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最期の記憶

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  1. 1 : : 2016/03/11(金) 20:31:19

    ・ペトラ目線
    ・ただ単に甘い話を書きたかったという自己満作品
    ・ほぼ地の文
    ・駆け足だけど、許して。
  2. 2 : : 2016/03/11(金) 20:31:49
    遠くで兵長と団長が話をしている。

    今回の遠征ではかなりの死傷者がでてしまったから。
    壁外遠征が2回目だった私もショックは大きかった。
    仲良くなった一緒の班の女の子3人は皆死んでしまったんだ…


    兵長が時々こっちを見ている。

    初めて間近でリヴァイ兵長をみたのは初めての壁外遠征の時だった。

    私が巨人に取り囲まれて絶対絶命だったときに兵長が1人で助けに来てくれた。
    …その時は一生誰にも知られたくない恥をかいてしまったけれど。

    兵長とは調査兵団員でも話す機会はなかなかなかった。


    そんな、遠くから見ていた時の第一印象は少し怖そうで…どこか寂しそう、だった。


    だけど、助けてもらった時に受けた印象は少し違った。

    確かに口は悪くて少し怖かった。


    大半の人の兵長の印象は怖くて非情冷徹で粗暴で神経質、というものだった。


    でも非情冷徹な人が大量に巨人に囲まれているただの新兵を助けにくるのかな…と思った。

    確かに口は悪くて少し怖いけどその中にとても悲しいほどの強さも苦しいほどの優しさがあった。

    そして…とても寂しそうに見えた。






    兵長、その強さや優しさの奥底には何があるのですか…?

  3. 3 : : 2016/03/17(木) 21:35:01





    「なぁ、知ってるか?今回の遠征でほとんどの兵士が死んだってよ。」

    今回待機だった兵達の声が聞こえてくる。

    「あぁ、俺も聞いた。」


    二人の兵は遠くで話をしている兵長と団長の方を見ていた。

    「リヴァイ兵長は部下をほとんど失った後でも寂しそうな表情一つみせない。
    きっと、今話していることも次の作戦のことなんだろう…」

    きっと…兵長は部下が何人死のうと、何にも思っていないんだよ…」



    私はその言葉を聞いて何故か少し胸が痛んだ。









    ー兵長、本当なんですか?

    ー兵が何人死のうとも何とも思っていないのですか?

    ー本当の貴方は、どんな人なのですか?

    ー貴方はその中に何を抱えているのですか?













    私はあの後、一度兵長の部下として兵長の下につくこと方があった。

    オルオが一緒だったのが少し残念だけどね…
    普通にしてりゃいいものを、共通点が見つからない兵長のまねをしてるから、とてもムカつく。


    …そういえば、私なんでオルオが真似してるのがこんなにもムカつくのだろう?


    ただ単に憧れの兵長の真似をされたからムカつくだけ……

    そう思ってた。
    ただの憧れなんだって。







    でも、いまならちゃんとわかります。

    私は、兵長が「好きだった」んだって。





  4. 4 : : 2016/03/21(月) 18:08:11
    ペトラ「兵長…血が…止まりません…」



    涙ながらに私は兵長に訴えた。
    仲の良かった兵士だ。
    私は、助けることができなかった。


    さっきまで巨人に襲われて、食べられかけていた。
    助かる見込みはそとから見ても絶望的…としか言いようがなかった。


    そんな私ができることは、傷口にタオルを当て、介抱することだけだった。



    自分の無力さをいつも思い知らされてしまう。






    「兵…長……俺は…人類の役に…立てた…でしょうか…」



    途切れ途切れな声が聞こえてくる。

    差し出さしている手は血で真っ赤に染まっていた。



    ガシッ!



    リヴァイ「お前は十分役に立った…そしてこれからもだ。
    約束しよう!おれは、必ず…巨人を絶滅させる!」



    兵長はその手を握り返して、その兵士の最期を見送った。



    …兵長、貴方は何故、そんなにも強くあるのですか?


