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護衛艦あおば、出港! 第一期
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- 1 : 2016/10/28(金) 12:39:28 :
- 注意事項
・オリ主要素、又泥臭い要素があります。
・艦娘に対してのオリジナル設定
・IF艦の登場
・薄い轟沈描写
以上の点に注意して、大惨事世界大戦をお楽しみください。
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- 2 : 2016/10/28(金) 12:42:16 :
「暇だなぁ」
そうどことなくつぶやいてしまう。
視界には青ばかりしかうつらない
そう考えていると…
「海上警備行動が出てるのにのんきですね。」
確かにそうだ
「まぁ何もないのも事実ですけどね。」
「そうなんだよな〜」
「沿岸部で人が消えて行くなんて理由で海上警備行動が発令されるなんてのもおかしいですよね」
「大方北のお国のお家芸か何かと考えてるんじゃないのか」
「それでも海保で見つけれていないんですよね」
それが話をややこしくしてるんだよな
そんな事を話していると1人の士官がやってきた。
「航海長至急CICに向かってください」
どうして放送ではなく伝令?
「わかった」
そう士官に伝えすぐに私はCICに向かった。
………………………………………
「何の御用ですか?」
そう砲雷長に聞く
ちなみに砲雷長は防大の同期だ
「詳しくは俺にもわからん…」
「ただ突然本艦前方70キロの客船の隣に不明船舶が出現した。」
「突然…潜水艦か?」
「また、その客船からは救難信号が出た」
「まさか!」
「そうだ、そのまさかだろう」
「けど、なんで浮上したんだ?」
「さぁ?」
「そう言えば艦長と副長は?」
「今呼びに行っているが少しかかるだろう」
「とりあえずヘリか?」
「そうだな。生存者と不明船舶の捜索にあたろう」
「なぁ、砲雷長これってこんどの警備行動と関係あるのか?」
「あるな…これは黒だ。真っ黒だ。救難信号が発せられた後から姿が見えないしな。海保で見つけられなかったのは現れたり消えたりするからだろう。」
「航海長砲雷長何が起きたんだ?」
「「艦長!」」
敬礼をする。
砲雷長が説明をする。さっきの俺らの会話の内容もまぜてより細かく説明していた。
「よし!総員配置、対水上・潜水艦用意。ロクマルと海鳥を偵察に出せ。本艦は最大戦速で現場海域に向かう。」
「横須賀にも連絡を怠るな!1人でも救うぞ。敵は民間船に手を出した。敵が撃ってくるまで撃つなよ!」
………………………………………
「進路そのまま最大速力で向かうぞ!」
自分の声に反応した航海士が行動をおこす。
訓練された動きである
機関の出力が上がっていくのが音でわかる。
新型の国産機関…最大戦速42ノットを誇る
【艦長の錦戸だ。手を止めずに聞いてほしい。本艦はこれより民間船舶を不当に攻撃した不明船舶の排除に向かう。そして、恐らく戦闘になるだろう。君達は自衛隊の初の実戦部隊になる。命を失うかもしれない。そんな危険な任務だ。防衛出動が部分的だが発令された。君達は国民を守る矛であり盾となってもらいたい。諸君の健闘を祈る!】
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- 3 : 2016/10/28(金) 12:47:05 :
「航海長は捜索に行かなくて良いんですか?」
「めんどくさいからなぁ」
「生存者は0ですかね?」
「生き延びたとしてもこの黒さだ。溺れてるだろ。」
………………………………………
「艦長、生存者はいませんでした。」
「そうか…ご苦労だったな」
「不明船舶の捜索に移るぞ。これ以上の被害を出す事は許されん。」
「レーダー、ソーナー 反応あるか?」
「いえ、ありません。」
「こちらも以上な…いえ‼何かが浮上して来ます!」
【CICから艦橋 状況を知らせ!】
【本艦左舷に大量の気泡が!何かが浮上して来ます。………あれは?水上艦です!水上艦が海から!】
【不明船には三基の砲塔があります!あれは…青葉です!旧軍重巡洋艦です!】
「砲雷長!どうしますか⁈」
「全武装の安全装置を外せっ!」
「艦長!撃ちましょう。ここで逃したら奴はまた…」
「艦長、ここは撃つべきです。」
「副長もか…」
【艦橋からCIC!不明船の砲塔がこちらを指向中!撃たれます!】
………………………………………
ヤバイ…
「面舵いっぱーい!衝撃に備えろ!」
艦橋要員が身構えた瞬間…
「…かいちょう…航海長!」
「…………一尉か…無事だったか。」
「えぇ、航海長も大丈夫ですか?」
「腰をうっただけだ…大丈夫」
「強がりはダメですよ」
「ところで被害はどうなんだ?」
「CICとヘリ甲板に命中…艦長、副長、砲雷長、CIC要員、左ウイング要員殉職…幸い火災は発生せず敵弾は貫通。命中時に取り舵をとったためそれ以降は命中弾なし…敵の練度が低過ぎです。」
「通信も途絶、怪我人多数で動けるのは15人くらいです。航海長ご指示を。」
「…本艦はこれより本艦を追撃中の不明船に対して攻撃を行う。」
「無理ですよ。本艦の武装はすべてCICで管理されています。そこが全壊した今どうにもできません。」
「いや…手はある!魚雷は手動でも撃てるはずだ!」
「この距離では当たりませんよ!
