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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

ニューダンガンロンパV3 The End of 才囚学園

    • Good
    • 17

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  1. 1 : : 2017/03/11(土) 18:30:27
    初ssです。
    ダンガンロンパV3のネタバレが多少あります。
    なるべく完結させたいです。



    ٩( ᐛ )و
  2. 2 : : 2017/03/11(土) 18:34:04
    コロシアイ新学期が始まって5日目の夜


    モノクマに提示された動機『タイムリミット』の30分前。突然、アナウンスにより僕達は体育館に呼び出された




    -体育館-

    モノクマ「はい、全員集まったみたいですね!」


    真宮寺「もうすぐタイムリミットを迎えるけど、この呼び出しはそれに関係しているのかな?」


    モノクマ「その通りだよ! 実はアレ、中止にすることになりました!」


    赤松「えっ、中止?」


    モノクマ「そう、中止だよ。延期じゃないよ。ついでに校則もガラリと変わってるから見ておいてね」
  3. 3 : : 2017/03/11(土) 18:36:33

    百田「おいちょっと待てモノクマ! 意味が分かんねーよ! 何で急にそんなこと言い出したんだ?」


    モノクマ「まぁまぁ、タイムリミットが無くなって全滅せずに済んだんだし、良かったじゃん!」


    白銀「それはそうだけど...」

    モノクマ「それじゃ、この話はお終いだからボクは帰るね! 我が子たちがお腹を空かせて待っているからね!」



    そう言ってモノクマは姿を消した。



    最原「行っちゃった…」


    真宮寺「モノクマーズは今頃、僕の残したパスタを食べているだろうけどネ」


    入間「とりあえず変わったっていう校則を確認して置こうぜ! 気がつかないうちに違反しちまうバカが出ねーようにな」


    王馬「変態肉便器の入間ちゃんにしては、まともな意見だね!」


    入間「に、肉便器ィ!?」



    入間の提案に賛同し、各々がモノパッドを起動する。





    赤松「えっと、1つ目の”共同生活に期限はない”ってやつは変わってないね」


    東条「つまり、ここでの生活は続くという事かしら」


    最原「でも…、2つ目から6つ目の『学級裁判』についての校則と『死体発見アナウンス』が丸ごと無くなってるみたいだ」


    天海「つまり、本当に殺し合いはしなくていいって事っすかね?」


    茶柱「『夜時間』と『モノクマへの暴力禁止』、『モノクマは殺人に関与しない』、『モノパッドは壊さない』、『校則違反者をエグイサルで処分する』の5項目は残されてるみたいです!」



    星「そして追加された校則が…




    『腕につけられたバングルは外さないでください』




    だとよ」
  4. 4 : : 2017/03/11(土) 18:40:55

    夢野「んあ?バングルとはなんじゃ?」


    赤松「詳しくはわからないけど、学級裁判が無くなったってことは、もう殺し合いをする必要なんてないんだよね?」


    獄原「えっ!本当に!?」


    最原「確かに『殺人をして裁判を乗り切ればここから出られる』というルールが無くなった以上、もう殺し合いをする必要なんて無いね」


    王馬「良かったー。もう怯えて過ごす必要もないんだね」


    キーボ「今まで王馬クンが怯えているようには見えませんでしたが…」


    王馬「ロボには人の感情なんて分からないもんね! という訳で、俺はもう眠たいから部屋に帰るね」


    白銀「……そっか、もう夜時間だもんね」


    東条「今後のことについて話し合うのは明日にしましょうか」


    キーボ「そうですね、ではおやすみなさい」


    最原「みんな、おやすみ…」



    散り散りになって行く生徒たちの後ろ姿を見つめながら、僕は思考を働かせる。





    最原(本当にこのまま殺し合いは終わるのか?あの『タイムリミット』をあっけなく取り下げたのもおかしい。それに追加された校則も気になるし…)






    赤松「あれ? 最原君、部屋に戻らないの?」


    最原「え、あぁごめん、ボーッとしてたよ。帰ろっか赤松さん」















    モノクマ「……………」



    モノクマ「…………うぷぷぷ……」
  5. 6 : : 2017/03/11(土) 18:47:12
    期待ですぅ(っ´ω`c)
  6. 8 : : 2017/03/11(土) 18:50:40

    翌朝




    殺し合いが終わったという安堵感から、僕は久々にゆっくりと眠ることが出来た。


    そういえば朝のアナウンスが鳴らなかった。もう必要なくなったのか、それとも別の理由があるのか。




    最原「とりあえず食堂に行こうかな」


    最原「って、ん?なんだこれ」



    僕の腕には昨日寝るまでは無かった、“変なもの”が付いていた。そして、触れると突然文字が浮かび上がった。



    【暴力を振るう】



    最原(暴力?なんのことだ?)


    最原「…………」


    最原「まぁ、いいか。食堂へ行かないと」
  7. 9 : : 2017/03/11(土) 18:59:01



    -食堂-


    百田「お、最原!」


    最原「おはよう、みんな」



    食堂にはモノクマも含めて、僕以外の全員が揃っていた。



    モノクマ「遅いよ最原クン!ボクはもう話したくてウズウズしてるのに!」


    最原「話すって何を?」


    星「もう全員揃ったんだぜ。はやく用件を言ってくれ」






    モノクマ「それじゃあ発表したいと思います!オマエラには、殺し合いをしてもらいまーす!」





    モノクマの宣言は食堂に沈黙をもたらした。静寂を破ったのは入間さんの声。



    入間「……は? 何言ってんだ、殺し合いは昨日で終わっただろうが!」


    赤松「学級裁判に関する校則が無くなった以上、私たちが殺し合う必要なんてないはずだよ!」


    百田「その通りだ。寝言は寝て言えってんだ!」




    次々と、モノクマの発言に異を唱える声が上がる。




    モノクマ「それはオマエラが勝手にそう思い込んでるだけでしょ?ボクはそんなこと一言も言ってないよ」


    最原「じゃあ、何の為に校則を変えたんだ!」


    モノクマ「何回も同じルールで殺し合いを続けてるとさ、みんな飽きちゃうんだよね。だから今回は『新ルール』で殺し合いをして貰おう!ということです」
  8. 10 : : 2017/03/11(土) 19:03:34


    東条「新ルール?」


    モノクマ「新ルールでは、いくら人を殺してもお咎めなし! 裁判も行われないんだよ!」


    白銀「え? ちょっと、どういうことなの?」


    夢野「そもそも殺す気なんてないがな」


    赤松「当然だよ!私たちは殺し合いなんてしない!」


    モノクマ「まぁそういうだろうと思ってたよ。でもこの新ルールを最後まで聞いたら、そんな余裕なくなるだろうねぇ」


    天海「その言い分からして、まだあるみたいっすね。新ルール」


    王馬「もったいぶってないで言ってよ。キー坊が早く殺したくてたまらないって顔をしてるよ!」


    キーボ「してませんっ! 勝手なこと言わないでくださいよ!」



    モノクマ「うぷぷぷぷ……。実はね、これから2時間経つごとに『タイムリミット』が来て、オマエラは腕に付けられたバングルから睡眠薬を打たれて眠らされるんだよ」



    百田「腕のバングル?うおっ、なんだコレ!?」


    入間「今まで気付いてなかったのかよ!? テメーは救いようのないバカだな!」


    獄原「ゴン太も気付かなかったよ……」




    見渡せば、僕以外の全員も腕に同じバングルが取り付けられていた。
  9. 11 : : 2017/03/11(土) 19:08:39

    天海「続きを話してください。眠らされるだけじゃないっすよね」


    モノクマ「勿論それだけじゃないよ。みんなが眠らされた後、この中に潜んでいる『襲撃者』が動き出すんだ」


    東条「……襲撃者?」


    モノクマ「襲撃者のバングルには睡眠薬は打ち込まれません。そして、襲撃者はオマエラが眠っている間に誰かを殺しに行きます!」


    夢野「なんじゃと!?」


    王馬「へぇ…」


    夜長「ホントにアンジー達の中に襲撃者なんているの〜?」


    モノクマ「当然です。生き残りたければ、襲撃者を見つけ出して殺しちゃってください!タイムリミットが過ぎて、誰も犠牲者が現れなければ襲撃者はいなくなったということでこの学園から脱出できます」


    茶柱「えっ? ここから出られるんですか!?」


    春川「落ち着きなよ。まずは襲撃者を殺さないといけないんだよ」


    入間「うるせぇ! 俺様はこんなゲームやらねぇからな! さっさとこんなバングル外して……」


    赤松「待って入間さん! 追加された校則を思い出してよ」





    『腕につけられたバングルは外さないでください』




    赤松「校則を破ったら、処刑されちゃうんだよ」


    真宮寺「なるほど、どうやら僕たちは殺し合いからは逃げられないようだネ……」


    入間「くそっ、マジかよ……」
  10. 12 : : 2017/03/11(土) 19:13:27


    王馬「ふーん、つまり2時間後にはこの中の誰かが死体になってるんだね!」


    茶柱「何で貴方は楽しそうにしてるんですか! 大ピンチなんですよ?」


    王馬「大ピンチって何で? 襲撃者1人を殺せば、残った全員でここから出られるんだよ?」


    赤松「何も殺さなくても、縛っておけばいいじゃん」


    王馬「それでモノクマが満足すると思う? 縄で縛ってもほどくだろうし、生き埋めにしたって掘り起こされると思うよ。襲撃者が生きてるうちは、ゲームは終わらないだろうね」


    最原「じゃあ、僕らに残された道は……」


    星「襲撃者を殺してタイムリミットを迎える。これしかないだろうな」



    その言葉を機に、食堂の空気が変わった。互いを疑い合う状況。最初に殺し合いを強要された時と同じだった。



    夢野「誰じゃ! 誰が襲撃者なんじゃ!」


    入間「さっさと名乗り出ろ! 名乗り出ねぇとぶっ殺すぞ!」


    獄原「誰か分からないのにどうやって殺すの!?」


    キーボ「みなさん落ち着いてください!」


    東条「いたとしても、この流れじゃ名乗り出るとは思えないわね」


    モノクマ「あ、そうそう、言い忘れてたんだけど……」



    入間「うるせぇクマカス! 俺様たちは襲撃者探しで忙しいんだよ! それ以上喋ると24時間勃起する体に改造して……」







    \テンテレレンテ-ン/
  11. 13 : : 2017/03/11(土) 19:20:47



    星「ん?何の音だ?」


    茶柱「い、入間さん!?」



    茶柱さんの震えた声を聞き、僕らは一斉に入間さんの方を見た。




    入間「ぅくっ……え、なに、これ…?」



    入間さんは左腕が気味の悪い紫に変色した状態で、その場に崩れ落ちた。



    赤松「ど、どうしたの?入間さん!」


    キーボ「もしかしてモノクマの仕業でしょうか……?」



    葡萄色に染まった左手首を震源として、彼女の健康的だった白い肌はドス黒く変貌して行く。



    入間「い、嫌だ嫌だ…何な、の……苦し……」



    目や口からは赤黒い血が流れ、涙が紫色の頬を伝って落ちる。



    春川「これ、もしかして毒?」



    床にうつ伏せになりながら胸を押さえて苦しむ入間さんを、僕らは見ていることしか出来なかった。



    入間「かはっ、はぁ…く、いや……いやだ………」




    そして、二度と動かなくなった。






    白銀「う、嘘……死んじゃったの?」


    王馬「うわぁぁぁん! 入間ちゃんっ!」


    夜長「大丈夫だよ〜。神様が美兎を優しく迎えてくれるからね〜」


    獄原「ぜ、全然大丈夫じゃないよ! 入間さんはどうしちゃったの!?」


    真宮寺「どうやら、死んでしまったみたいだネ」


    夢野「うっぷ…」


    茶柱「夢野さん!床に吐いちゃダメです!転子が回収します!」


    キーボ「一体入間さんに何が起こったんですか!?」


    モノクマ「早速やらかしてしまうとは……、流石は入間さんだね」


    百田「おいモノクマ! どういう事か説明しろ!」


    モノクマ「そんなの、入間さんのバングルを見れば分かることだよ」


    星「バングルだと?」


    真宮寺「ふむ、これの事だネ」



    真宮寺君は入間さんの左手のバングルを僕らに見せびらかす。




    【下ネタを言う】





    モノクマ「説明しましょう。入間さんが死んだ原因は『NG行動』です!」


    モノクマ「そこに載っている行動、入間さんで言えば下ネタを言ってしまうと、バングルから致死量の毒が打たれて死んでしまいます」
  12. 14 : : 2017/03/11(土) 19:43:42
    面白いですね!
    期待です!
  13. 15 : : 2017/03/11(土) 19:46:17
    期待です!
  14. 16 : : 2017/03/11(土) 20:01:19



    最原「そんな、入間さん……」


    百田「くそ…本当のバカはどっちだってんだ……」



    昨日、赤松さんと共に彼女にカメラの製作を依頼した思い出が想起される。

    彼女の力は、きっとこの困難な状況下で頼りになっただろう。




    モノクマ「あ、そうそう。ついでに校舎3階とプールとカジノと超高校級のマジシャンの研究教室を解放しておいたよ」


    夢野「んあ?超高校級のマジシャンなどこの中にいたか?」


    春川「あんたでしょ」


    夢野「ウチは魔法使いじゃと何度言えばわかる!」


    モノクマ「うぷぷぷ…頑張って襲撃者を見つけ出してね。バイバーイ」



    モノクマがいなくなった。




    白銀「ちょっと待ってよ! ねぇ何これ!?」


    獄原「落ち着いて白銀さん!」


    白銀「………」



    取り乱す白銀さんを落ち着かせ、入間さんの遺体を僕と天海くんで個室に寝かせて来たところで話し合いが始まった。



    僕らの命を懸けた襲撃者探しが──────








    最初のタイムリミットまであと1時間30分
  15. 17 : : 2017/03/11(土) 20:17:42


    赤松「えっと、これからどうするの?」


    最原「襲撃者探しか、もしくは解放されたエリアを探索するかだね」


    王馬「もちろん襲撃者探しだよ。眠らされるまで時間も無いんだし」


    星「いや、まずは新エリアを見てこようぜ。何かヒントがあるかもしれない」


    王馬「嫌だよ! だって俺は食堂から出られないんだもん!」


    春川「は? 何で?」


    王馬「俺のNG行動は【食堂から出る】ことだからだよ。入間ちゃんの二の舞になんてなりたくないからね」


    夜長「アンジーは小吉に賛成だよ〜。早く襲撃者を見つけ出そうよ」


    東条「みんなを疑うなんてしたくはないけれど…」


    星「もうそんなこと言ってる場合じゃないだろ。時間は限られてるんだしよ」


    王馬「じゃあ早速始めようか。疑心暗鬼の探り合いを……」


    百田「ちょっと待て! まずは探索からにしようぜ」
  16. 18 : : 2017/03/11(土) 20:33:41

    みんなの注目が百田君に集まる。



    真宮寺「…理由を聞かせてくれるかい?」


    王馬「まさか、まだ他人を疑いたくないとか思ってるの? 時間は有限なんだよ」


    百田「俺はこの中に襲撃者なんてのがいるとは思えねぇ。モノクマが俺らを混乱させようとしてるんだよ!」


    東条「確かに、その可能性もあるわね」


    百田「それに、何も情報が無いまま話し合いをしたところで、大して進まねぇだろ!?」


    天海「じゃ、王馬君には食堂で待っててもらうってことっすか?」


    百田「まぁそうなるな」




    百田君の意見にみんなの意志が傾きかけたそのとき、王馬君が口を開いた。




    王馬「ねぇ百田ちゃん、もしかして襲撃者って百田ちゃんなんじゃないの?」


    獄原「えっ、そうなの? 百田君」


    百田「はぁっ? 何言ってんだ! 俺は襲撃者なんかじゃねーよ!」


    王馬「でも襲撃者探しが始まろうとしたら、あからさまに話題をそらしたよね?」


    夜長「確かに怪しいね〜。解斗は襲撃者なの?」


    夢野「いやいや百田とは限らんぞ」


    最原「そうだね、それだけじゃ百田くんが襲撃者だとは言い切れないよ。それに、王馬君はさっき嘘をついたよね」
  17. 19 : : 2017/03/11(土) 20:38:14
    期待です(っ´ω`c)
  18. 20 : : 2017/03/11(土) 20:51:05