  5. 5 : : 2016/03/21(月) 22:25:30

    ーある壁外調査の帰還時






    「右翼側全域、多数の巨人と接近し交戦中!
    しかし既に多数の死傷者がでて、陣形の保守はもう望めないかと…
    この伝令を聞いた班から1名か2名、援護を頼むとのことです!
    それ以外は先の方で一旦陣形の立て直しをするそうです。
    他の方でこれを後方に回してください!」



    私と兵長のいる班に伝令が回ってきた。
    新しく入ってきた子は青ざめている。





    リヴァイ「…おいペトラ、お前いけるな?」



    私に尋ねてくる。



    ペトラ「…はい!大丈夫です!」



    私は頷く。



    リヴァイ「伝令はそこの新兵…お前がいけ。この班の指揮は副班長に任せた。行くぞ。」




    「「「はっ!」」」




    私と兵長は班から離脱して、右翼側へ向かった。



    …………

    ………



    リヴァイ「これは…ひどいな。」



    そこはもう血で塗れていた。
    沢山の剣がちらばって、沢山の兵が倒れていた。
    まだ戦っている兵はいた。



    リヴァイ「ペトラ、あそこから急いで救援に行くぞ。これ以上巨人を内側に侵入はさせられねぇ。」



    ペトラ「はい!」



    リヴァイ「だが…間違っても死ぬなよ。」


    そう言うと兵長は立体起動に移った。
    私もその後を追いかける。


    少しずつ増援がやってきて、10分後くらいに、その付近にいた巨人はあらかた討伐することができた。






    エルド「ペトラじゃないか、お前もこっちにきていたのか。」


    その時はまだ先輩だったエルドが寄ってきた。

    その後ろには後にリヴァイ班になるメンバーがいた。


    ペトラ「うん、兵長に連れてこられてたの。」



    グンタ「へー兵長がか。よっぽどお前のことを信用しているんだろうな。だって一人か二人行け、っていう伝令だろ?」



    信用…

    その言葉が嬉しかった。
    私を信用してくれているのかもしれない。

    それだけでずっと頑張っていける、と思った。



    オルオ「兵長はどこにいらっしゃるんだ?」


    ペトラ「えっと…兵長ならあそこに…」







  6. 6 : : 2016/03/22(火) 15:08:47





    兵長の方を指差して見てみると、兵長は一人でたたずんでいた。



    沢山の剣が散らばる地面を一人、見ていた。

    遠くから見えた兵長は少し震えているように見えた。


    私達は顔を見合わせて、どうすればいいか迷った。




    リヴァイ「…お前ら…そこでなにをしてるんだ。」


    不意に兵長がこちらを振り向いた。


    ペトラ「え!べつに何でもありませんよ。」



    私は少し焦りながら、少しだけ笑って答えた。



    リヴァイ「…まぁ、いい。」




    兵長はそういうとまた、同じ方に向き直った。



    私達は顔を見合わせて、頷き兵長の横に立ち、兵長と同じようにした。


    私達は何も言わなくていいんだ。


    こうするだけで…


  7. 7 : : 2016/03/26(土) 21:17:38





    あの壁外調査の後、班員の移動があって私はまた別の班に所属することになった。

    来週には別の部屋に移動しなければならない。
    この部屋ともさようならなんだな。


    ほとんどない荷物の整理を終わらせて、布団に寝転がって休憩してると、浮かんでくるのは兵長のことだった。




    …また少しの間、兵長とも会えなくなってしまうんだな。


    同じ兵団内にいてるとわかっていても離れたくない、と思ってしまう。

    私がもっと強かったらまだ貴方の下でいられたのでしょうか?




    どうしても兵長の事ばかりが浮かんでくる。





    …………







    いきなり、今まで看取ってきたたくさんの人の最期の姿が頭に浮かんできた。




    とても嫌な想像が頭をよぎった。








    …はぁ…少し外の空気を吸ってこよう。



  8. 8 : : 2016/03/26(土) 21:18:38
    ーーーーーーー

    ーーーーー

    ーーー







    私、どうかしてしまったのかな…


    最近の壁外調査で仲良い子のほとんどがいなくなってしまったし…


    嫌でも『自分の番』を考えずにはいられない。






    ードン!



    ドサッ



    ふいにぶつかったので倒れてしまった。





    ペトラ「いたっ!誰…」




    目の前に立っていたのはさっきまでずっと私の中に浮かんできていた兵長だった。



    「へ…兵長!すいません!」





    リヴァイ「どうした。さっきからフラフラと歩いて。調子でも悪いのか?」






    さっきまでの考え事…



    嫌でも自分の番を考えてしまうし、『周りの人の番』も考えてしまう。



    リヴァイ「ったく…大丈夫なのか?」



    そう言って兵長は私に手を差し出してくれた。




    いつもの、少し寂しそうな表情で。




    ー私は、兵長や先輩やお父さん、お母さんやたくさんの人に守られています。


    けれど、兵長。


    貴方の事は、誰が守るのですか?