無茶です。」
「当たらなければ当たる場所まで行けば良いんだ!肉薄する!それしかないんだ…」
「我々は軍人であり自衛隊員だ。国民のために命を散らしてでもやらなければならない時がある!」
「…そうですね。ただ飯のツケを返す時が来ましたね。」
「動ける奴を集めろ!臨時の班を組むぞ。」
………………………………………
「打ち合わせ通り、一班が操艦、二班は怪我人を救命艇に乗せて共に脱出、三班は魚雷の手動発射だ。」
「今までのタダ飯のツケを返すぞ‼」
「「「おうっ‼」」」
男たちは死地に征く
守るために…
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- 4 : 2016/10/28(金) 12:48:36 :
- 登場人物たちの過激な発言にもご注意を
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- 5 : 2016/10/28(金) 12:51:15 :
- 注意点追加
高速展開
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- 6 : 2016/10/28(金) 12:52:30 :
- 「航海長、二班退艦完了です。」
「そうか。よしっ!やるぞ。」
「取り舵いっぱーい。最大戦速!」
機関が唸り艦がゆっくりと首を回す。
………………………………………
安全装置よし、発射機器以上なし、発射管以上なし、魚雷もOK
、これなら奴を倒せる。
相手はただの偵察重巡だ。魚雷を喰らわせれば、何かしら損傷を起こすだろう。
二曹はどうだろうかな
OKみたい、三曹も見た感じ準備できてるようだ。
「お前らよく聞け〜我々三班は三人だけだ。今からこの船は敵に向かって突っ込むからその時にこのパンツァーファゥストをぶち込むぞ。絶対に外すなよ!こいつは当たれば大和だって貫通するが外れちゃーおしまいだ。」
「そんな事言われても、最大速力の揺れには抗えませんて二尉」
「そうですよ〜敵の砲撃もあるなか命中させろってのは無理な話です。」
「そんな事言ったってな〜発射管にはそれぞれ一発ずつしかはいってないし、敵もダメコンぐらいできるだろう?なら非常用のロケットランチャー使うしかないぞ」
「ま、当たりゃ〜良いんだよね 、これはな。」
「「了解」」
グゥィーンと機関の出力が上がり出す。
【こちら1班より3斑へちょーしはどうだ?】
【航海長ですね。OKですよ一応両舷とも撃てるようにしました。】
【これから突っ込むのだが防盾は用意したか?】
【えぇ大丈夫です!】
【作戦を開始する!】
………………………………………
「いよいよですね。」
「そだな」
「敵艦視認!薄い霧から出てきます。」
何だと⁈
急いで双眼鏡で確認する。
「あんなに近かったのか…」
「突入進路変更!進路195だっ」
「面舵21度速力まま!」
艦は敵艦に正対した。
まるで騎士の一騎討ちのように時代の違う二隻は走り出す。
敵が発砲する…当たらない
この距離では当たるはずの主砲がかすりもせず、はるか後ろに着弾する!
敵の練度が低いのか…それともこちらに何か取り憑いているのか…
そして二隻は交差する!
その瞬間両方の船から攻撃が出た!
【撃てぇっ!!!】
………………………………………
【撃てぇっ!!!】
その号令を待っていた!
「発射ぁっ!」
プシュッ ぽちゃん
「「「…ショッボッ」」」
「…って撃てぇっ!」
三発の弾頭が敵艦の腹に向けて飛び出した!
その時、衝撃が起きた!
………………………………………
機関の出力が下がっていくのが手に取る様に分かる。
被弾したのだ。
42ノットからどんどん減速して行く…
その時、ふと敵を見てみた…
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- 7 : 2016/10/28(金) 13:44:07 :
音が轟き、そして静寂が訪れた。
「どうだ…?」
そして、静寂を割るかのごとく、また轟いた。
【こちら3班、敵艦の轟沈を確認!やりましたよっ!】
まさに轟沈という言葉の相応しい散り方であった。
終わったのか?本当にこれで終わったのか?信じられない…
あんなにもあっけないのか
そう感じた。
………………………………………
終わった…
俺の撃ったロケットが弾薬庫を破壊したということが信じられなかった。
魚雷は外れてしまった…
まさか…そう思わずにはいられなかった。
「二曹?三曹も大丈夫か?」
「…すっ凄いですよ!二尉!大戦果ですっ。」
「やりましたね、二尉。」
「おう!そう…え?」
えっ、何でだ…何であそこに
もう一隻いるんだ⁈
「ん?どうしまし
ズドン
………………………………………
次に俺が目覚めたのは、いくつもの砲撃音の所為だ。
「何でだ!何が起きたんだっ!」
「そうだ!一尉は…」
そして、振り向いても
彼はいなかった。
どこにいった?
急いでウイングに出る
そこには、先程の黒色ではなく軍艦色を身にまとう青葉の姿と黒色のもう一隻がいた。
そして見たのは
力尽きるように沈み始める二隻の姿だった。
………………………………………
「知らない天井だ…」
一度は言ってみたかったセリフだ。
ここは一体?
病室か?
ゆっくりと身体を起こす。
腕は動く…身体も動く
足は動くし
感覚もある
生きてるのか?
あの時確か、救命艇で二隻が沈没したところに向かって
それでセーラー服の女の子を発見して、
海に飛び込んで助けようとして
服が引っかかってて、無理に取ろうとしたら取れた瞬間頭を打って
それから突然浮いていた船体がさらに沈み始めて
急いで飛び込んで救命艇まで泳いだんだ。
そこまでは覚えてる
後は?何だ
足の感覚に異常を覚える
何か乗っているのか?
