この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
SAO 新たなユニークスキル使い
- ソードアート・オンライン
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- 1 : 2017/02/26(日) 20:45:03 :
- そのシステムアナウンスを聞いたとき、俺はただその内容が理解出来ず立ち尽くしていた。
俺「どうすんだよ……」
しかしその言葉に反応してくれる人は誰一人いなかった。
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- 2 : 2017/02/26(日) 20:47:23 :
- この物語はSAO1巻で茅場がユニークスキルが10種類あると言ったことから考えました。初執筆なので至らぬ点もございますが温かい目で見守ってください。
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- 3 : 2017/02/26(日) 20:59:28 :
- ーーーー時は少し遡る。
俺ことプレイヤーネーム“Akira”(以下アキラ)はSAOの世界へやって来た。ミーハーで機械好きな俺はこのゲームは絶対しようと心に決めていた。いざログインしてみると俺はすぐにVRの虜になっていた。
アキラ「今日は観光程度にしとくかー。」
と始まりの街を回り、店の配置を覚えた。俺と同じ考えの奴が多くあまりゆったりと回れなかった。
そして何もわからぬままに中央広場に集められた。茅場によるルール説明があり、現在に至る。
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- 4 : 2017/02/26(日) 21:15:21 :
- 今日はもう戦う気になれず宿を取った。そして現在の状況を整理した。何故?という気持ちを抑え、『ここでの死=リアルでの死』と『すぐには帰れない』ということにしておいた。現実から目を背けたかった。それだけなのでそのことについてはもう考えるのをやめた。そして早めに眠りについた。
俺はリアルでは15歳の現役中学生だ。学校では生徒会役員もしていたため、少しリアルが気になる。それを言うなら受験生でもあるが勉強を考えなくていいのはプラスにとらえておこう。
このゲームを始める前、MMORPGをしたことがなかった俺はPCで予習がてらMMORPGをしてみた。操作には慣れたが、ひとつだけ受け入れなれないことがあった。『ギルド』である。PCの方でギルドに入った俺はレベル上げノルマなどルールがややこしく、全く楽しめなかった。なのでここではソロプレイヤーを貫こうと思う。
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- 5 : 2017/02/26(日) 21:35:28 :
- ーー翌日
本日の予定兼目標を
・このゲームに慣れる。
・クエストでコル稼ぎ
の2つに決め、行動した。
ガイドブックもあってかゲームには慣れることができた。時折きたギルドの勧誘を断りレベリングに努めた。ちなみに俺はリアルでも人付き合いは苦手である。俺は人に比べて他人に踏み込まれたくない範囲が広いのである。一般人がその範囲を学校の机サイズとすると、俺は京間2畳分ぐらいだろうか。そのこともあってリアル(学校)での俺はどうしても猫を被っている。そのせいで生徒会役員になるはめになったのだが。
ここでひとつの問題に直面した。それはすなわちステータスである。基本はSTRに一極集中しようと考えていたが、デスゲームと考えるとVITにも振ろうと決めた。あとAGIにも振ろうと思う。
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- 6 : 2017/02/26(日) 21:37:52 :
- 一旦今日はここまで。まったり更新していきます。
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- 7 : 2017/02/27(月) 19:04:12 :
- 期待!
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- 8 : 2017/03/01(水) 00:10:26 :
- ーーーそれから約1ヶ月が過ぎた。
俺はリアルでは体操とサッカーをしていたので避ける事と蹴る事は得意だった。さらに剣を振り回したい願望、いわゆる中二病がほんの少しあったため基本は相手の攻撃をパリィor避けるを最優先し、片手用剣で攻撃、パリィ後は時折蹴りも入る。といったプレイスタイルを確立していた。
1層の雑魚はもう相手にならないがまだ2層は解放されていない。故にこの頃はどうしても作業のように感じるのが最近の悩みである。このゲームの趣旨に反するが、俺はどうしても臆病な自分が攻略組へ入るのを妨げた。勇者にはなりたいが自分はそんな選ばれた人間ではないと決めつけていた。
ある日、いつもの如く雑魚を狩り続けていると2層が解放されたという情報が飛び込んできた。しかし、俺はすぐには2層には行かずに1層の迷宮区に入った。既に用無しの迷宮区はまだ完全にマッピングされていない。俺はそこに宝箱などがあると踏んでいた。攻略組に目を付けられたくなかったため迷宮区には入っていなかったが、もうそれは過去の話だ。しかも人との交流を避けることもできる。これは俺にとって至福の時間であった。
こうして『自分最優先』がモットーのソロプレイヤーは攻略組とほぼ同じペースでレベルを上げていった。
