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エレン「俺たちの進撃」~訓練兵編④~
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- 1 : 2013/12/17(火) 17:18:11 :
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エレン「俺たちの進撃」~訓練兵編③~のつづきです
相変わらずの亀更新ですがよろしくお願いしますm(__)m
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- 6 : 2013/12/17(火) 19:48:48 :
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オレはエレン・イェーガー。訓練兵の身分で既に尉官最高位の上級大尉を任されるという完璧な出世コースに乗っているわけだが…
しかし、そう世の中は簡単じゃないようだ…
エルヴィン「イェーガー上級大尉を北方の訓練所の軍事顧問に任命する。ユトピア区は軍事的にひどく後進的だ。使い物にならなければここには帰って来れないと思いなさい」
エレン「なっ…!」
エルヴィン「今回、副官の随伴は許可されなかった。まあ、がんばれ」
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- 21 : 2013/12/20(金) 16:59:29 :
ーユトピア区ー
エレン「あの…」
屋台のオヤジ「おう、どうした?」
エレン「ユトピア区王立士官学校への道はこっちであってますか?」
屋台のオヤジ「おう、あってるよ。兄ちゃん観光かい?」
エレン「いえ、違います。ありがとうございました」
エレン(ほんとに観光なら良かったんだけどな…)
エレン(しっかし、名前だけはいっちょまえに最新式だな…)
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- 26 : 2013/12/23(月) 23:14:19 :
では、スタート!
ー王立士官学校正門前ー
パウル「はあ、出迎え役なんてついてねえな」
ディーター「うん。到着時間を聞かされてないのは困るね」
パウル「そーゆーことじゃねえよ。今から来る顧問は俺たちと同じ訓練兵でも既に月鬼ノ組っていうエリート中のエリートだぞ?どんだけ恐ろしいか…」ブルッ
ディーター「あっ、あの人じゃないかな?」
パウル「げっ、ほんとだ」
ディーター&パウル「顧問殿!お待ちしておりました!」
エレン「ああ」
ーーー
ー
校長「招聘(しょへい)に応じていただき感謝しております。イェーガー少佐」
ワアアアァァァ
エレン「?」
校長「おお、始まったようですな」
エレン「あれは…」
校長「騎兵科の馬術試験です。試験や演習は示威のため市民に公開するのが騎兵科の慣わしでしてな」
エレン「…(示威ねえ…なんか賭けになってるし…明らかに酒飲みに来てるだけのオッサン居るし…示威というより単なる交流会ってとこか…)」
ワアアアァァァ
校長「彼女が騎兵科の主席です。準貴族の家柄で文武に秀で…と、まさに騎士の風格ですな」
エレン(騎士の風格ねぇ…)
校長「ささ、下に降りてじっくりご覧ください」
エレン「…あ~…出来れば先に荷物を置きたいなと…」
校長「これは失礼。部屋にご案内するのが先ですな」
校長「服なども用意してありますので落ち着いたら校長室にいらしてください」
テクテクテク
ディーター「」チラッチラッ
エレン「!」
ディーター「ハァ…」
エレン「騎兵科の大会を見たいのか?悪いな」
ディーター「…」
パウル「いえ、お気になさらず!!」
パウル「お前なあ…」ボソッ
ディーター「だって…」ボソボソ
エレン「…あー、見たいなら部屋の場所だけ教えてもらえば…」
ディーター「…別に見たくないですっ!!」
エレン「?」
パウル「バカ!お前口の聞き方に気を付けろっての!!」ガシッ
エレン「どーしたんだ?」
パウル「いやいやコイツ妬んでるんですよ騎兵科を。奴等ばっか訓練や演習してて砲兵科は地味だっつって」
ディーター「地味なんて言ってないよ!」
エレン「へーお前たちは砲兵科の生徒なのか」
パウル「ははっ、一応ですけどね…」
エレン「一応?」
エレン「どういうことだ?」
ディーター「その…昔、市民デモがあったとき誤って市民にブドウ弾での砲撃が行われる事件があってそれからずっと演習は中止になってるんです」
エレン「なるほど市民の反感か…」
ディーター「今は反感という程でもないんですが…元より戦争と無縁ですし火薬臭い訓練は自粛ムードで…」
ディーター「いくら座学で火器の操作法や弾道学の勉強をしても肝心の演習は一切…」
エレン「そうか…」
エレン(よくあることではあるけど…それじゃあ困るんだよな…)
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- 27 : 2013/12/23(月) 23:20:10 :
- ーーー
ー
エレン「ーーよしっと、これで着任手続きが終わりですね」
校長「ええ。正式な明日執り行います」
校長「今日はささやかながらお祝いの席を設けさせていただきたいと…」
エレン「祝いの席?」
校長「ええ」
エレン「…」
校長「何か?」
エレン「…いえ、出来れば別の形で祝いをしていただければと…」
校長「別の形…?」
エレン「そうです」
エレン「ごく普通の軍隊式の外交儀礼です」
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- 28 : 2013/12/26(木) 00:34:40 :
ー第二演習場ー
プパァパー←ラッパ
ザワザワ
ナンダ?
シンニンノキョウカンノシュウニンイワイダトカ…
ザワザワ
ディーター「なんか緊張してきた…」ドキドキ
パウル「い…いきなりかよ…」ドキドキ
エレン「おいおい今更浮き足だってんのか?」
エレン「せっかくお膳立てしてやったんだぞ?」
ディーター「は、はい!」
教官「事前に決めた通り8人一組で操作!各班とも砲主である副生徒監と三年兵の指示で進めろ!」
エレン「自分も生徒たちを見ても?」
校長「う…うむ…」
ザワザワ
シュクホウダッテサ
ハナビミタイナモンカ
アンナコドモニアツカエルノカ?
