このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
旅路
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- 1 : 2016/09/22(木) 13:21:55 :
- 悲運の出会いがあるという
生まれてきた場所、身分の違い、この世の中には理不尽が溢れている
「・・・」
大きく、綺麗な城で小さな少女が月夜に願いをこめていた
「・・・・・・神様・・お願いです」
「次に生まれ変わることができるのなら・・・」
「もう一度、もう一度だけ・・・あの人に会いたい」
SSを読者の皆様に気持ちよく読んで貰うために、作品が終了するまでコメントを制限させて頂きます。
コメントを貰えると本当に嬉しいです
しかし、途中で貰ったコメントを非表示にするのは心が痛みます。
ですので、作品が終了するまではこちらにコメントを頂けると嬉しいです!
http://www.ssnote.net/groups/347/archives/5
作品の感想
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- 2 : 2016/09/22(木) 13:23:12 :
- 私には生まれてきた時に与えられていた使命がある
国という監獄に閉じ込められる呪いと言ってもいい使命が私にはある
民衆が何度も何度も狂ったように私の名前を叫んでいる
【ヒストリア女王】と何度も【狂ったように】叫んでいる
ヒストリア「・・・」
心がこもっていない、民衆は【言わされている】のだ
父の顔を疑いながら生きている民衆と城の兵士達は本当の私の【心の声】を聞いてはくれていない
ヒストリア「・・・」
私の周りには地に片方の膝をつけて敬礼している兵士達がいる
その中に貴方がいる
幼い頃に何度も一緒に遊んでいたがそこにいる
ヒストリア「・・・・・・」
「・・・」
ヒストリア「・・・・・・」
彼は戦場で多くの人と戦い、その大きな体を血で染めている
そんな彼を周りは優秀な戦士だと褒め称えているけれど、私は知っている
貴方が相手の命を奪うたび、自分の心が引き裂かれていることを
何度も何度も【助けてくれ】と心で叫んでいることを私は知っている
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- 3 : 2016/09/22(木) 13:23:57 :
- ヒストリア「父上、1つ聞きたいことがあります」
私は耐えられない、なぜ、私の大切な友人が助けを求めいるのに戦争を辞めないことが私には耐えられない
ロッド「どうした?ヒストリア・・・?」
ヒストリア「この無駄な争いはいつ終わるのですか、私は・・・」
私の言葉に父は眉を潜める、直接は言わなくても怒りを隠していることなどすぐにわかった
ロッド「ライナー!!ライナー・ブラウン!」
私が質問をいい終える前に、父は私の大切な人の名前を叫ぶ
汚れきった父がライナーの名前を呼ぶだけで自分の中にある黒い殺意が沸き上がるのがわかる
ライナー「はっ!」
ロッド「奴等を!皆殺しにしろ!!敵は悪魔だ!!いいか!!!」
ライナー「・・・・・・はっ!!」
手を伸ばせば届きそうな距離にいる
それが許されない現実を何度も呪っていた
女王と戦士の恋など許されるはずもない
貴方は昔のように私の方を見てもくれなくなってしまった
この無駄な争いが終わってしまえば昔のように話すことができる、一緒にご飯を食べることも遊ぶこともできる
私はそんな叶うこともない夢を胸に秘めて自分を押し殺して今日も【生きている】
-
- 4 : 2016/09/22(木) 13:33:23 :
- ライナー「・・・」
自分自信を押し殺して【生きている】俺はいつの間にか壊れてきている
初めて戦場に舞い降りた時、今までみたこともない残虐な光景に震えも涙も止まらなかった
そんな俺に相手は容赦なく銃口を、鋭く研がれた刀を向けてきた
ライナー「・・・・・・」
気が付いた時、俺は自分が持っていた武器で相手を【殺していた】
目の前には動かなくなった人間がいた
俺は自分の手を見て酷く狂ったように怯えていた
そんな時、貸すかに聞こえてくる仲間の声が俺を現実の世界に戻したのだ
『・・・な・・・・・・らい・・・』
『ベルトルト!おい!お前!!』
『ご・・・・・・ごめん・・ね』
『喋るな!!今すぐ医療班の所に連れていってやる!!』
素人の目から見てもわかる親友の怪我は、命に関わるほどの重症だと
そんな親友を俺を必死になって医療班の所に連れていった
『は?』
『こいつは諦めろ、助からない』
『ベルトルトは生きてる!!まだ生きてる!!』
『薬の無駄だよ、生きてるのもあと少しだ、なんなら楽にしてやるのも親友の役目じゃないのか?』
医療班に言われた言葉に俺は理性が保てずに銃口を向けてベルトルトを治療するように叫んだ
医療班は驚きもせずに他の戦士の治療をしはじめる
その光景に俺は地獄に落ちていることがわかった
『ベルトルト・・・どうしたら・・・・・・俺、どうしたら・・・』
『・・・・・・らい・・な、お願い・・・』
『大丈夫だぞ!すぐに治療してくれる!!だから頑張れ!!!』
『あ・・・・・・あに・・・アニに・・・』
『嫌だ!!辞めろ!!』
『僕の・・・ことは・・・わ・・・忘れて・・・・・・幸せ・・・に・・なっ・・・て』
『ばか野郎!!お前が!!お前が!!!幸せにするんだ!!!』
付き合っていた俺の親友、付き合っていた彼女も俺の大切な親友だ
その親友に頼まれた言葉を俺は言いたくなかった
『ベルトルト?』
『ありがとう・・・・・・ごめんね』
俺の大切な親友は国の為に戦ったのに、国は親友を助けてはくれなかった
息ができなくなる、俺も一緒に死のうと思って戦場に戻った
親友を殺した相手を一人でも多く倒して散ろうと戦場に戻った
ライナー「(ベルトルト・・・俺はまだ・・・生き残ってしまった)」
俺の最後はいつなのか、ずっとわからないままだ
