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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

【ネタバレ注意】セレス「わたくしには夢がありますの。」

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  1. 1 : : 2016/08/11(木) 02:01:25
    テーマ:クロが何を思いながら殺人を犯し、学級裁判に望んでいるのか。

    一応、http://www.ssnote.net/archives/14564の続きです。
    シリーズと言ったほうがいいかもしれません。

    ダンガンロンパのネタバレ注意です。
    内容的に(え、今更こんなSS?)と思われるかと。
    あと、セリフだけでなく、状況説明などあります。

    セレス視点です。
    よって、展開はシリアスであり、欝な展開もあり、グロテスクな表現もあります。

    また、内容は私の妄想と状況から推測して書くため、「それは違うよ!」という展開もあるかと思います。意見してくれると、そういう見方もあるのかと喜ぶので「こうじゃないの?」という書き込みは大歓迎です。

    1&2ゲームプレイ済みとアニメを見てるくらいの知識です。ファンブックなどの公式設定などは知らないため、間違ってることもあるでしょうが、ご容赦を。
  2. 2 : : 2016/08/11(木) 02:02:59
    ~セレスティア・ルーデンベルクの場合~

    セレス「適応です。この生活に適応すれば良いのです。」

    動揺するみなさんにこんな言葉をよくわたくしは告げることができたと思います。

    みなさんが口々に「脱出」を口にする中、わたくしはまるで興味のないように振る舞いますが、実際は出たくて出たくて堪りません。

    ここの生活を受け入れてしまうのも生きていくだけなら悪くはないでしょう。

    ですが、わたくしには目的、夢があるのです。それを叶えないことには死んでも死にきれません。

    「殺人を起こせば外に出られる」という黒幕の要求がよしんば本当だとして、ルールの把握、メンバーの周辺状況。自分の命を掛けられる状況がいつなのか超高校級のギャンブラーの名にかけて見極めてみせましょう。

    それがこの生活が始まってすぐに思っていたこと。

    桑田くんと大和田くん、彼らのランクは低かったですが、彼らのおかげでこの生活の流れを把握することができました。わたくしの役に立ったということでランクを上げて差し上げましょう。

    3階まで解放され、モノクマさんの3つ目の動機が発表され、そして、不二咲くんの遺産であるアルターエゴ。道具と舞台は整ったというところでしょうか。

    さあ、わたくしの夢を叶えに参りましょう。
  3. 3 : : 2016/08/12(金) 23:24:39
    セレス(さて、どうしたものでしょうか。)

    セレスは自室で計画を練っていた。

    モノクマの今回の動機、100億円。今までのモノクマが提示してくる動機の中では殺人を起こす理由として最もチープなもの、そして最も現実的なもの。

    1つ目、人間関係を動機として提示してきて、セレスは少しも心が動かされなかった。

    2つ目、知られたくない秘密や過去。これには少し動揺したが、セレスは殺人を起こすことを思いとどまった。

    自身以外にも誰にもバラされたくない秘密や過去、それらを抱える人間がいて、そしてギャンブラーとしての観察眼が「彼らは行動を起こすだろう」と読んだからだ。

    伊達に超高校級のギャンブラーとして観察眼を磨いているわけではない。

    完全に誰が、というのはわからなかったが、セレスは大和田が事件を起こしたとき、「やはり」と思った。

    事件の内容は意外だったが、セレスからすると起こるであろうことは予想できていたのだ。

    セレス(彼らには気の毒ですが、良い例になってくれましたわ。)

    動機提示、事件、捜査、学級裁判、処刑。それらの『イベント』が2回起こった。

    だいたいどういう仕組み、どういう流れなのかを理解できた。

    あとは実行するだけ…。

    セレス(アルターエゴ…。今のわたくしたちにとって切り札と呼べる存在。いいえ、モノですわね。あれを使えば…。)

    昼間アルターエゴにご執心だった山田、そして石田(謎の現象で石丸が自ら石田と名乗りだした)。

    どちらかを焚きつければ、簡単に均衡が崩れそうだ。

    セレスの計画は『誰か』に殺人を起こさせることで、自身がその後に起こす事件を隠蔽しやすくするというものだ。メインをその『誰か』にやらせて、最後の締めだけを自身で行う。

    誰かに働いてもらい、その影で働き、そしてここを脱出する。

    セレス(実にわたくしらしい計画、ですわね。)

    少し苦笑しながら、その『誰か』を誰にするかを考える。

    セレス(口調が大和田くんのようになったとはいえ、中身は石丸くん。何かを囁いても、殺人を起こすまでは行きそうにない。となれば、山田くん…。)

