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追憶②
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- 1 : 2016/09/18(日) 09:56:02 :
- 過去レス
『追憶』
http://www.ssnote.net/archives/48585
前作『蛍』の続編・・・なんですが・・・
どうなる事やら。
前作を読んでないとあんまわかんないです。
前作『蛍』
http://www.ssnote.net/series/2989
オリジナル設定多数。
キャラ崩壊バリバリ。
細かい事は抜き。
因みに私、艦これはやった事ございません。
おそらく筋金入りの提督さんには向かないと思われます。
以上を踏まえた上でお付き合いいただけたらと・・・思っております。
申し訳ないです(;゚(エ)゚) アセアセ
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- 2 : 2016/09/18(日) 10:04:16 :
- 床一面に広がる紅く毛足の長い絨毯がレース越しの陽光に照らされて、まるで燃え上がるような色合いに染まっている。
執務机一つ取ってみても、鎮守府の執務室とは大違いなほどの重厚さを醸し出し、窓の近くに立てかけられている日本国国旗、国防海軍旗、国連統合海軍旗は風にはためく事も無く、項垂れながらも存在感を放っている。、
広々とした室内に据えられているそのソファは、座り心地が最高でついついゆったりとくつろいでしまう。
新宿区市ヶ谷にある国防海軍幕僚監部に呼ばれた大川は、幕僚長の秘書官に出されたお茶を啜りながら暫しの安息を味わっていた。
いつも一緒に行動してくれている長井課長補佐は午後の会議への出席のために同行していなかった。
都会の真ん中にあるこの建物なのに、執務室には外の喧騒は入ってこず、大川は静かな空間で幕僚長の到着を待っていた。
幕僚長の呼び出しは毎回急で、本当は本日午後の会議も大川が出席するはずだった。
まぁ課長補佐は優秀だし、彼女に任せておいてなんら問題は無い。
そのための資料作りは彼女と共同で行ってきたし、今回の議題に関しては彼女も深く把握している。
今回は呉への出張前から相当彼女に苦労をかけているし・・・今度穴埋めにどこかお酒の美味しいお店にでも誘ってみよう・・・大川はぼんやりと物思いに耽りながら壁にかけられている額縁内の写真を眺めていた。
お偉いさんや海外の高官らとにこやかに握手を交わす画像や、並んで撮影されている記念写真・・・
その中に一際目を引いた画像がある。
大分色あせてしまっているが若かりし頃の幕僚長と思われる人物が映る写真。
背景には開発中の機体と思われるカラーリングの航空機が映っている。
パイロットスーツに身を包み、にこやかに肩を組みながら共に映っているのは----------
重厚なドアの向こうから足音が聞こえる。
大川は物思いに耽りながら対面の写真を眺めていたが、即座に立ち上がり姿勢を正した。
スーツの皺を伸ばすように裾を引くと、ネクタイを直す。
「やぁ・・待たせたね」
幕僚長はにこやかにそういうと同行していた自らの秘書に暫く誰も取り次ぐなと一言告げ、自分の執務机に急ぐ。
「いえ・・・お久しぶりです幕僚長」
大川は真剣な顔で幕僚長に挨拶をすると着座を促され席に着く。
幕僚長は自分の机の引き出しから資料を出すと大川の対面に座った。
他愛の無い世間話を続けると秘書官がお茶を持ってくる。
大川は新しく入れられたお茶を一口含むと、秘書官の背中を見送るタイミングで自らのカバンから資料とタブレットを取り出した。
「今回の呉の出張の際に行われた演習データによると・・・・」
「例の予備電算機、通信ネットワークユニットだな?」
「そうです。様々なデータの転送速度、処理の精度は良好で・・・」
二人はテーブルを挟み資料とタブレットの画像、動画などを交えて情報を交換する。
お互いに話に夢中になり、終了予定時間を大幅に過ぎていた。
結局、幕僚長はその後の会食をキャンセルし、そのまま大川と話を続けていた。
「そういえば、今日は長井くんは同行してないな?」
幕僚長は秘書官に出された新しいお茶を啜りながら一息つく。
大川は今気付いたのかと言わんばかりの表情を隠そうともせずに苦笑いをした。
「長井は本日、私の代わりに社での会議に出席していますよ。もう終わっていると思いますが・・・何なら呼びますか?」
大川は机に広げられた資料を片付けながら答える。
「いや・・・それはいいよ。君と彼女は常に一緒に行動するイメージがあったからね。珍しいなと思ってね」
