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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品は執筆を終了しています。

エレン「シャドーモセス事件」 進撃×MGS

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  1. 1 : : 2016/02/29(月) 21:39:17
    どうもこんにちは、進撃のMGSです!


    進撃とメタルギアのコラボは、昔にも書いたことがあったのですが、昔と今ではスタイルもがらりと変わりましたし、せっかくなのでもう一度書いてみたいと思い、書き直しを決意しました。


    またしても長いシリーズになると思いますが、よろしくお願い致します<m(__)m>
  2. 2 : : 2016/02/29(月) 21:50:14











    2005年。
    アラスカ、ベーリング海。









    凍り付くような極寒の深海の中を、オハイオ級原子力潜水艦、ディスカバリーは静かに進んでいく。
    その船の中に搭載されている小型潜水艦の中で、一人の男が、通信機を介してとある男と通信を取っていた。









    『アラスカ、フォックス諸島沖にあるシャドーモセス島。そこにある核兵器廃棄場の中で、FOXHOUNDと次世代特殊部隊が突如として蜂起。島を占拠した。


    奴らの要求はビッグボスの遺体だ。


    奴らはアームズテック社社長、ジェル・サネスと、DARPA局長のオルオ・ボザドを人質に取り、要求が24時間以内に叶えられない場合、核を発射すると通告してきている。』










    この作戦の指揮権を持つ男―――――――リヴァイ・アッカーマンは、やや緊張した口調で、小型潜水艦の中で待機する男に指令を出す。



    長年バディを組み、お互い最も信頼を寄せあう上司と部下の関係。
    幼い頃からの育ての親の一人。









    『今回の任務に参画したFOXHOUNDの隊員は6名。お前がかつて所属し、俺が指揮を執ったこともある部隊だ。』

    「まだ存在していたんだな。」








    男は皮肉を返し、無線越しにリヴァイを苦笑させる。
    幾度となく潜入任務をこなし、世界を核戦争の危機から救ってきた伝説の男。








  3. 3 : : 2016/02/29(月) 22:00:59










    次にリヴァイは、敵対するFOXHOUND部隊のメンバーの特徴を語り始めた。








    『変装の達人、ベルトルト・フーバー。
    サイキック能力を持つナイル・ドーク。


    天才女狙撃手、アニ・レオンハート。
    巨漢のシャーマン、ライナー・ブラウン。


    拳銃の名手だけでなく、拷問のスペシャリストとしてもその名を知られるリボルバー・オセロット。








    そして、FOXHOUNDの実働部隊のリーダー・・・・・・・・・・・・エルヴィン・イェーガーの6名だ。』










    「エルヴィン・・・・・・イェーガー?」

    『そうだ。お前と同じ、狩人(イェーガー)のコードネームを持つ男。』











    やがて、原子力潜水艦のミサイル発射口が開き、中から一艘の小型潜水艦が射出された。
    発射の衝撃で、船内がガタガタと大きく揺れる。








    「それにしても無茶な話だな。装備も武器も現地調達とは。」

    『ふん、いつものように、単独での潜入任務(スニーキング・ミッション)だ。』









    小型潜水艦のハッチが開き、中にアラスカの冷たい海水が流れ込んでくる。
    あらかじめシュノーケル用のマスクとフィンを身に付けた男は、海底の中を泳いでいく。



    まったく、事前に不凍糖ペプチドを注射されていなかったら、凍りついて死んでいるところだ。











    『お前に依頼する任務は二つ。



    人質として囚われたジェル・サネス、オルオ・ボザド両名の救出。
    そして、テロリストの核発射能力の有無を調査し、事実ならば、それを阻止することだ。』









  4. 4 : : 2016/03/01(火) 02:48:40









    ひたすら凍えるような海の中を泳いでいく。
    大きな音を立てないように慎重に。


    顔だけを出し、様子を窺う。









    男が辿り着いた場所は、地下の倉庫であった。
    海水が入り込んでいる洞窟を改造して作ったこの倉庫は、船が出入りできるよう、十分な広さが取ってある。









    すると、倉庫の奥のほうから声が聞こえてきた。
    それは、低い男の声で。








    「いいか、奴は必ず来る。しっかりとここを見張っておけ。俺はこれからうるさいコバエを落としに行く。」









    兵士に指示を出している男は、ベージュ色のロングコートを身に纏い、金髪の髪は七三分けになっている。
    FOXHOUND部隊のリーダー―――――エルヴィン・イェーガーは、エレベーターに乗り込み、上へと昇っていった。









  5. 5 : : 2016/03/01(火) 02:49:57










    「リヴァイ大佐、あいつを見たぞ。」

    『ああ、俺も無線機を通じてモニタリングしていた。間違いなく奴だ。』

    「エレベーターに乗って上へと行っちまったがな。」

    『エレベーターが降りてくるまでやり過ごせ。』

    「・・・・・・・・・・・・分かった。」








    男は身をかがめ、荷物の下にある隙間へと潜り込む。
    敵は・・・・・・・・・・・・三人といったところか。


    ん? あいつ、立ったまま居眠りなんかしてやがるのか?
    他の兵士たちも緩み切っている。


    これは・・・・・・・・・・・・チャンスだ。








    これ幸いとばかりに、荷物の隙間から這い出た男は、足音を殺し、息を殺して移動していく。
    エレベーターの側にまで来た男は、近くの運搬リフトの裏に身を隠した。









    ビーッ! ビーッ!





    暫くして警報音が鳴り、赤いパトランプが点滅する。
    ゆっくりとエレベーターリフトが降りてきて、中から兵士が一名、降りてきた。








    __________今だ!




    男は隙を突き、兵士と入れ違いでエレベーターに潜り込むと、音を立ててエレベーターが上昇し始めた。











    「よし・・・・・・・・・・・・ここまでは順調だったな。」



    男は一息つくと、シュノーケル用のゴーグルとフィンを外した。











    黒い髪に深緑の瞳。
    悪人面ではあるが、端正な顔立ち。


    潜入任務(スニーキング・ミッション)の専門家にして、かくれんぼの名人。












    __________エレン・イェーガーは密かに、シャドーモセス島へと潜入した。













    METAL GEAR TITANS









  6. 6 : : 2016/03/01(火) 11:08:48












    やがてエレベーターは、地表、核廃棄施設の正面玄関へと到着した。



    http://img.atwikiimg.com/www13.atwiki.jp/sumaburax/attach/100/2021/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A2%E3%82%BB%E3%82%B9%E5%B3%B6.jpg












    「大佐、核廃棄施設前に到着。」

    『ふん、予定通りだな、エレン。ブランクがあるとは思えん。』








    強い吹雪が吹きすさび、地上の雪を巻き上げて強烈なブリザードとなっている。
    その先、建物の前にあるヘリポートには、一隻のガンシップが停泊していた。









    「!? ハインドD!? ロシアのガンシップが何でこんなところに?」

    『さあな・・・・・・・・・・・・だが、陽動作戦(フェイント・オペレーション)に引っかかったのは確実だ。』








    エレンが潜入するにあたり、陽動作戦(フェイント・オペレーション)として、F16戦闘機が二機、アラスカのガレーナ基地から発進している。
    エルヴィンの目はそちらにくぎ付けになり、エレンは何とか潜入を果たせたというわけだ。








    こんな酷い嵐であるにもかかわらず、エルヴィンはハインドDに乗り込み、発進しようとしている。
    すると・・・・・・・・・・・・








  7. 7 : : 2016/03/01(火) 11:09:46









    『それにしても、こんな嵐の中でハインドを飛ばすなんて無茶ね。』

    「!! 誰だ!?」






    突然女の子が通信に割って入ってきた。
    年の頃は、声から推測するに、ギリギリ未だ10代、といったところか?