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- 5 : 2016/09/22(木) 14:38:20 :
- 真っ暗になった空は俺達を吸い込むような恐怖がある
ライナー「・・・」
「ライナーさん、何でそんなに強いんですか?」
ライナー「強い?」
「羨ましいですよ!戦士長として国のために戦えるなんて!」
ライナー「・・・・・・」
俺とこいつは考えが違う
俺は戦いたくない、相手の命を奪うことが怖い
俺の大切な人達の命が奪われるのが怖い
ライナー「(ヒストリア、お前は・・・・」
ヒストリア「(ライナー、貴方は・・・)」
【死に場所を探している】
世界は残酷だと言っていた人がいた
その通りだろう、残酷じゃなければこんなに傷付く人間はいない
もうそろそろ、わかりあえてもいいんじゃないか
この無駄な争いを終えてくれ
-
- 6 : 2016/09/22(木) 14:39:06 :
- 真っ暗になった空の下を俺は歩いていた
体を休める場所、自分が暮らしていてる家を目指して歩いている
そんな時、目の前に知っている顔が現れる
ライナー「・・・久しぶりだな」
「痩せたんじゃない・・・?ちゃんと食べてるのかい?」
ライナー「あぁ・・・大丈夫だ」
「・・・・・・大丈夫そうに見えないね」
ライナー「・・・アニ・・・・・・俺のこと」
アニ「恨んでなんかないよ、あんたが生きて帰って来てくれるだけで嬉しいよ」
親友の恋人、最後に言っていた言葉を伝えた時、アニは涙を流しながら【帰って来てよ】と言っていた
その姿を見るのが辛かった
まだ結婚をしていないのは、今でもベルトルトを思い続けているからだろう
ライナー「・・・・・・アニ・・・俺・・・」
アニ「自分を責めなくていい、その代わり」
【絶対に死ぬな、絶対に生きて帰ってこい】
失う時があるように、人間には別れが必ずある
悲しい定めを受けている生き物は辛いのに気高く生きようとする
アニは家族のいる家に帰っていく、その後ろ姿を見ていると思ってしまう
【ベルトルトを救えなかった俺が悪い】
ライナー「なぁ、神様よ・・・・・・助けてくれ」
夜空に溢した言葉は風の音で誰にも届かない
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- 7 : 2016/09/22(木) 14:41:51 :
- ライナー「(懐かしいな、この辺はガキの頃に遊んで場所の近くだ)」
ライナーは家に帰る前に、思い出のある森へ行こうと歩き始める
ライナー「ガキの頃は楽しかったな、ベルトルトにアニ、俺とヒストリアでたくさん遊んでたのにな」
ライナー「たくっ、恨むぜ・・・本当によ」
子供の頃、皆で遊んでいた場所に向かったライナーは少しだけ気持ちが和らいだのを感じた
風の音、懐かしい森の匂い、静かな環境が傷付いた戦士の心を少しだけ優しくしてくれている
ライナー「・・・」
ライナー「そういや、ベルトルトがここでよく泣いたな・・・転びやすいからな」
ライナー「アニは城から抜け出したヒストリアと花で色々作ってたな・・・懐かしいな」
もう一度、子供に戻れるとしたら、俺はここで遊んでいた時に戻りたい
長い1日は終わらない、追いかけていた夢は地獄の炎で燃えてしまった
小さな夢を地獄の炎は簡単に消してしまう力を持っていたのだ
ライナー「・・・・・・」
ここで待っていれば、昔のように遊ぶことができるような気持ちが生まれてきてしまう
-
- 8 : 2016/09/22(木) 14:42:45 :
- 夜の風が戦士の体を冷やしていく、体が冷たいと感じながらも、この冷たさは死の冷たさに比べると暖かいことが戦士にはわかっている
ライナー「・・・ヒストリア・・・・・・俺は、いつか死ぬだろうな」
死ぬ前に、もう一度だけでいい、もう一度だけ昔のように話したい
ライナー「気持ちを・・・伝えたい・・・・・・死ぬ前に・・・」
自分の心に鍵をかけて2度と口にせず、2度と思わないと誓った自分の気持ち
それは戦士には不可能なことであった
アニ「伝えなよ」
ライナー「うお!?アニ!?」
アニ「そんなに驚く必要がある?」
ライナー「何時だと思ってるんだ!危ないだろ!」
アニ「はいはい、あい変わらずお兄さまなことで安心したよ」
ライナー「うぐっ・・・さっきぶりだな」
アニ「そうだね、ふふっ」
ライナー「なに笑ってるんだ」
アニ「ここに来るとさ、少しだけ元気がでるんだ」
ライナー「・・・・・・俺もだよ」
アニ「今日はライナーお兄様、ライナーお兄ちゃん、ライナーおじ様もいますしね」
ライナー「おじ様!?」
アニ「ふふっ!あはは!」
久しぶりにゆっくり話すことができる親友、戦士は心を開いて休むことができる一時の癒しであった
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- 9 : 2016/09/22(木) 14:43:30 :
- 思い出話に二人は素敵な時間を過ごしている
巡り会うことができたという真実に人々は奇跡と言うのか、それとも運命と言うのか・・・
アニ「ライナー、私さ・・・お見合いの話がきたんだよ」
ライナー「・・・そうなのか」
アニ「受けないよ、私は絶対に・・・結婚もしない、これから先、誰にも嫁がない」
ライナー「・・・・・・あいつは」
アニ「決めたの!」
ライナー「・・・アニ」
アニ「だって、だってさぁ・・・」
ライナー「・・・」
楽しかった話をしていた時とはしぐさも雰囲気も違う、親友の姿をみた時
ここまで愛した相手を思い続けることができる女性がライナーには誇りに思えると同時に、幸せになって欲しいという気持ちが戦っていた
アニ「私の大切な人は・・・これから先も・・・・・・ずっと」
アニ「ベルトルトなんだから」
誰しもが皆、別れと出会いを繰り返しながら生きている
その中で作り上げてきた愛や友情は進む道に迷った時に進む一筋の光になるかもしれない
ライナー「きっと、ベルトルトも・・・」
アニ「・・・」
