このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
【オリロンパ】絶対絶望少女V3
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- 1 : 2017/03/08(水) 20:02:17 :
- 注意
・原作設定から妄想を膨らませた僕の妄想のキャラ(いわゆるオリキャラ)がほとんどの、いわゆるオリロンパです。
・原作のネタバレを多数含みます。特にニューダンガンロンパV3や絶対絶望少女のネタバレが多いので、未プレイの場合は十分注意してください。
・裁判はありません。安価はできたらします。
・>>1の文章力もありません。
生死予想とかCPとか大歓迎です。
といっても、章ごとに何人死ぬとか何人登場するとか、明確に人数が決まっている訳では無いのですが…(最悪未出演や即死も考えられます)
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- 2 : 2017/03/08(水) 20:21:17 :
- 世界の中心から外れたところにいるのは私。あくまでその中心は、私ではなく、彼女なのだ。
私は赤松奏。奏…なんて名前の癖に、音楽のセンスは皆無。全部楓に奪われた。
今はずっと陸上競技をやっている。超高校級になって、親や周囲の人間、楓を見返そうって頑張ってる。
でも、いい結果なんて出せない。現実はそう上手くはいかない。
…って、ちょっとネガティブになりすぎたかな。でも…
才能のある楓と違って、私はただの凡人だから……すぐ隣に凄い才能の持ち主がいたら、嫌でもネガティブにはなるよ。
今は絶賛監禁生活中だ。超高校級狩りに狙われた姉の人質として。
…人質、だってさ。楓にとって、私なんて人質にすらならない価値なんだろうに、超高校級狩りも馬鹿だなぁ…と、遠まわしな自虐をしてみる。
それでも、退屈であることに変わりはなかった。この監禁生活は、一体いつまで続くのだろう。
どんどん、私の手の届かないところに、超高校級が行ってしまっている気がする………。
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- 3 : 2017/03/08(水) 20:30:57 :
- 奏「!?」
それは突然起こった。
この窓が割れたのだ。もしかして、私の救出にーーーー
なんて、そんな希望は簡単に砕け散った。
そこには、体半分が黒、もう半分が白の、クマみたいなぬいぐるみが爪をたてていた。
奏「な、何あれ……」
と、私が問いかけても答えてくれる人はもちろんいない。
困惑していると、ドアの方も外される。そのクマに。
挟み撃ち…これはやられた……
クマには明らかな殺意があった。どういう理屈で動いているのかは知らないけど、きっと殺人兵器…のようなものなのかな。
目を瞑って死を覚悟した。超高校級になれない私に、これ以上生きてる意味はないからーーーー
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- 4 : 2017/03/08(水) 20:31:54 :
「それは違うぞ!!」
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- 5 : 2017/03/08(水) 20:39:39 :
- その声と同時に、目の前にいたモノクマは全部破壊された。
破壊されるのと同時に小さな爆発も起こったので、それに巻き込まれないようにと手で自分の身を防ぐ。
なんとかその爆発が収まったので、手を退けて、目の前に見えたのはーーー
30過ぎたくらいの、細マッチョな男性だった。
???「大丈夫かい?お嬢さん。」
奏「え、えぇ…なんとか…助けてくださって、ありがとうございます。」
???「そうかい、それは良かった。ところで、キミもここに閉じ込められていたのかい?」
奏「は、はい…もしかして、あなたも?」
終造「あぁ、私は最原終造。一応、探偵をやっている者でな。」
【超高校級の探偵の叔父】最原終造
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- 6 : 2017/03/08(水) 20:43:55 :
- 奏「最原…って、もしかして!」
終造「あぁ、最近私の甥っ子…最原終一が、超高校級の探偵に認定されてな…。どうやらその甥っ子が事件に巻き込まれたみたいで…無事だといいんだがな。」
終造「ところで、キミは?」
奏「あっ、私は赤松奏っていいます。双子の姉に、超高校級のピアニストの、赤松楓っていうのがいます…。」
終造「…奏ちゃん、だね。まあ、こんなおじさんだけれど、同じ事件に巻き込まれた者同士、協力してやってくれると嬉しいよ。」
奏「も、もちろんです…というより、私からもお願いしたいくらいです。」
やっぱり、死ぬのは怖いよ…。
どうやってあのクマを破壊したのかはわからないけど、頼りになることに間違いはない…。だから……
奏「私、生きたいんです…。まだ私の夢は叶えられていないし…今みたいに、中途半端なところでゲームオーバーは嫌なんです!!」
精一杯の本音、叫び。
この人なら、きっとそれすら受け止めてくれるって…初対面なのに、そんな信頼に似た何かがわいた。
そして、終造さんは、にこりと優しく微笑み…
終造「…もちろん。私でよければ、だけれどね。」
と言った。
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- 7 : 2017/03/08(水) 20:54:06 :
- 奏「ところで、なんでこんな変なクマがわいたりしているんですか?それに、超高校級が2人事件に巻き込まれてて、それの人質として囚われていたっていうのもおかしな話ですし…」
終造「…私も色々調べてみたのだけれどね、終一くん達がどうなのかはよくわからない。ただ、外に関していえば最悪で絶望的ってこと…だね。」
最悪で…絶望的……?
終造「言ってみたらわかる。」
自分の口から言いたくないってことかな…。
そこまで酷い状況なのか…凡人の私にとっては、そんなもの見るのも辛い……でも………
やっぱ、こんなところで死にたくないし、生きるためにも、現実と向き合わなくちゃね…
終造さんに着いていって外に出てみれば、それは文字通り、最悪で絶望的だった。
さっきのクマがあちらこちらにいて、人を襲って、食って、グチャグチャにして……今にも吐きそうな気分だ。
奏「あの、あのクマって…」
終造「『モノクマ』と呼ばれているらしくてな。大量生産された、人殺しのぬいぐるみロボットだ。」
奏「や、やっぱり…殺人兵器だったんだ……」
終造「…そうだ、奏ちゃんにもこれをあげよう。」
と、終造さんは私にメガホンのようなものをくれた。
終造「それは『ハッキング銃』。どういう理屈だかは私にもよくわからないんだけど、とりあえず、弾丸(タマ)が当たれば、モノクマは壊れるよ。」
奏「へ、へぇ…」
終造「私はあくまで探偵。探し物の依頼とかで体力は使うものの、反射神経やら瞬発力っていうのは遅いからね。できるだけ、自分の身は自分で守って欲しい…」
奏「もちろんです!私、こう見えて陸上競技やってたんで、割と向いているかもしれませんね。」
終造「それは良かった。もちろん、私もできるだけキミを守るようにするよ。」
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- 8 : 2017/03/08(水) 22:26:05 :
- 期待です!
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- 9 : 2017/03/09(木) 13:57:49 :
- >>8
ありがとうございます。期待にこたえられるよう頑張ります!
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- 10 : 2017/03/09(木) 14:05:25 :
- 奏「そういえば、さっきまで私達が監禁されていたところって、部屋が16個ありましたよね?」
終造「…よく見ているんだね。ってことは、つまり私達は合計16人居たってことかな?」
奏「かもしれません。ここまできたら関係ないなんて言ってられないし…探してみましょう。」
終造「そうだね。じゃあ、それも視野にいれて、最終的には、安全なところに避難するってことでいいかな?」
奏「……いや」
終造「…いや?」
奏「巻き込まれた私達だけじゃなくて、ここに住んでる民間人も助けたい…なんて思ったんですけど、さすがに無理ですよね。超高校級ならまだしも、私達みたいな普通の人にはーーー」
終造「………できるかできないか、じゃないんじゃないかな。」
奏「えっ?」
終造「後悔するのはやった後だよ。やる前から後悔するのは…そんなの、後悔じゃなくて、ただの逃げだ。」
終造「陸上競技をやっているんでしょ?それなら、それがよくわかるんじゃないかな…。」
奏「……そうですね……そうですよね!やる前からくよくよしてたって仕方ないですよね!」
奏「じゃあ、民間人全員を助ける勢いで…いや、むしろ事件をおさめましょう。そうすれば、きっと私達は【超高校級の救世主】なんかになれるんじゃないですか?」
終造「……おじさんは高校生じゃないから、無理だろうね。」
奏「あはは…ですよね。」
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- 11 : 2017/03/09(木) 18:57:50 :
- 期待だよ!これは期待ものだよ!
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- 12 : 2017/03/09(木) 22:32:05 :
- >>11
ありがとうございます!
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- 13 : 2017/03/09(木) 22:42:26 :
- 奏「終造さん!あそこ、橋が!」
終造「…外に出られる、かもしれないね。」
奏「でも、外に出たらどうしましょうか…?」
終造「一先ず安全なところへ避難して、冷静に考える時間がほしいかもしれないね。こう見えて私は探偵だから、事態の首謀者を炙り出して、その首謀者と直接対決…なんてできたら、一番手っ取り早いのだけれど。」
奏「まあでも、確かに考える時間は必要ですね。じゃあ、橋を渡って外に行きましょう!」
と、私達は橋のある場所まで、モノクマの妨害を受けながらも進んでいった。
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- 14 : 2017/03/09(木) 22:50:37 :
- ???「君たちも、この橋を渡るのかい?」
奏「は、はい!もしかして、あなたも…?」
ゴン助「うん、僕はゴン助!竜と人間のハーフで、今は189歳、趣味は虫さんを探したりーーー」
【超高校級の昆虫博士の家族】ゴン助
終造「竜人族…だっけ?実際に存在していたんだね。」
ゴン助「うん、僕は紳士になりたいんだ!僕の家族、ゴン太が紳士を目指しているから…その手本になりたくって。」
奏「うん…うん?」
なんか話が噛み合ってないような…?