    『そういや紹介していなかったな。通信技術の専門家、ミーナ・カロライナだ。お前が装備しているソリトン・レーダーの開発者でもある。』

    『よろしくね、エレン。』

    「・・・・・・・・・・・・。」








    『どうかした?』

    「いや、画期的なシステムの開発者がこんなに可愛らしい少女だとは思わなくてな。」

    『エレンッたらお世辞は下手ね。でも意外ね。私もあなたがこんなにフランクな人だとは思わなかったわ。』

    「どうやら、俺たちは互いの職業に偏見を持ってたみたいだな。」

    『そうみたい。これから理解を深めるとしましょ?』

    「そうだな・・・・・・・・・・・・よろしく頼むぞ、ミーナ。」








  8. 8 : : 2016/03/01(火) 11:32:03









    『スニ―キング・スーツの調子はどう? エレン?』









    それからもう一人、俺には任務をサポートしてくれる人間がいる。


    FOXHOUNDのメディカル・スタッフ。
    ドクター、ペトラ・ハンターだ。








    「ドライ効果は高いな。けど、少しきつくてぴちぴちだ。」

    『我慢して、低体温症を防ぐためよ。』

    「お前が俺にうった注射のおかげか、水中でも凍らずに済んだ。」

    『不凍糖ペプチドよ、エレン。』







    俺はこの任務に参加するにあたり、半ばアラスカの自宅から拉致される形でここまで連れてこられた。
    それから俺は監禁され、服を脱がされ、挙句にペトラから注射されたのだ。









    「ドクターに丸裸にされて、何もかも取り上げられたからな。」

    『分かった・・・・・・・・・・・・帰って来れたら私の体を調べてもいいわ。』

    「そいつは夢のある話だな。ああ、あと、タバコだけは持ち込ませてもらったぞ?」

    『!? エレン、いったいどうやって!?』

    「胃の中にな。」

    『呆れた・・・・・・。』








    そうそう、俺はヘビースモーカーだ。
    どんな任務にあっても、タバコは必ず持ち歩くことにしている。


    それに、意外なところでタバコは役に立つ。
    経験上、俺はその事を知っているのだ。









  9. 9 : : 2016/03/01(火) 16:25:21










    『さて、エレン・・・・・・・・・・・・ここから何が見える?』

    「見たところ、潜入ルートはいくつかあるようだ。」










    敵の装備は、トランペット(アサルト・ライフル)に、パイナップル(グレネード)・・・・・・・・・・・・。
    見つかったらたちまち蜂の巣となるだろう。








    「正面玄関は閉まっている。ノックしても簡単には開けてもらえそうにないな。」

    『極上のおもてなしを受けることになるだろうな。』

    「扉の左側にダクトが見える。兵士が目の前に一人、その奥には監視カメラ。」

    『もう一つ、扉の上にあるベランダに、ダクトの入り口がある。』

    「ここからは確認できないが・・・・・・・・・・・・了解した。」










    『潜入ルートはお前次第だ。頼むぞ、エレン。』









  10. 10 : : 2016/03/01(火) 17:13:51









    さて、どうしたものか・・・・・・・・・・・・。








    どちらに進むとしても、敵の目を誤魔化さなくてはならない。
    手元に銃は無く、見つかったら即殺されてしまうに違いない。










    「・・・・・・・・・・・・やるしかないか。」

    『気を付けて、エレン。敵はゲノム兵――――――遺伝子治療(ジーン・セラピー)を受けていて視覚と聴覚が鋭いわ。』

    「分かった。ありがとな、ペトラ。」









    音を立てないように慎重に、エレンはヘリポートの右脇、コンテナが置かれている方へと移動し始めた。












    「!! この足跡は?」



    ゲノム兵の一人が、雪の上に残った足跡に気が付く。
    周囲を警戒しながら、ゲノム兵は慎重に足跡をたどっていく。









    ガバッ!


    突然、ゲノム兵の首と口に太い腕がまわされた。









    「んんんんんんッ! んッ!!」



    ベキッ! という音がしたと同時に、エレンが腕を離すと、首をへし折られたゲノム兵はくずおれるように倒れた。









    「ふうっ・・・・・・・・・・・・。」



    死体を見つからないように移動させて一息つくと、死体からSOCOMピストルを抜いた。
    ・・・・・・・・・・・・弾数は限られているし、サプレッサーもついていない。









    「考えて使わなきゃ、あっという間に敵に取り囲まれそうだ。」









    それからエレンは監視カメラをかいくぐり、階段を駆け上がって扉の上にあるベランダへと駆け上がった。









  11. 11 : : 2016/03/01(火) 19:04:19








    敵はベランダを行き来して、監視を続けている。
    侵入者がいるだなんて、まだ気が付いていないようだ。



    エレンは身をかがめ、兵士が向こうへと歩き出したのを見計らって動き出した。










    「んっ!?」



    足音が聞こえたような気がして、兵士は後ろを振り返る。











    「・・・・・・・・・・・・気のせいか。」



    すぐに兵士は振り返り、ベランダの上から下を見下ろす。
    異常は・・・・・・・・・・・・今のところ、どこにも感じられない。












    __________エレンはこっそりと、ベランダから施設の中へと続くダクトの中に入り込んだ。









  12. 12 : : 2016/03/01(火) 19:04:37
    期待してます
  13. 13 : : 2016/03/01(火) 19:05:45
    >>12
    おお、ご期待ありがとうございます!
  14. 14 : : 2016/03/02(水) 00:03:45











    プルルルッ! プルルルッ!



    突然、無線機が鳴り出した。
    多少訝しがりながら無線に出るエレン。








    『エレン! 久しぶりだなッ!』

    「!! その声は・・・・・・・・・・・・マスター!?」








    無線の相手は、FOXHOUNDでかつてサバイバル教官を務めていた男―――――――エルド・ジン。









    右腕がなく、左足は義足であったものの、エルドは厳しい鬼教官として知られ、エレンを初めとするFOXHOUNDの隊員たちは彼をマスターと呼んで慕っていた。
    地獄のようなしごきの中でも、マスターは時折不器用な優しさを見せてくれていた。



    それに、エレンにとっては6年前のザンジバーランド騒乱。
    その時にもリヴァイと共に無線でエレンをサポートし、宿敵、ビッグボスを討ち果たす手助けをしてくれた恩人。










    『ああ、俺だ。リヴァイから今回のことを聞いた。サポートさせてもらうぞ。』

    「マスターのサポートがあると心強いです!」






    冷たいアラスカのダクトの中で、エレンの心の中が、ポッとろうそくの火が灯ったように暖かくなった。
    マスターのためにも、俺はこの任務を成功させなくては。


    そう思うと、這って進む腕に力が入った。









  15. 15 : : 2016/03/02(水) 00:19:17









    「ところで、マスターは今何を?」

    『俺は今教官を辞めてアラスカに住んでいる。たまにはアラスカ・スカウトのブーツキャンプの教官をしてはいるがな。』

    「お互い世代交代の時代ですね。」

    『そんなところだ。元サバイバル教官としての経験を役立ててくれ。それに俺はアラスカに暮らしてお前より長い。アラスカの動植物に詳しいつもりだ。』

    「じゃあ・・・・・・・・・・・・ダクトの中にネズミがいるんですが、そのことについて教えてくれませんか?」








    ダクトを進みながら、エレンは目の前をウロチョロと移動するネズミについてマスターに尋ねた。
    すると、気をよくしたのか、エルドは長々とそのネズミについて語り始めた。










