが刺さったうえに、バングルの毒が回って死んでいる 超高校級の写真家 小泉真昼の変わり果てた姿があった。



    日向「こ、小泉!!」




    花村「これって、襲撃者の仕業……なの?」


    九頭龍「馬鹿が…それ以外に何があるんだ……」


    日向「…これって、襲撃だけじゃない。小泉はNG行動も侵しているんじゃないか?」


    狛枝「へぇ…ねぇ日向クン。小泉さんのNG行動って何なの?」


    日向(知ってるくせに……)




    日向「えっと、小泉のNG行動は……」




    --写真を撮る--



    狛枝「”写真を撮る”?ということは小泉さんは襲撃された後、最期に一枚、写真家として何かを撮りたかったのかな?」


    日向「そうだと思う。そしてその写真に写っているのは…多分襲撃者だ!」


    日向「きっと、小泉は最期に襲撃者に繋がる証拠を残してくれたんだ」


    九頭龍「あいつ……」


    花村「ね、ねぇ!じゃあ見てみようよ!」


    九頭龍「当たり前だ!そしてそこに写ってる奴をぶっ殺して、この殺し合いを終わらせてやる」




    俺たちは小泉の血塗れのカメラを見た。




    ぼやけていたが、そこに写っていたのは、返り血で真っ赤に染まったツナギを着て、半笑いで外を見つめている………







    左右田の姿だった。
  69. 74 : : 2017/03/29(水) 13:51:02

    花村「そ、左右田君!?」


    辺古山「まさか…襲撃者の正体は左右田なのか!?」


    狛枝「これに写ってる以上、そうとしか考えられないね」


    九頭龍「しかもこいつ…笑ってやがる……」



    日向(本当に…左右田が?)



    日向(この写真に、何か違和感を感じる……)




    花村「……みんな、左右田君を探そうよ」


    九頭龍「あ、ああ。そうだな…」


    花村「じゃあ僕はホテルのある島を調べてくるよ!」


    辺古山「なら私はこの島を探そう」


    日向「俺は3番目の島を見てくる」


    狛枝「なら、ボクも一緒に行くよ」


    九頭龍「俺は4つ目の島だな。左右田を見つけたら縛っておけ」





    小泉のカメラに写っていたのは間違いなく左右田だ。


    でも、何故左右田は自分が写った写真を消さなかったんだろうか。小泉のカメラは写真を撮る時に音がするやつだ。気がつかないはずない。気づいた上で消さなかったのか。


    そう考えているうちに、俺と狛枝は第3の島に着いた。


    左右田はすぐに見つかった。映画館の近くで、十神と口論していた。
  70. 75 : : 2017/03/29(水) 13:57:42

    -映画館-



    日向「おい、左右田。ちょっといいか?」


    左右田「何だよ!オメーらも俺が襲撃者だとか言うんじゃないだろうな!」


    日向「えっ?」


    十神「お前たち、小泉がビーチハウスで殺されているのを見たか?」


    狛枝「うん。小泉さんのカメラもしっかり見たよ」


    十神「なら分かるだろう。左右田が襲撃者だという事が!」


    左右田「分からねーよ!」


    狛枝「血塗れの左右田クンが写った写真があるんだし、もう否定のしようがないよね…」


    左右田「だからその写真って何だよ!とにかく俺は襲撃者じゃねぇ!!」


    日向「ならどうしてお前はビーチハウスに居たんだよ!」


    左右田「ビーチハウスなんて行ってない!俺はずっとそこで寝てただけだ!!」



    十神「往生際が悪いぞ……さらに言うと、終里を殺害したのも貴様だろう?」



    日向「は?それってどういう…」



    十神「ストロベリーハウスに、ファイナルデットルームという部屋があるんだ。そこにはロシアンルーレットに使う銃があった。お前はあの銃で終里を殺したんだろう?」



    左右田「うっ……だけど俺はストロベリーハウスに居たんだぜ。マスカットハウス3階の終里を殺すなんて不可能だろ!」



    十神「ファイナルデットルームの奥にある部屋、”オクタゴン”に、モノクマ資料室へと繋がる隠し通路があった。お前はこの通路を通って終里を殺し、そして戻ってきたんだろ?」