ゴン助「それよりも、君たちはこの橋を渡ろうとしているの?よかった…僕だけじゃなかったんだね!」
終造「それじゃあ、キミも一緒に行動しようか、ゴン助くん。」
ゴン助「うん、よろしくお願いします!」
ゴン助くんは、紳士的に礼をする。
竜人族とか189歳とか非現実なところを言われても、それに違和感を覚えないのは、きっとこんな状況に慣れてしまったからだろう。
最悪だよ…楓、この事件が解決したら、絶対にぶん殴るからね。
だから…殴られる前に、死なないでね。
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- 15 : 2017/03/09(木) 23:58:01 :
- ゴン助「あ、あれ…?」
終造「……おかしいね。」
そう、私達は橋を渡り終えた…と思っていたのだが
その橋の先にあったのは、別の街なんかじゃなくって………
さっき、私達のいた街だった。
奏「そ、そんなの有り得ない!直線になっている橋を渡ったのに、同じところに戻るなんて…」
ゴン助「ぼ、僕はバカだから…何がなんだかさっぱりだよ!」
終造「…考えられる可能性は二つ。一つはこの橋に何かしらの細工があったってこと。もう一つは…」
終造「この『街』に、何かしらの細工がある、ということ。」
奏「街に…細工………?」
終造「単純な話、この橋を軸にして、二つの橋が、鏡になるように配置された…ってことだよ。」
奏「確かに、それならこの現象にも納得が行きそうです。」
ゴン助「え、えーっと…僕、バカだからよくわかんない…」
終造「…じゃあ、それを確かめるためにも、まずは…」
と、終造さんが言うと、橋から出たすぐ近くの建物に、自分の帽子を置いた。
終造「もしまた向こう側を渡って、この帽子がなかったら…私の推理は成立するよ。」
奏「もし置いてなかったら…」
終造「…この橋に、何かしらの細工があるかもね。」
奏「じゃあ、もう一回橋を渡ろうか!」
ゴン助「えっ!?渡ったのにもう一回渡るの!?」
奏「えっと、ダメかな…?」
ゴン助「…ううん、大丈夫だよ!僕は森で育ったから、体力だけはあるからね!」
奏「そっか、良かった。じゃあ行こうか!」
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- 16 : 2017/03/10(金) 00:08:56 :
- そして、また橋を戻って、近くの建物まで行ったが……
終造「やっぱり、私の帽子はないみたいだね。」
奏「じゃあ、やっぱり…」
終造「この街と向こうの街は別…と、捉えた方が良さそうだね。」
ゴン助「じゃ、じゃあ向こうの街って、一体なんなの…?」
終造「………もしかしたら、私達は………」
奏・ゴン助「私(僕)達は……?」
終造「試されている、のかもしれない…」
終造「だって、何か特別な理由でもない限り、同じ街が二つなんて、必要がないんだ。」
奏「た、確かにそうですね…。」
終造「だとしたら、それが必要になることって、どんなことだと思う…?二つ街がなきゃ意味のないものって、なんだと思う?」
終造「私はそれを『この監禁生活』と絡めて考えると…『私達に送られた挑戦状』なんて事が思い浮かぶんだ。…そんなことを仕組んだ犯人は、どれだけ狂気的な人間なんだって思うけどね…」
ゴン助「え、えっと……」
奏「でも、そんな事のために…こんな大掛かりなことをするんですか…?」
???『さすが探偵さん!よくお見通しなんだね!』
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- 17 : 2017/03/10(金) 00:21:43 :
オモロ!期待です!
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- 18 : 2017/03/10(金) 00:27:26 :
- 『おはっくまー』というよくわからない掛け声(?)と一緒に現れたのは、モノクマより少し小さい、それと似たぬいぐるみだった。
モノジロウ「オイラはモノジロウ!よろしくね、キサマラ!」
モノキラー「ぼ、ボクはモノキラーです……ど、どうも………。」
モノノスケ「自分、モノノスケ言います。…モモノスケちゃいます。モノノスケです。」
モノ子「アタシはモノ子!スーパーアイドルなのよ!キャピッ」
モノリオン「オレハ、モノリオンダ。ロボットダッテ、バカニシタヤツ、コロス。」
奏(いや、君たち全員ロボットなんだけどね?!)
モノノスケ「自分ら、決して悪い集団とちゃいますねん。そら、唐突にこんなことに巻き込まれても、キサマラ混乱するだけやろうから、説明するべきことを説明に来たんどす。」
モノ子「まずはね、終造ちゃんが言ったみたいに、アタシ達はキサマラに挑戦してもらいたいの!キャピッ」
モノ子「でもね、ただ脱出するだけじゃダメなの。ちゃんとシナリオに沿って、毎章私達を倒して、最終的には黒幕も倒してハッピーエンドなの!キャピッ」
モノキラー「そうじゃないと、視聴数が稼げなーーー」
モノジロウ「ちょっと!それはネタバレだからダメだよ!!」
モノキラー「ひぃぃぃぃっ!ご、ごめんなさい!!」
モノリオン「トニカク、キサマラハゼンインコロシテコロシテコロシマクレ。ラストニハ、キサマラノダイジナヒトタチヲカエシテヤロウ。」
モノリオン「シンデイナカッタラナ。」
ギャハハハハ!!と、5体のモノクマ(?)の笑い声が響く。
終造「…なるほど。」
モノリオン「チナミニ、コノマチカラデヨウトシタラ………」
モノリオン「オレタチゼンインガ、キサマラヲコロス。」
モノ子「だから、正規のルートでの脱出をしてね!キャピッ」
モノジロウ「頑張ってね!オイラ達も応援しているから!」
その説明を終えると『ばーいくま!』と、さっきと同じような掛け声をして、その5体のモノクマは消えた。
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- 19 : 2017/03/10(金) 00:27:37 :
- >>17
ありがとうございます!
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- 20 : 2017/03/10(金) 00:40:50 :
- よーやくプロローグが書き終わったくらいでしょうか…。絶望少女のストーリーうろ覚えなので、進行の順番とか何かと間違えているところあるかもしれませんが、まあそれも『オリジナル』ってことで許してください…。
今度からは書く時に何章とかって入れておきます。
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- 21 : 2017/03/10(金) 01:53:25 :
- 期待です
本編のキャラとかって出ますかね
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- 22 : 2017/03/10(金) 05:41:26 :
- 期待だよ!
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- 23 : 2017/03/10(金) 05:42:55 :
- あ、これ2回目だ
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- 25 : 2017/03/10(金) 08:25:12 :
- 終造「これからどうしようか。」
奏「どうしましょう…毎章であのクマ達を倒すってことは、ゲームのボスみたいに、階層やステージが変わるごとに、ああいうのが出現するってこと…ですよね?」
ゴン助「僕は力だけなら強いから、クマさんを壊すくらいならできるよ!」
奏「た、頼もしいね…。」
終造「ハッキング銃を使わずにも壊せるのか…?」
ゴン助「うん!頭をちょっと殴れば、簡単に壊れてくれるよ!例えばこんな風に…」
と、ゴン助くんは近付いてきたモノクマを一瞬で捕まえて
『グシャッ』
という音と共に、頭部を潰した
奏(…それ、殴ってないよ!!!)
終造「なるほど。それなら使い慣れないハッキング銃を使うよりも、ゴン助くんはその素手で戦った方がいいかもしれないね。でも…」
ゴン助「でも…?」
終造「モノクマだけが発生するとは限らないから、もし別の種類の殺人兵器が現れたら、素直に後ろ下がって、私達に任せてくれないかい?」
ゴン助「…わかったよ!」
奏「そっか……空中から撃ってきたりしたら、素手のゴン助くんの素手は対応しづらいもんね…」
ゴン助「森で鳥さんを捕まえるのは簡単なんだけど…」
終造「………それとこれとは話が別だからね。」
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- 26 : 2017/03/10(金) 08:35:55 :
- 1章『僕と私の冒険記録』
「はぁ…はぁ………」
私は必死に逃げている。よく遊んでいたお姉ちゃんが、とても体力があったこともあって、体力的に疲れることはまだなさそうだ。
だけどそれ以上に、精神的な疲れが既に見え始めている。唐突にこんなことに巻き込まれてーーーあの時の事故を、嫌でも思い出してしまう。
とにかく、早く逃げなきゃ…せっかくお姉ちゃんが繋いでくれた命、無駄にはできないからーーーー
奏「ふわぁぁ…なんだか疲れてきた…」
終造「…まあ、何日も体力を使ってきたからね。」
ゴン助「それなら、そこら辺の民家を借りて寝ようよ!大丈夫、僕は竜人族だから寝なくて大丈夫だから、ちゃんと見張っているよ!」
奏「そうさせてもらえると凄いありがたいよ…」
終造「ごめんね、ゴン助くん。」
ゴン助「ううん、大丈夫!僕は紳士だから、みんなのおやすみを邪魔しないように、静かにモノクマの対応をしていくよ!」
奏(な、なんて紳士的なんだ…!)
