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この作品は執筆を終了しています。

拝啓―――――・・・・・・・・・・・・ ※ネタバレ注意

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  1. 1 : : 2016/03/23(水) 14:11:22
    おそ松さんの24話を見て、居ても立っても居られずに執筆に至りました。ネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。





    さて、本編ではチョロ松が皆に当てて手紙を書いていましたが、If設定で、もしおそ松兄さんが手紙を書いたら、という内容でお送りいたしたいと思います。


    よろしくお願い致します<m(__)m>
  2. 2 : : 2016/03/23(水) 14:22:43
    期待です
  3. 3 : : 2016/03/23(水) 14:38:24
    >>2
    ありがとうございます!
  4. 4 : : 2016/03/23(水) 14:38:42









    拝啓―――――――・・・・・・・・・・・・










    お前たちに向かって、手紙を書くのは初めてな気がする。










    俺はずっと、いたずらに時を過ごしてきた。
    就活なんて、全くする気も起らなかった。




    ついこの前まであった日常に満足していたんだ。








    カラ松が皆に無視されて、
    チョロ松が自意識ライジング全開で、
    一松が悪態をつきながらカラ松に絡んで、
    十四松が訳も分からずに馬鹿やって、
    トド松がしれっと自分の好きなことにうち込んで、






    この日常が終わってしまうなんて、全然、考えたこともなかった。
    いや、意識にすら上らなかった。







  5. 5 : : 2016/03/23(水) 14:45:14








    チョロ松の就職―――――――俺にとってそれは、寝耳に水だった。






    いや、何て言うのかな。




    雷とか隕石とかが直撃するとか、
    階段を昇ったらいつの間にか下っていたとか、



    それくらいあり得ないことだと思っていたんだ。









    俺の心の中に、ぽっかり穴が開いてしまった。
    大切な何かが、抜け落ちた気がした。








    何でそうなったのか、俺は分からなかった。
    無性にイライラした。






  6. 6 : : 2016/03/23(水) 14:50:15








    ずっと俺は笑えなかった。





    それはいつしか、チョロ松に対する苛立ちや、嫉妬といったものに姿を変えていった。
    俺の中の悪松は、手が付けられないほどの猛獣になっていたんだ。










    それからの俺のありようは、自分でも到底書くに忍びない。




    お前たちを傷つけて、
    自分を傷つけて、


    ふてくされてずっと俺は背中を向けていた。







    トド松に当り散らして、
    十四松を蹴り飛ばして、
    カラ松と殴り合いになって、
    チョロ松の見送りさえ、俺はしてやらなかった。






  7. 7 : : 2016/03/23(水) 15:37:57
    カラ松が長男を殴ったシーンの衝撃はかなり大きかったです。
    期待です。
  8. 9 : : 2016/03/23(水) 15:45:37
    >>7
    ありがとうございます。
    何とか形になるよう、頑張って執筆します。
  9. 10 : : 2016/03/23(水) 15:54:38








