このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
東方双赤星 EP1 ―運命が動き出す―
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- 1 : 2016/07/07(木) 23:31:00 :
- 東方双赤星
注:これには以下の成分が含まれます。
・二次創作、独自解釈
・キャラ崩壊
・オリキャラ、オリスペル
・文章gdgd
・若干グロテスク
・9割方戦闘
・ムラのある投稿
・初投稿
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- 2 : 2016/07/07(木) 23:36:00 :
- 夕方の薄暗い町に眩しい光が生まれた。
その光は少しの間曇った夜空を照らし続けた。
眩しい光が失われたとき、そこにはオレンジ色の淡い光を放つ「球体」が残っていた。
その球体は、今はもうそこには残ってはいない。
この出来事が十年前のことだということもあるのだが・・・
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- 3 : 2016/07/07(木) 23:37:29 :
- Episode 1 運命が動き出す
「連続行方不明事件、28人行方不明、か・・・」
ある神社に、緑茶を飲みながら新聞を読んでいる少女がいた。
その新聞の内容は、人里で連続して人がいなくなってしまったという内容だった。
「ま、どうせまたデタラメか大袈裟に言ってるだけだろうけど」
外からは、雨の音がきこえていた。
「あっ、米を買うの忘れてた!買いに行かないと」
そう言って博麗霊夢は傘と財布とお祓い棒を持って神社から出て行った。
神社を囲む新緑の木々を梅雨の雨が強く打ち付けた。
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- 4 : 2016/07/07(木) 23:39:06 :
- 土曜日の夕方の人里は雨が降っているにも関わらず人で溢れていた。
人里の南側には団子を売っている店がある。
そこで霊夢は人里くる度に毎回、団子を買う。
米を買い終わった彼女は粒餡がたっぷりかかった団子を買い、そばのベンチで休憩をしていた。
この店の団子は絶品で、人間だけでなくたまに妖怪まで来ることもある。
しかし、この周辺が大規模な戦闘によって甚大な被害を被るることを、まだ誰も知らなかった。
既に霊夢は周りに何かが隠れていることに気付いていた。
「何かいる・・・霊力を全く出していない何かが何体も・・・」
さらに非常に強い霊力が後ろから近付いて来るのにも気付いた。
素早く食べかけの団子を残らず口の中に放り込み振り向くと、
一人の男がそばに立ち、こっちを見つめていた。
黒髪で、ベルトとジッパーがいくつも付いている黒い上着、透明な傘、鎧のようなもので覆われた左腕、全てを見透かされているような目と左目の上だけが反り立っている前髪が特徴的だ。
彼の名前は、千條 遥斗 (ちあき はると)。
二人の周りには禍々しい空気が立ちこめた。
殆どの人はそれに気付かず通り過ぎていくが、犬や雀が逃げ出し、赤子が泣き出す。
「貴様、何者だ。」
「そっちこそ誰よ。 変な手下を連れて現れるとは穏やかじゃないわね。」
遥斗は少し驚いたようだった。
「お前のじゃあなかったのか。 だとしたら・・・」
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- 5 : 2016/07/07(木) 23:40:15 :
- 二人は既に16体の人型の何かに囲まれていた。
一体一体が青色のフードを被り、カラスのようなクチバシと黒色の丸いゴーグルが二個付いた不気味な仮面を被っている。
なのでどのような表情をしているのかわからなかった。
「やっと姿を現したわね。」
「ったく・・・面倒なことになったな。」
「やっぱり霊力を感じない・・・こいつらは一体・・・」
雨は次第に強くなっていった。
霊夢は腰からお祓い棒を取り出して右手で持ち、立ち上がった。
遥斗の右手からは綺麗な赤色の粒子が沸き、左腕からは複雑な金属音が鳴り響いた。
傘を放り投げて二人は背中を合わせて構える。
そして仮面の集団の中からは7体が前に出たが、いずれも構えはとっていなかった。
遠くで雷が鳴ったのとそれぞれが動き出したのが同時だった。
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- 6 : 2016/07/07(木) 23:54:50 :