終造「それじゃあ、あそこの家を借りよう。」
私達は近くにあった家まで向かった。
勝手に使ってごめんなさい…。
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- 27 : 2017/03/10(金) 08:44:31 :
- ???「おや…?」
奏「あっ、ごめんなさい!もしかして、この家に住んでいる方ですか?!」
終造「おっと…人がいましたか。失礼しました。」
???「あぁいえ、大丈夫です。私はここに住んでいるわけではありませんので。」
奏「えっ?じ、じゃあ…」
清子「私は真宮寺清子。こちらに逃げてきました。」
【超高校級の民俗学者のいとこ】真宮寺清子
終造「真宮寺…それも聞いたことがあるね。確か、民俗学者の…」
奏「ってことは、もしかしてあそこにいたんですか?!」
清子「あそこ…?」
奏「一番最初に閉じ込められていた、ホテルみたいなところです!」
清子「…あぁ、確かに私はそこで監禁されていました。私なんて監禁しても、無意味だというのに………」
終造「………無意味?」
清子「あそこには、『みんなのコロシアイ新学期』に参加させられた16人の超高校級の『最も大切な人達』が監禁されていると、私の部屋にあった文書には書いてありました。」
奏(そ、そんなものが…本なんて読まないから見てなかった……)
清子「しかし、私は是清の最も大切な人ではございません…。そこに意味などないのです。彼は『友達』になれない私など…なんとも思っていないのです。」
終造「………『みんなのコロシアイ新学期』?」
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- 28 : 2017/03/10(金) 08:54:34 :
- 清子「えぇ、みんなのコロシアイ新学期。16人の超高校級の生徒による、コロシアイのエンターテイメント。」
清子「彼らも私達と同じように、ゲームをさせられているんです。人を殺せば脱出できる…そんなゲームにね。」
清子「そこでコロシアイを行わせる『動機』として、私達が監禁されていたようですが…」
奏(最も大切な人……か……。)
奏(私なんかが、楓の人を殺す動機になんてなるはずないのに……)
終造「もしかして、このゲームっていうのは、彼らに見せているのか?」
清子「……?」
終造「モノキラーってのが言っていた『視聴数』って、そのコロシアイに参加させられた生徒のことを指しているんじゃないかな?」
奏「そっか…私達がここで死んじゃったり、辛い思いをしてたら、きっと参加させられたあいつらは…」
清子「なるほど。監禁されていたのが動機なのではなくて、むしろこの絶望的な状況こそが、動機となりうるわけですね。」
清子「しかし恐ろしいですね…。そんなもののために、他の民間人を大量虐殺なんて…それも、私達の精神力を削がせる作戦なのでしょう。」
ゴン助「えっ!?じゃあゴン太は…」
ゴン助「…僕は早くでなくちゃ…ゴン太を助けなきゃ!!」
終造「落ち着いて、ゴン助くん。私達の焦りは、彼らにとって一番まずいものだよ。」
清子「えぇ、あくまで私達は、冷静に…慎重に、行動しなければなりません。」
ゴン助「…そ、そうだね…ごめん……。」
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- 29 : 2017/03/10(金) 12:25:25 :
- 清子さんと、今の状況について話してから、私は眠りの世界に入っていった。
そして翌日、どうやらゴン助くんは本当に私達を守ってくれていたらしく、数十体のモノクマの残骸がそこにはあった。
奏「凄い…」
ゴン助「うーん、ゴン太と遊んでいる方がもっと面白かったなぁ…」
終造「…これも遊びかい。竜人族ってのは、思った以上にとんでもないみたいだね。」
ゴン助「もちろん、紳士だから、みんなを守ることを最優先にしたよ!」
清子「おかげさまでぐっすり眠れました。ありがとうございます、ゴン助くん。」
ゴン助「えへへ…これで紳士に近付けたかな!」
奏「うん、ゴン助くんはすっごい紳士だよ!」
ゴン助「ありがとう!」
清子「それより、これからどうなさるのですか?」
終造「あのクマの話が本当なら、私達はここで誰かを倒さなきゃならないんだろうけどね。どこにいるのかも、どんな奴なのかもわからない以上、迂闊に動けはできないね。」
清子「…あなた達は、あくまであのクマの要求を呑むのですね。」
終造「あぁ。ここまで大規模なことをする集団だ。殺すといえば殺すだろう。」
清子「なるほど。それでは、私もご一緒させていただけませんか?」
奏「もちろんです!清子さんは冷静だし、頼りになるから…」
終造「私からもぜひお願いするよ。」
ゴン助「僕も!仲間は多い方が楽しいからね!」
清子「わかりました。ではこれから、よろしくお願いします。」
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- 30 : 2017/03/10(金) 12:46:32 :
「こ、ここなら安心かな…」
「おい。」
「はっ、はい!?」
「………そんなにビビる必要はないだろ。人間なんだから、お前と仲間だ。」
「ご、ごめんなさい!えっと…それで、私に何か用…かな?」
「…お前、『要救助民』か?」
「え、えっと……」
「身内とかに、超高校級って呼ばれる人間がいるか?」
「あ…一応、超高校級の保育士が……」
「………そうか。」
有馬「俺は有馬。有馬翔太だ。」
【超高校級の発明家の親友】有馬翔太
本田「あっ、私は本田恵美、です…。」
【超高校級の保育士?の後輩】本田恵美
有馬「いいか。俺達がこの自体を終わらせるんだ、」
有馬「お前も救助民ならちょうどいい。俺に協力しろ。いいな?」
本田「え、えーっと……私は………」
清子「…手がかりはなし、のようですね。」
奏「あと探していないのは…」
終造「あの巨大なビル…探索してみるかい?」
奏「うぅー………」
ゴン助「どうしたの、奏さん!?」
奏「く、暗いの怖いよ………」
清子「…随分可愛らしいのね、奏さん。」
奏「だ、だってぇ…」
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- 31 : 2017/03/10(金) 14:30:36 :
- 奏「ひぃ~…」
終造「…本当に暗いな。心臓に悪そうだ。」
清子「現れるなら、幽霊の方が幾分かマシそうですね。一番恐ろしいのは…」
終造「あぁ、この暗さに気配を隠したモノクマが襲ってくることだ。ゴン助くんだって万能じゃないだろうし、不意打ちなんてされたら私達はひとたまりもない。」
奏「そ、そんなこと言わないでください…余計に怖いじゃないですか~………」
ゴン助「大丈夫だよ!僕が守る!紳士的にね!こう見えて小さな気配を察知するのは得意なんだ!」
終造「ははっ、それなら安心だね。」
???「きええええいっ!」
奏「ひぃっ!?」
ゴン助「危ないッ!」
ゴン助くんが私に覆いかぶさって守ってくれた。
ゴン助「大丈夫?奏さん。」
奏「いたた…だ、大丈夫だよ。なんとか……大丈夫だからさ………」
奏「その『手』どけてくれない?」
ゴン助「………?あっ!」
と、ゴン助くんは顔を真っ赤にして、私の体から手を離した。
???「無ッ…生身の人間か。失礼した。」
隆弘「拙者は隆弘。ネオ合気道を極めんとする住職じゃ。」
【超高校級の合気道家の師匠】隆弘
終造「ネオ合気道…といえば、超高校級の合気道家に茶柱転子さんが認定されたね。」
隆弘「ふむ、転子のことを知っておるのか。間違いなく、拙者はその転子の師匠!ネオ合気道の達人ぞ。」
ネオ合気道…ゴン助くんと同じくらい頼りになりそうだね!
終造「ということは、あなたもやはり…」
隆弘「貴様は次に『監禁されていた人なんですね…』というッ!」
終造「監禁されていた人なんですね………ハッ!」
隆弘「いかにも。拙者は転子の『要救助民』として囚われた、哀れな老いぼれよ。」
終造「…要救助民?」
隆弘「じゃが、拙者はそんな絶望に屈しはせん!このネオ合気道の力で、先から襲ってくる白黒の悪魔を、この手でやっつけてやったわい。」
隆弘「正義の味方として、このような人殺しの悪魔を許すわけには行かぬからな!」
奏(うわぁ…なんだか痛そうな人だなぁ…)
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- 32 : 2017/03/10(金) 16:32:40 :
- 終造「ところでその、要救助民って…」
隆弘「我々、超高校級の『最も大事な人』として、この街に囚われた人間のことを指すらしい。」
終造「やはり…しかし、救助って、どういうことでしょうか?」
隆弘「この街の外には『未来機関』と呼ばれる組織がある。その組織が、我々を救助してくれる…ということらしい。」
終造「しかし、外にも出られないのだとすると、私達がその機関に連絡する手段は…」
隆弘「『ない』と思うか?『ある』んじゃよ。」
終造「…それは?」
隆弘「先ほどあった、要救助民の少年から渡されたのじゃ。未来機関の話も其奴から聞いた。これで連絡をすれば、その機関と繋がるそうじゃ。」
奏「そ、それじゃあ連絡をーーー」
隆弘「そんなこと、できとったらとっくにしとるわい。」
奏「えっ?」
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- 33 : 2017/03/10(金) 16:49:55 :
- 終造「電波妨害…ですね。そんな機関に連絡とかされたら、折角のこの犯行も全部台無し…そうならないためにも、厳重な注意を払っているんでしょう。」
奏「な、なるほど…」
終造「でも、電波妨害も恐らく範囲があるはず。もしかしたら、このビルであれば…」
隆弘「拙者は電子製品には弱いのじゃ…それはお前さんに預けとくわい。」
終造「じゃあ、ゴン助くんと隆弘さんは、モノクマの相手、清子さんと奏ちゃんは周囲の確認…でいいかな?」
終造「一応探偵っていう職業上、電子製品にはある程度扱えるから、私がこのビルの最上階で、未来機関と連絡をとってみせるよ。」
隆弘「任せとけ。モノクマなんぞ、拙者のネオ合気道の前では無力ぞ!」
ゴン助「僕もよくわからないけど、頑張る!」
清子「おまかせください。」
奏「うん…私も頑張るよ!」
終造「それじゃあ…出発だ!」
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- 34 : 2017/03/10(金) 17:03:42 :
清子「ぐあっ!?」
あと少しで最上階だというのに…目の前に現れた半壊したようなモノクマに、清子さんは攻撃された
奏「清子さん!?」
終造「…これはえげつないね……。生身での攻撃は避けた方が良さそうだ。」
【ジャンクモノクマ】
清子「…私が盾になります。こんな身体…最初から役立つこともありませんし………」
奏「そんな…!」
清子「私が隙を作ります!終造さん…どうか、どうかお願いします………!」
終造さんは、無言で頷いた。
奏「な、なんで…どうして!?」
清子「いいのです…奏さん。最初から、私に生きる意味なんてありませんもの……。」
清子「だって、私は彼女の代わり…ただの代わりにすぎないのですから。」
奏「そ、そんなことないよ!清子さんは、誰かの代わりなんかじゃなくて、清子さんは…清子さんなんだから………!」
どれだけ叫んでも、もう彼女にその言葉は届かなかった。
清子「さようなら、楽しかったですよ。」
ぐちゃり…目の前で、清子さんは喰われた
それと同時に、終造さんはモノクマにハッキング銃を向け、放つ。
モノクマは、変な奇声をあげながら壊れた。
奏「あ………うあ………うわああああん!!!!」
ゴン助「そんな………」
終造「……ごめんなさい…。」
隆弘「………。」
真宮寺清子は死んだ………。
許さない……こんなことを仕組んだ奴は…絶対に………
奏「出てこい!どんな奴だか知らないけど、こんなことをしている奴は、絶対私がーーー」
奏「私がぶっ倒してやる!!!」
-
- 35 : 2017/03/10(金) 17:06:28 :
- その叫びと同時に、ビルがガラガラと崩れていく。
終造「ッ!まずい…」
しかし、私達のいたフロアだけは崩れず、周囲だけが不自然に崩壊していった。
隆弘「…お出ましのようじゃな。」
ガシャン、ガシャンという音が響く。
それは、どんどんと私達の方に近付いてきて………
エグイサルパープル『おはっくまー…』
奏「?!」
な、何………これ………?