    左右田「い、いや……いやいや!百歩譲って隠し通路があったとしても、終里は超高校級の体操部だッ!俺が銃を撃つ前に逆にやられるって!」



    十神「お前はそうならないように、催眠薬を塗ったリンゴを、モノクマ資料室に置いておいた……違うか?」


    左右田「ぐっ…………」


    日向「リンゴ?それ、ドッキリハウスに入る前にモノクマから貰ったやつか!?」


    十神「それで終里の動きを封じ、そして殺した。オクタゴンに、使用された形跡のある催眠薬があったからな」


    十神「どうだ、左右田。これが事件の全てだ」




    左右田「………………………」





    左右田「そうだ……俺が、終里を、殺しちまったんだよ………」
  71. 76 : : 2017/03/29(水) 14:04:47

    左右田「でも俺は襲撃者じゃない!それは本当だ!」


    狛枝「うーん。どっちだろうね?彼が襲撃者だと明らかにおかしい行動をしてるのも確かだし……」


    日向「おかしい行動!?」


    狛枝「そう、左右田クンが襲撃者なら、終里さんを殺害した動機であるNG行動の説明がつかなくなる」


    十神「何?左右田のNG行動とは何だ!?」


    狛枝「ボクが言うより、キミがバングルを見せた方が早いんじゃないかな?」


    左右田「………………………」


    左右田は黙ったまま狛枝の提案に頷き、自分のバングルを見せた。




    --室内でタイムリミットを迎える--



    日向「えっ?これが動機なのか?」


    狛枝「うん。立派な動機になるはずだよ?だってドッキリハウスは出口のない建物だ。タイムリミットが来るまでに外に出なきゃ、自分が死ぬことになるからね」


    十神「オクタゴンにあった小窓の傷も貴様の仕業か?」


    左右田「そうだよ。出口を求めてあの部屋に入ったのに、あったのは武器ばかり。人なんて殺したくないし、武器で壁を壊そうと考えたけど無意味だった……」


    狛枝「ま、これで分かったでしょ?彼はNG行動を回避するために人まで殺したんだ。襲撃者はNG行動が無くなるってのに、おかしいよね?」


    日向「そういえば2回目のタイムリミットも、お前だけ外で迎えてたな」


    左右田「あ、ああ。その通りだ!俺は襲撃者じゃないぜ!」


    十神「…………違うな。左右田はその逆をついたんだ」


    十神「律儀にNG行動を守る事で、自分が襲撃者ではないと印象付けようとした。しかし残念だったな……お前が小泉を殺した直後の証拠写真が残っているんだ。もう逃げられまい」


    狛枝「はは…これはそこまで言われるともうお手上げだね」


    左右田「は?何だよそれ!俺は襲撃者じゃないって言ってるだろ!」


    左右田「なぁ、日向!」


    日向「えっ、俺は…」



    日向(俺は左右田を信じてやりたい。でも、あいつが襲撃者ではないということを否定する根拠が何一つ無い……)


    左右田「おい……日向?」


    十神「さて、襲撃者も分かったことだが…こいつの処遇をどうする?」
  72. 77 : : 2017/03/29(水) 14:30:50

    狛枝「ボクの時みたいに縛っておく?」


    十神「……だがこいつは既に4人の命を奪った大罪人だ。しっかりと罰を受けるべきではないか?」


    狛枝「ボクはどちらでも構わないよ。ボクはただ、十神クンたちの意思に従うだけだし…」


    左右田「お前らだけで勝手に話を進めてんじゃねー!」


    十神「そもそもこの話はお前が口出ししていいものでは無い」




    十神「……俺は、左右田の処刑を推薦する」


    左右田「はぁ!?処刑ィ!?」


    狛枝「ま、それでいいと思うよ」


    左右田「ちょっと待てって!まだ日向は答えてないぞ!」


    十神「3人中2人が可決。これで決まりだろう」


    日向「ほ、本当にやるのか…?」


    十神「モノクマは殺人に関与しないと言っていたが、左右田の縄抜けくらいなら手伝うかもしれない」


    狛枝「同じ様に殺人を犯した罪木さんがもう死んでいるんだよ?なら彼も罰を受けるべきじゃないかな」


    左右田「くっ……」


    日向「……………………」


    狛枝「で、どうやって処刑するの?左右田クンのバングルは機能しないんでしょ?」


    十神「……これを使う」


    そう言って十神が取り出したのは、拳銃だった。


    日向「それってもしかして、終里殺害に使われた……」


    十神「そうだ。俺がストロベリーハウスから持ち出した」





    左右田「クソッ……俺は、生きなきゃならねぇのに…………」




    左右田「ソニアさんの分も…生きるって決めたのによ………」




    左右田「どうして…こうなっちまったんだよ…………」




    左右田は、その呟きを最後に口を閉ざした。そして十神に映画館の中に連れていかれた。


    少し経って、中から銃声が響いた。襲撃者である左右田が死んだ。


    つまり、この殺し合いは終わったってことだ。


    8人。最初の人数の半分に犠牲を出してしまったこの殺し合いが、終わった。



    十神は左右田を処刑したことを他のみんなに伝えるため、足早にこの島を去った。



    ---タイムリミットまであと50分---
  73. 78 : : 2017/03/30(木) 17:12:07

    -ライブハウス-


    七海「あ、日向君と狛枝君」


    狛枝「あ、七海さん。十神クンから話は聞いた?」


    七海「うん……左右田君が襲撃者だったって話でしょ?」


    日向「……あれで、本当に良かったのか…?」


    狛枝「その答えは、次のタイムリミットが終われば分かるはずだよ」スタスタ



    日向「おい、狛枝?どこ行くんだよ」


    狛枝「5つ目の島だよ。多分解放されてるからね」


    狛枝「2人も来る?」


    日向「…いや、俺はいい。殺し合いは終わったんだ………」


    七海「日向君が残るなら私も残るよ」


    狛枝「そっか…じゃあまた後でね」






    日向「なぁ七海……俺らの選択は正しかったのか?」


    七海「左右田君を……殺したこと?」


    日向「ああ、なんか変なんだ。左右田はどうして、みすみす写真を撮られたりしたんだろうと思ってさ」


    七海「シャッター音にも気づかないほど焦ってたのかも。あの時、みんな何処かしらに隠れてて、小泉さんを殺したのが、みんなが目覚める直前だった…とか」


    日向「左右田が死んだ以上、それはもう迷宮入りってわけか」



    日向「でも、これで帰れるんだよな?殺し合いは終わるんだよな?」


    七海「うん。出られる…と思うよ」


    七海「日向君はこの島から出られたら何をするの?」


    日向「俺か?まずは死んだみんなの墓を作りたいな。西園寺、弐大、田中、ソニア、終里、小泉……それから罪木と左右田。あいつらも、こんな状況でさえなければ、殺人なんてせずに平和に暮らせたんだ……」


    七海「うん…そうだよね」


    日向「七海は何するんだ?」


    七海「私?うーん…ゲーム。と言いたいところだけど………日向君と同じだよ。みんなのお墓を作る」


    日向「はは…そっか……」


    日向「俺ら、最初は希望ヶ峰学園に入学するはずだったのに、なんでこうなったんだろうな…」


    七海「……………………」

  74. 79 : : 2017/03/30(木) 18:18:43

    それから、俺と七海はタイムリミットが来るまで、お互いNG行動に配慮し合いながら話をした。




    といっても、七海のNG行動は”6回目のタイムリミットを迎える”ことだったから、特に俺が気をつけることは無かったんだけどな…




    -ワタツミ・インダストリアル-




    ガン! ガン!