- 霊夢と遥斗はそれぞれ反対側に走り出し、仮面の集団は足を浮かせ、うち3体は霊夢へ、3体は遥斗の方へ向かっていく。
三体のクロウが魔法陣を形成し、そこから発生した大量の弾幕が霊夢を襲う。
しかし戦闘に手慣れている霊夢にはかすりもせず通り過ぎてゆく。
既に霊夢は一体のクロウのそばへ来ていた。
腕を振り下ろして叩き落そうとするが、振り下ろした時には脇の下をくぐられ、背後へまわっていた。
「てやぁッ!」
霊夢はお祓い棒を地面に突き刺し、そこを支点として回転し、青い大きな背中を蹴る。
クロウは勢いよく吹き飛び、向こうの民家へと突っ込んだ。
「まずは一体!」
刺さったお祓い棒を抜き取った時、背後から二体のクロウが飛びかかってくる。
それと同時に直径50センチほどの陰陽玉が二つ発生し、それぞれ敵へ向かって飛翔する。
どちらも腹部へ直撃し、二体をほぼ同時に吹き飛ばし戻ってきた。
予想以上の弱さだったのですぐに三体とも片付き、霊夢は念のため最初に倒したクロウが飛んでいった方を見る。
そこで霊夢は初めて異常に気付いた。
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- 7 : 2016/07/07(木) 23:58:52 :
- そこに倒れてるはずのクロウがいないのだ。
辺りを見渡すと、他の2体もいない。 見えるのは、ボロボロになった建物と雨だけ。
「いない・・・どういうこと!?」
急に自身の周りが暗くなってゆくのに気付き、上を向くと一つの大きな影がある。
暗い影が急に明るくなり、雨のように弾幕が落ちて来る。
地面を勢いよく蹴って回避するも、避けた先にもう一体のクロウがいた。
不気味なレンズが赤く光り、長いクチバシが開き、一瞬白い光が漏れる。
その瞬間、霊夢に向かってレーザーの束が発射された。
「これって・・・危ないッ!」
間一髪避けるのが間に合い、レーザー1本が腰をかすめただけです済んだ。
通り過ぎたレーザーの束は一直線に木造の建物を破壊していった。
「マスタースパーク!?」
この攻撃は間違いなくマスタースパークだった。
形状は違うが、その美しい色と絶大的な威力はマスタースパークそのものだった。
口から黒煙をあげて立ち尽くすクロウに向かって再び陰陽玉を投げた。
今度は胸に当たった後に軌道が曲がり、大きな胴体を地面に叩き付けた。
しかしそれでも、少しすると再び立ち上がった。
「まさか・・・効いてない!?」
想定外の敵に焦っていた霊夢は、忍び寄るクロウに気がつかなかった。
気が付いたときには既に腕を掴まれており、目の前では口を開けたクロウが目を赤く光らせていた。
口の中が徐々に明るくなり、再びマスタースパークを撃とうとしていた。
しかし、発射されることはなかった。
クロウの顔面の左側には無数の穴があり、その穴の一つ一つからは赤い粒子が漏れ出していた。
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- 8 : 2016/07/07(木) 23:59:22 :
- 視点かわります。
「どういうことだ・・・!?全く効かないじゃあないかッ!」
遥斗は確かに右腕から大量の赤い弾丸をクロウに浴びせ、全員倒したはずだった。
しかし、何度撃ち落としても再びたちあがり、攻撃を続ける。
その体はボロボロで、大量の穴が開いていた。
まさに「死んでも」おかしくない状態だ。
クロウから放たれる弾幕は非常に速いが精度が非常に低く、周囲の建物を巻き込みながら遥斗を追い詰めていった。
しかし彼は全く迫りくる光の群れを見ることなく、何かを考えながら光の雨の中をを走っていた。
全く攻撃を見ていないにも関わらず、一発も命中することはなかった。
特別彼の足が速いわけではなく、まるで弾幕の一発一発を
「見えている」かのように
正確な足取りでかわしていた。
(絶対に弱点はあるはずだ。完璧なモノは存在しない。
考えろ。考えるんだ、俺!)
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- 9 : 2016/07/08(金) 00:03:17 :
- ふと、少し離れた所でクロウの群れと対峙している霊夢が一直線上に見えた。
霊夢の腕を掴み、口を開けたクロウの仮面には、傷が一つも付いていなかった。
(仮面「だけ」に傷がない・・・仮面・・・顔!?)
周りのクロウを見ると、すべて仮面には傷がついていなかった。
(そうか顔面が弱点か!)