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- 9 : 2017/03/02(木) 23:57:24 :
- ーーーあれから1年と8ヶ月が過ぎた。
俺はいまだにソロで迷宮区でネコババをし続けていた。しかしこのところどうも刺激が足りない。と考えていたある朝、ストレージの整理をしようと50層のプレイヤーホームでごろごろとしていたときにスキルに変な文字があることに気づいた。その名も《打撃付与》と書かれていた。俺は全くその意味がわからなかった。というか初見で説明できる奴は今すぐ出てこい。そんな1人漫才の後、とにかくそのスキルを試すことにした。
圏外に出て早速その《打撃付与》を選択した。驚くことに武器に制約がなかった。試しにいつも使っている片手剣でカマキリ型のMob、マンティス相手に剣を振るった。するとマンティスは驚くことに10mぐらい吹っ飛んだのだ。その後も色々とMob相手に戦ってみた。結果としては、その名の通り打撃を付与してくれるものだった。『打撃』というよりは『衝撃』と言う方が正しいかもしれない。
SAOの攻撃には斬撃、刺突、貫通、打撃の4種類に分類される。しかし《打撃付与》を使うと斬撃&打撃、刺突&打撃といったように攻撃力が上がっている。これはMobのダメージの受け方よりわかったことである。この状態でソードスキル、例えばヴォーパル・ストライクを放つとMobは50mぐらいだろうか、特撮を見ているような気分になった。
お気づきの人もいるだろうが、俺は今、この世界に来て一番興奮している。おそらくこの世界へ入った時以上だろう。凍っていた感情が一気に溶けていくような気がした。俺からするとこれは大革命で、パリィと回避を優先していたため、どうしても攻撃が弱くなってしまうといったことがあったのだが、それがなくなった今、心が炎でガンガンに燃えているこの抑えきれない衝動が身体中を駆け巡っていた。結局休もうとした今日もガンガン狩りをしてしまった。
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- 10 : 2017/03/03(金) 00:32:05 :
- 次の日、俺は情報屋のアルゴの下を訪ねた。情報屋は友達の少ない(というか全くいない)俺からすると生命線でもあった。
俺「アルゴ~ちょっといいかー?」
アルゴ「ん?アッキーか、どうした?オネーサンに何か用か?」
俺「ああ、今、判明してるユニークスキルっていくつあるかわかるか?」
アルゴ「今わかっているのはKoB団長さんの《神聖剣》だけだろうナ。でも、何でそんなことを聞くんダ?」
俺「いや、あいつだけセコいなぁ~って思って。あとは良い武器屋を知らないか?」
アルゴ「そうだナ、48層のリズベット武具店がアーちゃんの行きつけって聞いたゾ。」
俺「ありがとう。だがアーちゃんって誰だ?」
アルゴ「ああ、アーちゃんはKoB副団長のアスナのことダ。」
といった会話を交わし、情報料を払い早速48層に向かった。なぜ俺が武器屋に行く理由があるのかというと、《打撃付与》にはレイピアが一番だと感じたからだ。レイピアですると敵のガードに関係なく、吹っ飛ばすことができた。間違いなくこれは攻撃力がおかしいことになっているだろう。
俺「リズベットって男?女?どっちだ?」
といった予想をしているとお目当てのリズベット武具店に着いた。幸運なことに店内には客はいなかった。
リズ「いらっしゃいませ!リズベット武具店へようこそ!」
俺「えっと、レイピアを探してるんだけど…」(こいつ女か、やけに元気だな、それにしても武器屋の定員とは思えない服装だな。)と考えていると、
リズ「具体的にはどんな感じでしょうか?」
と困った顔で聞いてきた。
俺「丈夫で長すぎないのを頼む。別に金には困っていないからオーダーメイドでも大丈夫だ。」と言った。実際、物価の安い50層のゲートの近くだとしても家はそんなに高くなかった。なのでお金には全く困っていなかった。
リズ「じゃあオーダーメイドにしましょう。
そっちの方があなたの理想の剣が造れるわ。」
俺は『やられた‼』と心の中で叫んだ。オーダーメイドの方が確かにかかるお金は高い。奴は利益を優先させやがった!そんな感情を殺して俺は「ああ、頼む。」とだけ言った。どれくらいかかる(金と時間)かを聞くと、明日と言われた。価格は未定と言われた。そんなこんなしていると、アルゴの言った通り、《閃光のアスナ》が現れた。
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- 11 : 2017/03/04(土) 00:48:32 :
- 彼女を生で見るのはこれが初めてだった。仮想世界にリアルもクソもないのだが。身長は俺より高く、頭1つ分は違うだろう。俺は店主に明日の10頃行くと言い、この店を出た。
俺「女であり攻略組、しかも攻略の鬼、どんな神経の持ち主だよ…」
とぶつくさ言いながら迷宮区へ向かった。
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- 12 : 2017/03/04(土) 01:10:05 :
- アスナ「リズ~メンテおねがーい。」
と言いながらアスナはレイピアを放った。
リズ「はいはい、わかったわよ。」
そう言いながら工房へ向かった。親友の頼みなので仕方なく優先させる。メンテが終わると、
アスナ「そういえば、さっきのあの子誰?」
リズ「おや?興味あるのかい?アスナはあんな小さい男の子がこn」
アスナ「もう!そんなんじゃないよ‼ただ、あの子、なかなか強そうだなって思ったから。」
リズ「私は今日初めて会ったからあんまり知らないけど、彼のレベルを聞いたら70越えてたわ。」
アスナ「嘘!?あたしと変わらないわよ?顔を見たことがないから攻略組ではないし…もしかしてソロプレイヤーなの?」