    超高校級の同人作家。多種多様な生徒がいる中で、セレスとの価値観が全く違うであろう生徒。

    アルターエゴに拘る彼を見て、人格を疑ったほどだが、同時にこれは使えると思った。

    セレス(あそこまでの拘りよう。アルターエゴが盗まれた、とでも言えば、簡単に協力してくれそうですわね。いえ、加えて暴力を振るわれた、ということにもしますか。)

    山田の正義感を刺激し、殺人を起こすということに正当性を持たせる。

    セレス(みんなの希望を奪い、わたくしに暴力を振るう悪。それを裁くために必要な殺人だった、と思わせれば、山田くんも躊躇うことはないでしょう。)
  4. 4 : : 2016/08/14(日) 12:59:26
    そう決めたところで、まずはアルターエゴがある大浴場へ向かった。もちろんその間に誰かに見られては本末転倒なので、細心の注意を払って向かう。

    アルターエゴを今入っているロッカーから別のロッカーへ移動させる。

    そしてセレスは素早くタイピングを行う。

    セレス『少し場所を移動させます。黒幕にバレてはいけませんから、誰かがもう一度来るまで声を上げてはいけませんよ。』

    アルターエゴ『うん。わかったよ!』

    仲間であるセレスの言葉をアルターエゴはすぐに信じた。そもそも疑うということを知らないのかもしれない。

    アルターエゴを別のロッカーへ入れ、鍵をかける。

    セレス(さて、あとは霧切さんあたりが気づくのを待つとしますか。)

    騒ぎになれば、全員に知れ渡る。そして山田に犯人を言えば、あっさりと信じるだろう。

    セレス(犯人役は…石丸くんが妥当でしょうね。)

    アルターエゴに拘る人間と言ったら山田、石丸の二人。石丸に盗む理由がある以上、これほどの適役もいないだろう。

    手がかりという意味で霧切も気にしているが、彼女はセレスにもわからないほど謎に満ちているし、乱暴されたという理由が使えない。

    セレス(いえ、世の中にはそういう人がいることも知っていますが…。)

    馬鹿な考えを振り払い、自室に戻って事が進展するまで待つことにした。
  5. 5 : : 2016/08/14(日) 13:00:56


    霧切「アルターエゴがなくなったわ。」

    全員を脱衣所に集めて、霧切が言い放った一言に騒然となる。

    セレスは冷静に皆の様子を見ていた。やはり過剰に反応したのは山田と石丸だった。

    そして誰が隠したのか、黒幕か、それともこの中の誰かなのかという話になり、山田か石丸ではないのかという話になったが。

    霧切「それはないわ。山田くんと石丸くんがアルターエゴに触れたら声をあげるようにアルターエゴに指示しておいたから。」

    それを聞いて、セレスは少し冷や汗をかいた。

    もし霧切以外の人間など自分が含まれていない条件で声をあげられていたら計画が最初から破綻してしまうところだった。

    セレス(やはり霧切さんは侮れませんわね…。)

    行動を起こす上で霧切は要注意人物だ。彼女の才能は未だわからないが、2回の事件で彼女は証拠品の発見やそれを使った的確な指摘、大和田への引っ掛けなど事件を解決に導くために大きな活躍をしている。

    結局、アルターエゴの居所はわからないまま、解散となった。

    自分だけが知っているという安心感があったが、あと少しで失敗する可能性もあった。

    セレス(ふふ、やはり完全に勝ちが決まっている勝負というのはつまらない。やはりギャンブルをするなら相手にも自分にも勝つ可能性がなければ…ね。)

    セレス(それでも最後に勝つのはわたくしですがね…。)

    セレスティア・ルーデンベルクは勝利のために次の手を打つことにした。
  6. 6 : : 2016/08/21(日) 00:37:02

    計画通り山田に話をすることにした。

    石丸のものとわかるように、白い学ランを椅子にかけ、さらにパソコンを机に乗せて、その状態を撮った写真を証拠として持っていくことにした。

    セレス「アルターエゴを盗んだ犯人ですが、実は石丸くんなのです。」

    山田「なんと!それは本当ですかな!?ぐぬぬ…やはりあいつが盗んでいたのか…。」

    写真を一緒に見せることですぐに山田は信じた。

    山田「でも、僕やあいつが近づくと声を上げるようにされていたのでは…?」

    セレス「ですから、石丸くんはわたくしに盗ませたのです。」

    よく考えれば、この理由が取って付けた理由だとすぐにわかるだろうが、山田はセレスの言葉を信じきってしまっていた。

    セレス「加えて彼は…わたくしに、乱暴を…。」

    加えて考えておいた理由を嘘泣きしながら言う。

    山田「ぐぐぐ…許せん!許せんぞぉぉ!彼女を奪ったばかりか女性に暴力を振るうなんて!」

    山田「僕が彼女を救ってみせる!」

    山田が力強く宣言する様子に自分のことを疑っていないことを確信する。

    セレス(これほど簡単に信じられても拍子抜けですわね。)