遥斗は走りながら右腕を前に向けた。照準を定めるために親指を横に、人さし指を前に開いた。見える景色の色が徐々に変わっていく。
(それなら!)
溢れ出る粒子は人さし指の前で固まり、いくつかの細長い弾丸を形成する。
この時、彼が見た景色は、「通常の視覚」からはかけ離れていた。
「簡単じゃあないかッ!!」
弾丸は爆発とは違う異様な音を立て、いくつかの細い直線の光をつくりながらクロウの顔面を左から次々と貫通し抜けていった。
そこには無数の穴があり、その穴の一つ一つからは
赤い粒子が漏れ出していた。
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- 10 : 2016/07/08(金) 00:05:35 :
- 頭部を破壊されたクロウの口から発していた光は収まり、霊夢の右腕を掴んでいた手が緩んだ。
ヒビが入った黒いレンズの中の赤い光が壊れかけた蛍光灯のように点滅し、首を震えさせながら弾が来た方向を向いた。
レンズに映ったのは、金属でできた腕だった。
金属の指の一本一本がひび割れた仮面に突き刺さり、腕から伸びてきた三本の金属板が顔面を挟んだ。
「どうやら頭部が弱点らしい。かなり手間取ったが、
これで形勢逆転を始められる。」
震えるクロウの両手が左腕を弱々しくつかんだ。
金属の手のひらに空いた穴から連続した爆発音とともに鉛でできた弾丸が発射された。
そして少しすると、クロウの両手は力を失い、動かなくなった。
周りには、クロウの残り15体が囲むように立っている。
雨は次第に弱くなるが、霧ような雨が降り続いていた。
「弱点を知られてしまったから一気に仕留めるという算段か・・・」
「できるだけ早く終らせましょ。援軍が来たらこっちには勝ち目はないわ。 援護射撃を頼む。私はあまり射程が長くないから。」
霊夢の両足が地面から浮く。
「了解だ。 援護射撃は得意分野。 ここからが俺たちのターンだ!」
遥斗の右腕から再び赤い粒子が溢れ出る。
全てのクロウの顎が開き、今度はマスタースパークの一斉射撃から戦闘が始まった。
光の網が360度から一斉に降りかり、二人のいた場所は瞬時にレーザー地獄と化した。
光が晴れ、辺りは静寂に包まれた。
しかし、その跡には何もなかった。
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- 11 : 2016/07/08(金) 00:06:46 :
- ドサッ、という音が静かな大通りに響いた。
クロウが一斉に振り向くとそこには、上半身から湯気を出しながら倒れているクロウの残骸と、
お祓い棒を前へ向ける赤い少女がいる。お祓い棒からは白煙が上がっていた。
「霊符・陰陽宝玉。まずは一体。」
一番近くにいたサーベル持ちのクロウがとっさに霊夢に切り掛かる。
「やらせねえよ!」
動いた瞬間にサーベルを持った腕、次に頭部に穴が空いた。
貫通した赤い弾丸はもう一体の脚にあたり、赤い粒子を放出しながらよろけた。
ようやくすべてのクロウが動き出し、二人に弾幕の雨が降り注ぐ。
霊夢は急速に上昇し、遥斗はやはり一発一発を確実に避けた。
霊夢が着地したと同時に7体の敵が正面から来る。
「最初に仕掛けた罠に引っかかってくれるなんてね・・・
アンタたちが間抜けなおかげで動く手間が省けるわ。」
地面スレスレを飛行するクロウの真下ににはオレンジ色に輝くお札が大量に張り付けられており、
衝撃波とともに複数の火球が広がり、通り過ぎようとしたクロウを焼却した。
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- 12 : 2016/07/08(金) 00:07:53 :
- 遥斗の方には6体のクロウが弾幕をばらまきながら突っ込んでくる。
粒子が固まり、六角形の束のような隔壁を作り、防いだ。
隔壁が衝撃に耐えきれず、音を立てて破壊された。
その先に見えたのは、赤い粒子を自身の周りにばら撒き、正面に指を指す少年だった。
「束になってかかって来るとはな・・・いい的だ!」
粒子の中に大量の赤い弾丸が形成され、右腕を下した。
「ハチの巣になりなァッ!!」
宙を浮いていた弾丸が瞬時に光の線となって一斉に放出される。
大量の弾丸がクロウの群体を襲い、全身に大量の小さな穴を開ける。
流れ弾が周囲の道路や家屋も破壊し、辺り一帯は一瞬で廃墟と化した。