リズ「そうよ。片手剣使いなのにレイピアをオーダーしてきたわ。もしかして、KoBに勧誘かしら?」
アスナ「そうしようと思うけど、こんなにレベルが高いのに攻略に参加しないのはやっぱり死ぬリスクを避けてるんだと思うなぁ。」
リズ「何よ、あんたから誘えば男は絶対ついていくわ。まぁ、明日の10時前にここに来たら勧誘できるかもよ。」
アスナ「じゃあそうしてみるね。メンテありがと!」
と言って彼女は出ていった。
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- 13 : 2017/03/04(土) 01:55:53 :
- KoB副団長のアスナは妙に心を踊らせながら55層のKoB本部に戻った。そしてそのまま団長の下へ向かう。その情報を説明すると、私も行こう。の一言を言い放った。団長が直々に勧誘は珍しいなぁと思いながら、彼女は最前線へと向かった。
翌日、俺は10時になるまで少し辺りで時間を潰した。そして、10時ちょうどにリズベット武具店に入ると、俺は目を疑った。
店内にはKoBの団長さんと副団長さんがいた。へぇーまさか団長もここにくるんだーと混乱しながら逃避していると、いきなり団長の方から声がかけられた。
ヒースクリフ「君、今、レベルはいくつだ?」
と聞いてきた。
俺「78ですけど…」
ヒースクリフ「そうか!どうだ?KoBに入ろうとする気はないかね?」
俺「えっと…どこかでお茶しながらでもどうですか?」
俺は言葉を濁した。俺はギルドに入る気は無かったのでおそらく対立するだろう。そうなればここの店主にだいぶ迷惑をかけてしまう。
ヒースクリフ「ではそうしようではないか。」
と言い、外へ出ていった。
俺は店主から商品のやり取りをした後に「ありがとう、だけどあんたは口が軽すぎる。」とだけ言って店を出た。
こうしてみると俺はかなり二人に迷惑をかけてしまったと気づく。最強ギルドのNo.1とNo.2が並んで街を歩くと皆が見てくる。そして各々がそのチビは誰だよ!とか色々思っていることだろう。ようやく落ち着ける場所に行くと、ヒースクリフは注文をしてから話を始めた。
注文は全員紅茶(に似た何か)を頼み、その後NPCが運んできた。
ヒースクリフ「まず、いままでどこで何をしていたかを教えてくれないか?」
俺「攻略済みの迷宮区で1人で全てマッピングをしてきた。それだけだ。」
ヒースクリフ「そのレベルは攻略組のトップを争えるぐらいだが、どうして攻略に参加しないのだ?」
俺「死ぬのが恐いから?だと思う。そんなに俺は出来た人間じゃないからな。」
ヒースクリフ「では勧誘は断ると?」
俺「そうなるね。こんなとこまで出てきてもらって悪いけど、無理なものは無理だな。」
ヒースクリフ「そうか、だが我々もハイそうですかで引き下がる訳にはいかない。君の実力も見たいのでデュエルしないか?」
俺は此は如何に?と思いながらもこうするしかなさそうだから仕方なく勝負を受けた。
人に見られると嫌なので場所をKoB本部に移したが、これもこれでやりづらい。完全にアウェーだ。そう考えているうちに60秒のカウントが始まった。
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- 14 : 2017/03/05(日) 01:04:17 :
- 奴は鉄壁の防御の《神聖剣》使いなので、やはり速攻でケリをつけるしかないだろう。加えて奴はまだ俺の《打撃付与》を知らない。ならば大事なのは一撃目か、ならば新しいレイピアの初陣といきたいがここはいつもの片手剣でいかせてもらう。俺の片手剣『ジークフリート』は、小型のバスターソードのようなものであるが故に攻撃力は高い上に扱いやすい。身長の低い俺からすると最適な武器と言える。深呼吸をして息を整え、目の前の相手に集中する。そしてデュエルが開始された。
俺は剣を額の横で地面と水平に構え、突進できるようにした。奴はゆったりと武器を構えていた。なのでむこうも突進してきたのは虚を突かれた。しかし俺は剣が交わる前に跳んだ。前方宙返り一回転半ひねりを披露し、奴の後ろをとった。しかし、着地してすぐに奴の盾が俺を襲う。それをバク転で躱した。作戦変更だ。奴をこの攻撃力でねじ伏せる。そう決意した俺はホリゾンタルを挨拶がわりに放つと案の定奴は盾でブロックしてきたが奴は、10mは吹っ飛んだ。当の本人も困惑していることだろう。しかし、俺も衝撃で2,3mほど後退した。これは勝てると思ったのが甘かった。奴は衝撃のタネに気づいたのか、攻撃をクリーンヒットさせてくれなかった。俺はチャンスを窺いながらパリィを決めた。ここしかないと思い、ヴォーパルストライクを放つ。だがあり得ない現象が起きた。《打撃付与》が発動しなかった。盾ごとふっとばすつもりの攻撃はもちろん弾かれ、奴の攻撃を喰らい、勝敗は決着した。
ーーー勝者 ヒースクリフ
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- 15 : 2017/03/07(火) 01:57:37 :
- あっけない試合の終わり方に俺は困惑の色を隠せなかった。そこにヒースクリフが俺に近づき、ポーションを差し出してきた。俺はそれを奴の顔も見ずに受けとると一気に飲み干した。
ヒースクリフ「約束は守ってもらうぞ。ようこそ、血盟騎士団へ。」
まだ立ち直れない俺は弱々しい声で
俺「え~~っと、これからどうしたらいいんだ?」と聞く。
すると奴は
ヒースクリフ「まずは本部へ来てもらおう。」
と言い、奴の後を追った。
ーーーーーーー《三人移動中》ーーーーーー
本部に着くと奴(いや、これからは団長と呼ばなければいけないのか。)は全てを副団長のアスナに任せて消えて行った。
あれで団長が務まるのかよ。と思っていると、副団長が声をかけてきた。
