この作品は執筆を終了しています。
時を越えても エレアニ
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- 1 : 2015/12/28(月) 23:10:57 :
- こんにちは、マグです
今回は、結構ストーリーを考えて作りました。
今までの自分の作品の中の最高傑作を目指していきたいと思います。
今回もエレアニです、そしてエレチーだと思います。しかも座標にオリジナルの力が備わっています。
今回はコメントの制限をさせて頂きます、なので皆様からの評価はお気に入り登録、執筆終了後のコメント、グループでもコメントで受けたいと思います。
グループはこちらにコメントお願いします↓
http://www.ssnote.net/groups/1641/archives/12
あとネタバレあります。
それでも良いという神様はどうぞ…
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- 2 : 2015/12/28(月) 23:22:54 :
20××年
動物や昆虫達の鳴き声も聞こえず、静まり返った森の中へと入っていくエレン・イェーガーとグリシャ・イェーガー。
離れた場所にはビルや商店街などの明かりが見える。
「父さん…こんなところで何するの?」
まだ10歳になって間もないエレンは、父親に震える声で尋ねた。
「…行けば分かる」
グリシャは月の光を背に受けながらそう言うと、左手に持ったカバンを強く握りしめた。
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- 3 : 2015/12/28(月) 23:31:56 :
森の中へ入ってから数分後、ビルや商店街などの明かりを視界に捉えることが出来なくなっていた。
「ここでいいだろう」
不意にグリシャはそう言うと、そっと足を止めた。
「…」
これから何が始まるのか、エレンはそんな疑問を胸に抱いていた。
その時、グリシャは左手に持っていたカバンの中から注射器を取り出すと、左目に涙を流しながら言った。
「私はダメだった…あの狭い壁の中を救うことができなかった…」
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- 4 : 2015/12/28(月) 23:40:09 :
「と、父さん…?」
父親が何を言っているのか、何故涙を流しているのか。頭の中が疑問で埋め尽くされたエレンは、ただただ震えることしかできなかった。
「…もうすでに"扉"は開いてある」
「そしてお前はこの力を使い、人類を……」
グリシャは注射器に何かを入れ終えると、エレンの左手を強く掴んだ。
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- 5 : 2015/12/28(月) 23:44:20 :
「や、やめてよ父さん!!」
父親の手を振りほどこうと必死に抵抗するが、大人の男性に勝てるわけもなく、エレンの左手に注射針が徐々に刺さっていく。
「エレン、頼んだぞ…」
注射を終え、グリシャが注射針を抜き取るのとほぼ同時に、エレンの体が輝き出した。
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- 6 : 2015/12/28(月) 23:48:45 :
「うぁぁあああああああぁぁあああぁぁぁああああ!!!!!」
エレンの絶叫とともに出現した巨体。まるでおとぎ話に出てくる巨人のような生き物は、グリシャの右手を強く握りしめると、口まで運び捕食した。
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- 7 : 2015/12/28(月) 23:48:58 :
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- 8 : 2015/12/29(火) 00:01:53 :
数ヵ月後
シガンシナ町唯一の小学校、シガンシナ小学校では、ほぼ毎日同じ会話が繰り広げられていた。
「先生~!何で僕たちのクラスには化け物がいるんですか~?」
愉快な声を発したのは、まだ10歳になって間もない少年だ。
「そうだよ先生~!こいつの腕硬くなるんだよ!!」
「腕だけじゃないよ!この前足も硬くなってたよ~」
「それにこいつ叩くと煙出るんだよ!!」
「え~?ホントに?」
次々と言葉を発している少年少女達は、皆エレンのクラスメイトだ。
「もぉ、皆静かにしてちょうだいね、これ以上先生に負担をかけないでね」
年齢は40を越えていると思われる女教師は、そそくさとクラスを後にした。
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- 9 : 2015/12/29(火) 00:13:47 :
「…なんなんだよ」
エレンはクラスメイトに聞こえる最低限の声の大きさで言った。
負けず嫌いなエレンの性格は、この場で涙を流すことを許してはくれなかった。
「なーに?怖い~」
「化け物が喋った!!」
さらにエレンのクラスメイト達は捲し立てるように話続ける。
「なんなんだよ!!」
机を叩きながらクラス中に響く大きな声でそう言うと、エレンは教室を飛び出し、学校の外へと走って行った。
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- 10 : 2015/12/29(火) 00:20:07 :
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エレンが学校外へ走って行った直後、先ほどクラスを出て行った教師がクラスの中へ飛び込んできた。
