この作品は執筆を終了しています。
アルミン「いつだって僕は……」
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- 1 : 2016/01/16(土) 17:29:22 :
- どうも、ミツミです。
今回の話はアルミン視点からのものです。
単行本14巻あたりから17巻くらいまでのネタバレを含みます。
苦手な方はブラウザバックをおすすめします。
進撃、これからどうなるのでしょうかね、とても気になります。
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- 2 : 2016/01/16(土) 17:47:25 :
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- 3 : 2016/01/16(土) 17:47:55 :
- ───────いったい、どれ程の争いがあったんだろう。
あの日、エレンと夢見た外の世界。
炎の水や氷の大地、砂の雪原、そして海。
それらを見るという夢はいつのまにか、エレンとミカサ、僕ら3人の夢となっていた。
それなのに。
それなのに僕らは、巨人の再来によって大きく運命を変えられてしまった。
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- 5 : 2016/01/16(土) 17:59:25 :
- ただ純粋に外の世界を夢見ていただけの僕らから、あいつらは沢山のものを奪っていった。
思えば、もうあの頃のような平穏な日常や純粋な想いというものは、僕らの中に面影すら残っていないのではないか。
現に今。
僕は殺人にまで手を染めてしまった。
ジャンを救うため、追っ手を避けるため。
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- 6 : 2016/01/16(土) 18:13:35 :
- ひどく廃れた馬小屋で、リヴァイ兵長との会話。
「どうしたアルミン、こんな汚ねぇ馬小屋じゃ飯なんぞ食えねぇか?」
「いえ」
あの時僕は初めて人を殺してしまった、その罪悪感や自分への嫌悪感に苛まれていた。
「僕が殺した人はきっと優しい人だったんだろうな……、僕なんかよりずっと人間らしい人だった」
ジャンもジャンで、自分のせいで僕がこうなってしまって、己自身を責めていたのかもしれない。
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- 7 : 2016/01/16(土) 18:38:28 :
- 「僕はすぐに引き金を引けたのに、僕は……」
「アルミン。お前の手はもう汚れちまったんだ、以前のお前には戻れねぇよ」
「……!なぜそんな事を……」
ミカサがすぐさま横槍をいれたが、リヴァイ兵長は続ける。
「新しい自分を受け入れろ。もしお前の手が綺麗なまんまだったらな、今ここにジャンはいないだろ。お前が引き金をすぐに引けたのは、仲間が殺されそうになったからだ。お前は聡い……」
その言葉に僕は、少し救われた気がした。
ジャンも僕と同じ気持ちを感じたのだろう。
自らの失敗を反省の言葉にしていた──────。
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- 8 : 2016/01/16(土) 19:00:49 :
- まぁ結局、僕は黒く染まってしまったわけだ。
いつまでたっても姑息な考えと知恵でしか、役に立てない。
何だか悲しいや。
こんな事に苛立つ心の奥で、何らかのせいにしているんだ。
ねぇ、僕はうまく笑えているかい?
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- 10 : 2016/01/16(土) 19:31:27 :
- ──────────日の出を背に、僕らは壁上に腰掛けていた。
「こんな早朝に叩き起こされて、避難訓練だって言われりゃ……今日暴動が起こったって不思議じゃないな。しかも王政が兵団に乗っ取られた直後ときてる」
コニーが街を見下ろしながら言った。
「サシャ?まだ何も食べてないみたいだけど……」
「えぇ……食欲が無くて……」
ミカサとサシャの会話に、その場にいた全員が驚く。
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- 11 : 2016/01/16(土) 19:45:00 :
- 「本当か……!?大丈夫かよお前……」
「あぁ何だろうな、さっきまで散々人を殺しまくってたせいかもな」
「え!?」
「色々あったんだよ……あんだけ色々あってもまだ、この1日が終わらねぇなんて」
そうか、エレンはずっと捕まっていたから知らないんだ。
ジャンの言葉に驚くのも無理はない。
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- 12 : 2016/01/16(土) 19:46:00 :
- 「ここさえ凌げば先が見えてきそうなのに……しくじりゃ、あの巨人とこの壁ん中で人類強制参加型地獄の鬼ごっこだ。あの王様がバカやんなきゃこんな事にはよぉ……」
「それ、私のせいなの」
「!ヒストリア……お前その格好」
ヒストリアは立体機動装置をつけていた。
リヴァイ兵長が歩いてきて、ヒストリアに話しかける。
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- 13 : 2016/01/16(土) 19:47:21 :
- 「お前は戦闘に参加出来ない。安全な場所で待機だと命令されたはずだ。そりゃ何のつもりだ?」
「自分の運命に決着をつけに来ました」
「……あ?」
「逃げるか戦うか……選べといったのはリヴァイ兵士長、あなたです」
「……あぁクソ、時間がねぇ、来るぞ」
朝日を浴びながら、炎と煙を纏ったロッドの巨人はすぐそこまで迫ってきていた。