    『そのネズミは恐らくアラスカハツカネズミだ。そのネズミの後をついて行ってみろ。恐らくそのダクトの出口まで案内してくれる。』

    「流石ですね、マスター。」

    『ああ、後、そのネズミ・・・・・・・・・・・・なんと共食いをするそうだ。』

    「と、共食いですか!?」

    『別に珍しいことでもない。たとえそれが親兄弟であろうとそうせずにはおれない。それは何も、ネズミに限ったことではないだろう。』

    「・・・・・・・・・・・・そうですね。」








    エレンの脳裏に、6年前のザンジバーランド騒乱の影がよぎる。


    俺は6年前、ビッグボスを―――――――自らの父親をこの手で殺害した。










    「・・・・・・・・・・・・任務に戻ります。」

    『・・・・・・・・・・・・気を付けろよ、エレン。』








    リヴァイやマスターは、そのトラウマを共有した、俺にとって数少ない友人だ。
    マスターとの通信を切り、エレンは冷たいダクトの中を、ネズミを追って進んでいった。








  16. 16 : : 2016/03/02(水) 02:22:03








    暫くダクトを進んでいくと、下から男が二人、話す声が聞こえてきた。









    「おい、地下一階のダクトの掃除は終わったか?」

    「ああ、これからネズミを駆除するところだ。」

    「しっかりとやっておけよ。ダクトの入り口は開けておいたからな。」

    「ああ。」








    (地下一階・・・・・・・・・・・・ダクトか・・・・・・・・・・・・。)



    エレンがそう思っていると、リヴァイから通信が入ってきた。








    『今の話、聞こえたか、エレン?』

    「ああ、ダクトが開いているという話だろ?」

    『そうだ。ミーナの話によると、オルオ局長はその地下一階に囚われているらしい。』

    「!!」








    ミーナが言うには、局長の血液に注入されたナノマシンのヴァイタルが、エレンの潜入した建物―――――――武器格納庫の地下一階から発信されているらしい。








    俺の血液中にも、ナノマシンが注入されている。
    これは、ドクターペトラが不凍糖ペプチドと一緒に注入したものだ。


    このナノマシンを通じて、ペトラは俺のヴァイタルをチェックし、医学的見地から最善のアドバイスを貰えることになっている。








    ジェル・サネス、オルオ・ボザドにもまた、俺と同じ型のナノマシンが注入されているらしい。
    しかも、彼らの位置はソリトン・レーダー上に緑の点となって表示されるとのことだ。








  17. 17 : : 2016/03/02(水) 02:23:18










    「これは・・・・・・・・・・・・思ったよりも早く片がつくかもな。」



    小声でつぶやくエレン。
    すると、兵士たちは別の話題を話し始めた。








    「なあ、例の侵入者の話、聞いたか?」

    「ああ、もう既に四人も殺されているらしいぞ。」







    (まさか・・・・・・・・・・・・俺のほかに侵入者が?)



    兵士たちの口調には、若干ではあるが、恐怖が混じっていた。
    しかもそいつはステルスらしいとつぶやく彼らの声は、震えていた。










    「大佐・・・・・・・・・・・・一体どういうことなんだ?」

    『さあな。ともかく気に食わねえ事態になっていることは確かだ。』







    立ち話が済んだのか、兵士たちはいずこへと立ち去っていった。
    隙を見計らい、エレンはダクトの金網を外すと、こっそりと梯子を下りて、武器格納庫の中へと潜入した。








  18. 18 : : 2016/03/02(水) 14:09:25







    武器格納庫には、戦車が一台、格納されている。
    その周りには数名のゲノム兵。







    (潜入し甲斐がありそうだ。)







    目指すはエレベーター。
    そこから地下二階へと降りていき、オルオ局長が囚われているフロアまで降りていく。


    アウターヘブン、ザンジバーランドと死線を何度もくぐってきたエレンにとって、この程度の潜入など朝飯前。











    あっという間にエレベーターに乗り込み、エレンは地下一階へと辿り着いた。










    『!! エレン! ソリトン・レーダーが局長の反応を捉えたわ!』

    「!! 本当か、ミーナ!?」







    ミーナから通信が入り、エレンもレーダーを確認する。
    確かに、監獄らしき部屋に、緑の光点が表示されている―――――――DARPA局長、オルオ・ボザドを示すものであった。








    『エレン。どうやらその監房へは、さっきの兵士が話していたダクトを使って天井から侵入できそうだ。』

    「!! 分かった。」








    リヴァイからの通信を聞き、エレンは再びダクトからの侵入を選んだ。
    廊下をまっすぐ進み、突き当りを左に曲がってまっすぐ行くと、果たしてそこには梯子があり、天井のダクトへと通じていた。









