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ユミル「お前と踊る趣味はない」
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- 1 : 2016/12/08(木) 00:11:32 :
- ユミル「だから」ゲシッ
ベルトルト「痛っ」
ユミル「今すぐ」ゲシッ
ベルトルト「うっ」
ユミル「クリスタと代わってくれ」ゲシッ
ベルトルト「い、痛いって!1歩踏み出すごとに僕の足を踏まないでくれ!」
アニ「っはー…二人とも、ふざけすぎ」
ベルトルト「ぼ、僕も!?」
ユミル「へへん、良い気味だ」
ライナー「こら、ユミル。八つ当たりは良くねえぞー真面目に練習やれ」
ユミル「へっ!相手がクリスタだったら何時間でも踊ってやるよ」
ライナー「女子はただでさえ少ねえんだから、女子同士組めるわけねーだろ」
ユミル「じゃ無理だな」
ベルトルト「こ、このままじゃ当日恥かくことになっちゃうよ…」
アニ「あんたらの息の合わなさ、異常だもんね」
ユミル「辞退するしかねーなこりゃ」
ライナー「バカ。できるか」
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- 2 : 2016/12/08(木) 00:23:01 :
- ライナー「忘年会にゃお偉方達も来るんだぜ?女子は強制参加だ」
ユミル「性差別だ!」
アニ「確かにね」
ベルトルト「仕方ないよ…男だけで踊ってたら華がないもの」
ライナー「ダンスは一応お偉方達をもてなすメインイベントだからな」
ユミル「あー、だりい!偉いとか知らねーよ。長い話するためだけに来んなよな」
ベルトルト「主にこの訓練所を建てる為に資金援助してくれた人達なわけだから…」
アニ「もてなして良い気にさせてやんないと、後々うるさいんでしょ」
ユミル「要は地方のいけ好かない地主らだろ?ムカつくから演目ヒゲダンスにしよーぜ」
ライナー「訓練所潰されるぞ」
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- 3 : 2016/12/08(木) 00:34:21 :
- アニ「ほら、もう一回。構えて」
ユミル「マジだりいなあ、クソッ」スッ
ベルトルト「うう…」スッ
アニ「ベルトルト、腰が引けてる」
ベルトルト「は、はい」
ライナー「ユミル、足開きすぎだ。あと姿勢が悪い」
ユミル「へいへい」
ライナー「あと目付きも悪い」
ユミル「お互い様だ」
アニ「ライナー、茶化さない」
ライナー「うぃーす」
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- 4 : 2016/12/08(木) 00:36:22 :
- ベルトルト「構えただけでこれだもんな…うまくいく自信ないよ…」ボソボソ
ユミル「だよなあ。当日もどうせすっ転ぶかひっくり返るかのどちらかだ」
アニ「そうならない為に今、練習に励んでんるんだよ」
ユミル「ふーっ…(遠い目)」
ライナー「大丈夫だ、俺も初めは下手だった」
ベルトルト「ライナーって急に上達したよね。最初は僕とどっこいどっこいだったのに」
アニ「あんた達教えてると自然と上手くなるんだよ」
ライナー「何回お手本として踊ったことか…」ヤレヤレ
ベルトルト「耳が痛い」
ライナー「今じゃ食ったパンの枚数よりも、復習した数のが数え切れないぜ」
ベルトルト「なんかごめん…」
ユミル「は?そこは私達に感謝するとこだろ。おかげで上達したんだからよ」
ライナー「お前も上達しなきゃいけねーんだよバカ」
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- 5 : 2016/12/08(木) 00:54:00 :
- ユミル「やっぱりさあ、相手がベルトルさんだからダメなんだよ」
ベルトルト「えっ」
アニ「クリスタはもうエレンと組んでるけど?」
ユミル「知ってら。いつか殺す」
ライナー「間違ってもミカサの前でその言葉口にするなよ」
ベルトルト「僕…そんなに下手かな」
ユミル「なんつーか、水と油?ほら、エレンとジャンみてーに絶対合わない人種っているだろ?」
ユミル「私とベルトルさんはさ、絶望的に息が合わねえさだめなんだよ」
ライナー「うーん…」
アニ「否定できないね」
ユミル「だろお?」
ベルトルト「…じゃあアニ、僕と組む?」
アニ「嫌」
ベルトルト「」ガーン
ライナー「忘れたか。お前の身長と見栄えする女子はユミルしかいないんだぞ」
アニ「逆もまた然り」
ユミル「チッ…ベルトルさん縮んでくんねえかなあ」
ベルトルト「…君の期待には応えられそうもないや…ごめん」
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- 6 : 2016/12/08(木) 01:06:52 :
- ベルトルト「…僕、女の子になる」ガタッ
アニ「そんなにユミルと組みたくないわけ」
ユミル「骨でも折った方が踊らずに済むし手軽だぜ」
ベルトルト「それもそうか…」
ライナー「待て、早まるなベルトルト」
ライナー「まったく…男子は普通出たがるもんなんだけどな」
アニ「どうして?」
ユミル「そりゃお前!ダンスの練習にかこつけて、密室にペアを連れ込んだらその先は…」
ライナー「変なこと言うな、こら!俺の株が下がる!」グイッ
アニ「ライナーとペア組むの、やめようかな…」
ベルトルト「それがいい」
ライナー「お前らなあ…」
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- 7 : 2016/12/08(木) 01:20:21 :
- ベルトルト「というか、ライナーとアニは身長差で合わないんじゃないの?」
ライナー「それも最初だけだ」
アニ「元々ペア組むつもりなかったんだけどね。あんたの為に練習付き合ってたら、講師が出来るくらい上手くなってたのさ」
ライナー「今じゃ同期でトップだぜ」
ユミル「それに比べてベルトルさんと来たら…」
ベルトルト「えっ!」
アニ「正直ユミルのが下手な感じするけど」
ユミル「なんだと?」