ザワザワ
エレン(祝砲と銘打てば祝い事だ)チラッ
エレン「よし、まずは観測射撃だ。落ち着いて行え」
エレン「標的の手前に落として飛距離と砲の癖をはかるんだ」
ディーター「えっと…最初の手順は装備の点検」
ディーター「ハイドスパイク、スポンジ棒、押し込み具、螺旋具…異常なし!」
ディーター「基部砲輪(カスカベル)の収納袋二つ…あれ…?」
パウル「ん?どうした?」
ディーター「無い!チョークと水準器が無い!」
モブ「…えっと…ど…どうしよう?」
パウル「あー…っと…砲を水平にするだけなら目視でなんとか…」
モブ「おーい!こっちの袋に二つ入ってるぞ!」
パウル「あ、それこっちのだ!」
ドタバタドタバタ
ワハハハ
オイオイダイジョウブカ?
ザワザワ
エレン「全部揃ったな、道具を取れ!」
パウル「…」スッ
エレン「まずは砲を水平にする」
ディーター「スクリュー…を…お、これか」
ディーター「よし!」ギュッ
エレン「砲撃位置から下げろ!」
モブ「よい…しょ!」ズズッ
エレン「装填開始!」
エレン「清掃!」
パウル「…」ゴシゴシ
エレン「押し込め!」
パウル「…」ススッ
パウル「…」ズイッ
エレン「砲撃位置!」
ディーター「…」ゴロッ
エレン「照準!」
ディーター「…」スッ
ディーター(もう少し右だな……ってときはこっちを叩く)カンカンッ
モブ「…しょ!」ズズッ
エレン「よし、この火薬火管を火口にセットして合図で一気に引け」スッ
カチャ…
ディーター「ゴクッ」グッ
エレン「撃てっ!」
ディーター「!」グイッ
ドオオォォンッッ!!!
ディーター「……………!!」パアアァァ
パウル「すげ…超動くな…」
ディーター「ハッ…あ…えと…着弾確認!」
エレン「いまの一連の動作を5分で行えるようになれば上出来だ」
ディーター「はい!」
エレン「よし、次は射角調整だ。今の着弾地点を目安に何メモリ分上げれば標的に当たるか算出する」
ディーター「えっと…二つ分ですか?」
エレン「よし、試してみろ」
エレン(………)チラッ←見物客を見る
エレン(誰もさほど気にしてないみたいだな)
エレン(祝砲とは本来、空砲を撃つものなんだが…)
エレン(こうして騙し騙し慣らしていくのがオレの仕事か)
エレン(悪いことでもしてる気分だな)
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- 33 : 2013/12/28(土) 15:29:13 :
ー士官学校校門前ー
門兵「お…落ち着いてください!危険ですから押さないでください!!」
民衆「落ち着いていられるか!」
民衆「いいから早く責任者を出せ!」
民衆「何だって急に砲撃訓練なんて始めたんだ!今まで静かにしてたかと思えば…」
民衆「また市民に砲口を向ける気かい!?」
門兵「えっと…その…」アセアセ
民衆「見ろ!オレは前に散弾で撃たれた足がいまだに痺れるんだ!おかげで仕事もクビになっちまったァ!!」
ー門の上ー
ヘルムート「何だ?これは…」
モブ「砲兵科の連中が何かやらかしたらしいぜ」ハハッ
ヘルムート「笑い事じゃないだろう…」
ヘルムート(…乗馬の見物客が結構残ってるな…)チラッ
ザワザワ
ナニガアッタンデショウ
ザワザワ
ヘルムート「あれじゃあ門兵の二年兵がいい晒し者だ。教官が戻られるまで私が出てくる」
ヘルムート「お前たちもあまり見物人を集めないでくれ」
モブ「わかってるって」
門兵「ええと…今日の砲撃は訓練ではなく教官着任の〈祝砲〉であると…」オロオロ
民衆「砲撃で祝いなんて不謹慎だろうが!」
門兵「い…今責任者を呼んでおりますので!」
門兵「えっと…その…」
ゴオオォォン
ザッ
ヘルムート「苦情をいただいた件については後ほど責任者から説明がなされます。お引き取りを」
民衆「ぐっ…なんだコイツ」
民衆「ガキじゃねーかよ」
民衆「あぁ?馬上でふんぞり返りながら追い返すってのか!?」
民衆「くそっ、偉そうに!」ブンッ
ヘルムート「…っ!!」ゴッ
ヘルムート「……っ…失礼しました」スタッ
民衆「おいおいスカしてんじゃねーぞ!」
民衆「あんたじゃ話にならないんだよっ!さっさと門をお開けよ!」
民衆「そうだ門を開けろ!」
民衆「誠意を見せろ!」
ザッ
エレン「これまたお客様が大勢お揃いのようで」
民衆「なんだいあの兄ちゃん?」
民衆「見かけない士官服だな…」
エレン(まさか学校に直接難癖つけに来るとはね…)
校長「よろしいのですか?」
エレン「事の発端は自分ですから。それにこの手の対応は日常茶飯事です」
エレン(…とは言え面倒なこったな)チラッ
エレン(ギャラリーが多すぎるんだよな…生徒も観客もみんな集まっちゃって…)
エレン(乗馬大会で人が集まってるのを見越しての苦情ってわけか?…新聞屋も居そうだしあまりつよい対応は出来ないか…)ウーン
エレン「!(あのケガ!これだ!!)」ニヤッ
エレン「大丈夫か君ッ!!」
エレン「ヒドいケガじゃないか!」
ヘルムート「へ?」
ズカズカズカ
エレン「なんてことだ騎兵科のエースの君がこんな目に…!」ガシッ
ヘルムート「いえ、大したことは…」
エレン「いやいや!出血が酷い!!」
ザワザワ
ホントダ,チガデテル
アノサイユウシュウトッタセイトサンガ?カワイソウニ…
ケガ?
