この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
3.5 聖夜街
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- 1 : 2016/12/24(土) 20:21:19 :
- 聖夜であって性夜ではないです。イエス様にお祈りを捧げましょう。
あとちゃんと書きます。
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- 2 : 2016/12/24(土) 22:50:13 :
- 「…マッチ買ってくださぁーい…」
冷えた夜に響く少女の声。その声は寒さに震え、灯火も小さくなりかけていた。
事の発端は数時間前、彼女と彼女の父親が乗った馬車がこの街で止まった。
その時、馬車からは少女だけが降りたのだ。
「お父様…?」
「すまないイヴ…」
すまないでは済まされない。そんな事をわかりきっていた父の声は馬車と共に彼方へと消えていった。
残された身体とポーチ。ポーチの中には箱入りマッチがたくさん入っていた。
おそらく資金源、そんな事は動揺と理解不能で埋め尽くされた彼女には分かり用がなかった。
だが今はこうやってマッチを売っている。道行く人々に必死に声をかけ、資金にしようとしている…
声が聞こえたのだろうか、この街に伝わる、伝説の声が───
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- 3 : 2016/12/25(日) 23:45:41 :
- 「マッチ…」
資金源であろうマッチを灯して暖をとる。
次第に減ってゆく人波…あの声は聞こえない。
伝説で謡われる、サンタの声。聞こえた者には幸福が与えられると伝わる声…
あれは幻聴だったのだろうか…だとすれば私が今やっている事は無駄になってしまう…幻聴と認めたくはない…
そう、父親が去ってすぐに聞こえたあの声──
優しく包み込むような声で聞こえたあの言葉…
「バッグに入っているマッチを売りなさい、そうしないとお前さんは死んでしまう。」
声を思い出す内に火が消えてしまった…これ以上マッチを無駄にする事もできず、どうしようもなくなってしまった…
(嗚呼…私はここで死ぬのか…もっと裕福な家に産まれて、長生きしたかったな…)
どんどん眠くなる。寝たらマズイことはわかっているはずなのに、目が勝手に閉じてく
「すまないがマッチを1箱くれないか?」
その一言に眠気が一気に吹き飛ぶ。
「あ…はい…!!すぐに準備します!!!」
目の前にはタキシードにコートを羽織った男性が立っていた。
待ちわびていたその一言に歓喜の涙を流す。
「あっ…どうしたんだ??どこか悪いのか??」
男性は焦りながら伺ってくる。もちろんだがどこも悪くは無い
「あっ…いえ!!ちょっとした嬉し泣きです!!はいどうぞ!!マッチです!!」
ニコりと笑顔を浮かべながらマッチを渡す。人生で最も嬉しい瞬間を、今味わった気分だ。
「お代はいくらだい?」
「あ…銅貨2枚です!!」
すっかり売り物であることを忘れていた。
「…はい、お代ね?」
手渡されたのは銅貨1枚と金貨1枚…初めて見る金貨に動揺を隠せない。
「ありが…あの!?金貨なんて大層なもの…勿体ないですから…銅貨を…」
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- 4 : 2016/12/26(月) 00:02:17 :
- そう言うと男性はヤレヤレという感じで言った。
「こんな夜中まで働かされている少女を見捨てる事は僕にはできない。その金貨は今の僕にできる精一杯の応援だから、受け取ってくれ。」
言いながら金貨を握り締めさせるように私の手を閉じた。
「はい…すみません…」
「ははは、謝らなくたっていいんだよ、これは僕がやりたくてやっている事だからね?」
優しい人…今の私にはこんな表現しかできないくらい、優しくて…暖かくて…そして人に好かれそうな性格をしている人…
「もう一つ…」
そう言いつつ、自分のマフラーを私に巻いてきた…
「寒そうだったからね…僕からもう一つのプレゼント…」
「そんな…!!ダメです!!お客様の私物を頂くなんて…!!」
好意を踏みにじる、そんな事はわかっていたが私はそれを拒絶してしまった…
「…いいんだよ、君が頑張れれば、僕はそれだけで嬉しい。だから受け取って、ね?」
そう言い残してその男性は去っていった。最後には私の言葉に耳を傾けないような素早さで…──