そして目線を下にした時、世界は止まった。
「女の子?
あっ、これって社会的に終わった?」
待てオチツクンダ遼河和成
こういう時はそう。
い、今起きた事をありのまま話すぜ…じゃなくて!
そう素数だ。
素数は自分の数字以外では割れない孤独な数字
123456789…
あぁっ!なんか違うっ!
コンコン
あっ終わった…人生おわた
「入りますよ〜航海長」
よりによって一尉だ…と…!
ガチャ
もうダメだぁおしまいだぁ逃げるんだぁ(錯乱)
「あれ?依田さんもここにいたんだ?」
依田さんって誰ですかね
ねぇー尉教えてよ
ってあれ?何で俺が気がついてるのに気がつかないの?
あっるれ〜おっかしぃぞぉー
「ってまさかの気がついちゃったパティーンですか?航海長」
「今更かよ!つか誰だよこんな可愛い子は!」
「か、可愛い…?あぅ」
「「デレた。」」
-
- 8 : 2016/10/28(金) 14:00:46 :
- 第一話終了
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- 9 : 2016/10/28(金) 14:00:57 :
- 第二話
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- 10 : 2016/10/28(金) 14:03:44 :
「ちなみに今日は何日だ?」
「あ、それ聞いちゃいます?」
「聞かない方がいいですよ。」
「そんなにか?」
「あれから、三週間経ちましたよ」
oh…
「新聞ってあるか?」
「えぇ今依田さんが持ってきてくれていますよ。」
「ところであの女は何なんだ?」
「詳しくは後で説明します。しかし、彼女は我々人類にとって必要な存在になります。」
「もちろんあなたにとっても…」
「何だそれ?まるで彼女が神みたいじゃないか。彼女は涼宮ハルヒとでもいうのか?」
「涼宮ハルヒって誰ですか?アニメ?」
「まさかの知らん世代?」
「聞いた事はあるかもしれません。」
ガチャ
「新聞をお持ちしましたー?」
何で疑問系なんだよ…
「もしかして、もう私の正体話しました?」
「いいや、話してないよ。」
「ところで、あれは一体なんだったんだ?」
「まず自分の状態を知ってください…」
「まず全身打撲、次に左脚に何らかの破片が刺さり、歩けるまで半年はかかります。」
へ、へぇー…
結構軽いような軽くないような
まぁ…生きてて良かった。
そう思えば気は楽になる。
「航海長」
一尉が話題を変えるように話す
「もし、海上自衛隊が壊滅していて日本海軍が設立されたら…入りますか?」
「時と場合によるな…」
「では、話しましょう。
まず、艦魂って信じますか?
よく女性だとか言われてるみたいですが。」
「もしかして、彼女があおばの艦魂だとでもいうのか?」
「いえ、彼女はイレギュラーなのです。」
「まず、あの日僕たちが戦った日の事は南鳥島沖海戦と名付けられ、奴らとの初の会合となりました。」
奴らってなんだ?
「深海棲息型害獣…それが奴らの名前です。」
「あれから三週間経っても、奴らが何を目的として何をしたいのかは判明していません。分かっているのは」
「人を襲う事か…」
「そうです。南鳥島沖海戦から数日後また日本を奴らが襲いました。」
「奴らは潮岬沿岸まで攻め込んできました。」
「それを迎い撃った海上自衛隊は壊滅します。それも一隻の戦艦に…」
「大和級か…」
「はい。敵の旗艦は大和と同型またはそれ以上。敵の練度も高く他の敵艦をミサイルで蹴散らした海上自衛隊部隊はことごとく破壊されました。」
「なぜだ?射程圏内には入っていないはずだろう?」
「まず理由として最初に発見したのが空自だからですね。」
「まず初めに発見したのは空自のRF-2Dです。彼らは奴らを発見した後追跡をはかりましたが、奴らが潜水。
奴らの水上艦の特徴、潜水するとどのソーナーにも反応しないという事を利用されました。」
「奴らの水上艦?潜水艦はどうなんだ?」
「奴らの潜水艦として多いのはアメリカ海軍のガトー級、そして帝国海軍の伊号・呂号と考えられます。そうりゅう型を捉えられる日本のソーナーなら問題なしです。」
「奴らの艦隊は大体太平洋戦争開戦時の戦力であり、そこに何故大和がいたのか、まずそれが議論されました。」
「恐らくは統率する上位個体のみ時代が進んでいるんじゃないのか?」
「その通りです。」
「奴らには航空戦力もありますが、それは少し遅れていて今だに複葉機のようです。」
「奴らを鹵獲する事はできなかったのか?」
「まずその前に、艦魂の話に戻りましょう。」
「艦魂は実体化します。」
「一度奴らの勢力圏下に入った艦のみに今は確認されています。」
「そして、奴ら・艦魂ともう一つ新たに存在が発見されます。」
「彼らは妖精と名乗り、潮岬沖海戦後多くの艦魂と共に現れました。」
「彼らは、突然現れるやいなや洋上に遭難している自衛隊員を救助します。」
「驚くべきことに彼らは大戦時の人達の魂を受け継いでいると自ら言い、艦魂と呼ばれる彼女達は、戦間期から大戦時に及ぶ船の魂を受け継ぐ物であり、奴らに対抗する大きな力であると宣言しました。」
「その宣言の同時刻、あおばのドックにおいて突然排水が開始され、妖精達によって占拠されました。彼らの要求には【この船はイレギュラーであり、人間の言葉曰く艦魂が宿っている。我々はこの船を修理し、この船の艦種の言葉どうり日本を護衛する存在として改修する。そのために我々は指導者と素材・道具・食糧、そして潮岬沿岸に現れた妖精達にも同じ処遇を要求する!】とあり、これに政府及び防衛省は彼らとの交渉に入りました。」