    狛枝「……………」




    ワタツミ・インダストリアル。


    モノケモノを製造していたり、”学生たちによる暴動”に関するメッセージが書かれたパソコンがあったりとそれなりに有益な情報を得られたけど…


    ボクが一番興味を持ったのは、地下にある”何の変哲も無い5つの個室”だった。



    狛枝「この会社の従業員だった人たちの部屋なのかな?」



    地下にあるということは壁を壊せば水が流れて来るかもしれない。しかも、狙ったように5つ。




    コレを使えば、襲撃者を………




    狛枝「まぁ何事もなく次のタイムリミットで殺し合いが終われば……良いんだろうけどね」






    狛枝「ハァ…左右田クンが襲撃者だったら、どれだけ良かったことか……」




    ---タイムリミットまであと10分---
  75. 80 : : 2017/03/30(木) 23:49:54
    まだ襲撃者生きてそう
    七海のNG行動的にまだ続くんだろうな....
  76. 81 : : 2017/04/01(土) 22:47:10
    期待です
  77. 82 : : 2017/04/02(日) 10:25:54
    >>80
    >>81
    ありがとうございます。



    -ダイナー-


    十神から襲撃者が死んだとの報せを聞き、俺はペコのいる第2の島までやって来た。


    このふざけた殺し合いは終わる。思い出なんざ一つもねぇが、この島から出る前に、ペコと2人きりで話がしたかった。




    九頭龍「これで、終わったんだよな…」



    辺古山「はい。左右田が死に、襲撃者が居なくなった……もう犠牲者は出ないはずです」



    九頭龍「そうか……」





    九頭龍「…なぁ、本当に左右田が襲撃者だったと思うか?」



    辺古山「え、それはどういう……」



    九頭龍「アイツが、ソニアを裏切ってまで襲撃者になるのかと思ってな……」



    辺古山「確かに、考え難い話ですが……」



    辺古山「小泉の写真がある以上、左右田が襲撃者で間違い無いのでは?」




    九頭龍「そうか…ま、それならいいけどよ」



    辺古山「それに、襲撃者がまだ生きていたとしても、私が坊ちゃんを守りますよ…」



    九頭龍「テメーまた道具だからとか言うんじゃねぇだろうな!この島では、お互い普通の高校生通しだ。そんな気遣いはいらねぇよ」



    辺古山「……はい」
  78. 83 : : 2017/04/02(日) 10:28:16



    九頭龍「でもよ、もしまだ殺し合いが続くようなら、覚悟は決めねぇとな…」



    辺古山「覚悟?」




    九頭龍「疑わしい奴を殺すんだ。十神がやったようにな」




    辺古山「……そうですね」




    九頭龍「襲撃者は敵だ。だけど…それ以外の奴らがこれ以上死ぬのは看過できねぇ」





    九頭龍「もう今日一日で八人も死んでるんだからな……」




    辺古山「はい…」



    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!



    九頭龍「来たか……」



    辺古山「大丈夫ですよ…坊ちゃん。私が守りますから……」



    九頭龍「……あぁ、必ず、この島から出るぞ………ペコ」





    -牧場-


    花村「来た…タイムリミット……」


    花村「これで…帰れるんだよね?」


    花村「お母ちゃん……」





    -屋台通り-


    澪田「和一ちゃんが死んで、もう誰も犠牲にならない……」


    澪田「唯吹たちは、帰れるんすよね?」





    -図書館-


    十神「左右田は、殺した。間違いなく死んでいた」


    十神「これで終わる…」


    十神「この俺が…終わらせる……」
  79. 84 : : 2017/04/02(日) 10:30:01

    モノクマ「おまたせ〜」




    モノクマ「襲撃者さん、起きてる?」




    モノクマ「お待ちかねの、襲撃タイムだよ!」




    モノクマ「襲撃者は、一度の襲撃タイムにつき、1人殺せます」




    モノクマ「さぁ、今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」





    残り生存者数

    8人
  80. 85 : : 2017/04/02(日) 10:38:42







    -どこか-




    モノクマ「はいはーい!ボクを呼んだのはだぁれ?」




    ??「…………………」





    モノクマ「おやおや、襲撃者クンじゃないか!それで、何の用?」





    ??「……………………………………」





    モノクマ「え、襲撃を辞めていいかって?何でまたそんなことを…」





    ??「………………………………」







    モノクマ「…………なるほど、左右田クンに罪を被せたまま、残ったみんなでこの島から出ようと目論んでるわけね……」





    モノクマ「お答えしましょう!殺し合いの終了後、襲撃者の正体は全員に発表します」




    ??「!?」





    モノクマ「君に残された道は、自分以外の全滅しかないんだよ」




    モノクマ「うぷ…うぷぷぷ…………」




    ??「………………………」


  81. 86 : : 2017/04/07(金) 21:33:44
    期待してます
  82. 87 : : 2017/04/09(日) 13:40:08
    >>86
    ありがとうございますー!