    王馬「え、俺は嘘なんてついてないよ?」



    違う、それも嘘だ。
    僕の推理で真実を暴いてみせる。



    最原「君のNG行動は食堂から出ることだってさっき言ってたけど、じゃあ朝、目が覚めた時から食堂にいたの?」


    赤松「どういうこと?」


    最原「『夜時間に食堂に入れない』という校則は無くなってなかったよね。そしてこのバングルはおそらく、僕らが寝てる間につけられた」



    最原「つまりもし王馬君のNG行動が本当に食堂から出ることなら、彼はバングルをつけられた時点で食堂の外に出てるから、死んでいる筈なんだよ」


    獄原「えぇ!? 王馬君ってもう死んでるの!?」


    春川「そんな訳ないでしょ。そいつのNG行動は嘘だったってことだよ」


    百田「何で嘘なんかついたんだよ、王馬!」


    王馬「…………」


    夢野「……だんまりか」


    東条「今のところ、百田君と王馬君が襲撃者候補筆頭かしら」


    百田「うっ、俺も入ってるのか」


    真宮寺「どうしても信じて欲しいなら、それ相応の行動を見せて欲しいネ」


    百田「いいぜ、やってやる! 俺のNG行動は【怪我をする】ことだ!」



    そう言って百田君は自分の左手首を突き出す。




    【怪我をする】
  19. 21 : : 2017/03/11(土) 21:05:16

    キーボ「えっ? そんな大事な事を言っちゃって大丈夫なんですか?」


    百田「俺はこの中に襲撃者なんていないって信じてるからな」


    夢野「ここまでやるということは、やはり百田は襲撃者じゃないのではないか?」


    天海「確かに、入間さんのような能動的な行動ではなく受動的なNG行動をあえて明かすなんて…」


    真宮寺「ククク、美しいヨ! 自分の危険を顧みず、信頼を得るために自らの弱点を晒すなんて!」


    赤松「………」


    最原「赤松さん?どうかしたの?」


    赤松「みんな! 聞いて欲しいの。私のNG行動は【リュックを開ける】ことだよ!」



    さっきまで俯いていた赤松さんも、百田君に倣ってバングルを見せびらかす。




    【リュックを開ける】




    赤松「百田君のNG行動を自分だけが一方的に知ってるなんて不公平だもん。と言っても、私のやつは普通に過ごしていれば回避できるんだけどね」


    獄原「そうだよね。ゴン太も紳士としてみんなに教えるよ。ゴン太は【建物を壊す】ことがNG行動だよ」



    【建物を壊す】


  20. 22 : : 2017/03/11(土) 22:04:51


    百田君、赤松さんに続きゴン太君も自らのNG行動を明かす。

    手の内を見せることで、彼らは大きく信頼を得た。




    夢野「んあー。ウチも怪しまれるくらいなら言っとこうかの───


    春川「ねぇ、何かNG行動発表会みたいになってるけど、私は言うつもりは無いよ」


    赤松「えっ?」


    キーボ「確かに…他人にNG行動を知られること自体がNG行動の人もいるかもしれませんしね」


    東条「その可能性もある以上、無理にNG行動を教えさせる訳にはいかないでしょうね。じゃあ、新エリアの探索に行きましょうか」


    星「ちょっと待て!」


    茶柱「えっと…どうしたんですか?」


    星「別れる前に俺のNG行動を伝えておく」


    星「……というより、俺はNG行動が無いんだ」



    【      】



    星君は拳を高く上げる。そのバングルには字が何一つ浮かび上がっていなかった。





    真宮寺「NG行動がない?」


    王馬「何それ、ズルくなーい?」


    赤松「バングルが故障してるとか?」


    星「いや、それはないだろう。今朝付けられたばかりだからな」


    最原「でも、何で星君だけNG行動がないんだろう」


    王馬「そんなの、星ちゃんが襲撃者で自分には危険が及ばないようにNG行動を設定しなかったってだけだよ!」


    星「俺は襲撃者じゃない」


    百田「そうだぜ、もし星が襲撃者だったらNG行動がないってことを俺らに知らせたりしねーだろ!」


    王馬「普通に考えればそうだけど、その裏をかいたのかもよ?」


    百田「いや、その裏の裏をかいたんだ!」


    王馬「じゃあその裏の裏の裏をかいたんだよ!」


    百田「その裏の裏の裏の……あ、裏って何回言った?」


    夢野「そんなのどっちでもいいわい」


    夜長「ねぇねぇ、そんなことより早く探索を終わらせて襲撃者探しをしようよ〜」


    茶柱「あっ、そうでしたね。タイムリミットまであと何分でしたっけ?」


    天海「残り1時間っすね」


    赤松「よーし!じゃあ新しく解放されたエリアを探索してこよう!」



    不安要素をたくさん抱えたまま、食堂から1人、また1人と飛び出して行った。




    最初のタイムリミットまであと1時間
  21. 23 : : 2017/03/11(土) 22:48:42



    時間短縮のために、別々に探索することになった。
    現在、僕と天海君と星君の3人で新エリア、プールを調べている。



    -プール-



    最原「特に何も無いね」


    星「ああ、『夜時間は泳げない』って校則が追加されたくらいか」


    天海「夜時間なんてタイムリミットをあと7回乗り越えないと来ないっすよ」


    最原「……じゃあ、ここは本当に何も無いんだね」



    思った以上に会話が続かない。次に声を出したのは星君だった。



    星「なぁあんたらは俺を疑ってないのか?」


    天海「えっ?」


    星「俺はおそらく生徒内で一番怪しまれてる人物だ。そんな奴と一緒にいても良いのか?」



    孤立を望んでいる星君の、いつもより悲しみを含んだ声が響く。




    最原「えっと、絶対に襲撃者じゃ無いとは言い切れないけど、星くんは僕らを信じてNG行動の事を話してくれたんでしょ?」


    最原「だったら僕も星君を信じるよ」



    天海「俺も最原君と同じ意見っす」



    星「最原…天海…」





    星「大切な存在も、NG行動すらも無い、空っぽな俺を信じてくれるなんてな」






    星「決めたぜ。俺の大切な存在はお前らだ。そして俺のNG行動はお前達を裏切ることだ」



    天海「星君…」


    星「それじゃあもうここに用はねぇな。食堂に戻ろうぜ」



    天海「2人とも、ちょっといいっすか」


    最原「どうしたの? 天海君」



    僕らを引き止めるや否や、天海君はバングルを弄りだす。




    【単独行動をする】




    天海「これが、俺のNG行動っすよ」


    星「単独行動? そういえばあんたは今朝、真宮寺と一緒に食堂に来てたな」


    天海「はい。モノクマに聞いたところ、半径10メートル以内に人がいれば単独行動にはならないそうっす」


    最原「危なかったね。もしかしたら天海君が最初の犠牲者になってたのかも…」
  22. 24 : : 2017/03/11(土) 23:09:05

    天海「俺も2人を信じてるっす。だからこそNG行動も伝えました」


    天海「一方的に知ってるよりはお互い知ってる方が信頼し合えると思ったんで」


    最原「えっと…じゃあ僕のNG行動も教えるよ」


    左腕のバングルに、僕のNG行動が映し出される。




    【暴力を振るう】



    最原「僕のNG行動は暴力を振るうことだよ」


    天海「なるほど、まぁ最原君なら大丈夫そうっすね」


    星「よし、これで3人ともNG行動を把握したな」


    最原「そうだね。それじゃあそろそろここを出ようか」



















    -中庭-



    夜長「………」


    茶柱「………」



    プールから出て、校内へ入ろうとすると寄宿舎の入り口前で2人の女子が手を合わせていた。



    天海「夜長さんに茶柱さん、何してるんすか?」


    夜長「ん〜、アンジー達は神様にお祈りしてるんだよ〜」


    茶柱「入間さんは色々と問題のある人でしたが、転子達の仲間でした」


    夜長「だから美兎が安らかに眠れるようにお祈りしてるんだよ〜」


    最原「そうなんだ…じゃあ、僕らも───








    「うわあああああああああああああああっ!!」






    突然、校舎側から断末魔のような叫び声がした。





    最原「今の声って!」


    茶柱「多分キーボさんです!」


    星「校舎から聞こえたよな」


    天海「とりあえず行ってみましょう」
  23. 25 : : 2017/03/11(土) 23:17:56


    -超高校級のマジシャンの研究教室-



    最原「どうしたの!?」


    キーボ「あっ!最原君、大変なんです!」




    キーボ君が指を指した先には、入間さんと同じ様に左半身に毒が回って倒れこんでいる────













    超高校級のコスプレイヤー、白銀つむぎさんの変わり果てた姿があった。








    茶柱「きゃあああああああああああ!」


    星「白銀!」


    天海「どういうことっすか…?」




    白銀さんの死因は間違いない…



    NG行動だ。






    僕は白銀さんの左腕にあるバングルを押した。




    最原「白銀さんのNG行動は……、え?」




















    【真の首謀者と会話する】



  24. 28 : : 2017/03/12(日) 00:02:29


    NG行動早見表

    最原  --暴力を振るう--
    東条  --???????????--
    百田  --怪我をする--
    夢野  --???????--
    星   --NG行動なし--
    春川  --???????????--
    天海  --単独行動をする--
    茶柱  --??????--
    獄原  --建物を壊す--
    ×白銀  --真の首謀者と会話する--
    王馬  --????????????????--
    夜長  --????--
    真宮寺 --?????????????????--
    ×入間   --下ネタを言う--
    キーボ --????--
    赤松  --リュックを開ける--

    現時点で発覚してる人だけ。
    一応全員決めてます。
  25. 29 : : 2017/03/12(日) 01:59:35
    『?』がNG行動の文字数っぽいから多少はアナグラムできるのかな
  26. 30 : : 2017/03/12(日) 10:21:30


    最原「真の首謀者と会話する?」


    天海「なるほど、だから白銀さんはNG行動のことを知ってからずっと黙っていたんすね」


    キーボ「ボクがこの教室に来たら、もうこの状態で……」




    百田「何かあったのか!?」


    最原「あっ、百田君!」



    まだ来ていなかったメンバーも続々と夢野さんの研究教室に集結した。



    獄原「えっ、白銀さん!?」


    王馬「白銀ちゃんはNG行動で死んでるみたいだけど、それって何だったの?」


    夜長「真の首謀者と会話することだよ〜」


    夢野「んあ? 真の首謀者とは何じゃ?」


    赤松「襲撃者とは違うのかな」


    天海「たぶん別物っす。それと『真の首謀者』って言い方から、白銀さんは『元の首謀者』だったのかもしれません」


    百田「何!? じゃあ白銀が前の首謀者だったってことかよ…」


    天海「じゃなきゃ『真の』なんて表現にしないっすよ」


    キーボ「ではボク達の敵は、襲撃者だけでなく新たな首謀者もなんですね」



    茶柱「そういえば、東条さんと春川さんがいませんけど…」


    真宮寺「春川さんなら3階の奥の部屋の前にいるヨ。部屋に入ろうとすると止められるからネ」


    赤松「東条さんはわからないなぁ」


    夜長「ねぇねぇ〜。時間もないしはやく呼んでこようよ〜」


    最原「そうだね。手分けして連れてこようか」





    こうして僕らはいなくなった2人を探すために再び散らばっって行った。







    最初のタイムリミットまであと30分
  27. 31 : : 2017/03/12(日) 10:49:42

    ーーーーーーーーーー
    ーーーー
    ーーー





    数分後
    夜長アンジーは姿をくらましている2人を探すために食堂に訪れていた。




    夜長「ここにはいないね〜」




    夜長「ところで、そんなところで何してるの〜?」




    アンジーは島生活で鍛えた類い稀なる観察眼で、食堂に潜む何者かを察知した。




    夜長「どうしたの〜? 斬美と魔姫は見つけた?」





    「いや……まだ」







    夜長「じゃあ包丁なんか持ってどうしたの? アンジーは今ご飯食べる気は無いよ〜」






    「………NG行動のせい?」





    夜長「そうともいうね〜」




    「………………」






    「………ごめん。死んで」




    何者かは手に持っていた包丁をアンジーに振りかざした。




    夜長「わ〜!」



    アンジーは軽い身のこなしで、包丁の斬撃を回避する。




    「クッ、外した……」




    夜長「よっと」




    第2撃を繰り出すも、再び躱される。




    夜長「アンジーには神様がついてるからね。簡単にはやられないよ」




    「チッ…」



    食堂の壁は包丁の傷跡が残り、椅子は乱雑に倒されてしまっている。



    夜長「あ〜あ、食堂が滅茶苦茶になっちゃったね〜。それ以上やると、バチが当たるよ」





    「っ……うおォォォッ!」








    夜長「だから当たらな……」




    包丁を避けようとしたアンジーだが、足元の倒れた椅子に躓き、体勢を崩す。




    夜長「うっ!」


    アンジーはよろけて尻餅をつく。



    「今だ…!」



    鈍い音がした。



    仰向けに倒れるアンジーの腹部に、包丁が減り込む。地面を掘り進むドリルのように、肉を抉り進む感覚。


    鮮やかな血飛沫が舞い、犯人の衣服に赤の斑模様が出来上がる。



    夜長「うっ、うぅ……」



    「………はぁ、はぁ」



    犯人は息を切らしながら、食堂を後にする。






    夜長(ううっ、刺されちゃったよ…)





    夜長(ここは神ったダイイングメッセージを……)






    夜長(………にバレないように…暗号化するべきだって、神様も…言っ、てる………)




    夜長「………」
  28. 32 : : 2017/03/12(日) 10:52:31
    アンジーーーーーーー(;゚д゚)
  29. 34 : : 2017/03/12(日) 12:14:50


    僕と赤松さんと天海君と星君の4人は、入間さんの研究教室を訪れていた。



    -超高校級の発明家の研究教室-




    最原「あっ!東条さん」


    東条「最原君、赤松さん、天海君、星君、どうかしたの?」


    天海「えっと、白銀さんが…亡くなりました」


    東条「そう……」


    赤松「あっ、タイムリミットまでもう20分しかない。急いで戻って全員の情報を共有しようよ」


    星「そうだな。ん?最原、どうしたんだ?」


    最原「あっ、何でもないよ」


    最原(……これは使えるぞ)


    最原(入間さん…君の発明品が、僕たちを救えるかもしれない…)


    最原(問題はこれを誰に使うかだよね。やっぱり怪しいのは王馬君かな)


    星「おい本当にどうしたんだ、最原」


    最原「えっ?」


    星「さっきからずっと立ち止まってよ」


    星「もしかして、怖いのか?」


    最原「怖い?」


    最原(そうか…タイムリミットが来て、眠らされて…次に起きたら、誰かが殺されてるかもしれないんだ)


    最原(殺されるのが、僕の可能性も…)


    星「安心しろよ。俺がお前らを守る。もう大切な人を失うなんて嫌だからな」


    最原「星君………」


    最原「うん、ありがとう。絶対に生き残ろうね」




    星君と、男の約束を交わした。













    -超高校級のマジシャンの研究教室-



    東条「白銀さん…」



    王馬「あとは、アンジーちゃんだけだね」



    キーボ「ボクは百田君と王馬君と一緒に3階に行きましたが、そこにアンジーさんは居ませんでした」


    王馬「春川ちゃんが守ってた部屋は分からないけどね!」


    春川「あそこには誰も入れてないって…」


    茶柱「夢野さんと転子は地下とプールと寄宿舎を見て来たんですが…」


    夢野「どこにもアンジーはいなかったぞ」


    赤松「私と最原君と天海君と星君は超高校級の発明家の研究教室を見てきたよ」


    天海「でも東条さんしか居なかったっす」


    真宮寺「僕は2階を見てきたヨ」


    獄原「ゴン太は外を探してたんだけどね、変なものを見つけたんだよ」


    最原「変なものって?」



    獄原「”いは うま”って書かれた石碑だよ」
  30. 35 : : 2017/03/12(日) 12:58:20


    真宮寺「へェ、それは気になるネ」


    春川「そんなことよりタイムリミットまであと少しだよ」


    キーボ「た、大変です!まだアンジーさんが……」


    百田「よし、急いでアンジーを探して来ようぜ!」


    獄原「そうだね!」



    百田君たちが教室から飛び出していった。そして少し経つと誰かの悲鳴が聞こえてきた。






    「うおぁぁぁあああっ!!!」





    叫び声に吸い寄せられるように、僕らも食堂へ足を踏み入れた。





    -食堂-



    食堂は数分前の綺麗に整えられた状況から一転、派手に荒れ果てていた。





    最原「うわっ何だこれ?」



    床には、血の海に沈むアンジーさんの姿があった。



    獄原「あっ……アンジーさん!」


    東条「…ダメね、死んでるわ」


    獄原「襲撃者がやったの?」


    赤松「いや、襲撃者はみんなが寝てる頃に行動するはずだよ」


    星「食堂もすっかりボロボロになってるな」


    春川「ねぇこれ。夜長の死体の近くになんかあるよ」





    10.42.7.38





    真宮寺「……数字?」


    王馬「にしし、ダイイングメッセージだったりしてね」


    赤松「あと念のためアンジーさんのNG行動も見ておかない?」


    春川「分かった」



    春川さんは冷静な手つきでアンジーさんのバングルを起動させた。




    【飲食する】





    王馬「飲食禁止……。なにも飲み食いできないのはキツイかもね」


    百田「昨日アンジーは打倒モノクマの作戦会議にも出てたから、丸一日なんも食ってなかったんだよな…」


    最原「だから度々早く襲撃者を見つけようって言ってたのか」







    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!