    握り返したその手はとても冷たかった…


    まるで、今までに失ってきた部下や仲間、味わってきた悲しみを表現したみたいに。



    知らなかった。


    貴方の悲しいほどの強さも苦しいほどの優しさも


    出会わなかったらわからなった。
  9. 9 : : 2016/03/26(土) 21:19:06
    ー兵長、貴方を守るのに私達では足りませんか?





    あの時、四人で約束したんです。






    貴方を守ろう。






    そして…死なないでいよう、って。






  10. 10 : : 2016/03/26(土) 21:20:52



    ーーーーーーー



    ーーーーー



    ーーー











    ザワザワザワ…







    え…ここは…







    いまは壁外調査中だったんだ。






    いくら今が休憩中だといえぼーっとしてしまうだなんて、あってはならないことだ。




    皆のところにいかないと…どこだ…








    ハンジ「ちょっとー!リヴァイはどこー⁉︎さっきまでのことで色々聞かないといけないことがあるんだよ」






    あら、兵長もどこかへいってしまったのかしら。




    モブリット「分隊長、どうなさったんですか?」




    ハンジ「リヴァイがどっかにいったままなんだよー」




    ペトラ「あ、分隊長!じゃあ私、呼んできます。」



    そう言って私は駆け出す。






    どこだー、兵長ー…




    いた。





    一人で膝をついて、何かしていた。




    ペトラ「兵長…何をしているんですか?


    分隊長が探していましt…」




    兵長に触れようとした手がその身体を通り抜けた。





    …ザァ


    風の吹き抜ける音と共にさっきまでの『全て』が頭の中を巡った。




    最後にでてきた記憶は私の終わりだった。




    私は…








    もうこの世にはいない存在となってしまったんだ…









    ーごめんなさい、兵長。




    貴方に沢山のものを背負わせてしまった…






    涙が溢れてくる。



  11. 11 : : 2016/03/26(土) 21:23:17
    ペトラ『兵長!お願いが…』



    振り向いた貴方の顔をみたら言葉が詰まってしまった。







    あなたは背負ってしまう人だから…




    貴方に背負わせるなんてしたくないから…




    『やっぱり、内緒です。』





    あの時言おうとした言葉…




    『私を忘れないでください。』



    わたしは欲張りです。




    どうか、その願いが叶いませんように。



    目の前が赤くそまっていく。




    最期に見えたもの。








    『お前の願いなんてたかがしれている。

    …背負ってやるよ。』








    叶ってほしくないです。


    お願い、伝えなくてよかった。




  12. 12 : : 2016/03/26(土) 21:24:00






    叶えないでください。









    わがままな私の最期のわがままです…





    でも、これだけは忘れないでください。









    私達は貴方のことを心から信じていたということを…







    たくさんの人が貴方のことを思っているということを…
  13. 13 : : 2016/03/26(土) 21:24:58

    ポタポタ…




    涙は止まることを知らずにどんどん流れていく。





    その一つが手のひらに落ちてきた。




    今まではすり抜けていっていたはずなのに手のひらに水が溜まっていく。



    まさか…なんで…








    ー兵長!






    兵長の前まで行って声をかけてみると、兵長は上、私の方を向いてくれた。




    兵長、貴方にもらった温もり、少しだけ返させてください。




    私はあの時の兵長みたいに手を差し出す。









    『立ってください。皆が待ってますよ。』








    兵長の手が触れる。



    そこから伝わるのは前とは違った、少し暖かい手だった。






    『兵長、ありがとうございましたー』





    兵長が私の手を握る寸前に私が消えていく。


















    私の最期に見たもの握りしめ返してくれたその手と兵長の微笑んだ口と頬を伝う涙、だったー









    Their determination will be what is inherited forever

    〜彼らの決意は永遠に受け継がれていくことであろう〜









    【The end】



  14. 14 : : 2016/03/26(土) 21:26:13


    見てくださった方、こんな駄作にお付き合いいただきありがとうございました!

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0421Chihiro

ファザム・アッカーマン@復活

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