ライナー「こいつはハナっからやる気ゼロなんだよ。それで失敗が続いて、ベルトルトがますます自信を無くすっつー負の連鎖が起きてる」
アニ「…早く断ち切らなきゃね」
ライナー「そうだな」ハァ
ベルトルト「あ、あはは…」
ユミル「おっ、先生方の腕の見せ所だな?」
ライナー「いいから真剣に取り組め」
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- 8 : 2016/12/08(木) 01:31:23 :
- アニ「じゃ、テンポとるから…頭から通すよ。せーの…1、2」
ベルトルト「3」グイッ
ユミル「ぐえっ」
アニ「…ストップ」
ユミル「バカ!私と逆の足を出すな!」
ベルトルト「ご、ごめん」
ライナー「いいやベルトルトは合ってるぞ。逆なのはお前だ、ユミル」
ユミル「へー」
ライナー「へー、っておい」
アニ「…もう一度やるよ。…1、2」
ベルトルト「さ、さん」グイッ
ユミル「ぐえっ」
ライナー「ユミル…あのなあ」
ユミル「今度は合わせたっつの!」
ライナー「なに?」
アニ「今のはベルトルトが逆」
ベルトルト「ごめん…」
ユミル「ったく…濡れ衣着せられたじゃねーか」
ライナー「普段の行いが悪いからな。仕方ねえわな」
ユミル「んだとおい」
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- 9 : 2016/12/08(木) 13:04:18 :
- ーーーーーー
ーーー
アニ「…今日はここで終わりにしよう」
ベルトルト「や、やった」
ユミル「やりい!」
アニ「喜ばない」
ライナー「おいおい、いいのか?まだ上達の兆しさえ見えてこねえぞ」
アニ「わからないの?ベルトルトのライフがもうゼロだってことに」
ベルトルト「うう…」ボロッ
ライナー「どうやったらダンスの練習で生傷がつくんだよ…」
ユミル「知りたいか?」
ライナー「いや、遠慮しとく」
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- 10 : 2016/12/08(木) 13:04:25 :
- アニ「本番まで1か月もないよ。もっと危機感持ちな」
アニ「まず…問題点として、ユミルの協力が足りない」
ユミル「へへ」
ライナー「得意げになってんじゃねーよ」
アニ「踊るたびにベルトルトのメンタルを削っていくテクニックには関心するけどね…」
アニ「ベルトルトは弱気になりすぎ」
ベルトルト「は、はい」
ライナー「振付はちゃんと頭に入ってんだから、自信持て」
ベルトルト「わかった…」
アニ「二人から何か聞きたいことは
ユミル「ない。早く帰って寝たい」
ライナー「この…」
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- 11 : 2016/12/08(木) 13:52:09 :
- ベルトルト「…」スッ
ライナー「神妙な顔で挙手してるそこのベルトルトくん、どうぞ」
ベルトルト「あの…質問ではないんだけど…この場を借りて言わせてほしい」
アニ「何?」
ベルトルト「ユミル、頼むから…」
ベルトルト「ステップを踏むついでと言わんばかりに、僕の足も踏まないでくれ…!」グッ
ユミル「身に覚えがねえなあ」
ライナー「嘘つけ。冒頭から踏んでたろうが」
アニ「…そういえばこの特訓が始まってから、ベルトルトの足に包帯が巻かれてない日を見たことない気がする」
ベルトルト「うん…最近はマイ包帯持ち歩いてるんだ…」スッ
ライナー「ベルトルトの不憫さに視界が歪んできたぜ」
ユミル「待て、勘違いすんなよ?私は踏みにいってんじゃない」
ライナー「じゃなんなんだ?」
ユミル「私が足をおろす場所に、ちょうどベルトルさんの足があるだけで…」
アニ「言い訳以外の何物でもないね」
ユミル「うるせっ。ベルトルさんの足、でけーし邪魔なんだよ!」
ベルトルト「うっ」
ライナー「まあそうかもしれんが」
ベルトルト「フォローしてよ!?」
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- 12 : 2016/12/08(木) 14:40:13 :
- ライナー「実際お前、でけーし…なあ?」
ベルトルト「僕の親友はもういない」フーッ…
ライナー「俺を殺すな」
ユミル「随分とあっけない友情で」ニヤ
アニ「豆腐よりもろいね」
ライナー「好き勝手言ってくれるじゃねえか」
ベルトルト「あの、優しさがとりえの君は一体どこへ行ったんだ…」
ライナー「どこにも行ってねえよ。しいて言うなら隣だ」
アニ「眠いから帰っていい?」
ベルトルト「そうだね、帰ろっか」
ライナー「おい」
ユミル「さっ、解散だ解散!とっとと寝るぞー」スタスタ
ライナー「ったく…じゃあまたな」
ベルトルト「おやすみ」
アニ「ん」スタスタ
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- 13 : 2016/12/08(木) 16:16:34 :
- 翌朝 、食堂
ベルトルト「やあ、ライナー…おはよう」
ライナー「おう、清々しい朝だな。こんなに気持ちのいい日は穏やかな気分になる」
ベルトルト「僕のこと置いてったくせによくそんな綺麗事が言えるね」
ライナー「叩いても殴っても起きねえんだぞ?諦めて何が悪い」
ベルトルト「それでか!今朝こんなに顔が腫れ上がってるのは!」
ライナー「不慮の事故だ」
ベルトルト「故意の事件だろ!?」
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- 14 : 2016/12/08(木) 16:27:55 :
- アニ「朝から元気だね」テクテク
ベルトルト「ア、アニ」
アニ「…ベルトルト、顔も成長期なの?」
ベルトルト「腫れ上がってるだけだよ…」
ユミル「おい、アニ。私の手を引いてどこを行く」
ベルトルト「ひっ!」ビクッ
ライナー「ベルトルトの顔が真っ白だ」
アニ「は?あいつは色黒だよ。眼科行きな」
ライナー「恐怖で白くなってんだよ言わせんな」
ベルトルト「な、なんでユミルが…」ブルブル
ライナー「すっかりトラウマだな…」
ユミル「…私とベルトルさんを会わせて何かしようってのか?」
ベルトルト「ままままさかあ…」
アニ「ご名答」