    百田「うわっ、何だ!?」


    星「そろそろ時間みたいだな」


    茶柱「どうするんですか!?結局襲撃者を見つけられてませんよ!?」


    赤松「もう、襲撃者がいないことを祈るしかない、みたいだね…」


    キーボ「うっ、これボクにも効くんですね…」


    最原(ロボットにも効くなんて、どういう仕組みなんだ…)


    最原(そうだ、忘れていた。”あれ”を仕掛けないと。ちょうどここに全員いるから誰に仕掛けても同じかな)ウトウト...


    僕は入間さんの発明品を仕掛けると、眠りについた。
  31. 36 : : 2017/03/12(日) 13:33:34


    モノクマーズ「おはっくま〜」






    モノファニー「襲撃者さん、起きてるかしら?」






    モノキッド「お待ちかねの襲撃タイムだぜ!」






    モノスケ「襲撃者の役割は、”眠ってる奴を殺す”ことだけや!」






    モノダム「人数ニ制限ハ無イヨ」






    モノタロウ「さぁ今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」








    モノクマーズ「ば〜いくま」








    残り生存者数


    13人

  32. 37 : : 2017/03/12(日) 15:00:31


    最原「…………」


    赤松「起きて!最原君!」


    最原「んんん…あと30分寝かせて…」


    赤松「長いよ!」


    赤松さんの強烈なビンタが僕の頰に炸裂した。


    最原「うわあっ」


    夢野「起きたか、最原よ…」


    最原「そういえば! 襲撃者はどうなったの?」




    僕の問いに、何故かみんな押し黙る。






    王馬「そこを見てみなよ」



    王馬君に言われて食堂の端を見てみると、胸にナイフが刺さったまま息絶えている…




    超高校級のテニス選手 星竜馬くんの死体があった。



    最原「ほ、星君!?」


    春川「襲撃者に殺られたみたいだよ」


    モノキッド「うううっ……、星のアニキ……。あんたとはいい酒が飲めると思ってたのによぉ」


    モノキッド「何でこんな所で死んじまったんだ!」


    モノキッド「ヘルイェー!俺があんたの仇をとって───


    ポチッ





    バァン




    モノタロウ「うわぁ、モノキッドが爆発したよ!」


    モノクマ「いやぁ我が子たちが可愛くて、可愛くて……つい押してしまったよ」


    百田「うるせぇぞ!テメーらはどっか行ってろ!」



    モノクマ・モノクマーズ「「はーい」」






    モノクマたちが去ったあと、僕らは襲撃者とアンジーさん殺害事件の話しを始めた。



    茶柱「何か、ヒントになりそうな物は無いですかね…」


    最原「あっ、そうだ。僕は眠る前にあるものを仕掛けていたんだ」


    最原「入間さんの研究教室にあった盗聴器だよ。彼女が亡くなる前に作っていた物なんだ」


    王馬「ふーん。盗聴器を仕掛けてたんなら、眠ってる間の出来事を録音してるかもね」


    赤松「本当に?ということは眠らされてる間に何があったかわかるんだね」


    最原「うん。じゃあ再生するよ」




    ピッ

  33. 38 : : 2017/03/12(日) 15:24:27









    モノクマ『うぷぷぷ、おはようございます。と言っても、キミだけは眠らされてないんだけどね』



    聞こえてきたのは、モノクマの声。襲撃者はまだ確認出来ない。





    モノクマ『凶器はボクから贈呈するよ。はい───


    ピピピ-ガガ








    モノクマの言葉の途中で、盗聴器はおかしな音をたて始める。




    最原「えっ、故障?」













    モノタロウ『おはっくまー!モノクマーズちゃんねるだよ』




    怪音が止んだ次の瞬間、モノクマーズの声が盗聴器から飛び出してきた。







    モノキッド『現在死者は3人!生存者13人だぜ!』






    モノファニー『次は誰が、殺されちゃうのかしらねー!』






    モノスケ『キサマラ! NG行動に気を付けながら、楽しく殺し合うんやで!』






    モノダム『オ時間ガ、ヤッテ来テキテシマイマシタ』







    モノクマーズ『ばーいくま!』







    プツン...
  34. 39 : : 2017/03/12(日) 15:46:39


    百田「何だこりゃ?」


    モノクマ「盗聴器でボクと襲撃者の会話を聞かれると困るから、モノクマーズに頼んで音声を差し替えてもらったんだよ」


    夢野「つまり、最原の作戦は筒抜けだったという訳か」


    モノクマ「うぷぷ。でもこれでわかったでしょ。襲撃者はいるんだよ」


    王馬「だってさ。で、これからどうすんの? 襲撃者についての手がかりはもうないよね?」


    百田「あるのはこの星の胸に突き刺さってるモノクマ柄のナイフだけか」


    キーボ「それはモノクマが渡したものだとさっきの音声で言っていたはずです。そこから襲撃者に繋がる手がかりなんてありません」


    夢野「ならアンジーを殺したやつは誰じゃ?」


    真宮寺「それも情報が無さ過ぎて話し合いにならないよネ」


    最原「いや、情報なら結構あるんだ。アンジーさんが殺されたのは、東条さんと春川さんを探していた時だよね。まずは、その時間帯のアリバイを確認しよう」


    王馬「俺はキー坊と百田ちゃんと真っ先に3階に行ったよ」


    夢野「ウチは茶柱と一緒に行動していたぞ」


    赤松「私は最原君と天海君と星君といたよ」



    僕の提案に従い、各々当時の状況を語り始める。




    キーボ「残りの5人……。東条さんとゴン太君と春川さんと真宮寺君とアンジーさんはアリバイがありませんよね」


    王馬「そして被害者のアンジーちゃんを除いて、容疑者は4人だね!」


    百田「でも春川はずっと3階にいたよな。食堂に行こうとしたら、向かってくる俺らと必ず鉢合わせるぞ!」


    赤松「同じ理由で、東条さんも容疑者から外れるよね。校舎外の入間さんの研究教室に居たんだから」


    夢野「ならゴン太か真宮寺がアンジーを殺したということか?」




    猜疑の目は、ゴン太君と真宮寺君に集まった。

  35. 40 : : 2017/03/12(日) 16:06:26

    真宮寺「ククク…ゴン太君もやってくれるよネ」


    獄原「違う!ゴン太はアンジーさんを殺していないよ!」


    王馬「本当に?じゃあ証明して見せてよ」


    獄原「本当なんだ!紳士は嘘をついたりしないよ!」


    キーボ「信じたいのは山々ですが、その証拠がないと……」


    最原「ゴン太君が犯人じゃないっていう証拠ならあるよ」


    真宮寺「え?」


    最原「ゴン太君のNG行動は建物を壊す事だよね。でも、犯人はアンジーさんと食堂で争って、テーブルや壁に傷をつけているんだよ」


    モノクマ「そうだね。ゴン太君が壁に傷をつけたら、NG行動に引っかかってしまうよ」


    東条「獄原君でないとなると…」




    真宮寺「………」




    春川「真宮寺しかいないね」



    真宮寺「ククク、まだそれだけじゃ僕は納得しないヨ。ここは降霊術で夜長さんの霊を呼び出して、直接犯人を聞いてみないかい? 『かごのこ』という降霊術なんだけど。あぁ、口寄せ役は夜長さんと同じ女性にお願いしたいな」


    茶柱「言い逃れするつもりですか!?貴方がアンジーさんを殺したのでしょう!?」


    真宮寺「僕は犯人なんかじゃないヨ」




    依然、犯行を認めない真宮寺君。

    彼を認めさせるには、もっと明確な証拠が必要だ。




    最原「やっぱり犯人は真宮寺君だ。そこにあるダイイングメッセージも君のことだったんだよ」
  36. 41 : : 2017/03/12(日) 16:38:52





    10.42.7.38






    真宮寺「あの数字がなんだって言うのサ。どうみても僕の事じゃないよネ? そんなハッタリは僕には通用しないヨ!」


    最原「ハッタリじゃ無いよ。あの数字は五十音順と対応してるんだ」


    真宮寺「五十音順?」




    10=こ

    42=れ

    7=き

    38=よ




    最原「あいうえおかきくけこ…と順番に並べて、10番目と42番目と7番目と38番目の文字『これきよ』って君の名前だよね」


    赤松「分かり辛いよ!」


    王馬「分かり辛くて当然だよ。だってそのまま名前を書いたら、消されちゃうかもしれないからね」




    真宮寺「クククク……まさかバレてしまうとはネ」


    春川「やっぱりあんただったんだ」


    真宮寺「そうだヨ。夜長さんには姉さんの友だちになって貰ったんだヨ!」


    天海「はい?」


    真宮寺「僕の姉さんは体が弱くてネ。学校に行けないから友だちに恵まれなかったんだ。そして数年前、姉さんは病気で死んでしまった……。だから僕は姉さんの友だちに相応しい女性をたくさん、たくさん姉さんの元に送ったんだヨ!」


    真宮寺君は両手を大きく広げて、猟奇的に笑う。



    春川「それって殺したっていう事?」


    真宮寺「まぁそうなるネ…」


    百田「嘘だろ…? 真宮寺が、そんなヤバイ殺人鬼だったってのかよ…」


    真宮寺「ククク…ここにいる女性を全員殺せば、念願の友だち100人が達成される!」


    獄原「真宮寺君! 君はそんな事のためにアンジーさんを殺したの?」


    真宮寺「いや、そのためだけじゃないヨ。もう一つ、NG行動のこともあったからネ」



    彼は左手を顔の前まで掲げて、袖を捲りバングルを露わにした。



    真宮寺「これが、僕のNG行動だヨ」




    【殺人をせずにタイムリミットを迎える】
  37. 42 : : 2017/03/12(日) 17:08:36
    面白い!期待です!!
  38. 43 : : 2017/03/12(日) 17:36:17
    >>42
    ありがとうございます。
    ーーーーーーーーーーーーー





    赤松「殺人をせずにタイムリミットを迎える?」


    真宮寺「そうだヨ。だから…」


    真宮寺君はマスクを下ろし、口から刃物を取り出すと、付近にいた赤松さんに襲いかかった。


    真宮寺「姉さんへ最高のプレゼントを!」


    最原「赤松さん危ない!」


    赤松「きゃあ!」



    間一髪で真宮寺君の攻撃を避ける。部屋の状況から、アンジーさんの時も手こずったみたいだし、命中率は低いのかもしれない。



    真宮寺「ククク…逃がさないヨ」


    長い髪を揺らしながら、今度はこちらへ突進してくる。標的である女子を中心に悲鳴が上がる。



    夢野「んああっ!」


    茶柱「こ、来ないでください!」


    東条「一旦食堂から出ましょう!」



    次々と口から刃物を飛ばしてくる真宮寺君から逃げるため、僕らは食堂から脱出した。



    赤松「うわっ!」


    王馬「あっ、赤松ちゃんがこけちゃったよ!」


    最後尾の赤松さんが、倒された椅子に足を引っ掛けて躓く。真宮寺君はそれを逃さなかった。



    真宮寺「赤松さん。姉さんと仲良くしてネ」




    夢野「んああああああああああああっ!」


    茶柱「夢野さん!?」



    夢野さんは掛け声とともに真宮寺君にタックルした。体格差を物ともせず、彼を突き飛ばす。


    赤松「夢野さん、どうして?」


    夢野「ウチのNG行動は、【参加者を見捨てる】ことじゃ。だからお主も早く行け!」


    赤松「で、でも…」


    茶柱「待ってください、夢野さん!ならば転子も戦います!」


    夢野「いや、お主のNG行動では彼奴とはまともに戦えんじゃろ」


    茶柱「そ、それは…」



    すると夢野さんは魔法で赤松さんの足元にベルトコンベアを生み出し、赤松さんを食堂の外に出した。そして食堂の入り口にバリアを張った。



    夢野『転子よ…お主と過ごした数日間、悪くなかったぞ』



    茶柱「ゆ、夢野さあああああああん!」




    食堂の中はバリアで確認出来ない。夢野さんの声を最後に、中から音が鳴る事は無かった。








    2回目のタイムリミットまであと1時間
  39. 44 : : 2017/03/12(日) 18:25:32
    口から刃物ってなんだよw
  40. 45 : : 2017/03/12(日) 18:59:03
    なんかこの子ら原作より強くなってね?
  41. 46 : : 2017/03/12(日) 19:00:51
    やっぱ塩は塩だな…
  42. 47 : : 2017/03/12(日) 19:29:13

    NG行動早見表

    最原  --暴力を振るう--
    東条  --???????????--
    百田  --怪我をする--
    ?夢野  --参加者を見捨てる--
    ×星   --NG行動なし--
    春川  --???????????--
    天海  --単独行動をする--
    茶柱  --??????--
    獄原  --建物を壊す--
    ×白銀  --真の首謀者と会話する--
    王馬  --????????????????--
    ×夜長  --飲食する--
    ?真宮寺 --殺人をせずにタイムリミットを迎える--
    ×入間  --下ネタを言う--
    キーボ --????--
    赤松  --リュックを開ける--



    まだ判明していない5人の中に結構重要なNG行動の持ち主がいます(多分)
  43. 48 : : 2017/03/12(日) 19:31:06
    面白いですね。期待です!
  44. 49 : : 2017/03/12(日) 21:09:39


    -中庭-




    王馬「いやー、危なかったね」


    獄原「夢野さん、大丈夫かな……って、ん?」


    東条「獄原君。どうかしたの?」


    獄原「みんな、これだよ! さっきゴン太が見つけた石碑。でも何か書き足されてるみたいなんだ」




      ぼう   さいは うま こ    




    キーボ「うーん、まだよく分かりませんね」


    天海「あれ?最原君と赤松さんと茶柱さんは?」


    春川「食堂に校舎側から入れないかを試しに行ったよ」




    -廊下-


    茶柱「夢野さん! 夢野さん!」



    茶柱さんは絶え間なく食堂の扉を叩いている。



    最原「茶柱さん落ち着いて」


    茶柱「触らないでください!」


    赤松「夢野さん……」


    最原「どうやら、食堂は中から封鎖されてるみたいだね」


    茶柱「そんな……」


    モノクマ「あ、ちょっといいかな?」


    赤松「きゃあ!」


    モノクマ「実はタイムリミットが過ぎてから校舎4階と超高校級の合気道家の研究教室が解放されてたんだよね。さっきの騒動で言いそびれちゃったよ」


    モノクマ「他のみんなはもう4階の探索に取り掛かっているからね」


    赤松「4階と茶柱さんの研究教室に行けるらしいけど…」


    最原「大丈夫?茶柱さん」


    茶柱「はい…」



    茶柱さんは食堂を見つめながら、寂しそうに答える。



    赤松「えっと、じゃあ他の人たちは4階を調べてるらしいから、私たちは茶柱さんの研究教室を見てこようか」


    茶柱「…わかりました。転子の研究教室ですね!どんな内装なんでしょう!」












    -超高校級の合気道家の研究教室-



    茶柱「ここが転子の研究教室ですね」


    赤松「こんな状況じゃなきゃ、茶柱さんが合気道してるところ見れたのにね」






    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!