「要するにそこにいる依田さんがあおばの艦魂と言う訳か…」
「彼女に戦う意思はあるのか?」
「私は…戦います!この国が大好きだからっ」
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- 11 : 2016/10/28(金) 14:22:31 :
- RF-2Dとは
航空自衛隊は2016年まで偵察機RF-4E・EJを運用していた。その後は、イーグルにEJのように偵察機用ポッドを積むか無人機を運用するかで議論となった。その後無人機は事故が相次ぎ却下となり、F-15J・DJに積む事に決定されようとしたがそこで、F-2C・D型の完成によりそちらも議論される事となった。特にF-2D型は航続力が従来より上がり、空自戦闘機一の飛行距離を保てる事となった。これにより、防衛省は今尚空自は音速を越えるナビゲーターを保有しており、それを活用しない手はないとし、偵察機用ナビゲーターの採用数を極端に減らす代わりに複座偵察機を今後数十年は存続すると決定した。これにより、作られたのがRF-2Dである。
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- 12 : 2016/10/28(金) 14:25:13 :
- あの後の説明で分かった事は、最初の潮岬沖海戦があった後政府による憲法の一時的な解釈変更が行われた事や、最初の潮岬沖海戦で救出された艦魂は戦艦や巡洋艦、駆逐艦ばかりだったという事。
それから数日後、第二次潮岬沖海戦が起きた事。
海自ははやぶさ型ミサイル艇によりそれを迎い撃ち、陸自の対艦ミサイル部隊と協力し敵航空母艦を多数撃沈した。
それからさらに数日後、
人類は驚愕する。
奴らにとって潮岬沖海戦に出した大艦隊は沖縄占領などの囮に過ぎないという事に。
沖縄・台湾・フィリピン・ハワイ・太平洋の諸島国家群やニュージーランドに一斉に攻撃が開始された。
特に沖縄は新年が明けることなく敵に占領された。
そして、年が明けた。
それが今の状況らしい。
「俺たちはパンドラの箱を開けてしまったのか…」
「「…」」
二人は黙り込む。
部屋に沈黙が訪れた。
………………………………………
「あれから三ヶ月か〜」
「早いですね〜」
依田夏希改め「あおば」は間延びした口調で返してきた。
リハビリを終えたが、未だ片脚は大きく動かす事はできない。
明日退院って事はもうこの足は動かないって事なのだろう。
あおばはエレベーターもつくバリアフリー艦になるらしい。
「もう間も無く私の艦は修復が完了するみたいですね。」
そう。何故か妖精さんは技術を教えるどころか、既に新たな艦魂の作成・弾薬の製造などを行っているらしい…
何でも、そのスピードは修理に一年は掛かる船を二ヶ月で修理したらしい。
らしいじゃなくてその船はあおばの事なのだが。
「明日、俺は退院する。それからすぐにあおばは舞鶴鎮守府所属になって慣熟航海を行なう。
覚悟しろよ…戦争に足を突っ込む事を」
「はい。」
コンコン
「どうぞ〜」
あおばが応える
「失礼します。日本海軍工廠部浅野英樹三等海佐です。あおばの諸元についてお話があり参りました。」
「あおば艦長の遼河です。」
そう言いながら、両者はあおばの出した椅子に座った。
「まず、武装の変更が多々あります。」
「主砲が12.7センチ滑空砲。次に主武装ですが、ヘリ甲板の前側に水平噴進弾発射機二門。新型対艦ミサイル用VLS。このミサイルは理論上長門型の装甲を破る事ができます。次に対軽装甲艦用軽ミサイル発射機などです。」
「搭載機は海鳥改とSH-60kの各一機ずつです。」
「艦橋は元通りに、レーダーも前のを積んでいます。」
「最大速度は40ノットに低下したのか。」
もらった冊子を読み進めながら言う。
「えぇ。それと、これは軍令部からの指令書です。では。」
軍令部…新しい日本海軍の指令部であり、防衛省海軍庁直轄の組織ある。
………………………………………
【遼河和成
貴官を日本海軍中将とし、第一本土防衛艦隊総司令官に任ず。】
もう一枚ある?
【直ちに艦隊を舞鶴鎮守府に集結させ、亜細亜最強の艦隊へと育てよ】
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- 13 : 2016/10/28(金) 14:39:14 :
- 【次は、新大阪新大阪です〜】
そんな放送を聞きながら、隣のあおばを見る。
寝てる…もう本当にそれはもうお可愛らしい寝顔で
それは特別なヴェルダ…
まぁそれはさておき場所は東海道新幹線車内、予想通り左足は永遠に満足には動かないそうだ。
最近乗ってなかったから知らなかったが、新幹線に車椅子も乗れる車輌が追加されたのか…
ほんと助かりますわ〜
もうそろそろでお昼時
あおばは寝てるし一人で先にいただこうかとした時、
見知った顔がホームに居た。
ドアが開くと真っ先にその人影がこちらにやってくる。
食べようとした弁当の蓋をしめ、あおばを起こす。
「ふにゃ…何ですか?東京ですか?」
「飯だぞ〜」
起きた…本当に清々しいぐらいに起きた。
ガバッという表現が正しいほどの勢いである。
そんなんで首痛めないんだろうか?