「幕僚長にはいつも急に呼び出されますからね。何も予定の無い時ならいざ知らず、今日のような状況では別々にせざるおえないでしょう?」
大川は幕僚長の言葉にしれっと皮肉を込めて返す。
「やけにつっかかるな」
幕僚長が冷えてきたお茶を飲み干しながら大川にごちる
「そうですか?」
大川はタブレットの電源を落とすと、カバンにしまいながら幕僚長を見据えた。
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- 3 : 2016/09/18(日) 10:04:29 :
「幕僚長・・・いや、飯島さん」
「どうした?改まって?」
飯島は対面に座ったまま、膝に手を置いて大川を見返す。
大川も膝に肘を付き、飯島幕僚長を見つめる。
「飯島さん・・・貴方は何を知ってるんです?」
「何って・・・なんだよ?」
「俺が死んだ後、貴方は呉鎮守府司令官として赴任したそうじゃないですか」
「ああ・・そうだよ?」
「その時はまだ彼女は解体されては居なかった・・・」
大川は身を乗り出すように飯島に強い視線を向ける。
飯島は眉間に皺を寄せる。
「まだ『長門さん』は解体されては居なかった・・・なぜ教えなかったんですか?」
「お前の事をか?」
飯島は立ち上がると、腰を伸ばし窓際に歩いてゆく。
あたりは夕暮れに染まり、遠方を眺めるとビル群と靖国通りを行き交う車のヘッドライトが流れてゆく。
大川は飯島の背中を見つめ続ける。
飯島はその視線を感じながら話を続けた。
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- 4 : 2016/09/19(月) 20:25:13 :
- 「言える訳ないだろう?あの時はまだ前幕僚長は現役だったし、お前の再生に関してだって成功する見込みすら薄かった。そりゃ俺だって言いたかったさ。長門に何度と無く翻意を促した。明石も、夕張も、他の全ての艦娘だって解体直前までずっとそうだったんだ。」
「・・・」
飯島の言葉に大川は黙り込んだ。
大川自身、後日聞いたとは言えそれぞれの胸の内は判りすぎるくらい判っているからだ。
「彼女はミッドウェーでのお前の死は自分の責任だと・・・自責の念に駆られていた。自らの油断が招いた事だと。作戦終了後、傷の癒えぬまま此処に報告に来た際、前幕僚長の発言が看過出来なくてな・・・胸座掴んで危うく暴力事件って所だった。」
飯島が振り向きながら厳つい顔をほころばせる。
そのままソファへ向かって歩いてゆき、もう一度大川の対面に座った。
よっこらしょと無意識に口走る飯島の頭には白いものが混じり、時の流れを感じさせる。
自らは一度死に、国防軍の極秘計画の中で再び生を受け、結果新しい体を手に入れる事になった。
本来なら飯島とそれほど歳も変わら無かった筈、自分もきっとこんな風に年老いていたのだろうなと内心に呟き、先日の呉出張の際に久しぶりに会ったかつての部下である山瀬海将補を思い出した。
アイツも歳を重ね、良い男になっていたな・・・・。
大川はなんだか自分だけ世間から取り残されているような気分を味わい、対面に座る飯島を見つめた。
「何度も彼女に伝えようと思ったさ。でもな・・・もしお前がそういう状態であるという事が何処からか漏れたら?まだ動物実験が成功したレベルだったし、確実性も無かった。第一お前が生き返る可能性があると判れば、それこそ前幕僚長が計画を潰しに掛かるだろう。そのくらいお前は情報を持ちすぎていたんだ」
「なぜそんなリスクを犯してまで・・・俺を生き返らせたんです?」
大川が飯島に迫る。
飯島はその厳しい目線に身を乗り出し、その瞳を見つめ返した。
「言い方は悪いが・・・一番手頃にあったからだ。ちょうど実験体を探していたところだった。山瀬には作戦開始時にすでに申し着けていた。前幕僚長はお前の死を一番望んでいたからな」
険しい目線を、突然柔和な表情に変えながら飯島は続ける。
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- 5 : 2016/09/19(月) 20:27:41 :
- 「お前の戦死の報告を聞いた時、山瀬には言ってあったが保全の状態の事もある。当初は記憶は残らないだろうと言われていた。正直お前が生き返るなら、それだけでもいいと思っていた。護衛空母『かが』の霊安室で、お前の亡骸から離れようとしない長門の姿を見て、涙を隠せなかったと山瀬は言っていた。本当は伝えたかったよ。何度もそう思った」
飯島は一旦言葉を切る。
前かがみになり、肘を両足に乗せた状態で俯く飯島。
大川は彼を見つめ続ける。
突然天井を仰ぐように見上げると、溜め息を吐きながら話を続けた。
