このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
リヴァイ「ゴジラVSメカゴジラ」 ゴジラ×進撃の巨人
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- 1 : 2016/09/12(月) 13:45:40 :
- 進撃×ゴジラシリーズも第三作目、「ゴジラVSメカゴジラ」とのコラボでございます(∩´∀`)∩
今回は映画を確認しながら執筆いたしますので前回以上に亀更新ですが、よろしくお願いいたします<m(__)m>
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- 2 : 2016/09/12(月) 17:50:06 :
- 期待してます!!
頑張ってください!!
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- 3 : 2016/09/12(月) 23:46:53 :
- 頑張ってくださいね!応援してます!!
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- 5 : 2016/09/13(火) 13:49:42 :
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カラネス区、某所
薄暗かった倉庫に電源が入り、ぱっと周りが明るくなる。
広大な倉庫の中には、巨大な龍を思わせる金属の塊が横たえられていた。
その龍の頭と思しき金属の塊は、ゴジラと戦い、ともに海底に沈んでいったメカキングギドラの、機械化された中央の首。
その近くに、メカキングギドラの頭部を見上げる人間が数人。
その中には、ウォール公国の大佐で司令官であったエルヴィン。
その友人であるナイル。
現代ロボット工学の権威であるハンジ。
国立超科学研究センターの職員であり、超能力者であるクリスタ。
そして、軍の大尉であり、随一のエース・パイロットであるリヴァイの姿があった。
決意を新たに、瞳に意欲を燃やし、エルヴィンはそっと呟いた。
「今度こそ・・・・・・・・・・・・奴の息の根を止める。」
「ああ、当然だ、エルヴィン・・・・・・。」
エルヴィンの強い決意に対し、リヴァイも静かに、相槌を打った。
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- 6 : 2016/09/13(火) 13:50:28 :
1992年
ウォール公国は留まるところを知らぬゴジラの被害に、国連G対策センターをカラネス区に設立。
世界中の英知をウォール公国に集め、対ゴジラ用の戦闘マシンの開発に着手した。
まず、一号機《ガルーダ》を試作。
http://schizophonic9.com/re3/shm_garuda004.jpg
だが、ガルーダは、優れた飛翔能力に比べ、戦闘能力に大きな課題を残し、より強力な二号機の開発に迫られたG対策センターは、海底からメカキングギドラを引き上げ、23世紀のロボット工学を徹底的に解明、分析。
さらに、これまで考案された幾多の対G兵器―――――その技術と経験を活かして、今ここに、史上最高最強の、対ゴジラ用戦闘マシーンを誕生させようとしていた。
“全高 120m級”
“総重量 15万トン”
“最高飛行速度 マッハ1”
ゴ ジ ラ VS
メ カ ゴ ジ ラ
×
進 撃 の 巨 人
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- 8 : 2016/09/13(火) 19:27:52 :
- 世紀末覇王誕生。
同郷トリオの次はリヴァ班組の活躍でしょうか。
期待でございます!
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- 9 : 2016/09/15(木) 00:29:02 :
- >>8
もうすでにお気に入りまで入れてくださり、ありがとうございます(∩´∀`)∩
はい、リヴァイ班のメンバーたちを活躍させていきたいと思っております(*^ ^*)
期待に応えるべく、頑張ります!
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- 10 : 2016/09/15(木) 00:29:47 :
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1994年
メカゴジラ、メンテナンスドッグ
「これが・・・・・・メカゴジラ・・・・・・。」
メンテナンスドッグの中に入り、新人の女性職員は、その対G兵器の巨大さに改めて驚嘆した。
120m級の機体は仰向けに横たわり、電気を放つアームによってメンテナンスを受けている。
http://pds.exblog.jp/pds/1/201105/04/02/f0195002_17104554.jpg
「やあやあ、よく来てくれたねぇ! 見て見て! これが―――――“メカゴジラ”だよ!」
新人の女性職員がメカゴジラに見とれていると、天井を突き抜けそうなほどの声で話しかけてくる女性が、どこからともなく現れた。
眼鏡をかけ、ろくに髪も洗っていないのだろう、脂っぽい髪を後ろにグイッと束ねているのは、メカゴジラの設計者であるハンジ・ゾエ。
Gフォースの中でも特に奇人変人として名高いが、その技術力や発想力たるや本物で、彼女がいなかったら23世紀の技術は解明できなかっただろう・・・・・・。
女性職員がそんなことを考えていると、ハンジ博士はさらに声を張り上げ、喜々としてメカゴジラのスペックを語りだした。
「このメカゴジラはね、重水素ヘリウム3ペレットを燃やすレーザー核融合炉を動力源にしているんだ。」
「は、はぁ・・・・・・。」
「このツヤツヤの光沢はダイヤモンド・コーティング。ゴジラの熱線を防げるだけじゃなくて、熱線を収束、何倍にもして撃ち返す事が出来るんだ!」
博士がそういうと、メカゴジラの円形の腹部が開き、中から大きな砲身が顔を覗かせる。
ここから身に受けた熱線を収束し、ゴジラへ向けて何倍にも撃ち返すのだ。
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- 11 : 2016/09/17(土) 23:51:55 :
- 応援しています
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- 12 : 2016/09/20(火) 15:23:16 :
- >>11
応援ありがとうございます
亀更新ですが、頑張ります(*^▽^*)
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- 13 : 2016/09/20(火) 15:23:29 :
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「でねでね――――・・・・・・・・・・・・「いい加減におしゃべりはやめろ、クソメガネ。」
博士がおしゃべりに夢中になっていると、彼女の後ろから鋭い声が聞こえてきた。
いかにも不機嫌そうに響くその声の持ち主は、女性職員にとっては意外なほどに小柄な男であった。
「テメエの仕事はそのクソみたいな自慢をすることか?」
「ひっどいなあ、リヴァイ。ちょっとメカゴジラの性能を説明していただけじゃない!?」
開き直って胸を張るハンジにリヴァイは思わず舌打ちをした。
二人の間に挟まれて困惑している女性職員に気が付き、リヴァイはため息をつきながら彼女に話しかけた。
「俺にも仕事がある。ついでにこの施設を案内してやるからついてこい。」
「は、はい! ありがとうございます!」
リヴァイはぶっきらぼうにそう言ってメンテナンスドッグを後にし、女性職員も慌ててリヴァイの後を追った。
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- 14 : 2016/09/20(火) 21:18:56 :
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女性職員が入ったこの施設には、もう一つ、巨大なメンテナンスドッグがあった。
対G兵器の第一号――――ガルーダの機体の中で、つなぎを着た老け顔の男、オルオ・ボザドはこっそりと、ガルーダのメンテナンスを行っていた。
もちろん、ガルーダはメカゴジラにとってかわられたので、機体整備士は閑職というわけである。
さらに、オルオ自身もいい加減な一面があったので、彼はまさに窓際族となっていた。
さて、オルオは本来の職務をほったらかしていたわけだが、ピーッ、ピーッとアラームがコクピットの中に鳴り響いた。
「おっと、やべぇな。」
独り言を呟くと、オルオは急いでコクピットのスイッチを押した。
座席がひとりでに下がりはじめ、コクピットの外に出るとつなぎを脱いで背広を着こみ、広い倉庫の中にポツンと据えられたデスクの上に座り、いかにも仕事をしているというような体裁を整えた。
暫くして、ドッグの中へと入ってきたのは、リヴァイと女性職員であった。
「リヴァイ大尉じゃないすか! 新しく女でも出来たんすか?」
「バカ言え。俺は仕事でここに来た。ついでに新人のこいつを案内してやってるだけだ。」
オルオの軽口に半ばあきれつつ答えるリヴァイ。
後ろにいた女性職員も半ばあきれ顔で笑みを浮かべていた。
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- 15 : 2016/09/20(火) 22:02:49 :
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さて、オルオから視線をそらした女性職員は、次に彼の後ろにある兵器を見た。
「あの、この兵器って・・・・・・。」
「ああ、これこそ、現代科学技術の粋を集めてこの俺が開発した、ガルーダだ!」
こう見えてもオルオは腕の立つ設計技師でもある。
Gフォースの対G兵器、ガルーダはオルオの手によって設計されたものであり、オルオは自慢げにガルーダを語り始めた。のであるが・・・・・・
「まあ、メカゴジラがある今じゃ、過去の遺物だがな。」
「なっ!? 酷いっすよ、リヴァイ大尉・・・・・・。」
リヴァイにバッサリと切り捨てられ、しなびた青菜のようにオルオはシュンとした。
とはいえ、今や愛機とも呼べるガルーダの仕事に、オルオは愛着を感じていた。
閑職とはいえ、愛着のあるガルーダを整備できることに満足していたのである。
「ところで、リヴァイ大尉は仕事でここで来たと言ってたすけど?」
ふと、オルオは気になったことを口にした。
すると、リヴァイは急に険しい顔になって、懐から封筒を取り出した。
「オルオ、テメエに辞令を渡しに来た。」
「じ、辞令?」
リヴァイからつっけんどんに封筒を渡され、不思議がったオルオが中身を確認する。
次の瞬間、オルオは絶叫した。
「なぁっ!? 俺が!? Gフォースに異動ッ!?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 16 : 2016/09/20(火) 22:40:13 :
かくして、オルオはガルーダの整備士を見事に外され、めでたくGフォースへと転属することと相成った。
しかも、ただの隊員としてではない。
ほかの隊員なら喉から手が出るほどに望むだろう地位に、オルオは図らずも抜擢された。
この判断はGフォースの司令官に就任したエルヴィンの指示なのであるが、リヴァイにはそれが面白くなかったのである。
辞令を受け取った翌日、オルオはG対策センターのリヴァイの部屋を訪れた。
「あ、あの、リヴァイ大尉・・・・・・・・・・・・。」
「へらへらするな。テメエは既に俺の部下だ。」
きっぱりと言い切るリヴァイの声は厳しかった。
「お前が“メカゴジラ”の栄誉ある4人目のパイロットとなる以上、俺は徹底的にテメエをしごく。いいな?」
想像以上に厳しいリヴァイの言葉に、オルオはその場で冷や汗をかきながら、ピシッとした敬礼をささげた。
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- 17 : 2016/09/20(火) 22:42:03 :
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と、ここで、コンコンとドアをたたく音が聞こえた。
リヴァイが「入れ。」と入室を促すと、ガタイのいい、髭を生やした男が入ってきた。
男はドアの前で立派な敬礼をささげ、大声を張り上げた。
「エルド・ジン、ただいま参りました!」
「ご苦労だな、エルド。早速だが、お前にこの男の教育を任せる。」
エルドは嫌な顔一つせず「はっ!」と返事をすると、オルオにすっと手を差し出した。
突然のことにびっくりして、オルオはおどおどしながらエルドと握手を交わした。
「あの、自分、オルオ・ボザドって言います。」
へこへことしたあいさつをするオルオ。
すると、リヴァイが再び眉を吊り上げ、声を張った。
「腹から声を出せ!! この豚野郎が!!」
「はっ! 自分はオルオ・ボザドといいます!」
「声が小せえぞ、豚野郎ッ!!」
「はっ!! 自分は、オルオ・ボザドといいます!!」
しまいには半泣きになって、オルオは大声で自己紹介をし直すはめになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 18 : 2016/09/21(水) 07:14:33 :
- 期待!!