    自分と山田との間にそんな絶対的な信頼が築き上げられているとは思えなかったが、都合が良いのでこのまま利用することにした。

    セレス「そこで相談があるのですが、わたくしと組みませんか?」

    山田「へ…?」

    セレス「わたくし、彼に乱暴をされて、つくづくここの生活に嫌気が差しましたの。そこでこんなことを言うのはどうかと思いますが、殺ろうと思いますの。」

    山田「や…やるって…」

    セレス「モノクマさんがおっしゃる殺人ですわ。」

    山田「な…そ、それは…。」

    セレス「そこで相談です。わたくしと組んで、一緒に脱出致しませんか?」

    自分ひとりではとても無理だが、誰かとならできる。

    誰かがやるなら自分もする。

    そんな消極的な行動理念でも人間は自分を正当化できる。

    「一緒に」脱出するために、言い換えればセレスのせいで殺人を犯す。

    また山田もここから出たいに決まっているのだ。

    提案されれば消極的な考えであれ、乗ってくるはずと、セレスは山田が意識しているかいないかは別として、こういった理由から山田が提案に乗ってくることを確信していた。

    山田「…わかりました。ヤリましょう。」

    山田の何かを決心したような顔を見ながら、セレスは計画を確認した。

    セレス「山田くんが先に誰かを殺したあと、場が混乱している時に乗じて、わたくしが誰かを殺しますわ。恐らく同時期に事件が起こり、連続殺人、ということになると思いますわ。」

    山田「なるほど。僕の事件時にセレス殿にはアリバイがあり、セレス殿の事件時には僕のアリバイがあるということですな。」

    セレス「そう。二つは連続した事件に見せかけて別々の事件、ということですわ。」

    意外な理解力を見せた山田を少し見直し、詳細な計画を立てていく。

    山田を殺す人物を「誰か」という表現をしたが、これは石丸で確定だ。そしてセレスが殺す人物は山田、これも確定だ。

    だが、計画上別の誰かと言っておかないといけない。

    セレス「そうですね。わたくしは…苗木君を標的にします。」

    霧切や十神は警戒心が高いだろうことから除外。

    大神と朝日奈はほぼ一緒にいることと片側は不意打ちでも殺せる気がしないことから除外。

    腐川はジェノサイダー翔のことがなければ最有力候補だが、いつどちらの人格であるかが不確定要素であるから一応除外。

    葉隠はフラフラとしているし、常日頃のクズな一面を知られているため、犯人にしたてあげても良いかもしれない。

    苗木は呼び出せば素直に応じるだろうし、警戒など全くしていないように見える。

    このように適当な理由を上げて山田に説明して、特に疑問がなかったのか山田は了承した。

    セレス(ふむ、適当な言い訳を使いましたが、葉隠くんを犯人に仕立て上げるというのは良い手かもしれません。)

    詳細な計画を練るために山田と話し合って、遅くまで過ごした。
  7. 7 : : 2016/09/02(金) 22:08:02
    翌日、さっそく行動を起こすことにした。朝のアナウンスが行われるよりも2時間近く早くに準備を始めた。

    まず手紙で葉隠を娯楽室に呼び出すことにした。

    葉隠を気絶させるためにと、いろいろ探したところ、保健室にクロロホルムがあった。

    これはセレスが度々保健室に行き、物色をしている最中に発見したものだ。

    クロロホルムをハンカチに染みこませ、相手の口と鼻を覆うというドラマなどのシーンは有名であるが、実際相当量を吸わせなければ気絶することはない。少量を吸わせても、吐き気や頭痛などが起こる程度である。

    だからトドメようにセレスは山田に凶器を用意させたのだが。

    セレス「凶器を用意するようには言いましたが…。」

    手に持ったハンマーにはジャスティスハンマー1号と書いてある。

    セレス(わたくしには理解できない趣味ですわね…。)