    -ダイナー-



    辺古山「う………」





    四度目のタイムリミットが明けた。





    目覚めた私は、まず始めに周りを見渡した。





    辺古山「ん?」






    真っ先に目が行ったのは、玄関前の血溜まり。こんなもの、眠る前は無かったはずだ。





    しかも、九頭龍の姿が見えない。ちょうど血溜まりのあった玄関近くで眠っていたのに。



    辺古山「これは…どういうことだ?」






    不安に打ちひしがれ、慌てて扉を開けた私の目に映ったのは……








    超高校級の極道 九頭龍冬彦の死体だった。






    辺古山「坊ちゃん……?」





    私は、守れなかった。




    さっきあんな大口を叩いたにも関わらず、坊ちゃんをお守りすることができなかった。




    私はこの島に来て、初めて泣いた。



    日向達が来ようと気にも留めず、泣き続けた。


  83. 88 : : 2017/04/09(日) 14:12:12


    -ダイナー-






    日向「落ち着いたか?辺古山」



    辺古山「………すまないな。みっともない姿を見せてしまって」





    日向「いや、九頭龍とは昔からの仲だったんだろ?そんなの、悲しまない方がどうかしてるって」




    辺古山「そうだな…」




    日向「九頭龍の……いや、死んだみんなのために今俺たちが出来ることは、襲撃者を見つけて、あいつらの仇を討つことだけだ」




    辺古山「それは…襲撃者を殺すということだな?」




    日向「ああ、流石にもう擁護できない。それに、七海のNG行動の事もあるしな」




    辺古山「七海のNG行動?」





    日向「”6回目のタイムリミットを迎える”。つまり、今回のタイムリミットで襲撃者を捕らえられなきゃ、あいつは終わりなんだ」





    ガチャ




    十神「辺古山、大丈夫か?」




    辺古山「ひとまず、大丈夫だ」





    花村「それにしても狛枝君はどこにいるんだろうね」



    七海「5番目の島に行くって言ってたよ」




    十神「5番目の島?そうか、もう解放されていたのか」



    澪田「じゃあその島に行くっすか?」




    十神「そうだな、だが別の建物に移動するときは全員揃ってからだ。逸れると面倒たからな」




    十神「呉々も警戒を怠るなよ。襲撃者はまだ生きているのだからな」

  84. 89 : : 2017/04/09(日) 15:07:16

    -ワタツミ・インダストリアル-



    工場、屋台通り、軍事施設。隅々まで探したが、狛枝は見つからなかった。



    つまりこの建物に入るはずなのだが……




    花村「どこにも居ないよ!?どういうこと!?」





    十神「喚き散らすな。どうせ隠れているのだろう」




    七海「でも、隠れる理由なんてないよね?」






    澪田「そうっすよねぇ……ん?」






    日向「どうした?澪田」






    澪田「なんか、足音が聞こえる」




    俺は周りを見渡したが、そのとき歩いているやつはいなかった。





    花村「ということは、狛枝君!?」





    辺古山「どこから聞こえるんだ?」






    澪田「うーんと…あっちっす」









    澪田が指差した先にはまだ調べていない扉、そしてすぐ後に扉が開いた。











    狛枝「やぁ、みんな。おはよう」


  85. 90 : : 2017/04/09(日) 15:09:23





    狛枝「……なるほどね。襲撃にあったのは九頭龍君か」







    辺古山「……狛枝、その奥には何があるんだ?」






    狛枝「それを伝える前に、日向君とちょっと話がしたいんだ。いいかな?」






    日向「え、俺と?」






    十神「時間も無いんだ。手短にしろ」






    狛枝「ありがとう。じゃあ来て」





    日向「え、ああ…分かったよ」






    俺は狛枝に連れられて、ワタツミ・インダストリアルの地下に降りた。







    -地下-



    日向「で?俺と話がしたいってどういう事だ」





    狛枝「あはは、そんな警戒しないでいいよ」





    狛枝「ちょっと君に手伝ってもらいたい事があるんだ」






    日向「手伝ってもらいたい事?」






    狛枝「そう、襲撃者だけを殺す計画のね」


  86. 91 : : 2017/04/09(日) 15:12:26


    日向「襲撃者だけ?お前は、もう襲撃者が誰か分かってるのか!?」




    狛枝「いや、分からないよ。襲撃者は推理推測だけでは絶対に見つけられないんだ」





    狛枝「そんなこと出来るのなんて、超高校級の探偵とか、そんな素晴らしい才能を持った人くらいだよ」





    日向「(超高校級の探偵……たしかコロシアイ学園生活にもいたな)」





    日向「というか、分からないならどうするんだよ」





    狛枝「まぁひとまず聞いてよ。作戦があるからさ」











    狛枝「まず、キミには現在生き残っているメンバー……十神君、七海さん、花村君、辺古山さん、澪田さんをそこの5つの個室に、一人ずつ入れて欲しいんだ」



    日向「5つの個室?」




    狛枝「そして、全ての個室の鍵を閉める。そのドアは内側からは開けられないから、中にいる人は閉じ込められた状態になるよ」




    狛枝「扉の前にいれば、個室の中にいる人との距離もそんなに離れないから安全でしょ?」




    日向「ま、まぁそうだな」




    狛枝「そうやって彼らを部屋に閉じ込めた後、ボクはこのスイッチを押す」





    日向「そのスイッチって?」




    狛枝「これは爆弾のスイッチだよ」





    日向「は!?爆弾!?」




    狛枝「もちろんそんなに威力はないけど、使えば壁が少し壊れるだろうね」


  87. 92 : : 2017/04/09(日) 15:16:55




    日向「それを全部の個室に仕掛けてあるのか?」




    狛枝「そうだけど…爆発させるのは一部屋だけだよ」




    狛枝「そしてその部屋の壁が壊れると、外から水が流れ込んで来るんだ。ここ地下だからね」




    日向「え?でも、部屋には鍵が掛かってて、中からは出られないんだったよな?じゃあ…そいつは………」