ヨクミエナイナ…
ザワザワ
エレン「(いいか?お前が被害者になれば見物客は味方になる。せっかくいただいた『暴行』だ。派手に痛がれ)」ボソボソ
ヘルムート「(え…しかし…そうはいっても…)」ボソボソ
民衆「おい!何コソコソやってんだ!」
エレン「(チッ、いいから早くしろ!)」ガシッ
ヘルムート「ええと…い…痛たたたたた…っ!」ガクッ
エレン「これはいけない!だ…誰かっ医者の手配を!」グイグイ
民衆「な…何よいきなり!」
民衆「被害者ぶってんじゃねえよ!」
エレン「被害者ぶるなだと?」スッ
そして勢いよく、エレンが腰の刀を抜き、民衆を威嚇する。
エレン「生徒を守るためなら教師として相応の対処はさせてもらおう」
ザワザワ
ヘルムート(月鬼ノ組の士官服…教師…?なんだこの人…)
エレン「こっちは一般人に銃口向ける気はさらさらないんだ。そろそろお引き取り願いたいもんだな」ゴゴゴゴ
オオー!
イイゾニイサン!
セイトヲマモレ!
アノコガカワイソウヨ
モットイッテヤレ!
民衆「やだわ何なのよもう!」
民衆「くそっ…何なんだ!」
民衆「脅かしつけりゃいいと思ってやがる!」
民衆「おお恐い!」
民衆「なんて横暴なやつだ。こっちには女子供もいるってのに!」
エレン「…」スッ
エレン「皆様ご心配おかけして申し訳ない!」
ワアアアァァァ!
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- 34 : 2013/12/28(土) 15:31:15 :
校長「いやはや…ああも簡単に彼らを追い返すとは…」
エレン「あれだけ此方の怪我人をアピールしておけば彼等もこれ以上は騒げないでしょう」バサッ
エレン「…さてと」グッ
エレンが月鬼ノ組の士官服を脱ぎ、ヘルムートの馬に股がる。
エレン「少々でかけて参ります」
校長「ど…どこに…」
エレン「少し市街の見物を。生徒寮の門限時間ぐらいには帰ります」ダッ
ヘルムート「」ポカーン
校長「」ポカーン
ヘルムート「わ…私の馬!!」
ヘルムート「何なのあの人…っ!」ダッ
ヘルムート「あ、これ外出許可証です!」
校長「う…うむ…」
ヘルムート「学校の馬お借りします!」ダッ
ーーー
ー
子供「ねぇママー。あのお姉ちゃん血ぃ出てるよ?大丈夫かなぁ?」
母親「しー…」
ヘルムート(くっ…恥ずかしい…)
ヘルムート「…市街のなかに入ったところまでは追えたのに」
ヘルムート(そんなに遠くに行けるはずは…)キョロキョロ
ヘルムート「!、いた!」
ヘルムート「月鬼ノ組では馬泥棒も許されんですか?校長のお客人だとしても無礼が過ぎます!」
エレン「…」グイッ
ヘルムート「むぐっ!」
ヘルムート「んんー!!」
エレン「しっ!」
ヘルムート「プハァ」
エレン「あれを見ろ」クイックイッ
ヘルムート「?」
エレン「わからないのか?さっき門で難癖をつけてた連中だ」
エレン「どうやら奴等、抗議行動をするのに送迎の馬車なんてもんがあるらしいぜ」
エレン「一般市民による突発的な抗議行動にしては足並みが揃いすぎだったよな?」
エレン「ついでに顔ぶれも男15人女15人子供2人。富裕層から労働者層きれーに揃ってた」
エレン「…なぁ?お前が来てくれてちょうど良かった」
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- 37 : 2013/12/31(火) 18:12:49 :
ダダッダダッダダッダダッ
エレン「いいか?バレないように横道から迂回しながら追う!」
ヘルムート「わかってます!(なんで私が道案内を…)」
エレン「!!、横道に曲がったぞ!俺たちも下の道に降りるぞ!」
ヘルムート「わかってます!こっちです!」
エレン「うおっ!?これは無理だ!」
ヘルムート「なにいってるんですか?」ダッ
エレン「よっと…やるなぁさすがは「騎士の風格」とやらか」
ヘルムート「…何ですかソレ?」
エレン「おっと、着いたようだ」
ヘルムート「着いたって…ここ…」
エレン「まあ連中の溜まり場にはもってこいだな」
エレン「ま、定番っちゃあ定番だな…」
ヘルムート「定番って…ここビアホール…ですよね?」
エレン「まあな。俺たちも学生にはまだ縁のない場所だけどな、左巻きの連中の動きの発端は大抵こっからだ」
ヘルムート(俺たち…?)