-
- 36 : 2017/03/10(金) 17:17:22 :
- エグイサルパープル(モノキラー)『えっと、これはエグイサルっていう…高機動殺戮兵器だよ…。も、もちろん人間さんを潰すくらいは簡単なんだけど…僕が操作するから…きっと頼りなくって………』
エグイサルパープル『ご、ごめんなさい!本当は人なんて殺したくないんだけど、許して!』
エグイサルパープル『これはキサマラにとっても必要なことだから!!』
と、そういい終えると、そのデカイ兵器は私達に向かって突進してきた。
終造「早いッ…!?」
終造さんはハッキング銃で狙い撃ちをしようとするも、見事にそれは躱される。
ゴン助くんと隆弘さんみたいな生身での戦いはやはり役立つものではなく、私達は絶体絶命ーーーー
『バチッ!』
奏「!?」
大きな静電気みたいな音が鳴り、目を開いてその方向を見てみる。
「こんなところにあるなんてな。びっくりだ。」
巨大なハンマーのようなものを担いだ、私と同級生くらいの2人が、そこには居た。
-
- 37 : 2017/03/10(金) 17:35:47 :
- 隆弘「おぉ!少年よ、元気だったか!」
終造「少年って……もしかして」
有馬「発明家の有馬翔太だ。その未来機関とのやり取りができる機械も俺の自作。ついでにこの『エレクトハンマー』もな。」
本田「本田恵美です。よろしくお願いします。」
終造「それより…そのエレクトハンマーってなんなんだ?あんな巨大なのを一撃で壊すなんて…」
有馬「俺の発明品だ。これで当てた電子機械に、悪影響を与えるように作ってある。」
終造「つまり………」
有馬「そのハッキング銃の強化版…といったところだろう。ただしその代償に…充電を物凄く食うのだがな。」
終造「一撃であのエグイサルを機能停止にするのか…かなり便利な発明品だね。」
有馬「とりあえず、これで1章はクリアだ。」
奏「え…?」
奏(こんなにあっさり!?)
有馬「章ごとに立ちはだかる敵っていうのは、きっとこのエグイサルのことだろう。それを一体ぶっ壊したんだ…。これでクリアに違いない。」
『そのとーりです!』
「おはっくまー」という声と共に現れたのは、モノキラーを除いたモノクマの4体だった。
モノジロウ「うぅ…モノキラー…モノキラー……うわあああん!」
モノ子「これで1章はクリアね!キャピッ」
有馬「…なんで、さっきまで探していた時は、こんなところなかったのに、急に出現したんだ?」
モノリオン「………。」
モノノスケ「奏はんの影響力…とでも言うときましょうかね。」
有馬「赤松奏が…?」
奏「えっ?私?」
モノ子「人の死を目の当たりにして、絶望と同時に、『絶対に倒す』っていう希望が芽生えて…その思いが、視聴者を……ゲフンゲフン、みんなを感動させたから、その期待に応えて、でてきたのよ!キャピッ」
モノノスケ「結局のところ、その手柄は全て有馬はんに奪われとりますがね。まあクリアってことにしといてやりますわ。」
モノジロウ「それを伝えに来ただけだよ!あ、そこの残骸は好きにしてもらって構わないよ!分解してみたら、割とオイラ達の中身の構図がわかったりしてね!」
それを言い終えると、また「ばーいくま!」と言って消えていった………。
有馬「分解…か。やってみる価値はありそうだ。」
有馬くんはズカズカとモノキラーの残骸に近付いて、無言でそれを分解する作業に入った。
一体倒したのは結構な進歩だろうけど…その犠牲に………
清子さんが亡くなってしまった。その悲しみが…胸の痛みが、まだ続いていた。
1章『僕と私の冒険記録』END
-
- 38 : 2017/03/10(金) 22:49:43 :
- 2章『限りなく幻想に近い現実』
有馬「分解終わったぞ。といっても、かなり高度な技術で、俺にもさっぱりわからないんだがな。」
有馬「今絶賛量産されている『モノクマ』に関しては、それの元となる母体から作成される増え続ける殺戮兵器だが…こいつらは別で、AIやこのエグイサルを操るための機能とか、特殊なものが多くついているから、また同じのを作ろうとした時には、かなりの時間を使ってしまうと思う。」
有馬「確か、これと似たやつが他にも4体いたんだったな?早めにそいつらを処分して、モノクマの『母体』を見つければ、この事態は収まるかもしれないな…まあ一時的な打開策ってだけで、もっかい同じような母体とそいつらを作られちまえば、また同じ惨劇は起こることも考えられるがな…。」
今ちょっと分解しただけでここまでわかるんだ…凄いな……それこそ、超高校級って言えるくらいに。
終造「母体…?」
有馬「モノクマの親みたいなものだ。俺達人間に襲いかかるっていうプログラムを一々組み込むのも面倒だからな、既に量産されているモノクマの身体に、その母体の『人を襲う』っていうプログラムをコピーして貼付ける…っていったシステムだろう。」
終造「なるほど。それならすぐにでも作れるね。」
難しい話はよくわからないけど…
奏「と、とりあえず、ここなら未来機関と連絡取れるんじゃないの?」
終造「そうだね、それじゃあーー」
と、終造さんが未来機関連絡機械を取り出して、連絡しようとした時だった。
モノクマ『がおー!!』
30体以上のモノクマがどこからか出現して、真っ先に終造さんを襲った………。
奏「…………あっ」
そこには、白骨化した、最原終造さんの死体があった。
-
- 39 : 2017/03/10(金) 22:52:43 :
- 有馬「クソッ!機械が…!」
奏「嘘………。」
清子さんが死んだすぐ後だっていうのに…彼らは、まだ私達から何か奪おうっていうの…?!
隆弘「…危うい。彼奴らは明らかに、あの機械を狙っておった…。未来機関に連絡されるのは、彼奴らにとってよっぽど都合の悪いことなのだろう……」
奏「だからって…終造さんが死ぬことないのに!!!」
目から大粒の涙が流れる。もうこんなの嫌だって…これ以上、大切な仲間を、大事な人を失いたくないって………
才能もない私が、なんでこんな辛い思いをしなきゃいけないの………?
-
- 40 : 2017/03/10(金) 23:00:27 :
- 本田「辛いよね…私も同じ体験をしているから…」
奏「本田……さん………」
本田「私はね、孤児院で育ったんだ。」
そこには、超高校級の保育士と呼ばれる、春川魔姫もいたらしい。
彼女はなぜか、いつの日か消えてしまったが、それでも本田恵美には、頼れるもう一人のお姉ちゃんがいたらしい。
しかし、その人はすぐに死んだ。彼女が不注意で車に轢かれそうになった時、彼女を庇って………
目の前で、その命は潰えた。
本田「だからさ、目の前で死んじゃって…辛いし、悲しいし、苦しい気持ち…私にはよくわかるんだ。だけどね………」
本田「同時に、それは私に命を託してくれたってことでもあるんだよ。」
奏「え…?」
本田「お姉ちゃんが庇ってくれたから、今の私がいる。だから、私はお姉ちゃんの分まで、辛い思いも悲しい思いも苦しい思いも背負って、生きてかなきゃいけないんだ。」
本田「最原さんだってそうじゃない?奏ちゃんに生きてほしいから…自分の分まで生きてほしいから、あれをずっと持っていたんじゃないかな。」
奏「そ、そんなこと…」
本田「あるよ。だって、彼は知っていたもん。襲われることを。だって…そうじゃなきゃーーー」
ーーー死ぬ寸前に、あんな笑顔はできないもん。
-
- 41 : 2017/03/10(金) 23:07:26 :
- 奏「うわあああああん!!!」
奏「うわああああああん!!!」
奏「うわああああああああああん!!!!!」
その事実を聞いて耐えきれなくなった私は、その場で大泣きした。
本田「…今は思いっきり泣いていいよ。」
奏「うわあああああああああああん!!!!」
本田「………。」
本田さんは、そっと私の背中を撫でてくれた。
ゴン助「………。」
隆弘「………。」
有馬「………。」
奏「うわああああああああああああん!!!!!」
奏「うわあああああああああああああああああん!!!!!!」
-
- 42 : 2017/03/11(土) 13:18:08 :
- ビルの外に出て、終造さんと清子さんの墓を作った。
ただ石を積み重ねただけで、遺体を埋めたりだとか、そういったことはできなかったけど……
せめて、私達が、生きていた彼らを忘れないように…って。
有馬「さっきの雌クマの話から推測するに、そのボスの出現は、赤松奏…お前が引き金になるらしいな。」
奏「…えっ?」
有馬「お前が引き金になるなら、都合がいい。俺達も同行させろ。そうすりゃ、手っ取り早くこの事態を片付けることができる。」
奏「………。」
奏「う、うん………。」
有馬「決まりだな。行くぞ。」
というと、有馬くんは私達を置いていくようにスタスタと歩いていった。
暫く、2人の墓を見つめてから、私もすぐに有馬くんの後をついていった。
-
- 43 : 2017/03/11(土) 13:27:35 :
- 『ワン!ワン!』
と、遠くから犬の鳴き声が聞こえてくる。
犬…か、ずっとクマしか見ていなかったから、ちょっとくらい癒されるかな………。
なんていう私の願いは、簡単に打ち消された
ビーストモノクマ「ワン!ワン!」
【ビーストモノクマ】
隆弘「拙者に任せるのじゃ!4足歩行はネオ合気道の基本!ていやっ!」
ビーストモノクマ「ガウッ!」
鋭い爪で隆弘さんめがけて攻撃する、4足歩行のモノクマ。
に対して、隆弘さんはそれを華麗に捌き、一撃一撃、クマに蓄積させていった。
ビーストモノクマ「ア゛ッ!」
決まった!