ライナー「・・・・・・いや、絶対にお前を思い続けてるな」
ライナー「・・・・・・アニ・・・お前の人生に口出しする権利は俺にはない」
ライナー「お前の決めた人生なら俺は応援する・・・だけど、絶対に・・・絶対に・・・」
アニ「・・・」
ライナー「幸せになれよ」
亡くなってしまった人と、1度だけ話すことができたら、何を話すのだろうか
アニ「うん、ありがとう」
俺達は、幸せに暮らしたかった、普通の生き方をしたかった
それだけなんだ・・・
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- 10 : 2016/09/22(木) 17:13:57 :
- アニと話してから、数日が過ぎた
王から突然の伝令を受けた戦士達は恐怖と怒りを隠さなければならなかった
【最後の戦い】
何度も言われてきた【最後】という言葉、今までは疑っていた
しかし、全戦士を引き連れて戦うことになっている
相手の数を聞いた時、ライナーは多くの人が死に、多くの悲しみが生まれると今まで以上に感じていた
ライナー「・・・」
俺はここまでかも知れない
ライナー「・・・・・・」
会いたい
ライナー「・・・・・・・・・」
最後に会いたい
気が付いた時、体は動き出していた
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- 11 : 2016/09/22(木) 17:19:20 :
- 戦士と女王が【恋に落ちる】など【許されない】
その痛み、叫び、満たされない感情、寂しさなどが急激に体を走っていく
ライナー「ヒストリア、ヒストリア!」
走っていた、見つかってしまえば死刑にされてしまう可能性もある
それでも戦士は走っていた
生きてきた中で本気で【愛したい】と思えた相手に会って話がしたい、気持ちを伝えたい
「止まれ!!」
ライナー「うっ」
女王を護衛する門番に囲まれてしまった
「何の用があってここにきた?」
ライナー「ヒストリア女王・・・いえ、ヒストリアに昔のように話しがしたくて」
「貴様は戦士としての立場をどう考えている!!」
ライナー「・・・お願いします!会いたいんです」
「私たちには貴様をこの場で死刑にする権限がある」
ライナー「・・・」
「ここで死ぬということは、戦場で死んだ仲間達を侮辱する行為になるのではないか?」
「ベルトルト・フーバーだったな」
ライナー「ベルトルトは・・・」
「貴様も死ぬのなら戦場で死ね、それが戦士としての運命だ」
「貴様をヒストリア女王に会わせることはできない!!」
門番からの言葉にライナーは涙を止めることができなかった
そんな時・・・
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- 12 : 2016/09/22(木) 17:20:03 :
- 「私にはあなた達、門番を死刑にする権利があるけれど」
扉の向こうから聞こえてきた想いを寄せる相手の声に門番もライナーも驚いた
ライナー「ヒストリア!」
「無礼な!女王様に!!」
ヒストリア「黙りなさい、門番ども」
扉の向こうから話す、ヒストリアの言葉に門番は言葉を話すことができなくなった
ヒストリアは壁の向こうから話続けた
ヒストリア「久しぶりに近くに来てくれたね、ありがとう」
ライナー「ヒストリア・・・少しだけ・・・・・・少しだけでいい!」
ヒストリア「ごめんね・・・会えないよ」
ライナー「ヒストリア・・・俺は・・・・・・」
女王としての立場、戦士としての立場は愛し合う二人には大きな壁であった
目の前にある扉は二人にとってはとてつもない、巨大な壁である
ヒストリア「ライナーとベルトルトとアニと一緒に遊んでいた時ね」
ヒストリア「私、本当に楽しくて仕方がなかった」
ヒストリア「ずっと、ずっと一緒に遊んでられる、ずっと一緒にいて支えあえると思ってたの」
ライナー「・・・」
ヒストリア「・・・・・・ねぇ、ライナー?」
ライナー「なんだ?」
ヒストリア「生きて、生きて帰って来て・・・生きて帰って来てくれるだけでいい」
ヒストリア「貴方が生きてる、それだけでいい」
どれだけ愛していても、どれだけ思い続けていても許されない恋がある
生きる意味になっていても、許されない行為がある
ライナー「あぁ!わかった!!ヒストリア!俺からもお願いがある!」
ヒストリア「なに?」
ライナー「笑っててくれ、昔みたいな・・・あの笑顔をしてくれ!俺は笑ってるヒストリアが一番可愛くて、綺麗で大好きだ!!」
その言葉に門番は恐ろしい顔をしたが、ライナーは思っていることは全て言ってないから大丈夫だと判断していた
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- 13 : 2016/09/22(木) 22:02:10 :
- 扉越しに話される会話、顔を見ることができない
それでも、二人はわかり会う時間を過ごすことができている
ライナー「行ってくる」
ヒストリア「行ってらっしゃい」
ヒストリアとライナーが話した時間は数分の出来事であった
それなのに、二人には今までにはなかった、心の炎が灯っていた
決戦の日
ライナー「・・・」
大勢の仲間を引き連れ、先頭に立っているライナーは仲間の表情を見て何を思っているのかを悟る
最後の戦いになるだろう、大きな戦いに生きることを諦めていることを・・・
ライナー「お前ら、俺達は生きてここに戻ってこれる!」
「・・・無理だよ」
「・・・・・・俺さ・・・逃げたい」
ライナー「・・・・・・今から・・・この場を去る者は俺の権限で無罪にする」
「は!?」
「どういうことだ!!」
ライナー「大切な人がいるだろう・・・その人達との一生の別れになるかもしれないからだ」
ライナー「俺は大切な人がいるのに命を落とすようなことを仲間には言いたくない、指示もしたくない!」
ライナー「俺にも大切な家族、親友・・・がいる!俺は・・・俺は!そんな大切な奴等を守るために戦場で戦う!」