あおば曰く艦魂になってから食欲が大変とのことだ。
さすが重巡洋艦…
あそこのデカさも重…いや何でもないです。
だからあおばさん見透かしたように睨まないで…
Mに目覚めちゃうから!
「隣失礼しますね?」
「一尉か…何の用だ?」
「新島さん…」
「中佐ですよ。あおば航海長兼副長新島悟です。」
「にいじまって名前だったのか…ずっとあらじまだと思ってた。」
「と言うわけで横須賀までエスコートしますよ。」
「よろしく頼んだ、副長」
「ハッ!」
【ドアが閉まります、ご注意ください】プシュー
席は車椅子専用個室の中
日本海軍の軍人は今はまだ少し怪しまれているから周りに聞こえない個室はちょうど良かった。
「あおばさん?大阪駅で餃子買ってきたんだけどいる?」
「是非!」
そうして列車旅は新たな一人を含めてつつがなく進んだ。
………………………………………
「あおば?起きろ〜」
「起きてくださいあおばさんー」
新島と一緒にあおばを起こす。
「新島?ゴミ捨てる用意してくんねーかな?俺は自由に動けないし、あおばは寝ぼけてるしね。」
「了解」
「ほら、早く起きろ東京だぞ!」
「あと…あと五分」
そんな事をほざく悪い艦魂には
こうだ!
ペシッ
「あたっ!」
「で、デコピンされた。艦長にデコピンされた。」
わー寝起きって怖ーい
目が虚ろで
何かのお薬やっちゃってる人みたいなんだけど…
「何か失礼な事考えてませんか?」
「カンガエテナイカンガエテナイナイヨ」
「何でそんなに片言なんですか。」
呆れた様にため息をつくあおばをみて
「こ、これは!」と新島が興奮したのは言うまでもない。
言うまでもないってのも可笑しいが…あいつって確か嫁さんいたような…
今度会ったら告げ口しよ、割とマジで
つかあいつため息萌えだったのか…
もしかして嫁さんとはそれで…ヤッベー超パナイッスワ新島サン
いや、何だよその性癖
ため息萌えとか超怖い
犯罪の臭いがすごいする…
うなじフェチはもっと犯罪臭がするですか…さいですか。
うなじフェチで…何が悪い!(開き直り)
こうして自らの性癖露出により適度にダメージを喰らったところで、
いや、適度にって何だよ!
まぁそれは置いといて
車椅子を新島に押してもらい、ホームに降り立つ…
「大学校入学以来か…」
「「えっ」」
「艦長って帰郷してないんですか?」と新島
「あぁ、十年近く行ってないなぁ」
「病院でご家族のお話ばかりするので、航海のあとは毎回帰ってるのかと…」とあおば
いや、お金掛かるからね。そんな事したら
まぁ何というか、これって新島いなかったら迷ってたパティーンだよなこれ
駅の構内に吹き込んだ風がラッキースケ…
ちがった、新たな門出を祝福してる様な気がした。
-
- 14 : 2016/10/28(金) 14:41:11 :
- 【第一本土防衛艦隊の艦魂・佐官は鎮守府第三会議室へ集合せよ。】
そう舞鶴鎮守府内に自分の声が響き渡る。
よし、全員集合したな。
「まず諸君に集まってもらったのは、本日1500に出港する訓練航海の打ち合わせである。」
「それに当たって、まずは艦魂が誰なのかを知らなければならない。」ここで話を止め
新島がまとめる。
「各自自己紹介をよろしくお願いします。」
「旗艦のあおば型護衛艦あおばです。よろしくお願いします。」
トップバッターは我らが誇る海自最強艦あおば
「天城型巡洋戦艦二番艦赤城だよ。よろしくね!」
次に大和とほぼ同レベルの大きさを誇る赤城。呉で出会った空母の方のおとしやかな感じとは全く違い、元気一杯だ。
「出雲ま…じゃなかった、飛鷹です。航空母艦よ。よろしくね、提督!」客船改造軽空母の飛鷹…これまた黒髪
それよりも、この艦隊黒髪率高い気がする…
「川内以下白露型駆逐艦5隻だよ。夜戦なら任せて!」白露、夕立、時雨、五月雨、春雨の水雷戦隊。
「そうりゅうです。」
「けんりゅうよ。」
「ひりゅうです!」
ピチピチの三姉妹
「あきづき型護衛艦ふゆづきです…よろしく。」
静かな感じのミニイージス艦のふゆづき
この12人の少女たちが日本を守る盾となる…
………………………………………
「出港よーい」
「舫放てー」
「総員帽振れっー」
【今、護衛艦あおばを旗艦とする第一本土防衛艦隊が訓練へと出港します!我々国民を守る盾となるか期待されます!】
「艦長、艦隊集結完了です。」
そう新島が報告してきた。
「参謀、艦隊の行程を言ってくれ。」
「はい。まず1600に対艦戦闘訓練、次に薄暮艦隊運動訓練
最後2100に夜間対艦戦闘訓練を行います。初日の訓練中は総員戦闘配置につきます。」
「明日以降は各戦闘の手順の訓練を行い。3日後に帰投します。」
………………………………………
「本艦隊の南西にレーダー反応あり!右90度距離3万反応7確認」
飛鷹が離脱し始める。
「サジタリウス発射用意、レーダーと連動よし!」
「落ち着いてやれ…」
【赤城、あおばCIC諸元送れ!】
何やってるんだ…早く送れ!