「エレン君はいる!?」
教師は何やら慌てたように言葉発した。
「あいつならさっき学校の外に走って行ったよ~」
一人の児童がそう答えると、教師は「こんなときにっ!!」と言いながら教卓を右足で蹴り飛ばした。
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- 11 : 2015/12/29(火) 00:22:43 :
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- 12 : 2015/12/29(火) 00:29:44 :
エレンは自分の家へ向かって歩いていた。
途中、雨が降ってきてしまったが、特に気にせず歩いている。
(さっさと家に帰ろう…)
そうすれば、きっと母親が優しく迎え入れてくれるだろう、今のエレンには母親という存在しか頼ることができなかった。
「…」
周りからは、雨音と車の走行音が鳴り響いていたが、今のエレンには何も聞こえていなかった。
もしかしたら信号も無視してしまっていたかもしれない。
「…着いた」
エレンは家に着くと、すぐに扉を開いた。
「ただいま…」
エレンの言葉に返事をする者は誰もいなかった。
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- 13 : 2015/12/29(火) 00:38:45 :
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エレンは誰もいないことを不思議に思いながらも、とりあえず体を拭こうと洗面所へ向かった。
その時、エレンの家の電話が鳴り響いた。
「…電話か」
エレンは体を拭くのを後回しにして電話に出た、電話をかけてきたのは担任の教師だ。
「エレン君!?よかった、やっと繋がった…」
「先生…?」
教師の慌て様に嫌な予感を感じ、エレンの背中に一筋の汗が流れた。
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- 14 : 2015/12/29(火) 00:45:55 :
「エレン君…落ち着いて聞いてほしいの…」
「…」
「お母さんが…先ほど交通事故で亡くなったそうよ」
「え…」
教師のその言葉を聞いた途端、エレンの思考はストップした。
「今、病院に遺体があるそうだから行っt…プープープー…」
エレンは受話器を戻すと、止まったままの思考を必死に動かした。
「母さん…」
教室では流れなかった涙が流れた。
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- 15 : 2015/12/29(火) 00:50:13 :
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エレンの父親は、エレンの記憶が正しければ、エレンが食ったこととなる。
エレンは、自分が父親を食ったことをハッキリと、鮮明に覚えているのだ。
エレンは父親から親戚などはいないと言われ続けてきた、つまり、今のエレンは天涯孤独の身であるのだ。
「父さん…母さん…」
「なんで…なんで…」
10歳の少年は、とてつもない悲しみに襲われていた。
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- 16 : 2015/12/29(火) 00:52:03 :
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- 17 : 2015/12/29(火) 00:57:51 :
カルラ・イェーガーの葬儀は、僅かなカルラの友人達によって進められ、無事に終了した。
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- 18 : 2015/12/29(火) 00:57:59 :
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- 19 : 2015/12/29(火) 01:08:04 :
エレンは、児童養護施設に入ることを拒み、今は両親の保険金で暮らしている。
「ふぅ…これでよしっと」
エレンは今、グリシャの部屋の掃除をしている。
カルラとグリシャの相部屋は死亡当時のまま残されているが、さすがに薬品だらけのこの部屋は掃除をする決断をしたのだ。
「ん…?」
エレンは自分の知らない扉を発見した。
実は、エレンはこの部屋に入ったことはない、父親に禁止されていたためだ。
「…」
ギィィっという音ともに扉をゆっくりと開けたエレンは電気のスイッチを探すが見つからず、机の上にあった懐中電灯を手に持った。
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- 20 : 2015/12/29(火) 01:21:58 :
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辺り一面どこを見ても蜘蛛の巣だらけの古い階段、一目見れば長い間掃除されていないことが分かる。
「これ…どこに繋がってんだ?」
暗い地下へと繋がるその階段は、エレンが一歩、また一歩と降りるごとに、ギィィ、という悲鳴を上げた。
懐中電灯の小さな光を頼りに少しずつ、確実に先に進んだ。
階段が終わり、地下室には扉が存在した。
扉へたどり着くまでの時間は十秒とかからなかったが、エレンには何分間にも感じられた。
「ふぅ…」
と、息を吐き出し呼吸を整えると、ゆっくりとドアノブに手を掛けた。