「再生に成功して、記憶が残っている事が判った時、前幕僚長の・・・この際悪事とでも言おうか。そういうものが一気に明るみに出せると思った。あの人の酷さはお前が身をもって判っていたろう?前幕僚長失脚後、前々任の幕僚長・・・真嶋さんを呼び戻したかったが・・・真嶋さんはもう戻る気はないと言っていた。だから俺にお鉢が廻ってきた」
大川は飯島の言葉に黙って頷く。
彼も前幕僚長のことは快く思っていない。
前々任の真嶋幕僚長は人格者だった。
大川の能力を見抜き、呉鎮守府の最年少司令官に任命するほどの気骨と判断力を持った人だ。
もちろん彼のそんなやり方には様々な反対もあった。
その最先鋒に居たのが当時海将だった前幕僚長の佐伯だった。
彼は真嶋幕僚長のスキャンダルをでっち上げると、一気に退陣に追い込み、彼の周りに居た人材を悉く人事異動という『粛清』の毒牙に掛けた。
兵器製造の発注を巡る癒着、贈収賄、様々な汚職・・・佐伯は自らの欲望を暴走させていた。
当然人格者たる真嶋の下には様々な情報が入ってくる。
しかし真嶋にはもう佐伯と一戦を交える気力は無い。
当時足繁く通い真嶋を説得し、再び返り咲いてもらおうと動いていた大川にそのそべての情報は託された。
大川は飯島に頼み、大川が様々な情報を持っていると佐伯派の人間にリークさせ、飯島を権力闘争から遠ざけた。
飯島はその詳しい情報は知らない。
佐伯はその情報を持っているとされる大川と取引をしようと持ちかけるが彼は拒否。
当然大川は佐伯に狙われる事となる。
只でさえ艦娘採用会議の席で恥をかかされている大川を快く思っていなかった佐伯は、ミッドウェー作戦の際の大川の航空作戦出撃に際しすんなりと許可したというのはご存知の通りである。
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- 6 : 2016/09/19(月) 20:29:58 :
過去を思い出しながら飯島の言葉を聴く大川の様子を見ながら、飯島は口元を緩める。
静まり返った執務室のドアをノックする音が聞こえると、秘書官が新しいお茶を持って入ってきた。
二人はそのお茶を受け取ると、落ち着くために一口啜る。
飯島は秘書官が執務室を出てゆくタイミングで口を開いた。
「それと・・・本計画の最重要課題だった神経伝達速度の向上、肉体の強化、処理速度の向上・・・まぁお前さんの場合はとにかく生き返らせることが目的だったからそこまではな・・・しかしそのせいで『老いる』という事がなくなってしまったが・・・」
飯島は溜め息を吐くと自らの後ろに飾られている写真を見やる。
大川はその目線の先の写真を見ることが出来なかった。
「最後に一つ聞いてもよろしいでしょうか?」
大川は伏せ眼がちに飯島に尋ねる。
今更散々聞いてるのに・・・なんだよと一言笑いながら発すると、飯島はまた窓際まで歩いていった。
「長井さんが持っている指輪・・・何故彼女があの指輪を?」
「指輪?なんのことだ?」
「彼女がネックレスに通している2つの指輪です。ご存じないですか?」
「初耳だな・・・」
飯島は自分の執務机に座ると、大川に目線を移す。
大川はすでに身支度を終え、その場に立っていた。
「その指輪がどうかしたのか?」
「あの指輪は僕が長門さんに死の間際、渡したものです。それを何故長井さんが持っているのですか?」
「・・・長門が解体される前夜、呉鎮守府の突堤で酒盛りになった。その際に長門が陸奥に何かを渡していたのは知っている。詳細はわからん・・すまんな」
大川はそれだけ聞くと、失礼しますと一言残して執務室を出た。
飯島は出てゆく大川の背中を見送ると、溜め息を吐いた。
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- 7 : 2016/09/24(土) 19:25:19 :
「HL計画?」
長井はがらんとした社員食堂で声を上げた。
昼食時はごった返すこの食堂も、19時を超えると食事する人もまばらになる。
多少声を上げたところで誰も驚きはしないが、流石に声を上げた本人は恥かしさに顔を赤らめていた。
今日の会議は大川が所用で欠席したため、長井が代理で計画の概要と呉出張の際の成果の報告をした。
役員は必死に説明を聞いていたが専門的な部分は説明が難しく、その補佐として技術開発部の大野氏に助っ人を依頼していた。
今回の予備電算機の開発には彼の力なくしては語れない程の重要な人物で、防衛省の技術開発本部の面々にも信頼が厚い。
艦娘の建造や近代化改修、改造にも関わる最重要人物でもあり、全てを知り尽くしている要人だった。
会議が終了し、大川が防衛省から帰るのを待つ間に夕食を済ませようと長井は大野と加賀谷とともに社員食堂で食事をしていたのだ。
その席で大野が今回の計画に繋がる過去の計画の話を持ち出した。
その内容を聞き、長井は驚きの声を上げたのだ。