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- 14 : 2016/01/16(土) 19:53:18 :
- 駐屯兵団の集中砲撃が始まる。
とてつもない爆音。
しかしながら。
ロッドの巨人には全然効いていないようだ。
「エルヴィン、持ってきたよー!ありったけの火薬とロープとネット、まだ組み立てなきゃいけない」
ハンジさんが持ってきた火薬をロープで縛りネットで包んで、巨人の口に投げ入れてうなじごと、爆発させる作戦だ。
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- 15 : 2016/01/16(土) 20:05:53 :
- 作業を始めようとしながら、ヒストリアの方を見ると彼女は団長と話していた。
「勝手な話だがヒストリア……ここを凌いだあかつきには、君にはこの壁の世界を治める女王となってもらう。当然、こんな前線にいてもらっては困る」
「私には疑問です。民衆とは……名ばかりの王になびくほど、純朴なのでしょうか?」
その言葉を聞きながら僕は、必死に火薬をロープで縛っていた。
ヒストリアは強くなった。
自分の考えをはっきり言い、自らの意思で行動するようになった。
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- 16 : 2016/01/16(土) 20:16:13 :
- 「……その事で私に考えがあります。自分の果たすべき使命を、自分で見つけたのです。そのために今ここにいます。」
それ以降の彼女の言葉は、再び始まった砲撃の音で聞こえなくなる。
エレンは自分の手を見つめて、なにか考え込んでいた。
「なぁ」
「ん?」
「この街の子供達はまるで、あの日のオレ達みたいだな……」
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- 17 : 2016/01/16(土) 20:23:39 :
- 僕は振り返り、エレンを見る。
「あぁ。まさか今日あの壁よりでかい巨人が襲ってくるとは思っていないなら、まさしくあの日の僕達と同じ光景を見ることになるだろうね」
そう、あの日と同じく。
僕らのように恐怖におののき、いずれは大切なものを無くすことになるのだ。
「でも……あの日と違うのは壁の上に巨人を迎え撃つ兵士がいて、それが僕らってことだ」
僕の言葉を聞いて、エレンはかたまってしまった。
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- 18 : 2016/01/16(土) 20:31:45 :
- 「エレン?止まっている暇はない、手を動かして」
ミカサがそう言った瞬間、いきなりエレンは自分の顔を思い切り殴りつけた。
「え!?」
「ちょっとエレン!?」
何をやってるんだ、エレンは。
二回も自分のことを殴った。
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- 19 : 2016/01/16(土) 20:32:10 :
- 「傷を作ったの?まだ早いよ」
「イヤ、どうしようもねぇクソガキをぶん殴っただけなんだけど……死んでたらいいな……」
が、その時。
砲撃のものなのか、巨人のものなのか分からないが大量の煙がこちらに向かってきた。
「クソッまずいな、風向きが変わった」
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- 20 : 2016/01/16(土) 20:34:20 :
- 「遅かったか……」
団長の言葉とほぼ同時に、僕らは水を被る。
高温の蒸気から身を守るためだ。
「いつでも行けます!!」
「今だ!攻撃開始!!」
再びの団長の言葉と攻撃開始の信煙弾を合図に、僕はロッドの巨人が壁上に手をついている所へ火薬付きの荷台を走らせた。
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- 21 : 2016/01/16(土) 20:42:05 :
- 勢いよく走っていったそれは、爆発する。
それと同時に、ロッドの巨人の体勢が崩れる。
「よし!体勢が崩れた!」
そこへ巨人化したエレンが、大量の火薬をネットで包んだものを巨人の口へと投げ入れた。
ロッドの巨人はその巨体を散り散りに姿を消す。
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- 22 : 2016/01/16(土) 20:52:02 :
- 「総員!立体機動でとどめを刺せ!」
巨人の肉塊は大量にあり、どれが本体なのかは分からない。
しかし。
ヒストリアが切ったものがそうだったのだ。
瞬間、大きな爆発が起きる。
その爆発と閃光は、僕らの勝利を意味していた────。
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- 23 : 2016/01/16(土) 20:55:49 :
- 数日後。
ヒストリアは女王に即位した。
民衆は自らの目で彼女があの巨人を倒すのを見たことで、彼女を真の王だと認めた。
そして今……。
「待てよ、本当にやるのかヒストリア?」
「何よ……エ、エレンだってやっちまえって言ってたじゃない」
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- 24 : 2016/01/16(土) 21:04:01 :
- 「ありゃーリーブス会長の遺言っていうか、最後の冗談だろ?別に恨んでねぇならやめとけよ」
「こうでもしてないと女王なんて務まらないよ」
「いいぞヒストリアその調子だ」
やめるんだジャン。
煽ってどうするんだ、リヴァイ兵長を殴ろうとしてるんだぞ。
やばいよ……。
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- 25 : 2016/01/16(土) 21:04:50 :
- と、一行はついにリヴァイ兵長の前までやって来てしまった。
一行に緊張が走る。