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- 19 : 2016/09/26(月) 06:28:36 :
- オルオが恐竜坊やですかww
期待でございます!
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- 20 : 2016/09/26(月) 21:17:16 :
- 期待です!
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- 22 : 2016/09/27(火) 15:03:40 :
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それからというもの、リヴァイやエルドによる地獄のしごきが始まった。
対ゴジラのための授業に出席すれば、居眠りをしてリヴァイやエルドに怒鳴られ、
空手をやればペトラやグンタにグーで殴られて、その拍子に舌を噛んで悶絶し、
さらにコクピットに乗っての仮想訓練は熾烈を極めた。
《シュミレーションパターン J-043 訓練開始》
仮想コクピット内にアナウンスが鳴ると、目の前のモニターに、ストヘス区のビルの間で暴れるゴジラが映し出された。
「レーザー砲、準備開始!」
「了解!」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
リヴァイが的確に状況を判断し、エルドやペトラが適切にレーザー砲の準備を進めているのに、オルオは説明書をぺらぺらとめくるのに手間取っていた。
モニターではレーザー砲が放たれてゴジラに直撃。
ゴジラも負けじと熱戦を撃ち返してくる。
「ゴジラ、熱戦を放射ッ!! 機体に直撃ッ!!」
火花を散らして大きく揺れる仮想コクピットの中で、副操縦士のエルドが大声を張り上げて状況を伝達。
それから、今度はリヴァイが大声を張り上げる。
「オルオ! 被害状況はッ!?」
「は、はいッ!! えっと・・・・・・何もなィア゛ア゛ッ!!」
急いで情報を伝えようとして、思いっきり舌を噛むオルオ。
あきれたエルドやペトラがため息をつく中、リヴァイが再び吠えた。
「右足のパワーが落ちてるだろうがッ! 豚野郎ッ!!」
「リヴァイさん! 燃料パイプが!?」
「予備システムに切り替え急げッ! 豚野郎ッ!!」
「りょ、了解!!」
__________もう、勘弁してくれよぉおぉぉッ!!
コクピットを慣れない手つきで操作しながら、オルオは心の中で、思いっきり悲鳴を上げたのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 23 : 2016/10/03(月) 15:39:26 :
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__________数日後
ウォール公国の北は、北マリア海という酷寒の海となっており、冬にもなると、北極から流氷が流れてくる。
「それにしても何にもねぇ島だなぁ。」
その北マリア海に浮かぶ小さな孤島――――アドノア島において、国立生命科学研究所所長、古生物学者ユミルは皮肉な口調で呟く。
半袖にジーンズという色気のない格好で、ユミルは調査隊を率い、ヘリコプターから降り立って島の様子を眺めていた。
このアドノア島は、本来はとある企業が隣国の企業と合同で石油を掘削するための調査を行っていたのであるが、その際に奇妙なものが発見されたのだという。
ユミルが暫く、日の暮れかかった荒涼とした島の、むき出しの黒い奇岩群を眺めていると、人が近付いてきた。
「お待ちしておりました、ユミル所長。」
「おう、お前が出迎えってわけか。ご苦労だったな。」
ミットラス商事の営業マンは、ユミルの男勝りな口調に対して、丁寧に頭を下げた。
暫く荒涼とした奇岩群の間を進むこと数十分。
すると、闇に沈む中に明かりが煌々ときらめく、ミットラス商事の石油掘削調査チームのテントが見えてきた。
5つほどの巨大な布製のテントの一つに案内され、ユミル率いる調査チームがテントの中へと入っていく。
「!! おいおい・・・・・・こりゃマジかよ!?」
中に入ると、ユミルは思わず感嘆の声を漏らした。
そこにあったのは・・・・・・・・・・・・―――――これまで見たことがないほどに巨大な卵の化石だった。
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- 24 : 2016/10/07(金) 09:01:29 :
興奮気味に卵に近づいていくユミル。
古生物の研究にすべてを捧げてきた彼女ではあったが、こんな巨大な卵の化石を見るのはもちろん初めてで、顔が紅潮するのを隠しきれていない様子であった。
「こんなものが見つかるなんてな・・・・・・。」
独り言のように呟きながら化石に触れると、なんと・・・・・・・・・・・・化石から鼓動がユミルの手に伝わってきた。
それはまるで脈打つようで、さながら・・・・・・・・・・・・生きているかのようであった。
「ッ!?」
あまりに予想外の出来事にユミルはしばし言葉を失った。
ややあって、ユミルの様子を察したミットラス商事の社員が、ユミルと同じくらい興奮気味に口を開いた。
「ユミル博士も、そう思われますか!?」
「・・・・・・・・・・・・そうとしか言えねえよ。こんなこと、初めてだ。いや、人類史上初めての発見だぞ!? 生きた恐竜の卵を見つけたなんてな!!」
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- 25 : 2016/10/07(金) 09:02:01 :
ユミルはさっそく、この卵の詳しい調査を始めた。
その結果、ユミルの持ち込んだ炭素測定器による年代判定によって、この卵の年代はジュラ紀のものであるということが判明した。
つまり、この卵が恐竜の卵である確率が格段に高まったのである。
それと、もう一つ・・・・・・・・・・・・この卵と一緒に発見された化石があった。
ユミルは顕微鏡の台にその小さな化石を載せると、慎重にレンズをのぞき込んだ。
「こいつは・・・・・・・・・・・・植物の化石だな。」
やはり興奮気味に話すユミル。
炭素測定によって、この植物の化石も卵と同じ、ジュラ紀のものであると判明した。
「へへっ、こいつはすげぇ発見になりそうだぞ。」
この世紀の大発見に、ユミルは冷や汗をかき、ニヤリとした。
武者震いさながらに、ユミルが体を震わせていると・・・・・・・・・・・・ーーーーーーー
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- 26 : 2016/10/07(金) 09:28:18 :
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突然、甲高い叫び声のようなものが聞こえてきた。
「!? なんだなんだ!?」
驚いたユミルがミットラス商事の社員とともに外に出ると、もう一度、甲高い叫び声がテントのあたりに響き渡った。
「!! あ、あれは!?」
社員が驚いて指をさし、ユミルがその指を目で追っていく。
__________一瞬、ユミルは我が目を疑った。
夕闇に沈む巨大な奇岩群。
その頂の一つに、巨大な翼竜が止まっていたのである。
http://blogs.c.yimg.jp/res/blog-74-93/zaiaios/folder/1571671/31/63417631/img_0_m?1445263130
「なんなんだよここは!? ジュラシック・パークじゃねぇんだぞ!!」
ユミルが毒づくのとどちらが早かったか、巨大な翼竜は敵意に満ちた目を向け、両翼をはためかせる。
次の瞬間に、翼竜はテントの真上を通過し、猛烈な風が吹き荒れた。
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- 27 : 2016/10/07(金) 09:28:42 :
「うあッ!!」
猛烈な風にあおられて、ユミルが転倒。
布製のテントも吹き飛ばされて、中のランプがひっくり返り、テントの一つから火の手が上がった。
「ユミル博士!」
「ちぃ!!」
ミットラス商事の社員に呼びかけられ、一緒に地面のくぼみへと隠れるユミル。
「博士。私も少しは古生物学をかじってますが、あの翼竜は大きさが異常です!」
「ああ、あいつもきっと・・・・・・・・・・・・ゴジラみてぇに巨大化しちまったんだ!」
「!! まさか!?」
ユミルの推測の通り、あの巨大な翼竜は、プテラノドンの生き残りが放射能によって巨大化してしまったものであった。
その巨大な翼竜―――――“ラドン”は、再び奇岩群の頂にとまると、甲高い叫び声を上げた。
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- 28 : 2016/10/08(土) 14:36:46 :
ユミルはその時、翼竜の叫びに、怒りの感情を読み取っていた。
「まさかあいつ、この卵を・・・・・・。」
ユミルは直感した。
あの巨大な翼竜は、この卵を取り戻そうとしているのだと。
となると、この卵は、あの翼竜の・・・・・・・・・・・・――――
奇岩群の上にとまっているラドンは、ユミルたちをにらみつけると、その大きな翼を羽ばたかせ始め――――・・・・・・・・・・・・
ゴオオォォッ!!
と、その時だった。
突然、海の中から青い光が放たれ、まっすぐラドンのとまっている奇岩群に命中して爆発した。
驚いたユミルたちが振り返ると、海面が大きく盛り上がって、それから水しぶきを上げた。
水しぶきの中から姿を現したのは、巨大な黒い塊――――・・・・・・・・・・・・。
その目は怒りで満ち満ちており、ごつごつした黒い肌を持つ怪獣は、海水面から半分ほどその体を覗かせて咆哮した。
その様子を見たユミルは戦慄して、思わず声を漏らした。
「あれはまさか・・・・・・・・・・・・ゴジラか!?」
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- 29 : 2016/10/09(日) 08:24:20 :
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北マリア海の冷たい海の中から姿を現し、ゴジラは遥か先の奇岩群の上にいるラドンをにらみつけた。
ラドンもまたゴジラをにらみつけ、甲高い叫び声を再び上げる。
「こいつら、やり合おうって気なのかよ!?」
二体の怪獣の間にびりびりと走る殺気にユミルたちが気圧される中、ゴジラは再び青い放射能熱線を放った。
ゴオオォォッ!!