ライナー「去りたければ去れ!!そして、戦場の恐怖を大切な者達にも味わわせればいい!」
ライナー「その時、改めて武器をとればいい!!俺も戦士としてやってはいけないことをした!」
ライナー「俺にはお前らに命令する権利はない!!今、ここには!!俺と一緒に戦う覚悟のある者だけでいい!」
ライナー「ない者は!俺達の戦いを継いでくれ!それが俺の、戦士長としての最後の指示だ!!!」
その言葉を聞き、ザッザッという足音が聞こえ始める
何人も、何十人もその場を去っていくことがわかる
ライナーの他にも戦士長はいる、残りの戦士長も同じ考えだったからか、ライナーの意見に反対しなかった
本来ならその場で殺されてしまう
だが、恐怖で動けなくなってしまった戦士は命を落としやすい
ライナーは後々の為に、戦力になるかもしれない希望を残しておきたいという気持ちもある
もし、自分達がダメだった時、次に戦える力をなくしてしまったら、守らなければならない大切な何かを守ることができる人がいなくなる
ライナー「・・・俺にとって守るもの」
守るものは人それぞれ違う、それでも守るものの為に戦う
去っていた者達は戦力として健康状態が悪いと判断され強制的に返された
王には黙っておくというライナーの厚い信頼があってこそできた行動であった
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- 14 : 2016/09/22(木) 22:03:07 :
- 戦地へ向かう時、ライナーの頭にはなぜか昔のことが頭の中を駆け巡っていった
ライナー「・・・・・・」
大きな体にあった、大きな馬に又借り、ライナーは戦地へ向かう
ライナー「・・・・・・」
心の中に少しずつ生まれてきた感情があった
今までにも何度も感じてきた感情だ
ライナー「(・・・・・・怖い)」
戦地へ向かう時、何度も自分の最後を覚悟しながら進んでいた
風の音が、鳥の声が、目にはいる物、全てが自分にとって怖いと感じてきてしまう
ライナー「・・・・・・」
【生きて帰ってくる、もう一度、ヒストリアに会う】
ライナー「・・・・・・強い、俺は・・・強い」
強さとは一体なんなのだろう
鎧のような堅さを持った鋼の肉体が強いのか
巨大な体を手にした者は、誰にも負けないのか
1人で何十人分もの戦力を手にした人間は最強なのか
誰よりも優れた頭脳を手にした者は強いのか
ライナー「・・・・・・」
大切なモノを捨てる覚悟がある人間が強者なのか
ライナー「・・・・・・」
結果は誰にもわからない、勝者と敗者が別れてしまう現実は勝者を肯定するかもしれない
ライナー「ついたな」
目の前には多くの軍隊が広がっていた
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- 15 : 2016/09/22(木) 22:03:43 :
- ライナー「多いな・・・たくっ、どうしろって言うんだよ」
「ライナー戦士長、どうします・・・かなり多いですね」
ライナー「・・・・・・」
「・・・・・・絶望・・・ですね」
ライナー「俺達は、いつも通り・・・戦うことしかできないさ」
敵陣が大きな叫び声を出しながら、馬に又借り、武器を持ったまま走ってくる
「・・・!」
ライナー「銃の準備!!」
「はっ!!」
ライナー「突撃だと・・・?的にしてくれとしか・・・・・・何か・・・あるのか」
正気とも思えない表情をした敵陣の兵士達に、ライナーは違和感を感じていた
最初は銃撃戦を予想していた
それがいきなり突撃してくることに違和感があった
「変です!あの表情は!?」
ライナー「っ!撃て!!」
パーン!という銃口の音が何度も鳴り響いた
相手は地面に倒れていく、その姿を見た時、少しだけ安心した気持ちがあった
ライナー「・・・倒せる・・・・・・よな」
相手は傷から血を流しながら倒れている
問題は全くない、ライナーは次の攻撃の準備をしようとした
そんな、時・・・・・・
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- 16 : 2016/09/23(金) 10:53:22 :
- ライナー「何だ・・・あれは」
倒れた兵士達が立ち上がり、生気のない表情で歩いて向かってくる
ライナー「もう一度!もう一度、撃て!!」
再度、敵陣に発砲した
ライナーは恐ろしいモノを目にしてしまう
ライナー「傷口から・・・煙?傷が・・・治ってる・・・・・・だと」
死なない敵、無敵の軍団を引き連れてきた相手は、ライナーにとって地獄の軍団に見えていた
「ライナー戦士長!ど、どうしますか」
ライナー「・・・本国に・・・・・・伝えろ・・・敵は、何か・・・不死の力を手に入れた・・・可能性がある・・・・・・と」
「伝達・・・するようにします・・・・・・そして・・・どうしますか」
ライナー「・・・・・・ちっ!くそが!」
無敵の軍団を相手に会って、どう戦えばいいのかわからない、ここで逃げてしまえば、これからの戦いが完全に不利になる
少しだけでも情報が必要であった
ライナー「伝達班は戦闘に参加せず、すぐに退却できる距離を確保しろ!」
ライナー「そして、少しでもいい!戦いを見ながら相手の化け物の情報を集めて本国に帰還しろ!」
ライナー「・・・・・・残りは・・・ここで、俺と一緒に戦ってくれ・・・」
こんな時代に生まれてきたのは【運命】だったのだろう
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- 17 : 2016/09/23(金) 17:31:56 :
- ライナー「全軍、突撃!!」
残りの戦士長も、ライナーの考えに賛成していた
生き残っている者達に未来を切り開いてもらう考えをしていたのだ
ライナー「(ヒストリア!)」
ライナー達は馬にまたがったまま、相手を攻撃した
どこを攻撃すれば相手を倒すことができるのか、どこが弱点なのかをこの戦いで見つけておきたかったのだ
ライナー「化け物が!!」
何度も何度も立ち上がってくる敵に、ライナーは体の底から恐怖を感じていた