    実際使うのは山田であるため、文句は言わなかったが、何か納得ができないものがあった。

    山田「では、葉隠康比呂殿を呼び出してきますぞ。」

    といって、山田は娯楽室を出て行った。

    セレスは娯楽室の死角に隠れ、葉隠と山田を待った。
  8. 8 : : 2016/09/02(金) 22:12:35



    山田が帰ってきて、手にはクロロホルムを染みこませたハンカチを持たせた。

    セレスはジャスティスハンマー1号を手に持ち、葉隠を待ち構えた。

    ガチャ…

    葉隠「…誰が呼び出したんだべ。」

    少し警戒した様子の葉隠は娯楽室内を伺うように入ってきた。

    そこへ背後から山田が迫り、口と鼻にハンカチを当てる。

    葉隠「ぐっ…うっ…」

    抵抗して、山田から離れた葉隠だが、吸い込んでしまい、めまいと頭痛が発生していた。

    そこにセレスが容赦なく後頭部にハンマーを振り下ろした。

    葉隠「ガッ!」

    そこで完全に葉隠は意識を落とした。
  9. 9 : : 2016/09/07(水) 01:14:16


    セレス「では山田くん、例の物を。」

    山田「わかりましたぞ。」

    そう言って山田が取り出したものは倉庫から色々な素材を取り出して作ったと思われるジャスティスロボである。

    セレス(何度見ても思いますが、理解不能ですわ。)

    自分はこんな理解不能なものに襲われたということになるのだが。

    セレス(何かこう…釈然としませんわね。)

    ジャスティスロボを着させられる葉隠を見て、ため息をつくのだった。

    山田が葉隠、もといジャスティスロボを後ろに担ぐ。

    セレス「では、あなたがジャスティスロボに襲われているという風にしてくださいませ。」

    山田「こ、こうですかな?」

    セレス「それではただ担いでるだけですわ。」

    山田「ではこう?」

    セレス「違いますわ…。」

    山田「それでは…。」

    セレス「違うっつってんだろうがあああああああ!!この腐れラードがあああああ!!」

    山田「ぶひぃぃ!」

    セレスの教育的指導により、なんとか襲われているように見える姿を写真に収めることができた。
  10. 10 : : 2016/09/11(日) 22:47:57
    山田がプールのロッカーにジャスティスロボを隠しに行った。

    ちなみに石丸はあらかじめ呼び出している。先ほど葉隠を呼び出しに行った際に、手紙を扉に入れたはずだ。

    その間、セレスは襲われたように装うために服を少し汚したり、怪我をしたように見せた。

    セレス(あまり汚したくはありませんが、仕方ありません。)

    いつもなら絶対にやりたくない作業だが、必要と諦めて、セレスはさらに服に汚れをつけた。


    山田「はぁ…はぁ…お、終わりましたぞ…。」

    山田は走ったのか息を切らしながら娯楽室へ入ってきた。

    いや、殺人を犯したことの動揺から呼吸が安定しないままに走ったのかもしれない。

    セレス「ご苦労様ですわ。では、予定通りあなたは図書室へ。わたくしはここで待機しますわ。」

    山田「は、はいですぞ…。」

    山田が出ていき、再び一人になる。

    あらかじめジャスティスハンマーの配置は(山田によって)終わらせている。あとはセレスが上手く皆を騙すことが重要になる。

    セレス(ここからが勝負ですわね…。)

    かつてない勝負に挑むという緊張感にセレスは薄い笑みを浮かべるのだった。
  11. 11 : : 2016/09/13(火) 23:57:26

    朝比奈「だ、誰かきてえええええ!」

    朝比奈の悲鳴を開始の合図と感じながらセレスは気絶してたふりをやめる。

    セレス(ここから先は私の演技力…。)

    朝比奈の声を聞いた皆が集まってくる。

    当然だが、山田と葉隠、石丸はいない。

    セレス「う、うかつでした…。」

    大神「誰にやられたのだ?」

    セレス「あれは…妙な不審者と呼べば良いのでしょうか…。」

    セレス(実際あれは不審者ですわね…。)

    内心苦笑しながら自分が襲われたことを説明する。

    二階に不審者が逃げたことを告げると、苗木たちは急いで二階へと向かった。

    どうやら二階の探索は霧切が行っていたようだ。

    セレス(さて、次は山田君の番…。)

    デジカメを持っていることを確認して、セレスは図書室へと向かった。




    山田「う、うぅ…やられました…ジャスティスロボにっ…!」

    図書室に待機させていた山田は予定通り頭から血を滴らせており、一見すると大怪我しているように見える。

    十神「ふざけているのか?」

    セレス「ふざけているわけではありません。」

    セレス(こんな状況ではなかったら私も同じセリフを言ったかもしれませんね…。)

    その場にいる者に山田がジャスティスロボに襲われているように見える写真を見せて、不審者の存在を知らせる。

    十神「ジャスティ…ス、ロボ?」

    最後まで十神は理解ができない、と表情に出ていたが。


    朝比奈「早く捕まえないと!」

    セレス「では手分けして探して追い詰めましょう。」

    セレスの言葉に皆が散っていった。
  12. 12 : : 2016/09/14(水) 00:00:54

    セレス(まったく、こんなに簡単に信じてしまうとは。ここにいる方は皆単純なのでしょうか?)