    狛枝「溺れ死んじゃうね……まぁ、それが狙いだけど」








    日向「………それがお前の考える、襲撃者だけを殺す計画なのか?」






    狛枝「うん。爆弾も軍事施設で一番弱いものを選んだから、隣の部屋が巻き込まれることはないよ」





    日向「待てよ!そんな運頼りな計画に、襲撃者以外の4人の命を預けろってのか!?」






    狛枝「あはは……大丈夫だよ。ボクは超高校級の幸運だからさ。襲撃者の入った部屋の爆弾を、きっと爆発させて見せるよ」




    日向「う……でも、なんでお前は急にそんなことを?」






    日向「突然罪木の味方をし出すようなお前が………」





    日向「殺し合いを楽しんでるようなお前が…………」







    日向「どうして襲撃者を見つけてこの殺し合いを終わらせようとするんだ………?」
  88. 93 : : 2017/04/09(日) 16:27:22



    狛枝「………ボクは、コロシアイ学園生活の資料を見て、思ったんだよ」




    狛枝「ゴミみたいな才能の持ち主でも、みんなの希望に成れるんだって……」




    狛枝「だからボクは、自分の命を懸けてこの殺し合いを終わらせて、真の希望になるんだ」




    日向「命を…懸けて?」




    狛枝は俺の言葉に反応すると、左袖を捲り、バングルを見せて来た。





    --才能を使う--






    狛枝「ボクのNG行動は”才能を使う”ことだ」




    狛枝「襲撃者を殺害出来れば、ボクの幸運が発揮された事になる。つまりボクは、襲撃者を命懸けで殺した、”彼”とも違う超高校級の希望になれる」





    日向「超高校級の…希望……」





    狛枝「改めて、日向クン。ボクの計画に協力してくれないかな」




    狛枝は右手を差し出す。狛枝の幸運は本物だ。この計画に乗ればおそらく襲撃者を殺害できるだろう。


    だけどその計画の穴は、狛枝が死ぬこと。


    たしかにこいつは危険な思想の持ち主だった。でも、そんな奴であろうと、これ以上人が死ぬところなんて見たくない。




    狛枝「………………………」




    でも、今ここでこいつの提案を蹴って襲撃者を逃してしまえば、七海や、他のみんなが殺されてしまう。




    日向「……分かったよ。俺もやる」




    俺は狛枝の手を握った。


    俺たちは、狛枝の命と引き換えに襲撃者を殺す計画を始めた。

  89. 94 : : 2017/04/09(日) 16:51:06

    NG行動 早見表
    狛枝--才能を使う--
    七海--6回目のタイムリミットを迎える--
    ×左右田--室内でタイムリミットを迎える--
    ×ソニア--5人続けて同性の参加者が死亡する--
    十神--着替える--
    ×西園寺--襲撃者に触れる--
    ×終里--文字を書く--
    澪田--脱出カードの所有権を奪われる--
    花村--フランス料理を作る--
    辺古山--九頭龍冬彦が参加者を殺害する--
    ×弐大--参加者の暴力を目撃する--
    ×田中--ハムスターから離れる--
    ×罪木--殺人をせずにタイムリミットを迎える--
    ×九頭龍--金属を握る--
    ×小泉--写真を撮る--
    日向--単独行動をする--

    出す機会無かったのですが辺古山さんのも追加してあります。
  90. 95 : : 2017/04/13(木) 18:55:26














    七海「日向君遅いね」



    花村「ねぇ、もしかしたら狛枝君に何かされてるんじゃあ……」テルテル...











    日向「悪い、待たせたな」




    澪田「創ちゃん!」



    十神「無事だったか!日向」



    花村「狛枝君に何もされてないよね!?」







    狛枝「ボクってそんなに信用されてないの?」







    辺古山「ああ」



    花村「全くだよ!」



    澪田「危ない人っすからね」






    十神「それで?お前たちは下で何をしていたんだ?」




    狛枝「ボクが日向クンにある提案をしたんだよ」




    狛枝「ボクとキミで協力して他の全員を皆殺しにしないか、ってね」




    澪田「えっ!?なんすかそれ!?」




    十神「その提案を俺たちにあっさりバラすと言う事は、日向はその提案を蹴ったのだな?」





    日向「当たり前だろ。みんなを殺すなんて、俺にはできない」




    七海「日向君…」



    花村「そ、そんなにまで僕の事を……」

  91. 96 : : 2017/04/13(木) 18:57:55



    辺古山「だが、次こそ襲撃者を見つけなければならないぞ。七海の命が懸かっているのだからな」







    日向「あ、その前にちょっといいか?」





    日向「腕のバングルを外す方法があるんだ」





    十神「何だと!?」




    七海「…本当なの?日向君」









    日向「……………………」







    日向「……ああ、本当だ」




    花村「ンフフ、日向君が言うなら間違いないね!」




    澪田「それでそれで?その方法って何なんすか?創ちゃん!」




    日向「説明をするためにも、一度、みんな地下に来てくれないか?」



    辺古山「地下に何かあるのだな?」




    十神「それでは、行くとするか」













    辺古山、澪田、花村、十神、七海。






    五人とも、俺に続いて地下への階段を降りている。












    有りもしない腕のバングルを外す方法を知る為に…


  92. 97 : : 2017/04/13(木) 19:00:22







    狛枝の皆殺しの共犯計画を断ったことで、俺はみんなからの信頼を集められた。





    おかげで、皆を簡単な嘘で誘導することが出来た。






    辺古山「バングルが取れたら、睡眠薬も注射される事はないだろうな…」





    十神「つまり殺し合いが終わるということだな」





    花村「僕は殺し合いが終わったら、真っ先に料理を作るよ!結局昨晩のパーティーは有耶無耶になっちゃったからさ」





    花村「皆にも、”超高校級のシェフ”の世界一美味しい料理を堪能して欲しいなぁ」





    澪田「皆でバンドもしたいっす!」








    日向(………みんな、ごめん。騙して……)