エレン「おい見ろ。二階の連中だ」
客「今日、士官学校が砲撃訓練をはじめた!調査兵団の手先になってドンパチおっぱじめるってことだ!」
店員「あの学校が?そんな大袈裟な。ねぇ?」
客「いいや!わからんぞぉ~」
客「調査兵団から軍事顧問とやらが派遣されてきたらしいからな。戦争屋に育てられるんだろうよ」
客「っか~調査兵団の奴等が子供を教えるってのか!」
店員「本当に!!?いい子たちばかりなのに…」
エレン「あれ…?なんだ、お前たち随分と好かれてるんだな」
ヘルムート「調査兵団は酷い言われようですね」
エレン「まあ、あの程度の言われようなら規定の範囲内だ。南方でもこんなもんだしな」
エレン「さてと」
ヘルムート「二階の連中ですよね…行きますか?」
エレン「ああそうだな」
エレン「ぼちぼち帰るか」
ヘルムート「え…!!?」
エレン「いいか?今日は様子見だ」
エレン「連中は単なるゆすり目的ってなけでもなさそうだからな」
ヘルムート「捕まえてそれを問いただすのかと思ってました」
エレン「そもそも逮捕の権限もないのにどーしろってんだ?」
ヘルムート「しかし…」
エレン「覚悟もないのに無茶なこと考えんな。お前もどうせなら市民にちやほやされたいだろ?」
ヘルムート「ピクッ…どういう意味ですか?」
エレン「…ん?そのまんまの意味だって」
エレン「調査兵団(俺たち)みたいな嫌われものの戦争屋になりたかないだろ?っつー話だ」
エレン「乗馬大会だの砲撃訓練の中止だの、あの士官学校は市民に媚びるのに余念がない様子だし、お前の馬術だって市民にとっちゃ優男の持ち芸だ」
エレン「いっそ学校全体で市民の顔色窺っていくのもいいんじゃないか?」
ヘルムート「ムッ……っ!!…嫌われもの…?…その程度の覚悟くらい出来てます…市民の顔色を窺うつもりなんてありません!」
エレン「……それならなによりだ。教えがいがありそうだ」
ヘルムート「教え…がい…?」
エレン「ああ、自己紹介がまだだったか?」
エレン「調査兵団月鬼ノ組特務少佐エレン・イェーガー」
エレン「軍事顧問としてここに派遣され本日付で少佐に昇進、そして教官着任。お前たちを俺たちと同じ嫌われものの戦争屋にするのが仕事だ」
ヘルムート「……………!!!」
エレン「嫌われもの同士よろしくな、騎士の少女!」ニッ
ヘルムート「」ポカーン
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- 42 : 2014/01/03(金) 20:28:30 :
ー翌日ー
ユトピア区の王立士官学校では顧問就任式が執り行われていた。
エレン「オレ自身も道の途上にある者として、将来の担い手の士官候補諸君と学べることを光栄に思っている!」キリッ
エレン「今後の人類のより一層の協調と発展を願い!共に軍制改革の最前線で戦おうじゃないか!」グッ
ワアアァァ
エレン(ふぅ、こんだけ盛っときゃ十分だろ)
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- 43 : 2014/01/03(金) 20:45:40 :
ーーー
ー
1 撃鉄起こせ!
2 薬包用意!
3 火薬装填!
4 閉塞!
5 弾丸装填!!
6 カルカ用意!
7 突き着け!
8 カルカ戻せ!
9 構え!!!
エレン「…………」
教頭「9つの点呼で13 の動作。迅速に一斉射撃を行うための訓練です。」
エレン「…………………………なるほど」
エレン(……参ったなこりゃ……訓練内容がどうとかいう以前に……
何でこんな古臭いマスケット銃使ってんだ!!?
二十秒かけて一発発射。訓練射程25m、最大有効射程は100m程度か…か?
そしてあの命中率の低さ…!!
こっから想定する戦闘はアレか…?
………よーするに…
戦列歩兵による密集陣形での一斉射撃…!!
隣の奴が死んでもひたすら撃つ
逃げた奴は士官が後ろから撃つ
撃つ!
撃つ撃つ!
敵の陣形が崩れたら銃剣突撃!
ははは……
100年前の戦法……
無理だ……どうにもならん…)
ーーー
ー
ー回想ー
エレン「ーーと言うわけだ。お前らとは当分お別れだな」
アニ「そんな…エレンと離ればなれになるなんて…」
エレン「まあ、遠いけど一回遊びに来てくれよ」
ミカサ「勿論行く。しかし、あのヅラ野郎は削がなければならない」チャキ
エレン「やめろ」
アルミン「エルヴィン中将の言ってることは正しいよ。北方ではまだライフル銃すら導入してないって噂も聞くほど軍事的にひどく後進的だ」
ー
ーーー
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- 44 : 2014/01/03(金) 23:53:22 :
- カルカがカルラに見えたのは俺だけ?wwww
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- 45 : 2014/01/03(金) 23:57:05 :
- >>44マジかwww
カルカは、このマスケット銃って前装式(弾を銃口からいれる)なんで、よーするに押し込み棒のことです!
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- 46 : 2014/01/04(土) 10:39:38 :
- カルラ返せ言ってると思ったときビックリしたwww
>>45説明ありがとうございます!
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- 47 : 2014/01/04(土) 10:40:57 :
- ↑ミス
戻せでしたm(__)m
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- 51 : 2014/01/11(土) 22:09:21 :
- 基本的に活動休止しました。
気が向いたら…というより気分転換程度に描きます。
すみませんでした。
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- 59 : 2014/03/03(月) 01:14:34 :
- 期待してくださっているみなさんありがとうございます!
できるだけ早めに更新できるよう頑張りますので、長い目で見守ってください(>_<)
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- 62 : 2014/03/26(水) 12:45:25 :
- コーリッシュ様のこのssを読んで、終わりのセラフ(漫画)を買いましたー!すっごい面白いですね!