    室内へ入ってそうそうにバングルから大音量のアラームが鳴り始める。


    最原「この音って!」


    茶柱「タイムリミットが来たんですね」


    赤松「だ、大丈夫。もう誰も死なないよ!」


    最原「うん……。そう信じよう」


    茶柱「ではみなさん、タイムリミットの後でまた会いましょう!」
  45. 50 : : 2017/03/12(日) 21:13:14







    モノクマーズ「おはっくま〜」





    モノファニー「襲撃者さん、起きてるかしら?」





    モノダム「オ待チカネノ、襲撃タイムダヨ」





    モノスケ「襲撃者の役割は、”眠ってる奴を殺す”ことだけや!」





    モノタロウ「さぁ今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」







    モノクマーズ「ば〜いくま」





    残り生存者数



    11人
  46. 51 : : 2017/03/12(日) 21:45:04
    面白い!ひたすら期待です!
  47. 52 : : 2017/03/12(日) 21:48:07
    期待です!
  48. 53 : : 2017/03/12(日) 22:06:18
    魔法でベルトコンベア出したところは誰も突っ込まないなw
  49. 54 : : 2017/03/12(日) 22:23:48
    >>48
    >>51
    >>52
    ありがとうございます。

    >>53
    口から刃物を出す怪物もいるので…(塩)




    最原「う……」


    赤松「あ、起きたね!」


    最原「あ、おはよう。良かった……赤松さんは無事だったんだね」


    茶柱「………」


    赤松「起きて、茶柱さん!」


    赤松さんが茶柱さんを揺すり起こす。


    茶柱「ハッ、男死の傍で寝てしまいました! 寝てる間に転子にあんな事やこんな事を……」


    最原「な、何もしてないよ……」
    赤松「早速で悪いけど、食堂にもう一度行かない?何か変化があるかもしれないし」


    最原「そうだね。行ってみよっか」


    茶柱「夢野さん、無事でいてください……」




    僕らは入間さんの研究教室から、壁を壊すためのドリルを拝借して食堂へ向かった。










    -食堂-



    赤松「何、これ……?」



    食堂の壁には、まるで飛行機が墜落した跡のようにポッカリと穴が開いていた。




    中にはアンジーさんと星くんの他に、夢野さんと真宮寺君の死体もあった。
  50. 55 : : 2017/03/12(日) 23:28:21


    茶柱「夢野さん!」


    茶柱さんは夢野さんの亡骸に向かって走り出した。



    赤松「これって…夢野さんと真宮寺君。生き残ったどっちかが襲撃者に殺されたってこと?」


    最原「うん、そうだと思うよ」


    赤松「じゃあ…まだ襲撃者は生きてるの?」


    最原「おそらくね」



    真宮寺君に刺さっている刃物は、星君に刺さっていた刃物と全く同じモノクマ柄のナイフだった。そして夢野さんの近くに落ちている血まみれの刃物は、真宮寺君の使っていた物と同じ…



    最原「襲撃者に殺されたのは真宮寺君だよ。星君の時と同じ刃物が刺さっているからね」


    茶柱「じゃあ、夢野さんを殺したのは真宮寺さんなんですか?」


    最原「多分そうだと思うよ」


    茶柱「そうですか……」




    誰も何も喋らぬまま、数分間経った。




    茶柱「あの、4人の遺体を個室に安置しておきませんか?」


    赤松「うん。そうした方がいいよね」


    茶柱「では転子は夢野さんとアンジーさんを担当します。男死には触りたくないので最原さんにお任せします!」


    最原「わ、分かったよ。じゃあ赤松さんは天海君たちを食堂に連れてきてくれないかな」



    赤松「うん、また後でね!」
  51. 56 : : 2017/03/12(日) 23:59:09

    -星竜馬の個室-


    星君の殺風景な部屋に入るとベッドに彼の亡骸を横たわらせた。


    数時間前の、彼の言葉が脳内を反芻する。





    『安心しろよ。俺がお前らを守る。もう大切な人を失うなんて嫌だからな』





    最原「………」


    最原「星君のためにも襲撃者を見つけ出してみせるよ」



    決意表明とともに、僕は帽子のツバを掴んだ。
















    -寄宿舎-


    最原「あれ? 茶柱さん。待っててくれたんだ」


    茶柱「まぁ一応……ってあれ? 最原さん。帽子はどうしたんですか?」


    最原「あぁ、何か急に邪魔くさくなってさ…」


    茶柱「そっちの方がマシですよ!最原さん」


    最原「あ、ありがとう…」


    茶柱「はい! 帽子が一番似合うのは夢野さんですからね!」




    夢野さんが僕らのために真宮寺君に立ち向かった姿は今でもはっきり覚えている。



    最原「夢野さんがNG行動のせいで死んだんじゃないってことは、彼女は最後まで参加者を……、僕らを見捨て無かったってことだよね」


    茶柱「ええ、転子はそう信じています。だからもう弱音を吐いたりしません!」


    茶柱「ではそろそろ食堂に戻りましょうか。赤松さんもみんなを集めているはずです!」


    最原「そうだね。ってあれ?ちょっと待って!」


    茶柱「どうしたんですか?」


    最原「これ…ゴン太君が言ってたやつじゃないかな。文字が書かれた石碑」





      ぼうし  さいは うま ころすべ 

  52. 58 : : 2017/03/13(月) 00:33:19



    -食堂-


    キーボ「あっ!来ましたね」


    赤松「最原君? 帽子はどうしたの?」


    最原「まぁ色々とあって…」


    茶柱「それより王馬さんが見当たりませんけど、何処へ行ったんですか?」


    天海「それがわからないんすよ。どこに行ったか」


    東条「タイムリミットが終わって目が醒めると、もう居なかったの」


    百田「全くどこに行ったんだよアイツは…」




    その後、僕らはお互いの情報を共有し合った。4階には真宮寺君、アンジーさんの研究教室とコンピュータールームがあるらしい。


    天海「あ、それと最原君にはもう言ったんすけど、俺のNG行動は単独行動をする事っす」


    春川「急にどうしたの?」


    天海「ほら、百田君とゴン太君と赤松さんはもうNG行動をみんなに伝えてるから、公平になるように俺も言おうかなぁと思って」


    最原「えっと、僕も天海君には言ってるんだけど、僕のNG行動は暴力を振るうことだよ」


    キーボ「なるほど。確かに言わないのは不公平ですね。僕の内なる声も『伝えるべきだ』と言っています」


    キーボ「では聞いてください。僕のNG行動は武装するですよ! どうですか、凄いでしょう!」



    【武装する】



    キーボ「まぁ僕は武装する気なんて無いですけどね」


    最原(そもそも破ったところで毒が回らない気がするけど…)
  53. 59 : : 2017/03/13(月) 00:50:10



    モノファニー「ううっ、この食堂も随分広く感じるようになったわね」


    百田「うおっ、なんか出てきたぞ!」


    モノファニー「思い返せば、最初の入間さんも、アンジーさんも、星君も、夢野さんも、真宮寺君も、モノキッドも、ここで死んでしまったのね…」


    モノファニー「この食堂は墓場よ!きっと真宮寺君の地縛霊がこの辺りに────



    ポチッ





    バァン




    モノタロウ「わー、今度はモノファニーがー!」


    モノスケ「お父やん、何してんねん!」


    モノクマ「全く…首謀者の座を剥奪され、挙句の果てに忘れ去られた白銀さんの気持ちも考えてみなよ!」


    モノダム「マダ、ゲームハ続イテルンダヨ」


    キーボ「そうでしたね。襲撃者はまだ生きているはずです」


    百田「おまけに白銀のNG行動を発動させた真の首謀者ってのも、この中にいるかもしれねーんだよな」



    最原(襲撃者、それに首謀者って……いったい誰のことなんだ?)
  54. 61 : : 2017/03/13(月) 01:30:45


    モノクマ「そうそう。新しく校舎5階と超高校級のロボットの研究教室を解放しておいたから見ておいてね」


    モノクマ「キーボ君! 武装するチャンスだよ」


    キーボ「しませんよ!」


    春川「ねぇキーボの研究教室はどうでもいいけど、5階は見ておかない?」


    キーボ「そうですね。行きましょうか」



    キーボ「ってどうでもよくはないですよっ!」
















    -超高校級の探偵の研究教室-



    最原「ここが僕の研究教室か」


    いかにも探偵の部屋のような雰囲気で、とてもじゃないが見習いの僕には相応しくないように感じた。



    赤松「同じ階に白銀さんと天海君の研究教室もあるんだって」


    天海「あれって俺の教室だったんすか?」


    春川「白銀の方はだいぶ豪華だったよ。流石は元首謀者だよね」


    キーボ「うっ、僕の研究教室だってきっと凄いですよ」


    赤松「まぁまぁ、いいじゃん研究教室なんてどうだって。それよりこれからは相談場所を食堂からここに変えない?」


    百田「確かに食堂はボロボロだしな」


    東条「いい案だと思うわ」



    その後、僕は東条さんに珈琲を淹れてもらった。白銀さんの研究教室のバーにあったものらしい。



    獄原「そういえば王馬君はこの階にも居なかったね」


    百田「本当にアイツはどこをほっつき歩いてんだよ」


    王馬「まったく、迷惑な奴だよね〜」


    茶柱「そうですね。って、うええっ!? 王馬さん!?」


    気付いたら王馬君は僕と百田君の間に立っていた。



    百田「おいテメー、今まで何処にいやがったんだ!」


    王馬「地下の図書室だよ。本読んでたら上から爆発音がして、気になったから出てきたんだよ」


    最原「モノクマーズの爆発音だね」


    王馬「アレ? 最原ちゃん、イメチェンした? 帽子が無くなってるけど」


    東条「王馬君。今、あなたはこの中で襲撃者として一番疑わしい人物よ」


    王馬「ふーん。じゃあ殺す?」


    獄原「えっ、殺すなんてダメだよ!」


    東条「襲撃タイムが過ぎた後、貴方はいなくなったはずよ。食堂の壁を破壊するのに手間取ったんじゃないの?」


    春川「だから私たちが目をさます前に戻ってこれなかったってこと?」


    赤松「そうなの? 王馬君」


    王馬君は、みんなに問い詰められてもなお、不敵な笑みを浮かべている。



    王馬「ならさ、東条ちゃん。君のNG行動を見せてよ」


    東条「それは……、今は関係ないはずよ。話題を逸らさないで」


    王馬「どうしたの? 見せられないの?」
  55. 62 : : 2017/03/13(月) 01:47:21


    王馬「俺は教えられるよ。俺のNG行動は、NG行動以外での犠牲者が8人出ることだよ!」


    キーボ「それが本当かを確かめるためにも、バングルを見せてください」


    王馬「いや、俺の前にまずは東条ちゃんからだよ」


    東条「……………」


    獄原「東条さん、どうしたの?」


    東条「……………」


    天海「東条さん?」


    東条「……ごめんなさい……言えないわ……」


    最原「えっ?」


    東条「ごめんなさい」



    謝罪の言葉を残して、東条さんは研究教室から飛び出していった。



    百田「あ、おい待て東条!」


    王馬「ははは!逃げちゃったね〜」


    春川「別に追求する必要ないんじゃない? 私だってNG行動を言う気ないんだし」



    赤松「でも……私、追いかけてくるよ!」





    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!



    獄原「あれ?もうそんな時間なんだ」


    百田「タイムリミットか、腹をくくるしかないな」


    天海「赤松さんも東条さんも、大丈夫なんすかね?」


    王馬「にしし…面白くなってきたね」






    最原「………………」




    最原「…………………」




    最原「……………………………………」

  56. 63 : : 2017/03/13(月) 01:50:09


    モノクマーズ「おはっくま〜」





    モノタロウ「襲撃者さん、起きてる〜?」





    モノダム「オ待チカネノ、襲撃タイムダヨ」





    モノスケ「襲撃者の役割は、”眠ってる奴を殺す”ことだけや!」





    モノタロウ「さぁ今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」







    モノクマーズ「ば〜いくま」






    残り生存者数



    10人

  57. 64 : : 2017/03/13(月) 01:57:36


    最原「…………………」




    最原「…………………………………」





    最原(………よし、眠ってない)





    最原(……成功したみたいだ)








    最原(寝る前に珈琲を大量に飲んでおけば、眠くならないみたいだ)





    最原「………………」








    最原「これがカフェインの力だ!」







    シ-ン







    最原(みんな眠っているみたいだね……)


  58. 65 : : 2017/03/13(月) 02:13:00
    カフェインだろうと睡眠薬の力に勝てないだろう…。
  59. 66 : : 2017/03/13(月) 07:11:59
    >>65
    他のみんなが寝てる間に行動する展開にしたかったのですが、強引すぎですかね…
  60. 68 : : 2017/03/13(月) 13:58:47
    カフェインを大量摂取したいならコーヒーよりも玉露の方が・・・
    それと茶柱のNGは男子に触れるかな?
  61. 69 : : 2017/03/13(月) 17:14:19



    最原(動いてから少し経ったけど、睡眠薬が注射される様子はない。つまりこのバングルは誰かが遠隔操作してる訳じゃなくて、条件が揃うと自動で毒や睡眠薬を打つみたいだ)








    -5階 列柱廊下前-


    教室を出ると、どこからか呻き声が聞こえてきた。



    「ぅぅ……」



    最原「この声って」




    僕らを「ここから出たら友達になろう」と言って鼓舞してきた、昨晩、首謀者を捕まえようと意気込んでいた……



    最原「赤松さんの声だ……!」



    大急ぎで辺りを見渡す。



    赤松さんは4階の階段の前、あの不気味な鳥居の下に、血を流して横たわっていた。



    最原「赤松さん大丈夫!?」



    赤松「う、ん……」



    赤松さんの腹部には、すでに見慣れてしまったモノクマ柄のナイフ。そこを中心に、ピンクのベストが真っ赤な血で染められている。




    最原(赤松さんを刺し、そして星君と真宮寺君を殺害した襲撃者は……)