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- 21 : 2015/12/29(火) 01:30:29 :
- 長い間誰にも開けられていなかったのであろうその扉を、エレンは精一杯の力を込めて開けた。
ドアが開かれ差し込んだ光に、エレンは目を細めた。
「光…?」
エレンは光があることを不思議に思いながらも、細めた目を元に戻した。
光の発生源はすぐに見つけることができた。
エレンが立っている小さな部屋の入り口のところから、2メートルほど離れた場所にそれは存在した。
「何だ、これ」
エレンが目にしたのは自ら光を放つ扉だった。
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- 22 : 2015/12/29(火) 01:35:27 :
扉は、その存在をより主張するかの如く輝かしい光を放っている。
エレンはゆっくりとその扉へ近づいた。
「これが…父さんの言ってた"扉"なのか?」
エレンはそういうと、ドアノブの存在しない扉をそっと押した。
「…!」
先ほど開けた扉とは違い、ほとんどの力を加えずに開けることができた。
ゆっくりと開けることができた扉の向こう側には、今いる場所とほとんど変わらない暗い部屋だった。
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- 23 : 2015/12/29(火) 01:43:43 :
- 唯一の違いは上へと繋がる螺旋階段があることだけだった。
先ほど下ってきた階段よりも短い時間で上ることができた。
エレンが階段を上り到着したのは、木製のホコリっぽい小さな部屋だった。
エレンはすぐに部屋の出口を見つけると、駆け足で外に出た。
ドアを開けると日の光が差し込んできた、どうやら小屋のような場所だったらしい。
小屋の外には、エレンが今まで見たことのない光景が広がっていた。
見たことのない作りをした家々や、道を馬車が行き交い、更に360度全てがとても高い壁に囲まれていた。
「…え?何ここ…?」
エレンは目を見開いたまま、しばらくの間動くことができなかった。
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- 24 : 2015/12/29(火) 11:30:48 :
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- 25 : 2015/12/29(火) 11:37:54 :
エレンは、しばらくの間街を散策した。
しかし、壁や馬車、家の作りくらいしか違いが見つからなかったのだ。
「すみません…ここはどこですか?」
住民と思わしき男性にそう聞くと、男性は大きく笑いながら答えた。
「なにって、シガンシナ区に決まってんだろ?」
シガンシナ、それはエレンが住んでいる町の名前とまったく同じだった。
偶然かどうかわ分からなかったが、今はこの男性に情報を聞くことを優先した。
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- 26 : 2015/12/29(火) 11:46:06 :
「…あの壁は何のためにあるんですか?」
エレンがそう質問すると、男性は真剣な顔になるとこう言った。
「そういえば…昔まったくおめぇと同じ質問をしてきた奴がいたっけな…」
「まぁ、そいつはおめぇと違って大人だったな、壁の外から来たとかも言ってたっけ…まったくおかしな話だ」
何かを懐かしむように男性はそう言うと、申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
「悪いな、もう店閉める準備しねぇと」
男性はそう言うと、自分の店であろう場所へ走って行った。
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- 27 : 2015/12/29(火) 11:56:28 :
男性との話を終えたエレンは空を見上げると、日が沈もうとしていることが分かった。
「そろそろ帰るか…」
エレンはボソッと小さな声でそう言うと、自分が出てきた小屋に向かうため歩き始めた
その瞬間、落雷のような音とともに地震のそうな地響きが辺り一面に広がった。
「なんだ!?」
エレンは何かの爆発だと思ったが、音と揺れの発生源であろう壁の方を見ると、巨大な手をが壁を掴んでいた。
その手は皮膚がなく、真っ赤な手だった。
壁の外からゆっくりと出てきた顔も、手と同じように皮膚がなく真っ赤な色をしていた。
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- 28 : 2015/12/29(火) 12:16:20 :
その巨人は大きく足を振りかぶると、シガンシナ区の門を蹴り破った。
とてつもない風とともに壁の一部だった岩がシガンシナ区へ降り注ぐ。
そして、一つの巨大な岩がエレン目掛けて飛んできた。
「…!」
エレンは手のひらから人間体のまま硬化能力により2mほどの刀を作ると、飛んできた岩に向かって思いっきり振りかぶった。
「うぉおおおおおおお!!」
気合いを乗せた声とともにエレンは飛んでくる岩を切り裂いた。
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- 29 : 2015/12/29(火) 14:27:59 :
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「あ、危ねぇ…」
エレンは硬化能力を解除すると、住民の流れに乗ってシガンシナ区を脱出した。