  19. 19 : : 2016/03/02(水) 14:09:58








    「ここだな・・・・・・よし、行くか!」



    ダクトの中を再び這って進んでいくエレン。
    ついでに、いくつかの部屋を金網越しに覗いてく。







    「うっ・・・・・・。」

    『? どうした、エレン?』

    「リヴァイ大佐・・・・・・俺今、男子トイレの上にいます。」

    『・・・・・・・・・・・・そいつは気の毒にな。』

    「しかも、一人入ってます・・・・・・・・・・・・泣きたい。」









    そこには、兵士の一人が、お腹を壊したのか、下痢をしているところであった。









    「ううぅうぅぅッ! お腹がアぁあぁぁぁッ!!」



    坊主頭のそいつは、便座の上でずっとうんうん唸って、下痢と格闘しているようだった。










    「めっちゃ臭い・・・・・・・・・・・・。」

    『・・・・・・・・・・・・我慢しろ。』









    涙目になりながら、エレンは匂いの充満したダクトを進んでいった。








  20. 20 : : 2016/03/02(水) 14:11:26









    さて、漸く独房の上にまで辿り着いたエレン。
    独房は二部屋あり、エレンはまず手前の金網の下を確認した。










    「ふっ! ふっ! ふっ! ふっ!」



    そこには、簡易ベットの上で腹筋をする黒髪の女性がいた。










    「う~~~ん・・・・・・・・・・・・違うな。」



    局長ではない。
    はぁ、これが任務じゃなかったら今頃口説いてやるのに・・・・・・。










    泣く泣く女を諦め、奥の金網を覗くエレン。
    そこには、ベットの上に座ってる初老の男性がいた。
















    「!! 誰だ!?」



    初老の男性は、独房の上に取り付けられたダクトから音がするのに気が付いて声を上げた。
    と同時に、エレンはダクトの金網を取り外し、独房の中へと降り立った。







  21. 21 : : 2016/03/02(水) 14:12:05








    「DARPA局長、オルオ・ボザドだな? お前を助けるよう言われてここに来た。」

    「お、俺を助けにだと? はっ、それはどうもご苦労なこったな。で、お前はどこの所属なんだ?」








    オルオ局長は少し横柄な態度であったが、どこかしらホッとしているような、そんな雰囲気であった。









    「俺はお前のようなロクデナシを助けるために雇われた、哀れな捨て駒にすぎねえよ。」

    「ふん、そうか・・・・・・確かにお前はテロリストじゃなさそうだ。とっとと俺をここから出してくれよ。」

    「分かった・・・・・・・・・・・・そのかわり、先に情報を教えてくれよ、テロリストのことをな。」

    「ふん、何を聞きてえんだ、ガキ?」

    「奴らは本当に核を撃てるかどうかだ。」

    「!!」








    事態は切迫していた。
    エルヴィンは政府(ホワイトハウス)に対し、核を撃つと脅迫してきている。


    だから、本当に核が撃てるのかどうか、確かめる必要に迫られていた。











    「・・・・・・・・・・・・可能だ。あいつらは、核を撃てる!」

    「なっ・・・・・・・・・・・・いったいどうやって!? ここは解体した核弾頭を保存しておくための施設じゃないのか!?」

    「表向きはな・・・・・・・・・・・・。」








  22. 22 : : 2016/03/02(水) 14:15:30









    オルオは一息つき、それから一歩一歩噛みしめるように、話を続けた。










    「ここでは、ある新型兵器の演習が行われていた―――――――兵器史上に残るな。」

    「何?」

    「地球上のあらゆる地点からの核攻撃を実現する・・・・・・・・・・・・核搭載歩行戦車。」













    その時、エレンの脳裏には、悪夢のような光景が蘇っていた。






    アウターヘブンで、
    ザンジバーランドで、


    二度にわたって戦いを繰り広げてきた、あの悪魔の兵器・・・・・・・・・・・・











    「・・・・・・・・・・・・まさか、メタルギアか!?」










  23. 24 : : 2016/03/02(水) 19:52:45









    「!! お前、メタルギアを知ってるのか!? メタルギアは極めて機密性の高い隠密計画(ブラックプロジェクト)の一つだぞ?」

    「幸いなことに、昔から多少縁があってな。」







    ため息をつくように答えるエレン。
    縁というよりは因縁といった方が正確だったかもしれない。








    「お前がここにいるのは、その為だったのか。」

    「でなきゃわざわざこんな辺鄙なところまで出張っては来ねえよ。」

    「ちっ、メタルギア計画は全て破棄されたんじゃなかったのか?」

    「俺とアームズテック社で大きなプロジェクトに育て上げた。今回の演習を材料にして、量産に移行するはずだった・・・・・・・・・・・・あいつらの蹶起さえなきゃな。」

    「蹶起?」








    オルオは少し苛立ったような表情で、吐き捨てるように呟いた。







    「メタルギアREXは、あいつらの手にわたってしまった。」

    「REX?」

    「今回開発されたメタルギアのコードネームだ。きっとあいつらはもうREXに核弾頭を装填しちまったに違いない。」








  24. 25 : : 2016/03/02(水) 19:53:32










    「おい、うるさいぞ! 静かにしてろ!」



    すると、外から若い兵士の声が聞こえてきた。







    さっきトイレで下痢をしていやがった野郎は、どうやら俺が中に入り込んでいることに気が付いていないらしい。
    バカで助かったと安堵していると、兵士は独房から遠ざかっていった。









    「だが、核弾頭には安全装置が組み込まれているはずだ。起爆コード入力式の・・・・・・・・・・・・。」

    「PALのことか・・・・・・・・・・・・確かに、二つのパスワードを入力しなければ発射は出来ない。俺とサネスが一つずつ知っていた。」

    「ジェル・サネス・・・・・・・・・・・・アームズテック社の社長か。」

    「ああ、起爆コードを二つとも入力しなければ発射は出来ないが、俺のパスワードは・・・・・・・・・・・・知られちまった。」

    「なっ!?」

    「仕方がないだろう! 敵にはナイル・ドークというサイコ・ソルジャーがいる!」










    「ナイル・ドーク?」

    「そうだ、FOXHOUNDの一員で、読心(リーディング)能力を持っている。」

    「厄介な奴だ・・・・・・。」

    「恐らくナイルはサネスのパスワードも・・・・・・・・・・・・。」









    この時、エレンが想定したのは、最悪の事態であった。








    「もし、奴らがサネスのパスワードを手にしていたら・・・・・・。」

    「ああ、あいつらはいつでも核発射可能ということになる。」

    「く、何てことだ・・・・・・。」







    どうやら、敵テロリストどもは、いつでも核が撃てるということらしい。








  25. 26 : : 2016/03/02(水) 20:18:03









    「だが、止める方法はある。」

    「!? あるのか、止める方法が?」

    「ああ・・・・・・・・・・・・(PALキー)だ。」

    (PALキー)?」

    「ああ、アームズテック社が緊急時のために用意しているものだ。暗号を使わずにセイフティを入力、解除できる。」

    「!! それを使えば・・・・・・・・・・・・。」

    「ああ、核発射を食い止められる!」







    話を聞きながら、エレンは内心ため息をついた。
    毎回毎回、どうしてこうも、ナイフの上を綱渡りするような目に遭うんだかな・・・・・・・・・・・・。



    ・・・・・・・・・・・・やるしかない。








    「それで、その鍵はどこだ?」

    「確かサネスが持っていたはずだ。いいか、ガキ? PALキーは三つ必要だ。ロックは三か所ある。それを解除すりゃいい。」

    「鍵は三つか・・・・・・・・・・・・手間がかかりそうだ。で、サネスは今どこに?」

    「・・・・・・・・・・・・地下二階のどこか。妨害電波の出ているところに移されたらしい。見張りがそんなことを話していた。それにあいつら、入口を塗り固めたらしい。が、十分な時間はなかったはずだ。壁の色が違うところを探しゃ馬鹿でも分かるだろ。」








    オルオはそう言うと、俺にIDカードを差し出してきた。






    「このカードは?」

    「扉を開けるためのIDカードだ。セキュリティ・レベルが1の扉なら開く。」

    「ありがたく貰っておこう。さて、脱出するぞ。」









  26. 27 : : 2016/03/02(水) 20:19:29









    脱出の準備を始めるエレン。
    すると、オルオがふいに尋ねてきた。







    「ちょっと待ってくれ、他にPALを解除する方法をお前の飼い主から聞いてねえのか?」

    「全くな。」

    「本当に何も聞いていないのか?」

    「くどい・・・・・・・・・・・・俺は何も聞かされちゃいない。」

    「じゃあ、政府(ホワイトハウス)はあいつらの要求を呑む気はあるのか?」

    「それは俺には関係のない話だ。」

    「でも、国防総省(ペンタゴン)は・・・・・・・・・・・・うぐッ!!」









    突然、オルオが左胸を押さえ、苦しみ始めた。









    「!? ど、どうしたんだ!?」

    「な、なぜ!? がはぁッ!!」






    オルオは膝をつき、エレンに必死にしがみつく。
    が、力が徐々に抜けていき、そのままオルオは苦しみ悶えた末に床に倒れた。













    「・・・・・・・・・・・・死んだ?」



    DARPA局長、オルオ・ボザドは、唐突な死を迎えた。









  27. 28 : : 2016/03/02(水) 23:17:36









    慌ててエレンはメディカル・スタッフであるペトラに連絡を入れた。






    「どうなってる? 局長が死んだぞ!?」

    『分からないわ。見たところ、心臓発作のようだけれども。』

    「心臓発作!?」









    あまりにも都合が良すぎる。
    それに、ペトラの言い方も、何か釈然としない。








    「・・・・・・・・・・・・リヴァイ大佐、俺に何を隠してる?」

    『何もない。この作戦にはコード・レッドのセキュリティが敷かれている。真相を知るには最高度のセキュリティ・クリアランスが必要だ。』

    「ふざけてるのか? あんたはこの作戦の指揮官だろ!?」

    『いや、今回の任務の最高指揮権を持つのはキッツ・ヴェールマン国防長官だ。俺はお前のサポート役にすぎねえ。』

    「ぐ・・・・・・・・・・・・もういい。」







    どうやら、俺はまた、何かに利用されているらしい。
    さしずめ戦争の犬ってところか・・・・・・・・・・・・利用されて、用が済めば捨てられる。


    全く、反吐が出そうな任務だ。









  28. 29 : : 2016/03/02(水) 23:18:44









    『議論をしている暇はない。とっととそこから脱出しろ。』

    「言われなくともだ。」








    吐き捨てるようにそう言うと、エレンはSOCOMピストルを構える。



    さっきの騒ぎで見張りの兵も流石に気が付くだろう。
    突入してくるのを静かに待っていると、独房の外から声が聞こえてきた。










    「うわぁ! ほげえぇッ!!」








    ・・・・・・・・・・・・一体どうなっているんだ?