場所を移動して、小さな部屋で色々と説明があった。レベル上げノルマがないというのはとても大きい。規律はやはり面倒なものだが、この際割りきる。決して可愛い女の子の説明だからではない。多分。
話が終わったと思い席を立とうとすると副団長から呼び止められた。
俺「どうかしましたか副団長殿?」
アスナ「その呼び方はやめなさい、アスナでいいわ、せめて副団長と呼びなさい。」
俺「わかりましたよ、……アスナ…………さん?」
俺は女の子に対して免疫はあったと思っていたが、人見知りが発動し上手く喋れなかった。これは何度も言うが決して目の前の女の子が可愛いからではない。おそらく。
アスナ「よろしい。んで、これが本題なんだけど…どうやって団長を吹っ飛ばしたの?」
俺は彼女にスキルスロットを見せながら説明した。
俺「ちょっと前にこんなスキルが追加されてて…これを選択すると、通常の攻撃に爆発したような衝撃が付与されるんです。これはソードスキルにも適用されて、ホリゾンタルで10m、ヴォーパルストライクなら50mぐらいはぶっ飛びます。」
アスナ「それってまさか…ユニークスキルってことなのかしら…」
俺「多分そうです。だから、リズベット武具店でレイピアをオーダーメイドしてもらったんです。」
アスナ「そう、ありがとう。」
と言って彼女は立ち去ろうとしたが、今度は俺が呼び止める。
俺「えっと…フレンド登録を……してもらえませんでしょうか?まだ1人もいなくて…ボス戦の連絡とかがわからないので…」と言うと、断られると思っていたが、即OKしてくれた。
こうして俺のKoB1日目は終わった。
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- 16 : 2017/03/08(水) 01:46:06 :
- 翌日、KoBの白くて長い服を着てプレイヤーホームを出た。やはり名の通っているギルドとあってか、街の人の視線が辛い。他のプレイヤーとはあまり関わらなかったので話しかけられないのは幸いなことであった。
本部に行くとフォワードの指揮をしているというゴドフリーに呼び止められた。
実力をみるということで、55層の迷宮区を1人で突破して欲しいとのことだった。
俺は《打撃付与》を外し、片手剣だけで攻略した。正直なところ、危ない場面は1つもなかった。実はまだ最前線の1つ下の層のマッピングが済んでいないので早くそちらへ向かいたかった。
本部に戻り、団長に一応ソロでの行動の許可をもらい、マッピングへ向かう。実質、服が変わったのと、ボス戦への参加義務との2つがいままでの生活と変わったところであろう。
マッピングも終わり、街に戻ると俺は激動の夜を迎えることとなる……
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- 17 : 2017/03/08(水) 02:26:53 :
- 街へ帰ると何故か沢山の人に囲まれた。一般人、中層プレイヤー、アルゴの存在も確認できた。内容は俺の《打撃付与》についてらしい。
何故こうなったかは大体想像はつく。アスナさ
んがアルゴに俺について話したのだろう。本部に帰ったら、なんか奢ってもらおう。それぐらいしてもらわないと気が済まない。
デュエルの申し込み、野次馬、取材陣の3つに大きく別れた人達をどうにか捌かないといけないのか。では、まずデュエルの方から片付けよう。
俺「まず見てもらった方が早いからフィールドに行こう。」と皆を圏外へ移動させる。
俺「今からソードスキルを発動するからあの敵に注目して欲しい。」とちょうど近くに湧き出た雑魚を指差しながら言う。
そして、俺はヴォーパルストライクを放つ。雑魚は目算50m 位跳んだ。観客は沸き上がる。
そして通常攻撃とレイジスパイクを放ち、言う
俺「これでわかっただろう。通常攻撃もデュエルだと命に関わってくる。これからはデュエルは申し込まないように頼む」と言うと、大半のプレイヤーは帰っていった。
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- 18 : 2017/03/09(木) 00:30:07 :
- 俺の剣舞(?)を見た野次馬とデュエル目的の奴は帰ってくれたが、一番面倒な彼ら、情報屋たちが残っていた。
俺はどう足掻いても逃げ切れないことを悟り、渋々取材に応じることにした。結局、取材に4時間もかかってしまった。これは1日、攻略を休もう。それがいいと思っていたのだが、情報屋の力は素晴らしく、俺は一躍時の人となってしまっていた。俺のプレイヤーホームの場所まで特定されてしまい、KoB本部の仮眠室で休むことにした。
しかし、その人気(?)も1月経てば終息していった。
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- 19 : 2017/03/09(木) 23:44:04 :
- ある日、俺はヒースクリフに呼び出された。
何かやらかしたかな?とまるで職員室へ行くような足どりで本部に向かう。だが、彼の発した言葉は全く予想だにしていなかったものだった。
ヒースクリフ「突然呼び出してすまない。実は頼み事があるんだ。」
俺「何でしょうか?まぁ、出来るかどうかは別ですけど。」
ヒースクリフ「いや、そんなに難しいことではない。ただ、アスナ君の護衛をしてもらいたいんだ。この度、主要な団員に護衛をつけることになったのだ。」
俺「はぁ、んでなんで俺に護衛なんだ?」
ヒースクリフ「彼女たっての希望だよ。」
そう言って奴は部屋を出ていった。
結局、俺には拒否権などなかったのだろうな。と思いつつ、部屋を出ると副団長のアスナが待っていた。
アスナ「団長から話は聞いた?」
俺「えぇ、護衛って何をすればいいのでしょうか?」ここでは『何故?』ということは聞かないでおこう。