    最原「……東条さんがやったんだね?」



    赤松「………………」



    赤松「……うん。そう、だよ」



    赤松「……でも、東条さんを責めないで、あげて」



    最原「え?どういうこと?」



    赤松「東条さんにも、事情が……あったんだよ。襲撃者に、ならなきゃ……いけない事情が……」



    赤松「……だって、東条さんのNG行動は、………の……を……すること、だから」



    赤松「うぐっ…!」


    最原「赤松さん!」



    彼女の口からは堰を切ったように血が溢れ出している。





    赤松「ねぇ…最期に…お願いが、あるの…」




    僕は、彼女の言葉をただ聞くことしか出来ない。




    赤松「……最原君、絶対に…こんな事を企んだ首謀者なんかに、負けないで」




    入間さんが毒に侵されていった時も、夢野さんが真宮寺君に立ち向かっていった時も、何も言えず、見ていることしか出来なかった。





    赤松「そして…残ったみんなで、この学園から、脱出…してね………」





    助ける事も、止める事も出来なかった、しなかった。






    赤松「………約束だよ。最原君」





    でも、後悔なんてしたくない。彼女の思いを無駄にしたくない。



    だから────





    最原「絶対に、首謀者を突き止める。約束するよ。赤松さん」






    探偵として、僕にできるやり方でこの殺し合いを終わらせる。
  62. 71 : : 2017/03/13(月) 17:41:35



    百田「グ-スピ-」


    春川「起きて」


    百田「ぐあっ!?」



    春川さんの平手打ちで、百田君も目を覚ました。



    獄原「あっ、起きたね。おはよう、百田くん」


    東条「百田くん、お茶か珈琲はいるかしら」


    百田「ん、東条? 戻ってきたのか?」


    天海「モノクマのアナウンスで、超高校級の探偵の研究教室に全員集合しろと言われたんすよ」


    百田「モノクマが呼んだってことか? もしかして新しい場所が解放されたのか!」


    モノクマ「あー、それもあるよ。今回は、エグイサル格納庫と超高校級の宇宙飛行士の研究教室だよ」


    モノタロウ「でもエグイサル格納庫は危ないから近づかないようにね」


    茶柱「危ないんですか?」


    モノタロウ「えっ? 危ないって何が?」


    茶柱「貴方がさっきエグイサル格納庫は危ないって言ったんじゃないですか!」


    モノタロウ「オイラ、そんなこと忘れちゃったよ」


    ポチッ




    バァン





    モノタロウ「うわあ!全然関係ないモノダムが爆破されちゃったよ!」


    モノスケ「もうモノクマーズはがめつい関西弁と痴呆症だけ……ホンマにしょうもないメンツが残っとるな!」


    モノタロウ「モノクマーズにしょうもなくないヤツなんかいたっけ?」


    モノクマ「ねぇ、外野は黙っててくれるかな?それで……わざわざボクを使ってまでみんなを集めた理由は何かな?」






    モノクマ「最原クン」
  63. 72 : : 2017/03/13(月) 22:11:05

    茶柱「あの、モノクマさんの目は節穴ですか? まだ赤松さんが来てませんよ? まったく…これだから男死は……」


    モノクマ「ちょっと! 節穴だって? ボクの目は顕微鏡にも引けを取らない高性能レンズで出来てるんだよ!」


    百田「つーかモノクマって男なのか?」


    キーボ「そんな事より、赤松さんはどこですか?」


    最原「赤松さんは、襲撃者に殺されたんだ」


    百田「は? まじかよ…!」


    春川「真宮寺が襲撃されてから誰も死んでなかったんだし、襲撃者がまだ生きてるってことは分かりきってたけどね」


    キーボ「やはり、襲撃者の仕業でしたか…」


    王馬「今朝、百田ちゃんが『襲撃者なんていない』って豪語してたのにもう3人も犠牲者が出ちやったね。それで?俺ら全員を集めたってことは、謎解きでも始めるの?」


    最原「うん、そうだよ。襲撃者の正体は……」



    最原「東条さん。君だよね?」



    東条「…………」



    獄原「東条さんが、襲撃者!?」


    天海「ちなみにどうしてそう思ったんすか?」


    最原「赤松さんに聞いたからだよ」


    王馬「赤松さんは殺されてるはずだよね? もしかして、降霊術でもしたのかナ?」


    茶柱「真宮寺さんのモノマネは辞めてください!」


    最原「僕はタイムリミット直前に、白銀さんの研究教室にあった珈琲を大量に飲んだんだ。そのお陰で眠気に打ち勝ち、みんなが寝てる間も行動できたんだよ」


    東条「そこで私を見たとでも言うのかしら?」


    最原「いや、見ていないけど、でも君と赤松さん以外の人はここで眠っていたから、赤松さんを襲撃することは出来ないんだ」
  64. 73 : : 2017/03/13(月) 22:43:22


    春川「ならもう決まりだね。襲撃者の正体は東条斬美だったんだよ」


    東条「待って。モノクマが赤松さん達を襲撃した可能性もあるわ」


    モノクマ「んん?なんだってぇ? 僕が襲撃者だと?」


    獄原「モ、モノクマがやったの?」


    キーボ「確かに、その可能性は否定できませんね」


    茶柱「というより…そっちであって欲しいですけどね」


    最原「………」




    最原「いや、東条さんが襲撃者だという証拠が、2つあるよ」


    東条「……そう」



    東条「なら聞かせてもらうわ。その証拠とは何のことかしら」



    最原「1つ目は、君の失言だよ」


    最原「さっきのタイムリミット前に突然現れた王馬君を問い詰めるとき、君はこう言ったよね。」



    『でも襲撃タイムが過ぎた後、貴方はいなくなったはずよ。食堂の壁を破壊するのに手間取ったんじゃないの?』



    キーボ「はい。僕も記憶を遡って再生してみましたが、確かにそう言っていました!」


    東条「それがどうしたというの?」


    最原「さっきの発言の中に、僕らには聞き覚えのない単語があったよね。『襲撃タイム』ってさ」


    獄原「確かに、意味は伝わるけどそんな単語に聞き覚えはないよ!」


    最原「うん。僕もさっきまではそうだった。でもみんなが眠った後、モノクマーズの襲撃者に向けた放送で、襲撃タイムという言葉が出てきてたんだ」
  65. 74 : : 2017/03/13(月) 23:07:01


    春川「私たちが眠ってる間の放送で出た言葉を咄嗟に口に出せたってことは、あんたはその放送を何度か聞いていたってことでしょ?」


    百田「でもそれだけじゃあ証拠としては物足りなくないか?」


    王馬「もしかしたら口を滑らせたわけじゃなくて、本当に偶然その言葉を言ってしまったのかもしれないからね」


    茶柱「そうです。まだ東条さんが襲撃者とは言い切れません!」


    キーボ「えっと……証拠はもう1つあるんですよね?」


    最原「うん。2つ目の証拠は、NG行動だよ」


    東条「……ッ!」


    獄原「最原君! 女性を責めるなんて紳士のすることじゃないよ」


    最原「それは違う! 僕は東条さんを責めたいんじゃない…」


    最原「僕は星君と真宮寺君と赤松さんが標的になった理由が知りたいんだ」


    最原「それに、本当の東条さんは襲撃者になるような人じゃない。本当は、どんな状況でもみんなのために尽くしてくれるような優しい人なんだ」



    東条「最原君……」


    東条「わかったわ。私のNG行動を見せるわ」




    【襲撃者の役割を放棄する】




    百田「襲撃者の役割を放棄する?」


    最原「モノクマーズの放送で、こんなことも言ってたんだ」




    『襲撃者の役割は、“眠ってるヤツを殺す”ことだけや!』




    王馬「つまり、襲撃者役をやらないと死ぬってことだね」
  66. 75 : : 2017/03/13(月) 23:27:04

    NG行動早見表

    最原 --暴力を振るう--
    東条 --襲撃者の役割を放棄する--
    百田 --怪我をする--
    ×夢野 --参加者を見捨てる--
    ×星 --NG行動なし--
    春川 --???????????--
    天海 --単独行動をする--
    茶柱 --??????--
    獄原 --建物を壊す--
    ×白銀 --真の首謀者と会話する--
    王馬 --????????????????--
    ×夜長 --飲食する--
    ×真宮寺 --殺人をせずにタイムリミットを迎える--
    ×入間 --下ネタを言う--
    キーボ --武装する--
    ×赤松 --リュックを開ける--


    残りの3人も多分ヒント的なのが出ています。
  67. 76 : : 2017/03/14(火) 16:57:41
    王馬のNGがわからん
  68. 77 : : 2017/03/14(火) 21:13:23


    天海「NG行動のせいで、東条さんは襲撃者にならざるを得なかったんですね」


    東条「ええ、そうよ」


    王馬「という訳でもうこんなことが起きないように、みんなでNG行動を発表しよう!まずは春川ちゃんね」


    春川「は?なんで私なのさ。あんたから言いなよ」


    王馬「俺は前に言ったじゃん。反抗するんじゃなくて自分のNG行動を言えって言ってるんだよ!」


    キーボ「最終的に、全員NG行動を教えるんです。順番なんて関係ありませんよ」


    春川「…………」


    王馬「黙ってても話は進まないよ」


    東条「待って!」


    最原「え、どうしたの?」


    東条「春川さんのNG行動は私が言うわ」


    春川「は? ちょっと」


    東条「春川さんのNG行動は【自分のNG行動を明かす】ことよ」



    百田「そうなのか? 春川」


    春川「何であんたが私のNG行動を知ってるの?」



    東条「その理由も含めて、私の今までの行動全てをみんなに話すわ」





    ーーーーーーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーーー
    ーー










    コロシアイ新学期 6日目早朝


    モノクマの宣言により、殺し合いは終わった。追加された校則は気になるが、私はまたみんなを奉仕出来るという事に内心喜んでいた。


    身支度を済ませるためにベッドから起き上がろうとしたとき、私は左手首に”何か”が取り付けられていることに気が付いた。




    --襲撃者の役割を放棄する--


    東条「え?」


    突然文字が浮かびあがった。内容も意味不明だった。王馬君のイタズラだろうとバングルを外そうとしたとき、昨日追加された校則を思い出す。


    東条(バングルを外すと校則違反になるかもしれないわね)



    少し考え込んだが、結局答えは見つけられなかったので、急いで食堂に向かった。朝食を作る時間だ。
  69. 78 : : 2017/03/14(火) 22:12:24


    -食堂-


    メイドとしてみんなのために働ける……そんな平穏な時間は、モノクマの言葉で崩れ去った。



    モノクマ「それじゃあ発表したいと思います!オマエラには、殺し合いをしてもらいまーす!」



    また殺し合いをやらされるのか。恐怖心もあったが、『初回特典』と『タイムリミット』を乗り越えた私達なら大丈夫だと、私は悠長に構えていた。しかし……



    新ルール、襲撃者、NG行動。



    モノクマの新たな殺し合いのルール説明を聞いて私は驚愕した。


    私が16人の中に潜む『襲撃者(裏切り者)』だった。


    NG行動に違反すれば、死ぬ。入間さんがそうだったように。


    私は怯え震えていたが、白銀さんが目立って動揺し、取り乱していたため、勘付かれることはなかった。彼女にはいったいどんなNG行動が与えられているのだろう。




    襲撃者探しが始まったが、私は怪しまれないように出来るだけ中立の立場で意見するように心掛けた。




    その頃の私の頭の中にはもう『滅私奉公』など無かった。
  70. 79 : : 2017/03/14(火) 22:15:28


    白銀さんと夜長さんが死亡した。おそらく夜長さんが殺害された時間帯に1人でいた私は疑われる。怪しまれない様に、これからは単独行動を避けよう。



    そして迎えた最初のタイムリミット。




    モノクマ「うぷぷぷ、おはようございます。と言っても、キミだけは眠らされてないんだけどね」


    東条「………」



    私には、やはり睡眠薬は撃ち込まれなかった。そしてモノクマは冷たく言い放った。


    モノクマ「凶器はボクから贈呈するよ。はい東条さん。ここにいるメンバーから1人選んで殺してくださーい」


    東条「そ…そんな簡単に、出来るわけないでしょう!」


    モノクマ「やらないなら別にいいよ。君がNG行動を犯して死ぬだけだし。NG行動は…適当に”睡眠する”とかに書き換えておいて、別の人に襲撃者をやらせるだけだからさ」



    ───殺人なんて、してはいけないことだとは分かっている。しかし、死にたくなんてない。






    私は襲撃者になる覚悟を決めた。




    モノクマ「うんうん。やる気があるのはいいことだよ!それでお嬢さん。誰を殺します?」


    東条「……………」


    狙いはもう決めてある。星君だ。NG行動がないなんて、怪しいことこの上ない。もう私は、気が狂っていてまともな判断も出来なかった。




    眠っている星君に目掛けて、私はモノクマから支給されたナイフを刺した。


    星「ぐっ!」


    星「ガハッ……と、東条!」


    星「……おま、え、が…襲撃者、だった、のか…」



    星君は倒れこみ、そして死んだ。私が殺してしまった。



    東条「ごめんなさい…星君」




    モノスケ「1人でええんか?いっそ皆殺ししてもええで!」


    モノスケの提案を無視して、私は星君の血で汚れた服を部屋に脱ぎ捨て、シャワーを浴びた。


    目を瞑れば、星君の命が失われる瞬間の悲壮に満ちた顔が蘇る。





    襲撃タイムは30分らしい。急いで戻らねば。
  71. 80 : : 2017/03/14(火) 22:21:16

    最原君が盗聴器を仕掛けてあると言ったとき、私は心臓が止まったかと思った。あのときの会話を録音されていれば、私は終わりだ。


    モノクマの計らいによってその心配は杞憂だったが。




    やはり最原君は侮れない。


    その後始まった夜長さん殺しの犯人も、彼はあっさりと当てて見せた。



    真宮寺是清。どうやら彼はここに来る前から、人を殺してきたらしい。軽蔑したが、私も今や大して変わらない。とりあえず次のターゲットは決まった。










    -食堂-





    襲撃タイムになると、真っ先に食堂に向かった。エグイサルの手助けで食堂の壁は簡単に崩壊した。標的の真宮寺君の近くには、私たちを守るためにここに残った夢野さんの亡骸があった。



    東条「以前の私なら、夢野さんのように『みんなのため』に戦ったのかもしれないわね…」



    今の私は死ぬことが怖くてたまらない。だから夢野さんのことを心から尊敬した。そして夢野さんを殺害した真宮寺君に私はモノクマナイフを刺した。




    真宮寺「うぐ、あああああ!」


    真宮寺「と、東条さん…まさか、君は…!」


    真宮寺?「落ち着きなさい。是清…」


    真宮寺「姉さん!」


    真宮寺?「貴方も今まで随分と頑張ったわね。でも、私は貴方がいないと寂しいわ…」


    真宮寺「寂しい…?それ、は、こっちの台詞…だヨ……今から、そっちに…行くから……サ」



    真宮寺?「待ってるわ。是清…」



    真宮寺「ククク……」


    私は真宮寺君の一人芝居を見届けた後、血塗れの服を脱ぎ、二度目のシャワーを浴びた。



    今回は相手が相手だったため、躊躇なく襲撃出来た。だから前回に比べると時間が余った。



    そこで、私は全員のNG行動を確認することにした。



    ”暴力を振るう”、”単独行動をする”、”武装する”、そして、”自分のNG行動を他人に明かす”、など。




    東条(春川さんも、秘密を抱えていたのね)




    もちろん今見たことは内緒にしておかなければならない。



    所定の位置に戻り、寝たふりをしていると、王馬君が一足先に目を覚まし、下の階に降りて行った。
  72. 81 : : 2017/03/14(火) 22:27:43





    赤松さんに食堂に集められ、お互いに情報を交換した。


    その後、天海君によって、NG行動を教え合う流れになり少し焦ったが、同じようにNG行動を明かせない春川さんがいるだけで少し安心できた。





    -超高校級の探偵の研究教室-


    行方をくらませていた王馬君が現れた。私は彼を追い詰めたが、カウンターを喰らった。



    王馬「東条ちゃん。君のNG行動を見せてよ」



    見せれば襲撃者だとバレてしまう。多少怪しまれてでも逃げるべきだと判断した。







    -列柱廊下前-

    赤松「待ってよ東条さん!」


    大方予想通りだが、赤松さんが追いかけてきて私の左腕を掴む。


    東条「離して!」


    赤松「ねぇ、どうして逃げたの?」


    東条「それは…」


    そのとき、赤松さんの手が私のバングルに触れ、NG行動が表示された。



    【襲撃者の役割を放棄する】



    赤松「え、何これ…襲撃者?」



    私は反射的に赤松さんの手を思い切り振りほどいた。


    しかし、赤松さんはその反動でよろけて──



    階段から落ちた。





    東条「赤松さん!」



    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!