    外の様子が分からずに訝しがっていると、突然、鉄の扉が開いた。
    警戒しながらも外に出るエレン。









    「動かないで!」



    すると後ろから、エレンは銃を突き付けられた。








    (まさか俺が後ろを取られるなんてな・・・・・・・・・・・・。)



    エレンが振り向くと、そこにはさっきの黒髪の女性がいた。
    よーく後ろを見ると、さっきの見張りは身ぐるみを剥がされて、パンツ一丁になって気絶させられている。








  29. 30 : : 2016/03/02(水) 23:19:27









    「あなたは、局長を殺した。ひどいことを。」

    「おいおい、お前に俺が撃てるのか?」

    「!! 馬鹿にするな。私は、あなたを撃つ!」

    「銃が震えているぞ?」

    「!!」

    「それに、その自信の感じられない目―――――――新兵特有の目だ。撃てるか、新米ッ!!」








    すると突然、部屋の扉が開き、中にスモークグレネードが転がってきた。









    「!! ちっ、どうやら敵が来ちまったみたいだなッ!」



    エレンが言うやいなや、アサルト・ライフルで武装した敵兵たちが入り込んでくる。
    ドアから入り込んで来ようとした、その瞬間を狙って、エレンは銃弾を敵の頭へと撃ちこんだ。








    __________敵が悲鳴を上げて倒れ、夥しい出血で床が赤く染まっていく。





    黒髪の女性はその光景を見て、恐怖を感じずにはいられなかった。
    まるで体が金縛りにあったかのように動けなくなり、トリガーにかける指が鉛のように重く感じる。








  30. 31 : : 2016/03/02(水) 23:21:32








    その間にも、敵はどんどんと入ってきた。
    流石のエレンも一人だけ、しかもピストル一丁だけでは対応しきれない。








    「何やってんだ! 撃てッ!!」

    「う、うああぁあぁぁぁッ!!」





    黒髪の女性は大声で叫び、石のように固くなった指を無理やり動かしてトリガーを引いた。
    途端に、激しいマズルフラッシュと共に銃弾が撃ち出され、敵兵を駆逐していく。










    「はぁ、はぁ・・・・・・。」

    「ふぅ、新米にしては上出来だな。」





    やがて、エレンと黒髪の女性は、敵兵を全員なぎ倒した。
    部屋の中には撃ち殺した兵士の遺体が累々と横たわり、血の生臭い匂いが充満している。









    「一応、礼を言っておくぞ。」

    「・・・・・・・・・・・・礼なんか、いらない。あなたとは、ここでお別れだ。」








    黒髪の女性はつっけんどんにそう言うと、エレベーターへ向かって走り出した。



    「お、おい! 待てッ!!」







    くそ、あいつ・・・・・・・・・・・・いいケツしてるな。
    じゃなくて!



    エレンがそんなことを考えていると、エレベーターに乗った黒髪の女性はいきなり銃を向けて撃ってきた。







    「わっ! ちょっ! 待てってッ!!」



    慌てて物陰に隠れ、銃撃を躱すエレン。
    そのままエレベーターの扉が閉まり、黒髪の女性は行ってしまった。









  31. 32 : : 2016/03/02(水) 23:22:37









    「!? な、何だ!?」



    突然、エレンの頭の中に映像が流れ込んできた。











    『馬鹿が! 人質を殺してしまうとは!』

    『すみません、ボス。つい・・・・・・・・・・・・。』






    テロリストのリーダー、エルヴィンが長い銀髪に口髭を蓄えた男を叱ってる様子が突然目の前に広がった。



    彼らの後ろには、もう一人、ガスマスクを被った男。
    その男はシュコー、シュコーと息をしながら、エルヴィンに提案をした。









    『俺にいい考えがあるぞ、ボス。』








    ふと風景がエレベーター前に戻る。
    すると、エレベーターの前にさっきのガスマスクを被った男が現れた。








    あの男・・・・・・・・・・・・浮いている?








    「ふふふ・・・・・・・・・・・・いい子だ。」



    ガスマスクを被った男は、上へと浮いていき、そのまま天井をすり抜けて消えていった。









  32. 33 : : 2016/03/02(水) 23:23:53










    「ぐっ・・・・・・・・・・・・今見たのは、一体何だったんだ?」

    『恐らく、FOXHOUNDのサイコ・ソルジャー、ナイル・ドークの精神干渉ノイズよ。』

    「!! あいつが?」







    ペトラが言うには、あの男こそナイル・ドークだという。


    俺は超能力とか、そういオカルトチックはものは何一つ信じちゃいなかったんだがな。









    「・・・・・・・・・・・・しまった!」



    突然、エレンが大声を上げた。









    『どうした、エレン?』

    「俺としたことが・・・・・・・・・・・・女の名前を聞くのを忘れてた! くっそぉ・・・・・・。」









    (・・・・・・・・・・・・一瞬でも心配した俺が馬鹿だった。)



    思わず、リヴァイは舌打ちをした。









  33. 34 : : 2016/03/03(木) 03:03:49









    エレンはエレベーターへと乗り込み、地下二階へと降りていった。







    目の前に広がっていたのは武器庫であった。
    どうやらこのフロアには、大小さまざまな武器が置いてあるらしい。


    最も、セキュリティ・カードでロックされている部屋が大半で、手に入れられる武器は限られていた。








    「スタングレネードにチャフグレネード・・・・・・C4爆弾か。」



    首尾よく爆発系の武器を手に入れたエレン。
    それからエレンは壁をよく探し始めた。








    『よく探せよ、エレン。死んだオルオの話では、壁の色を探してみろとのことだったな?』

    「そうだったな・・・・・・・・・・・・コンクリートで急遽壁を塞いだってところだろ。おっ!?」







    リヴァイと通信を取りながら、エレンは漸く壁の色が変わっているところを見つけ出した。
    念のために壁を叩いてみると、ゴンゴンッと、中に空洞があるような音が響いてきた。








    「ここだな。」



    エレンは壁にC4爆弾をしかけ、距離を取る。
    それからスイッチを押して、エレンは壁を発破した。








  34. 35 : : 2016/03/03(木) 03:04:19








    ガラガラとコンクリートが音を立てて崩れ、その向こうには廊下が広がっていた。
    と、ここでソリトン・レーダーが効かなくなり、建物の地図や敵の配置が表示されなくなった。








    「近いな・・・・・・。」



    サネス社長が囚われた空間まではもう少し。
    廊下を進んだエレンは、またしてもコンクリートで塗り固められた壁を見つけ出した。









    手際よくC4をしかけ、爆発させて壁に穴をあけるエレン。
    すると、穴の向こうに広い空間が広がっていた。










    「!! こ、これは!?」



    部屋の中には五本の鉄柱があり、ジェル・サネスはその中央にある柱に縛り付けられ、ぐったりとしていた。
    柱の間にはワイヤーが張り巡らされており、サネスを縛り付けていた。








  35. 36 : : 2016/03/03(木) 03:05:03










    「あんたがアームズテック社社長、ジェル・サネスだな?」

    「う、うぐ・・・・・・。」







    サネスはまだ息があるものの、衰弱して弱々しい。
    サネスを縛り付けているワイヤーをほどこうと近づく。



    すると、サネスが唸るように言葉を押し出した。








    「さ、触るなっ!!」

    「!! C4爆弾か!?」





    サネスに言われ、エレンは漸く気が付いた。
    ワイヤーに触れてはいけない。





    __________これは、罠だッ!!













    バァンッ!!