アスナ「そんなの私にもわからないわ。まぁ、私とパーティーを組めばいいんじゃないかしら?」
俺「そういうことにしておきましょう。」
意外とテキトーなところもあるんだな、《攻略の鬼》と聞いていたのでもっと厳しい人だと思っていたのだが。
そんなことを言うと何かされそうなので心の中に留めておく。
こうして俺の護衛生活が幕を上げる。
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- 20 : 2017/03/10(金) 00:19:59 :
- 護衛生活も板についてきた頃、俺たちは50層にいた。
副団長の後ろについていくととある雑貨屋に入っていった。中には店主と思われる人と、1人のプレイヤーがいた。俺はこいつと何度か顔をあわせたことがある。
そいつの名は、まだ知らない。アルゴの話にちょくちょく出てくる『キー坊』なのは容易に想像がついた。何故なら彼は全身黒のいわゆる《黒の剣士》であるのは明らかだからだ。
どうやら彼はアスナと仲がいいらしく、話は盛り上がっている。何か商談があり、俺は今日の護衛は終わりらしい。
この頃、俺は迷宮区のマッピングがスムーズで、最前線に行く事が普通になっていた。
翌日、最前線の転移門から俺は出てくると、広場には昨日の黒の剣士がいた。驚くことに向こうの方から話かけてきた。
キリト「えっと、君はアスナの護衛さんだよね。アスナ知らない?」
俺「俺が知るわけねぇだろ。俺はお暇もらってるからな。」
キリト「そうか…そういやまだ名乗っていなかったな。キリトだ。よろしく。」
俺「あぁ、俺は」キリト「アキラ、だろ。2人目のユニークスキル使い。ボス戦でのパリィマスターとして攻略組で名が通っているぞ。」
と話していると、アスナがやって来た。
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- 21 : 2017/03/12(日) 01:55:15 :
- 「遅れてごめん」と言いながらアスナは走って来た。申し訳ない表情だったが、すぐにその表情は驚愕の2文字を表した。それもそのはず、何故か呼んでもない自分の護衛が目当ての剣士の隣に立っているからである。
結局、成り行きで俺たちは3人で迷宮区へ挑むことになった。
道中では危険なところは1つもなかった。さすがに攻略組の精鋭達が揃うと攻略スピードが素晴らしい。
何気に俺は最前線の迷宮を進むということは初めてだったが、妙な安心感があった。それこそボスさえ倒せるかもしれない、なんて思っていると、ボス部屋とおぼしき場所に来てしまった。
俺たちは転移結晶を持って部屋に入ることにした。そしてボスを見ると一目散に逃げた。各々が悲鳴をあげながら走るところは周りから見たらなかなか滑稽だっただろう。
安全な場所まで来ると、俺たちは顔を見合って笑う。だが、そこで声を発したのはアスナだった。
アスナ「あれはなかなかてこずりそうだね…」
キリト「あぁ、盾装備が10人は欲しいな…」
などとボスについて話していると、『軍』の奴らがやって来た。
-
- 22 : 2017/03/12(日) 17:03:45 :
- コーバッツと名乗る男は俺たちのマッピングしたデータをよこせと言ってきた。
もちろん俺は「ふざけるな‼」と言ったがキリトが手で制止した。彼もマッピングがどれだけ大変なのかはわかっているだろうが、「マッピングデータで商売はしない。」とカッコいいことを言いながら軍に従った。
そこでアスナ手製の昼食を食べていたがどうも軍の帰りが遅い。
俺たちは小走りでボス部屋に向かった。途中、進行方向から悲鳴が聞こえ、ダッシュに変える。ボス部屋に着くと、俺たちは驚愕の事実を知ることとなる。
キリト「何やってんだ、お前ら‼早く転移結晶を使え‼」
軍メンバーA「ダメだ!転移結晶が使えない‼」
キリト「……クリスタル無効化エリアか!」
するとコーバッツがボスに吹っ飛ばされ、俺たちの前に転がった。ただ、「ありえない……」とだけ呟き、ポリゴンの破片となってコーバッツは消滅した。
目の前の現実(仮想世界だが)を受け止め切れない俺は何もできなかった。他の2人は冷静に軍に指示していた。
俺(こういうところは俺は真似できないなぁ。)
と思っていたのだが、アスナは冷静にいられなかった。
そしてアスナは愛剣を握りしめ、飛び出した。
次いでキリトと俺も飛び出す形となり、思いもよらぬ形でボス戦が始まった。
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- 23 : 2017/03/13(月) 16:10:37 :
- いつもはボスのパターンを読む所から始めるが、中に手負いの軍の面子がいるためそういうわけにもいかない。
俺は斜め下からの切り上げ技である《スラント》で強引に敵の攻撃を防ぐ。これがパリィマスターの所以だろう。だが、このままではやられる一方だった。
すると、キリトが「10秒持ちこたえてくれ!」と言ったので、一応その指示に従う。とはいってもただパリィを続けるだけだった。
「スイッチ‼」とキリトが言った。俺はブレス攻撃に入ろうとしたボスの顎を《レイジスパイク》で中断させた。そしてスイッチ、キリトはあろうことか2本の剣を持っていた。
そこからは見ることしかできなかった。キリトは目では追うことが出来ないほどの斬撃でボスのHPを削っていく。
これで終わりかな?と思っていると、キリトの剣の1つがボスに掴まれた。そして、横凪ぎの攻撃がキリトを襲う。パーティーに入っていたのでキリトのHPが少ないことはわかっていた。
俺は咄嗟に《バーチカル》を放ち、ギリギリのところでボスの攻撃を止める。我ながら素晴らしいスピードだった。そしてキリトはラストアタックを決めてなんと3人でボスを攻略してしまった。