放射能熱線が岩に着弾する前に飛び立つラドン。
風を切り裂くばかりの速さで飛び出し、まっすぐ水面から胴体を覗かせているゴジラへと飛んでいき、その真上を通過すると、水面が逆巻いて水しぶきを上げる。
一方のゴジラは飛び回るラドンを撃墜しようと熱戦を吐きまくった。
「くそ、すばっしっこい鳥だな。」
「ユミル博士、ここは危険です!」
「分かってる。引き上げるぞ!!」
社員に促され、ヘリコプターへと引き上げていくユミルたち調査班。
そんな中、ラドンの素早い動きに翻弄されつつも、ゴジラはついにアドノア島に上陸した。
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- 30 : 2016/10/15(土) 07:39:53 :
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「見ろ、ゴジラが上陸してきやがったぞ!?」
「ユミル博士!!」
「・・・・・・卵を運び出すぞ、急げ!!」
二大怪獣がぶつかり合い、閃光と咆哮とが交互に島を揺るがす中、ユミルは調査団の人間たちに卵を運び出すように指示。
「おっと、これも忘れねぇようにしねぇとな。」
ユミルは思い出したかのようにそう言うと、風に煽られて地面に落ちた植物の化石を拾い上げた。
ゴジラと対峙しているラドンはひときわ大きな鳴き声を上げると、ゴジラへと突進。
ゴッ!!
勢いよくゴジラへと体当たりし、ゴジラは吹き飛ばされて仰向けに横転。
一瞬両足が地面から離れ、それから、激しい地鳴りとともに背中からゴジラは崩れ落ちた。
「うおっ!?」
「うわっ!?」
ユミルやほかの団員たちが巨大な揺れに声を上げながらも、懸命に卵をヘリへと運んでいく。
転倒しながらもゴジラは背びれを青く輝かせ、牙の並んだ巨大な口から放射能熱線を放射。
ゴオオォォッ!!
威嚇するように鳴き声を響かせ、飛び回って回避するラドン。
大きく半円を描き、ラドンは再びゴジラへと突進していく。
ゴッ!!
二度目の突進に、さすがのゴジラもよろめき、そのままゴジラは奇岩群の巨大な岩の一つに突っ込んだ。
ガラガラと岩が雪崩のように崩れ、地面へと倒れたゴジラはそのまま岩々の下敷きになった。
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- 31 : 2016/10/19(水) 17:30:16 :
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一度別の奇岩群の頂の上にとまり、様子をうかがうラドン。
ややあって、ゴジラが動かないことを確信したラドンが、頂の上から離れてゴジラに近づいていく。
ゴッ!!
振り下ろされる、黒い鉄槌。
黒いしっぽが瓦礫の中から突如飛び出し、ラドンの脳天を直撃した。
たまらず真っ逆さまに墜落するラドン。
そこへ、瓦礫の中から起き上がったゴジラが、情け容赦など微塵も感じさせぬ、憤怒に満ちた目で見降ろしていた。
「な、なんだよあれ・・・・・・一方的じゃねえか・・・・・・。」
その様子を見たユミルは、戦慄して呟いた。
墜落したラドンを、ゴジラは容赦なく踏みつけ、哀れなラドンは口から泡を吹き始めた。
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- 32 : 2016/10/19(水) 17:31:28 :
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「おいお前ら、ぼさっとしてねぇでヘリに乗り込め!!」
「は、はい!!」
身の危険を感じたユミルがすぐさま声を張りあげてヘリコプターへと乗り込む。
すると、その様子に気が付いたゴジラが、その無機質な瞳でヘリをギロリと睨み付けた。
「・・・・・・・・・・・・ッ!!」
その瞬間、ユミルはすぐに死を覚悟した。
が、予想に反してゴジラは攻撃を加えてこなかった。
その隙にラドンがゴジラから逃れようと両翼を羽ばたかせる。
ゴオオォォッ!!
対してゴジラは非情にも、逃げていくラドンに対して放射能熱線を浴びせた。
背中に強力な放射能熱線を浴び、ラドンはそのまま吹き飛ばされて奇岩群の一つに激突。
その巨体が崩れ落ちるように地面に落下し、ラドンは絶命した。
「ッ!! 早く逃げろ!!」
「やってます!!」
慌ててアドノア島を去っていく一機のヘリコプター。
ラドンにとどめを刺したゴジラは、飛び去って行くヘリをただただ、じぃっと見つめていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 33 : 2016/10/20(木) 14:55:29 :
__________数日後
発見された翼竜の卵は、ユミルの所属しているウォール公国国立生命科学研究所へと運び込まれた。
研究所のあるウトガルド・シティは、中世の石造りの街並みが遺されている観光都市となっており、その中でも、街の中央にあるウトガルド城はウォール公国でも有名な観光名所となっている。
そのウトガルド城からそう遠くないところに、ユミルの勤務する研究所は存在していた。
「ここが国立生命科学研究所か。ふっ、悪くねぇな。」
さて、研究所の前には、この場にそぐわない男が一人立っていた。
老け顔に気障な言葉遣い――――・・・・・・・・・・・・オルオ・ボザドはGフォースに所属する人間だからこそ知りえた情報をもとに、無断でこの研究所を訪れていた。
オルオ・ボザドはこう見えて、無類の恐竜好きである。翼竜 のことを深く愛し、翼をもつあらゆる生き物を愛するオルオは、翼竜の卵が見つかったという話を聞いて、居ても立っても居られずにここに来たというわけである。
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- 34 : 2016/10/24(月) 13:23:51 :
- 進撃×スタートレックをいつの日か!
エレン船長、アルレルト中佐、ドクターキルシュタイン
ゾエ機関長、リヴァイ・ハリソン等を見てみたいです!
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- 35 : 2016/10/26(水) 10:17:45 :
- >>34
スタートレック、実はまだ見たことがないのであります(^^;
もし見る機会がありましたら、執筆を検討しようかなとは思います(^^;
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- 36 : 2016/10/26(水) 10:17:55 :
「へっ、これが・・・・・・・・・・・・翼竜の卵か。」
大胆不敵にも研究室にまで入り込んだオルオは、巨大なガラスケースの中に入れられた翼竜の卵を眺めてため息をついた。
「・・・・・・おい。」
「こんなにバカでかいものだってこと、俺は今まで知らなかったぜ。」
「・・・・・・・・・・・・おい。」
「ん? この俺に何か用か? お嬢ちゃん?」
「何か用かはこっちのセリフだ! それに私はお嬢ちゃんって歳じゃねぇ!!」
研究室に戻ってくるなり、卵をじいっと見つめている不審者に対し、白衣を着たユミルは大声で怒鳴った。
怒髪天のユミルを、しかし、オルオはからかうように言葉をつづけた。
「そいつは悪かったな。なんせこの卵が俺を呼んでたもんでな。」
「てめえどうかしてんじゃねえのか!? って写真撮ってねえで人の話を聞きやがれ!!」
「ふっ、ようやく俺の話を聞く気になったか。」
「どういう教育を受けてきてんだテメエは・・・・・・。」
何を言ってもマイペースなオルオに、ユミルは怒りをはるかに通り越してもはやあきれの境地へと入った。
一息ため息をつくと、もう何も話を聞くまいと決断して、氷のように冷たい声で言い放った。
「とっとと出ていきやがれ。ここは関係者以外立ち入り禁止なんだよ。」
「なら俺は関係者だな。」
「あん?」
「なんたって俺は翼竜好きのオルオゴォッ!!」
何とも間抜けなタイミングで舌を噛んだオルオに心底あきれつつ、ユミルは自分の研究室からオルオを追いだした。
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- 37 : 2016/10/26(水) 11:29:09 :
- 支援( ´థ౪థ)
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- 38 : 2016/10/26(水) 11:29:26 :
- ふぁい・と・ふぁい・と☆
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- 39 : 2016/10/26(水) 14:50:29 :
- 期待
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- 41 : 2016/10/28(金) 01:52:38 :
-
「ちっ、つれねぇ女だったぜ。でもま、俺は転んでも、ただじゃ起きねぇんだがな。」
部屋からオルオはそういうと、にやけながらポケットの中に手を突っ込み、中からハンカチを取り出した。
ハンカチの中には、オルオがこっそりとくすねた植物の化石の一つがそこにはあった。
「!? くそ、化石の一つが!? あの老け顔野郎!!!」