辛うじてボロボロになりながらも耐えたものが遥斗に這い寄ろうとするも、次第に動きが鈍くなり、やがて完全に動きを止めた。
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- 13 : 2016/07/08(金) 00:08:31 :
- 「砲陣・フレアラッシュ。
ふう・・・これで全員か。 ・・・にしても、なんて生命力だ。」
「いや、それは違う。奴らはもともと死んでいたわ。」
「えっ!?」
「普通生きている生命体は必ずそこに魂が入っている。その魂のエネルギーが霊力。
でも青いのからは全くもって霊力を感じ取れなかった。
つまり中身には多分、死体が入っていた。 それより、早く逃げるわよ。」
「え、何で逃げる必要が・・・」
「話はいいから逃げるよ、のろま!」
霊夢は遥斗の服の襟を掴み、飛んでその場から離れた。
二人が立ち去った跡には、数体の仮面を被った死体と、破壊された住居が残されていた。
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- 14 : 2016/07/10(日) 11:17:43 :
- 「おい、何で逃げる必要があるんだよ。それと首痛い」
二人は既に里から離れ、周りには緑色の水田が広がっていた。
霊夢は道の上で止まり、遥斗の襟を掴んでいた手を離した。
「ふう・・・ねえ、里での戦闘行為は重罪だって知らないの? 顔を見られたんだから逃げるしかないでしょ」
「そうだったんだ・・・知らなかった。俺こっちの法律よく知らないんだよね・・・」
すでに日が落ち、見上げるとまだ濃紺の曇り空が一面に広がっており、ちらほらと蛍の小さな光が見え始めた。
「”こっち”? ってことは君外来人?」
遥翔は黒い上着を脱ぐと、何本かの金属の箱やスプレーなどを取り出し、上着を雑巾のように絞り、水を落とした。
かなりの量の水を吸っていたようで、一回絞っただけで真下に小さな水たまりができた。
上着の下はタンクトップ一枚で、左腕が二の腕辺りまで鎧で覆われているのがわかる。
その腕から、上着から取り出したものと同じような形をした金属の箱が外れ、置いてあった他のものと付け替える。
「まあ、そうなるな。5歳の時に初めてここへ来たらしい。あまり覚えてないけど・・・」
「にしてもあの集団何だったのかしら。いきなりこっちへ攻撃してくるなんて」
「そうか、お前は奴等をに心当たりが無かったのか・・・
俺は、千條 遥斗だ。 すまんな、関係ない事に巻き込んじまって。」
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- 15 : 2016/07/10(日) 11:18:45 :
- 「私は、博麗 霊夢。 謝らなくて大丈夫よ。私は楽園の巫女。すべてを受け入れる存在よ。 こんなのしょっちゅう起きてるし。 で、奴等は一体・・・」
「奴らが何者なのかは俺も知らない。でも俺には狙われる理由がある。 俺が持っている”あるもの”を狙っている」
「あるもの、ねえ・・・それが何か知りたいけど教えてくれそうにはないわね」
「当然だろ。 それよりお前、その傷大丈夫か?」
霊夢の左脇腹はレーザーで焼き切られ、血が出ているのが見える。
「大丈夫。 戦闘には支障は出ないし、それに能力者の体は頑丈にできてるから。」
「破傷風になるとそれでも死ぬから消毒くらいはしたらどうだ?」
置いてあったスプレーを持ち、霊夢へと渡した。
「有難く使わせていただくわ。」
そう言いながら霊夢はスプレーをかけた。
エタノールというものを知らなかったので、予想以上にしみた。
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- 16 : 2016/07/10(日) 11:20:31 :
すぐ近くで足音がした。
「えっ!?」
周りを見渡すと誰もいなかった。
周りには霊夢と遥斗以外には誰もいなかったはずだ。
見晴らしのいい水田地帯で二人に気付かれずに近付くことは不可能に近いはずである。
「・・・向こうは、私達に休ませる気は無いようね。どうやってここまで来たのかしら」
もう一度足音がした。
それを霊夢は見逃さず、音がした方向へ陰陽玉を投げる。
陰陽玉が何かに当たり、音を立てずに青白い閃光が発生した。
その瞬間、半透明の人のようなものが一瞬見え、すぐに消えたのを霊夢は見ていた。
透明の何かが水田に落ち、バシャンという音とともに水しぶきがあがる。