その間、小屋へ逃げ込むことも考えたエレンだったが、あの世界では唯一の味方だった母さんも父さん死んでしまった。
その世界に戻る意味はなくなり、エレンはこの世界に止まる決意を固めた。
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- 30 : 2015/12/29(火) 14:30:52 :
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- 31 : 2015/12/29(火) 14:59:35 :
あれから五年後、訓練兵団卒団式
かがり火の小さな明かりが、教官の顔を照らしている。
「君たちには、三つの選択肢がある」
「壁の強化に勤め、各街を守る駐屯兵団。犠牲を覚悟して壁外へ調査に行く調査兵団。王のもとで民を統制、秩序を守る憲兵団。」
「無論、憲兵団を志願できるのは先ほど発表した成績上位10名だけだ!!」
ミカサを先頭に、エレン、ライナー、ベルトルト、アニ、ジャン、マルコ、コニー、サシャ、クリスタの順番で横に並んでいる。
エレンの目には、生きる希望が宿っている、訓練兵団の三年間の間にアニ・レオンハートという彼女が出来たからだ。
訓練兵団での三年間はまた別の機会に。
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- 32 : 2015/12/29(火) 14:59:49 :
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- 33 : 2015/12/29(火) 15:30:56 :
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「上官の食料庫から、お肉盗ってきました…」
50mを越す壁の上で、第104期訓練兵団のサシャ・ブラウスは、ハムのような肉を懐から取り出しながらそう言った。
「サシャ、お前独房にぶちこまれたいのか!?」
「本当にバカなんだな…」
「バカってこえぇ…」
エレンを含む104期訓練兵団の訓練兵は次々にサシャに向かって言葉を発した。
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- 34 : 2015/12/29(火) 15:52:07 :
「大丈夫ですよ~、土地を奪還すればまた、牛も羊も飼えますから」
サシャは盗んだ肉を箱の中へ入れながら言った。
「俺もその肉食う!!」
「当然、私もだからね!!」
エレンには訓練兵達の考えが変わったことと同時に、巨人への対抗意識も高まったように感じた。
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- 35 : 2015/12/29(火) 16:17:55 :
「…」
突如、エレン達の目の前に雷が落ち、超大型巨人が出現した。
「なっ…!!」
超大型巨人が発した熱蒸気によって壁上にいた訓練兵が次々と壁から飛び降りた。
「くそっ…!!なんだ!?」
エレン達は訓練兵としての三年間で身につけた立体機動を行使し、壁の側面に止まった。
「あ、危なかった…」
と、エレンが口にした瞬間、104期訓練兵の一人のサムエルのアンカーが壁から抜き取れた。
「サムエル!!」
104期訓練兵の一人、コニー・スプリンガーが呼びかけるが返事はない、頭をどこかに打ってしまったようだ。
「…サシャ!?」
サシャはサムエルの後を追うように壁を蹴りながら落下すると、サムエルの足へアンカーを打ち込み、サムエルの落下を食い止めた。
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- 36 : 2015/12/29(火) 16:44:31 :
「まただ…また壁が壊された…!!」
コニーは震えた声で言った。
(こいつ、門を蹴り破ったのは偶然なのか…? まさかこいつも、俺と同じ…)
「…」
エレンは少し考えた後、他の104期のメンバーに指示を出した。
「全員立体機動を行使し報告へ急げ!!こいつは俺が殺る!!」
そう指示すると、エレンは立体機動で改めて壁上へ上がった。
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- 37 : 2015/12/29(火) 17:16:26 :
「…せっかく出てきてもらって悪いけどちょっと顔を見せてくれねぇか?」
「…お前の中身の顔だよ!!」
エレンはそう叫ぶと超大型巨人の脇をくぐり抜けうなじにアンカーを突き刺した。
エレンの第104期訓練兵団の総合順位が二位なのは、座学が足を引っ張ったからだ。
馬術や格闘術などは、ミカサとはあまり差はなかったものの、立体機動術に関してはエレンに迫る者はいなかった。
「ふっ!!」
エレンは超大型巨人に向かってアンカーの巻き取りを開始した。
それと同時に、エレンは硬化能力を行使し刃の周りを結晶で覆った。
これにより、エレンの刃の切れ味は格段に上昇した。
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- 38 : 2015/12/29(火) 17:41:46 :
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途中激しい熱蒸気に襲われたが、エレンは気にする様子も見せずに突っ込んだ。
「いっけぇぇええええええぇぇえ!!」
ブンッ、という空気を切る音が響いた、エレンの刃に手応えは感じられない。
人間体に戻ったとしてもこの蒸気の中後を追いかけるのは不可能だ。
「…ちっ」
エレンは息切れはしていないものの、僅かな疲労感を感じていた。
「エレン、君も巨人なんだね…」