「長井さん・・・声大きいっすよ」
「煩いな加賀谷・・・しょうがないだろう?びっくりしたんだから」
耳元で大声を出され、キーンとなった耳を押さえながら長井に文句を言う加賀谷。
長井はそんな加賀谷の様子を見て眉間に皺を寄せた。
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- 8 : 2016/09/24(土) 19:27:04 :
「『天を駆るもの』とでも言うんですかね~?神経伝達速度の向上、肉体強化、処理能力、判断力の強化と・・・まぁ肉体改造が主だったのですが・・・」
「その基礎研究の成果が、今回の計画の基礎を築いていると・・?」
白衣を纏い、そろそろ定年に近い好々爺然とした大野が茶碗を片手に過去の計画について説明を始めた。
長井は過去の計画と今回の計画の接点をしり、俄然興味を持って食事を食べる事も忘れ、大野の話に集中する。
加賀谷はそんな二人の姿をモリモリと食事を食べながら眺めていた。
「そうです。今回の計画、統合戦術情報共有高速ネットワーク計画・・・その肝でまさしく頭脳と呼べる予備電算機・・・」
箸と茶碗を持つ手を大きく広げ、まるで天を仰ぐようににこやかに天井を見上げる大野の様子を眺める二人。
加賀谷と長井が唖然としているのをよそに、大野は涼しい顔で続ける。
「その開発には様々な犠牲が在りました・・・この私の髪の毛のように・・・」
大野が自らの額から後頭部にかけ、上げあがっている頭をなで上げる。
二人は言葉に詰まり、苦笑いを浮かべた。
「HL計画の発案者は・・・まぁ言えないのですが私も防衛省の技術開発本部に呼ばれましてね。朝から晩まで基礎研究に没頭しておりました。研究にも目処が立ち、動物を使った実験では大いに満足のいく結果となりましてね。いよいよ人へ・・・となったのですが、やはりいきなり人へというのは危険ですからねぇ・・・。」
さっきから話を聞いていれば恐ろしく機密に関わるような話をよくもまぁ社員食堂で堂々と話している・・・。
長井も加賀谷も段々ホラ話に聞こえて来る大野の大風呂敷を広げたような話に飽き飽きしてきた頃、大野は急に二人に顔を近づけ声のトーンを落としながら話し始めた。
「実は・・・HL計画の中にはもう一つ、重要な研究テーマが在りましてね・・・」
今まで抜け抜けと大声で機密並と思われる情報を、幾ら人の少ない社員食堂といえどおおっぴらに話していたのに今更神妙な顔で迫られても・・・。
二人はそのうっとうしさに若干引き気味になっていたが、話自体は興味引かれる内容なので我慢していた。
「して・・・そのもう一つのテーマとは?」
長井が先を急かす。
加賀谷は生唾を飲み込む。
社員食堂は食事を終えた社員達が続々と各自の現場に戻り、がらんとしていた空間をより広く感じさせる。
煌々と照らすLED照明の白い光が清楚な空間に反射し、静けさをより引き立たせた。
今、食堂に残っているのは厨房でいそいそと立ち回っているスタッフと長井たち3人だけだった。
大野はずれたメガネを指で押し上げると、組んだ手に顔を預けるいわゆる『ゲンドウポーズ』の状態で語り始めた。
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- 9 : 2016/09/25(日) 08:06:59 :
- 「もう一つのテーマは・・・『再生』です」
「再生?」
加賀谷が声を裏返しながらご飯粒を吐き出す。
長井は汚!と声を上げた。
ご飯粒は大野の頬にも2、3粒張り付いたが彼はお構いなしだった。
「そうです・・・『再生』ですよ。戦場に出れば兵隊さんは怪我するのは当たり前でしょう?中には腕や足が無くなっただの・・・そんな事は日常茶飯事で命あってのものだねだと今までは諦めていましたけどね・・・これが成功すればその心配もなくなるわけです」
大野は『ゲンドウポーズ』のまま得意げに話す。
長井も加賀谷も夢物語を語りだした厨ニを見るような顔で大野を見つめた。
「あ・・・その顔、お二人とも今の話適当にしか聞いてなかったでしょう?」
「いや・・そんな事は無いです・・・が、艦娘じゃあるまいし・・・人間でそんな都合の良いことが・・・」
長井が頬を引き攣らせながら大野の問いに返す。
「しかし真剣に研究されていたんですよ・・・艦娘の再生能力を基本として・・・それを人間に応用できないか・・とね。死んだ人間の再生というところまで研究されていたと記憶しています」
さっきまでのゲンドウポーズを解き、食べ終わった食器を重ねながら大野は言う。
加賀谷はそんな大野の姿を見て自身も急いで残りの食事を掻き込む。
長井は大野の話を聞きながら、なぜか妙な胸騒ぎを感じていた。
爪楊枝を咥えながら大野が続けた。