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- 6 : 2016/12/26(月) 00:43:39 :
- 翌日、目が覚めた私はいつの間にか自宅のベッドの上にいた。
今までのは夢だったのだろうか…しかし無理矢理渡されたマフラーは壁のハンガーにかかっている
ドタバタと足音が聞こえ、父親が部屋に入ってくる。
「イヴ!!本当にすまなかった!!何も伝えずに置いていってしまって…」
意味がわからない、父親は私を捨てたのではなかったのか…
「…謝るぐらいなら…置いていった理由を教えて欲しいなぁ?」
父親を上目に見ながら尋ねる。
とりあえず碌でもない理由だったら1発ビンタをかましてやろう…
「…本当は話したくなかったのだが…」
父親が重い口を開く。
「あの街のサンタクロース伝説、それを見せてやろうと思ったんだ…サプライズで…」
…はぁ??あの街のサンタ伝説??見せる??ますますわけがわからなくなってくる…
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- 7 : 2016/12/26(月) 01:07:56 :
- 話を要訳するとこう、夜中にはサンタが空を舞うからそれを見せたかった…だ、しかしそれではあの量のマッチと置いていった理由が何もわからない…
「あの…バッグの中に入ってた大量のマッチは…??」
資金源とでも答えるのだろうか…正直聞くことは確認であって知らないのではない…
「マッチ…??私はそんな物入れた覚えはないぞ??」
「え!?でも現にこのバッグの中に…」
と言いバッグの中を確認するがそこには何も入っていなかった…いや、貰った金貨と銅貨以外何も入っていなかったが正しいか…
「…なんで…?私…マッチを売って銅貨と金貨を…」
泣きたくなる、今までのは夢だったとしたら、長い夢の中で得た喜びと努力は、全て無駄になってしまう…
「マッチ…ああ…なるほどな…」
父親が意味ありげに呟く…
「お前は、サンタに選ばれたんだよきっと…」
…え?どういう事なのだろう、サンタに…選ばれた??
「きっとそうなんだと思うぞ、昔にそんな話しを聞いたことがあるんだ。」
「"聖夜に子供1人で街へ出ると、タキシードにコートを羽織った男がやってきて子供を攫う、そしてその子はサンタとしてプレゼントを配り、翌日にはベッドで寝ていた"」
…私の状況とよく似ている…
「"そして、起きたらその子が最も欲しかったものが靴下に入っている。"」
確認してみなさい、という父親の言葉に操られるように靴下の中を覗いてみる
中には、私達家族が満面の笑で収まっている写真が入っていた。
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- 8 : 2016/12/26(月) 01:14:04 :
- 起きた時にはもう夕方だったのだろうか、いつの間にか辺りは暗く、ツリーの電飾がキラキラと輝いて見える
窓から外を眺めてみると、聖夜街ピースが幻想的な雰囲気を醸し出しながら輝いているのが見える。
ふと空に目をやると、トナカイが引いているソリに乗った赤い服を着た男性が見えた。
トナカイとソリは、キラキラと宙を、ピースの方へと走っていった
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- 9 : 2016/12/26(月) 01:18:11 :
- 私はサンタクロースであろうその人物に心で感謝をしつつ、夕食宅へ着く。
チキンとブッシュドノエルが置かれた食卓を囲む三人家族、幸せを噛み締めながら今を楽しもう。
大好きなお父さんと大好きなお母さん、二人がいて私の日常は完成する。
──お父さん、お母さん、メリークリスマス
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- 10 : 2016/12/26(月) 01:24:34 :
- 申し訳ありません、間に合いませんでした(HARAKIRI)内容もスッカスカになってしまいましたので、後日手直しさせていただきます(するとは言っていない)
それでは、イエス様の生誕祭も終わりましたので今年はあと年越しを待つのみ。亀更新にも程があると言いたいようなシリーズですが、頭を空っぽにして年末に読んでいただけると幸いです。コメントなどは規約上すぐに消させていただきますが、しっかり読んで二へ二へしてます。ですので適当にコメントしていってください。
皆様、残り1週間、良いお年を(?)
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