翌日のキリトは以前の俺のように人に囲まれていた。キリトは俺と違い、逃げ回っているようで、50層の雑貨屋に避難しているのはフレンドリストからわかった。俺も実はキリトに用があって追っている。
50層のエギルが営む雑貨屋に着くと、そこにはリズとキリトとエギルがいた。そこで少し談笑をする。少しして俺はキリトに本題を切り出す。
ーーー「俺に剣を、二刀流を教えてくれ。」
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- 24 : 2017/03/14(火) 23:52:27 :
- キリトはアキラの言っている意味がわからなかった。教える以前に彼は二刀流スキルを持っていないからだ。
俺「俺の《打撃付与》にはイレギュラー状態がない。ならば片手剣ソードスキルを発動できるはずだろう。」
キリトはこういう付き合いは苦手だが、同じユニークスキル使いとして教えてあげることにした。
そしてその翌日、俺たちが修行している所に我らが団長、ヒースクリフがやって来た。どうやらキリトを勧誘しに来たらしい。ユニークスキル使いが3人もいるギルドなど、もうそれこそチートだろう。
キリトはもちろん断る。そして俺の時と同じようにその判断はデュエルにゆだねられた。
その翌日には75層の闘技場でそのデュエルが開かれた。2人は互角に戦っていたが、辛くもヒースクリフが勝利した。
彼はデュエルの後には必ずあんな表情になるのだろうか。あの顔は俺とデュエルした後にも見せていた。何か睨み付けるようなあの顔。まぁそういうことにしておく。
これでキリトも晴れて(?)血盟騎士団の一員となる。同じギルドとして、共に行動できるのはアスナの護衛、修行、マッピングの一石三鳥の状況になった。
そして75層ボス戦がやって来た。
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- 25 : 2017/03/16(木) 01:15:09 :
- 聞くところによると、アインクラッドでは区切りの層のボスは強く設定されているらしい。ゼロのつく層もそうだが、何よりヤバいのはクォーターポイント、25,50,75,100層のボスが凶悪な難易度らしい。
なので我らが団長はコリドーを躊躇なく使った。道中を無視できるのはいいが、いきなりボスはどうも調子が上がらない。
そんな雑念だらけの俺に一気に気合いを入れてくれたのはボスの攻撃だった。
75層のボス、The Scull Reaperは天井に張り付いていた。落下して鎌を一振り。一撃で3人が人生の終わりを告げた。
あの鎌をどうにかしないとすぐに皆が殺られてしまう。だが、俺は『任せろ』なんて言うようなキャラではなかった。ここでも団長が前に出てあの鎌の1つを止めた。次いでキリトとアスナが2人がかりで鎌を止める。
俺はあの鎌を根本から切ろうとも思ったが、実行出来なかった。ボスが尻尾でも高い攻撃力を発揮してきたからだ。ヒースクリフは俺にあの尻尾を止めるよう指示した。
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- 26 : 2017/03/16(木) 15:51:58 :
- まぁ団長の命令なので従うことにする。俺は《打撃付与》により、もしかしたらボスの尻尾を壊せるかもしれない。
そういえばキリトに二刀流を教わった時に確かキリトは《武器破壊》のやり方を教えてくれたっけ。だが、これはPvPではない。よってそんな邪念を削除する。
俺はボスの尻尾を斜め下からの切り上げ技、《スラント》でゴリ押しで対応する。これで戦局は安定した。流石は攻略組といったところか。
長い戦いだったが、1時間はかからなかった。しかし、皆はものすごく疲弊しているように見えた。それは俺もそうだがキリトやアスナも座り込んでいたのは少し驚きだった。攻撃を喰らえば即GAME OVERだったから無理もない。
ただ1人、ヒースクリフは落ち着いていた。あれだけ集中して精神的にもしんどいはずなのにあの堂々たる立ち姿を見るとやはりあいつは化け物だ。
意識が少し遠のいているがポーションを飲み、一息つく。結晶を使おうとしたが、回復はしてしまったのでバッグにしまおうとしたが、オブジェクト化してしまう。しかも色々な結晶をばらまいてしまった。その時、キリトがものすごいスピードで俺の横を駆け抜けていった。振り向くとちょっとよくわからない光景が広がっていた。
キリトがヒースクリフに攻撃、紫のエフェクト、《Immortal Object》の文字、今の俺の頭をパンクさせるには十分過ぎる情報量だ。
おかげで重い腰を上げることができた。結晶を腕に抱えながらヒースクリフに近づく。結晶をしまっているとアスナが口を開く。
アスナ「システム的不死…?…ってどういうことですか…団長…?」
しかしヒースクリフは沈黙を続ける。するとキリトが説明してくれた。ヒースクリフのHPが黄色にならないこと。プレイヤーでそんなことができるのはGMだけだということを。
キリト「他人のしているRPGを傍から眺めることほどつまらないことはない。そうだろ、茅場」
俺は話についていくのにやっとだったが、やっと思考が追い付く。するとヒースクリフが沈黙を破った。
ヒースクリフ「……どこで気付いたか参考までに教えてくれるかな?」とキリトに問う。
キリトは説明するが、あまり耳にその会話が入ってこない。そんなに俺は疲れているのだろうか。そう思った刹那、体の力が抜けた。ヒースクリフがキリト以外を麻痺毒の状態にした。
そしてヒースクリフが正体を看破したキリトに報酬をやろうと言った。報酬とはここでデュエルをして、このデスゲームを終わらせるチャンスを与えるというものだった。