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- 67 : 2014/04/13(日) 21:37:51 :
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ー校長室ー
校長「武器の輸入?」
エレン「はい」
エレン「見たところ、訓練以前の問題として装備の差が大きすぎます」
エレン「調査兵団の標準装備はボルトアクション式の後装銃です。発射速度は5秒に1発。有効射程は400m」
エレン「この北方以外の地区も同レベルの銃を配備してると考えた方がいいかと…」
エレン「はっきり申しますと、今の状態で吸血鬼どもじゃなくても、人間相手でも数えきれないほどの死人が出るでしょう」
校長「なかなか手厳しいことを仰いますなぁ…」
エレン「事実ですから。制度以前の問題です。まずはライフル銃の導入。それから鬼呪装備の導入を進めていきましょう」バサッ
校長「こ、これは?」
エレン「ライフル銃、及び鬼呪装備の優位性を記しておきました。よければ目を通してください」
校長「…」
エレン「まあ、そう重く考えずに、鬼呪装備に至ってはつい最近出てきたものなので、まずは〈量産型〉から導入してみては?」
エレン「まあ、鬼呪装備は王政府から補償金が降りますが使う側の人間がまだいないようなので先送りにするとして…」
教頭「銃…ですか…?」
エレン「他の地域もあわてて輸入してるのが現状ですからそう重く考えず。これを機に我らが調査兵団の誇る造兵廠のボルトアクションライフルを導入できると思っていただければ安いものでしょう」
校長「……安…い…?」
校長・教頭「……」ウーン
教頭「……エレン殿は調査兵団のエリートとお伺いしておりますが…」
エレン「へ?」
教頭「行商の得意な『エリート商人』でしたかなぁ?」
エレン「なっ…!」
校長「な…なにを仰る、顧問殿に失礼で…」アセアセ
教頭「校長こそいつまで彼を賓客扱いする気ですか!」
エレン「…わ、わかりました……装備が無ければ無いなりで尽力しましょう」
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- 75 : 2014/04/27(日) 15:49:57 :
-
ーーーーー
ーーー
ー
ー射撃訓練場ー
エレン(━━とは言ってもなぁ…)
エレン(武器の性能差は戦い方そのものの差に繋がる)
エレン(命中率と発射速度を補うための密集陣形は、散開し個々の状況判断で戦える〈散兵〉の前には動きの遅い巨大な的だ)
エレン(前装銃でも訓練次第で命中率を底上げできるか?)
エレン(しかしなぁ…)
エレン(火打石(フリントロック)の振動で銃がブレル上に弾丸そのものもランダムスピンで安定しない…か…)
エレン(どうしたもんかね…)ハァ
「撃ち方止め!!」
エレン「ん?」
訓練場全体に響き渡る大声でエレンの思考は中断され、他の訓練兵と同じく声の主のほうへ注目する。
バッチぃぃん!!!!
嫌な音ともに一人の訓練兵の顔面がひどく腫れ上がる。
教官「どうしてお前はいつも号令に遅れる!?」
教官「お前のような愚図が全体の統率の乱れに繋がるんだ!」
エレン(うわ…久しぶりに見たな…鞭振り回すような奴…)
教官「さっさと立てこの豚が!」ゲシゲシ
「…………っ!」パァンッ!
マルセル「……撃つタイミング間違えました」
トマス「マルセル……」ズキズキ
教官「またお前か……なんのつもりだ?」
教官「下らない反抗心か」ガシッ
マルセル「…ぐっ!」
教官「それとも〈待て〉もできない駄犬なのか」グイッ
教官「躾けるにはどうすればいい?」
マルセル「……ギロッ」
教官「…チッ…押さえつけろ」
「「は!」」
エレン「…」
━━すると数人の教官たちによるマルセルへの体罰が始まる。
エレン(ああいう手合いがいるから上官をぶっ殺して逃げる兵隊が出るんだよ…)
エレン(部下の銃口が自分の背中に向く可能性を考えない馬鹿)
エレン(生徒が的を狙ったのは幸運なだけだったのに)チラッ
エレン「……?」
エレン(何だ…?あいつだけは妙な命中率の高さだ…)
バシィッ!ビシャッ!
エレン「まぁまぁ」
教官「あ?」
エレン「そのぐらいで勘弁してやったらどうですかね?教官殿」
エレン「本人も〈タイミングを間違えた〉だけだと言っている」
エレン「反抗心からじゃない……そうだよな?」
━━と言いながら、エレンがマルセルに手当てをする
教官「……」
エレン「それと、見たところコイツは群を抜いて射撃の腕が良い」
エレン「この技量は他の生徒の範にするべきですよ。号令で撃つだけの歩兵から脱却できるかもしれない」
教官「…それは生徒への同情か?」
教官「南方ではどうだか知らんが…オレは生徒を甘やかす気はない」
教官「歩兵は集団として機能すべきもの……つまり彼らは歯車であれば良い」
エレン「……」
エレン「なるほど、それでこんな銃を担いで歩いてぶっ放すだけの訓練してるってわけか」
エレン「鞭打ち程度に同情はしないけどな……」
エレン「無能な教官の古臭い調教受けてる子供が可哀想でなぁ」
エレン「生徒より教官と指導法を叩き直す必要がありそうだ」
ザワザワ
アレヤバクネ?
教頭「イェーガー顧問何の騒ぎで!?」
エレン「ああ、躾けの悪い教官に少々指導を」
校長・教官「「……!」」
教官「躾けの悪い教官……?」ゴゴゴゴゴ
教頭「何を仰るか顧問殿!この方が誰かご存知ないのですか!?」
エレン「紹介されてませんが?」
校長「当校の訓練長のアウグスト・ビンケルフェイトです」
エレン「?」
校長「えー…彼はその…つまり…」
教頭「つまり!!」
教頭「第二王子であらせられる!!」
エレン「…………………………」
エレン(お…王族…!?)