研究室の中では盗まれたことに気が付いたユミルが罵声を上げていた。
とそこへ、折よく電話がかかってきたので、ユミルは乱雑に電話の受話器を取った。
受話器の向こうからは、あの気取った声が聞こえてきた。
オルオが公衆電話から、ユミルの研究室へと電話をかけてきたのだ。
気障もここまでくるとかえって大したものである。
『また会えたな。これが運命ってやつか?』
「ざけんじゃねえぞ老け顔野郎が!!」
対して、ユミルはたけり狂った猛獣、赤い布を前にした闘牛のように、今にもつかみかからんばかりの勢いで怒鳴り込んだ。
が、オルオはそれをひらりと闘牛士のように受け流すばかりであった。
『そんな乱雑な言葉遣いじゃせっかくの美人顔が台無しだぜ?』
「おい、今度会ったらただじゃおかねぇからな?」
『いわれなくたって返してやるよ。次に会った時にな。』
そういうとオルオはユミルに反論する暇さえ与えず、一方的に電話を切ってきた。
電話がガチャリと切れた瞬間に、ユミルは大いに怒って机を蹴飛ばした。
「っ!? あの野郎!? ぜって~ぶっ飛ばしてやる!! いってッ!!」
盛大に自爆をかましたユミルは、その場でピョンピョンと飛び跳ねなくてはならなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 42 : 2016/10/28(金) 15:25:18 :
「あれ? オルオさんじゃないですか?」
「ん? クリスタ・レンズじゃねえか。」
国立生命科学研究所から国連Gフォース対策センターに戻ったオルオは、とりあえず食堂で腹ごしらえをすることにした。
格安で食べることのできるラーメンをすすっていると、その隣にクリスタ・レンズが座ってきた。
二年前のキングギドラ侵攻――――・・・・・・・・・・・・未来人による侵略に際し、ゴジラの存在を感じ取った超能力者。
・・・・・・・・・・・・とされているが、オルオは超能力に関してはあまり関心を持っていなかった。
ゆえに、超能力者であることは知っていたが、オルオはクリスタがどのような能力を持っているかについては知らなかった。
「オルオさん、そのテーブルにあるのは?」
「ん? ああ、これは・・・・・・・・・・・・古い植物の化石だ。」
と、クリスタは、オルオがくすねてきた化石に興味津々といった感じで顔を近づけた。
「そんなに珍しいもんなのか? この化石?」
オルオが不思議そうに首をかしげると、クリスタは顔色を変えた。
「これ・・・・・・・・・・・・テレパシーを発してるわ。」
「は? テレパシィイア゛ア゛ッ!!」
「えっ!? あっ!? 大丈夫ですかッ!?」
あまりにも素晴らしいタイミングで舌を噛み、大騒ぎになりながら、オルオはクリスタに半ばあきれられ、半ば心配されながら食堂を出ていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 43 : 2016/11/03(木) 20:21:08 :
その日の夜、クリスタの案内でオルオは、国立超科学研究所へと向かった。
オルオはいかにも胡散臭いといった目で施設の中を見渡している。
研究所とはいうものの、オルオが案内された部屋は、子供たちが何やら得体の知れない玩具で遊んでいる、託児所のようなところであったためかもしれない。
玩具で遊んでいるように見える、10代前後の子供たちは、オルオと一緒に入ってきたクリスタに気が付くと、一斉に目を輝かせた。
「クリスタさんだぁ!」
「クリスタさん!!」
「久しぶり! クリスタ!!」
男の子も女の子も一様にはしゃぐ姿を見て、クリスタも目をほころばせる。
「皆、元気にしてた!?」
クリスタの元気のいい挨拶に、子供たちも嬉しそうに声をそろえて、元気、と挨拶をする。
それを見るにつけて、オルオの表情はいよいよ険しかった。
「で、ここで何をしようってんだ? クリスタ?」
ややぶっきらぼうに問いかけるオルオに対し、クリスタは少し声の調子を落として答えた。
「あなたの持ってる化石の発する微弱なテレパシーを、ここの子供たち全員で調べるのよ。」
-
- 44 : 2016/11/04(金) 15:30:54 :
部屋の中央に小さなテーブル。
そのテーブルの上に植物の化石を乗せ、子供たちが幾重にもテーブルを取り囲んで座り込む。
一斉に子供たちは目を閉じ、それから、両手をまっすぐ前にかざして、テレパシーを感じ取りはじめた。
(ふん。ずいぶんと珍妙な光景だぜ。)
オルオは内心、超能力のことを少しバカにしてこんなことを考えていた。
そんな考えを読み取ったのか、クリスタは少し不機嫌な様子で子供たちを眺めている。
暫く両手を化石へとかざし続ける子供たち。
すると、女の子が一人立ち上がり、クリスタに近づいてきた。
「クリスタお姉ちゃん。この植物の化石、歌ってるの。」
「歌ってる?」
クリスタも少女に言われたことを確かめようとして、化石に向けて両手をかざし、少年や少女たちと思念を通わせる。
・・・・・・・・・・・・メロディが、思念の中に入ってくる。
一人だけでは感じ取ることのできなかった音楽を聴きとって、クリスタは、ゆっくりと目を開けた。
「で、どうなんだよ?」
斜に構えたオルオの問いに対して、クリスタは真剣そのものといった調子で答えた。
「オルオさん。私たちの感じ取った音楽を、私・・・・・・再現したいの。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 45 : 2016/11/05(土) 02:48:44 :
「で、これがその再現した音楽ってわけだな。」
クリスタや子供たちの感じ取った音楽を、オルオは脳波分析を経て現実の音へと変えた。
オルオはこれでも、対G兵器―――――ガルーダを生み出した技術者である。
クリスタはオルオにすっかり感心してこんな言葉をかけた。
「オルオさんって、すごいんですね? まるで超能力みたいです。」
「へっ、褒めたって何にも出やしねえぜ?」
・・・・・・・・・・・・まぁ、自信過剰で気障なところが玉に瑕なのではあるが。
ともあれ、完成した音楽のデータとくすねた植物の化石を持って、クリスタとオルオの二人はウトガルド・シティの国立生命科学研究所、ユミルの研究室を訪れた。
なお、オルオが部屋に入ってくるなり、ユミルの鉄拳がオルオの顔を吹き飛ばしたのは言うまでもない。
-
- 46 : 2016/11/05(土) 03:23:22 :
「ってぇな。折角の美人がこんなことしちゃ台無しだぜ?」
「相変わらずみてぇだな、舌噛み野郎? 私がお前を警察に突き出さなかっただけでも感謝しやがれ。」
困惑するクリスタをよそに、オルオとユミルはお互いにご挨拶を交わした。
先制パンチを食らったオルオであったが、この男、図々しさにかけては誰にも引けを取らない。
「ふっ、俺は転んでもただじゃ起きねぇ男だぜ?」
「あっ?」
「化石を調べてやったんだよ。そしたら、興味深いことが分かったのさ。なぁ、クリスタ?」
とここで、ようやくユミルはオルオの隣にいた女性に気が付いたらしく、クリスタをじぃっと見つめた。
それから、オルオへと視線を戻し、ユミルは疑い深げな目線を投げかけた。
「その話、本当か?」
「へっ、俺を誰だと思ってやがる?」
得意そうに返事をすると、オルオは化石をくすねてから音楽を再現するまでの顛末を話し始めた。
-
- 47 : 2016/11/05(土) 08:58:29 :
「この化石が、音楽なぁ・・・・・・。」
ユミルもまた、オルオと同じように半信半疑、といった様子であった。
仕方ないといえば仕方ないだろう。
オルオも脳波を測定して、クリスタが音楽を再現するまでは半信半疑だったのだ。
正直に言ってしまえば、オルオも超能力の存在は認めざるを得なかったものの、釈然としない、そんなもやもやした気分だったのだ。
「つべこべ言ってんじゃねぇよ。これがその音楽だ。」
オルオはぶっきらぼうにそういうと、ノートパソコンを取り出し、電子音で再現したその音楽を流し始めた。
その曲は何といえばいいだろうか。
私の語彙ではなかなか言い尽くせないのではあるが、神秘的で得体が知れず、電子音であるのに神々しく、それでいてぬくもりのある音楽だった。
そしてこの音楽は・・・・・・・・・・・・ここにいる人間たちの想像以上の事態を引き起こすことになった。
-
- 48 : 2016/11/10(木) 02:01:49 :
-
最初に起こった異変―――――・・・・・・・・・・・・それをはじめに目撃したのは、ユミルであった。
「お、おい。いったい何が―――・・・・・・・・・・・・」
そう言い終わる前に、突如、巨大なガラスのショーケースが木っ端みじんに砕け、さらに、中の卵に接続されていた計器が火を噴いて煙を上げた。
それから、まったく信じられないことに、卵が光りだしたのである。
「なんだぁ!?」
後から事態に気が付いたオルオがいぶかしげな声を上げる中、クリスタははっとして呟いた。
「まさか・・・・・・・・・・・・この音楽に反応して!?」
そう言い終わった瞬間だった。
ユミルがアドノア島で見つけた、巨大な翼竜の卵に、ひびが入った。
「や、やべえ・・・・・・生まれるぞ!?」
ユミルが息を呑み、じいっと卵を見つめる。
いや、ユミルだけではない。
その場に居合わせた全員が、暗示にかかってしまったかのように、視線を卵へと注いでいた。
-
- 49 : 2016/11/10(木) 02:03:10 :
バキッ!
バキキッ!!
