・・・なぁ、ヒストリア


・・・なに?


・・・人の命ってどう思う


・・・どうしたの?いきなり


…いや、今のこの世界を見てると人が人でいられる時間なんて、最初からなかったのかもなって、な


何かを憐れむかのような、そんな表情をしては足首を捻り、反動で体を揺らす、その度に椅子がミシミシと鳴る、まるで後少しで壊れてしまうかのような、そんな音が


・・・人が人でいられる時間、ね…エレンにとっての人ってなんなの?


・・・は?どういう意味だそれ?


…言葉のままだよ、私にとっての人間の見方とエレンにとっての人間の見方が違うもん…だから聞いたの…


机の上に置かれたカップを取っては口元に持っていく、そして口の中に流れていくものは紅茶、微かに苦みがあるがいやな苦みではなく、心を休めるような、そんな味、そして少し熱かったのか顔を歪ませた


・・・そういえば…俺の知ってる人間って・・・


・・・少なくとも私が知ってる人達はみんな自分可愛くて残酷で冷徹な人達だよ、悲しい事にね…まぁ、こんな世界に生きてるんだから仕方ない、そう割り切っちゃってるけど


・・・お前は強いのな


・・・強いんじゃなくてただ諦めてるだけだよ…変えられる事じゃないし…


・・・そっか


・・・うん、エレンが一体何に悩んでるのか私にはわからないけど人はずっと人でだと思う・・・残酷でも、それは自分を守るための、本能としての反応・・・あっ、これは違うかな?人じゃなくて動物でもある事だし・・・


そして最後の一杯を飲み終わったヒストリアは立ち上がりエレンの横へ立った


・・・まぁ、一つ言える事はエレンはそんなくっだらない事で悩んでるより来週のウォール・マリア奪還について悩んでなさい


っ!お前なぁ・・・こっちは真剣に悩んで


ヒストリアからの煽りにエレンはヒストリアを見て文句を言おうとした、だがそれと同時に唇に柔らかい感触が伝わった、そして目の前にはヒストリアの顔があった


っ・・・なっ…は、は…?


・・・これでわかったでしょ?エレン、この世界の人達はみんな自分の欲望に忠実で自分ばかり考えてるの、と言う事でそれじゃあ私は残りの仕事の片づけをしないといけないから、それじゃ、またねエレン


ドアの方へ歩いて行ってはニコニコと手を振っては出て行った、そんなヒストリアにエレンはポカーンと口を開いたまんま固まっていた



「・・・はぁ…確かにすっげえくっだらねぇな…まさか女王様だからキスされるなんて、な…」



椅子から立ち上がり後ろにあるベッドへ体を放り投げては唇を触った、微かにまだ残る生暖かいような感覚、でも不思議と悩みはもう消えていた