「1〜6番発射管用意よし!
撃てぇっ!」
模擬弾ではあるが、専用の発射管から発射される。
「赤城発砲開始!」
………………………………………
今日の夕飯はカレーかなと考えながら、幹部食堂に足を運ぶ。
ガチャ
「敬礼!」
こうやって、多くの部下たちに敬礼されると、偉くなったんだなぁと実感する。
「直ってくれ。気にせず食ってもらって構わないぞ。」
「しかし艦長…」
「いいから。」
だって早く食べたいし…ネ?
-
- 15 : 2016/10/28(金) 14:41:51 :
- 第二話終わり
-
- 16 : 2016/10/28(金) 14:42:00 :
- 第三話
-
- 17 : 2016/10/28(金) 14:42:33 :
- えぇ〜今日は赤城の戦闘艦橋にきております。
「鐘浦さん?将旗あげてくれる?」
「将旗掲揚!」
赤城の海軍旗の横に将旗が翻る。
そう、今日は赤城を旗艦としての近距離戦闘訓練を行っている。
飛鷹は空母だし、あおばは大型の護衛艦だ、こいつらは的が大きく軽装甲だから、砲雷撃戦には向かない。
だから、艦隊の次席司令でもある鐘浦少将が砲雷撃戦では指揮を取る。
砲雷長としてしらねに勤務し、艦長としても経験があるので艦隊司令は鐘浦さんだと入院中は考えていた…
今日は、現代工業で近代化された赤城の視察でもある。
まず、大和以上の装甲を打ち破るために、赤城もAPSFDS弾41センチ連装砲を積んでいる。また、妖精たちの負担を少しでも軽くするために、砲塔の中は出来る限り自動化された。
そんな赤城だが大きな問題点を抱えている。
そう、機関だ。ディーゼルを積む予定だったが間に合わず、現代改装が行われている本土防衛艦隊の中で唯一重油を使っている。
要するに、出港したりするためにエンジンをかけるには半日以上はかかるし、バウスラスターもついていないのでタグボートが必要なのだ。
正直言って
足手まといだ…
しかし、その考えはすぐになくなった。
なぜなら、その考えをなくすほど赤城の攻撃は素晴らしかった。
あおばの諸元同期によって、
初弾夾叉…つまり、最初の発砲で敵を挟むように着弾したのが、六割、そして残りの四割が至近弾と高確立の命中率をほこり、何より標的艦は必ず二発目で破壊されていた。
しかも、標的艦は今回のための特注品…駆逐艦の大きさに戦艦並みの装甲をつけた、実験のための艦なのだ。
これらの結果から、
赤城は日本海軍最強艦とも呼ばれるようになる。
………………………………………
【対空戦闘ォ用意!】
その放送を聞き、各員が慌ただしく動き出す。
艦隊も動き出す。
飛鷹は風上に走り出して飛行機を発艦させ、
あおばは、赤城に諸元同期を初め、
ふゆづきや水雷戦隊は、12.7センチOTO単装砲動かし初めた。
この艦隊は航空攻撃戦力を持たない…
飛鷹の艦載機は戦闘機八割偵察・連絡機二割だ。
艦隊は飛行機を発艦させた飛鷹と対空能力を持たないあおば、そして、旗艦の赤城を中心とした輪形陣に動き出した。
海洋迷彩の施された作業着に、救命胴衣を着、テッパチをかぶる。
そう。
これは訓練ではない。
【繰り返す!これは訓練ではない!】
「なぜ奴らの船体がでてこない?」
「飛行機出しただけで、奴らは出てこないな…」
「おそらく接近しての砲撃戦が目的だろう」
「鐘浦さんもそう思います?」
「逆にそれ以外に考えられないな…」
「偵察機より艦隊へ入電!ワレテキヘンタイミユモ、ミウシナウ、テキコウゲキキハシンガタキ以上です。」
「アヴェンジャーか、天山かどっちでしょう?」と聞くと
「アヴェンジャーだと俺は思う…」
アヴェンジャー…アメリカの艦攻か
【敵航空機群視認!機数100以上!半数は雷撃機、繰り返す半数は雷撃機だ!】
見張り員の叫びが無線に響く。
「対空砲撃ち方を始めろ」
鐘浦さんが的確に指示を与える。
「赤城の対空砲は三インチ砲片舷五門…しかも、すべて防空用レーダーと連動している。」
「僚艦の五インチ砲と組み合わせて対空砲は30門…過去の航空機はあっという間に全滅してしまうッ…」
そうつぶやく。
そして、五分後
海には、黒い何かだったとしかわからないもので埋められていた…
-
- 18 : 2016/10/28(金) 14:43:26 :
- 「すみませ〜ん遅れましたぁ!」
はい、赤城ちゃん遅刻!
「どうして遅れたんだ?」
そう問う鐘浦少将は完全に父親にしか見えない…
(おい司令…覚悟はできてるんだよな?)
こいつッ直接脳内に!
けどね俺氏切実に思う、50代のおっちゃんとティーンズのガールは親子にしか見えないって!