このまま終わるのかという恐怖が襲ってくるのだ
「倒した!!ライナー戦士長!弱点がわかりました!!」
ライナー「どこだ!?」
「うなじです!!うなじを切ったら倒せます!!」
ライナー「弱点が・・・あれば!勝てる!!」
ライナー「戦士よ!!!」
ライナー「戦え!!!!!」
伝達班は弱点を見つけたことに歓喜した
全ての詳細を詳しく書き残している
そんな、ライナー達を敵の兵士長達が【笑って】見ていた
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- 18 : 2016/09/23(金) 17:33:33 :
- 無敵の軍団、不死の力を手にした敵の弱点、微かな希望にライナー達は命の火を甦らせる
ライナー「いいか!絶対に負けるな!!」
次々と敵を倒していくライナー達、それぞれが戦いの中で生きる力を強くしていく
「・・・無駄な足掻きだな」
そんなライナー達を見ている相手は不気味な笑みを見せながら、「無駄な足掻き」だといいはなっていた
「覚悟しろ、今回は完全に貴様らの息の根を止めてやる・・・」
「やりますか?少しだけ早いかと思いますが」
「ふっ・・・どのみち結果は同じだよ」
敵は不死の力を持っていない兵士達に指示を出した
その指示を見た兵士達は、液体の入った瓶をあけると飲み始めた
ライナー「な・・・は?」
瓶を飲み干した兵士達は、体が巨大化し、大きな人形をした化け物に姿を変えていく
「なんだ!?」
「巨人・・・・・・?」
ライナー「あ、あいつらも・・・うなじを切ったら死ぬのか」
「どうやって・・・切るんです・・・・・・か?」
相手は15メートルはあるであろう巨体、どうやっても「うなじ」まで武器が届かない
そもそも「うなじ」が弱点なのかどうかもわからない状態に絶望が再び甦る
そんな、ライナー達に巨人の手が近づく
「うわっ、うわぁ!!!!!」
ライナー「っ!」
巨人に捕まった仲間を助けようとライナーは馬を走らせた
そんなライナーの目におぞましい光景が飛び込んできた
ライナー「えっ・・・は?食った・・・?」
巨人に捕まった仲間は断末魔のような叫び声をあげながら巨人に捕食されてしまった
巨人達は知性がない様子で、敵の軍団は自分の国へ帰っていく様子が見れる
ライナー「敵も味方も・・・区別をつけることができない化け物を・・・・・・」
ライナー「世界に放ったのか!!?」
無差別に殺戮を繰り広げる巨人、作り上げた敵の国には対処法方があるのだろう
敗北の2文字がライナーの頭を過った
-
- 19 : 2016/09/23(金) 23:27:12 :
- ライナー「(どうしたら・・・どうすれば・・・・・・)」
「ライナー戦士長!指示を!!」
仲間の叫び声が、自分の指示を聞きたい仲間の叫び声が心を突き刺していく
ライナー「あっ・・・」
「えっ・・・あっ!うわぁ、ああああ!!!」
次々に食われていく仲間、地面に落ちていく仲間の死体、仲間の血が地面を覆っていく
ライナー「あっ・・・どうして・・・・・・どうして・・・こうなる」
ライナー「俺達は・・・どうして奪われる」
ライナー「仲間も・・・友達も・・・家族も・・・恋人も・・・大切なモノが・・・」
信頼している仲間の選択、自分自身で決めた選択、どれを選んでも結果はわからない
選択の余地すら与えられない時もある
絶望がライナーを襲い、先程まであった微かな希望も消えていく・・・
ライナー「・・・・・・撤退しろ!!生き残ってる者は!今すぐに撤退しろ!!」
ライナー「そして!生き延びた者は今回の全てを国へ伝えるんだ!!!」
そう叫んだ後、ライナーは1人で巨人の群れに飛び込んでいった
「ライナーに続け!!」
「でも!」
「あいつは1人で時間を稼ぐつもりだ・・・何人か撤退しているな・・・あの人数が戻ることができれば問題はない」
「俺もライナーさんに続きます・・・」
「うおおおおお!!!!!」
ライナーの姿に仲間も走っていく、心を動かし、命を投げ捨てる覚悟で巨人へ向かっていく
-
- 20 : 2016/09/23(金) 23:28:26 :
- ライナー「うぐっ!」
巨人の攻撃をギリギリでかわしながら攻撃を試みるが、何度も何度も再生していく
心が折れてしまう前に、武器が意味のないモノになってしまう寸前であった
ライナー「!?」
自分の周りで巨人に殺されていく仲間の姿が目に飛び込んだ
ライナー「撤退しろって言っただろうが!!」
「ライナー戦士長!!ありがとうございました!!」
ライナー「あ・・・あぁ」
「うわぁ、うぐっあぁ・・・」
ライナー「・・・・」
世界は残酷すぎる。普通に生きようとしていただけなのに、残酷な世界へ投げ込まれてしまっていた
ライナー「どうすれば・・・いいんだよ」
ライナー「もう、辞めてくれ・・・・・・助けてくれよ」
心も体も叫んでいた「助けてくれ」と・・・
ライナー「・・・なぁ・・・ベルトルト」
ライナー「今度さ・・・生まれ変わってきたら・・・・・・馬鹿みたいに遊ぼうな」
ライナー「アニとヒストリアも一緒に・・・皆で魚釣ったり」
ライナー「デートしに行ったり・・・俺達ができなかったこと・・・」
ライナー「全部・・・やるんだ、絶対に・・・」
巨人がライナーの体を掴み、持ち上げた
変な動きをする巨人で、すぐにライナーを食べようとしなかった
ゆっくりと口へ運ばれていく時、ライナーは走馬灯を見ていた
今までの全てがゆっくりと頭の中を流れていく
ライナー「ヒストリア・・・大好きだ・・・」
ライナー「どうか・・・・・・幸せになってくれ」
大きな敗北をぶつけられてしまった
巨大な体を手にした化け物達は勝利の雄叫びを叫びながらバラバラに歩いていった
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- 21 : 2016/09/23(金) 23:51:23 :
- 大粒の雨が城へ、町へ降り注いでいく
そんな場所へ、戦地から生き延びた戦士達が戻ってきた