しかし、そこから再び気配が消えてしまった。
「痛ててて・・・お、オッホン。 千條 遥斗! 貴様の命ごと、奪わせてもらうぞ!」
その声はすこし幼いような印象を与えた。
殺人予告を受けているにもかかわらず、遥斗は全く動じていなかった。
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- 17 : 2016/07/10(日) 11:22:30 :
- 「遥斗! 何でこんな状況で余裕こいてるのよ! 相手は透明! どこから来るか分からないのに!」
透明な何かは既に遥斗の近くまで来ており、透明なナイフがうっすらと見え始めていた。
「あのなあ、ピンチに見える時にこうやって余裕ぶっこいてる時には理由が二つ考えられるんだ。 一つ目、それは詰んだから負けを認めたとき。 二つ目は・・・」
遥斗の左腕が後ろに曲がり、人さし指と中指でナイフの刃を掴んだ。
関節があり得ない方向に曲がっており、激しい閃光を発しながら敵の姿がうっすらと見え始めた。
「腕が・・・うそ・・・」
「二つ目は、戦闘態勢でとっかかる必要がないくらい相手が弱いとき、だ。 俺が目的ならもっとよく調べて来るんだったな。」
火花が散るのが止まり、透明な何かの姿ははっきりと霊夢の目に映っていた。
その姿は、白いワンピースを着た幼い少女。 とても戦闘向きには見えない。
鎧の指が緩み、少女は地面に落ちた。
痛みと恐怖によって、既に半泣きだった。
「そんな下らない事してないで、さっさと家へ帰りな。 母さんが心配するだろ。」
遥斗と霊夢は攻撃をする必要が無いと判断し、その場から立ち去ろうとした。
しかし、今度はナイフが飛んで来て、遥翔の首のぎりぎりまで飛ぶ。
今度はなぜか全く気付いておらず、ナイフがあと数ミリのところまで迫っていた。
「危ない!」
いち早く気付いた霊夢が素手で弾き返し、ナイフが水田に落ちた。
そしてすぐにお札を形成し投げつけると、少女の目の前の地面に貼りつき、非常に弱い爆風が発生した。
目を開けると、そこにはだれもいなかった。
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- 18 : 2016/07/11(月) 22:08:36 :
- 「そうだ、霊夢・・・だっけ? 気になることが一つあったんだ。」
霊夢と遥斗は森の中を進み、”ある所”へと向かっていた。
この日は空を雲が覆っているということもあり、森の中にはほとんど光が差し込まない。
鳥や小動物の鳴き声が絶えず響いており、6月とは思えないほど涼しい。
「お前、周りから何かエネルギーを吸っているな?」
「霊力を吸っている、と言った方が正しいわね。私の能力は”霊力を操る”程度の能力。 博麗神社の巫女として重要な能力。 致命傷を負わせるというよりは戦力を奪うのに適しているわ。 あと飛行。 でも何で見抜けたの?」
霊夢の能力・「霊力を操る程度の能力」は、周囲のすべての生命体からほんの少しずつ霊力を奪う。
人間や妖怪はもちろん、植物やバクテリアからも霊力を吸収する。
吸い取った霊力を自身の力に変えるため、その気になれば何も食べずに生きて行けるスゴイ能力。
また、もうひとつの能力・「空を飛ぶ程度の能力」は、本来飛行手段を持たない人間を飛ばすことができる。
その動きは機敏・精密で、1セン単位まで動きを調節できる。
「俺の能力は探知と”赤い物質を操る”程度の能力。 周りの生命体、熱、電気、弾幕は手に取るように分かる。 さっき周りからお前にエネルギーが流れていくのが見えたんだ。」
遥斗の能力・「探知する程度の能力」は、自身とその周囲3メートル・目が向いている方向の熱・電気・生命体・弾幕などのエネルギーを精密に探知する。
発現している時は視力が失われるが、その代わりに視界に入ったエネルギーが熱センサーのように捉えられる。
もうひとつの能力・「赤い物質を操る程度の能力」は、全身(主に右腕)から高温の赤い粒子を散布し、自身の周囲で固めることで弾丸や隔壁などをつくることができる。
二人とも、能力を二つ持っている。
これは非常に珍しいことで、幻想卿の全能力者のなかでも一握りしかいない。
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- 19 : 2016/07/11(月) 22:11:36 :
- 少し進むと、少しだけ樹木の生い茂っていない開けた場所があった。