勢いよく殻が真っ二つに割れ、卵の中からそれが現れたのを、三人は目撃した。
それはまずユミルをじぃっと見つめ、黒い目を赤く光らせた。
ややあって、生れ出てきたものを見たオルオが、ゆっくりと口を開いた。
「こいつは・・・・・・・・・・・・翼竜なんかじゃねぇ。こりゃ、恐竜の卵だったのか!?」
卵の殻からゆっくりと出てきたのは、背丈が自分たちと同じくらいの、二足歩行の小さな恐竜であった。
褐色の滑らかな肌を持つ恐竜は、おっかなびっくりといった様子で三人を見まわしている。
とここで、クリスタは再びはっと思い当たった。
二年前、クリスタはこの恐竜の成長した姿をこの目で見ている。
忘れもしない。
未来人たちに連れられて、タイムワープした先で、クリスタは目撃したのだ。
「間違いない。これは・・・・・・・・・・・・ゴジラザウルスの赤ちゃんよ。」
-
- 50 : 2016/11/10(木) 02:05:00 :
-
クリスタのその発言にぎょっとする二人。
しかし、ゴジラザウルスの赤ちゃんだと思って見れば、なるほど、背中にはゴジラを思わせる、三列の背びれが小さいながらもついている。
やがて、ゴジラザウルスの赤ちゃんは、ゆっくりと、ユミルのほうへと歩いてきた。
「な、なにをする気だ!?」
三人はそろって壁際へと下がり、ゴジラザウルスの赤ちゃんの様子をうかがう。
すると、ゴジラザウルスの赤ちゃんは、その鼻先を、ユミルの胸へと押し付けてきた。
まるで、そう・・・・・・・・・・・・母親に甘える子供のように。
「こいつ・・・・・・・・・・・・私に甘えてやがんのか?」
驚愕とともに、ユミルは・・・・・・・・・・・・思わずゴジラザウルスの赤ちゃんのあごのあたりを撫でていた。
すると、ゴジラザウルスの赤ちゃんは、まるで猫のように、ゴロゴロと声を鳴らし、目を細めた。
その様子を見ていたオルオが、ふと翼竜に関する知識を思い出した。
「そうか・・・・・・・・・・・・翼竜 はゴジラの卵を托卵してたってわけか。」
「托卵?」
クリスタが首をかしげると同時に、話を聞いていたユミルが、なるほどと相槌を打ち、説明を加える。
「鳥類ってのはな、ほかの種族の卵を我が子のように温めることがあるんだ。カッコウなんかがそれだな。」
「じゃあアドノア島に現れた怪鳥は?」
「ああ。おそらく・・・・・・・・・・・・この卵がゴジラの卵だと知らずに温めてたんだろうな。ん? なんだよ?」
ユミルが説明してる間にも、ゴジラザウルスの赤ちゃんは鼻を押し付けてきた。
甘えてくる赤ちゃんにユミルも思わず顔をほころばせ、あごをなでなでしてあげると、赤ちゃんのほうも嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らす。
「こいつは私を親だと勘違いしてるみたいだな。よし―――・・・・・・・・・・・・今日からお前は『リトル・ゴジラ』だ。よろしくな、リトル。」
不思議な話だが、こうやってみると、ゴジラだってかわいく思えてくる・・・・・・。
ユミルはそう思いながら、リトルのあごを撫で続けた。
-
- 51 : 2016/11/10(木) 03:54:58 :
-
と、その時だった。
突如、クリスタの頭の中に悪寒が走る。
その感覚を、クリスタは過去に何度も味わっていた。
異変を察したユミルがクリスタに話しかける。
すると、右手で頭を押さえたクリスタが呟いた。
「ゴジラが・・・・・・・・・・・・ゴジラが、来るッ!!」
シガンシナ水道に面する工業都市。
ゴジラは突如、コンビナート施設へと上陸し、工場という工場を火の海へと変え始めた。
石油関連の施設が炎上し、石油を貯蔵していたタンクが、放射能熱線に当てられて爆発する。
ゴジラはまるで、匂いを嗅ぎつけたかのように、北の端北マリア海から、南のシガンシナ水道まで移動してきた。
そして、炎上する工業都市から、ウトガルド平原をまっすぐ横切り始めたのである。
再び姿を現したゴジラは、まるで誰かを呼ぶように、咆哮を上げた。
-
- 52 : 2016/11/10(木) 14:24:48 :
「ゴジラ出現!! 出撃態勢をとれッ!!」
ゴジラ出現の報は、直ちにカラネス区、国連G対策センターへと伝えられた。
館内放送が鳴り響き、青いパトランプが光って職員たちがあわただしく走り回る。
「G警報レベル3! 総員配置につけッ!!」
指令室にエルヴィンやナイル、ハンジといった主要メンバーが入り、メカゴジラのコクピットへと通じるリフトにリヴァイ、エルド、ペトラが集合する。
が、そこにオルオの姿が見れらないことに、リヴァイはようやく気が付いた。
「おいお前ら、あの豚野郎はどうした?」
リヴァイが怪訝な顔をする中、エルドは言いにくそうに答える。
「それが・・・・・・・・・・・・いないんです。」
「いない? あの豚野郎、無断で・・・・・・。」
リヴァイはそうぼやくと、指令室に通信を入れた。
「指令室。人員に一人欠員が出た。至急グンタ・シュルツをここに呼び寄せろ。」
-
- 53 : 2016/11/10(木) 14:25:47 :
グンタと合流したリヴァイたちは、リフトの中へと乗り込む。
高速で移動するリフトはメカゴジラの中へと入り、コクピットの中へと四人を招き入れた。
それぞれがリフトを降り、用意された四つの操縦席へと座っていく。
「お前たち、準備はいいか?」
リヴァイの発した一言に、エルド、ペトラ、グンタがゆっくりと頷く。
リヴァイがメカゴジラのメインコンピューターの電源を入れ、モニターが起動したことを指令室が確認すると、エルヴィンはいよいよ指令を発した。
「出撃準備!!」
エルヴィンの掛け声と同時に、横たわっている状態になっているメカゴジラから、電気アームがゆっくりと離れていく。
続いて、「スタンディング・ポディション!」という館内放送とともに、120m級のメカゴジラの巨体が、ゆっくりと直立した状態になっていく。
「リフトアップ急げ!」
「冷却液、注入開始!」
「注入スタンバイ、OK!」
立ち上がった状態のメカゴジラが、着々と出撃の準備を整えていく。
その様子を、格納庫を見下ろすことのできる窓のついた部屋から、ハンジの部下であるモブリットが見守っていた。
やがて、冷却液の注入が終了すると、モブリットは次なる指示を出す。
「ヘッド・アーム、開け!」
プシュウゥという音とともに、メカゴジラの頭部を固定していたヘッド・アームが開いていく。
重ねて、指令室からもハンジの指示が飛んだ。
「ボディー・アームを開くんだ!」
メカゴジラの体を固定しているボディー・アームも、ヘッド・アーム同様に音をたてながら開いていく。
出撃の態勢が整いつつあるメカゴジラ。
「リフトアップ、開始!」のアナウンスとともに、メカゴジラは格納庫を上昇していく。
天井が開いて日の光が差し込んでくる。
やがて、カラネス区の国連G対策センターにある基地の外に、120mもの巨体を誇るメカゴジラが姿を現した。
その風格は、まさに覇王のそれであり、鈍い光沢を放つメカゴジラは、はるか遠くを見据えているかのように見えた。
「ボディー・アーム、全開!」
ハンジから最後の指示が飛び、メカゴジラを固定していたボディー・アームがすべて開き、出撃の態勢が今、整った。
「よし、メインエンジンを点火しろ。」
コクピット内ではリヴァイがペトラに指示を出し、メカゴジラ内のメインエンジンが始動。
低く唸るような音を立て始める。
エンジンが十分に温まったと判断したリヴァイは、操縦桿を握り、声を発した。
「メカゴジラ・・・・・・・・・・・・発進!!」
-
- 54 : 2016/11/10(木) 16:52:02 :
-
ゴオオォォッという音とともに、メカゴジラの背中と太ももの裏側にあるブースターが火を噴く。
15万トンもの重量を誇るメカゴジラがゆっくりと宙に浮き、それから、地面に対して水平方向に体の向きを変え、頭部が正面を向いた。
「ウトガルド平原に向け、最短コースをとる。ペトラ、コース修正だ。」
「了解。」
そういうとリヴァイは、左に舵を切る。
最高飛行速度であるマッハ1で空を飛んでいくメカゴジラ。
はるか下にウトガルド・シティを望み、やがてメカゴジラは、ウトガルド平原の先を進撃していくゴジラを視界にとらえた。
同時に、ゴジラも、メカゴジラを視界にとらえ、その顔を上へとむける。
空から飛んでくる巨大な機体を見て、ゴジラはすぐに、メカゴジラを不倶戴天の敵と認識したらしく、その黒い瞳でぎろりと睨み付けてきた。
「あれが、ゴジラですか・・・・・・。」
「なんて大きさなの。」
その圧倒的な存在感に息を呑むグンタとペトラ。
それとは対照的に、リヴァイとエルドは落ち着き払っていた。
静かに、語り掛けるように話しかけるリヴァイ。
「落ち着け、お前ら。今なすべきことは冷静に、ゴジラを駆逐することだ。ペトラ、着陸態勢をとれ。」
「了解。」
地面に対して水平方向を向いていた機体が、垂直方向になっていく。
着陸態勢を取り、ゆっくりと地面に降下していく。
ドオォォォン・・・・・・・・・・・・
__________世紀末覇王降臨。
120m級、対G兵器―――・・・・・・・・・・・・メカゴジラは、ゴジラの目の前に着陸した。
-
- 55 : 2016/11/14(月) 18:02:57 :
- 期待です
-
- 56 : 2017/02/21(火) 15:17:18 :
- >>55
しばらく更新していなくて申し訳ないです(;^ω^)
今日からチマチマと更新していきます
-
- 57 : 2017/02/21(火) 15:34:02 :
「モニターを開くんだ。」
G対策センターの指令室において、ハンジの指示が飛ぶ。
目の前のモニターに映し出されたのは、今まさにメカゴジラが対峙している、怪獣王の姿であった。
「とうとう、私たちの科学力が試される時が来たよ。」
眼鏡の奥の眼光も鋭く、ハンジは静かにモニターを見つめる。
エルヴィンとナイルもゆっくりと頷き、目の前のゴジラをきっと見据えた。
両者睨み合い、ゴジラが咆哮をあげる。
先に動いたのは、メカゴジラの方だった。
「・・・・・・攻撃開始!」
リヴァイが指示を出し、メカゴジラがブースターを噴出させて空中を浮遊し始めると、エルドが操縦桿を握った。
「メガバスター、発射!!」
エルドが引き金を引くと、メカゴジラは空中を横へと移動しながら、赤と青の光を交互に放つメガバスターを口から発射。
メガバスターはゴジラに直撃し、ゴジラを立ち退かせるほどの威力を発揮した。
畳みかけるように何発も放たれるメガバスターが火花を散らし、ゴジラが煙に包まれていく。
それでもゴジラは怒りの方向をあげ、前進してきた。
地上へと降り立ったメカゴジラめがけ、ズシン、ズシンと巨大な足音を立てて進んでくる。
目の前の鉄塔を引き倒し、怒りの形相を見せるゴジラに、冷静を保てる者はわずかだった。
-
- 58 : 2017/02/21(火) 15:36:19 :
グンタ「リヴァイ大尉! ゴジラが向かってきます!」
リヴァイ「分かってる。エルド、レーザー砲 だ。」
エルド「了解!!」
ゴジラを目の前にして、リヴァイは冷静な判断を失わない、数少ない軍人の一人であった。
メカゴジラの黄色い眼光から、黄色の閃光が放たれる。
閃光がゴジラの体へと突き刺さり、激しい爆発を起こして再びゴジラを身じろがせる。
これに怒り狂ったゴジラは、遂に背びれを青く光らせた。
ペトラ「!! 大尉、熱線が来ます!!」
リヴァイ「狼狽えるな。問題ない。」
リヴァイがペトラをそう窘めた次の瞬間に、青い熱線がゴジラの口から放たれた。
青い一撃がメカゴジラを襲い、コクピットの中に火花が散った。
が、メカゴジラに目立った外傷は見られず、動揺したゴジラは首をかしげて、それから咆哮した。
-
- 59 : 2017/02/21(火) 15:36:37 :
「あのゴジラが・・・・・・動揺している?」
指令センターでモニターを眺めていたナイルが思わず声を漏らすと、ハンジがニヤリと笑みを浮かべた。
「うひひひ、当然さ。メカゴジラの全身には、熱線に耐えられるようにダイヤモンド・コーティングを施したんだからね。」
「博士、目が泳いでます。」
変人っぷりを遺憾なく発揮するハンジ博士を窘める助手のモブリット。
G対策センターの職員は、もう慣れっこなのか、ハンジには誰も突っ込みを入れない様子であった。
そんなことはお構いなしに、ハンジは話を続けた。
「それだけじゃない。受けた熱線を収束させて、何倍もの威力で撃ち返すことができるんだ。」
果たして、ハンジの言う通り、メカゴジラは咆哮のような機械音をあげた。
「プラズマ砲 、オン!」
エルドがスイッチを押すと、円形の腹部の覆いが開き、丸い砲身が現れる。
「よし、プラズマ砲 、発射!!」
リヴァイの合図でエルドが引き金を引くと、全身が青い稲妻に包まれ、次の瞬間には腹部の砲身に収束し、巨大な黄色の閃光となってプラズマ砲 が発射された。
その威力たるや2年前のメカキングギドラのプラズマ光線を大きく上回り、腹部への直撃を食らったゴジラは堪らず吹き飛ばされ、その巨体が一瞬、宙へと浮いた。
ズゥゥゥン・・・・・・・・・・・・
大きな山が崩れるかのような衝撃があたりに走り、ゴジラは仰向けに転倒した。
-
- 60 : 2017/02/24(金) 16:16:07 :
「よしっ!!」
ハンジが思わず両手をたたいて声をあげ、エルヴィンとナイルも顔を見合わせてお互いに頷く。
今まで散々人類を脅かしてきたゴジラをとうとうここまで追い詰めたのだ。
ただし、このゴジラを生み出したのもまた人類自身の業であり、そのゴジラを人類の手で葬るというのも、人類の業の深さを思わずにはいられないものである。
それでも、生き残るためにはゴジラを駆逐せねばならない。
リヴァイ班の決断に、迷いはなかった。
エルド「パラライズ・ミサイル、発射ッ!!」
追い打ちをかけるように、倒れたゴジラへミサイルを撃ち込んでいく。
爆炎があたりを包み込み、これにはさしものゴジラも悲鳴を上げた。
リヴァイは操縦桿を握り、ゆっくりとゴジラに近づいていく。
ゴォォォッ!!