アウグスト「イェーガー顧問、教官と指導法を叩き直すと言ったな?」
アウグスト「楽しみにさせてもらおうか」
-
- 79 : 2014/05/09(金) 00:32:33 :
-
━━ 新しい戦術や戦法の提示と証明とは本来大変な難題だ
━━ いかに戦史に学び、理屈と数字で説いても、机上の空論と一蹴されるのが常
━━ 実際のところ、戦場という霧の中での有効性など完全に証明できるものでもない
━━ 一部のお偉方に至っては、人間同士を殺し合わせ
た結果を見ずには納得してくださらない
━━ これを承知の上で、精査を重ね、発表や進言の機会には慎重に行う必要がある
━━ そしてこの場合は…
━━ 最悪に近いパターンだ
アウグスト「顧問に問う」
アウグスト「よしんば一人の子供が秀いた技術を持っていたとして、この場の全員が努力でそれを習得できると?」
アウグスト「密集形態での射撃は兵の技量を問わず一定の効果を上げることのできる戦法だ」
アウグスト「軍隊は均質な組織であってこそ力を発揮する。違うか?」
エレン「あ~…仰る通りで…」
エレン「全員の能力を底上げし、全員が連携を取りつつ、独自判断で攻撃する」
エレン「組織的散開戦術がとれる歩兵部隊を作り上げる」
エレン「そしてその運用を前提とした新式の操典訓練の導入が必要である」
エレン「…………と殿下に申し上げているわけでして…」
アウグスト「…………なるほど」
アウグスト「月鬼ノ組からの顧問と聞いて少しは期待していたが…」
アウグスト「とんだ理想論者が来たものだな」
アウグストはわざとらしく頭を抱え、そのまま近くの兵に向けて合図を送る。
エレン「!!?」
合図を受けた兵がエレンを即座に拘束し、連行しようとする。
エレン「何だよいきなり!お…おい!」ジタバタ
アウグスト「お前にはその大言壮語の責任をとってもらうぞ」
マルセル「……!」
ーーー
ー
ドガッ!!
地下牢に連行されたエレンは、牢に着くなり突き飛ばされ、鍵をかけられた
エレン「な…!」
エレン「待て待て、顧問として訓練に意見すんのがオレの仕事だろうが!」
エレン「お気に召さないならうちの兵団本部に話通してから返品すんのが筋だろ!」
エレンが凄まじい形相で二人の兵を睨み付ける。
兵「殿下を怒らせたんだ、諦めることだな」
兵達はそれだけ言い残し、そそくさとその場から立ち去る
エレン(くそ、信じらんねえ…正式に派遣された使節を行きなり投獄なんて…これが閉鎖社会の王族のなせる技か!?)
エレン(…とは言っても、団長が掛け合えばすぐに釈放だろ…もしろ釈放後が心配だな、お役御免で兵団に帰れるんだろうか)
エルヴィン『使い物にならん場合は兵団に帰れんと思え』
エレン「はぁ…まいったな…」
ー所変わって校長室ー
教頭「いや~殿下!よくぞ言って下さいました!
」
教頭「私、胸のすく思いでした!」
教頭「あの男、どーにも勝手が過ぎるいいますか…初日から砲撃やら何やらもう大変で我々も手を焼いていたところでして…!」プルプル
教頭「きっとあの男もこれに懲りるはずです!」
アウグスト「……」スタスタ
校長「…で、明日には釈放してやってはいかがでしょうか?灸を据えるなら一晩では十分ではないかと…」オロオロ
アウグスト「これがあの男が置いていった書類か?」パラッ
校長「は…はい、調査兵式銃の性能と歩兵操典の抜粋とか…」
アウグスト「…ならばあの男にはこれの確証をしてもらおう」スッ
アウグスト「紙上で兵を談ずれども実際はどうか?」ニヤ
アウグスト「撃ち合わせれば一目瞭然だ」
バタンッ!!
校長「お考え直しください殿下!また非道と謗られますぞ…!」
アウグスト「安心しろ、配慮はする」
校長「で…殿下!…どうかお考え直しをーっ!」
アウグスト「直ちに準備を進めろ!」テキパキ
-
- 81 : 2014/05/17(土) 00:01:33 :
- ー翌日ー
エレン「グーグー」
エレンは寝心地の悪い牢のなかで、呑気にいびきをかきながら眠っていた…が、その安らかな睡眠はすぐに妨害された。
ベシッ
エレン「ンガッ」
エレンの顔面に何かが落ちる。
エレン「な…なんだぁ!?」ガバッ
???「差し入れだ」
???「着任早々にこの有り様とは驚いたが…」
???「元気そうで何よりだエレン少佐」
エレン「キース教官!」
エレン「助けに来て下さったんで…!?」
キース「…のつもりだったのだが、残念ながら力が及ばん」
キース「この学校は複雑でな」
キース「お前の件で連絡を受けてから手を回してみたのだが…」
キース「訓練兵団はもとより月鬼ノ組すらも干渉ができない」
キース「おそらくここは学校を隠れ蓑にした第二王子直轄の軍事的拠点なのだ」
エレン「………!」
キース「そもそも支援の取り決め時も月鬼ノ組の正式な顧問団の受け入れは拒否し、『士官一名のみ』を副官も伴わせずに派遣しろとの要求だった」
キース「妙な話だとは思っていたが…」
キース「それこそ調査兵団上層部の思惑としては顧問として正式に介入できるお前が」
キース「殿下を含めた学校全体との橋渡しになってくれれば理想だったのだが…」
エレン「……全くもって面目ありません」
キース「いや、いま言うことではなかったな、謝罪は不要だ」
キース「それより、殿下が君の腕を見たいそうでな、射撃実験の許可をこちらに求めているのだ」
エレン「射撃実験?」
キース「少々危険を伴うらしいのだが…」
キース「ご希望とあらば応えておきたい。ご機嫌とりも兼ねてな」
キース「お前にとっても名誉挽回のチャンスであると思うのだがどうだ?」
エレン「勿論やります。任せてください!」
ーその頃ー
所変わって、ユトピア区王立士官学校。
その寮で生徒達の間で、持ちきりの話題なのが先日の一件だ。
「聞いたか?射撃実験の話…」
「あの顧問が参加するらしいぜ」
「昨日の訓練で連れてかれた人だろ…?」
「それってやっぱり…公開処刑みたいなもんじゃないか…」
マルセル(俺を庇ったせいで…)
ー武器庫ー
パウル「おーい、野戦砲三門使えるように整備しとけってさ」
ディーター「やった!また訓練出来るの!?」
パウル「違うっての、明日学校の外に運ぶだけだよ」
パウル「てか、んなバカスカ撃てねえよ」
ーーーーー
ーーー
ー
-
- 83 : 2014/05/25(日) 23:24:46 :
- エレン「おいおいこりゃどうゆうこった…」
エレン「なんの見世物が始まるんだ?」
エレン「こんな隔離舞台用意したってことは猛獣狩りか何かでしょうか?」
エレン「野犬撃たせるとかやめてくださいよ。オレ犬好きなんです」
アウグスト「安心しろ犬の相手などさせん」
アウグスト「射撃の対象には人間を用意している」
エレン「は…?」
アウグスト「これからお前が行うのは囚人相手の対人戦だ」
アウグスト「〈号令で撃つだけ〉から脱却した歩兵の動きとやらを見せてみろ」
アウグスト「そこに貴様の私物と調査兵団式の装備品を一式用意した」
アウグスト「それを用いて前方の門から出てくる敵を見事仕留めて見せろ」
アウグスト「お前の位置から門までの距離はおよそ450m」
アウグスト「この調査兵団式銃の資料が正しければ戦闘を行うのに最適な距離だろう」
アウグスト「そこの五人はお前の味方だ。全員調査兵団式銃の扱いを把握させている。配下として使え」
アウグスト「敵も味方も全員囚人。勝った方は特赦で釈放し恩賞も出す取り決めで志願を募った」
アウグスト「いくら撃とうが死なせようが罪には問われん。存分にやりあえ」
エレン「…お言葉ですが殿下…」
エレン「このような催し事で戦闘方法の是非など測れるわけがありません!お考え直しください!」ゴゴゴ
エレン(囚人同士を殺し合わせて無罪放免だぁ!?)