彼等から聞いた言葉に、全ての人間が絶句する
信じられないが、生き延びた者が数名しかおらずに、撤退する時に持ってきた敵国の兵士の死体を見せた時・・・
「研究・・・今すぐに調べろ!!巨人はすぐに襲ってくる!!」
民衆が見つめるなか、生き延びた戦士は叫んだ
この日を境に、研究者が巨人に対抗することができる武器の生産、巨人から身を守る為のシェルターを作り始めた
そんな状態を城の上からずっと空を見ている者がいた
ヒストリア「・・・・・・」
ヒストリア「・・・・・・こんな世界・・・」
ヒストリア「なくなってしまえばいいのに」
全てが嫌になってしまった
帰って来た戦士の中に、大切な人がいなかった
ヒストリア「巨人・・・か・・・・・・こんな町・・・今すぐにでも壊しに来てくれればいいのに」
ヒストリア「眠たくなってきた・・・ずっと、寝ていたい・・・ずっと・・・」
夢の中でなら、子供の頃のように仲良く過ごすことができる。ずっと夢の中にいたい。
何日も何日も過ぎていく
民衆はいつ襲ってくるかわからない巨人の恐怖に怯えて暮らしていた。
-
- 22 : 2016/09/24(土) 11:49:21 :
- そして、反撃される側が相手国からの恐怖から身を守る方法が見つかる
「巨人から我々を守る方法を考えました・・・そして、その為に必要な薬も出来上がりました」
ロッド「ならば今すぐに・・・なんだ?」
「この注射をすることで、巨人になることができます」
ロッド「・・・」
「その後、すぐにその巨人は深い眠りにつき、自らの体を硬化な要塞として生まれ変わります」
「王よ、この国はあなたの国です。あなたが民衆を守る人柱に・・・」
ロッド「ふざけるな!!!」
「あなたがやらなければ、今まで死んでいった戦士の家族達は!」
ロッド「いいや、俺がやらなくても大丈夫だ・・・いい実験台がいるしな」
「は?」
ロッドは不気味な笑みを浮かべながら、その注射を手に取り、民衆を集めるように指示を出した
【最強の要塞】を手に入れる為に作られた注射を使い、ロッドは巨人からの驚異から免れようとする
しかし、それは父親として、人間としてどうなのか、心を悪魔に売ってしまった人間の末路なのかもしれない
ロッド「・・・ヒストリア、大切な話がある」
ヒストリア「・・・」
ヒストリアを呼びつけたロッドは、ヒストリアには生まれながらの使命があったと語る
もちろん、そんな使命は存在していない
ロッドは自らの身を守る為に我が子を犠牲にしようとしている
ロッド「お前は、これから女王ではなく、神として祈られる立場に立つことになる」
ロッド「これはお前にしかできないんだ」
ヒストリア「・・・・・・」
ヒストリアは、父の表情を見て感じていた
心に思ってもないことを話していると、それでもヒストリアは眠りにつきたかった
どうでもよくなっていたのだ・・・・・・
-
- 23 : 2016/09/24(土) 11:49:56 :
- 民衆が町の外れに集まってくる
そんな彼等に王であるロッドが語り始める
ロッド「我々は、これから祈りを神に捧げ続けることになる」
ロッド「奴等は人間を滅ぼす為に巨人という殺戮生物を世界に放ったのだ・・・いつ、ここも襲われるかわからない」
ロッド「だが、我々を守る方法を見つけることに成功した」
ロッド「本来なら、私がその役を・・・私がその人柱になるべきなのだが」
ロッド「私はまだ眠るわけにはいかない、私はまだ戦う!だから!私の娘が神として!!我々を守ってくれる!!」
ロッド「さぁ!祈りを捧げろ!!」
偽りの言葉、偽りの祈り、偽りの愛、偽りの王
ヒストリア「・・・」
怒りや悲しみ、様々な感情が生まれてきたヒストリアは、眠りにつく前にある言葉を発する
-
- 24 : 2016/09/24(土) 11:50:46 :
- ヒストリア「多くの人が・・・無意味な争いに巻き込まれて死んでいった」
ロッド「ヒストリア?」
ヒストリア「無駄な争い・・・無意味な争い」
ヒストリア「我が子を戦場に送る親の気持ちをなくした動く人間ども」
ロッド「・・・・・・ヒストリア?」
ヒストリア「黙れ」
ロッド「・・・・・・」
ヒストリアの迫力に、ロッドも民衆も黙ることかしかできなかった
ヒストリア「これから、きっと、この国は巨大な力によって閉じ込められる」
ヒストリア「自由なんて言葉は消えてしまうだろう」
ヒストリア「お前達は、鳥籠の中に囚われた惨めな負け犬達だ」
ヒストリア「そんなお前達を、私はこれからずっと見ていてやる・・・そして、この国が滅びた時が私の真の自由だ」
ヒストリア「2度目の人生を手にした時、私は絶対に自分の好きなように生きていく」
ヒストリア「私はお前らの命を守る為に神等という意味のない、ふざけた存在になるわけでなはない」
ヒストリア「自惚れるな」
ヒストリアは、民衆が驚いた様子を見せるが何も気にしないで自分の腕に注射を打ち込んだ。
-
- 25 : 2016/09/24(土) 11:52:12 :
- 民衆とロッドの目の前に雷が落ちた
今まで目の前にいたヒストリアは巨大な巨人に姿を変えていく
アニ「・・・・・・ヒストリア」
その姿を見て、民衆と王は巨大な力を目の辺りにしていることに驚いている
戦場から生き延びた戦士達は恐ろしかった記憶が甦る
「あああああぁ!!!!!!!」
断末魔のような声をあげた巨人、その声からはヒストリアの面影は消えていた
「・・・」
巨人はゆっくりと目を閉じると、銀色の高質化に包まれていく、その高質化が国全体を守る壁になるのはほんの数秒の出来事であった。
ロッド「凄い・・・これぞ、神の力」
「何メートルあるんだ・・・この壁・・・いや、要塞は」
目の前には大きな要塞、敵からの攻撃を防いでくれるであろう壁は50メートルはあると推測された
民衆は歓喜の声を掲げていた
ヒストリアが今さっき言っていた言葉など、忘れているようだった
アニ「・・・・・・」
だが、一人の女の目には強い、怒りと悲しみが感じられる。
-
- 26 : 2016/09/24(土) 11:52:51 :