    警戒していた十神もあっさりと探索に出かけたことに少し拍子抜けする。

    セレス(さて、そろそろ山田君は保健室にたどり着いたでしょう。)

    適当に探索をして、ある程度時間を稼いだ。

    セレス(少々はしたないですが、仕方ありませんわね。)





    セレス「どっひゃあああああああああああああああ!!!」




    みんなに聞こえるように大きな声を出す必要があるとは言え…

    セレス(ああ、はしたない…はしたない…。)

    羞恥に少し顔が赤くなってしまっている。

    セレス(一度深呼吸をして…。)

    すぐに平静に戻る。

    セレス(襲われたのに顔を赤くしてたら、場違いすぎますわね)

    近づいてくる足音にセレスは再び気を引き締めた。




    苗木「セレスさん!大丈夫!?」

    セレス「わ、私は大丈夫です…。不審者はこの先の物理室へ…。」

    皆が物理室へ行こうとする時




    「うぎゃああああああああああああああああああ!!!」




    計画通りに叫び声が上がった。

    セレス(計画通りですわ山田君。)

    十神「不審者を捕まえるのが先だ!」

    十神が走って物理準備室へ向かい、そしてそれを追うように腐川が向かう。

    大神「二手に分かれるぞ!」

    大神がそう言い残して十神たちを追う。

    セレス(不審者がいる可能性が高い物理室に戦力となりうる自分が向かったのでしょうけど…無意味ですわ。)

    朝比奈を置いて向かったのがいい証拠だ。

    セレス(どちらに向かっても良かったのですが、こうなってしまっては保健室に向かいますか。)

    セレス「私たちは保健室へ!」

    苗木「わかった!」

    苗木と朝比奈とともに保健室へと向かう。

    ここで山田が死んだふりをして、生き残りのメンバーから外れる計画であるのだが、山田を見つける組と物理室の石丸を見つける組のタイミングが重要になる。

    皆非常時ということで足早になっているが、早すぎても遅すぎてもダメだ。

    少しでも違和感を持たれれば、そこに穴が生じ、すぐに計画が露呈してしまう。

    セレス(ここは運任せ…ですわね…。)

    セレスは自分の運を信じて、祈った。
  13. 13 : : 2016/09/17(土) 23:02:57

    苗木「や、山田君…!」

    朝比奈「な、なにこれ…。」

    セレス「し、死んでいる…ようですわね。」

    セレス「また木槌…?不審者は3階にいるはずですのに…。」


    ピンポンパンポーン


    モノクマ『死体が発見されました。一定の自由時間の後…』

    山田を発見してすぐにモノクマのアナウンスが流れた。

    セレス(違和感を感じている様子はない。どうやら成功したみたいですわね…。)

    苗木たちの様子を見てそう判断を下す。

    一番の勝負どころを超えて、安心したが、油断はしてられない。

    ここから苗木たちを引き離して、山田をフリーにしなければならないのだから。

    朝比奈「うっ…うぅ…ごめん…ちょっと…気分が…」

    と、そこで朝比奈が顔を真っ青にして扉に寄りかかった。

    セレス(これは…運が味方してますわね…。)

    セレス「朝比奈さんは私が見ていますので、苗木君はほかの皆さんにこの件を。」

    苗木「うん!わかった!」

    苗木が走って階段を駆け上がっていくのを見て、セレスは朝比奈を女子トイレへ連れて行った。

    女子トイレへ朝比奈を連れて、介抱する。

    と、僅かであるが階段を駆け上がる足音が聞こえる。

    セレス(山田君は上へ向かったようですわね。)

    セレス「朝比奈さん、ここでは休めませんし、山田君の死体も調べなければいけません。辛いでしょうが、行きましょう。」

    朝比奈「うん…うん…ごめんね…。」

    朝比奈は目に涙をいっぱいに貯めながら頷いた。
  14. 14 : : 2016/10/27(木) 01:09:58

    セレスにはわかっていたが、保健室に山田の死体はなかった。

    朝比奈「え…?なんで?なんで山田がいないの?」

    セレス「これは…もしかしたら犯人が…。」

    朝比奈「うぅ…うぅぅぅ…。」

    朝比奈は立っていられなくなったようでその場に崩れ落ちた。

    セレス「朝比奈さんはここで待っていてください。私は皆さんに伝えてまいりますわ。」

    朝比奈の返事も待たずにセレスは走り出した。

    セレス(早くしないと、山田君が仕事できない。それに、姿を眩ませている霧切さん。今までいなかった彼女が絡んでくると計画に支障をきたすかも知れない…。急いで計画を完遂しなければ…!)