そう、考えるとさらに睨まれた。
…あれ?おれ上官じゃないの?
年功序列ですか、さいですか。
………………………………………
「回せッ!」
イナーシャが回されプロペラが回り出す。
二式艦偵のアツタが心強い音を鳴らし出力を上げて行く
欠陥機と紙一重だった過去とは違い、エンジンの信頼性が上がった現在では傑作機とも言えよう。
【飛偵05 発艦用意よし!】
プロペラの音でうるさいので、無線機にどなる。
【飛鷹艦橋 発艦許可。自らの判断で発艦せよ】
「よし、いくぞ近藤!」
自衛隊の頃から共に偵察機に乗っていた相棒に声をかける。
「おう!」
ブレーキリリース、出力最大、フラップ下げ
フラップ上げ、ギアアップ、出力ちょい下げ
【飛鷹より飛偵05へ 敵艦隊捜索方位126へ】
【了解】
つい半年前まで乗り、そして奴らと会合を果たした時のRF-2Dとは全く違う乗り心地だ。
実戦はこれで2度目
偵察機乗りが実戦なんて言えるのかってよく言われたけど、
乗って分かる
この任務は…
危険だ
………………………………………
「飛偵01から04より報告!敵艦隊予定進行ルートに敵影なし。」
敵を全滅させるのはダメだったか…後は敵偵察機到来方向に向かった五号機に任せるしかない。
この見つけられない時間とは刻一刻と迫る俺たちの危機を表している。
艦橋要員達や妖精たちは、顔が強張ってきている。
第一本土防衛艦隊の初戦は
相手が見えない戦いだ。
「鐘浦さん…各員に交代で小休憩を与えてください。」
「張り詰めていても疲れるだけ…
もしかしたら奴らはもう撤退したかもしれないし」
「しかし…」
「それに」
「それに?」
「いや、何でもないです。」
「何のお話してるんですかぁー?」
「赤ちゃんは休憩してていいよ。」
「赤ちゃん⁈なんですかそれ!!ひどいです!!」
そんな小さな冗談で艦橋の空気は一気に和んだ。
………………………………………
ボリボリと航空熱量食をかじりながら、近藤と話す。
「もうすぐで予想地点か?」
「そうだなぁ。けどいなさそうだぞ。いた形跡も無い。あの時は一時間は形跡が残っていたのに…」
「ところでさ…お前哨戒中にカロメを食べるなよ…」
「これは、カロメではない!航空熱量食だ!」
「へいへい、全く頑固だねぇうちのペアは…」
ちなみにこんなことを言ってる近藤は女だ…
もう一度言おう
近藤は女だ…
俺も信じれんけど…
-
- 19 : 2016/10/28(金) 14:47:04 :
- 赤城の指令私室から艦橋までの距離は結構ある
その距離を高低差もある中で松葉杖は辛い…
本当に辛い…
あれから一晩が明けた。
敵はまだ現れない。
一旦戦闘配置をやめ、厳戒態勢に移行した。
レーダーにも外周警戒のそうりゅう型のソーナーにも何もうつらない。
飛鷹に載せた新型双発警戒機も手応えなし…
新型双発警戒機「早雲」は100式司偵を艦上機型に改造し、レーダーを載せた機体で、三菱重工が設計・製造を行っている。探知範囲は狭いとは言えあくまで艦隊防衛…さらに外周はP-1改警戒機が行っている。
P-1改も手応えなし。
全く敵の位置がわからないまま一夜を過ごしてしまった。
艦橋に着くとまるでお通夜の様な雰囲気だった。
………
「左舷後方より高速推進音探知!!」
「もう来たの⁈」
「接近即雷撃か…」
「けんりゅう、急いで通信回線を開け」
「わかってるわ!」
………
【本艦隊左舷後方より高速推進音探知!!】
【合戦よぉ〜い!】
【対水上戦闘用意!】
「総員戦闘配置、奴らがやってきたぞ。」
【総員戦闘配置!】
「面舵いっぱーい、第四せんそ〜く」
一気に艦内が慌ただしくなる。
「飛鷹、あおば、ふゆづきを撤退させろ!」
「あおばにはサジタリウスミサイル、ロンギヌスミサイルの発射用意を命じろ!」
【第一砲塔以下第三まで!発射用意よろし?】
【一砲塔よし!」
【二砲塔おーけーです!】
【三砲塔バッチリっす!】
【水雷戦隊左舷統制雷撃戦用意!取り舵を取れッ!】
艦隊が動き出す。
【敵艦隊浮上!戦艦1重巡2軽巡3駆逐10!空母は離れて浮上している模様!】
【あおば敵空母にサジタリウス発射!水雷戦隊敵巡洋艦部隊に突っ込みます!】
川内を戦闘にして、敵の弾幕を恐れずドンドン突っ込んで行く。
【撃てぇッ!】
魚雷が敵巡洋艦三隻に向かって行く
水雷戦隊はすぐに艦隊に戻ってくる。
【水雷戦隊左舷砲撃用意よろし?】
【川内おっけー!】
【白露が一番だからね!】
【夕立いいっぽい!】
【時雨もオーケーだよ。】
等々元気な声が帰ってくる。
「左舷副砲群発砲用意!目標敵駆逐群」
「主砲、諸元と同期!目標敵戦艦…交互撃ち方!」
【【【撃てェッ!】】】
ズドンズドンと主砲の重苦しい音と三インチ砲のドンドンドンという軽やかな音がミックスされる。
【主砲、二射目夾叉!】
【斉射!!】
ズドンッ
途轍もない轟音が響く
これが戦艦の主砲か…
【だんちゃ〜く…今!】
【第二斉射用意!