「たしか・・・20年前でしたか。あのミッドウェーでの作戦・・・」
加賀谷がもぐもぐと口を動かし、必死に残りの食事を食べる。
長井はご飯を口元に運ぶ事も忘れ、大野の話に聞き入っている。
加賀谷はそんな長井の様子を横目で見ながら、食べないなら肉貰いますよ?と言って勝手に長井のおかずから肉を横取りした。
長井はそんな加賀谷の様子すら気付かぬほど大野の話に集中していた。
なんだか胸がドキドキする。
脳裏に海原が思い浮かび、なぜこんな映像がイメージされたのか自身でもわからぬまま、長井は大野を見つめた。
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- 10 : 2016/09/25(日) 08:10:41 :
- 「呉の司令官で・・・自身も作戦に戦闘機で戦闘参加して戦死された方がいらっしゃいましたね。若い方でした・・・海将補で・・・名前は・・・」
長井の顔色が優れない事に加賀谷は気付く。
長井本人もなんだか血の気が引いているように感じた。
長井の脳裏には海面に浮かぶパイロットスーツを着た男がぼんやりとイメージされた。
顔は・・・思い出せない。
誰かが叫んでいる声が空耳のように聞こえる。
きっとその男の名前なんだろう。
薄ぼんやりとそんな認識をもった長井は、気が付けばポツリと呟いた
「その司令官・・・中谷という名前では?」
長井自身でもなぜその名前が出てきたのか判らない。
ただ空耳のように聞こえてくる名前がその名前だった。
先ほどから今も聞こえ続けている。
悲痛な叫び・・・耳を覆いたくなるような・・・
しかしその声は何度も何度も叫ぶように、悲しみを堪えるように、そしてすすり泣くように耳に響いている。
それが何の音声なのか?
それが何の映像なのか?
以前に見た映画のワンシーンなのか?
過去の自身の記憶すら持たない長井は背筋に寒気が走るのを感じた。
「いえ、違いますね・・・ああ!確か・・・大川と言いましたね」
次の瞬間、長井は突然目の前が暗くなった。
一瞬目の前が暗くなり、次に見え始めたのは血まみれのパイロットスーツを着た男。
顔こそ見えないが必死に何かを渡そうとしている震える手。
長井は胸が締め付けられるように切なくなり、息が詰まった。
しかし彼女にはその映像の意味がわからず、ただ戦慄を覚える。
一体これはなんなのか?
なんだか自分が今何処に居るかさえもわからず、体がぐらぐらと揺れているような感覚を味わう。
「長井さん・・・長井さん!」
加賀谷の声が聞こえる。
大野も心配そうに長井を覗き込んでいる。
加賀谷は長井の肩をゆすっていた。
「大丈夫すか?なんかぼーっとしてましたよ?」
「ああ・・・大丈夫だ・・・で?その大川という人は?」
長井は顔面が蒼白のまま大野に尋ねる。
大野はその雰囲気に少し圧倒されながら答えた。
「その方は今の飯島幕僚長の・・当時は海将でしたが・・・の親友と言われていた方で、確か再生実験の対象になったと記憶しています。成功したかどうかは・・・私にもわかりません」
緊張が切れたようにがっくりと席に深く座りなおし、そうですかと力なく呟く長井。
大野と加賀谷はその様子に大丈夫ですか?と問いかける。
長井は力なく大丈夫と答えると、窓から外を眺めた。
今まで考えた事が無かった。
忙しさに感けていたからかもしれない。
自分を証明するものは何も無く、今脳裏に映し出された物も一体何なのかわかりもしない。
長井は初めてそういう不確定で不確実で不安定な自分を怖いと思った。
彼女は力なくため息を吐く。
自分が片付けますからと加賀谷が長井の食器と自分の食器を重ね合わせ、大野と共に運んでいった。
すまんと加賀谷に告げると、長井は頬杖をつく。
なんだか大川課長の顔が見たい。
ただそれだけで安心が得られるような気がして、長井は大きな溜め息をもう一度吐いた。
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- 11 : 2016/10/01(土) 13:01:38 :
「ただいま戻りました・・・」
ネクタイを緩めながら大川が疲れた声で帰社を告げた。
煌々と明かりの灯るオフィスに大川が帰ってきたのは20時近く。
課のほかの人間はすでに帰宅していて、今日もオフィスで詰めていてくれたのは長井だった。
「お帰りなさい課長・・・お疲れ様でした」
長井が大川に答える。
「・・・今日は加賀谷くんは帰ったんですか?」
「加賀谷は彼女とデートだそうで・・・仕事はまだあったんですが帰宅させました」
大川が自分のデスクに座るのと同時に長井がコーヒーを持ってきてくれる。
貰ったコーヒーを一口啜り溜め息を吐く。
席に戻ろうとする長井の背中に、いつもと違う違和感を感じる。
大分疲れているのだろうか?