    だけど、この作戦が上手くいけば俺たちは解放される。



    俺を含め、残った五人は自由を手に入れられる。




    …だからこそ、皆を騙してでも、作戦を成功に導いてみせる。

  93. 98 : : 2017/04/15(土) 09:12:31




    -地下-


    最後尾に並んでいた狛枝が揃ったところで、辺古山が話を切り出した。





    辺古山「では日向、バングルを外す方法を教えて貰おうか」




    日向「ああ、分かった。聞いてくれ…」





    ここからが本番だ。全員をそれぞれ別の部屋に隔離し、鍵を閉めて封鎖する。





    日向「そこに、五つの部屋があるだろ?その部屋の中に、スイッチがあるんだ」





    花村「スイッチ?」




    日向「壁にくっ付いてて、取り外すことが出来ないんだ。で、その五つのスイッチを全部同時に押せば、バングルは外れる」





    十神「ほぅ、なるほど……」







    十神「だが、一つ聞かせてもらうぞ。その話を誰から聞いた?」




    十神「部屋には、そのスイッチに関する説明書らしき物は何処にもない」





    十神「モノクマからの情報提供などは論外だ。最悪、参加拒否させて貰うぞ」







    日向(警戒している……?いや、客観的になって考えればこの話はかなり胡散臭いかもしれないな……)





    日向(十神がモノクマを危険視しているなら、あいつと対立している奴からの入れ知恵だと偽ればいい)




    日向「………この情報を教えてくれたのは、モノミだ」


  94. 99 : : 2017/04/15(土) 09:17:25



    辺古山「モノミが?」




    花村「で、でも…モノミだってモノクマの仲間かもしれないよ!?同じ”動くぬいぐるみ”だし…」






    七海「…………でもモノミは、モノクマがこの島に来る前…ウサミのときからずっと、私たちを守ろうとしていたよね?」




    七海「そのモノミが言ったのなら、私は信じられる」





    十神「フン、良いだろう。襲撃者に関する手がかりなど一つも見つかっていない今、これに賭けてみるしか無いしな」





    花村「僕も、日向君とモノミを信じるよ!」






    辺古山「襲撃者を見つける前に……まず全員の命の危機を排除する方が先決だな」






    澪田「唯吹は左手のバングルの下の辺りがスゲーかゆいっす!早く取ってボリボリしたいっすー!」





    狛枝「ボクはもちろんみんなの意見に賛成だよ」







    全員が賛同してくれた。




    次は別々の部屋に閉じ込める。




    そしたら後は狛枝にバトンタッチだ。


  95. 100 : : 2017/04/15(土) 09:23:42





    澪田「それで?誰がどの部屋に行くっすか?」





    日向「俺は念のため、誰かもう一人と一緒にここに残る。五人だから…後一人抜けなくちゃならないな」





    十神「狛枝。お前が抜けろ」





    狛枝「もちろん、言われずとも引き下がるつもりだったよ。キミたちの活躍の邪魔をするなんて烏滸がましい事、ボクには出来ないからね」






    花村「え〜っと、それじゃあ、僕と七海さんと辺古山さんと澪田さんと十神君の五人だね?」






    ひとまず、五人を個室に向かわせることには成功した。





    十神「部屋割りはどうする?」





    澪田「唯吹はもちろんど真ん中ー!」






    澪田が中央の個室に、






    七海「私は端っこでいいや…」






    七海は左隅の個室に、






    花村「オオ!?なら僕は澪田さんと七海さんの真ん中にダイブするよ!」






    花村はその中間の個室に、







    辺古山「十神、どっちにする?」






    十神「どちらでもいい。それより…急ぐぞ」







    十神は澪田の隣の個室に、







    辺古山「ああ、分かった」






    辺古山は余った右隅の個室に入った。




  96. 101 : : 2017/04/15(土) 09:30:56




    日向「みんなー!聞こえるかー!スイッチを押すタイミングは、俺が合図を送った直後だ!」





    それぞれの部屋から、俺の意見を肯定する返事が聞こえて来る。





    そして、奥で合図を待ち構えているであろう七海たちには聞こえないように、静かに扉の鍵を掛けていった。
















    日向「………狛枝、終わったぞ」





    狛枝「うん。実に見事な誘導だったよ。キミはもしかすると、超高校級の話術士とかだったりするのかな?」





    日向「何だそれ…」







    狛枝「キミは信じてくれた彼らを騙しているという罪悪感に苛まれながらも、見事にやりきった」




    狛枝「次は、ボクが希望になる番だ」







    狛枝は、徐にポケットからスイッチを取り出した。






    狛枝「このスイッチがどの部屋を起爆させるかは、もうボクにもわからない」





    狛枝「でも、ボクは自分の運を信じてるから………必ず襲撃者の入った個室を狙えるはずだよ」


  97. 102 : : 2017/04/15(土) 09:36:51








    緊張で手に汗を感じる。






    俺の表情は今までに無いくらいに険しくなっているだろう。






    そして、狛枝がボタンに手を掛けた。






    とうとう、今まで散々俺たちを苦しませて来た襲撃者の正体が分かる。





    締め付けられた感情に足を取られたようにじっと立っていると、遂に、狛枝が爆破スイッチを押した。







    ドン!