- 壁が作られ、数週間が過ぎた
アニは1人で悩み、苦しんでいた
忘れたくない記憶、忘れたくない人、忘れたくない声、忘れたくない温もり
アニ「・・・・・・」
全てを奪われてしまった
そんな気がして仕方がない、笑っていたあの頃には戻れない
アニは小さな花を大切な人が眠る墓に添えに行った
大切な友達が壁となり守る国、ここに幸せが生まれるのかを信じることができなくなっている
アニ「本当に・・・大きな壁だよ」
アニ「ヒストリア・・・・・・あんたは本当にこれでよかったの?」
アニ「ライナーのこと、好きなの知ってたよ」
国を守る大きな壁に声をかけてみても、返事は返ってこない
わかりきってる、それでも声をかけると返事をしてくれるんじゃないかと感じてしまう
アニ「・・・・・・」
アニは小さな墓が並んでいる所までゆっくりと歩いていく
見えてきた墓の隣には新しい親友の名前が書き込まれた墓地ができている
アニ「全く・・・二人して先に逝っちゃうなんてね」
アニ「ベルトルト・・・ライナー?私はこれから誰に愚痴やら相談をすればいいのさ?」
アニ「・・・・・・」
アニ「返事してよ・・・・・・お願いだからさ」
何度も声をかけるアニの瞳からは涙が溢れていく、そのうち声を出して泣きはじめてしまった
-
- 27 : 2016/09/24(土) 18:47:53 :
- アニ「ずるい・・・なんで・・・・・・なんでさ」
アニ「置いていくかな・・・・・・ずっと3人で頑張ってたじゃないか・・・」
アニ「ヒストリアもだよ・・・何で、何で勝手にさ!!」
前を見ても、後ろを見ても、自分が進むべき道がわからなくなってくる
頭がいたい、心がいたい、子供の頃に戻りたい・・・
アニ「うっ・・・くっ・・・な、何で・・・」
アニ「帰ってきてよ」
大好きな二人の名前が書き込まれた墓、1人はそこに骨を埋葬すらされていない
巨人という存在に食べられてしまっているからだ
悲しみや、苦しみを伝えようとしても、誰にも届かない
アニ「・・・・・・」
そんなアニを空は何も気にしないまま、冷たい雨を降らし始めた。
-
- 28 : 2016/09/24(土) 18:48:32 :
- 冷たい雨が体を冷やしていく
大切な親友は冷たい雨よりも冷たい場所で最後を迎えたのだろう
アニ「・・・・・・」
壁の方をみると、この世界はこれから先、同じような戦いが起こるのだろう
壁を作るために、人をゴミのように怪物に変化させ、都合よく【神】として民衆に祈りを捧げさせる
アニ「残酷だね・・・本当にさ」
アニ「ヒストリア、あんたは自由になりたいはずだ」
アニ「2度目の人生を手にした時、私は好きなように生きるって言ってたよね」
アニ「私がそこから出してあげる・・・2度目の人生を手にさせてあげる」
アニは冷たい雨の中、強い覚悟をした瞳になる
今まで1度も見たことのない、強い瞳には眠っていた獅子が目を覚ましたかのような様子であった
雨の中をアニは1人で歩いていく
今までの大切な思い出を思い出しながら、一歩、また一歩踏み出していく
アニ「ベルトルト・・・ライナー・・・ヒストリア」
アニ「取り返してみせるよ、奪われたモノ、全部・・・絶対に取り返してみせる」
アニは雨の中を歩いて消えていく
彼女の行方を知るものはいなかった・・・・・・
-
- 29 : 2016/09/24(土) 18:49:16 :
- 壁が作られてから10年、国は命の危険を感じることがなくなってしまったからなのか
民衆も戦士も王も全ての人間が家畜のように生きていた
そんな人間をゴミのように見ている者達がいた
アニ「いいかい、まずは城に侵入して研究室を目指す」
「研究資料を奪う、そして、研究で作られた武器や薬があるはずだ・・・それを根こそぎ奪ってくる」
アニ「その通り・・・熱心な研究者が多いのに私達には武器が作られたとかの情報は入ってない」
アニ「国が隠してるはずなんだ」
「この国を・・・取り戻す・・・」
アニ「・・・・・・通路の検討はついてる、絶対に成功させるよ」
国へ対して不満を持っている者達が【革命】を起こす為に集まっているのだ
傲慢な王の首を民衆に突き付けるだけでなく、隠された真実を証明する
アニ「行くよ・・・私についてきな」
獅子の群れに集まるのは獅子、その獅子をまとめる女の姿はまるでジャンヌ・ダルクのよう・・・
「お前がいてくれてよかった」
アニ「・・・・・・大切な仲間達が殺されたんだ・・・ここにいる理由なんて当たり前さ」
「・・・・・・パラレルワールドって言葉を知ってるか?」
アニ「なんだい、それは?」
「この世界とは全く違う世界があって、違う世界では全く違う生活をしている俺達がいるかもしれない」
「様々な世界があって、この世界もその中の1つ・・・別の世界では、幸せな俺達がいるかもしれない」
「そう考えると、少しだけ元気がでないか?」
アニ「あんたはか弱い乙女か・・・嫌いじゃないけどね、その考えは・・・」
普通に生きようとしていた、普通の人間としての幸せを手に入れたかった
それが偽りの力によって遮られるのなら、私は戦う
アニ「(ベルトルト・・・ライナー、ヒストリア・・・・・・私もさ・・・)」
【戦士】になるよ
獅子の群れは偽りの王の元へ歩みを進めていく
真の自由と幸せを手に入れるために、壁の中で眠っている友を目覚めさせるために・・・
Fin
-
- 30 : 2016/09/24(土) 21:33:38 :
- 先生お疲れ様でした!!
意外な結末でビックリしました!アニ強し!
これからも執筆頑張ってください!応援してます!
-
- 31 : 2016/09/24(土) 22:37:48 :
- 刹那さん
先生なんかじゃありませんよ!笑
今まで書いてこなかったような内容も書いてみたいと思ってたので!アニさんは強いですねw
コメントありがとうございます!刹那さんも執筆活動頑張ってください!
-
- 32 : 2016/09/25(日) 09:20:59 :
- エレアニさん!お疲れ様です❗とても面白かったです!(*´∀`)ノ次作にも期待しております(´∇`)