今日は幕僚長からの突然の呼び出しで会議に出席出来ず、長井にまかせきりになってしまった。
大野という助っ人を用意していたが彼女の負担を考えれば申し訳ない気持ちで一杯だった。
呉の出張からずっと彼女には世話になりっぱなしで、それでも愚痴一つ零さずに献身的に助けてくれていた。
以前からやり手の課長として艦娘達の改修、改造、その他様々な事案を解決し、発想力、実現力、行動力共に抜群の力を持っている長井。
誰からも尊敬され、自分もああいう風になれたら・・・と思う存在だった。
そんな彼女が突然、今回のプロジェクトを大川と共にやりたいと言いだしてくれた。
彼女が居てくれたから自分の持っていたアイディアを此処まで具現化することが出来た。
本当に幾ら感謝してもしたりないほどの気持ちで一杯だった。
だからこそなんとなく違和感を感じる長井の背中を見過ごす事は出来なかった。
「長井さん・・・今日の会議はお疲れ様でした。本当に同席出来なくて申し訳なかった・・・」
「いえ・・大野さんが居てくれたお陰で専門的な部分の解説では大いに助かりました。」
大川の問いに自らのデスクに座りながら長井が素っ気無く答える。
いつもと違う長井の様子に少し戸惑いを感じながらも大川は自分の日報を作成していた。
「長井さん・・・疲れてます?」
「いえ・・・そんな事は・・・課長の方こそ大変でしょうに・・・」
なんとなく暗い面持ちでPCのモニターを眺める長井を、山積みの資料の隙間から覗き込みながら大川が心配する。
長井は前に垂れた髪を耳に掛けながらモニターから眼を離すことなく答える。
「ねぇ長井さん、今・・・・仕事大変です?」
「この報告書を上げれば特には・・・後10分ほどで終わります」
「そう・・・じゃぁさ、もし良かったらこれから食事に行きませんか?」
大川の言葉に長井のキーボードを弾く手が止まる。
少しズレ落ちかけているメガネの端から横目で大川を見ると、視線をモニターに戻した。
「どうしたんです?急に・・・」
「此処の所、苦労ばかりおかけしてますからね・・・」
大川は立ち上がると、長井の隣まで歩み寄る。
近づいてくる足音にほんの少し動悸を早めるも勤めて平静を装いながらキーボードを弾き続ける長井。
長井の隣の席に座り、コーヒーを啜りながら溜め息を吐くと大川は長井の仕事を覗き込みながら話を続ける。
「今日、幕僚長の所に行ってこの前の呉出張の際の演習結果について報告して来ました。幕僚長は演習の結果に大変満足されてましたよ。会議の方はどうでした?」
「今報告書をあげる所でしたが、計画続行の可否は役員会に持ち越しとなってましたが概ね良好な印象でした」
メガネを外しながら長井は大川に正対する。
大川はそんな長井の紅く美しい瞳を見つめながら微笑を返す。
「じゃぁ刺し当たって火急の仕事は無いわけですから・・・その報告書、上書き保存で終わらせて行きましょう!ね?」
大川は長井の手を取りブンブンと上下に振る。
長井は握られている手が暖かくなり、顔に熱を帯びている事を感じた。
「わ・・・判りました!判りましたから・・・一旦手を離してください!」
大川はにこやかに立ち上がるといそいそと帰宅の準備を始める。
スマホを取り出しなにやら馴染みのお店に電話を掛けているようだ。
長井は握られた手が熱く感じ、その手をさすりながら大川の背中を見つめていた。
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- 12 : 2016/10/02(日) 10:19:40 :
- 課長の連れてきてくれたお店は、街角に佇む小さなお店だった。
電話をしたと言っても到着時間を告げる程度のものだったらしく、席に着いたら即座にいくつかの小料理が出てきた。
課長があんまり人に教えたくないお店というだけあって、静かで家庭的な雰囲気に気取ることなく安心していられた。
小ぢんまりとはしていたが、出される料理、揃えられている日本酒はどれも一級品で、本当に美味しい。
21時前後に訪れたというのにお店は静かで、本当に雰囲気の良いお店だった。
お店を出るときに、課長は『また来ましょうね』と言ってくれた。
此処の所、変な夢を見たりと気が滅入っていたので課長の気遣いがとても嬉しかった。
「凄く美味しかった・・・・」
ほろ酔い加減の長井がふらふらと並木道を歩く。
大川はそんな様子を後ろから心配そうに眺めていた。
「喜んでいただけてよかった」
大川が照れくさそうに話し掛ける。
長井はふらっと振り向くと、大川に微笑を返した。
都心から少し離れた馴染みの小料理屋で一頻り食事とお酒を堪能し、二人は長井の酔い覚ましにと静かな並木道を歩いていた。