そう言葉を発した長身の男は、蒸気に紛れて立体機動でその場を離れた。
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- 39 : 2015/12/29(火) 17:41:54 :
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- 40 : 2015/12/29(火) 17:51:53 :
それからはウォール・ローゼの内門が突破されることもなく、トロスト区奪還作戦が決行されることもなかった。
そして、エレンを含めた104期訓練兵団の中の数名の調査兵団への入団が決定した。
エレンは調査兵団へ、アニは憲兵団へ入団した。
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- 41 : 2015/12/29(火) 17:52:00 :
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- 42 : 2015/12/29(火) 20:11:30 :
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ウォールローゼ南区の門前で、およそ100人ほどの調査兵が馬に股がり出発の時を待った。
「これから人類はまた一歩前進する!!お前達の活躍を見せてくれ!!」
熟練の兵士らしき人物がそう言うと、「おぉー!!」という気合いのこもった声が響いた。
「開門開始!!」
少しずつ門が開いていくにつれて兵士達の顔も厳しくなる。
完全に扉が開くと同時に、エルヴィンが大きな声で叫んだ。
「進めぇえええ!!!」
その声とともに、調査兵達は一斉にカラネス区を出発した。
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- 43 : 2015/12/29(火) 20:53:58 :
「…!!左前方10m級接近!!」
第4分隊長のハンジ・ゾエは巨人の接近を知らせた。
ついに始まった壁外調査は、開始早々巨人が隊列に接近していた。
「そのお腹の中に何が入っているのか大変気になります…が、援護班に任せます!!」
援護班が隊列に接近している巨人と応戦している。
隊列の中にいる新兵のなかには悲鳴を漏らす者もいた。
「…進めぇえええ!!進めぇえええ!!」
熟練の兵士の声は、隊列全体に響き渡った。
その頃壁上では調査兵の服を身に着け、立体機動を装備している女がいた。
「エレン…」
愛する人をこの壁の中から助けるべく、女は調査兵団の後を追った。
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- 44 : 2015/12/29(火) 20:54:05 :
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- 45 : 2015/12/29(火) 21:17:43 :
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時は壁外調査の3日前、ウォール・ローゼのとある廃墟。
そこには鎧の巨人の正体のライナー・ブラウンと、超大型巨人の正体のベルトルト・フーバーと、エレンの彼女のアニ・レオンハートの姿があった。
「こんなところに呼び出して何のつもりなんだい?」
アニは少し不機嫌そうに言うと、ライナーはより真剣な表情で言った。
「エレンを次の壁外調査のときにさらってきてほしい」
ライナーもアニとエレンが恋人同士なのは知っている、しかし、エレンを壁内においておくのは危険なのだ。
「…理由を言いな、何でエレンを…」
アニの瞳を見れば激しく動揺しているのが分かった。
「エレンは…巨人だったんだ…」
先ほどまで黙っていたベルトルトが口にした言葉に、アニは驚きを隠すことができなかった。
「は…?エレンが巨人なんて、そんなわけ…!」
アニがこんなに動揺しているのは長い付き合いの二人も初めて見た姿だった。
「…うそ」
アニは、この世界の残酷差を改めて痛感させられた。
「この壁内にエレンをおいておくのは危険なんだ…分かってくれ、アニ」
ライナーはアニの説得に入るが、アニは納得する様子を見せない。
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- 46 : 2015/12/29(火) 21:26:44 :
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「もしもエレンをさらったとしても、エレンは故郷で殺されるでしょ?」
アニの言葉に対して返事をする者はいなかった、アニの言っていることは正しいからだ。
「別に故郷へ連れて行かなくても良い」
そうライナーが言葉にすると、アニの体は少しだけ反応を見せた。
「俺達の目的はエレンを壁内から外へ出すことだ、故郷へ連れて行かなくても良いんだ」
「故郷の皆には内緒にしてやるから…」
「アニ、エレンをさらって来てくれ…」
アニはライナーとベルトルトの方へ顔を向けると、しばらく考えた素振りを見せてからそっと頷いた。
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- 47 : 2015/12/29(火) 21:34:16 :
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- 48 : 2015/12/29(火) 21:47:52 :
長距離索敵陣形を展開させてから数分後
元104期訓練兵のアルミン・アルレルトはある違和感に気づいていた。