そしてキリトにヒースクリフからデュエル申請が届く。種類はなんとHP全損モード。この世界で全く使われることのなかったただの殺しあい。そして60秒のカウントが始まってしまった。
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- 27 : 2017/03/18(土) 00:24:19 :
- 俺は麻痺毒になりながらもあるものを探す。それは緑色の結晶、すなわち麻痺毒を治す結晶だ。確か腕に抱えていた中に2つほどあったはずだが。
それは案の定手の届く範囲にあった。結晶無効化空間だが、何故か使うことができた。そして余った結晶を気付かれないようにアスナに投げる。気分はバーでの『あちらのお客様からです』だ。見事に結晶はアスナの腕に当たり、アスナも結晶を使用する。
だが、俺たちは立ち上がらず、二人の戦いを見守った。
一見、キリトが押しているように見えるが、全ての攻撃をヒースクリフに弾かれている。このままだとジリ貧になってしまう。するとキリトが二刀流のソードスキル、『ジ・イクリプス』を発動した。しかし、それすらもヒースクリフは盾で防ぎきってみせた。その時俺はやっとヒースクリフがこのゲームの支配者だということを痛感させられた。そして、スキル硬直の間にヒースクリフの攻撃がキリトを襲う。俺とアスナは反射的に動いていた。
アスナの方が俺より敏捷力に分がある。故にアスナがキリトの前に立ちはだかった時にはどうしようかと思った。俺はヒースクリフの攻撃を弾く予定だったのでアスナが邪魔になってしまった。結果、俺はアスナにドロップキックをお見舞いする。反動で俺も少し後退するが、そこから突撃系のソードスキル、『アバランシュ』を発動し、剣筋を逸らすことに成功、キリトを抱き抱え距離をとる。
そして俺はヒースクリフにこう言いはなった。
俺「俺は負けたままはイヤなんだ。どうせ100層でのお前は巨大化とかするんだろ。だからここでお前を倒さないと意味がない。」
こうは言ったものの内心はすごく後悔している。今、俺は勇者になりかけていること。これがほぼ自殺行為だということ。など言い出せばきりがない。だが、後にも退けず、デュエル申請をする。そして60秒のカウントが始まる。
この間、ヒースクリフは黙ったままだった。恐らく俺をゴキブリ程度にしか見てないのだろう。だが、俺はあの時ーー奴に打ち負かされた時とは違う。
俺は60秒の間に装備をいじる。右手にリズ特製のレイピアを装備。PvPに備える。
こういった相手が自分より強い時には最初に奇襲をするのが最適だ。もちろん、ここでも俺はその奇襲の準備をした。
そして俺のSAO人生最後のデュエルが始まった。
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- 28 : 2017/03/18(土) 00:57:17 :
- まずは《アバランシュ》発動し、一気に距離を詰める。もちろん、奴の盾に弾かれるがまだ俺の攻撃は終わらない。本来ならここでスキル硬直があるのだが、キリトとの修行中にあるシステム外スキルを見つけた。その名も《スキルコネクト》。
俺は二刀流を模倣しようとしたが、二刀流のソードスキルは使えない。そこで、片手剣ソードスキルを組み合わせて二刀流っぽくするのを目標にした。スキルコネクトをあみだしたおかげでそれを可能にする事ができた。
俺は《アバランシュ》の最中、ヒースクリフに見えないように左手でいつもの剣を持っていた。そして、《アバランシュ》終了後、左手に全神経を集中させ、《バーチカル》を放った。
これで二刀流ソードスキル《ダブルサーキュラー》が完成した。
ヒースクリフは最初、驚いた表情を見せたが、流石の反応で防御してきた。しかし、8mぐらいは吹き飛ばした。俺も反動で同じくらい後退する。《打撃付与》のいいところは『スキル硬直の解除時間を稼げる』ことだ。なので反撃を喰らう確率は少ない。
ヒースクリフのHPはあまり減っていない。奇襲は失敗に終わった。
俺はキリトほど反応はよくないので完全にキリトの下位互換だ。ヒースクリフも余裕そうに俺を見てくる。俺はヒースクリフの攻撃を避けることを中心にし、チャンスをうかがい続ける。
ここだ‼と思い、俺はヒースクリフの盾に突きを喰らわせ、距離をとる。ここで奇襲第2段を決行する。
先ほどとは違い、《ヴォーパルストライク》を放つ。盾に弾かれる攻撃をわざと俺は剣を引き、ファンブルさせる。スキルコネクトにより、左手で《スラント》を発動させ、奴の左腕、盾を持つ方をぶった切った。
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- 29 : 2017/03/19(日) 01:39:47 :
- 俺の目論見は成功。これで《神聖剣》の主武装が解除され、戦いが楽になる。……はずだった。
盾が無くなったヒースクリフのスピードはそれこそチーター級でバク転などは通用せず、俺はHPをガンガン削られてしまう。ここで何か手を打たなければ確実に負ける。
何か漫画で見たことがあった。こういった局面を変えることができるのは『リスクを恐れぬ意外性』だということを。今、俺はそれをしなければいけない場面、もう迷っている時間はない。
俺はヒースクリフの懐に潜り込んだ。そして巴投げの要領で体術スキル《弦月》を繰り出す。
ヒースクリフは突然の反撃、しかも体術だった故に受け身が取れず剣をファンブルする。
ここしかない‼と思った俺は武装を右手のレイピアだけにする。そして強烈な突き技《シューティングスター》の構えをとる。と同時に左手で体術スキル《エンブレイザー》の構えをする。
ヒースクリフに向けて跳ぶと、左手のライトエフェクトがレイピアに移動する。青と黄色のエフェクトが混ざることなくねじれていく。