時間も深夜とまでは行かなくとも大分良い時間になり、外灯の照らす光の下を歩く人影もまばらになっている。
車の行き交う音も間隔を置いて響き、静まる夜を感じさせた。
「ちょっと冷え込んできましたね・・・そろそろ帰りますか?」
大川は再び前を向いて歩き出した長井の背中に話し掛ける。
「・・・課長・・・少しわがままを言っても良いですか?」
大川の言葉に長井は立ち止まり、背を向けたままぽつんと呟く。
大川はそんな長井の背中を見つめながらなんですか?と尋ねる。
「・・・海が・・・見たいです」
「海?」
「そう・・・海」
長井は大川を振り向き俯いた。
大川は少し考え込んだが、ぱっと顔を上げると長井に並びかける。
そのまま彼女の手を取り、目の前の通りでタクシーを止めた。
「ここからタクシーで30分ほど行くと僕の家に着きます。そこから僕の車に乗り換えて海に行きましょう」
「でも飲酒運転・・・」
長井が心配の声を上げた。
しかし大川はさっきの小料理屋では飲んでいない。
決して飲めない訳ではないのだが、今回の主役は長井だからと遠慮をしていた。
長井の方が大分飲んでいるが、それは普段の彼女の労をねぎらう為にご馳走したのだ。
彼女に楽しんでもらい、何かあっても自分が介抱出来るようにとの配慮だった
「大丈夫ですよ。僕は飲んでないから」
タクシーに乗り込みながら大川笑う。
長井はその言葉に安心したのか、微笑みながら頷いた。
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- 13 : 2016/10/02(日) 10:21:46 :
- 「夢?」
長井の隣で大川は声を上げた。
突堤には幾つもの外灯が並んでいて、ぽつんぽつんと明かりを灯している。
肌寒い風が二人の間を取りぬけた。
あれからタクシーに揺られ大川のマンションに着くと、地下の駐車場から少し古めかしい車が出てきた。
大川の所有するスポーツセダン。
当然MTだった。
足回りのごつごつした決して乗り心地の良い車ではなかったが、なんだか懐かしさを覚えた。
2時間ほど車に揺られ、二人は横須賀の海に着いた。
その間長井はうとうととしていたが、海に着いた途端眼を覚まし、歩き出した。
二人は外灯の照らす突堤の先に座り、何を話すわけでもなく海を見ていた。
海から吹いてくる風が少し冷たく、大川は彼女に自分の上着を掛ける。
秋物の薄いコートしか着てなかった長井はその上着に手を添えた。
彼の香りがする上着になんだか心の中まで暖められている気がする。
そうして少し過ごしたあたりで長井は突然大川に最近の事を話し出した。
「ええ・・・自宅で眠っていても、転寝でも・・・・最近良く夢を見ます」
長井は足元の海を見つめながらぽつんと呟いた。
「見る夢は決まって同じ・・・深海棲艦に向かって急降下してゆく戦闘機・・・血で染まるパイロットスーツの男の人・・・顔は・・思い出せないんです。それ以上見ようとするとノイズみたいになって眼が覚めて・・・まるで何十年もの時を過ごしたかのような脱力感があります・・・」
大川は彼女の話を聞きながら遠く暗い海を眺めていた。
なんと言ってよいのか判らず、ただ暗い海を眺めていた。
それはきっと・・・でも何故彼女がそんな夢を見るのか、大川には判らなかった。
彼女があの『指輪』を何故持っているのかわからないように・・・
大川は何も答えることが出来ず、ただ流れてゆく時間に身を任せるように彼女の傍らに居続ける。
足元に繰り返す小波の音が心地良いリズムを繰り返す。
時折遠くで霧笛のなる音が響いた。
少し離れた通りを行く車が加速していく音が闇夜に吸い込まれてゆく。
少し都心側に視線を移すと海ほたるの赤い警告灯が点滅し、後ろでは猫が鳴く声が聞こえる。
隣の長井が黙り込んだ事が気になって、視線を彼女に移した。
長井は瞳を潤ませながら手に息を吹きかける。
大川はそんな長井の手に自らの手を重ね合わせ温めた。
「私ね・・・過去の記憶が無いんですよ」
長井は大川に力なく笑いかける。
大川は彼女を見つめた。
外灯に照らされた彼女の力ない微笑が切なかった。
「聞いてます・・・8年前の・・・」
「はい・・・3年後に眼を覚まして・・そこからの記憶しか持ってないんです」
眉間に皺を寄せ、長井を見つめる大川の視線に耐えられず、長井は立ち上がる。
急に立ち上がったせいなのか、まだ酔いがさめてないせいなのか、若干ふらついてしまった。
大川はすぐさま立ち上がり、長井を抱きとめた。
大川に抱きとめられ、最初は驚いていた長井だったが、彼の温もりに安心したのか瞳を瞑る。