ユミル「やっべ今、生理と陣痛に襲われてるから今日の訓練無理そうだわパス」
ベルトルト「その痛み、矛盾してない…?」
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- 15 : 2016/12/08(木) 16:59:36 :
- アニ「詳しく聞いてから判断してよ。いい?」
ユミル「無理」
アニ「あんた達の課題は、全く息が合ってないこと」
ユミル「聞く耳持たずとはこのこと」
ベルトルト「うまい」パチパチ
ライナー「ちゃんと聞け」ポカッ
ベルトルト「ぼ、僕だけ殴る!?」ヒリヒリ
ユミル「やーい」
ライナー「安心しろ、俺は公平な人間だ」ポカッ
ユミル「こんちくしょう」ヒリヒリ
アニ「…で、ダンスっていうのは二人の息が合ってないといけない」
ライナー「そこでベルトルトとユミルにはしばらく行動を共にしてもらって、お互いの距離を近づけるっつう作戦だな?」
アニ「ライナー、アニポイント10贈呈」
ライナー「やったぜ」
ベルトルト「何それ…?」
ライナー「よくわかんねえけどなんか貰った」
アニ「私の基準で良い回答をした人に贈るポイントだよ」
ベルトルト「そのポイント何に使えるの?」
アニ「考え中」
ユミル「換金システム付けてくれよ」
アニ「嫌だね」
ユミル「チッ」
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- 16 : 2016/12/08(木) 17:09:27 :
- アニ「じゃ、そういうわけだから」ガタッ
ライナー「お二人でごゆっくり」ガタッ
ベルトルト「え、ちょっ…」
ユミル「はー…やれやれ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「…二人きり…だね」
ユミル「フラグ建てる気かお前」バキッ
ベルトルト「? 何の音?」
ユミル「折れた音だ」
ユミル「ったく、意味深な発言やめろよ…周りは飯食ってる同期であふれてるじゃねーか」
サシャ「キャッキャッ」
ミーナ「ウフフ」
コニー「ウキーウキー」
ユミル「今猿がいたな」
ベルトルト「ご、ごめん。でもこの机には僕達しかいないし…」
ベルトルト「ライナー以外と二人きりになることってなかなか無いからさ…しかも、女子と…」
ユミル「ほう、私を女扱いするか」
ベルトルト「ううんやっぱり男かも」
ユミル「てめえ」
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- 17 : 2016/12/09(金) 17:32:16 :
- ユミル「はあ、やってらんねえな。しばらくしたら別行動にしようぜ」
ベルトルト「え、いいの?」
ユミル「いんだよ、私はクリスタ成分を摂取したくてたまんないんだ…あー早くクリスタを嗅ぎたい」
ベルトルト「(成分摂取の方法が、嗅ぐ…?)」
ユミル「どうせダンスが踊れなくたって、代わりはいくらでもいるだろうし」
ベルトルト「…あっ」
ユミル「ん?」
ベルトルト「な、なんか教官と目があった」
ユミル「なに?教官?…なんで食堂に」
ベルトルト「こっちに来る…!」
ユミル「あっ私、用事思い出したから行くわ!」ガタッ
ベルトルト「ええ!?」
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- 18 : 2016/12/09(金) 17:55:23 :
- 教官「やあ、フーバー訓練兵。…ん、ペアはどうした?さっきまでいたろう」
ベルトルト「ペア…?(ユミルのことか?)」
ベルトルト「ええと…トイレに…」シドロモドロ
教官「食事中に席を立つとはいただけないな…まあいい。君達には期待している」
ベルトルト「はっ!」
ベルトルト「(…は?)」
教官「長身のペアはただでさえ目立つし、映えるからな。皆、ダンス楽しみにしているぞ」ニッコリ
ベルトルト「(ええ…)」
教官「君の友人であるブラウン訓練兵は噂になるほど素晴らしいと聞く…」
ベルトルト「はあ…」
教官「君も、ぶっちゃけめっちゃ上手いんだろう?」
ベルトルト「えっ?いや…その…」
教官「な?」
ベルトルト「…」
教官「…もし、私達に恥をかかせるような事があれば成績に影響がでるかもしれ
ベルトルト「はっ!めっちゃ上手いですやばいです!!巨人さえ魅了する自信があります!!」
教官「おお、さすがさすが」
ベルトルト「毎日12時間練習してます!!」
教官「それ訓練サボってるよな?」
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- 19 : 2016/12/09(金) 18:38:38 :
- ベルトルト「間違えました2時間の間違いです!!」
教官「そうか…じゃ、楽しみにしてるぞ」d( ^ω゚ )バッチリ!!
ベルトルト「はっ!!」
ベルトルト「…」
ユミル「やれやれ…行ったか」ヒョコ
ベルトルト「…ユミル。君は…憲兵団に入りたいか…?」
ユミル「え?別に?」
ベルトルト「僕は入りたい」
ユミル「そうかがんばれ」
ベルトルト「ダンス…ガチろうね」
ユミル「いや何でそうなる」
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- 20 : 2016/12/09(金) 20:32:09 :
- ユミル「私はガチりたくない。どちらかと言えば適当にやりすごして当日は仮病で休みたい」
ベルトルト「そんなの僕が許さない」
ユミル「お前…本当にベルトルトか…?」
ベルトルト「僕には使命があるんだ…」
ユミル「教官に何吹き込まれたんだ。正気に戻れ」
ベルトルト「早く心を通わせられるようになろうね」グッ
ユミル「えっ何、気持ちわりいんだけどマジで」
ライナー「二人だけにしたらどうなるかと思ったが」
アニ「案外どうにかなりそうだね」
ライナー「だな」
アニ「あとは、私達が世話焼くのだるくなって投げやりに指示した…っていう真相がバレないようにしないと」
ライナー「シッ、聞こえるぞ」
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- 21 : 2016/12/09(金) 20:41:46 :
- 対人格闘訓練