「変だな…陣形を展開してからまだ数分しか経っていないのに陣形が乱れてる…」
アルミンがいる右翼側には、元104期訓練兵のライナー、ジャン、エレンがいる。
ライナーとジャンはアルミンの近くだが、エレンだけは実力を認められ中央付近の荷馬車護衛班の近くを任されていた。
「…!?」
突如、アルミンの後方からとてつもないスピードで迫っている巨人がいた。
「うわぁ!!」
その巨人が真横を通り抜ける瞬間、アルミンはバランスを崩して馬から落下した。
「っ!!」
激痛を感じながらも、巨人と応戦するため刃を抜き取った。
しかし、その巨人はアルミンを見向きもしないまま中央へと迫って行った。
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- 49 : 2015/12/29(火) 21:49:36 :
「殺さない…のか?」
アルミンは一気に体の力が抜けると地面に座り込んだ。
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- 50 : 2015/12/29(火) 21:56:59 :
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「右翼側の兵士を無視して中央に14mほどの女型の巨人が接近中!!以上の情報を左へ回してください!!」
先輩の兵士が息を切らしながらそう言うと、エレンは情報を伝えるため左の班、リヴァイ班へ向かった。
エレンはリヴァイ班への伝達を終え、持ち場に戻ろうとしたその瞬間、右翼側からとてつもないスピードで迫って来る巨人が目に入った。
「あれが…女型の巨人…?」
リヴァイも右翼側から迫って来る女型の巨人に気がづいた。
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- 51 : 2015/12/29(火) 22:05:45 :
「ちっ…こんなとこにまで来やがった…」
「エルド!!班の指揮はお前に任せる!!ペトラ!!エルヴィンに俺が女型と交戦していることを伝えろ!!」
リヴァイはそう言うと馬を迫り来る女型の方へと走らせた。
「…ふっ!!」
エレンは、あの女型の巨人が人間である場合のことを考え、リヴァイの後を全速力で追った。
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- 52 : 2015/12/29(火) 22:13:08 :
「おいお前!!持ち場に戻れ!!」
リヴァイはそうエレンに叫ぶが、エレンはただただ女型を見据えている。
「ちっ…」
舌打ちをしたあとに、リヴァイは女型が近くまで来たことを確認するとアンカーを射出した。
ガスを最小限の量で使用し、女型のうなじまで回り込んだ。
「ふっ!!」
リヴァイはとてつもない力を込めて刃を振るったが、女型のうなじが硬化したため無傷だった。
「なんだ…これは、刃が通らねぇ…」
リヴァイは地面に降り立つと、女型の巨人を見上げた。
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- 53 : 2015/12/29(火) 22:25:33 :
それと同時にエレンも女型のうなじに回り込んだ。
「無駄だ!!よせ!!」
リヴァイは大きな声でエレンへ忠告したが、エレンは聞く耳を持たない。
「ふっ!!」
エレンは、先ほどリヴァイがやったことと同じことを繰り返した、唯一の違いはエレンの持つ刃が結晶に覆われていることだ。
バキーンッ!!と大きな音とともにエレンの刃と女型のうなじの硬化が割れた。
「もう一回!!」
エレンは一旦離れ体制を立て直すと、今度は中身の人間を取り出すために浅く削いだ。
「…!!」
やはり女型の巨人の中に人が存在した、エレンからはフードを被っていたため誰か判断することはできなかった。
「ふぅ…」
エレンが中の人間を取り出そうとした瞬間、フードを被った女型の中身は立体機動を使い逃げ出そうとした。
「ふっ!!」
その時、リヴァイが女型の中身が逃げ出すのをお腹に蹴りを入れることで阻止した。
「おい、そこのクソガキ…これはどういうことだ?」
おそらくエレンに対して言っているのだろうその言葉をエレンは無視し、中身を失った女型の巨人の体を見上げた。
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- 54 : 2015/12/29(火) 22:30:01 :
その時、エルヴィンを先頭に陣形全体がリヴァイ達の元へたどり着いた。
リヴァイが直ぐ様エルヴィンに状況を説明した。
エルヴィンはリヴァイの話を聞き終えると、エレンに対して「君には後で話を聞こう」と言い放った。
ゆっくりとエルヴィンはリヴァイが拘束した女型の中身に歩み寄ると、フードを外した。
女型の中身の顔を見た瞬間エレンは目を見開き、驚きを隠せなかった。
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- 55 : 2015/12/29(火) 22:38:28 :
「アニ…?」
自分の愛する人の名前を口にしながら、エレンは必死にこの状況を理解するために頭をまわした。
その途中、アニは両目に涙を浮かべながらエレンに「ごめんね…」と呟いた。
「てめぇ…知り合いか?」
リヴァイの問いに答えている余裕は今のエレンにはなかった。
アニはエレンに向かって顔を向けると、大粒の涙を流しながら微笑んだ。
その瞬間、アニが眩い光に包まれた。
「なんだ…!?」
リヴァイが直ぐ様危険を察知し、アニから距離をとった。
アニの体は少しずつ結晶に包まれていった。
「アニ…アニィ!!」
自分は何てことをしてしまったんだろう、そんな罪悪感に悩まされながらも必死に愛する人の名前を呼んだ。