「あああああ!!」
やってしまった、殴ってしまった。
「うおおおおっ!!」
本当にやってしまった。
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- 26 : 2016/01/16(土) 21:08:17 :
- 「ハハハハハどうだー私は女王様だぞー!?文句あれば────」
ヒストリアは腕を上げて、してやったり顔をしている。
「ふふ……お前ら、ありがとうな」
「……!?」
あのリヴァイ兵長が笑っていた。
僕らは唖然として、立ち尽くすことしか出来なかった……。
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- 27 : 2016/01/16(土) 21:40:48 :
- あれから2か月後。
「なんか……」
「うん」
子供をしかるヒストリアを見ながら、ジャンが言う。
「思ってた女王と違うなぁ……。王冠かぶったのが2か月前か。今じゃ孤児院の院長の方が板についてる」
「実質この壁を統治してるのは兵団だから……。お飾りの王政は隠しようがないんだけど、ヒストリアが巷でなんて言われてるか知ってる?牛飼いの女神様だって。もちろん親しみを込めてね……」
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- 28 : 2016/01/16(土) 21:42:29 :
- ──────この2か月で内政は大きく変わった。
旧体制の粛清により、得たものは大きかった。
エレンが得た硬質化の能力が、対巨人兵器を誕生させる。
僕らも変わった。
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- 29 : 2016/01/16(土) 21:44:15 :
- 「……じゃあ俺先に行くな」
「え〜明日は調整日なんだからゆっくりすればいいのに」
「あぁ、だから明日は俺の村に帰ろうと思って……」
コニーは、母親が巨人になってしまった。
その真相は分かっていないため、コニーは必死に追求している。
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- 30 : 2016/01/16(土) 21:49:33 :
- 「コニーのお母さんを元に戻す方法……決して無いわけじゃないんですよね?」
「うん……これから巨人の解明が進んでいけばいつかは」
「……悪夢か」
エレンが呟いた。
「え?」
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- 31 : 2016/01/16(土) 21:51:37 :
- 「ユミルが壁の外の巨人だった頃は悪夢みたいだったって言ってた話だ。色々あってうやむやになってたけど、オレ達が戦ってる敵は何なんだろうな。つまり巨人ってのは、悪夢にうなされ続ける人間……ってことなのか?オレも一時はそんな巨人になってたはずなんだがな、ちっとも思い出せねぇよ……あるのはオレに喰われる親父から見た……」
「エレン。まだパンとスープが残ってるでしょ?おしゃべりは食べ終わってからにしなさい」
「あぁ、ゴメンなミカサ」
エレンはミカサに何の感情もこもっていない返事をした。
ミカサもミカサでなにか考えがあったのだろうか、珍しくエレンの話を遮った。
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- 32 : 2016/01/16(土) 21:57:06 :
- ─────いやまて、ちがう。悪夢だけじゃない。
「悪夢だけじゃないよ。きっと、壁のむこうにあるものは……」
大きな陰謀だ。
いずれ僕らはそれと出会うことになるだろう。
もちろん、僕らが夢見たものもあると思う。
だけどその前に必ず僕らは出会う。
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- 33 : 2016/01/16(土) 21:57:40 :
- ベルトルトやライナー、アニに命令した奴がいる。
それが人類なのか、知性を持った巨人なのかは分からない。
それでも、僕らは進まなければならない。
本当の真実を知るまで。
どれ程の争いがあったって関係ない、僕はエレンとミカサについて行こう。
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- 34 : 2016/01/16(土) 21:58:59 :
- ─────いつだって僕はそうさ、頭を使うことしか能がない。
こんな考えが浮かんだけどまだ言うべきではない。
だからいつも笑って隠すんだ、僕は。
ねぇ、僕はうまく笑えているかい?
終わり
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- 35 : 2016/01/16(土) 22:08:29 :
- あとがき
いや、久しぶりに書きました。
アルミン、前半は暗いですが後半からはしっかりお仕事してくれて良かったです。
最近進撃見てて思うんですよね。
最後の方は17巻の最後なのですが、途中できられたエレンの台詞。
とても気になります。
アルミンもジャンが、セリフかぶせてきてしまって結局何があるのか分からずじまいでした。
なので、想像で書きました。
アルミンはきっといち早く賢い頭で考えてて、それでも時期じゃなければ笑ってごまかしてるんだろうなとおもいます。
あぁ、18巻早く読みたいです。
お小遣い足りないですね、はい。
雑談になりかけてきた所で、そろそろ終わろうと思います。
閲覧、ありがとうございました!
ここでコメントしていただいた方への返信をさせていただきます。
>>4 スプリンガー改さん
期待ありがとうございました。また見ていただけると嬉しいです。
>>9 直方正典さん
期待ありがとうございました。楽しんでいただけましたか?
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