ユミル「クリスター!やろうぜー」
クリスタ「あ、ユミル!聞いたよ、ダンスのためにベルトルトと心を通わせられるまで一緒に行動するんでしょ?がんばってね!」スタスタ
ユミル「…」
ユミル「サシャ、私と組むか」
サシャ「…」ジッ
サシャ「…ある方からパァンをいただいたので…すみません」サッ
ユミル「…」
ユミル「(なんだ…この仕組まれたシチュエーションは…)」
ユミル「(どいつだ、どいつが私を嵌めやがった)」キョロキョロ
ライナー「ほら、相手がお待ちかねだぞ」
ベルトルト「うん…や、やあユミル」
ユミル「!」
ユミル「(てめえか…ライナー…!!)」ギリリッ
ベルトルト「む、無理無理無理無理!!やっぱりユミルとはできないよ!代わって!!」
ライナー「俺も嫌だ」
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- 22 : 2016/12/09(金) 20:54:58 :
- ライナー「怖い顔すんなよ、ユミル。組む相手なら用意してやったぜ」
ユミル「根回しがいいなあ、恐れ入ったよ…ついでにぶっ飛ばしてもいいか?」
ライナー「ユミルがならず者だとよ。がんばれよベルトルト」
ベルトルト「あの状態のユミルを相手しろと?バカか君は?」
ライナー「実戦に近い雰囲気を味あわせてやろうという俺の配慮だ。喜べ」
ベルトルト「君の辞書には「配慮」が「嫌がらせ」という意味で載ってるんだね」
ユミル「隙あり!!」シュッ
ベルトルト「っ、うわー!?」バッ
ベルトルト「え…?ユミル、君はどこを狙って…」
ユミル「股間」
ベルトルト「僕を女にしたいのか!?」
ユミル「弱点がぶらさがってんだ、そこ以外狙うとこねえだろ」ギラリ
ベルトルト「ひっ…や、やめ…」
ライナー「じゃあなーがんばれよー」スタスタ
ベルトルト「ちくしょう!一生恨むからなこの裏切り者!!」
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- 23 : 2016/12/09(金) 21:07:50 :
- ーーーーーーー
ーーーー
ベルトルト「(なんとか僕の僕を守り切った…)」グッタリ
ユミル「おい、次は座学だ。教室行くぞ」
ベルトルト「…君ひとりで行って」
ユミル「はあ?サボんのか?」
ベルトルト「後で行くから。今はただ…君の近くに居たくないんだ」
ユミル「最初に近づいてきたのはお前のくせに…訳わかんねー」ヘッ
ベルトルト「危うく女の子にされるとこだったんだぞ?パーソナルスペースどころか視界にも入れたくないよぶっちゃけ」
ユミル「危ない関係とも取れる発言だな」
ベルトルト「とにかく、座学だけでも…僕から離れた席にいてくれ。身の危険を感じて仕方がない」
ユミル「そりゃ困る。私、今日の小テスト勉強してねーんだ。否が応でも隣の席に座ってもらうぜ」グイッ
ベルトルト「あああ…」ズルズル
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- 24 : 2016/12/10(土) 00:37:23 :
-
サシャ「今日のテスト、難しかったですね…」
コニー「俺…名前の欄以外埋まんなかったわ」
サシャ「私もです」
ユミル「(ふー…合ってるかどうかは分からんが、ひとまず全部埋めることはできたな。コイツらと違って)」
ベルトルト「ユミル…カンニングするならもっと上手くやってくれよ。僕の回答用紙を覗きこみすぎだ」
ユミル「ベルトルトさんの字、ちっせーんだもん。ま、助かったぜ。ユミルポイントやる」
ベルトルト「…何それ」
ユミル「アニの真似だ」
ベルトルト「ちなみにそれは何に使えるの」
ユミル「そうだな…100貯まったら、何でもしてやる」
ベルトルト「えっ本当に?」
ユミル「ちなみに現在ベルトルトの所持ポイントは0.1」
ベルトルト「貯めさせる気ゼロじゃないか」
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- 25 : 2016/12/10(土) 13:03:29 :
- ーーーーーー
ーーー
ベルトルト「なんだかんだで夕食の時間」
ユミル「早い」
ベルトルト「…クリスタにはまだ避けられてるの?」
ユミル「ああ。ライナー殺す」ボソッ
ベルトルト「君、そんな低い声も出るんだね。びっくりだ」
ユミル「おっと殺意が声に…ゲフンゲフン」
ベルトルト「ともかく青筋立てて殺害予告しないでくれ。本当にやりそうで怖い」
ユミル「知ってるか?私の座右の銘が有言実行だっていうことを」
ベルトルト「ライナー逃げて!」
ユミル「さて、席を移ろうかね…」
ベルトルト「だ、だめだ」ガシッ
ユミル「は?」
ベルトルト「ライナーは、僕の…僕の大切な…親友?なんだ…!」
ユミル「大事な台詞に疑問符入れるなよ」
ベルトルト「ごめん、最近嫌がらせが多いから自信無くなってきてて」
ユミル「たとえば?」
ベルトルト「ユミルを押し付けるとか…ユミルとか…ユミルユミル」
ユミル「私以外ねえじゃねえかふざけんな」
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- 26 : 2016/12/10(土) 14:07:27 :
- ベルトルト「まあそんなこと言わずに夕食食べようよ。時間が無くなる」
ユミル「私はクリスタと飯が食いたい」
ベルトルト「僕をクリスタだと思って」
ユミル「ごぼうをケーキと思えと?」
ベルトルト「クリスタをごぼう呼ばわりなんて、ひどいよ」
ユミル「思い上がるな。どう考えてもごぼうはお前だ」
ベルトルト「僕…ごぼう好きじゃないんだよ」
ユミル「へえ」
ベルトルト「ケーキなら好き」
ユミル「わりとどうでもいいな」
ベルトルト「悲しい」
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- 27 : 2016/12/10(土) 14:20:44 :
- ライナー「お、仲良さそうに飯食ってるな。関心関心」
ベルトルト「!? ライナー、逃げろ!」ガシッ
ユミル「ちょっ、オイ!」
ライナー「ああ?」
ベルトルト「僕が押さえてるうちに…早く!」ギギギ
ユミル「は、な、せ、よ…こんちくしょう…!」グググ