これが《打撃付与》の真の姿だと言えよう。『付与』と言うよりかは『憑依』と言った方がいいのでは、と思ったがこれは基本、対人に使うことはあってはならない。カードゲームの使用禁止カードと同じようなものだ。このコンビネーションは強すぎるのだ。これを一度だけ中ボスに使ったことがある。なんと結果はワンパン。この技を封印してきた訳だが、今回ばかりは勝手が違う。
今、この勝負にはこの世界の命運がかかっているといっても過言ではない。なので躊躇なく発動させてもらう。俺の攻撃が起き上がったヒースクリフの胸にとてつもない衝撃が走る。そして確かにヒースクリフが死亡するサウンドが聞こえた。
ーーー終わった。
俺は今仰向けで大の字になっている。右手を見るとリズ特製のレイピアは刀身が砕け散ってしまっていた。リズには色々と世話になったし、これからも友好関係を築きたい1人でもある。
今はレイピアの柄に向けて感謝をする。
するとヒースクリフがいなくなったことで麻痺毒が解消されたのだろうか、皆が駆け寄ってきた。そして強制的に胴上げが行われる。野球の監督はこんな気分なのだろうか、と思う束の間、システムアナウンスがあった。胴上げは自然に終わり皆が耳を傾ける。
「ゲームはクリアされました。ゲームするクリアされました。」という声を聴き、俺はキリトとアスナに駆け寄る。
アスナに足蹴にして悪かったと伝えると、彼女は別に勝ったからいいと言ってきた。しかし彼女の目には怒りが見える。こういう時のなだめ方を知らない俺には気づかなかったふりしかできなかった。
キリトには感謝の言葉を伝えた。ただただ感謝、感謝である。まだ話すことがたくさんあるのにキリトはログアウトされていった。次いでアスナ、俺もキリトの後を追った。
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- 30 : 2017/03/21(火) 01:11:16 :
- 目が覚めたらそこは知らない場所、正しくは病院だが、2年も身体を動かしていないと骨と皮だけになっていた。
俺(アキラ)こと本名『中尾 祐介』は千葉で一人暮らしをしている。両親は不慮の事故で亡くなっている。故にお見舞いなど、誰もこない。そのはずだった。
目覚めて1日すると総務省の菊岡と名乗る男が現れた。彼は俺たちSAOプレイヤーを病院へ運ぶことを指示した人物で、彼には色々な話を根掘り葉掘り聞かれた。その対価としてSAOサバイバーの中高生が通える学校を造ってほしいということを頼んだ。
これには2つ意図がある。
1つ目は純粋に勉強をするため。
2つ目はキリトやアスナと再開するためだった。
キリトやアスナは本名を聞いていない。俺も教えていないのだが。だが、俺は会いたかった。こんなにも気が合う人にはもう会えない気がしたからである。
菊岡さんは上に報告はするとだけ言った。ついでに他のサバイバーと会ったかと聞いてみたら、彼はキリトと会っているらしい。俺は彼にキリトへの伝言を頼み、面会は終わった。
そして1ヶ月後、リハビリをしている最中にそのニュースが舞い込んできた。
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- 31 : 2017/03/23(木) 01:35:22 :
- そのニュースとは、サバイバーの中高生が通う学校が東京にできるということだ。
俺は中学校の範囲で習っていない所はSAOから帰ってきてから暇なときにしたので、高校に入る準備はできていた。
準備は色々と面倒だったが、やっと高校生らしい日常が戻ってくると思うと胸が高鳴る。だが、1つ問題があった。それは資金調達であった。
前述のとおり親のいない俺にとって高校は本来通う予定はなかったのだ。菊岡さんに奨学金等の制度について訪ねると、学費はなんと無料とのこと。なんて太っ腹なんだろう。俺は生まれて初めて政府に感謝しているかもしれない。それほどこれは嬉しいことだった。
しかし、学費がタダでも生活費は稼がないといけないので結局バイトをしなければいけない。これにより、友達ができない高校生活が形成されてしまった。
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- 32 : 2017/03/24(金) 00:39:07 :
- 俺がお金に悩んでいることを知っていた菊岡さんは、俺に100万円をくれる話を持ち出した。しかしそんな旨い話はなく、ある条件が提示された。
ある条件とは
・国(菊岡さん)の要請に従うこと。
・将来、官僚になること。
の2つだった。
俺はSAOに囚われる以前は夢など考えていなかったが、今はその夢がはっきりしていた。それは『茅場を越えること』であった。
SAOで茅場とのデュエルに勝利した俺は頭脳でも奴に勝ちたいという想いが湧いてきていたのにその夢はわずか1ヶ月で潰えてしまった。
渋々その条件を呑むと、彼は去っていった。
そしてそれから2ヶ月後、俺たちSAOサバイバーのための学校が開校した。
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- 33 : 2017/03/26(日) 15:15:52 :
- これから、彼らのリアルの方で少し(?)事件が起きます。因みにALO事件は無かったことにしてます。
あと、更新がこれまでより遅れることが多くなりますがご了承ください。
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- 34 : 2017/10/29(日) 18:16:58 :
- 投げ捨てなんてヒドいヨーうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーんうわーん
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