    バングルが鳴った。3回目のタイムリミットだ。




    モノクマ「さぁさぁ、今回は誰を殺すんだい?」


    最初は王馬君にしようと思った。でも赤松さんは私のNG行動を見てしまった。口封じのために赤松さんを消さなければならない。


    東条「赤松さん、ごめんなさい…」



    彼女のお腹に、勢いよくナイフをねじ込む。



    赤松「ゔっ!」



    私は赤松さんを刺した後、すぐに逃げ出した。服を脱ぎ、シャワーで体に着いた血を洗い流す。もうこの作業にも慣れてしまった。



    東条「ごめんなさい、ごめんなさい…」



    謝ったところで、彼女らは戻っては来ない。私の罪は消えない。







    時間があったので校舎を一回りしてきた。そして荒れ果てた食堂で、私は泣いてしまった。





    いつまで泣いていたかは分からないが、気づけば襲撃タイムは終わっていた。


    モノクマ「おはよう東条さん!起きてすぐで悪いんだけど最原君の研究教室に向かってくれないかな?」








    私は、あと何回殺せばこの学園から出られるのだろう。そう思いながら目的地に向かった。






    ーー
    ーーーーー
    ーーーーーーー
    ーーーーーーーーーーーーー
  73. 82 : : 2017/03/14(火) 23:15:29









    キーボ「そして、今に至るということですね」


    東条「ええ」


    東条「それと私が春川さんのNG行動を言ったのは…」


    王馬「春川ちゃんのためでしょ?そのNG行動は本人以外がバラしても違反にならないからさ」


    春川「え?」


    東条「春川さんの“ため”なんて、もう私に言う資格はないけど、NG行動を話せない苦しみは私が人一倍分かっているから…」


    獄原「ううっ…東条さんが苦しんでたのに……ゴン太は何も出来なかった…」


    東条「獄原君。私なんかのために涙を流すのは止めて…」


    茶柱「で、でも…どうしてさっきの話してくれたんですか?」


    東条「私は狂って、自分らしさを見失っていた。でも、最原君はそんな私を『優しい人』だなんて言ってくれて、それで目が覚めた気がしたのよ」


    百田「……自分、らしさか」


    王馬「それで、これからどうすんの? このゲームを終わらせるには襲撃者を、つまり東条ちゃんを殺さなきゃいけないんだよ」


    獄原「ね、ねぇ! どうにかして、東条さんを救う方法は無いの?」


    天海「……残念ながら、NG行動がある以上、タイムリミット後に最低でも1人、犠牲になる必要があるっす」


    王馬「東条ちゃんが生き延びるには、俺ら全員を殺さないといけないんだよ」


    東条「……なら、私を殺して。そしてこの殺し合いを終わらせて。もう、死ぬ覚悟は決めたわ」


    茶柱「でも……」


    最原「東条さん……」




    王馬「あぁ、だったらさ、NG行動で死んでくれない?」

  74. 83 : : 2017/03/14(火) 23:30:16


    最原「は? 王馬君、何を言って…」


    王馬「じゃあ最原ちゃんは、この中の誰かに東条ちゃんを殺させるの?」


    最原「え、えっと…」


    王馬「それに、俺のNG行動を忘れたわけじゃないよね!」


    春川「NG行動以外での犠牲者が8人出る……。あれって本当なの?」


    東条「ええ、本当よ。私は実際に確認しているから…」


    王馬「そうそう。もう5人もNG行動関係なく死んでるからさ!」


    キーボ「そう……ですね。その方が合理的です」


    王馬「あ、でも東条ちゃんが最後の最後で死ぬのが怖くなって全員を襲撃…何てことになったら困るから、どこかに監禁しておかない?」


    獄原「王馬君は東条さんを信じられないの…?」


    王馬「実際、その理由で3人も殺しているんだからね」


    茶柱「王馬さん! そんな言い方は良くありません!」


    東条「いえ、いいのよ。批判は甘んじて受け入れるわ」


    天海「本当にいいんすか?」


    東条「もちろんよ」


    王馬「それじゃあ場所はエグイサル格納庫なんてどう? あそこは危ないらしいしさ」


    東条「分かったわ」



    王馬君に言われるがままに、僕らは東条さんをエグイサル格納庫へと連れていった。
  75. 84 : : 2017/03/14(火) 23:56:45




    -中庭-



    獄原「あれ?」


    天海「どうかしたんすか?ゴン太君」


    獄原「これ!また字が書き足されているよ!」




    しゅぼうし はさいは うま ころすべ 



    最原「本当だ。また字が増えてる…」


    天海「あれ? 前見たとき最原君って居ましたっけ?」


    茶柱「あ、いえ。最原さんが言ってるのはタイムリミット前に転子と一緒に見たときだと思います」


    百田「『ころす』? なんか物騒だな」


    キーボ「『しゅぼうし』というのは、首謀者のことを言ってるのではないでしょうか」


    天海「うーん、いったいどういう意味なんすかね?」


    王馬「おーい天海ちゃん! 置いてっちゃうよー。そんなに離れてるとNG行動に引っかかるかもよ! まぁ俺としてはNG行動での死体が増えるのは大歓迎だけど」


    天海「あ!すみません……怖いこと言わないで欲しいっす」









    -サイバーな中庭-


    最原「ここだね。エグイサル格納庫」


    東条「謝って許されることではないけれど……今までみんなを騙してきて、ごめんなさい」


    春川「まぁ、許すつもりはないけど、私も、NG行動によってはそうなってたかもしれないし…」


    東条「最後に…春川さんと、2人きりで話してもいいかしら」


    百田「ん? 俺らはいちゃまずいのか?」


    王馬「まさか! 春川ちゃんを殺す気!?」


    茶柱「ちょっと! そこの男死どもはデリカシーを学んでください! ゴン太さん、2人を外に連れ出してください!」


    獄原「うん! 分かったよ」



    ゴン太くんによって、王馬君と百田君は外へと放り出された。




    最原「東条さん。それじゃ…」


    天海「ちなみにタイムリミットはあと30分後っすよ」


    キーボ「東条さんが今まで僕らのために朝食から掃除までしてくれたということを、ボクは忘れません!」



    東条「……ありがとう、みんな」






    4回目のタイムリミットまであと30分
  76. 86 : : 2017/03/15(水) 16:34:17
    ころすべ で最初葉隠かと思った
  77. 87 : : 2017/03/15(水) 17:34:26
    期待してるヨ
  78. 88 : : 2017/03/15(水) 17:39:39
    期待です
    …私の推し3人のうち2人死んじゃったから…ゴン太生き延びて!
  79. 89 : : 2017/03/15(水) 18:38:42
    ーーーーーーーーー
    ーーー


    -エグイサル格納庫-


    東条の右手首には星の研究教室にあった手錠がかけられ、操作パネルの支柱に繋げられている。他のメンバーは全員外に出て、今格納庫にいるのは私と東条だけだ。



    春川「それで、2人きりで話したいことって何?」


    東条「率直に言うわね。私は貴女の本当の才能を知っているわ」


    春川「は?」


    みんなには超高校級の保育士と名乗っているが、私の本当の才能は『超高校級の暗殺者』だ。



    春川「……何が目的なの?」


    東条「目的なんてないわ。私は貴女に伝えたいことがあっただけよ」


    春川「伝えたいこと?」


    東条「…仲間に言えない秘密を抱え込んでいると、どうしても不安になってくる。そして心が弱ければすぐに狂ってしまう。私のように」


    春川「あんたと私を一緒にしないでよ…あんたの秘密に比べれば、私のなんて大したことないし…」


    東条「そうね。貴女の秘密なら、知られてもまだ取り返せる。貴女は暗殺の才能を仲間たちに向けるような人間じゃないから」


    春川「東条……」


    東条「だから、今残っている8人で、この殺し合いを終わらせて」


    東条「そして、私たちの分まで…生きて」


    東条「貴女に、信頼し合える大切な仲間が出来ることを、私は祈っているわ…」


    東条「………それじゃあ、さようなら春川さん」




    春川「………ありがとう、東条」





    春川「さよなら」






    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!












    -超高校級のコスプレイヤーの研究教室-


    最原「時間だ」


    獄原「どこを探しても、最原君が飲んだっていう珈琲が見当たらないけれど…」



    モノクマ「全部処分したんだよ!襲撃タイムに行動されちゃ困るからね。あと、これからは死んだ人の研究教室も立ち入り禁止にします!」






    -超高校級の宇宙飛行士の研究教室-


    王馬「お!タイムリミットが来たね」


    百田「春川はどうしてんだろうな」


    天海「きっと大丈夫っすよ」






    -超高校級のロボットの研究教室-


    キーボ「とうとう来ましたね…」


    茶柱「これが最後のタイムリミットになるはずです!」






    -中庭-




    春川(東条…あんたの意思は私が受け継ぐ。そして、東条にあんなNG行動を設定した首謀者を、絶対に殺す)



    春川(そして残った全員でここから出るから……)
  80. 90 : : 2017/03/15(水) 18:39:04
    >>86
    >>87
    >>88
    名無しさん、真宮寺君、ライトさん、ありがとうございます。
  81. 91 : : 2017/03/15(水) 18:45:02


    モノクマーズ「おはっくま〜」




    モノタロウ「襲撃者さん、起きてる〜?」




    モノスケ「お待ちかね、襲撃タイムやで!」




    モノスケ「襲撃者の役割は、”眠ってる奴を殺す”ことだけや!」




    モノタロウ「さぁ今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」







    モノクマーズ「ば〜いくま」







    残り生存者数


    9人

  82. 92 : : 2017/03/15(水) 19:18:03





    襲撃タイムが終了する5分前






    -中庭-

















    しゅぼうしゃはさいはらうまくころすべし

















































    -超高校級のコスプレイヤーの研究教室-


    獄原「最原君!起きて!」


    最原「はっ!」


    最原「ゴン太君ごめん。僕って朝が苦手なんだ」


    獄原「えっとね、もう18時なんだよね」


    獄原「ってそうじゃなくて!エグイサル格納庫に行かなくちゃ!」


    獄原「本当に、殺し合いが終わったのかを確かめないと…」


    最原「うん。それじゃあ行こう」








    -エグイサル格納庫-



    東条さんは、格納庫で死んでいた。



    襲撃者は死亡した。これでこの殺し合いは終わる。最初の半分の人数になってしまったが、僕らは元いた場所に帰れる。




    モノクマ「あ、まだ終わんないよ」


    茶柱「はぁ? 何を言っているんですか? 東条さんは……死んだんですよ。これでもう終わりのはずです」

    モノクマ「ルールでは『タイムリミットが過ぎて犠牲者が現れなければゲーム終了』となっているんだよ」


    モノタロウ「犠牲者が出てるじゃんか! ここに犠牲になった東条さんがいるじゃないか!」


    モノスケ「アホ!今出ちゃあかんやろ!この流れはモノクマーズ爆発劇の流れや!そして順当に行けば爆破されるのは────

    ポチッ




    バァン


    モノタロウ「うわー、モノスケー!」


    モノクマ「というわけなので、オマエラにはもう一回、タイムリミットを乗り越えてもらいます」


    モノタロウ「ば〜いくま」




    キーボ「そんな横暴な…」


    百田「いや、大丈夫だ。襲撃者は死んだんだ。もう誰も犠牲者は出ねえ! これは宇宙に轟く百田解斗の勘だっ!」


    茶柱「勘なんですか!?」


    最原「ははは…なんかそのフレーズ久々に聞いたよ」


    百田「そうだろ? 俺らしいだろ! 俺はもう自分らしさを取り戻したからな!」


    百田「死んだあいつらの分まで、生き残ろうぜ」


    茶柱「もちろんです! あ、真宮寺さんは例外ですけどね!」


    キーボ「流石に、彼のしたことは擁護できませんね」
  83. 93 : : 2017/03/15(水) 20:02:11



    最原「それじゃあ、これからどうする?タイムリミットまで2時間あるけど…」


    百田「せっかくカジノがあるんだ、稼ごうぜ!」


    獄原「ゴン太は、みんなと一緒に虫さんで和みたいんだ!」


    茶柱「それよりもまずはご飯を食べましょうよ! 朝から何も食べてませんよ?」


    王馬「新しいエリアが解放されてるかもしれないから見てみたいよね!」




    それから僕らは天海君のNG行動に配慮して、みんなでいることにした。




    -超高校級の探偵の研究教室-


    茶柱「あ、天海さん!そのお肉は転子が目を付けてたのにー!」


    天海「す、すいません……」


    キーボ「………………」


    最原(キーボ君、そんな哀愁漂う目で見つめないで…)








    -超高校級の総統の研究教室-


    王馬「ははは、ここが俺の研究教室か!悪の総統にふさわしい場所だね!」


    百田「なるほど…なんかSFチックだな」








    -超高校級の昆虫博士の研究教室-


    獄原「和むよ!」


    最原「ちょっと待って! うわあっ!」


    茶柱「ぎゃあああああ! 服の中に入ってきました! 気持ち悪いです!」


    天海「は、春川さんが…すごいスピードで昆虫たちから逃げてるっす…」







    -カジノ-


    百田「クソッ!俺の全財産が……」



    獄原「ねぇ全然Sランクが取れないよ!」


    天海「ゴン太くん、モノクマーズを避けちゃダメっすよ」


    獄原「モノクマーズでも轢いちゃダメだよ!」



    茶柱「うがああああ!ブロックが一つだけ消せずに残ってしまいました!」


    最原「よくあるよね、それ…」



    王馬「うおー春川ちゃんすげー!魚をすごい速さで掴んでるよ!」


    春川「これぐらい楽勝でしょ」


    キーボ「ボクも挑戦してみます!」





    僕らは今までの苦しみを打ち払いたくて、必死に楽しんだ。
  84. 94 : : 2017/03/15(水) 20:26:14


    -中庭-


    王馬「ふぅ〜、なかなか楽しかったね」


    キーボ「有意義な時間だったと言えるでしょう」


    獄原「これで、最後なんだよね?」


    春川「うん。もう犠牲者は出ないし、事実上、これが最後のタイムリミットになるね」


    最原「できれば、みんなで一緒に出たかったね」



    百田「弱音を吐くんじゃねぇ!」


    春川「百田?」


    百田「言っただろ。俺らは死んだあいつらの分も生きなきゃならねぇ。メソメソしてたら、あいつらに顔向けできないぞ!」


    獄原「そうだね。まずは、ここから出たらみんなのお墓を作ってあげようよ」


    キーボ「その前に、こんな殺し合いを企てた人たちを警察に通報するべきではないですか?」


    百田「き、急に現実味を帯びた話をするのはやめろ! とにかく、俺らは前向きに生きてりゃいいんだよ。なぁ、終一!」


    最原「えっ?う…うん。そうだよね」


    親以外の人に下の名前で呼ばれるなんて久しぶりだったから、新鮮味を感じた。


    僕らは入間さん、白銀さん、アンジーさん、星君、夢野さん、真宮寺君、赤松さん、東条さんの分も生きていく。






    ビ-!ビ-!ビ-!ビ-!