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- 56 : 2015/12/29(火) 22:44:46 :
アニの体は数秒という早さで結晶に包まれた。
分厚い結晶だ、長い時間をかけて割れやすくなってからでないとエレンもこの結晶を破壊することは出来ないだろう。
そのことが頭の中では分かっていても、エレンの体は動くことを止めなかった。
「くそっ!!」
エレンは硬化能力で結晶を刀のような形で作り出すと、アニの結晶目掛けて振りかぶろうとした。
しかしその時、エルヴィンが大きな声で兵士に指示を出した。
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- 57 : 2015/12/29(火) 22:53:32 :
「新兵はこの結晶に包まれている少女を地下深くへ!!残りの兵士はこの少年を取り押さえろ!!」
「はっ!!」
エルヴィンの指示通りに大勢の兵士が一斉にエレンへ襲いかかる。
この数の調査兵を相手に勝てる確率はゼロに等しい、それに加え勝てたとしてもアニはもう運び終わっている可能性が高い。
それに今のエレンの実力では、あの結晶を割ることは不可能だ。
「…くそっ!!」
エレンは自分の手を噛み、巨人化すると南へ走って調査兵達から逃げ出した。
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- 58 : 2015/12/29(火) 22:53:49 :
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- 59 : 2015/12/29(火) 22:56:27 :
シガンシナ壁上。
五年振りに見るシガンシナ区の風景は、より一層エレンの心を沈ませた。
日は一時間ほど前に沈み、辺り一面真っ暗闇だ。
まるでエレンの心の中を再現しているようだった。
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- 60 : 2015/12/29(火) 23:02:09 :
「アニ…」
後悔してももう遅い、そんなことは分かっている、しかし後悔せずにはいられなかった。
「ごめん…ごめんな…」
エレンは両目に涙を浮かべながら月を見据えた。
「月は、どの世界でも同じ何だな…」
エレンはそう口にした途端、あることを思い出した。
「俺が出てきた小屋って…まだあるのかな…」
エレンはシガンシナ区へ降り立つと、五年前の記憶を頼りに自分が出てきた小屋を探した。
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- 61 : 2015/12/29(火) 23:06:10 :
直ぐに見つけることが出来たその小屋は、五年前と何も変わらないまま存在した。
「…」
エレンは小屋の中へゆっくりと入って行った。
五年前、自分が通って来た道を進みながらこの世界での出来事を思い出す。
アニと過ごした日々。訓練兵として仲間と過ごした三年間。エレンにとって、もうこの世界はただの別世界ではなくなっていた。
この世界は、思い出で溢れかえっている。
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- 62 : 2015/12/29(火) 23:13:24 :
だからこそ、エレンはこの世界にいればいるほど辛くなる。それに、この世界にいてもアニは帰ってこない、その現実がエレンの心を暗くさせる。
螺旋階段を下り終えると、五年前と同じように自ら光る扉が存在した。
「…」
エレンはこの世界に心の中で別れを告げると、そっと光る扉を押し開けた。
階段を上ると、そこは自分の父親の部屋が五年前と変わらないまま存在した。
エレンはリモコンを手に取ると、テレビの電源をつけようとしてしまった。
「さすがに電気止まってるよな…」
そう思い直したが、エレンは何となく電源ボタンのスイッチを押した。
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- 63 : 2015/12/29(火) 23:17:26 :
すると、テレビの音が部屋中に広がった。
「は…?」
エレンは何故テレビの電源がついたのか疑問に思った。
「…」
エレンは走って家のドアを開けると外へ出た。
そこには、五年前と何も変わっていない光景が存在した。
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- 64 : 2015/12/29(火) 23:26:50 :
「な、なんで…」
エレンは母親の部屋へ向かった。
母親の持ち物だったパソコンを開き、現在の日時を確認した。
20××年 10月18日 AM 11:02
「まじかよ…」
エレンは驚きを隠せなかった。
あの世界へ行ってからまだ5分ほどしか経過していなかったのだ。
「…」
エレンは直ぐに落ち着きを取り戻し、テレビある父親の部屋へ戻ると、とある書物が床に転がっているのを発見した
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- 65 : 2015/12/29(火) 23:42:15 :
「なんだこれ…」
エレンはその書物を広いあげ、題名を読み上げた。
「人類の歴史と巨人誕生秘話…!?.」
エレンは驚きのあまり大きな声を出してしまった。
どうやらこれはこの世界の歴史について書かれているらしい
あの世界へ行った当時10歳だったエレンは、この世界の歴史は何も知らない、エレンは乱暴に本を開いた。