不意に、ゴジラの熱線の一撃がメカゴジラを襲った。
青い光がメカゴジラに直撃。
だが、メカゴジラのダイヤモンド・コーティングは、ゴジラ自慢の熱線ですら寄せ付けなかった。
再びメカゴジラの体が青い光で覆われ、それから腹部の砲身へとエネルギーを収束。
ゴォォォォッ!!
プラズマ砲 が再び炸裂し、倒れていたゴジラを吹き飛ばした。
悲鳴だに上げることができず、宙を舞ったゴジラは、再び大きな衝撃とともに地面へと叩き付けられた。
-
- 61 : 2017/03/12(日) 18:42:26 :
「よし。ショックアンカーを準備しろ。」
「了解。」
リヴァイが淡々と命じ、エルドが冷静にメカゴジラを操作する。
両手をゆっくりと、倒れているゴジラのほうへと向けるメカゴジラ。
それから、狙いを定めたエルドが叫んだ。
「発射!!」
バシュッ! という音と共に、メカゴジラの両手首から、ワイヤーの繋がれた矢じりのようなものが勢いよく飛び出した。
射出された二本の矢じりは、倒れているゴジラの胴体へ深々と突き刺さる。
そのあまりの激痛に、ゴジラは再び、悲鳴のような咆哮をあげた。
「よし、電流を流せ、エルド。」
「はい!」
次の瞬間、激しい電流の奔流がメカゴジラからゴジラの体へと流れ込んだ。
これまでのデータから、ゴジラが電流に弱いのは分かっていたことであったし、メカキングギドラにもこれに似た兵器が搭載されていた。
ただし、メカキングギドラのそれがゴジラを捕獲することに主眼を置いていたことに対し、メカゴジラのものは、ゴジラの息の根を止めることが主たる目標であったのだ。
激しい電流が眩しい火花を散らしている間、ゴジラは悲鳴を上げることすら許されず、口からブクブクと泡を吹き始めた。
-
- 62 : 2017/03/12(日) 18:43:45 :
「これで・・・・・・これで漸く、人類はゴジラに打ち勝つことが出来るんだ。」
G対策センター本部のモニターを眺めながら、ハンジは自分の心臓が早鐘をうっていることを感じ取っていた。
いや、ハンジだけではない。
ナイルにしても、エルヴィンにしても、この瞬間にすべてを捧げてきた人間たちは全員、固唾をのんでモニターを食い入るように見つめている。
そしてそれはメカゴジラのコクピットに座っているリヴァイたちとて、例外ではない。
電流を流され、死に近づいていくゴジラに対して、しかし、歓喜の表情はなかった。
自分たちに課せられた使命を粛々と遂行し、その終わりが見えてきたことに際して、それぞれがどのような思いを抱いていたのだろうか。
突然の警報が鳴り響いたのは、そんな時だった。
-
- 63 : 2017/03/12(日) 18:44:42 :
-
ペトラ「!? リヴァイ大尉!?」
リヴァイ「ぐっ、何が起こってやがる!?」
グンタ「エ、エネルギーが逆流しています!!」
グンタが叫び声をあげた次の瞬間には、コクピットは激しい火花に包まれた。
信じられないことが起こった。
ゴジラは差し込まれたワイヤーから、自らのエネルギーをメカゴジラへと流し込んだのだ。
ゴジラのエネルギーの巨大さに耐えきれず、関節という関節から煙を上げ始めるメカゴジラ。
「ぐぅ、ワイヤーを切り離せ!」
リヴァイの判断は、すでに遅きに失していた。
ゴジラから流されたエネルギーの奔流は凄まじく、メカゴジラはオーバーヒートを起こして完全に沈黙してしまったのだ。
「そ、そんな馬鹿な!?」
モニターに映し出される信じがたい光景に、ナイルが思わず声を漏らす。
気が付けばナイルやハンジも立ち上がって、さっきまでの空気はどこへやら、絶望感に打ちのめされた表情を浮かべていた。
それから彼らは、矢じりを引き抜き、ゆっくりと立ち上がるゴジラのすさまじい怒りの表情を、見た。
ゆっくりとメカゴジラへと近づいていくゴジラを、見た。
はっとしたハンジがモニターへと向かって叫んだ。
「リヴァイ! 逃げろ!!」
-
- 64 : 2017/05/16(火) 15:08:45 :
ハンジの叫び声がコクピットに響いた次の瞬間、すさまじい衝撃がリヴァイたちを襲った。
その衝撃のすさまじさたるや、リヴァイでさえも身じろがざるを得ず、ほかの隊員たちは言うに及ばぬありさま。
コクピットの中は再び火花に包まれ、エルドでさえ思わず声を上げる中、リヴァイはそれでも激しく揺れ動くモニターを見つめ続けた。
ズウゥゥゥン・・・・・・・・・・・・
大地を揺るがす巨大な振動がウトガルド平原を走り、やがて沈黙した。
120m級の巨体を誇るメカゴジラがゴジラになぎ倒されたのだ。
リヴァイはそれでも今度は動く様子を見せないモニターを見つめ続けた。
それを見下ろすゴジラ。
ややあってゴジラは、しかし、ふいっと顔を横に向けてしまった。
まるで視界に入っていないかのように、悠々と歩を進めるゴジラを、リヴァイ班はただただ見つめるしかなかった。
暫くしてから。ようやく口を開いたのは、グンタ・シュルツであった。
「なぜゴジラは、俺たちを・・・・・・?」
やや震える声で尋ねるグンタに、リヴァイは至って冷静にこう答えるのみであった。
「あいつの視界に俺たちが入ってない。それだけだ。」
-
- 65 : 2017/05/16(火) 15:10:36 :
___________メカゴジラ、敗北。
この苦々しい結果の受け止め方は様々であった。
ハンジは拳で机を叩き、ナイルは大声で毒づき、そしてエルヴィンはリヴァイと同様に沈黙する。
が、G対策センターのメンバーは次なる対策に迫られていることを思い出さなければならなかった。
いち早くその使命を思い出したエルヴィンが命令を下した。
「ゴジラをウトガルド・シティに近づけるな! 至急メーサー戦車隊を進撃させろ!!」
エルヴィンの指示が部屋の中に谺し、直ちにオペレーターたちが適切な指示の伝達を開始。
間もなくウトガルド平原に後詰として展開していたメーサー戦車隊がまっすぐ、向かってくるゴジラに向かって進撃を開始した。
巨大なパラボラアンテナのような砲身をゴジラに向け、そして・・・・・・・・・・・・
「発射ッ!!」
一斉に青い稲妻を放つメーサー戦車隊。
幾本もの青い閃光がゴジラを捕らえ、火花を散らし、もくもくと黒煙が上がる。
だが・・・・・・・・・・・・
ゴオオォォッ!!