    百田「よし!それじゃあまた後でな!」


    天海「はい、おやすみなさい」


    キーボ「やはりこれは訴えるべきで…」




    みんな今までとは違う、笑顔でタイムリミットを迎えた。












    ??「ふふっ…」
  85. 95 : : 2017/03/15(水) 20:27:29


    モノクマーズ「おはっくま〜」





    モノタロウ「襲撃者さん、起きてる〜?」





    モノタロウ「お待ちかね、襲撃タイムの時間だよ!」





    モノタロウ「襲撃者の役割は、”眠ってる奴を殺す”ことだけだよ!」





    モノタロウ「さぁ今日のターゲットは、だ〜れ〜か〜な〜?」







    モノクマーズ「ば〜いくま」







    残り生存者数



    8人

  86. 96 : : 2017/03/15(水) 21:19:27
    最原…
  87. 97 : : 2017/03/15(水) 21:41:14

    今どれくらいかというと、ポケモンで例えるなら8番目のジムあたりです。
  88. 98 : : 2017/03/15(水) 22:05:57
    ポケモンで例えられたからどのへんか分からないww
  89. 99 : : 2017/03/15(水) 22:35:15
    この人数でもう終盤ということは生き残りは5人くらいか
  90. 100 : : 2017/03/15(水) 23:20:50
    真の首謀者が怖いな
    元ネタ的に解毒剤の可能性を考えると白銀も信用出来ねえ
  91. 101 : : 2017/03/16(木) 22:23:30
    じゃあこれからチャンピオンリーグか
  92. 102 : : 2017/03/16(木) 22:43:12
    死んだ人の研究教室に入れないのなら、超高校級のメイドの研究教室には入れないんじゃないでしょうか…?
  93. 103 : : 2017/03/16(木) 22:54:10
    >>102
    すみませんそうでした。違うところにしておきます。
  94. 104 : : 2017/03/17(金) 19:55:46

    天海「起きてください。最原君」


    最原「うーん…」


    天海「おはようございます」


    最原「…おはよう天海君」



    天海君に挨拶した後、他のみんなにも言おうと周りを見ると、百田君、キーボ君、王馬君、春川さんしかいない。



    最原「あれ?ゴン太君と茶柱さんは?」


    百田「見当たらねーんだ。だから探しに行こうって話になったんだ」


    春川「そしたら王馬が、血を引きずったような痕を見つけたんだよ」


    地面を見ると、薄っすらと赤い痕がついており、何処かへとつながっていた。


    王馬「そうそう、これ。もしかするといなくなった2人に何かあったんじゃない?」


    春川「どうして…?襲撃者はもう…」








    「ふぅ〜」




    最原「えっ?」


    天海「えっ?」


    茶柱「えっ?」


    百田「茶柱!無事だったか!!」


    茶柱「無事?転子はただ、早く目覚めたのでお花を摘みに行っていただけですが…」


    キーボ「お花を摘みに行った?しかし茶柱さんは花を持って帰って来てませんけど…」


    茶柱「そ、そういう意味ではありませんよ! キーボさんも、やはり男死なんですね!!」


    最原「起きた時、ゴン太君はいた?」


    茶柱「へっ? 確かいなかった気がします」


    百田「茶柱より早くに起きて、どっか行ったってのか?」


    王馬「ねぇねぇ、そろそろこの血痕を辿ってみない? その先にゴン太がいるかもしれないしさ!」


    最原(あまり考えたくはないけど…もしかすると、また誰かが犠牲になっているのかもしれないな…)



    僕らは百田くんを先頭に、血の跡を辿って行った。そして終着点は、今まで謎の石碑があった場所。






    その上に、全身を切り刻まれた………超高校級の昆虫博士 獄原ゴン太君が倒れていた。
  95. 105 : : 2017/03/17(金) 19:59:40

    春川「………ダメだ。死んでるね」


    王馬「ふーん、そんなに簡単に人が死んでるのか分かるもんなんだ。今の保育士って」


    春川「そんなの今は関係ないでしょ」


    春川「それより…犠牲者が出たんだよ。最原」


    最原「えっ。あ、あぁ……うん」


    百田「襲撃者が居ねえのに、何でゴン太は死んでるんだよ!」


    春川「獄原を殺したのは襲撃者じゃない」


    春川「首謀者だよ。そうだよね最原」


    最原「うん。襲撃者だった東条さんは亡くなったし、ゴン太君の死体も今までの犠牲者のものとは別物のように…」



    春川「そういうことじゃなくて、私はあんたが『真の首謀者』じゃないかって言ってるんだよ」



    最原「は!?」



    春川さんの言葉を理解できず、僕は硬直してしまった。



    百田「おいおい春川。何で終一が犯人だなんて思ってんだ?」


    春川「これを見ればわかるよ」



    そうして春川さんが見せたのは、ゴン太君の下敷きになっていた、例の”石碑”だった。





    しゅぼうしゃはさいはらうまくころすべし




    キーボ「首謀者は最原、上手く殺すべし?」


    最原「なんだよ……これ?」


    王馬「それはこっちのセリフだよ。最原ちゃん、君が首謀者だったなんて!」


    最原「ち、違う!僕は首謀者じゃない!」


    天海「で、でも…それならこれは何なんすか?」


    最原「分からないよ。でも僕は絶対に……」




    春川「問答無用…」


    そこで春川さんは、どこからともなくナイフを取り出すと───




    僕に襲いかかって来た。



    最原「うわっ!」



    春川「逃がさない…よくも東条たちを!」


    ナイフを振り回し、迫って来る春川さん。



    キーボ「春川さん! 一度落ち着いて話し合いましょう!」


    春川「邪魔しないでよ!」


    百田「終一! お前は一旦逃げろ! 春川は俺らが止める!」


    最原「ご、ごめん。ありがとう!」
  96. 106 : : 2017/03/17(金) 20:02:34


    -体育館への廊下-



    最原「はぁはぁ……」


    最原「どういうことなんだ……」


    最原「首謀者は最原、上手く殺すべし…」


    最原「そもそも僕は首謀者じゃないのに………」



    考える間も無く、誰かの足音が耳に入って来る。




    春川「見つけた……」




    殺気を遺憾なく含んだ声、春川さんは本気だ。



    百田「すまねぇ終一、止められなかった!」



    春川「あんたを殺せば、全て終わる!」



    最原(やばい!このままじゃ本当に殺される!)




    行き止まりだと分かっているけど、僕は咄嗟に横の扉を開いた。この先には百田君の研究教室がある。








    -螺旋階段-




    僕は春川さんから逃げるため、超高校級の宇宙飛行士の研究教室に通じる螺旋階段を登っている。


    僕の少し後ろを春川さん、そして春川さんを止めようと百田君、キーボ君、茶柱さんも登ってきている。


    最原(マズい……このままじゃ追いつかれる!)




























    最原(はぁはぁ、ようやく百田くんの研究教室に辿り着いたぞ)






    -超高校級の宇宙飛行士の研究教室-


    最原「なにか、盾になる物は……」


    部屋に入るなり、すぐに身を守る道具を探す。しかし、見つける時間など残されていなかった。




    春川「……もう逃げられないよ。最原」



    薄暗い教室内で彼女の鋭く光った眼光が僕を見つめている。


    キーボ「ダメです、春川さん!」



    春川「最原を殺せば、次の襲撃タイムで犠牲は出ない。だって最原が首謀者だから」


    キーボ君の制止に耳を傾けず、春川さんは近づいて来る。



    春川「東条、あんたの仇は私が討つ。そしてこれが、私の最後の殺人…」



    ナイフを握り直す姿は保育士のものとは思えなかった。



    春川「……じゃあね、最原」





    そう言って春川さんは、ナイフを刺した。




    返り血が、彼女の制服をより赤く染め上げる。
  97. 107 : : 2017/03/17(金) 20:07:37






















    \テンテレレンテ-ン/






    軽快な音楽、バングルから発せられる音だ。






    春川「は、何してるの…?」





    春川さんが狼狽える、飛び散った血は僕のものではないから。






    春川「百田!」





    ナイフは、僕を庇った百田君の腕に刺さった。普通なら死には至らないだろうが、百田君の場合は別だ。


    NG行動が怪我をすることである百田君には、もう毒が注射され始めている。



    百田「春川……そう早まるな。終一は、首謀者なんかじゃねぇ。俺は、そう信じてるからよ…」



    春川「信じるって、そんなのあんたのただの勘でしょ!?そんなのに私は命を懸けられない!」



    百田「わかってねーな…こいつはただの勘じゃねぇ……宇宙に轟く百田解斗の勘だ…!」



    最原「百田、君……」



    百田「終一……心配すんな。春川もきっとわかってくれる。そしたら、本当に信頼し合える仲間になれるさ。だから、絶対に負けるなよ………」



    激励を最期に、百田君はもう口を開かなかった。
  98. 108 : : 2017/03/17(金) 20:10:32





    春川さんはナイフをその場に落とした後、しばらくその場に立ち尽くした。そして少し経ってから僕に話しかけて来た。



    春川「最原、ゴメン……私、あの石碑を鵜呑みにし過ぎてた」


    春川「アイツが……百田が言ったように、私もあんたを信じたい」


    春川「だから、あんたが首謀者じゃないって、証明して…」



    最原(多分、春川さんはまだ僕を完全に信用している訳じゃないだろう……でも彼女は百田君のおかげで、僕を信じたいと思ってくれている、はず…)



    最原(だったら……ここで僕の疑いを晴らして見せる)








    ーーーーーーーーーーーーー
    ーーーーーーーーーー
    ーーー
    ーー






    -中庭-


    天海「行っちゃったっすね、みんな…」


    王馬「天海ちゃんは、最原ちゃんが首謀者だと思ってるの?」


    天海「確証はないんすけど……でも、今まで見てきた最原君は、ゴン太君をこんな残酷には殺さないっす」



    俺は身体中の至る所に切り傷がついて、絶命しているゴン太君を見ながらそう言った。



    王馬「へー。麗しい友情だね!そんな天海ちゃんに、見て欲しいものがあるんだよね」


    天海「へぇ、なんすか?」


    王馬「俺の研究教室だよ。カモン! 天海ちゃん」



    獄原君の遺体を個室に安置した後、俺達は超高校級の総統の研究教室に向かった。
  99. 109 : : 2017/03/17(金) 20:37:47

    -超高校級の宇宙飛行士の研究教室-



    キーボ「最原クン。自分が首謀者ではないことを、どうやって証明するんですか?」



    最原「これまでの首謀者の行動は、僕らが知る範囲では2つだけなんだよ」



    最原「最初の自由行動時間に白銀さんと会話してNG行動を発動させたこと」


    最原「そして、5回目の襲撃タイムでゴン太君を殺害したこと」


    最原「ゴン太君襲撃の件はともかく、白銀さん殺害の件は僕には無理なんだ」


    春川「それはどうして?」


    最原「僕はみんなで別れて探索するとき、天海君と星君とずっと一緒にプールにいたからね」


    キーボ「少しでもバラバラになったことはありましたか?」


    最原「いや、あまり離れすぎると、天海君がNG行動に違反してしまうからね。それに、プールから出た後、すぐに茶柱さんとアンジーさんと会ってるんだよ」


    茶柱「そうでしたね。はい、間違いありませんよ!」


    春川「そっか……なら、あんたにはアリバイがあったんだね」


    最原「信じてくれた?」


    春川「うん、本当にゴメン…」
  100. 110 : : 2017/03/17(金) 20:42:52


    最原「僕は、大丈夫だよ……」


    キーボ「最原クンでないとすると、あの石碑はなんだったんでしょうね?」


    茶柱「イタズラですかね?」



    モノクマ「お答えしましょう。あれはボクが書き足していったものです。ゲームを盛り上げるためにね」



    最原「え? な、なんだよそれ…」


    キーボ「とにかく襲撃が起こった以上、アリバイのある最原クンを除いた僕ら5人の中に、真の首謀者が居るはずです」



    王馬「じゃあ首謀者は茶柱ちゃんじゃない?今現在、唯一俺らにNG行動の内容を明かしてないんだし」



    最原「え、王馬君……?」


    王馬「ん、どうしたの?」


    春川「ねぇ、天海はどうしたの?」


    王馬「ああ、天海ちゃん?それなら、超高校級の総統の研究教室に居るよ」


    キーボ「王馬クンの研究教室……?」


    王馬「そう、この学園の最深部。そして、ここはこの学園の最上階。今頃天海ちゃんはNG行動を侵して死んでいるだろうね!」


    茶柱「な、何てことをしてるんですか!」


    王馬「正当防衛だよ。あっちが俺のことを首謀者だって疑ってくるから拘束して部屋から出て行ったってだけ。何かおかしいことした?」


    キーボ「お、おかしいことだらけです!殺す必要はないでしょう!」


    王馬「恨むなら首謀者を恨みなよ。NG行動を設定したのもどうせ首謀者だし…」
  101. 111 : : 2017/03/17(金) 20:46:12


    王馬「そういや茶柱ちゃん。襲撃タイムのあとトイレに行ったって言ってたけど、それって嘘じゃないの?君がゴン太を殺して、証拠を隠してたんでしょ?」


    茶柱「嘘なんかじゃありませんよ!」


    最原「茶柱さんは首謀者じゃない、根拠もあるよ。白銀さんが死亡した時、茶柱さんはアンジーさんと一緒にいたからね!」


    茶柱「そ、そうですよ!転子は首謀者ではありません」


    王馬「じゃあ、キー坊だ! 白銀ちゃんの第一発見者はお前だろ!?」


    キーボ「ち、違いますよ。証拠はないですけど…」


    王馬「で、春川ちゃんは…」


    春川「私はたしか3階にいたよ」


    王馬「探索開始から終了まで、ずっと奥の方の部屋を守ってたよね。俺、忍び込めないか見張ってたけど、“ずっとその部屋の前にいた”もんね」
  102. 112 : : 2017/03/17(金) 20:48:27



    王馬「これでもうアリバイないのはキー坊だけに…」



    春川「アリバイ無い奴はキーボだけじゃない、私と王馬もだよ」



    王馬「……いやいや、俺は春川ちゃんをずっと監視してたから、結果的にアリバイが」



    春川「私は3分くらい、あの部屋から離れてたんだよ」



    王馬「…は?」


    春川「あんたは私をずっと見てたって言うけど、じゃあ何で”ずっと部屋の前にいた”なんて言ったの?」


    キーボ「もしかして…嘘、だったのですか?自分のアリバイを作るための……」


    王馬「あ、あれ?え、えっとね〜それは……」



    王馬「そ、そんな簡単にバレる嘘を、この俺がつくわけないじゃん! とにかく、俺は首謀者じゃないよ!」




    最原「それは違うぞ!首謀者は、君だよ。王馬小吉君!」
  103. 113 : : 2017/03/17(金) 20:52:44

    王馬「ふーん、じゃあ理由を聞かせてよ」


    最原「君は天海君のNG行動を知っていたよね…だから、それを使って彼を殺害出来た…」


    最原「でも、君が知ってるはずないんだ。だって天海君がNG行動を口にしたのは、君がいなかった時……最初の探索の時と3回目の自由行動時間だけだから」


    春川「そう言えば、3回目の自由行動時間の時、王馬は図書室に行ってたはず…」


    茶柱「東条さんの話では、早く目が覚めて下の階に降りて行ったそうですね」


    王馬「甘いよ最原ちゃん。襲撃タイム後に早く目覚めた俺が、天海ちゃんのNG行動を見た可能性だってあるよ」


    キーボ「いえ、無理です。君は1回目、2回目のタイムリミットを眠っていない東条さんの側で迎えています。でも東条さんは、君がそんな行動をしていたとは話していませんでした」