4足歩行のモノクマが、苦しそうな奇声をあげれば、隆弘さんは更に攻撃を加えていく。
そして
完全に、破壊しきった。
-
- 44 : 2017/03/11(土) 15:02:54 :
- その後も、ゴン助くんと隆弘さんを先頭に、モノクマ達を蹴散らしながら道を進んだ。
すると、目の前に大きな港が見えた。更にそこには、『乗ってください』と言わんばかりの大きな船が置いてあった。
奏「次のステージ…ってことかな?」
有馬「なんだっていい。いくぞ。」
有馬くんは、また一人でスタスタと歩き出す。
私も、有馬くんについていって、船に乗った。
-
- 45 : 2017/03/11(土) 15:14:45 :
- 奏「…島?」
船から降りると、そこは島のようなところだった。
こんな街のすぐ近くに島があるなんて…本格的に、ここはどこなんだろう…?
記憶をどれだけ遡っても、こんなところは覚えがない。超高校級になるためにって、世界地図も地球儀も全部暗記したはずなのに………
まるで、地図や地球儀にはない、異世界に来たかのような感覚だった。
ゴン助「ここでも、やっぱりモノクマ達はいるんだよね…。」
本田「きっと大丈夫だよ。…もう誰も、死なせたりしないから…。」
ゴン助「…!静かに、誰かいる………。」
ゴン助くんがそういうと、私達は全員木の陰に隠れる。
奏「…モノクマじゃなくって?」
ゴン助「いや、確かに人の気配だ。何をやってーーーーーー」
ゴン助くんはそのまま固まってしまった。
な、何が見えたの?!と、気になったので私も木の陰から出るとーーー
そこでは、モノクマが、モノクマを殺していた。
-
- 46 : 2017/03/11(土) 15:24:42 :
- 奏「なッ!?」
その光景を見て、私は思わず声を出してしまった。
???「ん?」
と、その声に反応したのか、そこにいた青年が、私の方に近付いてきた。
それと同時に、殺した方のモノクマも、その青年にてくてくと着いてくる。
奏「も、モノクマを操っているって…も、もしかして…黒幕!?」
???「あぁ、俺は黒幕じゃないよ。」
飯田橋「俺は飯田橋。『超高校級のロボット』を作った、ロボット工学の第一人者さ。」
【超高校級のロボットの親】飯田橋
奏「で、でも、なんでモノクマを操って…」
飯田橋「あぁ、こいつは『ホープモノクマ』。モノクマを改造して作った、対モノクマ専用のモノクマだよ。」
【ホープモノクマ】
飯田橋「能力も割と強化してあってね。さっき見たでしょ?モノクマ以上の素早さを持っているんだよ。それに武器も持っているし…」
飯田橋「俺は元から動くのが苦手だからさ…こうやって、モノクマに俺を守らせているんだよ。」
有馬「なるほどな…。対モノクマ用のモノクマか。その発想はなかったな。」
ま、また超高校級にチートな人物が…!
飯田橋「しかも、ベースがモノクマだから、こいつの母体に入っている情報は、全部俺には筒抜けなんだよ。」
有馬くんが、飯田橋くんをギロりと睨む。
飯田橋「…話すのはいいけど、話してほしいってことは、もちろん俺を信用してくれるってことだよね?」
全員コクリと頷く。
飯田橋「それなら良かった!じゃあ俺も、安心して話せるよ!」
-
- 47 : 2017/03/11(土) 15:34:10 :
- 飯田橋「モノクマの母体は『マザーモノクマ』。それのある場所は『希望ヶ峰学園』だ。」
奏「学園…?それっぽいところは、街にもなかったよね…?」
有馬「シナリオによる解放…ってことじゃないのか。」
飯田橋「うん、そういうことだね。そして、これを企んだ首謀者だけど…それも、希望ヶ峰学園にいるらしいよ。」
隆弘「希望ヶ峰学園…か、聞いたこともないな。」
飯田橋「あとはこの世界の全貌だね。シナリオ通りに言うと、さっきまで俺達のいた街に、この島、洞窟、何かの研究所、そして…希望ヶ峰学園。」
ゴン助「じゃあ、そのきぼうがみねがくえんまで行けば、僕達はようやく脱出できるんだね!」
飯田橋「もちろんその地図もシナリオも、このホープモノクマには入っているけど、さすがに手の内全部明かすわけにはいかないから、これだけね。」
本田「そっか…ありがとうございました。」
有馬「…だが、そんな学園まで絡んでくるとなると、やはりこれはでっかい組織の仕業っつーことになるよな…。」
飯田橋「そうだね。誰か一人が影響するものじゃない。少なくとも、複数の組織が協力して作り上げたかのような、そんなレベルだよ。」
有馬「だとしたら、首謀者は一体何者なんだ…?」
-
- 48 : 2017/03/11(土) 17:56:32 :
- 飯田橋「…と、俺は別に、俺だけが生きればいいからさ、あとは君たちだけで頑張ってよ!」
奏「え?着いてきてくれないの…?」
飯田橋「ホープモノクマも万能じゃないんだよねー…。複数を守ることに集中して、俺の事ほったらかしにされたら困るし、俺は次のエリアが解放されるまで、ここで居座っているよ。」
飯田橋「ってことだから、シナリオクリア頑張ってね!」
有馬「…行くぞ。」
有馬くんは、その話を聞き終え、また一人で歩き出す。
いつものように、私達はそれの後を着いていく。
飯田橋「………はは。」
飯田橋「俺は今のヒントを教えるための使い捨てだったってことか………」
目の前には、潜んでいた数十体のモノクマが。
に対して、俺には一体のホープモノクマだけ……
飯田橋「こりゃ参ったね…。ホープモノクマ。」
ホープモノクマは、その数十体のモノクマを睨む。
飯田橋「…?睨むだけじゃ意味ないだろ、やれ。」
と命令するが、ホープモノクマは一切動こうとしない。
飯田橋「おい、何をやってーーーー」
ホープモノクマ『ガウッ!』
飯田橋「………え?」
ホープモノクマは、素早い動きで襲いかかった。
俺に
ホープモノクマ『オマエは騙されたんだよ。ちょっと改造を施したくらいで、オマエの下僕になるわけないだろ。』
ホープモノクマ『今まで、オマエに従っているフリをして、希望ヶ峰学園の情報を、奏さんに教えるためだけ…オマエとボクの役割なんて、それだけなんだよ。オマエがさっき言ったみたいに、ボク達は、ただの使い捨てなんだよ。』
飯田橋「……そ、んな………。」
ホープモノクマ『そして、もうその役目を果たしたオマエはいらないんだよ!飯田橋クン。』
ホープモノクマ『さようなら。』
-
- 49 : 2017/03/11(土) 23:49:09 :
- 有馬「一通り周り終わったが、これといって重要なものはなーーーーー」
『ザバーン!!』と大きな水音を立てて、横の海から、鮫のようなモノクマが現れて………
目の前の有馬くんを食い殺した。
奏「えっ………!?」
【シャークモノクマ】
あの有馬くんが…?!だって、さっきまでこのゲームからの脱出のためにって、色々頭を働かせてくれてたのに……!
そんな彼を、一瞬で………!?
本田「下がって!」
ハンマーを持った本田さんが、私達にそう指示する。…そのハンマー、有馬くんの………
鮫のモノクマは一旦海に戻ると、もう一度バシャバシャと水音を立てて、本田さんを狙ってくる。
距離は殆ど目と鼻の先と言ったところだろうか…本田さんにとっては、絶体絶命の大ピンチ……だというのに、彼女はまだ冷静なままだ。
本田「………見切ったッ!」
鮫の腹めがけて、本田さんはハンマーを振りかざす。
バチバチと大きな静電気のような音を立てながら、鮫は壊れた。
-
- 50 : 2017/03/12(日) 00:22:22 :
- 自分勝手で、私達を振り回していたけれども…
誰よりも、このゲームのクリアを目指していて、頼りになって、強かった有馬くんが…
こんな不意打ちで、簡単に死んでしまった………
『どれだけ強くても、このゲームでは無意味』、そんなことが、改めて思い知らされた。
終一さんや有馬くん、清子さんがこんなに簡単に、呆気なく死んで…こんなちょっとの時間で、これだけのことが重なって………
「次は誰が死ぬんだろう」とか「いつ私は死ぬんだろう」ってことしか考えられなくなっていた。
人の事で悲しめる自分なんて、もうどこかへ消えてしまったよ。私は、最初の頃の私ーー人や才能の恨んで、自分も特別になりたいって、そんな身勝手な人間に戻ってしまった。
奏「………。」
これのために、こんなシナリオを用意したのかな。もう、涙も笑いも出てこない。
虚無。その言葉が一番正しかった。
希望なんてない、生きる意味なんてない、悲しみなんてない、楽しみなんてない、苦しみなんてない、強さなんてない。
私には………私には、何もない。
あぁ、いっそモノクマに食われるくらいなら、この海に沈んでしまおうか。
本田「…ダメ、だよ。」
何も残ってないはずの私に、微かな温かさを感じた。
本田さんだ。彼女の体が、私を包み込んでいた。
空っぽになった私は、その温かさで埋まった。
-
- 51 : 2017/03/12(日) 00:30:42 :
- 本田「有馬くんは強い人だったよね…。こんな状況でも、冷静に立ち回って…何をどうすればいいって………」
本田「そんな人が死ぬなんて、私も考えられないよ。今だって、さっきの映像は夢だったんだって思いたい…。」
本田「そうでもしないと、私達が今まで頑張ってきたことを否定されそうで…彼らに劣る私達が、なんで生きているのか?って思っちゃって…」
本田「私なんかに、希望なんて残っていないって思っちゃいそうで…」
本田「それが現実だと認識された今、そんなちっぽけな希望はどこかへ消えてしまった。そんな希望すら失った私達は、もう何も無いかもしれない。けれども………」
本田「そんな空っぽなら、今みたいに、私が埋めてあげるよ!その心が満たされるまで、ずっとずっと、私にできることをやるよ。」
本田「だからさ、お願い…ちょっとだけでもいい。希望を捨てないで……」
彼女の声が耳を通って私の脳に伝わる前に
既に、私の目からは涙が溢れていた。
-
- 52 : 2017/03/12(日) 09:35:54 :
- 『ゴゴゴゴゴ』
突然横から、聞き慣れない音が鳴る。
海だ、海が切り開かれて、道ができている。
つまり、そこにいけ…ということだろう。
次死ぬのは私かもしれない。他のみんなかもしれない。だけれど…
『誰も死なないかもしれない。』可能性の話なんて、いくらだってできる。
だから私は、今できることを全力でやろう。
海の中へ入っていく。
私達が入ってきたのを確認すると、海は私達を呑み込んだ。
-
- 53 : 2017/03/12(日) 09:52:01 :
- モノリオン「……………。」
モノリオン「キタカ。コロシテヤル…。」
…出だしから物騒だな、この子。
奏「殺されない。だって、みんな絶対に生き残るんだから!あなたなんかには、絶対に殺されない!」
本田「……」
隆弘「………」
ゴン助「………」
全員コクリと頷いた。
モノリオン「ツマラナイ…。オレニツマラナイオモイヲサセルオマエラ、コロシテヤル。」
ガシャンガシャン、と足音を立てて現れた。
トンデモ殺戮兵器『エグイサル』…でも、私達はーーー
私達は負けない。みんな生き残るかもしれない可能性を信じて………。
【エグイサルオレンジ】
ゴン助「最近活躍していなかったからね…今回くらいは活躍しないと!」
ゴン助くんはエグイサルの左足に飛びかかり、その足を折る。
動きは封じられた…チャンスだ!