メカゴジラを打ち倒したゴジラにとって、メーサー戦車隊の稲妻など、霧雨のようなものであった。
青い稲妻はたちまちゴジラの青い熱線に飲み込まれ、戦車はたちまち真っ赤な熱の塊となって爆発、炎上した。
モニターを見つめていたハンジは、静かに、声を潜めるように呟いた。
「もう、手の打ちようがない・・・・・・。」
眼鏡をはずし、映し出される光景を、まるで金縛りにあったかのように見つめるしかなかった。
そしてそれは、ナイルにしても、はたまたエルヴィンにしても同様。
かくしてゴジラは、G対策センターの必死の猛攻も虚しく、伝統的な石造りのウトガルド・シティへと進撃を果たしたのであった。
-
- 66 : 2017/05/18(木) 17:09:01 :
進撃を果たしてからのウトガルド・シティの惨状は、それはひどい有様であった。
街のシンボルであったウトガルド城は完全に破壊され、黙々とした黒い煙が太陽を覆い、さながら夜のような暗さを赤々とした炎が街を照らし出した。
ウォール公国国立生命科学研究所、避難のために作られた地下空間において、近づいてくるゴジラの脅威を最も感じ取っていたものの一人は、クリスタであった。
「ゴジラが、ゴジラが・・・・・・。」
クリスタの身体の震えが大きくなる。
キングギドラとの戦闘の時以来の悪寒を感じ取っているクリスタの肩を、ユミルがポンと叩いた。
「しっかりしろよ、クリスタ。ん? どうした、リトル!?」
クリスタと同じくゴジラの脅威を感じ取っていたリトル・ゴジラが、目を赤く点滅させ始めた。
異変に気付いたユミルやオルオがリトルの顔を覗き込む。
リトルは弱々しい呻き声のような鳴き声を漏らした。
ゴジラの巨大な足音と振動が、だんだんと大きくなってくる・・・・・・・・・・・・――――――――
リトルの怯える様子を見たクリスタが、リトルにそっと寄り添った。
「怖がることはないよ、リトル・・・・・・。」
絞り出すような声で、リトルに声をかけるクリスタ。
声に出すだけでなく、テレパシーを通じ、リトルの心の中にも語り掛ける。
すると、クリスタの思念に安心したのだろうか、リトルもまた、クリスタにそっと寄り添った。
-
- 67 : 2017/05/18(木) 17:10:04 :
___________ややあって、近づいてくるゴジラの足音と振動が、突如として停止した。
異変をいち早く察知したオルオが、天井を見上げる。
「くそ、ついに真上に来たのか!?」
そういうオルオの表情には、焦りが見て取れる。
額に汗を浮かべているオルオの脳裏には、メカゴジラの敗北の可能性がちらついていた。
しばらくして、再び足音が響き始め、巨大な振動が地下を揺らし始める。
しかし、足音と振動はどういうわけか、国立生命科学研究所から遠ざかり始めた。
「どういうことだ、オルオ? クリスタ? ゴジラが遠ざかってくぞ!?」
合点がいかない様子のユミルに対し、クリスタが静かに、やや声を震わせて答えた。
「ゴジラはきっと、リトルを見つけられなかった。だから・・・・・・・・・・・・。」
「探すのをあきらめて帰ってくってわけかよ。そういうことでいいのか、オルオ?」
「あ、ああ、たぶんな・・・・・・。」
遠ざかっていく足音を、オルオたちは地下で聞き届けるよりほかに、すべはなかった。
___________ゴジラはそのまま、海へと去って、深い深い海底の中へと姿を消した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 68 : 2017/05/29(月) 17:02:24 :
『ゴジラ、海底に姿を消す』
上記の見出しの新聞記事が世を賑わせているちょうどその頃、国連G対策センターのとある一室の前で震えている男がいた。
ドアについているプレートには、『リヴァイ・アッカーマン大尉』と書かれている。
オルオはリヴァイの部屋の前で、次の瞬間には襲ってくるだろう雷に、冷や汗をかいていた。
(何だってこんなタイミングでゴジラがやってくんだよ・・・・・・。)
心の中で泣き言交じりの愚痴を言っても仕方ない。
恐る恐るといった様子で、オルオはコンコンコンと、ドアをノックした。
「誰だ?」
ドアの向こう側から、リヴァイのぶっきらぼうな声が響いてくる。
ぎくりとしながらも、オルオが返事をすると、以外にも淡々とした答えが返ってきた。
「何だお前か。入れ。」
「は、はい!」
ゆっくりと扉を開け、そうっと入っていくオルオ。
リヴァイは、しかし、至って平常そうにマグカップを鷲掴みにして、ゆったりと紅茶を飲んでいた。
「で、俺に何の用だ?」
鋭い一瞥をくれるリヴァイにオルオは緊張気味に答える。
「あの、先日は無断で外出してしまい、スクランブルに際してメカゴジラに搭乗できず・・・・・・―――――――むぐッ!?」
「そのことならもういい。」
舌を噛んで悶絶するオルオの話を遮るとリヴァイは、机の上にあった紙を折って紙飛行機を作った。
作り終えた紙飛行機をオルオに向かって飛ばすリヴァイ。
痛みに悶絶するオルオの額にこつんと当たり、紙飛行機は床へと落ちた。
「こ、これは?」
「辞令書だ。喜べ、栄転だぞ?」
さて、紙飛行機を拡げると、それは確かに辞令書であった。
「あん? この俺が、G対策センターの駐車場係だって!?」
「そうだ。お前はもう俺の部下でもない。話は終わりだ。」
淡々とそう言うと、リヴァイはまるで何事もなかったかのように、再び紅茶を飲み始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 69 : 2017/06/04(日) 11:40:38 :
-
ゴジラの襲撃により壊滅的な打撃を被ったウトガルド・シティ。
国立生命科学研究所も例外ではなく、そのためユミルはリトル・ゴジラと共に、カラネス区へ移動することと相成った。
「お前の親父は飛んでもねぇな。ん?」
悪態をつきながらもユミルは、なんと所長直々にリトルの世話をしていた。
地下空間に作った鉄製の柵の中に土をのべて草木を植え込んでと手の込んだものであり、その中でユミルは所長としての仕事の傍ら、土仕事に明け暮れていたのである。
おまけに、かなり臆病で甘えん坊なリトルがしばしば鼻先をつんつんしてくるので、仕事は遅々として進まなかった。
「お前なぁ・・・・・・。ったく、お前ホントゴジラなのかよ?」
半分あきれたように言うユミルであったが、ふんと鼻を鳴らすと、次の仕事に取り掛かり始めた。
その仕事というのは、リトルの体格の分析。
何とかリトルをCTスキャンに通し、その分析結果から何かゴジラについて分かることはないか、G対策センターから調査を依頼されていたのである。
「よし、じゃあ次の仕事に取り掛かるぞ、リトル?」
リトルを飼育しているうちに食べるとわかった草を手に持ち、ユミルはリトルを誘導し始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 70 : 2017/06/04(日) 11:41:31 :
-
G対策センターのドックの中では、ハンジ博士の主導の元、先の戦いに敗れたメカゴジラの修復作業が行われていた。
「エネルギー逆流防止装置の出力をもうちょっと上げてくれるかな?」
「はい! ハンジ博士!」
モブリットをはじめとする部下たちにあれこれと忙しく指示を出すハンジ。
その様子を彼女の傍らで眺めていたエルヴィンが口を開いた。
「修復は間に合いそうか?」
「問題なく終わると思うよ。ただ、ゴジラの戦闘能力はいまだ未知数だ。それに・・・・・・。」
「それに?」
ハンジは一瞬考え込むように右手を顎に当て、やがて言葉を継いだ。
「今回の戦いで分かったことなんだけれど、メカゴジラはあまりにも砲撃に特化しすぎた。
もう少し機動力を上げられないかどうか、試行錯誤をしているところなのさ。」
今回のメカゴジラは、悪く言えば動く砲台と言っても差し支えなかった。
それでも能うる限りの火器を搭載し、ゴジラを圧倒するのがハンジの作戦だったわけであるが。
それが、今回の戦いの結果を受けて、軌道修正を余儀なくされた格好である。
「それで、その方法とは?」
「今は脚部と腰部についているブースターの出力を上げている。でも、まだ根本的な解決には至っていないんだ。」
いかにメカゴジラの機動力を上げるか、ハンジはそこに頭を悩ませていた。
◇◇◇◇◇
-
- 71 : 2017/06/04(日) 11:42:09 :
一方同じ頃、G対策センターの長官たるナイルは、ユミル所長からの報告をもとに会議を開いていた。
ナイルはスクリーンにリトルの神経網の画像を映し、クリスタをはじめとする出席者に解析を加えているところであった。
「リトル・ゴジラの神経網を解析した結果、リトルの神経が腰部に集中しているということが分かった。」
ナイルはリトルの腰部に集中する神経網に目を付けた。
そしてそれは、同族たるゴジラにも存在するであろうという仮説を立てていたのである。
「これはいわばゴジラの第二の脳とも呼ぶべき存在だ。そして、そこを破壊すれば、ゴジラを倒すことができるだろうと思われる。」
ナイルの分析は鋭かった。
確かにゴジラにも第二の脳が存在し、そこを破壊されればいかにゴジラといえども息絶えてしまう。
ただ、第二の脳を破壊するためには問題があった。
第一に、破壊するための兵器を考案せねばならないこと。
第二に、ゴジラの第二の脳がどこにあるのかを感知せねばならないこと。
-
- 72 : 2017/06/04(日) 11:44:53 :
もちろん、議題にもその問題点は上がってきた。
第一の問題点は難なく解決した。
ゴジラに止めを刺すためのショックアンカーを強化し、Gクラッシャーとするということである。
Gクラッシャーへの強化はハンジ博士に任せるとして、第二の問題点についても、既にナイルに腹案があるようであった。
ナイルはここで、クリスタに話しかけた。
ナイルの表情は、既に決意を固めたかのように鋭いものであった。
「クリスタ君。実は、ゴジラの第二の脳の感知を、君にやってもらいたい。」
「!? 私にですか!?」
ナイルの腹案とはつまり、Gクラッシャーの運用をクリスタに委ね、急所を確実につくというものであった。
渋るような表情を見せるクリスタに対し、ナイルはさらに畳みかけた。
「君の能力無くしてこの作戦は成功しない。今は・・・・・・人類の存亡のことを念頭に置いて考えてくれ。」
有無を言わさぬナイルの説得に、クリスタはついに屈した。
こうして、次の作戦にはクリスタもメカゴジラに乗ることが決まったのである。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 73 : 2017/06/04(日) 11:45:47 :
さて、ショックアンカーの出力を強化してGクラッシャーとすることが決まったものの、ハンジは新たな難題に直面していた。
(ブースターの出力も上げつつ、Gクラッシャーも両立するとなると、そのエネルギーの確保が問題だ。