ライナー「…(なんだこの状況は…二人の様子を見に来てみたら、目の前で突然熱い抱擁を交わしだしたぞ)」
アニ「(ライナーへの当てつけじゃない?)」
ライナー「(コイツ、直接脳内に!…ってマジか)」
アニ「(リア充って周りにアピールしないと死ぬ生き物だからさ…無視した方がいいよ)」
ライナー「(こっわ。そうする)」スタスタ
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- 28 : 2016/12/10(土) 14:26:59 :
- ベルトルト「あれ…無言でいなくなった…」
ユミル「…ベルトルさん」
ベルトルト「よかった、彼の命は守られたんだ」フウ
ユミル「ベルトルさん」
ベルトルト「まったく、余計なことに体力を使わせないでくれ。君の言動は思慮に欠けるよ」
ユミル「これを見ても、そう言えるか」
ベルトルト「え?」
ユミル「思慮分別に欠けるのはお前の方だと思うぜ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「…ごめん、僕の視界には君の後頭部しか映ってない…」
ユミル「じゃあ感じろ!」
ベルトルト「な、なにを!?」
ユミル「その両手に触れてる、いかがわしい質量をだ!」
ベルトルト「いかがわしい…?なんのことだ」フニ
ベルトルト「…」
ベルトルト「フニ?」
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- 29 : 2016/12/10(土) 14:31:44 :
- ベルトルト「僕は手を動かしただけなんだけど…何かやわらかいものに触れた気がする」
ユミル「正解だベルトルさん。ゴールまであとちょっとだ、そのまま走り抜けろ」
ベルトルト「もしかして…僕は…」
コニー「あーっ!!ベルトルトがユミルを後ろから抱えながら難しい顔で胸揉んでる!!!」
ベルトルト「!?」
ユミル「惜しかったな。じゃ、歯食いしばれ」
ベルトルト「えっ、ちょっと待っ
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- 30 : 2016/12/10(土) 14:44:04 :
- ベルトルト「…」パチ
ベルトルト「(体が重い…頭がズキズキする…)」
ベルトルト「ということは、僕はまだ生きてるみたいだ」
ベルトルト「目の前に見えるのは白い天井…このありがちな流れによると、ここは現世の訓練所医務室だな」
ユミル「よう、覚めたか」
ベルトルト「いや違うな、僕は地獄に堕ちたみたいだ」
ユミル「私が隣にいるのを確認してからここが地獄と察するか。いい度胸してんじゃねーか」
ベルトルト「ユミルって地獄で鬼やってそうだよね」
ユミル「金棒持ってどついたろか」
ベルトルト「やめて死んじゃう」
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- 31 : 2016/12/10(土) 16:27:14 :
- ベルトルト「つまり僕は君に殴られてここへ搬送されたってことで合ってる?」
ユミル「合ってる」
ベルトルト「だと思った」
ユミル「あそこで私が殴ってなきゃ、お前はあの場の女子全員にリンチされるとこだったぞ」
ベルトルト「なんで助けてやった風に恩着せがましく言ってるんだ。僕に暴力ふるっただけじゃないか」
ユミル「リンチされたかったのか?」
ベルトルト「ここの女子がそんな好戦的だなんて、僕は信じないぞ」
ユミル「いいやベルトルさんが犯した罪は、クリスタも助走をつけて殴ってくるレベルの大罪だぜ」
ベルトルト「危険人物を取り押さえただけなのに…」
ユミル「私は善良な一市民だ」
ベルトルト「堂々と嘘つかないでくれ」
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- 32 : 2016/12/10(土) 16:33:34 :
- ベルトルト「でも、その…不慮の事故を起こしてしまったことは謝るよ。ごめん」
ユミル「現在ベルトルトの所持ポイント、マイナス100」
ベルトルト「…マイナスにふっきると何かある?」
ユミル「マイナス100まで貯まったら、私の頼みをひとつ聞いてもらう」
ベルトルト「理不尽」
ユミル「この世界は残酷なんだ」
ベルトルト「うーん…僕が悪いことには変わりないし、いいよ。できる限りのことはする」
ユミル「金くれ」
ベルトルト「やっぱり無かったことに」
ユミル「卑怯な」
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- 33 : 2016/12/10(土) 16:39:14 :
- ユミル「じゃあいいわ、胸もませろ」
ベルトルト「えっ!」
ユミル「やられっぱなしは気に食わねえ。これであいこにしようぜ」
ベルトルト「…それは…ちょっと…」
ユミル「いいから胸出せ、胸!」
ベルトルト「誰かこのケダモノを追っ払ってくれ」
ユミル「おらあ!!」ガバッ
ベルトルト「うわー!?なっ、なんで服をめくる必要が!?」
ガラッ
ライナー「見舞いに来たぜ。調子はどうだ」
ベルトルト「」ピタッ
ユミル「」ピタッ
ライナー「…」
ベルトルト「…」
ユミル「…」モミモミ
ベルトルト「ちょっ、無言で揉むのよせって」
ライナー「おう、元気そうだな」ガララッ、ピシャッ…スタスタ
ベルトルト「ラ、ライナー!!」
ユミル「ざまあみろ」モミモミ
ベルトルト「揉むのよせよ!!」
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- 34 : 2016/12/10(土) 16:43:18 :
- アニ「え、中に入んないの」
ライナー「入るまでもない。あいつらは元気だ」
アニ「そう?」
ライナー「それより俺と談話室でトランプしに行こうぜ」
アニ「やだ。負けると煽ってくるから」
ライナー「いいからいいから」グイグイ
アニ「背中押さないでよ」ズズズ
ベルトルト「うう…一生の恥だ…もうお婿にいけない…」
ユミル「うーん感触はイマイチ」
ベルトルト「うるさいな!男の胸なんて触ってもいいもんじゃないんだ!」
ユミル「私のはどうだ」
ベルトルト「やわくて思いの外良かった」
ユミル「よしよし右の頬をぶってやろう」