    次の瞬間、エレンの足元に銃弾が飛んできた。
    銃を構える音に気が付いたエレンは後ろに飛びのき、間一髪銃弾を躱した。








  36. 37 : : 2016/03/03(木) 03:05:55









    「そうだっ! ワイヤーに触れればそいつ共々C4が爆発する!」



    撃ってきた男は、さっき見せられた精神干渉ノイズの中にいた、あの銀髪に口髭を蓄えた男であった。








    http://www.imfdb.org/images/thumb/b/b3/MGS_TTS_SAA.jpg/600px-MGS_TTS_SAA.jpg









    「貴様がボスのお気に入りか。」

    「お前は・・・・・・誰だッ!?」

    「私はFOXHOUND部隊・・・・・・・・・・・・リボルバー・オセロット。待っていたぞ、エレン・イェーガー。」







    そう名乗った男は挨拶代わりに華麗なガンスピンを披露した。
    くるくると手の中で回っているあの銃はリボルバー拳銃―――――――まるでマカロニ・ウエスタンといった感じだ。


    よく見ると足には拍車が付いているし、余程の西部劇マニアと見た。








    「こいつは世界で最も高貴な銃、SAA(シングル・アクション・アーミー)だ。」








    オセロットはうっとりとした表情で自らの愛銃を眺めると、びりつくような殺気の籠った目線でエレンを睨みつけてきた。
    まるで、山猫が獲物を狙うかのような、そんな殺気を放ってきた。








    「6発だ。6発以上生き延びたやつはいない。私がなぜリボルバーと呼ばれているか、じっくりと味あわせてやる。」









  37. 38 : : 2016/03/03(木) 03:08:32








    オセロットはいったん銃をしまい、エレンと真正面から向かい合った。
    お互いにらみ合い、そこから一歩も動かない。









    ドクン、ドクンと心臓の鳴る音がうるさく聞こえてくる。









    __________二人は同時に動いた。



    エレンはSOCOMピストルを、オセロットはSAAを抜き、柱の影に隠れながら銃を撃ち合う。










    「やるじゃないか、俺の速さについて来れるとはな。」









    (くそ、化け物かよ、あいつ・・・・・・・・・・・・。)



    銃を抜いてから撃つまでのスピードは、僅かながらオセロットのほうが早かった。







    化け物じみた早打ちの名手。
    それだけに、エレンには理解できないことがあった。








    (あいつ・・・・・・・・・・・・なんでSAAを?)





    SAAは手間のかかる銃であった。
    何せ6発撃ってしまったら手動で弾を入れ替えなくてはならない。


    それは、このような戦場では命取りともいえた。









    が、その訳はすぐにわかった。







    「戦闘中のリロードが堪らない。銃に命を吹き込んでいるかのようだ。よし、生き返った!」

    「くっ、戦闘狂め!」







    そう、オセロットはリロード時に出来る隙に最大の興奮を感じていた。
    正に狂った山猫のような男―――――――それがリボルバー・オセロットであった。









  38. 39 : : 2016/03/03(木) 16:25:17
    頑張ってください!!!
  39. 40 : : 2016/03/03(木) 17:14:25
    >>39
    ありがとうございます!
  40. 41 : : 2016/03/03(木) 17:16:50








    『エレンッ!』

    「マスター!?」





    戦いの様子を無線を通してモニタリングしていたエルドから通信が入ってきた。







    『奴はリロードにスリルを覚える狂った男だ。だが、それはこちらにとって大きなアドバンテージになる! リロード時に勝負をかけろ!』









    マスターの言う通りだ。



    あいつが異常過ぎて、こっちはそんな当たり前のことさえ見過ごすところだった。
    やっぱりマスターは頼りになる。








    SAAの装弾数は6発。
    つまり、6発銃声が聞こえたところで攻めに転じれば・・・・・・・・・・・・











    「甘いな。」

    「なっ!?」






    エレンは柱の陰に隠れ、銃弾が当たらない場所にいたはずだった。
    オセロットの銃弾は、しかし、壁に当たった後、真っ直ぐエレンめがけて飛んできた。








  41. 42 : : 2016/03/03(木) 17:18:30









    「う、うぐ・・・・・・。」

    『エレン!?』

    「大丈夫だ、ペトラ・・・・・・・・・・・・左肩を、撃たれただけだ。」







    撃たれた左肩から血がぽたぽたと滴り落ちる。
    ジンジンとした痛みが脳髄まで響いてくる。








    「隠れても無駄だ。俺には弾の気持ちが分かる。跳弾を操ることが出来る。」

    「何て奴だよ・・・・・・。」









    豪語するだけあって、オセロットの銃の腕前はかなりのものだ。
    特に、弾がどう跳ねるかを計算して放つ跳弾は最大の脅威と言えた。



    柱から飛び出せば狙われる。
    柱の陰に隠れれば跳弾で狙われる。










    文字通り、逃げ場が・・・・・・・・・・・・ない。









  42. 43 : : 2016/03/03(木) 17:19:37










    「そろそろ決着をつけようとは思わんか!?」



    弾を装填しなおし、再びオセロットが動き出した。









    __________く、どうする!?









    どうにかして奴の死角に回り込まなければ・・・・・・・・・・・・。
    だが、今の奴には死角がない。



    俺が前に出てようと、隠れてようと、的確に銃弾を当ててくる化け物。










    その時、部屋の中に張り巡らされた配管が、エレンの視界に飛び込んできた。













    「・・・・・・・・・・・・これに、勝負を賭ける!」









  43. 44 : : 2016/03/03(木) 17:20:04











    エレンは勢いよく柱の影から飛び出した。




    待ち構えたように銃を向けるオセロット。
    それよりほんの一瞬早く、既に狙いを定めていたエレンの銃弾は、オセロットの脇にある配管に直撃した。









    ブシュウウウウッ!!


    「ぐおッ!?」





    熱い蒸気が配管から吹き出し、オセロットの顔面に襲い掛かった。
    一瞬の隙を突かれ、オセロットは腕で顔を覆った。










    「うおおぉおぉぉッ!!」



    その間にエレンはオセロットに接近。
    腕にうなりをつけてオセロットに右の拳を繰り出した。











    バキィッ!!


    エレンの右拳がオセロットの顔面に入り、その衝撃で一瞬、オセロットの顔が歪んだ。



    「がはぁッ!!」


    思い切りエレンは拳を振り抜き、オセロットは勢いよく仰向けに倒れた。











    「はぁ、はぁ、どうだ・・・・・・・・・・・・出し抜いてやったぞ。」



    倒れたオセロットを見下ろし、エレンは一言、呟いた。









  44. 45 : : 2016/03/03(木) 18:46:28










    「ふふふ・・・・・・・・・・・・。」

    「!! 今ので落ちなかったのかよ・・・・・・・・・・・・タフな奴だ。」








    のそりと起き上がるオセロット。
    プッと口から血を吐き出し、それから、にやりと笑った。











    「いいセンスだ。流石はボスと同じコードを持つ男。久しぶりだよ、これ程充実した戦いは。」











    そう言うと、オセロットは素早く柱の影に隠れ、再び弾を装填し始めた。
    危険を察して柱の陰に隠れるエレン。











    「そろそろ本気を出して行こうか!?」



    鋭い殺気を発し、オセロットは柱の影から飛び出して銃を構えた。











  45. 46 : : 2016/03/03(木) 18:47:32












    シャキッ!!