エグイサルオレンジ『……』グググ
しかし、折ったはずの左足は、数秒経てば、いつの間にか戻っていた。
再生能力とか…そんなのアリなの!?
本田「………ゴン助くん!君はさっきと同じように左足を攻撃し続けて!」
本田「隆弘さんは、ゴン助くんに続いて近接攻撃をお願いします!」
本田「私と奏ちゃんは、ハッキング銃で援護する!」
奏「わかった!」
-
- 54 : 2017/03/12(日) 10:07:52 :
- ゴン助「うおおおおお!!!」
バキリ、と、またエグイサルの左足が折れる。
エグイサルオレンジ『』グググ
本田「今よ!」
その指示通りに、私達は一斉に攻撃を始める。
すると、頭の部分に大きなダメージが入る。
本田「また再生のために動けない時間に入るだろうから、攻撃をーーー」
という本田さんの予想と反して、エグイサルはこちらに接近してきた。
奏「うっ!?」
間一髪で避けたが、どうして再生せずにこちらに突っ込んできたんだ…?
エグイサルオレンジ『バーサーカーモード、起動。』
本田「ッ!?」
今度は本田さんに突進をする。それもかなりの猛スピードで。
なんとか避けた本田さんは、ゴロゴロと床を転がっていった。
それを見逃すまいと、エグイサルは本田さんを追いかける。
隆弘「させるかぁ!!」
隆弘さんが背後を取って蹴りを入れる。
体勢が崩れたエグイサルは倒れ、その勢いで右腕を破損する。
…………回復、しない?
-
- 55 : 2017/03/12(日) 10:15:07 :
- 奏「本田さん、そいつはきっと、能力を強化した代償に、再生能力がないはず!」
奏「今畳み掛ければ、絶対に勝つ!」
本田さんはコクリと頷く。
本田「一斉攻撃だよ!」
蹴って殴って撃って蹴って殴って撃って…それを繰り返し、どんどんとエグイサルの部品が破壊されていく。
そしてついにーーー
ゴン助「これでおしまいだよ!」
バキッ!という音と共に、エグイサルは完全に壊れた。
奏「…誰も、死ななかったね。」
安心しきった私の目からは、また涙が。
…どれだけ涙脆くなっているのよ、私は。
-
- 56 : 2017/03/12(日) 10:56:18 :
- 『おはっくまー!』という声と共に現れたのは、いつもの5体…のうち、2体はもう使い物にならないのだが
モノ子「2章も楽勝クリアね♡キャピッ」
モノジロウ「ジョジョリオン~!!!死ぬんじゃない~~!!」
モノノスケ「それは8部や。ちなみに自分は5部が好きやで。」
モノ子「アタシは6部よっ、きゃわいい女の子が主人公なんだもの☆キャピッ」
モノジロウ「オイラはやっぱり3部だな!テメーはオレを怒らせた…。キリッ」
奏「いい加減にしてよ!」
ハッキング銃を向けて、そのクマ3体を目掛けて撃つ。
モノ子「きゃああああ!?シナリオ違反よ!?」
奏「そんなことどうだっていい!人が死ぬのも、あなた達のシナリオだって言うの!?そんだったら、私は命を弄んでいるあなた達を許さないよ!」
怒りに任せて、撃ち続ける。ギリギリで回避されてしまっているが、いつかは当たるだろうと、何度も何度も撃ち続けて…
隆弘「…そうじゃな、今がチャンスぞ!」
隆弘さんも、ゴン助くんも、本田さん…恵美ちゃんも、私に続いて攻撃してくれる。
モノジロウ「わあああああっ!?」
モノノスケ「ひぃぃぃぃぃっ!?」
隆弘「これで終いじゃ!こんな惨劇、二度と繰り返さん!」
ゴン助「難しい話はわからないけど、君たちを壊せば、これが終わるんだったら…僕はそうするよ!」
本田「私も、もうこんなことさせないためにもーーー」
ブー、ブーと、聞き慣れない音が鳴る。
何かの警告音のようにも感じるが…今更そんなハッタリなんてーーー
ハッタリなんて、誰が決めたの?
なんで私は、そこで油断しちゃったの?
私がそんな油断さえしなければ、こんなことにはならなかったのに。
みんな死んだ。
3体のモノクマの爆発に巻き込まれて死んだ。
唯一生き残ったのは
私だけ………?
2章『限りなく幻想に近い現実』END
-
- 57 : 2017/03/12(日) 11:11:48 :
- ファぁぁぁぁぁぁ!!期待ですぅぅぅ!
まだ関係者が出ていないのって、
天海
星
東条
アンジー
王馬
百田
夢野
ですよね!?
どんな人が来るのかワクワクしています!
-
- 58 : 2017/03/12(日) 12:56:31 :
- >>57
ありがとうございます!
はい、その7人で合ってます。つむぎなんていないよ
-
- 59 : 2017/03/12(日) 19:24:34 :
- 3章『救助民 オブ ザ デッド』
奏「なん………で…………」
???「ふぅー、危なかった。」
『おはっくまー!』という掛け声と同時に現れたのは、5体のクマだった。
どうして…5体全部壊したはず…
なんて、それについては薄々気がついていた。自爆のプログラムを仕込んでいる時点で、使い捨てーーー何度でも利用できるシステムにはなっていたはずだ。
でも、どうして………どうして壊した2体まで復活しているの?
私たちが協力して、たくさんの犠牲をだして、あんなに頑張ったっていうのに………
なんで、それが全部『なかったこと』にされているの?
モノ子「あなたの怒りも最もだわ。でもね………」
モノ子「あなたはアタシ達を壊そうとするなんていう『シナリオ違反』を犯したのよ。これくらいの罰は受けてもらって当然よね!キャピッ」
モノノスケ「むしろ、彼らみたいに、爆散しなかったことだけでも感謝してもらいたいくらいですわ。」
奏「なん………」
モノキラー「も、もちろんここから…シナリオは最初からになります……赤松奏さんの意思で、僕達『モノクマーズ』が出現して…5体全部倒しきった時に、初めてこのシナリオはクリアされます…。」
モノキラー「何もかもが最初からなんですぅ…。強いて言うなら、キサマラの『死』と、キサマ自身の『絶望的な記憶』以外は……ですけど。」
モノノスケ「せやから…ほな、頑張ってとしか言えまへんわ。」
モノ子「恨むなら自分を恨んでね!キャピッ」
『ばーいくま!』という掛け声と共に、あの5体のクマ…モノクマーズは消えた。
-
- 60 : 2017/03/12(日) 19:34:57 :
- 奏「もう………やだよ………。」
弱音を吐いて、それを慰めてくれる人もいない。
一人ぼっち。今まで仲間に恵まれすぎていたせいで、この状況が、辛く、悲しく、苦しく感じる。
………こんなの、最初に戻っただけじゃないか。
私はいつも、楓と比べられていた。
姉に勝つために、小学校も中学校も高校も、いつもトップの成績だった。
陸上もたくさん頑張って、中学時代には市の大きな大会で優勝もした。
それなのに、周りはみんな、楓のことばかり。
楓の周りには、いつも人がいた。楓にばかり人が集まるから、私には誰も寄り付かなかった。
……いや、寄ってくる人ならたくさんいた。楓が目的で、私に紹介してほしいって。
でも、私自身のことは、誰も、何とも思っていない。楓の方が凄いから。私はそのついでだった。
だから、私はいつも一人ぼっちだった。楓が目的で寄ってくる連中なんて、邪魔なだけ。だから私は、一人ぼっちになっていた。
そんな中、初めて、仲間って言える人達ができた。
こんな最悪な状況だけど、才能もない私を信頼してくれて、それでいて、私を楓のついで扱いなんてせずに、私を『私』と認識してくれて……。
でも、それも奪われた。仲間を奪われて、私はまた一人ぼっちになった。
誰も、私の心の中の虚無を埋めてくれない。そんな人、もうどこにもいない………。
ようやく気付いた。
私は、人が欲しいんだ…。私の中に、ぽっかり空いた穴を埋めてくれる人が欲しいんだ。
誰にも奪われない人を探さなきゃ。ずっと私の穴を埋めてくれる、そんな人を探さなきゃ………
-
- 61 : 2017/03/12(日) 19:44:47 :
- ☆安価チャンス☆
『おはっくまー!』
モノ子「みんなお待たせ♡キャピッ」
モノキラー「え、ええっと…あ、安価チャンスの時間………です………。」
モノノスケ「ちょうど奏さんがぼっちになりましたし、自分らが協力してやる番ですわ。」
モノリオン「モシカシタラ、マタアンカヲヤルカモシレナイカラ、サンカシナカッタラコロス。」
モノジロウ「ちょっとモノリオン!視聴者に向かって殺すはアウト!ダメ!この番組の視聴率が下がったら、オイラにもモノリオンにも、お給料が入らなくなるんだよ…?」
モノリオン「ソレハコマル」
モノジロウ「じゃあ、殺すって言葉は使わないでね。モノジロウお兄ちゃんとの約束だよ。」
モノリオン「ヤクソク、スル」
モノ子「…それで、今回の安価なんだけれどね…」
モノノスケ「奏さんが、人を求めてさ迷ってるのはわかると思うんやけれど、その人を決めてほしいのや。」
モノジロウ「ちょうどいいことに、>>57にまだ出ていない要救助民が載っているから、そこを参考に、今から現れるのは『誰の要救助民か』というのを、視聴者のみんなには決めてほしいんだ!」
モノキラー「も、もちろん…誰も来ないでも構いません。」
モノジロウ「ただし注意事項として、既に死亡した人はダメだよ!」
モノキラー「あ、あと…才囚学園の生徒以外も…その……、ダメです……ひぃぃぃ、ごめんなさいぃぃぃ!!」
モノクマーズ『それでは、安価チャーンス!!』
Q.赤松奏のところには誰が来る?