    正直に書こうと思う。



    俺は・・・・・・・・・・・・向かい合うのがとても怖かったんだ。









    夢はビッグなカリスマレジェンドなんて口では都合のいいことを言いながら、
    俺とおんなじ、ダメダメなお前らの中にいるのが心地よかったんだ。








    俺はお前でお前は俺――――・・・・・・・・・・・・








    ふたを開ければ何のことはない。





    適当に親のすね齧って生きているだけのニート。
    でも、みんなそうだったから、俺も気安かっただけだった。


    お前らに頼りにされてると思ってたけど、その実、お前らに頼り切って、甘えていたのは俺だった。






  10. 11 : : 2016/03/23(水) 18:19:30









    カラ松。




    お前はイタイ奴だった。
    おまけに、イタイの意味が分かってない残念な奴だった。


    そんなお前がチビ太に頭を下げて、ハロワで頭を下げた。
    しかも、本気で俺を殴りつけてきた。


    お前、ホントは熱い奴だもんな。
    もっと素直になったらいいのにって思ってたけど、今ではどっちが素直じゃないんだろう。








    チョロ松。




    自意識ライジングの塊で、いっつも口先だけ。
    それが、本当に就職を決めて、口先だけではなくなった。


    気が付けば、俺も口先だけの人間だった。
    その事でよくお前を馬鹿にしてたけど、夢はビッグなカリスマレジェンドと語っていた俺も人のことは言えなかった。






  11. 12 : : 2016/03/23(水) 18:20:44









    一松。




    俺たちの中で、一番自分の殻に閉じこもっていた。
    けど、他の奴が去っていく中で、お前も自ら家を去っていった。


    お前のことだから、きっと行く当てなんかないんだろうと思う。
    けど、お前の中にも、何か変わらなくちゃって意識があったんだろうな。


    根がまじめなだけに、お前も傷ついていたんだと思うと、今更ながら胸が苦しくなってくる。










    十四松。




    俺はお前が一番心配だった。
    なのに、お前は自分の力でバイト先を決めた。


    覚えてるか? 十四松?
    いつかお前が失恋したときに、俺はお前に声をかけた。


    普段笑ってるお前が大泣きして、何とか支えてやりたかった。
    お兄ちゃんとして、ここ一番で背中を押してやりたかった。







  12. 13 : : 2016/03/23(水) 18:22:02








    トド松。




    夜中に一人トイレにも行けない様な男。
    それなのに一人暮らしを始めて、俺はお前の覚悟を思い知らされた。


    俺とお前は一番似てると思ってた。
    就活にも消極的だし、考えてることも似たり寄ったり。


    そんなお前がまさか、俺に手を出してくるなんて思わなかった。
    腹が立った俺は、お前を思いっきり殴ってしまった。















    皆みんな、変わっていく。
    俺がお前じゃ、なくなっていく。


    だから、俺が俺でなくなってしまいそうで、
    俺がお前たちのお兄ちゃんでなくなってしまいそうで、








    ・・・・・・・・・・・・俺は、怯えていたんだ。








  13. 14 : : 2016/03/24(木) 16:33:19










    「・・・・・・・・・・・・ふう。」



    ここまで書いたところで、俺はいったん筆を置いた。






    時刻は既に5時過ぎ。


    日は既に傾き始めていて、夕焼けのオレンジの光が柔らかく部屋の中に差し込んでくる。







    やっぱり慣れないことはするもんじゃない。
    手が痛くてどうしようもない気がする。



    そもそも俺は、何で手紙なんか書き始めたのだろう。








    「あーもー、疲れたーッ!!」



    一人でそう言って、二階の居間で寝っ転がる。
    六人いたときは狭くてしょうがなかったのに、一人で過ごしていると、やはりこの部屋は広すぎる。






    「・・・・・・・・・・・・。」





    一人で過ごしていると、どうしても一日が長く感じる。
    一人で過ごしていると、どうしても余計なことばかり考える。
    一人で過ごしていると、どうしても昔のことばかり思いだす。




    俺が、皆の長男だった時の記憶が・・・・・・。







    ・・・・・・・・・・・・















  14. 15 : : 2016/03/24(木) 16:34:03












    気が付くと、太陽の代わりに、月が出ていた。








    どうやら俺は、気付かないうちに眠っちまったらしい。
    酷く喉が渇いてしょうがない。



    俺は下へと降りて、洗面台の前へと立つ。
    コップに水を注いで、飲もうとする・・・・・・とそこに、自分の顔が飛び込んできた。









    __________酷い顔だよな。




    目の淵が腫れぼったい。
    それに、右目の脇に、何やら水が乾いたような跡がある。







    ああ、俺は・・・・・・・・・・・・眠りながら泣いていたのか。








    水を飲んだ俺は、再び二階に戻ってきた。
    誰もいない部屋の中に・・・・・・。







    俺は再び筆を取った。
    手紙の続きを書き始めた。







  15. 16 : : 2016/03/24(木) 16:35:11









    俺はお前らのお兄ちゃんでいたかった。
    そう、俺は・・・・・・・・・・・・ずっと子供のままだった。





    こんな生活、ずっと続かないということに背を向けて、
    六つ子でニートというあり得ない現実から背を向けて、



    最後に俺は、現実と向き合ってあがき始めたお前たちに・・・・・・・・・・・・背を向けた。









    お兄ちゃん失格だよな。





    もう面と向かって、ごめんともいえない。
    もうお前らに合わす、顔もない。


    だから、この手紙に俺の思いを書くことにした。









    拝啓――――――・・・・・・・・・・・・松野カラ松様、松野チョロ松様、松野一松様、松野十四松様、松野トド松様。









    どうか、体だけには、お気をつけて。







                    ○月●日
                    松野 おそ松









  16. 17 : : 2016/03/24(木) 16:36:07












    「おそ松、ごはんよ。」



    書き終えてから暫くして、下から、母さんの声が聞こえてきた。
    ガキの頃にドタドタと階段を降りて食卓に着いたのがひどく懐かしい。







    書き終えた手紙を封筒に入れ、念入りに封をする。
    そして俺は無言で立ちあがり、封筒に入れた手紙を・・・・・・・・・・・・


















    ごみ箱へと捨てた。










  17. 18 : : 2016/03/24(木) 16:36:46











    翌日、俺は居間にいた。


    相も変わらず皆から背を向けて、
    ちゃぶ台の側で、一人、座っていた。






    すると・・・・・・・・・・・・











    「おそ松、手紙が来たわよ。」



    誰かから、手紙が届いたようだ。
    手紙なんて、ハタ坊から届いた時以来だ。













    俺は母さんのほうへと振り返り、それから、立ち上がった。













                       第25話へとつづく









  18. 19 : : 2016/03/24(木) 16:38:35
    短いのですが、以上で終了になります。


    コメントやお気に入り登録をして下さった皆様、ありがとうございました<m(__)m>
  19. 20 : : 2016/03/24(木) 16:40:07
    乙です
  20. 21 : : 2016/03/24(木) 16:44:06
    >>20
    コメ&お気に入り登録ありがとうございます!


    おそ松兄さんの最後のあの何とも言えず寂しそうな表情につられて書き出しました。
    久しぶりにおそ松さんSS書ききれてよかったです。
  21. 22 : : 2016/03/24(木) 17:16:47
    進撃のMGSさんは本当に素敵な文をお書きになりますね。
    僕も24話に強い衝撃を受けた一人です。
    おそ松兄さんがせっかく正直な気持ちを綴った手紙をゴミ箱に捨ててしまう不器用さにグッときました。
    来週のおそまつさんでしたが楽しみであり心苦しくもあります(-_-)
    あと新メタルギアシリーズの方も毎回更新楽しみにしてます。
  22. 25 : : 2016/03/24(木) 17:27:58
    >>22
    カンツォッティさん、本当にありがとうございます!

    そうですね、私もとても楽しみな反面、どうなってしまうのだろうとハラハラしています。(完全に沼にはまってますねw)



    メタルギアシリーズのほうも頑張って執筆してまいりますので、よろしくお願い致します<m(__)m>
  23. 27 : : 2016/03/26(土) 22:08:32
    感動しました(´;ω;`)


    今度原作見てみますね!
  24. 28 : : 2016/03/26(土) 22:08:42
    あ、言い忘れましたが乙です!

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