ベルトルト「そこ、さっきも殴られたとこだからやめて!」
-
- 35 : 2016/12/10(土) 17:39:29 :
- ベルトルト「君との距離を縮めなきゃいけないのに、むしろ溝が広がっていくばかりだよ…」
ユミル「私は天邪鬼なのさ」
ベルトルト「ユミル嫌い。ユミルと関わりたくない。距離置きたい」
ユミル「お前の意図は読めてる」
ベルトルト「くそっ…!」
ユミル「さあて、私はそろそろお暇しようかね」
ベルトルト「待って」
ユミル「あん?」
ベルトルト「こうして2人っきりになったのも何かの縁だ。そこで聞いてほしいことがある」
ユミル「悪いなベルトルさん。お前の想いには応えられそうもない…私はクリスタ一筋なんでな」
ベルトルト「早とちりしすぎ」
-
- 36 : 2016/12/11(日) 19:55:32 :
- ユミル「あ?密室、二人っきりと来たら、あとはもう告白だろ?無理無理」
ベルトルト「偏見やめてよ。僕も無理」
ユミル「それはそれでムカつく」
ベルトルト「ええ…」
ベルトルト「あの、それで一つ提案があるんだけど」
ユミル「なんだ。手短に言え」
ベルトルト「心を通わせられるように僕とゲームしよう」
ユミル「うん、やだ。じゃあな」ガタッ
ベルトルト「手短にあしらわないで!待って!」
-
- 37 : 2016/12/11(日) 20:02:06 :
- ユミル「何が悲しくてお前とゲームなんか…それなら部屋に戻って寝た方が有意義だぜ」
ベルトルト「い、色々用意したから」
ユミル「へえ?まったく魅力に思わねえな」
ベルトルト「お、お金あげるから」
ユミル「やる」
ベルトルト「君って本当現金だな」
ユミル「金だけに、ってか?」
ベルトルト「ここなんか寒くない?」
ユミル「私のギャグが寒かったとは言わせねえぞ」
ベルトルト「あっすごい寒い、やばい」
ユミル「貴様のつむじを押してやろう」
ベルトルト「それ三日間下痢になるツボじゃん!やめて!」
-
- 38 : 2016/12/11(日) 22:45:18 :
- ユミル「で、ゲームってなんだ。さっさと終わらせて金よこせ」
ベルトルト「金目当てなのが露骨すぎる」
ユミル「うーん眠くなってきたな、部屋戻るか」ガタッ
ベルトルト「今すぐ始めるから待ってくれ、お願い」ガシッ
ユミル「仕方ねえな。じゃルール言え」
ベルトルト「えっと…今から僕の事に関するクイズを出します。当ててね」
ユミル「パス」
ベルトルト「だめ。パスなし」
ユミル「チッ」
ユミル「お前のことなんも知らねーし、興味ねーし…正解できる気がしねえんだけど」
ベルトルト「間違ってもいいんだ。お互いの理解を深めることが重要なんだから」
ベルトルト「じゃ、いくよ。…僕は普段何をしてるでしょう」
ユミル「いきなり難問すぎやしないか?」
ベルトルト「他に比べたらまだ易しいレベルだよ、がんばって」
ユミル「ありがとな、その情報聞きたくなかったぜ。最悪」
-
- 39 : 2016/12/11(日) 23:00:32 :
- ベルトルト「それでは回答どうぞ」
ユミル「呼吸」
ベルトルト「…正解」
ユミル「なんだよその不服そうな顔は」
ベルトルト「用意していた答えと、君の答えが違ったんだ…」
ユミル「なに?」
ベルトルト「本当は”訓練"って答えなんだけど…」
ユミル「問題ガバガバすぎんだろ。バカじゃねーの」
ベルトルト「じゃ次は君が出題者ね」
ユミル「私もやんなきゃいけねえのかよ…」
ベルトルト「さあ来い」
ユミル「(…急に問題出せっつわれてもな)」
ユミル「んー、私が好きな同期
ベルトルト「はい!クリスタ!」
ユミル「…」
ベルトルト「どう?どう?合ってた?今のは自信あるんだけど」
ユミル「(あ、簡単に当てられるのも癪に障るわ)」
-
- 40 : 2016/12/11(日) 23:07:44 :
- ユミル「アホ。最後まで聞けよ」
ベルトルト「え…ま、まさかこれ、引っかけ問題ってやつ?」
ユミル「その通りだ(まあそういう事にしよう)」
ベルトルト「ごめん…じゃもう一回お願い」
ユミル「えー、コホン……私が好きな同期…」
ユミル「(「の、女子」…だと…またクリスタと当てられちまうだろうから、ここは)」
ユミル「私が好きな同期…の、男子を答えよ」
ベルトルト「クリスt…えっ?男子?」
ユミル「ちなみに教えてやるが、クリスタは男子じゃないぜ」ニヤ
ベルトルト「そ、そんな…男子だって…?」ウーン
ユミル「(フッ…野郎、頭抱えてるぜ)」ケケッ
-
- 41 : 2016/12/11(日) 23:21:23 :
- ユミル「だらだら続けるのも嫌だからな。3秒数え切る前に正解を答えられなきゃ、お前の負けとする」
ベルトルト「なっ…」
ユミル「いーち、にーい」
ベルトルト「待ってよ!カウントダウンが早すぎるだろ!」
ユミル「さー
ベルトルト「えっと、僕!!」
ユミル「は?」
ベルトルト「……あ、その…」
ベルトルト「あまりにも思いつかな過ぎて…そういえば僕も同期の男子にカテゴライズされてるな、と…」
ユミル「自意識過剰もほどほどにしとけ、バカ」
ベルトルト「好きで言ったんじゃないよ…」カアア
ユミル「くくっ…弱腰のお前が実はナルシストだなんてな…」
ベルトルト「そ、それはもういいから。正解は誰なんだ」
ユミル「ああ?」
ベルトルト「同期の男子で好きな奴がいるんだろ?」
ユミル「そんなこと言ったっけな」
ベルトルト「身に覚えが無いとは言わせない」
ユミル「身に覚えが
ベルトルト「言わせない」
ユミル「…」
-
- 42 : 2016/12/11(日) 23:42:16 :
- ユミル「まーまー、いいじゃねえかそこらへんは」
ベルトルト「これだけ引っぱっておいてそれはナシだよ」
ユミル「嫌にしつこいな、お前」
ベルトルト「僕も個人的に興味があるんだ。男嫌いの君に、好意を持てる男子がいたなんてね」
ユミル「何の得にもならない話に時間裂くのやめようぜ」
ベルトルト「得ならあるよ。僕の好奇心が満たされるし、君を知るきっかけにもなる」
ユミル「ベルトルさんしか得しねえじゃねーか」
ベルトルト「もし望むなら…彼との仲を深める手助けをしてもいい」
ベルトルト「(ここで恩を売っておけば、今後少しは僕の言う事に従ってくれるかもしれない)」
ユミル「て、手助け?ああ?バッカお前…私がクリスタ一筋だってこと忘れたのかよ」