>>62
-
- 62 : 2017/03/12(日) 19:59:27 :
- 星くんの要救助民
誰だろ。チームメイトかな?猫かな?
-
- 63 : 2017/03/12(日) 20:53:31 :
- 疲れきった体を必死に動かして、フラフラと島の中を歩いていく。
一人は嫌だ…一人は嫌だ…まるで洗脳のように、そんな感情が私の頭の中を占めていた。
???「……!!」
目の前に金髪の外国人のような女性を見つけた。もちろん初対面なのだが、精神的にも体力的にももうボロッボロな私は、そんなのお構い無しに、その女性に抱きつく。
女性はきっと驚いた顔をしていたであろう。でも今の私には関係ない。
奏「…!!」
しかし驚いたのはその後だった。
その女性は、私を突き飛ばしたりすることもなく、むしろ
私の背中を、そっと撫でてくれた。
???「怯えなくて大丈夫…。私がついているからね………。」
小動物を撫でるかのように、そっと、そっと、背中を撫でてくれた。
私の中の虚無という穴が埋まった私は、涙で顔がぐちょぐちょになっていた。
-
- 64 : 2017/03/12(日) 21:07:39 :
- 奏「本当にごめんなさい!!」
泣き止んで、我に返った私は、真っ先にその女性に謝った。
???「いいんです!こんな状況になって、誰だって精神的に辛くなってしまうことはありますから。私はそれを突き飛ばすんじゃなくて、ちゃんと受け入れないと…それが本当の『愛』じゃないですか?」
奏「……愛?」
アンナ「自己紹介が遅れました。私はアンナ。ある国から、留学生としてこちらにきました。」
【超高校級のテニスプレイヤーの恋人】アンナ
奏「へぇ、留学生……それにしても、日本語が達者なんですね。」
アンナ「ええ、私の恋人が日本人だったので、その人に日本語を教わってたら、こうなりました!」
アンナ「好きな人と話すために日本語を身につけた…って、ちょっとおかしいですか?」
奏「そ、そんなことはないですよ!」
アンナ「……ふふっ、ありがとうございます。」
奏「それより、その恋人って…」
アンナ「彼は、小学生程度の超ちっちゃい、小動物みたいな人でした。なのに、身体はがっちりと、ずっしりとしていて…抱っこなんてよくしていましたけど、あぁ、男の子だなぁって思ったです!」
…あぁ、だから、さっきあんなに撫でるのが上手だったのか………。
アンナ「あぁ、そういえば、彼は超高校級のテニスプレイヤー、なんて呼ばれていたかもしれないです!」
…やっぱり、彼女も、要救助民だったのか…。
奏「あっ、私の自己紹介がまだでしたね!私は赤松奏。まあ、大した才能もないし、ただの弱い奴だけど…これからよろしくね。」
アンナ「……これ、から?」
あっ…と、私は口を閉じるけど、もう遅い。
奏「な、なんでもないの!そうだよね…急にそんなこと言われたって…」
アンナ「もしかして、私と一緒に…いや、誰かと一緒にいたいのですか?」
…核心をつくかのような一言。私は、黙って首を縦に振るしかなかった。
アンナ「やっぱり…きっと、たくさんの人を、この事件で失ったんですね。…私が、アンナがその代わりになるかはわかりませんが…もちろん、よろしくお願いします。」
アンナさんは、私にニコリと微笑む。
奏「…ありがとう、アンナさん………。」
-
- 65 : 2017/03/12(日) 22:59:28 :
- モノリオン「ドウシテ『ホシリョウマ』ノコイビトガイキテイルンダ、コロスゾ」
モノキラー「ひぃぃっ!?ご、ごめんなさいぃぃぃ…えっと、それについては一応理由はあるんですぅ…」
モノキラー「一応、今のところは『生きています』と説明しておきますが………」
モノキラー「なぜ、そこで星くんに『彼女は死んだ』と伝えられたかというと…まあ、うん、察して。」
モノキラー「というより、結局のところ…」
モノリオン「フィクションナオレタチニ、ソンナムジュンハドウダッテイイ。ダッテソウイウセッテイナンダ。」
モノキラー「そ、そそ、そういうことです………。ひぃっ!?ご、ごめんなさいぃぃぃ!!」
-
- 66 : 2017/03/14(火) 09:26:01 :
- 茶柱さんのライバルってので。
-
- 67 : 2017/03/15(水) 00:23:24 :
- おもしろいです。
-
- 69 : 2017/03/15(水) 15:00:02 :
- アンナ「さて、これからどうしますか?」
奏「うーん…」
これ、から…
そう、私は見てしまった。目の前で、5体のモノクマーズが、復活してしまったところを。
事実上のリスタート。「弱くてニューゲーム」なんて言えるかもしれない。
そんな状況で、これからなんて未来を考えるよりも、私は、今ここでじっとしていたい…。
何より、死なれるのが怖い…。折角出会えたアンナさんに、死なれちゃったら…私、どうかしちゃうよ…。
奏「私は、ずっとここにいようかな…。安全だし、仲間もいるし………。」
アンナ「…このまま逃げるんですか?」
奏「…えっ?」
アンナ「仲間の死が怖いから、もうそんな経験したくないからって、逃げるんですか?」
奏「…だって、仕方ないじゃん。」
アンナ「『復讐してやろう』って野望はないんですか?」
…野望?
アンナ「私の恋人はそうしてくれました。アンナが死んだって言われた時、彼はそのギャングに復讐してくれました。」
アンナ「私はすぐ近くで彼を見ていたから知っているんです!自分を犠牲にしてまで、彼は5人のギャングを殺して、復讐を遂げてくれました!」
奏「…!」
アンナ「狂ってるね…なんて言われます。狂って当然なんです!大事な人が死んで、精神を保とうなんて考えるのが愚かなんです!!!」
アンナ「周囲の目なんて気にするな!やりたいようにやれ!自分を犠牲にしてでも、仲間を思う『愛』を守りなさい!!!」
アンナ「それが…死んだ仲間に送れる、最高のプレゼント、じゃないですか?」
奏「アンナさん…一体………。」
アンナ「ごめんなさい、私は『人』じゃないんです。」
アンナ「あなたと寄り添える価値もないものなのです。」
アンナ「それでも、この言葉だけは忘れないでください………。」
アンナ『愛は絶望なんかに負けません』
それを言い終わると、アンナさんはサラサラと消えていった。
奏「…愛、か。」
仲間を想う愛、仲間が死んでも、その想いが死ななければ………
勝つよ、みんな。
私は、絶対に勝つ。
絶対に、勝ってみせる…!
-
- 70 : 2017/03/15(水) 15:27:31 :
- 『愛』をもう一度確かめるために、私は爆散した3人の死体のあるところまで行った。
奏「……復讐、やり遂げてみせるからね。」
すると、ゴロン、と何かが落ちる音がした。
奏「…これは………。」
そこには、ハッキング銃とハンマーがあった。きっと、恵美ちゃんのだろう。
彼女は私達と合流する前から、有馬くんと居た。もしかしたら、このハッキング銃には、改造が施されているかも…。
愛の女神は、私を見捨ててなんていなかった。
ハッキング銃とハンマーを手に取って腰にぶら下げて、私は次のところに行く。
次のところ、というのはもちろん有馬くんが死んだ場所だ。
鮫に食われたせいで、死体は残っていないけど…彼もやはり、色々な物を持っていたみたいだ。
何やらリモコンのようなものを見つけ、それを取って確認してみると…そこには『電子製品はなんでも操れるリモコン』と書いてあった。
細かい操作方法もちゃんと書いてあった。彼も、また私に希望を託してくれていたのだろう。
船に乗って、最初のビルにやってきた。
清子さんも、また死体は残っていない。自ら囮になることを選んだ彼女、本当は…もっと生きていたかっただろうに。
でも、彼女のおかげで、今も私は生きている。自分の命という希望を、私に託してくれていたのかな。
最後は、白骨化した終造さんのところにきた。
私達を守るために…30ものモノクマに、自ら食われに行った。
最初っから希望なんてないってわかってたのに…最期の最期まで、私達に希望を与えてくれた。
改めて、私は愛と希望に恵まれていた、と思わされた。
だからこそ、それを塗りつぶしてきた絶望には、復讐しないと。
愛と希望の復讐を……
-
- 71 : 2017/03/15(水) 15:32:59 :
- そこからの展開は早かった。
自分のと恵美ちゃんの、2丁のハッキング銃でモノクマをやっつけ
最初のビルに出現した、紫色のエグイサルを、エレクトハンマーで殴って
次の島で出現した、オレンジ色のエグイサルも、ハッキング銃を上手く使ってすぐに倒した。
陸上をやっていたおかげか、体力もバランス感覚も、この2体を倒すには十分すぎるほどだった。
オレンジのエグイサルを倒して、次は洞窟に辿り着いた。
まだ希望ヶ峰学園が見えないあたり、首謀者はまだまだ先にいるんだろう。
奏「行こう。」
そして、私は真っ直ぐ歩み始めた
-
- 72 : 2017/03/16(木) 11:20:27 :
- 洞窟の中は薄暗く、まともに前も見えなかった。
暗いのは怖くて苦手なのだが、もうそんな事言えるような状況でもない。
迷いなく、私はどんどんと洞窟の先へと行く。
奏「…きた。」
【ビッグモノクマ】
私の2倍はあるんじゃないかという、巨大なモノクマが3体も現れる。
もちろん、私を狙って攻撃をしてくる。
奏(鈍い…!)