    「なにっ!?」






    その瞬間、刃の一閃走り、オセロットの右腕が宙に浮いた。
    切り落とされた傷口から血が噴き出し、オセロットは悲鳴を上げた。









    「み、右腕があぁッ!!」






    その見えない刃は次にサネスを縛り付けているワイヤーをあっという間に切り裂き、サネスは地面に倒れた。
    次の瞬間には柱に取り付けられたC4が遅れて爆発。








    「ぐああぁあぁぁッ!!」



    爆風に吹き飛ばされ、オセロットは壁に打ち付けられた。









    「ぐう・・・・・・・・・・・・ステルス迷彩か・・・・・・この死にぞこないがぁ!」



    オセロットが罵ると、その見えない刃は姿を現した。









  46. 47 : : 2016/03/03(木) 18:48:25










    透明になれるステルス迷彩を解いて、目の前に現れた男は、まさに異形だった。










    全身が金属で出来た骨格を持つ男――――――サイボーグ忍者。


    https://i.ytimg.com/vi/yQhaTQVyaCc/maxresdefault.jpg









    忍者は手に金属すら切り裂く高周波ブレードを持ってオセロットに近づいていく。
    状況の不利を悟ったオセロットは素早く斬り落とされた右手を回収すると、逃走に転じた。










    「邪魔が入った。また会おう!」



    捨て台詞をはいたオセロットは、エレンが開けた穴から部屋の外へと走り去っていった。









  47. 48 : : 2016/03/03(木) 19:24:56









    オセロットを取り逃がしたサイボーグ忍者は、今度はエレンに向かって歩いてきた。
    銃を身構え、忍者を問いただすエレン。








    「誰だ!?」

    「名前などない。お前と同じだ。」








    無機質な声を出し、エレンの質問に答える忍者。
    すると、倒れていたサネスが顔を持ち上げ、忍者のほうを見て呟いた。









    「そ、その強化骨格は・・・・・・。」




    どうやらサネス社長はこいつについて何かを知っているらしい。
    エレンがそう思っていると、忍者が突然奇声を上げて叫び始めた。









    「アアァアァアアァアアァァァアアアァァァアアァァァァァッ!!」








    体をビクビクと震わせ、頭をガクガクと揺らして、まるで麻薬に溺れた患者のような奇声を上げる忍者。
    それから忍者は再び透明になり、足音が部屋から遠ざかっていった。








  48. 49 : : 2016/03/03(木) 21:27:15









    「話せるか?」

    「ああ・・・・・・。」





    ややあって、エレンは衰弱したサネスを介抱し始めた。
    サネスに肩を貸し、壁に寄りかからせて座らせるエレン。







    「き、君は?」

    「奴らの仲間じゃない。DARPA局長は起爆コードを知られたと言っていた。あんたの起爆コードは?」

    「ふん、成程、キッツ・・・・・・・・・・・・国防総省(ペンタゴン)の遣いか。」

    「質問に答えろ。」

    「・・・・・・・・・・・・私は、喋ってしまった。」

    「なに!?」






    敵は既に起爆コードを二つそろえたことになる。
    つまり、テロリストたちはいつでも核攻撃可能というわけだ。







    「私だって抵抗しなかったわけじゃない。ナイル・ドークの侵入(ダイブ)は躱したんだ!」

    「!! サイコ・ソルジャーのダイブを? いったいどうやって!?」

    「精神手術だ。」

    「精神手術?」

    「我々のような極秘コードを知るものは皆手術を受けている。」

    「!? オルオ局長もそうなのか!?」

    「そのはずだ。」








    ・・・・・・・・・・・・どこかがおかしい。
    話のつじつまが合わない。







    「確か局長はナイルに起爆コードを読まれたと言っていたぞ?」

    「!? 聞き違いじゃないのか?」

    「いや・・・・・・・・・・・・まあいい。なぜお前は起爆コードを喋ったんだ?」

    「拷問に耐える訓練など受けてはいないからな。」







    すると、サネスは体を震わせ始めた。
    よく見ると、サネスの右腕は折られ、爪を剥がされていた。


    ・・・・・・・・・・・・余程あの男(オセロット)に可愛がられたと見える。








  49. 50 : : 2016/03/03(木) 21:28:59









    「あいつは普通じゃない・・・・・・・・・・・・明らかに拷問を楽しんでいた。」

    「右腕を折られたしな。だがあいつも右腕を無くした。これでおあいこだ。」

    「ふん、面白い男だな。」







    エレンの皮肉にサネスは苦笑いを浮かべる。









    「それで、オルオ局長は無事か?」

    「・・・・・・・・・・・・死んだ。」

    「死んだ!? そんな・・・・・・まさか!?」








    一転して、サネスは動揺し始めた。
    その動揺の仕方は普通ではなく、明らかに何か事情を知っているそれであった。








    「約束が違うじゃないか!? くそ、キッツめ・・・・・・やはり私の口封じを!」

    「落ち着け! 俺はあんたを助け出すように言われただけだ!」

    「・・・・・・。」

    「DARPA局長も俺が殺したわけじゃない・・・・・・・・・・・・心臓発作のようだった。」

    「心臓発作だと・・・・・・馬鹿な!?」

    「とにかく、これで起爆コードは奴らの手にわたってしまった。」







    エレンが吐き捨てるように言うと、サネスもエレンに同調した。








    「連中は完全にイカれている。あいつらなら核の発射をためらうことはないだろう。」

    「だろうな・・・・・・奴らの目的は一体なんだ?」

    「さあな・・・・・・・・・・・・だが、我々武器屋が必要としているように、奴らも戦争の火種を欲しているのかもしれない。」








    サネスの言い分も一応尤もらしい理由だと思う。
    もし奴らがそれほどまでの戦闘狂であるとするならの話ではあるが。








  50. 51 : : 2016/03/03(木) 21:30:20








    「いずれにしても手をこまねいてみている訳には行かねえ。そうだ、お前PALキーを持っていると局長から聞いた。今も持っているのか?」

    「いや、ここにはない。」

    「!! まさか・・・・・・敵の手に渡ったのか!?」

    「いや、女に渡した。」

    「女?」

    「一緒に独房に入れられた兵士だ。」

    「ああ・・・・・・・・・・・・あいつか。」







    黒髪のいいケツした女性。
    おっと、そんなことを考えている場合じゃなかったな。







    「当日演習に合流したばかりの新兵らしい。蜂起への参加を断って捕まったと聞いた。」

    「!!」






    俺はその話を、事前にリヴァイ大佐から聞いていた。


    拉致同然にここへと連れてこられ、俺はこの作戦を遂行することになったのであるが、大佐もまた、身内を人質に取られて作戦への参加を強制されていた。
    新人なのに次世代特殊部隊へと編入させられ、シャドーモセス島へと送られたと・・・・・・・・・・・・。