その中心には大きな岩があり、その上にたたずむ人影があった。
矢印の形のストラップが全身から伸びており、般若の仮面と長い赤髪が見える。
二人の存在に気付くと、座ったままの姿勢で岩から飛び降り、地面にぶつかりそうなところでふわりと浮上き、着地した。
「私は波羅蜜 智慧 (はらみつ ちえ)。私は二つの用があってあなたたちの元へ現れた。」
仮面をずらし、顔の肌が露呈した。 その姿は二つの小さな角が二つ生えている女性。その顔が霊夢の方を向く。
「まず一つ。 博麗 霊夢、あなたを殺害すること」
続いて遥斗の方を向く。
「二つ。 千條 遥斗、あなたを生け捕りにすること」
「随分大きく出たわね。もっと穏便にできないのかしら」
「残念だが負けるわけにはいかんな。貴様らに”アレ”を渡すことはできない。」
智慧がゆっくりと二人の方向に歩き始める。彼女からは殺気は出ていない。
「私もできれば穏便にしたいけど・・・」
霊夢と遥翔の真後ろで突然ガリガリという音が鳴り響いた。
振り向くと森から竜巻が上がっていて、木々の破片や土砂が宙を舞うのが見える。
突風が発生し、智慧の矢印がなびいた。
「でもあの子はそうしてくれないみたいね」
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- 20 : 2016/07/11(月) 22:13:05 :
- 竜巻が収まり、何かが物凄い速さで近付いてくる。
「まずいッ!!」
二人が逃げ出そうとするが、突然体が重くなり、思うように動けない。
「なんだこれ・・・体が・・・重い!」
近付いてくる何かが森を抜け、その姿を現した。
それはドリルのように高速回転しており、周りの空気が歪んで見える。
霊夢がアミュレットを持ち、そこからオレンジ色の御幣が伸びた。
御幣が遠くにある木に張り付き、縮み始める。
霊夢が遥斗の腕を掴み、引っ張られながら回転する物体から遠ざかっていった。
逃げる霊夢の進行方向に円状にエネルギーが集まっているのが遥翔の目に映った。
その周囲に円形に土煙が上がる。
「霊夢、上昇しろ! それ以上前へ進むな!」
霊夢が垂直に上昇した直後、エネルギーが集まっていた場所が突然窪んだ。
ドンッという爆音が響き、周囲に衝撃波が広がる。
「危なかった・・・突然地面がつぶれるなんて・・・」
回転する物体も上昇し、二人を追いかける。
智慧のそばを通り過ぎ、衝撃波で吹き飛ばされる。
ふわりと浮き上がって着地すると、同時に周りの小石が浮き上がった。
「ふう・・・絶対に殺す気ね。本っ当に困った人狼なんだから」
「逃げるんじゃねえよ・・・早く・・・切り刻ませてくれよ・・・そのからだをッ!!!」
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- 21 : 2016/07/11(月) 22:18:57 :
- 「にしても、まさかあの二人が出会ってしまうとはね・・・」
「でも、敵対してなくて良かったですね。」
「そうね、敵同士っていう状況よりはマシ、か・・・。 どうしてこう運命はいつも変な方向へ向かうのかしら。」
「仕方ないですよ。 予想できないのが運命ですし。」
「運命を少しでも悪い方に行かせないのが私たちの役割。 もうひと頑張りしましょ」
「けっこう苦戦してるみたいですけど助太刀しなくていいんですか?」
「その必要はないでしょ。 それに私達にはやるべきことがあるわ。」
第二の”エクリプス”を起こさないために。
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TO BE CONTINUE→
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- 22 : 2016/07/11(月) 22:26:32 :
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次回予告
”回転”のミハイルの猛威に苦しむ霊夢は、圧倒的なピンチに陥ってしまう。
そして霊夢は過去に起こった最悪の異変を知る。
次回、東方双赤星
「パンドラの球体」
受験勉強とかがあるのでけっこう遅れると思うのですんません。
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
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