ズシンズシンと大きな足音を立てるも、大して早く動けるわけではない。
その隙をついて、2丁のハッキング銃を冷静に撃っていく。
奏「…!」
倒した、と油断した瞬間に、モノクマは巨大な爪を立てて倒れてくる。
陸上をやっているせいで、棒の上を超えることはできるが、棒の下を潜るのは苦手だ。
この状況は、本当に絶望的だ。あんな爪で切り裂かれたら、私は一溜りもない。
せめて、どこかに抜け道を作らないと………!
奏「…そっか、作ればいいんだね!」
倒れてくる爪を思いっきり掴んで、ぐいっと体重をかける。
すると、簡単に爪は剥がれてくれた。
剥がれた爪のところから身体を出して、もう一度ハッキング銃を向ける。
今度こそ、完全に破壊された。
-
- 73 : 2017/03/17(金) 15:52:03 :
- 奏「…やっぱりだ。」
さっきからたくさんの視線を感じる。大会の真っ最中のような、興奮した人達の視線を…。
しかし、あたりを見回しても、真っ暗な洞窟だけ。それに、こんな薄暗い洞窟の中、どう頑張ったって私から見える位置にいないと、相手も私を見ることはできない。
じゃあ、今感じているこの視線って、なんなの?
奏「…思い返してみたら、あのロボット達も『視聴者』って言葉をよく口にしていたような…あれは楓達の事だと思っていたけれど…」
楓に今の状況が伝えられてる可能性もあるだろうけど、やはりそれ以外にも意図があるようにも思える。
例えばそれこそ、この変な事件に熱狂的なファンがいて、その人が私達がこうなっている姿を見て興奮している…とか。
奏「なんて、考えすぎかもしれないね。」
頭をブンブン振って、今の考えを否定する。
特に根拠はないけど、人の死を娯楽にするような、酷い人なんて世の中いないだろうし。
なんて考えていると、後ろから大きな物音が聞こえてくる。
奏「…ようやく、おでましってことかな。」
どうやら来たみたいだ。第三戦。実質2回プラスはされていたのだけれど。
洞窟の中に階段ができる。
私はその階段を下に降りていく。
いざ、決戦の地へ………
-
- 74 : 2017/03/17(金) 16:04:20 :
- モノ子「あら早いわね~キャピッ」
【エグイサルホワイト】
準備万端、と言わんばかりに、腕を組んで立っている、白いエグイサル。
まずは冷静に…慎重に………
ハッキング銃をエグイサルに向けるが、一切反応はない。
奏(…………?)
むしろ、ずっと立ったまま、動こうとすらしない状況だ。
何がしたいんだ…私の出方を疑っているのか………?
なんだか嫌な予感がしたが、とりあえずエグイサルに向かって弾丸を放つ。
『バチィッ!!』
という音と共に、私は衝撃的な光景を目の当たりにする。
奏「ぶ、分裂してる?!」
-
- 75 : 2017/03/17(金) 16:07:59 :
- どういう原理だかはわからないが、エグイサルは小さい形態になって、2体になった。
その巨大さ故に、動きは大したことないと思っていたのだが、これは例外だ。
それも2体に増えるなんて…だから、挑発するように、ずっと動かなかったのか…!
すると、2体のエグイサルは私に向かって突進してくる。
回避すると同時に、エグイサルに弾丸を撃ったのだが…
奏「また分裂!?」
更に一回り小さいエグイサルが現れる。これじゃあ、永遠に続くばかりじゃない…!
しかも、より小さくなったことで、機動力が増すだけじゃなく、ハッキング銃で狙いも定められなくなる。
これはピンチだ…!
奏「うっ…!」
もう一発撃つ。そろそろ平気だろうと思ったがやはり分裂してしまう。
もしかしてこれは…
奏「無限に、量産されちゃうの…?」
-
- 76 : 2017/03/17(金) 23:18:08 :
- RPGとかでよくある、分裂系モンスターでは、攻撃力も分裂するだとか、そういったデメリットも付与されるのだが
やはり現実そう上手くはいかず、6体のエグイサルは、一体一体馬鹿みたいな力を持っている。
それに対して、私がハッキング銃を二丁。一体だけならまだしも、6体ものエグイサル相手になると、こちらの方が弱いのは説明しなくてもわかる。
───────────死ぬかもしれない。
その現実が、私に突きつけられた。
死への恐怖はあるものの、それ以上に、ちょっとした開放感もあった。
仲間がどんどんと死んでいく、いつ死ぬかわからない…なんて状況から開放される。それは私にとって、一番望んでいたものだ。
あぁ、やっと死ねる…。背負ってきたものや失ってきた悲しみを、全部ここに置いていける。
本当にそれでいいのか?
みんなが生きることを望んだこの世界で、そんな簡単に諦めていいのか?
これ以上に何かを背負うの?
これ以上に私は、何かを失わなきゃいけないの?
ここで終わりにしようよ…。
そんな自問自答が、私の頭の中で続く。
そんなことをしている間にも、エグイサルは待ってくれない。
エグイサルの腕のような部分から出ている銃口が、私に向けられている。
諦める?
-
- 77 : 2017/03/17(金) 23:25:13 :
- ☆安価チャンス☆
『おはっくまー!』
モノノスケ「モノ子さんは戦闘中、モノリオンさんとモノキラーさんは死亡…。自分らの人数も、ぎょうさん減りましたな。」
モノジロウ「でも諦めちゃダメだよ!希望は上から落ちるんだ!」
モノノスケ「落ちたらアカンと思いますう。」
モノジロウ「それよりも、さっきまで愛がどうこうとか行っていた奏さん、もう既に諦めモードに入っているね。どうする?」
モノノスケ「どうでもええですわ…と言いたいところですが、ところどころ視聴者アンケート設けへんと、視聴率ダダ下がりなんですう。」
モノジロウ「こら!視聴率とかメタな話は禁止!とにかく、これはシナリオに大きく影響するかもしれないから、二択だけど、慎重に選んでね!」
Q.赤松奏は諦める?
1.諦める
2.諦めない
>>78
諦めても物語は終わらないよ!
-
- 78 : 2017/03/18(土) 08:08:46 :
- 2です!
-
- 79 : 2017/03/18(土) 23:48:07 :
- 奏「………。」
『内なる声は言った…』
『諦めてはならない………と』
奏「それは違うよ!」
BREAK!!
2丁のハッキング銃から弾丸を放つ。
エグイサルは、それと同時に更に分裂していく。
もう既に、私の指くらいのサイズのエグイサルが100体くらいできただろうか。
そろそろ………
奏「ていっ!」
こちらに突っ込んできた数体のエグイサルを足で踏み潰す。すると、分裂する暇もなくボロボロに砕けた。
攻撃はしてくるけれども、小ささのせいで致命傷は追わせられない。
それに対して、私は動くそいつを、アリンコ同様に踏み潰すだけ。こんな簡単な攻略方法があったなんて…と、自分でも驚いている。
残り20体近くになった時、数十体のエグイサルは同じ場所に集まり、元の大きなエグイサルへと変化する。
といっても、私が潰した分もあるので、最初と比べたらかなり小さくなっているのだが。
エグイサルホワイト『もう怒ったわよ!プンプン』
エグイサルホワイト『アタシの力を味わいなさい!』
エグイサルは、両腕の銃口を私に向けてくる。
に対して、私もハッキング銃の銃口をエグイサルに向けている。
どちらが早く引き金を引けるか……そんな真剣勝負の状態へと追い込んだ。
お願い…間に合って………!
-
- 80 : 2017/03/19(日) 00:01:20 :
バキバキと大きな音を立てて、エグイサルは壊れる。
私の勝ちだ。
「ブラボー!」
パチパチパチ、と拍手をする音と同時に、ゴリゴリのマッチョな外国人が、私に近付いてくる。
「おぉ、そんなに警戒しないでくれよ。俺はお前の仲間だ。」
レクサス「俺の名前は『レクサス』。宇宙飛行士をやっている。」
【超高校級の宇宙飛行士の親友】レクサス
レクサス「お前も『要救助民』ってやつだろ?だから、協力を願おうって思ってな。戦い慣れていそうだしな。」
奏「それを見極めるために、ずっとそこでみていたの?」
レクサス「まさか!か弱い少女が戦っているところを、この俺が見捨てるわけないだろ!たまたまきた時に、お前さんがあの化け物を倒し終わってたってだけだ。」
レクサス「戦い慣れてるって言い方は気に障ったか?それなら悪かった。ただ、俺一人じゃどうしても怖くってよ…あんな化け物。そうだろ?」
………怖いと言ったら嘘になる。
もう色んな人の死を経験しすぎて、これ以上人が死ぬ方が怖いような気もするけど…
レクサス「ってわけだ。宇宙飛行士やってる分、戦闘力はなくても体力はあるつもりだ。俺と組んでくれねえか?」
奏「…わかった。」
レクサス「サンキューな!お前、名前は?」
奏「奏…。赤松奏だよ」
レクサス「奏か!改めて、よろしくな!」
-
- 81 : 2017/05/15(月) 09:02:10 :
面白いから…出来れば早めに書いて欲しいなぁ〜…
-
- 82 : 2020/08/06(木) 22:01:29 :
- 期待
- 著者情報
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