うう、ただでさえギリギリ一杯なのに、ナイルの奴。)
さしあたって良案も浮かばず、ハンジは頭を抱えていた。
結局アイディアらしいアイディアも浮かばず、仕方なしにハンジは車に乗り込み、立体駐車場からバックで車を出したのである。
回転盤に乗ってゆっくりと正面を向くハンジの車。
ところが、正面を向いたはずなのに装置は止まらず、車はいつまでも回転盤をくるくる回っているではないか。
「おい、駐車場係はなにやってるだい!?」
驚いたハンジが声をかけると回転盤が止まった。
そして、その犯人たる駐車場係がニヤニヤしながら近づいてきた。
「よう、ハンジ博士。」
「オルオ!? まったく君って奴は!」
近づいてきたのは、先に駐車場係に左遷されたオルオであった。
車の窓を開け、あきれたように声を上げるハンジに対し、オルオはお構いなしにタブレットを取り出して車の中に身を乗り出してきた。
「どうやら、随分とお困りのようじゃねぇか。」
「・・・・・・・・・・・・いったい何が言いたいんだい?」
「俺に名案があるんだ。Gクラッシャーのエネルギーも確保しつつ、機動力を上げる名案がな。」
「・・・・・・・・・・・・詳しく聞こうじゃないか。」
オルオの案とはこうである。
メカゴジラの背中に、先に対ゴジラ用の戦闘マシンとしてオルオの開発したガルーダをドッキングさせる。
元々優れた飛翔能力を持つガルーダがドッキングすることで機動性が上昇し、同時にGクラッシャーのためのエネルギーも確保できる。
すると、話を聞いていたハンジが、何やら不気味な声で笑い始めた。
心なしか、眼鏡も光っている気がする。
「実にいい案だよ、オルオ。」
「へっ、当たり前だろ? 俺を誰だと思ってやがる。」
「君の案に私も一口乗ろうじゃないか。」
「交渉成立だな。」
ハンジとオルオは、その場で固い握手を交わした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 74 : 2017/10/03(火) 20:52:42 :
- 続きはあああああああはあああああああ
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- 75 : 2017/10/14(土) 08:44:14 :
- 期待デフ
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- 76 : 2017/11/09(木) 13:35:41 :
期待ありがとうございます(^O^)
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- 77 : 2017/11/09(木) 13:39:47 :
「ダハハハハ! お前も忙しいやつだな。左遷されたり出世したり。」
「ま、最後には出世できたからいいってことよ。」
オルオの波乱万丈な立身出世物語を聞いたユミルは、呆れたように笑い声をあげた。
それにしてもオルオはなかなかしぶとい男である。
最終的に、オルオは自らが開発したガルーダをメカゴジラに合体させる奇抜なアイディアでもって、ロボット部門への配属となった。
自分が着ている白衣を見せびらかしに、オルオはユミルの元を訪れたというわけだ。
「おっと、そういやあのリトルゴジラはどうした、ユミル?」
ふと思い出したようにリトルのことを尋ねるオルオ。
リトルがいるはずの柵の中を見ても、まるで小さなジュラシックパークのような植物と地面があるだけで、肝心のリトルの姿がない。
とオルオが思った次の瞬間、どこからか、ガサゴソと音が聞こえてきた。
ユミルが小さくため息をつく。
「ったく、最近のリトルはかくれんぼを覚えやがった。おまけに悪戯に物を隠しやがるから手間がかかってしょうがねぇ・・・・・・。」
「付き合ってやれよ。あいつの同族はあのゴジラしかいねぇんだからな。」
「話の通じる相手じゃねぇか・・・・・・しょうがねぇな!」
-
- 78 : 2017/11/09(木) 13:40:39 :
ぶっきらぼうに言いつつ、柵の中に入るユミル。
オルオも続いて柵の中へと駆け込む。
二人が入ってきたことに気が付いたリトルはあどけない鳴き声をあげて、鬼二人から逃げ始めた。
「オルオ、そっち行ったぞ!」
「俺様から逃げられると思うな、ガキ!」
柵の中を散々追いかけまわして、リトルゴジラを追いかける二人。
肩で息をし始める二人を差し置いて、リトルゴジラは意外にもすばしっこく二人から逃げ回っては、弾むような鳴き声を上げた。
「はぁ、はぁ、なっ、手間が・・・・・・かかるだろ?」
「はぁ、はぁ、生意気だな・・・・・・リトルのくせに。」
息を切らせて地面に座り込む二人。
そんな二人へと、そっとすり寄ってくるリトル。
リトルが近づいてくることに気が付いたユミルが、そっとリトルの顎に手を回すと、リトルは喉をゴロゴロと鳴らして目を細めた。
-
- 79 : 2017/11/09(木) 13:43:50 :
さて、ここでオルオはあることに気が付いた。
さっきまで楽しそうにしていたユミルであったが、リトルを撫でるその表情が、どこか浮かないものになっていたのだ。
ユミルはオルオがここに来た本当の目的を察していた。
そして、オルオもまた、ユミルが察していることに気が付いたのである。
先に口を開いたのは、ユミルの方であった。
「・・・・・・こいつを、連れてくのか?」
「・・・・・・ああ。」
短い返事を返すオルオに対し、ユミルは返事をしようともしない。
ややあって、ユミルは立ち上がると、リトルから離れるように歩き出し、オルオに背を向けたまま語りだした。
「私がこいつの側に付き添ってやらねぇとな。こいつは見ての通りの甘えん坊だ。ったく、世話かけやがる。」
「ユミル。」
「言うな。危険なのは・・・・・・分かってんだよ。」
ユミルは、ゴジラをおびき寄せる囮となるリトルと、運命を共にする覚悟をすでに固めていた。
オルオはもうこれ以上何も言わず、再びユミルにすり寄るリトルを残して、部屋を後にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 80 : 2017/11/09(木) 14:26:20 :
「それで、作戦の内容をユミルに?」
クリスタは暗い顔で、国立超科学研究所を訪れたオルオに尋ねた。
オルオもまた暗い顔で答える。
「・・・・・・あいつはもう察していた。
これからリトルはコンテナに乗せられて、遥か南方のダウパー島へと移される。
リトル共々、ゴジラをおびき寄せる囮になるってわけだ・・・・・・。」
オルオはため息をつき、頭をポリポリと掻いた。
話をそらすように、今度はオルオから話しかける。
「で、なんで俺をここに呼び寄せたんだ?」
「・・・・・・例の歌が、完成したの。」
暗い表情のまま、クリスタは研究所にいる子供たちを呼び寄せた。
何も知らない子供たちが、嬉しそうにクリスタの周りへと集まってくる。
「じゃあ皆、オルオさんに練習の成果、見せてあげてね!」
子供たちの前では努めて明るくふるまうクリスタに、知ってか知らずか、子供たちは元気いっぱいに答える。
それから、子供たちは声を合わせて、あの卵についていた草の化石の放つ、不思議なメロディをコーラスにして歌い始めた。
-
- 81 : 2017/11/09(木) 14:27:05 :
-
________同刻、アドノア島。
王都ミットラスからそう離れていないカラネス区から、遥か北方・・・・・・。
ゴジラの襲撃により、瓦礫の山と化したアドノアの地表に、横たわっている怪獣。
巨大な翼をもつ翼竜・・・・・・ラドンの体が、遥か遠くから響いてくる歌に呼応するように、炎に包まれ始めた。
ゴオオオォォォッ!!
赤々と燃える炎の中から、まるで不死鳥のように、赤く染まった翼竜が大きくその翼を羽ばたかせる。
________ファイヤーラドン、覚醒。
歌に呼応するように目を覚ましたファイヤーラドンは、再度翼を大きく羽ばたかせると、まるで何かに導かれるように、アドノア島を飛び去った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 82 : 2017/11/09(木) 17:19:23 :
________翌日、国連G対策センター。
司令官エルヴィン、局長ナイル、超能力者クリスタ、メカゴジラのパイロットたるリヴァイ大尉をはじめとするGフォースのメンバーが勢ぞろいする中、首輪をつけられたリトルがコンテナの中へと誘導されていく。
(目が赤く光ってやがる・・・・・・。怯えているな。)
ユミルと共にリトル・ゴジラと過ごしてきたオルオには、リトル・ゴジラの怯える感情が手に取るように分かった。
そして、リトルの側に寄り添うユミルにも、それが分かった。
「・・・・・・オルオ。」
「!? リヴァイ大尉?」
「私情を挟みすぎるな。言われなくても分かってるだろうがな・・・・・・。」
リヴァイもまた、オルオやユミルの感情の揺れを察したが、彼はリヴァイであるがために、私情に流されることはなかった。
「・・・・・・リトル、大丈夫だ、私が付いてる。」
ユミルがそっと寄り添い、肩をさすると、リトルの怯えた赤い光が収まった。
ユミルが寄り添ったまま、リトルは少しずつ、コンテナの中へと入っていく。
ガコォン・・・・・・
コンテナの扉が、閉ざされる。
『これより、ダウパー島へ向かいます!』
コンテナは貨物用のヘリコプターに吊り上げられ、そのまま、ダウパー島目指して飛行し始めた。
-
- 83 : 2018/04/03(火) 12:34:35 :
- これって終わってないですよね?
-
- 84 : 2019/11/10(日) 00:26:39 :
- 頑張って!
-
- 85 : 2020/02/13(木) 11:19:36 :
- 84の言う通り!
ゆっくりでもいいから必ず完結させてください!
-
- 86 : 2020/10/06(火) 13:21:43 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
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【キャロル様教団】
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何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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- 87 : 2020/10/26(月) 14:19:58 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
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