    2階、3階と駆け上がり物理室へ向かう。

    たどり着いたときちょうど苗木たちが物理室から出てきたところだった。

    セレス「た、大変ですわ!」

    セレスは苗木たちに山田が消えたことを伝えた。




    朝比奈「私と…セレスちゃんが…ちょっとトイレにいってて…戻ってきたら…」

    セレス「恐らく犯人の仕業でしょう。」

    大神「我らを混乱させるためか?」

    セレス(できるだけ不審者の仕業であると印象づけなければいけません。加えて不審者は危険な存在だということも認知してもらうためには…)


    セレス「このままでは…全員殺されてしまいます…彼らのように殺されてしまいます…。」

    セレス(これで危機感を抱かせることに…)

    十神「死体が消えたなど信じられん。立て続けに二件も殺人があった上にさらに死体が消失しただと…?」

    セレス(あ…!?)

    朝比奈「ちょ、ちょっとまって!?」

    セレス「二件の事件とは?」

    十神が石丸も殺されていることを告げ、一応驚いたフリをする。

    朝比奈が錯乱してくれたおかげで、セレスに注意が向くことはなかったが、内心かなり焦っていた。

    セレス(まずい、ですわ…さっきまで私と朝比奈さんは石丸君の死を知らなかったはず…であるのに『彼らのように』なんて発言してしまうなんて…。)

    石丸の事件のことを知っていないとありえない発言である。

    セレス(…見た限りでは誰も疑問に思っていなさそうですわね…。本当に霧切さんがいなくてよかった。彼女だったら目ざとく先ほどの発言について追求してきたでしょうから…。)

    動揺を悟られないように落ち着きを取り戻すように務める。

    苗木「そういえば、腐川さんがまだ物理準備室にいるよ!」

    十神「待て!苗木!」

    全員で腐川の様子を見に、3階まで駆け上がる。

    セレス(何度も階段を上がったり降りたりすると疲れますわね…。)

    そして、物理準備室へとたどり着く。

    苗木「よかった。腐川さんは無事だ。」

    だがすぐに異変に気づく。

    大神「苗木よ、我らは夢でも見ているのか…?」

    この言葉に室内の異変に気づく。

    苗木「石丸クンの死体が…ない!?」

    セレス(どうやら山田君は無事に仕事を成し遂げたようですわね。)

    内心ほくそ笑みながら場の会話に加わる。

    セレス「これは…また消えてしまったのでしょうか。」

    十神「消えたなんて言い方はやめろ。犯人が死体を隠したんだ。」

    そのとおり、と答えてしまいたくなる衝動を抑えるセレスを他所に会話は進む。

    十神「一連の事件と死体隠し、実行できたのは誰だ?」

    そう、その話になる。

    この場にいる苗木、朝比奈、大神、腐川、朝比奈、十神はほぼアリバイがあるといっていい。逆にアリバイがないのはこの場にいない霧切と葉隠、ということになる。

    セレス(被害者が本当に死んでいたら、の話ですがね。)

    十神「犯行が可能なのは霧切と葉隠の二人のみだ。」

    進む十神の推理に笑いそうになりながらも、今後の展開を見守る。

    苗木「ま、待ってよ。霧切さんはセレスさんや山田クンが襲われたとき一緒にいたよ!?」

    十神「そうか、では霧切のアリバイは認めてやる。」

    セレス「そうすると、あの不審者は葉隠くんしか考えられませんわね。」

    計画通りに葉隠に罪を被せることができたことに内心笑みを浮かべる。

    十神「とにかく死体を見つけるぞ。」

    十神の言葉にその場は解散になり、消えた死体の消息を探すことになった。

    セレスはゆっくり歩きながら、しかし迅速に辺りを探しているふりをする。

    すぐに向かって目撃でもされたら目も当てられない。

    娯楽室を真っ先に入る。できるだけ3階から離れるわけには行かない。

  15. 15 : : 2016/10/27(木) 01:10:02
    同じ娯楽室に大神が来た。

    しばらく探しているフリをしていた。

    セレス「大神さん、私は別の場所を探しに行きますわ。」

    大神「わかった。気をつけるのだぞ。」

    そう言ってあっさりと娯楽室を脱出した。

    セレス(三階には…誰もいませんわね。)