エレン(時代錯誤バカの発想にしてもタチが悪すぎる!)
エレン(冗談じゃねーぞ…!)
エレン「軍人の力と技術は俗から隔てられたものであり、使う場所を明確に選ぶ必要がある。これが調査兵団の基本理念であります!」
エレン「違いますかキース教官!?」
キース「…」
アウグスト「…だそうだが調査兵は皆命令に対しああも私情を差し挟むのか?」
キース「まさか」
キース「あの男は少しばかり理想家なのです」
アウグスト「よくもそんな男を顧問として遣わしたものだな…」
アウグスト「まあいい、で、どうすればいい?」
キース「構いません。射撃実験を開始してください」
-
- 84 : 2014/05/25(日) 23:32:04 :
-
〈実験場〉
②
崖
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ 兵→ ┃
門 兵→ ① ┃崖
┃ 兵→ ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
崖
①…エレン達、②…アウグスト達、崖には生徒達
-
- 92 : 2014/06/16(月) 01:30:12 :
-
アウグスト「…」スッ
アウグストがラッパ手に合図を送る。そしてその合図でエレン達の目の前の扉が開き、兵が次々と列を成す。
アウグスト「50人で編成された小隊だ」
エレン「な…!」
「歩兵小隊二段横列に展開せよ!」
アウグスト「お前が軽んじた戦列歩兵…さて、どうする?」
エレン「…」
「お、おいあんた!」
「何ボサっと突っ立ってんだよ!!」
「俺達ゃお前の命令に従えって言われてんだよ!」
「何とかしてくれよ!」
エレン(450mの距離を執銃行進してくるとしたら…)ブツブツ
「あんた偉い軍人さんなんだろ!?」
「なぁ!?」
エレン「…」スッ
エレンは他の囚人兵の言うことを聞き流し、与えられた自分の装備の確認を始める。
エレン(手に馴染んだ新型調査兵団式銃…)
エレン(見晴らしのいい直線コースだが遮蔽物になるものはいくつかある)
「死にたくねぇよ…」
「こんなことなら大人しく牢の中に居りゃあよかった」
「何が特赦だあの糞王子…」
「安全地帯で高みの見物かよ…!!」
「この銃なら余裕で当たる距離だぜ…」ガチャ
「どうせ殺されるんなら一矢報いて…(ry…エレン「馬鹿な真似すんな」
「あぁ!?」
エレン「上の連中の銃口がどこを向くと思う?」
エレン「自棄になるな」
「うぅ…」
エレン「姿勢を低くして集合」
エレン「いいか?目視ではこっちの位置は掴まれてない」
エレン「銃が扱えるなら状況を好転させるために撃て」
エレン「今から俺の指示通りに動いてもらうぞ」
「目標前方敵兵距離400!」
「接敵前進用意!!」
エレン「散開!!」
「」バッ
「進めー!!」
-
- 93 : 2014/06/16(月) 01:31:35 :
-
「こんな散らばってていいのか?」
「あの兄さんの言うことを信じるしかあるまい…」
エレン『この程度の数の劣勢なら十分覆せる』
エレン『急いで俺の指示した場所に陣取れ』
エレン『3名はそこで俺の動作を真似ろ。残りの2名は50m地点で待機だ』
囚人兵たちはエレンに言われた通り、伏せって遮蔽物に身を潜ませる。
アウグスト「あれはなんだ?」
アウグスト「地を這う虫の如き無様さだ」
「おいおいのっけから這いつくばってらっしゃるぞ?www」
「みっともないwww」
「泥まみれじゃねーかwww」
「お前達~軽口は慎めwww」
「調査兵団の将校様がお手本を見せてくださってるんだぞwww」
教頭「こ…この状況は…」
校長「う…うむ…よろしくない空気ですな…」
校長「そもそも戦列歩兵は[殺す]のではなく[圧倒する]力で相手を無力化するもの…」
校長「派手な軍装。横列の威圧感。一斉射撃の発砲音。視覚と聴覚から攻撃が始まります…」
教頭「さらにはこの嘲笑と地に這う己の姿…」
教頭「彼らは今、威圧に蹂躙されているでしょうな…」
「うぅ…何だよあの大軍…」
エレン「あんまり見んな。雰囲気に飲まれるぞ」
エレン「あと寝具を銃身の下にあてがっとけ」
「な…なぁ…大丈夫なのか?」
「作戦は?!」
「もっと全員で連携とって走り回ったりするんじゃねえのか?!」
「岩影に隠れてりゃ多少は安全かもしんねぇけど…」
「こんなバラバラに寝転がってたらイザって時に逃げられねぇしよぉ!」
エレン「イザって時なんてない」41…42…
エレン「散開前に言ったはずだ」43…44…
エレン「この程度の数の劣勢は覆せる」45…
エレン「技術・時間・地形の3つの利でな」46…
エレン(…47…48…49…そろそろ圏内だな…)
エレン「まあ見てろ」
エレン(有効射程とはいえ、400mの標的は目視で捕らえて狙えるもんじゃない)
エレン(けど相手は真横に一列に並んで前進する戦列歩兵…)
エレン(マスケットと違って弾道の安定した調査兵団式銃なら…!)