撃てェッ!】
【敵艦の轟沈を確認…目標全滅確認。】
「戦闘用具納め!」
【戦闘用具収め。】
-
- 20 : 2016/10/28(金) 14:51:27 :
- 【訓練、そして初の実戦を終え第一本土防衛艦隊が帰還しました!
目立った損傷はありませんが、どのような戦闘だったのでしょうか。この後、鎮守府で行われる記者会見の様子をお送りします。】
「これより、日本海軍舞鶴鎮守府第一本土防衛艦隊作戦報告を行います。お座り下さい。」
「まず、艦隊幹部による報告を行います。その後、質疑応答を行います。質問は常識の範囲内でよろしくお願いします。」
マイクを持つ
「艦隊司令長官、遼河和成中将です。まず、今回の訓練の目的です。」
記者達が面を食らったような顔をする。まさか長官自ら報告するとは思わなかったのだろう。
「本艦隊所属艦艇は各自訓練を行っていましたが、旗艦あおばを含むすべての艦艇での訓練は実施しておりませんでした。そのため、先週から三カ月をかけ、訓練を実施致すこととなりました。」
「次に今回の戦闘についての報告です。本艦隊は二日前6月18日に出港しました。その後は予定通り訓練を実施しましたが、6月20日午後3時15分本艦隊北東100キロに大航空部隊を確認し、これをすべて撃墜しました。」
会場がどよめく。
「その後、艦隊は敵艦隊捜索へと任務を変更し、帰港を一日送らせました。」
「6月21日8時54分敵艦隊より雷撃を確認し、総員戦闘配置につきました。0857敵艦隊を補足し戦闘を開始、0907に敵艦隊全滅により戦闘終了。本艦隊は舞鶴鎮守府に帰還しました。死者怪我人ともになし。艦の損傷もありません。」
記者達がヒソヒソと話している。
そんなことがありえないとでも言いたいのだろうか?
「これにて、戦闘報告を終わります。質問はありますか?」
多くの記者が手を上げる。
報道官が一人を選んだ。
「東京日々新聞です。今回の戦闘に死傷者は出なかったという事は一発も被弾しなかったということであり、敵が発砲する前に撃沈したという事ですか?」
「そうです。本艦隊の迅速な対応により敵艦隊は何も出来ずに沈んでいきました。」
少し表現が悪い気がするがまぁいいだろう。
場がどよめいている中
「はい!」
元気の良さそうな女性記者が手を上げる。
「どうぞ」
「日中新聞の緑川です。第一本土防衛艦隊の艦はすべて艦娘が乗り組んでいるという事は本当ですか⁈」
艦娘…ある週刊誌が艦魂の事をそう称した。海軍内でもその呼び方は段々と定着し、奴らの事を週刊誌の記事から深海棲艦と呼ぶやつも出てきたらしい。
「それは軍事機密により申し上げる事はできません。」
報道官が口を差す。
しかし、それを遮る様に
「はい」と答えた。
記者達は絶句した。
基本、艦娘のいる艦は普通の艦よりも戦闘力が高くなる。
そんな艦が12隻もいるのだ、驚くことだろう。
「これで、戦闘報告を終了します…」
会見席から離れ、退出する。
「お疲れ様でした…提督」
「新島もしっかり休めよ。」
新島と少し話した後、自室に向かう。
軍艦行進曲を口ずさみながら、幹部寮の廊下を歩いていく
自分の部屋、108号室は一階の一番奥にある。
艦魂達の部屋は女性寮の中にある。
自分の部屋の鍵を開け、ドアを開くと
勢いよくドアを閉め、ドアに背中をつけ姿勢を低くし体育座り、Pocketティッシュを一枚取り出し、すぐに鼻に当てる、鼻をつまみ下を向く。
わずかこの間5秒…
これが海軍中将の力か…
そんな事はどうでも良い
何故…
何故だ…
何故…あおばが
俺の部屋の中で…
いやらしい格好をしているんだァッ!
いかん…鼻血が止まらん。
遼河和成35歳…一生の不覚ッ!
思春期男子じゃあるまいし…
背中に強い力を感じる。
あおばが中からドアを開けようとしているのだ…
「ちょっと待てッあおばァ!お前今どんな格好してるのか自覚あんのか⁈」
「あります。すごくあります。恥ずかしいんです!だから早く入ってきて下さいッ」
「お前、まずは上のジッパーを上げろッ!お前の所為で鼻血が止まらんッ!」
「上げますから入ってきてくださいィ!」
そもそも、何でジャージ姿何だよッ!胸元は開いてるし、ブラはつけてなさそうだしッ…
それに…
何で下も穿いて無いんだよォッ!
寮の外の道を歩いてる人達がヒソヒソとこちらを盗み見ながら通っていく。
(こっちを見るんじゃあなぁっいッ!)
「あおば…しっかり服はきたか?」
「はい///」
そんなに恥ずかしいならやらなければ良いのに…
「で…何でそんな格好してんだ?」
ひどい目をみた遼河であった。
-
- 21 : 2016/10/28(金) 14:52:06 :
- はい、完結
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もしも2023年に深海棲艦が現れたら。 シリーズ
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