「私・・本当は誰なんでしょうね。本当に長井という名前なんでしょうか?本当に深海棲艦の襲撃で沈められたフェリーに乗り合わせていたのでしょうか・・・あの夢はなんなのでしょうか・・・」
長井は言葉に出来なかった思いを雫に変えて、大川の胸に抱かれ続けた。
大川はそんな彼女の思いを感じ、抱きしめる腕に力を込めた。
長井の体が小刻みに震えている。
きっと寒いだけのせいではないのだろう。
何とかしてあげたい・・・そんな思いだけが胸の中を一杯にし、彼女を抱きしめ続けた。
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- 14 : 2016/10/02(日) 20:03:07 :
- 「怖いんです・・・今自分に何が起きているのか判らなくて・・・」
長井はかすれるように呟く
「自分が何者なのか・・・どうしたら良いか・・・」
「長井さんらしくないですね」
大川は長井に微笑みかける。
彼女はその言葉に若干ムッとした表情を浮かべ大川と視線を交わす。
しかしまた彼の胸に顔を埋める。
「僕ね、長井さんってもっとこう・・・意思が強くて、何事にも動じないって言うか・・・そういう折れない芯をしっかりと心に持っている人だって・・・勝手に想像してました。前の課でもそうして色々なことを実現されてきてね・・。」
彼女の耳元にそう呟く大川。
彼は星の見えない夜空を見上げた。
遠方はすでに朝焼けのほの暗いグラデーションが始まり、なんとも美しい風景を二人に見せ始めていた。
「でもね、今こうして抱きしめている長井さんって・・・凄く震えてて、今にも消えてしまいそうなほどのにか弱いっていうか・・・なんだか上手く言えないけれど、でも大丈夫・・・長井さんは長井さんですよ。他の誰でもない。僕にとっては・・・誰よりも大事な女性(ひと)・・ですから」
大川は彼女を強く抱きしめたまま言葉を紡いだ。
長井はその言葉を聴いて、堰を切ったように涙を流し続ける。
「まぁ・・・頼りない僕ですけどね・・・こんな僕でよければ幾らでも貴女の事を助けたい・・・普段は助けられているばっかりですけどね」
「本当ですよ・・・机は片付けないし、いっつも資料失くすし・・・大事なところで提出書類とかミスしてるし・・・まぁ頑張りは認めますけどね」
彼女を抱きしめながら、少しは頼りになる所を見せたかった大川だったが、かえって長井に涙声でやり込められてしまい苦笑いしていた。
長井はそんな大川の人柄に、心の痛みが和らいだ気がした。
私は・・・きっと昔から彼の事を知っているのかもしれない。
きっと昔からこんな感じで、悲しい事も苦しい事もすべて抱きとめてくれる、そんな暖かさを持っている存在なんだろうとなんとなく理解してもう一度彼の胸に顔を埋めた。
「こうして課長に抱かれている温もり・・・なんだか懐かしさを感じます・・・」
「僕もね、貴女をこうして抱きしめていると・・・この温もりがなんだか懐かしい・・・。きっと僕たちは、ずっと過去に出逢っていたのかもしれませんね」
大川は長井を抱きしめ続ける。
長井は抱きしめられたまま遠方の海に視線を移した。
海ほたるの向こうの空が白んでゆく様を見つめながら、点滅する警告灯を蛍の光のように感じていた。
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- 15 : 2016/10/02(日) 20:07:57 :
- 新しいスレです
http://www.ssnote.net/archives/49248
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- 16 : 2020/09/28(月) 11:15:42 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
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害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
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害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
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http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
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