-
- 33 : 2016/09/25(日) 16:14:13 :
- 心の充電器さん
読んで頂き本当にありがとうございます!
楽しんでもらえて嬉しいです!コメントもありがとうございます!
-
- 34 : 2016/09/29(木) 09:03:24 :
- ライナーのイケメンさに惚れました!
守る為に戦う!グッときました!(*´ω`*)
素晴らしい作品でした!お疲れ様でしたd(^-^)
-
- 35 : 2016/09/29(木) 13:20:25 :
- 愛 ラヴ Youさん
そう言って貰えて嬉しいです!
ライナー大好きなんで、かっこよく書きたいんですwコメントありがとうございます!
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- 36 : 2017/07/30(日) 00:08:55 :
- もっと前からこの作品を知るべきだったなー
表現や書き方がとても上手くて頭の中で映像?を思い浮かべてましたww
この作品に出会えたことに感謝です(*・ω・)*_ _)ペコリ
これからSSを書いていくうえで参考にさせて頂きます。。。
-
- 37 : 2017/07/30(日) 09:47:59 :
- ゆー@新兵さん
コメントありがとうございます!
そう言っていただけると嬉しいです!こちらこそ、読んで頂き本当にありがとうございます!
ゆー@新兵さんの作品、楽しみにしてますね!
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- 38 : 2017/07/30(日) 14:10:37 :
- >>37
ありがとうございます(*・ω・)*_ _)ペコリ
期待に添えるように頑張ります^^*
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- 39 : 2017/08/17(木) 11:26:24 :
- 面白い
-
- 40 : 2017/08/17(木) 11:26:36 :
- ホモゴリラナイス
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- 41 : 2020/10/06(火) 14:04:10 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
http://www.ssnote.net/archives/78042
害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
http://www.ssnote.net/archives/80906
害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=38
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- 42 : 2020/10/06(火) 15:06:01 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
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何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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- 43 : 2020/10/26(月) 13:51:19 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
-
- 44 : 2022/09/18(日) 06:24:27 :
- いい歳をしてこんなの書いて恥ずかしくないのか(^ω^)
http://www.ssnote.net/archives/93063
http://www.ssnote.net/archives/93062
http://www.ssnote.net/archives/93061
http://www.ssnote.net/archives/93004
http://www.ssnote.net/archives/93005
http://www.ssnote.net/archives/93006
http://www.ssnote.net/archives/93007
http://www.ssnote.net/archives/92983
http://www.ssnote.net/archives/92982
http://www.ssnote.net/archives/92981
http://www.ssnote.net/archives/92980
http://www.ssnote.net/archives/92979
http://www.ssnote.net/archives/92978
http://www.ssnote.net/archives/92977
http://www.ssnote.net/archives/92976
http://www.ssnote.net/archives/92975
http://www.ssnote.net/archives/92974
http://www.ssnote.net/archives/92973
http://www.ssnote.net/archives/92972
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http://www.ssnote.net/archives/92970
http://www.ssnote.net/archives/92969
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