ベルトルト「いいから、誰なんだよ」
ユミル「(そう言われましても、肝心の答えは"神のみぞ知る"状態なんだが)」
-
- 43 : 2016/12/11(日) 23:58:06 :
- ユミル「(えーと…じゃあ一番マシな奴で…マルコ)」
ベルトルト「マルコとか?えー意外」
ユミル「(この野郎)」
ユミル「なわけねえだろ」
ユミル「…(んー、あとは…そうだな…)」
ベルトルト「…え、嘘…もしかして僕で正解だった…?」
ユミル「!?」
ユミル「ちょっ…待てよ、どうやったらその結論になる」
ベルトルト「なかなか答えてくれないし…」
ユミル「今言う!今言うから待ってろ!」
ベルトルト「既に結構待ってるよ」
ベルトルト「あ、そんなに負けを認めるのが悔しい?」
ユミル「」イラッ
ユミル「チッ、あーそうだよ!私はな…」
ガラッ
ユミル「ベルトルさんが好きだよ!これで満足したかこの木偶の坊!」
ライナー「ほう」
ベルトルト「」
ユミル「」
ライナー「そうか。またな」ガララッ、ピシャッ…スタスタ
ユミル「…」
ベルトルト「…」
-
- 44 : 2016/12/12(月) 00:01:17 :
- ベルトルト「あ、あの…」
ユミル「…てめえのせいだからな」ギラリ
ベルトルト「ひっ」
アニ「あの二人トランプに誘わないの?」
ライナー「それより俺ともう一勝負しようぜ」
アニ「やだ。あんたとは飽きた」
ライナー「いいからいいから」グイグイ
アニ「背中押さないでって」ズズズ
-
- 45 : 2016/12/12(月) 12:18:01 :
- ーーーーー
ーーー
アニ「それで…」
アニ「なんであんた達二人は前よりひどくなってるの」
ユミル「」ギクシャク
ベルトルト「」ガチガチ
ライナー「おかしいな、生まれたての小鹿がこんな所に」
アニ「今回ばかりはあんたの煽り文句に同意」
-
- 46 : 2016/12/13(火) 15:06:07 :
- 「大丈夫、ライナーは下手に言い触らすような奴じゃない。僕からも言っておくから平気だよ…」
ユミル「(っつわれてもなあ…)」チラ
ライナー「ん?」ニカッ
ユミル「私に汚い笑顔を振りまくんじゃねえ」
ライナー「なんだとおい」
ユミル「(…信用ならねえよなあ…)」
ユミル「(そもそも、誤解を解かなきゃ話にならん)」
ユミル「私はベルトルさんが嫌いだ」
ベルトルト「!?」
ユミル「すっげー嫌い。今すぐ巨人に喰われてほしいぐらいに嫌い。ウルトラスーパー嫌い」
ベルトルト「そ、そう…」
ライナー「女以外は嫌いだろ、お前」
アニ「知ってた」
ライナー「むしろ好意を寄せてる男なんていな…あっ」
アニ「え、何?」
ベルトルト「!!??」
ユミル「(なんだよ!!「あっ」って!!早速漏らしそうになってるじゃねーかふざけんな!!!)」
-
- 47 : 2016/12/14(水) 13:38:28 :
- ユミル「おい、ライナー」
ライナー「ん?…ああ」
ライナー「アニ、散歩行こうぜ」
アニ「は?」
ライナー「いいからいいから」グイグイ
アニ「この流れ何度目」ズルズル
ライナー「…あとは任せろ」ウインク
ガチャッ スタスタ…
ベルトルト「…え、任せろって一体…」
ユミル「…」
ユミル「(そういうことじゃねえええ!!)」
-
- 48 : 2016/12/14(水) 13:46:53 :
- ユミル「(私はベルトルさんと二人きりになりたくてお前に声かけたんじゃあない!!)」
ベルトルト「ちょっと…何が何だか…」
ユミル「私もだ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「…僕さ」
ベルトルト「君を好きになろうと思う」
ユミル「時よ止まれ」
ベルトルト「えっ」
ユミル「不測の事態すぎてザワールドしたい気分なんだよ。それぐらいベルトルさんの発言は理解に時間を要する」
ベルトルト「待てるから時間かかってもいいよ」
ユミル「やっぱいくら考えても無駄だわ。理解できねーわ。説明頼む」
ベルトルト「えーと、心を通わせるには両想いが手っ取り早いんじゃないかと」
ユミル「暴論だ」
ベルトルト「ユミル、ここは喜んでもいいとこだよ」
ユミル「やだよ、嘆き悲しむわ。私ベルトルさん嫌いだし」
ベルトルト「またまたー」ハハハ
ユミル「殴りたいこの笑顔」
-
- 49 : 2016/12/14(水) 13:52:26 :
- ベルトルト「考えたんだけど、僕は異性が苦手らしい」
ユミル「だろな。そういう顔してる」
ベルトルト「ちょっとイラッ」
ユミル「いいから続けろ」
ベルトルト「そして人を好きになるのも苦手だ」
ユミル「あ、恋愛話始まる?私そういうの眠くなるんだよなー」
ベルトルト「小銭あげるから聞いてて」チャリン
ユミル「この額なら5分保証しよう」
ベルトルト「1回5分か…」
ユミル「アトラクション、ユミル」
ベルトルト「それでえっと…人を好きになるのが苦手な理由は」
ユミル「あん?」
ベルトルト「言えないんだけど」
ユミル「言えねーのかよ」
ベルトルト「ヒ、ヒントは出すから…許して」
ユミル「クイズじゃねえんだからよお…」
-
- 50 : 2016/12/14(水) 18:12:47 :
- ベルトルト「人と必要以上に関わるのが怖い。踏み入るのも、踏み入られるのも怖いんだ」
ユミル「…ははーん、なるほどな」
ベルトルト「え」
ユミル「お前、何か隠してるだろ」
ベルトルト「ドキッ」
ユミル「ベルトルさんさあ…自分は周りと違うんだ、って雰囲気を感じるんだよな」
ベルトルト「そんなこと…ないよ」
ユミル「常に距離を置いてるっつうかさあ。自分だけ予防線張って、安全な所から眺めてるみたいで…イラッと来る」
ベルトルト「…」
ユミル「あと物理的に見下してきてイラッと来る」
ベルトルト「屈むから許して」
-
- 51 : 2016/12/14(水) 19:42:16 :
- ベルトルト「…僕はあまりしゃべらないから、皆近づいてこないけど」
ベルトルト「でもユミルは、威勢が良いっていうか…」
ユミル「褒めてんのかそれ」
ベルトルト「考える間も与えずに飛び込んでくる。…だから」
ユミル「だから?」
ベルトルト「…ベ、ベルトルトポイント10贈呈」
ユミル「…なんだそりゃ」
ベルトルト「えっ…アニと君の真似だよ」