    どうやら大神とセレス以外は下の階を探しに行ったようだ。

    セレス(さて…では最後の仕上げをしに行きますか…。)

    計画の完遂が目前に迫り、セレスは笑みを浮かべながら、美術室へと向かった。
  16. 16 : : 2016/10/27(木) 01:13:19




    山田「おお、セレスティアルーデンベルク殿! やりましたぞ! やりましたぞ!」

    忠犬が主人に獲物を取って、その成果を自慢するように、美術準備室に入ってきたセレスに山田は喜々として、告げた。

    セレス「…まぁ、ご苦労様ですわ。」

    若干引き気味に山田を見ていたが、すぐに視線を別に移す。

    床に転がる石丸の死体、その下にはビニールシートが引いてある。

    ビニールシートで石丸を包むことで、無事にここまで運べたようだ。

    セレス「完璧に終わらせたのですね?」

    山田「はい! 万事抜かりなし! 完璧ですぞ!」

    セレスを見ずに部屋の中をはしゃぎ回る山田。

    セレス(殺人を犯して、どこか頭のネジが外れたのでしょうか。まぁ…。)


    関係ない。


    壁に立てかけられているもっとも大きな木槌を手に取る。

    未だにはしゃぐ山田の背後に迫り、





    ドゴッ!




    一切の躊躇なく、その頭に木槌を振り下ろした。




    セレス「ハァッ…ハァッ…ハァッ…!」

    最初セレスは自分の息が切れていることに気付かなかった。

    ズシリ、と重い感触が腕を伝わってきた。

    手に持つ木槌が信じられないほど重く感じる。

    飛び散った血が少し頬を汚す。

    その後に襲ってくる…脱力感。

    セレス(殺人というものを…甘く見ていましたか…。)

    自分は感情を上手く制御できる。

    今まで幾人もの人生をギャンブルで奪ってきた。

    ならばそれに同等な殺人という行いにも感情を動かされない自信があった。

    手が震える。

    呼吸がうまくできない。

    …苦しい。

    セレス(落ち着くのです…。時間はあまりないのですから…早く…。)

    そこですぐに落ち着くことができるのは場数の違いだろう。

    深呼吸を何回か繰り返し、とりあえず息切れを治す。

    セレス(…山田君は…。)

    頭から血を流し、床に倒れる山田。

    ぴくりとも動かない山田にセレスは死亡していると判断した。

    セレス「ふぅ…。」

    セレスはよろよろと手に持った血に汚れた木槌を洗う。

    これは犯行には使われていない。そう偽装しなければならないのだから。

    機械的に動いて、木槌を元の場所に戻す。

    そして、体に汚れ、特に血痕をチェックする。

    すべての事が終えたあと、美術準備室を出て、セレスはその場に座り込みそうになった。

    セレス(何なのですか…。)

    動揺なんてしないと思った。

    自分はこんなにもメンタルが弱かったのか…。

    セレス(いいえ、私はセレスティアルーデンベルク…。この程度のこと…些細なことですわ!)

    自らを奮い立たせ、セレスは再び歩き出した。
  17. 17 : : 2016/10/27(木) 01:16:51

    ~学級裁判省略~


    苗木「セレスさん。あの時点でキミは石丸クンの事件を知らなかったはずだ。それなのに、なんで被害者が複数人いることを知っていたの?」

    ああ・・・やはり・・・。

    うかつな発言で付け入るスキを与えるとは・・・。

    しかし、私は超高校級のギャンブラー。こんなところで諦めたりはしない!