カチッ
パァン!!
チュィンッ!!
「なっ…!!」
「…当て…た…だと…!?」
アウグスト「…」
「カハッ…」ドサッ
「………!?」
「ど…どっから撃って来やがった!?」
「す…すごい!!」
エレン「これが技術の利だ」
エレン「マズルジャンプさえ気を付ければ当てられる」
エレン「しかも奴等が接近すればする程、命中率は上がる」
エレン「どうだ解ったか?」
「あ…ああ!」
エレン「さぁ、先制攻撃だ」
*マズルジャンプ…発砲時、銃口が上に跳ね上がる現象。
-
- 98 : 2014/06/28(土) 18:56:02 :
-
エレン「そんでもって敵さんのお望みは撃ち合い…」
エレン「マスケットの射程地点まで素直に400mは行進してくるはずだ」
エレン「隊列を揃えた歩兵の行軍速度は急いでも毎分100m程度」
エレン「これが時間の利だ」
「前段膝射姿勢!撃ち方用意!!」
エレン(つまり攻撃開始まで240秒は時間があるってことだ)
エレン(その間に俺達4人全員が10秒に一発撃てればトータルで96発分の先攻チャンスがあるってわけだ)
「撃て!!」
パパパパパァンッ
ボスッガッガッ
エレン(ふう、そんで伏射姿勢をとることで遮蔽物の影で戦えるという地の利)
エレン(…最後は)
「やったか…!?」
「わからん…」
「次弾装填急げ!」
エレン(今だ!!)
チュィンッ !!
「カハッ…」
エレン(遮蔽物を利用した側面からの挟撃!!)
-
- 99 : 2014/06/28(土) 21:02:40 :
- チュィンッ!!
「うぁっ!がぁ!!」ブシュッ
「いでぇ…痛ぇよぉ…っ!!」ブルブル
「く…!」
エレン(いいぞ…喚き散らしてくれる〈痛がり〉はありがたい)
エレン(悦いぞ悦いぞ~もっと泣き叫べ!)
エレン(おっと、キャラ間違えた)
「ち…ちくしょうっ…何なんだよコレ!!」
「やってられるか!」
「コラ!!手が止まってるぞ!!次弾装填急げ!!」
ザワザワ
「こ…こら!隊列を崩すな!!」
エレン「恐怖の伝染で隊列が崩れたら立て直せない」
エレン「これが戦列歩兵の限界だ」
エレン「はー…見たかバカ王子」
「お兄さんちょこちょこ本音出すね」
エレン「おう?」
アウグスト「…」ヒュッ
ブォーッ
「う…撃ち方止め!」
「総員着剣!!」
「突撃準備をせよ!!」
エレン(と…突撃だぁ…!?)
エレン(いやいやそのはもう終いだろ!!?)
エレン「く…っ!」チラッ
エレン(銃身の高熱に加えて煤まみれの銃口…)
エレン(これ以上の連射は厳しい)
エレン「…っ着剣しろ!」ガチャッ
「りょ、了解」ガチャッ
エレン(したところで…)
エレン(あの人数に近接仕掛けられたら…)
エレン(くそっ…阿修羅丸持ってくりゃ良かったな…)
エレン(どうする?……考えろ!どうする!?)
パンッ!!
「グァ…」
「ふ…ふざけた命令出すんじゃねぇっ!!」
「正面から銃剣突撃とかなぁ!死ねって言ってるようなもんじゃねーかバカ指揮官!!」
「逃げるぞ!」
エレン「あっちゃあ~」
「?」
エレン(反乱勃発か…)
エレン(…なるほどこうなるわな…)
エレン(つーかまずいだろコレ…どーすんだよ)
「早く門開けろ!蝶番撃てば壊せんだろ!」
「はなから全員殺す気じゃねえか!」
「くそっ…何が特赦だ…あのクソったれ王子っ!」
バキッ!!
ギギギギギギ…
━━門を破壊した囚人兵たちを待っていたのはいつでも発射できるように用意した12ポンドの大砲だった
「な…」
━━そして銃を頭上に掲げ、降伏の意を示す
アウグスト「そもそも戦列歩兵の発祥は犯罪者らを逃がさず戦わせるため…だったな」
キース「えぇ…まぁ…」
アウグスト「これが寄せ集めの限界か…」
エレン「…」
アウグスト「歩兵小隊50人中15人を戦闘不能にし部隊を混乱せしめる…」
アウグスト「見事な手並みだエレン・イェーガー」
エレン「……お褒めに与り光栄です…」ハァ
-
- 100 : 2014/07/13(日) 18:03:59 :
- レス数が結構な数字になったので次のスレに続き書きま~す!
シリーズ機能で探してくださーい!←雑(笑)
-
- 101 : 2014/10/07(火) 20:42:33 :
- \(^o^)/wwwwwwwww
-
- 102 : 2014/12/04(木) 19:35:23 :
- 適当すぎるww
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
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エレン「俺達の進撃」進撃×終わりのセラフ シリーズ
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