    爆発音が鳴り響いた。






    たいした音量では無いのだろうが、静寂の中で突然の出来事だったからか、枕元に落雷が落ちたくらいの爆音に感じた。





    個室の中からは、困惑と焦燥の声が聞こえて来る。






    日向「これは……」












    \テンテレレンテ-ン/







    今度は隣で、聞き覚えのない音が鳴った。


  98. 103 : : 2017/04/15(土) 09:45:31



    真横を見ると、バングルを発生源として左半身に毒が回って行く狛枝と視線が合った。







    狛枝「あは…はは……どうやら成功したみたいだ……”運良く”襲撃者の居る部屋を爆発させることが出来たみたいだね………」









    狛枝「日向クン。ボクは……希望に成れたのかな………」








    ドサッ






    俺の返答を聞く前に、狛枝は倒れた。






    日向「……………………」






    日向「俺はお前の言う希望を完全に理解できてるわけじゃ無いから、断言は出来ないけど………」





    日向「少なくとも、近づくことはできたと思うぞ」







    そう倒れ込んだ狛枝に答え返した。






















    モノクマ「なんと!ここに来て二名の生徒の死亡を確認!」





    日向「モノクマ!?」






    モノクマ「やってくれましたねぇ、キミたち」






    日向「二名ってことは、狛枝と襲撃者が死んだんだな……?」





    モノクマ「はいはい、そうですよー」





    その言葉を聞くや否や、すぐさま全ての部屋の鍵を開けた。
















    全員が揃うのに時間はかからなかった。











    俺、花村、澪田、辺古山、












    そして七海。






    五人全員が揃ったところで、俺は真っ先に謝罪の言葉を口にした。




    日向「みんな、騙してて悪かった!」


  99. 104 : : 2017/04/15(土) 09:53:36




    花村「…えっと、どう言うこと?」





    俺は事情を飲み込めていない花村たちに、狛枝の計画を伝えた。









    日向「…………と言うわけなんだ」






    当然のことだが、みんな呆然としていた。




    いつの間にか自分が命の危機に晒されていたのだ。致し方無いだろう。




    計画に巻き込んだ俺のことを恨んでいてもおかしくない。






    七海「……日向君。騙したのは良いことでは無いんだろうけど、私は君達を責めるつもりなんてないよ」





    日向「え?」





    花村「うん。日向君がこの計画に乗ったのは、出来るだけ犠牲を少なくしたかったから、なんでしょ?」





    辺古山「襲撃者の死は私の望みだ。それを果たしてくれたお前達を責める事などしない」





    澪田「最終的に、唯吹達は生きてるっすから、創ちゃん達を責める理由なんてないっす!」







    日向「みんな……」






    七海「だからさ、辛いとは思うけど見届けよう。十神君の最期を…」






    七海「今まで私たちを引っ張ってくれた、リーダーの最期を」

  100. 105 : : 2017/04/15(土) 23:31:37




    部屋の中はおそらく水でいっぱいだろう。開けた途端に大量の海水が溢れてくるはずだ。





    日向「よし、開けるぞ」





    俺以外は、扉から離れた位置で見守っている。





    そして、俺は扉に手を掛けた。






    扉はドアノブを少し傾けただけで、水の圧力に押されて勢いよく開いた。




    それなりに体幹は強い方だと思っていたが、俺はあっさりと吹き飛ばされた。











    日向「いてて…」




    七海「大丈夫?日向君」




    日向「ああ、それより十神は?」





    辺古山「部屋の奥だ」





    十神は辺古山の言う通り、個室の奥に俯せで倒れていた。





    花村「本当に十神君が襲撃者だったんだ……今でも信じられないよ」





    澪田「あんなに唯吹たちを思ってくれてたのに……」





    辺古山「確かに十神と襲撃者はあまり結びつかないな」





    日向「でも、振り返ってみれば、一番襲撃者らしい行動をしていたのは十神だった」


  101. 106 : : 2017/04/15(土) 23:34:04




    日向「あいつはおそらく、一番近くにいた奴を狙ったんだ」




    日向「最初のタイムリミットでは一緒にロビーにいた弐大を殺した」





    日向「二回目のタイムリミットは、みんなライブハウスで迎えたからそんなに差はないと思うけど、すぐ横で眠っていた田中を殺した」




    日向「三回目と四回目は別れていたから断言出来ないけど、俺らより先に小泉の写真を見ていたことから、第2の島でタイムリミットを迎えた可能性が高い」






    澪田「真昼ちゃんの写真で思い出したんすけど、あそこに写ってたのは和一ちゃんっすよね?」





    花村「そう言えばそうだね。なんで左右田君が写ってたのかな」





    七海「単純に変装しただけ……だと思うよ?」





    辺古山「ヤツのNG行動は”着替える”ことでは無かったか?」






    七海「襲撃者はNG行動が無くなるから問題ないはずだよ」




    辺古山「そうだったな………」







    そうだ。あの写真を見たときに感じた違和感。




    左右田がやけに膨よかに写っていたのはブレたからだと思っていたが、違っていた。




    小泉の写真はブレてなどいなかった。




    十神は左右田の姿で小泉を刺し、あえて写真を撮られたんだ。
  102. 107 : : 2017/04/15(土) 23:37:48





    辺古山「そうやって、左右田に襲撃者疑惑を集めて、最後には殺したのか…………」





    日向「思い返せば、左右田を殺すと初めに言い出したのも十神だ」





    花村「じゃあ、何で左右田君に罪を擦りつけたのに襲撃を続けたのかな?」





    辺古山「坊ちゃんを殺したら、まだ襲撃者はいると私たちにバレてしまう。あいつにとってデメリットの方が大きい筈だが……」






    モノクマ「モノクマ登場!」パッパラパー!