    「となると・・・・・・・・・・・・あの女が大佐の姪だったのか。」

    「鍵は彼女が持っている。脱獄したと聞いたが無事だろうか?」

    「きっと大丈夫だ。新米だがしたたかだよ、あの女は。それに、いいケツしてるし・・・・・・。」

    「は?」

    「い、いや・・・・・・何でもない。だが、何で脱獄のことを?」

    「無線機で連絡を取り合っていたんだ。ここに縛られるまではな。」

    「そうか・・・・・・・・・・・・周波数は?」

    「よし、教えよう。周波数は・・・・・・・・・・・・――――――

















    ・・・・・・・・・・・・スマン、ど忘れした。」

    「はぁ!?」

    「そうだ! このゲームのパッケージの裏に周波数が書いてあるはずだ!」

    「突然メタいことを言うなッ!」







    エレンは呆れながらメタルギアソリッドのパッケージを取り出し、女の無線機の周波数を確認した。









  51. 52 : : 2016/03/03(木) 21:31:20









    「ところで、鍵が手に入らなかった場合、核発射を止める手立てはあるのか?」

    「そうだな・・・・・・・・・・・・うちの社員(アームズテック)のアルミン・アルレルトという男を探してみろ。」

    「アルミン・アルレルト・・・・・・・・・・・・誰だ、そいつは?」

    「メタルギア・プロジェクトの開発チーフ、優秀な技術者だ。少々、変わり者だがな・・・・・・。あいつなら発射を食い止める手立てを考えつくかもしれん。」

    「方法を思いつかなければ?」

    「破壊するしかない・・・・・・・・・・・・アルミンなら破壊方法も知っているはずだ。」

    「その男はどこに?」

    「恐らく核弾頭保存棟のどこかに軟禁されているだろう。ここから北にある。奴の仕事場はそこだった。」

    「分かった・・・・・・・・・・・・。」










    どうやら、俺は二人のキーマンを探さなくてはならないらしい。



    リヴァイ大佐の姪・・・・・・・・・・・・ミカサ・アッカーマン。
    メタルギアREXの開発チーフ・・・・・・・・・・・・アルミン・アルレルト。








    「しかし、なぜメタルギアなんだ? 核の脅威は20世紀に終わったはずだ。」

    「いや・・・・・・核の脅威は消えていない。むしろ以前よりリアリティを増している。」








    サネスは、核の脅威について、延々と語りだした。








  52. 53 : : 2016/03/03(木) 21:32:10









    「あんた、どこでもいいが、核貯蔵施設を見たことがあるか?」

    「いや。」






    「広くもない地下貯蔵庫に、核廃棄物を入れた容器が山積みになっている。核物質には有効な処理法も利用法もないからな。」

    「ただ放り込むしかないということか。」

    「うむ。しかもその管理はずさんを極める。多くの貯蔵容器が腐食し、廃液が漏れ出していた。」

    「酷いな。」






    「それだけじゃない。年に何キロかのMAF(マフ)も発生している。」

    MAF(マフ)?」

    「核物質不明量のことだ。年に何キロかの核物質が行方不明になっている――――――核物質の闇取引が横行している証拠だ。さらに冷戦の終結以来、特にロシアの核技術者は職にあぶれ、行き場を失っている。
    分かるか・・・・・・核兵器製造に必要な技術者と核物質。どちらも簡単に手に入るということなのだよ。どんな小国でも、核武装が可能な時代になったのだ。」

    「他の核大国はどうなんだ?」

    「ロシアも中国も依然として核抑止を継続している。核廃止など不可能だ。だからこそ、抑止理論を保つには、圧倒的な兵器が必要なのだ。」









    「だから・・・・・・・・・・・・メタルギアが必要だったというわけか。」









  53. 54 : : 2016/03/03(木) 21:34:43








    「そうだ・・・・・・平和という幻想に基づく軍縮、折からの不況で我々の業界は大きな打撃を被った。」

    「大手兵器企業の買収、合併・・・・・・・・・・・・よく聞く話だな。」





    「次期主力戦闘機計画の入札にも失敗したわが社にとって、メタルギア・システムは生き残りをかけた切り札だった。その為に隠密計画(ブラック・プロジェクト)として開発を進めていたのだが・・・・・・。」

    隠密計画(ブラック・プロジェクト)?」

    「そうだ。国防総省(ペンタゴン)影の予算(ブラック・バシェット)による隠密計画(ブラック・プロジェクト)だ。」






    「癒着か・・・・・・。」

    「人聞きが悪いな、軍産複合体といってくれ。今回の演習の結果で、正式採用が決められるはずだったのだがな・・・・・・。」







    「ふん、お前の会社がどうなろうと、俺の知ったことじゃない。」

    「ふん、お前のような兵隊に我々の苦悩など分かるまい。ほら、これが目的なんだろ?」







    そう言うとサネスは懐から、小さなディスクを取り出した。







    「これは?」

    「光ディスクだ――――――ここに全てが入っている。ハードディスクは銃弾でクラッシュした。データはもうこの中にしか残っていない。」








    それは、メタルギアの模擬核弾頭発射実験のデータを収めたディスクであった。



    「私はあの拷問マニア(オセロット)からこれを守り切った。奴らはこのディスクの存在にまだ気が付いていない。このことをキッツに・・・・・・あんたのボスにちゃんと報告しておいてくれ。」









    喋り終えると、サネスは疲れた様子でため息をついた。









  54. 55 : : 2016/03/03(木) 21:35:39









    「もう一つ聞きたい。あの忍者についてだ。」

    「あれか・・・・・・・・・・・・あれは、FOXHOUNDの暗部だ。」

    「暗部?」







    「実験体―――――――ゲノム兵士のな。」






    「知ってるのか?」

    「私に聞くより、FOXHOUNDのメディカル・スタッフだったドクター、ペトラ・ハンターに聞いてみたらどうだ?」

    「ペトラに?」

    「とにかく、奴らを止めなくてはならない。アレが公になればわが社も私も・・・・・・終わりだ。」

    「メタルギアは既存技術じゃないのか?」

    「それ自体はな。だが・・・・・・・・・・・・うぐッ!!」







    突然、サネスが苦しみ始めた。
    まるで、さっき死んだ、オルオ局長のように。







    「お、おい! しっかりしろ!?」

    「貴様・・・・・・何かしたな!? まさか例の・・・・・・・・・・・・国防総省(ペンタゴン)の役人どもめ・・・・・・そうか、そう言うことか!!」

    「どういうことなんだ!?」

    「奴らは・・・・・・お前を・・・・・・利用して・・・・・・・・・・・・・・・・・・」








    そのまま、サネスは頭を垂れて、そのまま息絶えた。









    「何でだ・・・・・・・・・・・・。」








  55. 56 : : 2016/03/03(木) 21:36:23








    エレンはすぐさま、大佐に通信を入れた。







    「大佐、聞こえるか? こいつも死んだぞ?」

    『・・・・・・分からないな。』

    「いいか・・・・・・・・・・・・俺に隠し事をするな。」






    すると、横からペトラが口を挟んできた。







    『心臓発作のように見えるけど。』

    「心臓発作!? 毒物かなんかじゃないのか!?」

    『・・・・・・確かに、大量に投与すれば心臓発作を起こす毒物はあるわ―――――塩酸カリウムとかジゴキシンとか・・・・・・。でもそれは検死をしてみなければ分からない。』

    「くそが・・・・・・。」






    エレンが毒づくと、再びリヴァイがしゃべりかけてきた。







    『エレン・・・・・・ミカサと協力してくれ。』

    「あの女は信用できるのか?」

    『俺よりは信用できるだろう。』

    「ちっ。」






    思わずエレンは舌打ちをした。
    大佐とのやり取りを聞いていたミーナが、気まずそうにエレンに話しかける。






    『エレン、そこには妨害電波が出ているわ。私たちのようなバースト通信なら大丈夫だけど、通常通信は出来ないわ。そのエリアから出てからミカサと連絡を取ってみて。』

    「・・・・・・・・・・・・分かった。それからペトラ、お前に聞きたいことがある。」

    『何かしら?』







    「さっきの忍者は何だ? FOXHOUNDの隊員か?」

    『知らないわ。』

    「心当たりはないんだな?」

    『ええ、うちにあんな隊員はいない・・・・・・。』

    「そうか・・・・・・。」







    エレンは通信を切り、それからタバコを咥えた。
    イライラが頂点に達していたから。




    煙をくゆらせ、何とか冷静になろうとするエレン。











    この時エレンは、この事件の裏に、何か巨大な陰謀があることを確信していた。










  56. 57 : : 2016/03/03(木) 21:40:55
    長くなってしまいそうなので、一旦ここで区切りたいと思います。


    スター・ウォーズシリーズやロード・オブ・ザ・リングシリーズのように、いくつかに区切って書いていきたいと思いますので、よろしくお願い致します<m(__)m>
  57. 58 : : 2016/03/04(金) 14:35:20
    お疲れ様!!

    続きも期待してるよ
  58. 59 : : 2016/03/04(金) 16:56:03
    >>58
    コメント&お気に入り登録ありがとうございます!
    頑張ります!

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hymki8il

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