    セレス「どうしても私を犯人にしたいようですが・・・それは大きな大きな間違いなんだよぉ!!」

    セレス「お忘れですかぁ!?山田くんが残した遺言を!「やすひろ」という遺言を!」

    セレス「私がそんなダセェ名前なわけねぇだろうがよぉ!」

    苗木「じゃあ、教えてよ。セレスさんの本名ってなんなの?」

    セレス「じゃあ耳をかっぽじってよぉく聞きやがれえ! 私の名前はセレスティア・ルーデンベルク! 確かめる方法がない以上それが真実なんだよビチグゾがァ!」

    私の本名なんて絶対にわからな・・・



    苗木「それは違うよ!」



    わからない・・・はず・・・。

    苗木「電子生徒手帳。そこには起動時に本名が表示されるはずだよね。それを見せてもらえるかな。」

    ・・・・・・覆せない・・・。

    苗木「セレスさん。キミの負けだ。」

    負け・・・。

    そんな言葉、私ではなくいつも相手に与えていた言葉・・・。

    セレス「負け・・・重い言葉ですわね・・・。」

    負け・・・自分の命を賭けた勝負での負け・・・・・・。



    これが・・・敗北感ですか・・・・・・。


    わたくしがいつも相手に与えていたもの・・・。

    そして、今回奪われるのは自分の命・・・。

    足元から崩れてしまいそうな虚脱感…。

    でも……最後までギャンブラーとして……わたくしとして崩れるわけにはいかない。


    苗木「認めるんだね…。キミが犯人だってことを…。」

    セレス「負けを認められてあがくほど往生際は悪くありませんの…。」


    セレス「さぁ、モノクマさん、始めてくださる? …いいえ、終わらせてくださる?」


    モノクマ「はいはい、じゃあお待ちかねの投票ターイム!」



    全てが終わり、彼らは私に問いただす。

    「なぜやったのか。」

    「どうやったのか。」

    最後に答え合わせくらいさせてあげましょう。

    それが敗北者としての義務でしょう。

    あくまで淡泊に、冷静に、わたくしらしく…最後まで優雅に…。


    朝比奈「あんたは……最初から山田を切り捨てるつもりだったの!?」

    セレス「ええ。死んだ人間がいて、それを殺すことが計画だったのですから。」

    山田くん、思えばおかしな人でしたわね。

    あんなモノに執着して、こんなことになるなんて…最後まで本当に理解できません。


    葉隠「オメーはずっとここでの生活を受け入れるべきだって言ってたじゃねえか!」

    セレス「ウソに決まってんだろォ!わたくしは出たくて出たくてたまらなかったんだよぉ!」

    夢があった。

    かなえたい夢が…。

    人を殺してでも、かなえたい夢が…。

    それも、失敗に終わってしまいました。しかも、自分の命を懸けたゲームで。

    結果は……潔く受け入れましょう。


    朝比奈「なんであんたはそんなに冷静なの!? これから……処刑されるんだよ!?怖くないの…?」

    処刑…。

    桑田君…大和田君……。

    思い出すのはお二人の処刑。

    死。今からわたくしは、死ぬ。

    死への恐怖を感じないわけじゃない。

    それを……皆に、自分に嘘をついて誤魔化す。

    セレス「わたくしは嘘つきとしてはかなりハイエンドだと自負しています。自分自身をも誤魔化せるのですわ。」

    ---どこから声が聞こえる。

    (………!)

    セレス「わたくしは生まれ変わったらマリーアントワネットになるんですの。」

    (…に……い…)

    セレス「それではご機嫌よう。また来世でお会いしましょう。」

    (…しにたく…ない…)


    わたくしは心の声をねじ伏せて最後の舞台へと上がった。

    ~ベルサイユ産 火あぶり 魔女狩り仕立て~

  18. 18 : : 2016/10/27(木) 01:23:38
    ~セレス編を書いてのあとがき的な~

    セレスさんがおしおきされる前に言った「嘘つきとしてはかなりハイエンド」という言葉を見て、冷静沈着で、人を殺したことに何の感情を抱いていないように思わせながら、実はその心ではこのSSのように動揺、後悔、懇願が渦巻いていたのでは、ということでこのような感じになっています。

    桑田のように叫びたかった、大和田のように涙したかったところを堪えて、最後までセレスという人間を壊さないまま死のうとした…と個人解釈しています。

    それは違うよ! という意見があれば、ぜひお聞かせください。
    議論しましょう!

    それでは、以上で、このSSは終了となります。
    ではでは、また別のSSでお会いしましょう。
  19. 19 : : 2023/07/24(月) 23:44:54
    7年も前の文章に反応していただける可能性は低いかもしれませんが、いくつか指摘です。

    「彼ら」は致命的ミスでも何でもないです。
    「今まで起きた殺人で死んだ人たちも含めてですわ」とでも弁明すすればいいし、
    「殺されたのが男か女かもわからないのに」に対しても「男女混成グループにも普通に彼らと言いますわ」と言えば良いだけです。

    山田の「やすひろ」のダイイングメッセージに関しては、
    捜査に見せかけてサウナにでも行って電子生徒手帳を破壊しておけば良いです。
    あと、山田をしっかり殺しておけば良かったですね。

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toshiki3110

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