    澪田「ぎゃあああ!出たーー!!」




    モノクマ「彼がなぜ、四度目の襲撃を行なったのか………その理由は、ボクが『殺らねば殺す』と言ったからです!」




    モノクマ「アイツは折角襲撃者の容疑を他人に擦りつけることに成功したのに、命惜しさに再び自分の手を汚したんだー!」





    澪田「ええっ!?」





    辺古山「貴様さえいなければ………坊ちゃんが死ぬことも無かったのだな……………」ゴゴゴゴゴ




    モノクマ「ぎゃー!怖いよ〜!」ビクビクゥ!



  103. 108 : : 2017/04/15(土) 23:40:47




    七海「ねぇモノクマ、あなたは十神君が襲撃者になった動機を知ってるんでしょ?」




    モノクマ「んん?」




    日向「十神ほどの奴が自分の為に人を殺すなんて、やっぱり信じられない!もしかするとモノクマが脅したとかじゃないのか!?」






    モノクマ「聞き捨てならねーなぁ、オイ!」





    モノクマ「それはキミらが十神白夜君を………いや、超高校級の詐欺師君のことを何も知らないからだよ!」






    辺古山「超高校級の詐欺師?」





    七海「……………………」






    モノクマ「彼には、名前も家族も無い。他人の姿を使ってしか生きていけない、だからこそ、超高校級の詐欺師と呼ばれるようになったのです」





    日向「名前も、家族も無い……?じゃあまさか、あいつの動機は……」






    モノクマ「御察しの通り、彼ほど欲しいものが多い人など居ないでしょうからな」





    モノクマ「名前でも家族でも、生き残れば与えてあげたのに………死んじゃったら意味ないよね」







  104. 109 : : 2017/04/15(土) 23:43:46





    モノクマ「アーッハッハッハ!ブヒャヒャヒャヒャ!」





    モノクマの高笑いが響き渡る。襲撃者の正体も、その動機も分かった。





    殺し合いが終わる条件を、完璧に満たしたのだ。





    だけど俺たちは失ったものの大きさに気付かされた。





    西園寺、弐大、ソニア、田中、終里、罪木、小泉、左右田、九頭龍、十神、狛枝。






    道を踏み外した者もいるが、彼らは紛れもなく俺たちの仲間だった。






    モノクマさえいなければ、俺たちは希望ヶ峰学園で何の刺激もなく、穏やかで幸せで平穏な学園生活を送れていただろうに。






    七海「日向君……」




    日向「な、何だ?」





    いつの間にかモノクマは消えており、静まり返っていた地下の広間で、七海が話し始めた。





    七海「襲撃者が居なくなって、もう実質、殺し合いは終わったよね……」






    七海「だったら、直ぐにとは言わないけど、前を向かなくちゃダメだよ……」





    七海「ここから出ても、君たちが戦わなくちゃならない敵は、まだいると思うから………」


  105. 110 : : 2017/04/15(土) 23:46:44




    日向「戦わなくちゃならない敵?」





    七海「うん、私も応援するからさ。だから、こんな所で朽ち果てちゃダメだよ」




    辺古山「応援か…可笑しなことを言うな。お前も共に戦う仲間だろう」




    花村「僕らは運命共同体だよ!」




    澪田「みんなの未来を背負って頑張るっすよ!」






    日向「未来を………?」






    花村「この島から出たら、君らだけにでも僕の料理を味わって欲しいな!」





    澪田「唯吹の曲も聴いてほしいっすー!」






    日向「……ああ、そうだな」








    ピンポンパンポーン








    『えーと、殺し合いの終了が確定したんで、卒業式を執り行います!生き残った生徒諸君は、第二の島の遺跡に集合してください!』






    プツン

  106. 111 : : 2017/04/16(日) 00:32:02



    日向「遺跡?」





    辺古山「あそこの扉は開かないはずだったが……」





    花村「開けてくれるのかな?」






    澪田「奥には船があるのかも!」





    花村「フッフーン。なら、行くしかないね!」













    七海「日向君」







    日向「ん、どうしたんだ?」







    七海「………」






    七海「負けないでね。私は、ずっと君たちを応援してるから」






    日向「何言ってんだよ。これからも一緒だろ?」








    七海にそう告げたあと、花村たちの後を追って遺跡まで走った。






    五人。最初の三分の一の人数にまで減ってしまった。





    それでも、苦難を乗り越え、生き残った。








    俺たちには未来がある。







    まだまだ人生は続く。







    これからも辛い事があるかもしれない。








    でも、この殺し合いを生き長らえた仲間たちとなら、どんな事にでも打ち勝つ事が出来る。






    そんな強い確信と仲間たちへの信頼を心に秘めて、俺たちは遺跡の門を潜って行った。








    END

  107. 112 : : 2017/04/16(日) 00:35:35
    終わりです。
    生き残ったのが日向君、七海さん、辺古山さん、澪田さん、花村君に変わっただけであとの展開は原作の6章と同じだと思います。

    最後まで見ていただきありがとうございました。
  108. 113 : : 2017/04/16(日) 09:20:03
    乙です 花村と澪田とペコなど本編ではあんまり出番なかった面子が生き残ったのが意外でした
  109. 114 : : 2017/04/16(日) 16:14:28
    >>113
    ありがとうございます。

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rain2000

雨太浪

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