ユミル「わかってら。しっかし語呂の悪さが半端じゃねーな」
ベルトルト「フーバーポイント」
ユミル「それも語呂悪い」
-
- 52 : 2016/12/14(水) 20:13:23 :
- ベルトルト「いやそんなことはどうでもいいんだよ」
ユミル「ああ、ベルトルさんの言い分は理解したぜ?」
ユミル「つまり曲がりなりにも私への好意を表現して伝えたわけだ」
ベルトルト「そうやってストレートに言われるとキツイ」
ユミル「そんで、どうせなら両想いになって心を通じ合わせようと?」
ベルトルト「う、うん」
ユミル「…そんなにダンスガチりたいのか…」
ベルトルト「…うん」
ユミル「そうか。じゃ諦めな」
ベルトルト「え?」
ユミル「恋だの愛だの、クソ喰らえだ。威勢が良いのがタイプってんなら、エレンとでも付き合ってろよ」
ベルトルト「彼、女の子なの?」
ユミル「本気にするな」
-
- 53 : 2016/12/14(水) 20:15:41 :
- ベルトルト「…好みのタイプだったから、君に粉をかけてるんじゃないよ」
ユミル「は?」
ベルトルト「昨日までは”ちょっと気になる"ってぐらいだったけど…さっき確信に変わった。僕はユミルが気になっている」
ベルトルト「今日、君は僕を…見つけてくれた」
ベルトルト「そんな気がした」
ユミル「かくれんぼ始めた覚えはないんだが」
ベルトルト「君に見透かされた気がしたんだ」
ユミル「私はベルトルさんのことなんも知らねーし興味ねーよ。前にも言わなかったかこれ?」
ベルトルト「僕、今なら踊れる気がする」グイッ
ユミル「えっ、ちょっオイ」
-
- 54 : 2016/12/14(水) 20:20:56 :
- ライナー「星空がきれいだな」ザッザッ
アニ「寒い寒い寒いなんで真冬の夜に散歩なの寒い」
ライナー「…そろそろいいか」
アニ「は?」
ライナー「あいつらのとこに戻るぞ。これ以上の時間を与えたら間違いが起きるかもしれん」
アニ「えっもういいじゃん。眠いし部屋帰りたい」
ライナー「行くぞほら」グイグイ
アニ「私に拒否権はないんだね」ズルズル
ライナー「というわけで扉の前に着いた」
アニ「早い」
ライナー「…」スッ
アニ「…耳当てて何してるの」
ライナー「…嫌に静かだな。…まさか!」ガチャッ
アニ「無視?」
-
- 55 : 2016/12/14(水) 20:30:43 :
- ベルトルト「~♪~~♪」グルグル
ユミル「やめろ気持ち悪い目が回る!」グルルルル
ライナー「」ポカーン
アニ「入口で突っ立ってないでさっさと中入んな…よ…」
ベルトルト「あ、おかえり二人とも」
ライナー「俺は夢でも見てるのか…」
アニ「…頬引っ叩こうか」
ライナー「頼む」
アニ「」ッパーン
ライナー「夢じゃねえみたいだ」ヒリヒリ
アニ「いや、生き別れの双子っていう説が残ってるよ」
ユミル「疑いたい気持ちもわかるが、こいつは正真正銘ベルトルさんだ。あー視界が回る…」フラフラ
ベルトルト「ご、ごめん…調子乗って回し過ぎた」アセアセ
ライナー「…急に上達するんなんてな」
アニ「本当…あの短時間で何が起きたの?」
ベルトルト「えーと…心が通じ合ったのさ」
ユミル「バカ言え」
-
- 56 : 2016/12/14(水) 20:48:17 :
- ーーーーー
ーーー
アニ「…あれだけ見違えるほど上達したのに、披露する場がなくなるなんてね」
ライナー「豪雪なら仕方ねえよ。ゲストが来られないんじゃ開く意味もない」
ユミル「私は嬉しいぜ。ついに祈りが通じたか、ってな」
ベルトルト「あ、あはは…」
-
- 57 : 2016/12/14(水) 20:50:58 :
- コニー「あっユミルとベルトルトだ!!」
ベルトルト「!?」
サシャ「お二人とも、ダンスとってもうまいんですよね!?ライナーから聞きました!」
ユミル「何?筋肉ダルマめ…余計なことを」チッ
ライナー「はっはっはっ」
ジャン「いやいやデマじゃねえの?こいつらが華麗に舞ってるとこ見たことねえぜ」
ベルトルト「まあ、誰にも見せてないからね…」
マルコ「せっかくだし、ここで踊ってもらえないかな?」
ベルトルト「えっ」
アニ「…ちょうど今日使う予定だった蓄音機もここにあることだしね」
ミーナ「アニ、ナイス!じゃみんなで見よ!」
クリスタ「うんうん!二人ともスタイル抜群だし、絶対きれいだよ!」
ユミル「なっ…クリスタまで…!」
ミカサ「エレン、私達も踊ろう」
エレン「え?やだよ。アルミンに頼めよ」
アルミン「はは…ともかく二人の見てからにしようよ」
-
- 58 : 2016/12/14(水) 20:59:30 :
- ライナー「そら、逃げ場はなくなったぞ」ハハ
ユミル「いつか痛い目遭わせてやるからなこの野郎」
ベルトルト「う、うう…緊張してきた」
アニ「腹括りな。ちなみに、こういうのは男から誘うんだよ」
ベルトルト「う…うん。…えっと、ユミル…その」
ベルトルト「僕と…お、踊らないか?」スッ
ユミル「…」
アニ「噛み噛みだね」ヒソヒソ
ライナー「シッ!ベルトルトの手を取るなら今だぜ、ユミル」ヒソヒソ
ベルトルト「…」ゴクリ
ユミル「…お前と踊る趣味はない」
ベルトルト「えっ」
ユミル「だが、たまには悪くないかもな」フッ
-
- 59 : 2016/12/14(水) 21:00:30 :
- 終。
-
- 60 : 2016/12/14(水) 22:29:54 :
- ほんと毎回オチまで完璧ですね
今回も最高でした!
-
- 61 : 2016/12/14(水) 22:48:38 :
- あかささんの作品には毎回ニヤニヤさせられます!お疲れ様でした、次回作も期待しています。
-
- 63 : 2016/12/15(木) 16:42:30 :
- 今回も最高でした!
この作品をきっかけにベルユミに目覚めたかもしれません
相変わらず素晴らしいできでホントに尊敬します
次回作も期待してます。お疲れさまでした!
-
- 64 : 2016/12/15(木) 19:59:49 :
- >>63
今回もコメントありがとうございます。新たな扉を開けたことに感激です。やったぜ。また似たようなメンバーで次も書きたいと思います
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