巨人が生まれてからの人類行動が細かく記録されていた。
「調査兵団の存在…超大型巨人の出現…女型の巨人の出現…」
全ての記録が、エレンの知る記録だった。
「俺は…過去に行ってたのか!?」
驚きの事実を知ったエレンは、慌てて続きを読んだ。
「アニ・レオンハートは第57回壁外調査の際結晶に身を包んだまま、現在も調査兵団本部跡に保管してある…はぁ!?」
エレンは驚きのあまり本をを地面に落としてしまった。
エレンは落とした本を拾い上げようとせずに、調査兵団本部跡へ向かった。
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- 66 : 2015/12/29(火) 23:42:40 :
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- 67 : 2015/12/29(火) 23:48:56 :
調査兵団本部とは、エレンにとってはほんの少しの時間だったが、仲間達との大切な思い出溢れる場所だ。
調査兵団本部跡までの距離はシガンシナからは遠く、出てくる時に掴んだ財布の中のお金を使いバスで移動した。
道を人に尋ねながら進んで行った。
信号にイラつき、馬で行きたい衝動に駆られながらも何とか調査兵団本部跡に到着した。
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- 68 : 2015/12/29(火) 23:56:32 :
「着いた…」
調査兵団本部跡という看板が建てられているだけで、その他は壁の破片と地下へ繋がる階段らしきものしかなかった。
調査兵団本部跡を目前として、エレンは立ち止まっていた。
周りには誰一人として観光客のような人はいない、あまり人気のない場所なのだろう。
「行くか…」
エレンは心を落ち着かせると、アニのいる場所を目指して歩き始めた。
階段を下り、天井に取り付けられている明かりを頼りに一歩一歩確実に進んだ。
エレンの家の地下へ繋がる階段よりも遥かに長かった。
やっとの思いで階段を下りきり、エレンは少し大きめの地下室へたどり着いた。
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- 70 : 2015/12/30(水) 00:10:35 :
その地下室には、結晶の中で静かに眠りに着くアニの姿があった。
「アニ…」
エレンは小さな声で愛する人の名前を呼んだ。
エレンは、そっと結晶に手を触れた。
「これなら壊せそうだな…」
エレンはそう言うと、硬化能力を使い自ら生み出した結晶を刀の形に変化させて大きく振りかぶると、アニに当たらないように注意しながら結晶刀を降り下ろした。
ガラスが割れるような音とともにアニを包み込む結晶が割れた。
結晶が小さな破片となって崩れ落ちていくなか、自由に身となったアニはエレンに倒れこんだ。
「エ、エレン…?.」
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- 71 : 2015/12/30(水) 00:36:34 :
寝起きのような目でアニは口を開いた。
「アニ…アニ…!!」
一度は諦めた愛する人との再開を叶える事ができたエレンは、アニを強く抱きしめながら何度も何度も名前を呼んだ。
アニは、エレンに対して様々な疑問を抱いていたが、今はエレンとの再開を喜びあった。
「エレン…ありがとう」
アニもエレンの背中へ腕を回すと、両目に涙を流して言った。
「俺は…時を越えても、お前と恋人でいたいんだよ…」
エレンは改めて自分の気持ちを言葉に表すと、少し恥ずかしい気持ちになった。
「私もだよ…エレン」
長い長い時間を越えて、二人の絆はより一層強まったのを二人は感じた。
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- 72 : 2015/12/30(水) 00:37:18 :
時を越えても ~完~
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- 73 : 2015/12/30(水) 00:41:25 :
- お疲れ様です。
あと、受験頑張ってね。
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- 74 : 2015/12/30(水) 00:43:22 :
- 終わったぁあぁぁぁあああああ!!
2日で完成させてやりましたよ!?w(一応僕受験生ですw)
自分なりには良い感じに終われたと思います(自己満足)
あ、あと、もしかしたら訓練兵団の三年間とかエレンとアニの後日談みたいなの書きます。
では、また別の機会に~会いましょう!!(^^)/バイバイ
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- 75 : 2015/12/30(水) 00:44:38 :
- >>73
受験頑張ります!!あとコメント感謝です!!
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- 76 : 2015/12/30(水) 00:45:32 :
あと誤字などありましたら指摘してくださると助かります。
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- 77 : 2016/03/01(火) 05:52:29 :
- excellent!!(素晴らしい!!)
かな、人生ぃぃ!!!
ハレルゥゥゥゥヤァァァ!!!!!
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