    最原「3回目のタイムリミットは、ずっと起きていた僕が近くにいたけど、君は熟睡していたよ」


    茶柱「そして4回目と5回目のタイムリミットでは……えーっと、確か転子が一番に、目覚めて……」


    王馬「いや、俺は4回目のタイムリミット後、みんなより早く起きて天海ちゃんのNG行動を確認したんだ」


    王馬「それに4回目のタイムリミット後はみんなバラバラだったしね!」
  104. 114 : : 2017/03/17(金) 20:57:15


    春川「眠っていない人がいない以上、その可能性はゼロじゃない……」


    最原「それも嘘だ。王馬君は東条さんをエグイサル格納庫に連れて行く時にこんな言葉を漏らしたよね」



    『おーい天海ちゃん! 置いてっちゃうよー。そんなに離れてるとNG行動に引っかかるかもよ! まぁ俺としてはNG行動での死体が増えるのは大歓迎だけど』



    キーボ「はい! 確かにそう言っています。僕の録音機能が、バッチリその発言を記録しています」


    春川「これって明らかに天海のNG行動を知ってる人間のセリフだよね」


    茶柱「東条さんが生きてるうちですから、4回目のタイムリミット前ですよね」


    春川「この台詞とさっきの言葉………矛盾してるよね。あんたが首謀者だから、天海のNG行動を知ってたってことでしょ」


    王馬「………………………」



    王馬「あはは、バレちゃったか……」



    最原「認めるんだね、君が首謀者だって」




    王馬「うん。そうだよ。俺がコロシアイ新学期の真の首謀者だよ」
  105. 115 : : 2017/03/17(金) 21:05:41

    キーボ「そんなあっさりと……」


    王馬「俺はモノクマと結託して殺し合いの新ルールを作り、首謀者だった白銀ちゃんを殺害することでその座を奪ったんだ」


    王馬「ゴン太を襲撃したのも俺。だってあいつに暴れられたら面倒だもん」


    最原「ねぇ…このバングルって、遠隔操作されているものじゃないと思うんだけど、なら、どうして君には睡眠薬が打ち込まれた時と打ち込まれなかった時があったの?」


    王馬「にしし…俺のバングルは特別製なんだ。最初の襲撃者、東条斬美が死亡すると睡眠薬が打ち込まれないように設定されてるんだよね!」


    茶柱「つまりあなたは、2人目の襲撃者でもあったってことですか!?」


    王馬「そういうこと! そして次の襲撃タイムにはもう夜時間。俺は君らを全滅させて、再び首謀者として次回の殺し合いに参加するんだよ。そうだよねー、モノクマー?」


    モノクマ「はい!その通りですな」



    モノクマがどこからともなく現れて、嫌味ったらしく笑う。


    モノクマ「あ、そうそう…ここの研究教室の主である百田クンはもう死んだよね?」


    モノクマ「死んだ人の研究教室に入るのは禁止だよ! 王馬クン…もう皆殺しにしちゃっても良いんでない?」


    王馬「そうだね。そうしようか」



    王馬君はポケットから機械を取り出すと、それを操作し始めた。そして間もなくして、




    轟音とともにエグイサルが4体現れた。ただでさえ狭いこの教室に、巨大兵器が4体もおり、その威圧感は計り知れない。


    エグイサルの一体が、壁を破壊し、飛び降りて行った。校舎6階ともなると、相当高いはずだ。落ちれば死ぬだろう。



    王馬「ハハハハハハ! 死んだ人間の研究教室に入るのは禁止! お前ら全員処刑だ!」






    エグイサルが出入り口側の壁を破壊した。その爆風で、僕はよろけて、




    最初に出来た壁の穴から、落ちた。
  106. 116 : : 2017/03/17(金) 21:09:38





















    \テンテレレンテ-ン/




    その音を聞いて、ようやく僕は自分の状況を理解した。




    下を見れば先ほど落下して行ったエグイサルの残骸。




    誰かに手首を掴まれているお陰で落ちずに済んでいるみたいだ。





    茶柱「ぐっ……」




    見上げてみると、それは茶柱さんだった。




    茶柱「き、きええええええ!!」



    茶柱さんが引っ張ってくれたおかげで、僕は教室に戻って来れた。でも、さっきの音は…



    茶柱「はぁ……はぁ……」


    茶柱さんの顔色はとても悪い。間違い無くNG行動を犯している。



    最原「茶柱さん!大丈夫!?」




    既に顔まで侵食している猛毒。発生源のバングルには彼女のNG行動がくっきりと映し出されている。





    【異性に触れる】




    茶柱「危なかった、ですね……」



    最原「ど、どうして僕を助けたの!?そんなことしなければ、君がNG行動を踏むことは…!」



    茶柱「何故かは、分かりません……ですが転子も……夢野さんや百田さんのように、仲間を助けたかったんだと思います……」



    呼吸も荒くなっており、今にも倒れそうだ。



    茶柱「王馬さんを倒して、もうこんな殺し合いを……終わらせてください」



    茶柱「お願いします……」










    最原「……ありがとう、茶柱さん。絶対に殺し合いを終わらせる。約束するよ」



    僕はエグイサルが起こす衝撃波を、茶柱さんの遺体を守りながら躱した。そして死んでしまった皆と、殺し合いを終わらせる約束を誓った。
  107. 117 : : 2017/03/17(金) 21:15:38

    NG行動早見表
    最原  --暴力を振るう--
    ×東条  --襲撃者の役割を放棄する--
    ×百田  --怪我をする--
    ×夢野  --参加者を見捨てる--
    ×星   --NG行動なし--
    春川  --自分のNG行動を明かす--
    ×天海  --単独行動をする--
    ×茶柱  --異性に触れる--
    ×獄原  --建物を壊す--
    ×白銀  --真の首謀者と会話する--
    王馬  --NG行動以外での犠牲者が8人出る--
    ×夜長  --飲食する--
    ×真宮寺 --殺人をせずにタイムリミットを迎える--
    ×入間  --下ネタを言う--
    キーボ  --武装する--
    ×赤松  --リュックを開ける--

    全員分判明しました。
  108. 118 : : 2017/03/17(金) 21:21:39

    キーボ「最原クン!一旦ここから出ましょう!」


    春川「ずっとここにいるのは危険だよ」


    最原「うん、分かった……」




    -裁きの祠の前-


    キーボ「茶柱さんまで…死んでしまうとは……」


    春川「ねぇ、これからどうする?」




    ドン!という大きな着地音とともにエグイサルが僕らの眼前に降り立った。




    王馬「どうもさせないよ!君らはここで終わりだからね!」


    王馬「それにしても、他人のために“命を使う”なんて、百田ちゃんも茶柱ちゃんも馬鹿だなー」


    最原「馬鹿なんかじゃないよ。勿論、得策とも言えない。だけど、その行為を侮辱するのは止めろ」



    王馬「で、これから君らはどうすんの?このままだと俺に殺されちゃうよ?」


    最原「いや、君は僕らを殺せない。NG行動がある限りね」

  109. 119 : : 2017/03/17(金) 21:38:18

    王馬「覚えてたんだね」


    最原「NG行動以外での犠牲者は現在6人。あと1人しか殺せない」


    春川「ねぇ、王馬が死ねば、襲撃者はいなくなるんでしょ?だったら、私たちのすることは決まってる。あいつを殺すんだよ…」


    王馬「そうだね。でもエグイサルを有する俺を殺せるの?」


    キーボ「勝率は……低いですね…」


    春川「くそっ…」




    最原「王馬君を死なせる方法ならあるよ」



    春川「えっ、本当に!?」


    王馬「また最原ちゃんか…それで?その方法って?」




    最原「僕らの命を使って、君のNG行動を発動させるんだ」



    キーボ「ボクたちの…」


    春川「命を使う?」



    最原「NG行動以外での犠牲者は6人。僕らから2人、NG行動と関係なく死亡すれば、8人に到達すよね」


  110. 120 : : 2017/03/17(金) 21:40:30

    王馬「ほ、本気で言ってんの…?」



    最原「僕は本気だ。赤松さん達と約束したんだ。首謀者を倒して、殺し合いを終わらせるって…」



    最原「だから、僕は殺し合いを終わらせるために、自分の”命を使う”」



    王馬「で、でもさ…君1人じゃ意味ないよ!俺のNG行動は8人死ななきゃならないからね」



    春川「だったら、 私もやる。それであんたを殺せるなら、自殺だってなんだってやってみせる」



    王馬「は?」



    春川「それに…あんたが生き残れば、また新しい殺し合いが始まってたくさんの人が死ぬから」



    キーボ「ならばボクだって!1人だけ残されるなんて嫌ですからね!」



    最原「い、いや…キーボ君?君まで死ぬ必要はないんだよ?」


    キーボ「いいえ、もう決めました。ボクにも協力させてください。ボク達は、運命共同体ですからね!」



    春川「なんでロボットとそんな関係にならなきゃいけないのさ」



    キーボ「こんな時までロボット差別ですか!?」




    ───でも、これで終わる。僕らの勝ちだ。





    最原「どうだ、王馬君。これが僕たちの答えだよ」

  111. 123 : : 2017/03/17(金) 22:27:41




    王馬「…………………」



    王馬「認めないよ」



    王馬「そんなの認めない!自殺なんてしようものなら、エグイサルで止めてやるよ!」




    春川「必死だね。まぁ、自分の命がかかってるんだし」



    キーボ「自分はたくさんの人たちの命を奪って置きながら、なんで身勝手な……」



    王馬「なんとでも言えばいいさ!こっちにはエグイサルがいるんだ。お前らの行動なんて───




    エグイサルレッド「ソイヤッ!」



    突然赤いエグイサルが現れ、王馬君の乗っていたエグイサルを吹き飛ばした。



    モノタロウ「おはっくま〜」


    キーボ「モノクマーズ!?」


    モノタロウ「モノクマーズと言っても、もうオイラしか居ないんだけどね」



    モノクマ「な、何だ!?今いいとこなんだから、邪魔するなら爆発させて───



    その言葉を喋り終える事なく、モノクマはグシャリと鈍い音を立ててエグイサルに潰された。



  112. 124 : : 2017/03/17(金) 22:31:30


    モノタロウ「よくもモノキッドたちを爆発させたなー!」


    モノタロウ「こんなバカ親、オイラは認めないぞ!」



    最原「モノタロウ…」


    モノタロウ「だから、首謀者を倒すって言うなら、オイラが最原君たちの作戦を手助けするよ。もう殺し合いなんて終わらせようよ」



    王馬「…………」



    春川「残念だったね、王馬。あんたの目論見もここまでだよ」



    最原「最後に聞かせて。君はどうやって首謀者の座を乗っ取ったんだ?」


    王馬「モノクマと交渉したんだよ。この新ルールを提案する代わりに、俺を首謀者にしてくれってね」



    キーボ「何故、こんな事を…?」



    王馬「面白いからに決まってるだろ?それに…他人の考えたつまらないゲームに参加させられるより、自分が考えて作り上げたゲームの方が楽しいじゃん……」



    最原「王馬君…」




    モノタロウ「えーっと…それじゃあ、始めるよ!」

  113. 125 : : 2017/03/17(金) 22:35:40

    おしおき:才囚学園の崩壊 inモノタロウ



    モノタロウが操縦するエグイサルレッドは、その場に飛び上がると飛行形態に変形し、裁きの祠から飛び立った。



    そして、才囚学園を破壊し始める。校舎や寄宿舎、カジノなど、見慣れた建物がエグイサルのレーザーにより瓦礫へと変貌していく。



    エグイサルはスピードを上げ、とうとう校舎を跡形もなく破壊した。



    最原達はおそらく瓦礫の下敷き。生きてはいないだろう。


    NG行動以外での犠牲者が、合計9人出たことにより王馬のバングルは不愉快な音を鳴らし始めた。





    \テンテレレンテ-ン/



    王馬「は…はは……本当にみんな死んだんだ」



    王馬「はぁ、せっかくこのゲームを乗っ取れたってのに……」



    王馬「でも、つまらなくは……なかったよ」



    薄っすらと口角を上げて王馬はそう呟いた。そして毒に蝕まれた皮膚を見ながら倒れた。










    才囚学園の破壊を終えたエグイサルレッドの中のモノタロウは、”何か”を見届けると、少し微笑んでから壁に特攻していった。




    その爆発により、『果ての壁』のあった場所には、外の世界へ繋がる巨大な穴が開いた。
  114. 127 : : 2017/03/18(土) 12:18:10








    -才囚学園-






    最原「大丈夫…?」



    春川「…うん」



    キーボ「ボクのアンテナが見当たらないのですが…どこにあるか知りませんか?」



    最原「……諦めた方がいいと思うよ」



    キーボ「……そうですね。幸い、重要なパーツは助かりましたし…」



    春川「助かった?ねぇ、どうして助かったの?どうして、私たちは生きてるの?」



    最原「どうして…だろうね…?」





    最原(腕のバングルが外れている。つまり殺し合いは終わったんだ。首謀者であり、襲撃者でもある、王馬君の死によって…)



    最原(じゃあ、何で僕らは3人とも生きているんだ?)
  115. 128 : : 2017/03/18(土) 12:27:38




    僕らは、しばらく無言のまま、”向こう側”をじっと見つめていた。


    僕たちが望み続けて…


    僕たちを苦しめ続けた…


    外の世界を。






    春川「でも、やっぱりわからない…本当に、どうして私たちは生き残ったの?この世界が壊された時に、一緒に終わるものだと思ってたのにさ…」



    最原「もしかすると、僕らは3人とも死んだと思われて、王馬君に毒が注射されたんじゃないかな?」



    キーボ「モノタロウが、僕らを生かしてくれたんですね…」











    キーボ「…それで、これからどうしますか?」



    春川「何も考えてなかったよ。私はもう死ぬと思ってたから」


    最原「でも、僕たちはまだ生きている。これは嘘じゃなくて…真実みたいだね」

  116. 129 : : 2017/03/18(土) 12:48:08










    キーボ「これまでボクを導いてくれた”内なる声”が、今はもう全く聞こえません…」




    キーボ「ですが、ボクにはもうそんなものは必要ありません!」




    キーボ「自分の未来は、自分で決めることです!」




    キーボ「だからボクは、ここから出たら飯田橋博士にボク自身を改造をしてもらいます」




    キーボ「ボクはこの殺し合いで、自分の弱さを痛感しました」




    キーボ「だから…これから、最原クンと春川さんを守れるような強いロボットになって、君たちのもとに帰ってきます」






    春川「それが、あんたが自分の意思で決めた未来なんだね」




    最原「うん。楽しみに待ってるよ」

  117. 130 : : 2017/03/18(土) 13:01:19



    春川「私は…ここを出たら、2人に話したいことがあるんだ…」




    春川「私の過去や、本当の才能とかを…あんたたちに話したい」




    春川「そしたら私たちは、信頼し合える大切な仲間になれると思うから」




    春川「まぁ、“勘”なんだけどね…」






    キーボ「何言ってるんですか?ボクらはもう大切な仲間ですよ」




    最原「どんな秘密があろうと、それは変わらないよ」





    春川「2人とも……」



    春川「………ありがとう」

  118. 131 : : 2017/03/18(土) 13:12:15




    最原「僕は…この殺し合いを計画した集団を見つけ出したい。裏で、モノクマ達を操っている人たちがいたはずだから…」




    最原「そしてこんな殺し合いを、もう二度としないように説得したい……」




    最原「いつか2人にも、協力してもらうかもしれないね……」






    キーボ「いつでも待ってますよ!」




    春川「私もやるよ。だって、仲間だし」




    最原「うん…僕らの力があれば、なんだって出来るよ」








    最原「それじゃあ行こうか。外の世界に」
















    殺し合いは終わった。でもまだ完全に途絶えたわけではない。



    裏で糸を引いている黒幕を説得しなければ、殺し合いの連鎖は断ち切れない。




    でも…あの殺し合いを乗り越えた僕らなら、出来るかもしれない。




    そんな強い希望を持って、そして犠牲なった仲間達の思いを背負って、僕らは絶望の渦巻く才囚学園を後にした。







    The End


  119. 132 : : 2017/03/18(土) 13:19:43
    なんとか完結させることができました。

    最初は百田君が黒幕の予定だったりするので、どこかに矛盾してるところがあるかもしれません。
    ss書くのは初めてなのでミスも多く、文章が見づらかったかと思いますが、最後まで読んでいただき有り難うございます。


    追記
    なんかちょくちょく文を付け足したり、要らないところを削ったりしてるんですが話の展開は変えていません。
  120. 133 : : 2017/03/18(土) 13:27:05
    面白かったです。
    百田が黒幕のところが想像できない...(⌒-⌒; )
  121. 134 : : 2017/03/18(土) 13:57:53
    乙 毎回先が気になるssでした
    百田がほぼ無駄死にだったのがちょいと気の毒
  122. 135 : : 2017/03/18(土) 14:03:12
    非常に面白かったです!お疲れさまでしたぁ(*´∀`*)ノ
  123. 137 : : 2017/03/18(土) 14:22:29
    >>133
    >>134
    >>135
    ありがとうございます。
  124. 138 : : 2017/03/18(土) 16:27:07
    作者がモノタロウが好きなのが伝わった。
  125. 139 : : 2017/03/18(土) 16:48:36
    >>138
    おっしゃる通りです。
  126. 145 : : 2017/03/24(金) 13:10:59
    傑作ですね。
  127. 146 : : 2017/03/24(金) 14:14:31
    >>145
    ありがとうございます!
  128. 147 : : 2017/03/31(金) 17:12:16
    とっても面白かったです‼星君と百田君が、かっこよかったです。自分はこの2人のキャラが好きなので、嬉しいです‼
  129. 148 : : 2017/04/04(火) 00:40:26
    >>147
    ありがとうございます!
  130. 151 : : 2020/10/24(土) 10:20:19
    面白かったです!でも最初の犠牲者が入間ちゃんなのは辛かったですw

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rain2000

雨太浪

@rain2000

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