このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
ユミル「もし時間を戻せるなら…どこに戻りたい?」
-
- 1 : 2015/12/28(月) 16:04:58 :
-
シガンシナ区 壁上
ベルトルト「もう……いやだ」
ベルトルト(ウドガルド城の出来事から…僕の人生は散々だ)
ベルトルト(沢山の巨人に狙われて…今度は沢山の人間からも狙われて…)
ベルトルト(やっと故郷に帰れるのに…)
ベルトルト「はあ…」
ベルトルト(僕の気持ちは一向に晴れない)
ユミル「どうした…ベルトルさん?」
ベルトルト「ユミル…」
ベルトルト(彼女には…本当に申し訳ない決断をさせてしまった)
ベルトルト「その…君にいうのもアレだけど、これから僕はどうなるのかなって思ってさ…」
ユミル「………」
ベルトルト「なんか、その……自分はこれからどうすればいいのかも何も分からない」
ユミル「………」
ベルトルト「………」
ユミル「………」
ベルトルト(…確かに何も言えないよね。だってユミルはこれからどうすることも出来なくなる身なのだから…)
ベルトルト「ごめん…無神経だった」
ユミル「なあ、ベルトルさん…」
ベルトル「なに?」
ユミル「もし時間を戻せるなら…どこに戻りたい?」
-
- 2 : 2015/12/28(月) 16:08:53 :
ベルトルト「え…?」
ユミル「………」
ベルトルト「えっと…え?」
ユミル「…戻りたいとは思うか?」
ベルトルト「うん、そりゃまあ…」
ユミル「じゃあ思い描いてみろ…目を閉じて、ほら」
ベルトルト「う、うん…」
ベルトルト(戻りたい時…戻りたい時…)
ベルトルト「あ…」
ベルトルト(ユミルの手が目を閉じた僕のまぶたを覆う)
ベルトルト(それと同時に意識がどんどん遠ざかっていく)
ユミル「行ってらっしゃい、ベルトルさん…」
-
- 3 : 2015/12/28(月) 16:14:38 :
━━━━ベルトルト
ベルトルト(なんだ…?)
━━━━起きろ、
ベルトルト「ん……?」
ライナー「やっと目をさましたか」
ベルトルト「ライナー…?」
ライナー「どうした?変な顔して」
ベルトルト(ここは…宿舎?)
コニー「やっと起きたか!!」
ベルトルト「コニー…!?」
コニー「どうした!?」
ベルトルト「い、いや…」
ベルトルト(ここは…いや、これはどうなっているんだ!?)
ジャン「すごい汗だな…」
ベルトルト(僕はさっきまでシガンシナ区の壁上にいたはず…)
マルコ「早く行かないとサシャにご飯を全部とられちゃうよ」
ベルトルト「!!!」
ジャン「それは大変だな、急ぐぞ」
ベルトルト(マルコが…どうして!?)
ユミル『もし時間を戻せるなら…どこに戻りたい?』
ベルトルト(そうだ…これは過去に戻ったんだ!!)
ベルトルト(どうしてかは分からないけど……とにかく僕は今訓練兵…朝食を食べに行かないと)
ベルトルト「ごめん、すぐに準備をするよ」
-
- 4 : 2015/12/28(月) 16:22:01 :
食堂
アルミン「あれ、遅かったねみんな」
ベルトルト「!!」
ライナー「ベルトルトがなかなか起きなくてな」
ベルトルト(アルミン…こいつのせいで僕はエレンを離してしまったんだ…!!)
アルミン「どうしたの?僕の顔になんかついてるかな?」
ベルトルト「いや、なにも…」
アルミン「そっか」
ベルトルト(とりあえず今は抑えよう…)
エレン「今日の訓練は対人格闘か…!」
ベルトルト(エレン…!)
ミカサ「そう、だからしっかり食べなきゃだめ」
ベルトルト(エレンが座標…エレンさえ捉えてしまえば…)
ベルトルト「!!」
ベルトルト(そうだ……どうして僕はここに戻ったんだ?)
ベルトルト(戻る過去など多くあるはずなのに…)
ベルトルト(そうだ…そうだ!!)
ベルトルト(今この時間軸でエレンを捉える…)
ベルトルト(それが僕の使命だ……!!)
-
- 5 : 2015/12/28(月) 16:27:51 :
-
エレン「どうしたベルトルト…じっと見つめてよ」
ベルトルト「!!」
ジャン「もしかしてアレか…?ほら、お前ライナーともいつも一緒にいるしよ」ニヤニヤ
ベルトルト「な…!!」
ミカサ「な…!!」
ライナー「おいおい…ベルトルトをあんまりからかうなよ」
ジャン「わりぃわりぃ…」
エレン「なんだったんだ…………あ、アニ!!」
ベルトルト「!!」
アニ「…なに?」
ベルトルト(アニ…!!)
エレン「今日の対人格闘も頼むな!」
アニ「はあ…仕方ないね」
アニ「!!」
ライナー「な…」
ジャン「お…」
ベルトルト「アニ……」
ベルトルト(人というのは時に突発的に奇怪な行動をとってしまう)
ベルトルト(僕は気がついたらアニを抱きしめていた)
-
- 6 : 2015/12/28(月) 16:37:51 :
アニ「な、なな…//」
ベルトルト「会いたかった……」
ユミル「へえ…これはどういうことだろうな」
クリスタ「一体どういう関係なの…?」
コニー「あいつらが話してるところみたことあったか?」
サシャ「あんまりないですね…」
アニ「〜〜〜//」
アニ「いつまでそうしてるんだ!!」ゲシッ
ベルトルト「いたっ」
ベルトルト(し、しまった……僕は一体何をしてるんだ!?)
ベルトルト(今この段階で僕とアニが同郷だと知っている人はライナーしかいないのに!!)
ヒソヒソ…
ベルトルト(変な誤解が生まれている…)
ベルトルト「えっと、その……ごめん」
ベルトルト「寝ぼけて妹と間違えちゃった」
わははは
ベルトルト(よかった…笑いですんだようだ)
ベルトルト(だけど…無駄に目立ってしまったな)
ライナー「ベルトルト…」
ベルトルト(ああ、やってしまった……そんなに心配そうな目をむけないでくれ)
ライナー「そこまでしてホモ疑惑を取り除きたかったのか?」ププ
ベルトルト「な……」
ジャン「ははは!なんだそんなことかよ……くくっ」
コニー「あーびっくりしたぜ!」
ベルトルト「あ……」
ベルトルト(やっぱりライナーは頼れる兄貴だ…)
ベルトルト(だからこそ、必ず戦士のままでいてもらおう…)
-
- 7 : 2015/12/28(月) 16:47:22 :
対人格闘
ベルトルト(さて…まずはどうやってエレンを連れ去るか考えないといけないな)
ベルトルト(まだ僕達に対する疑いがない…つまり連れ去ろうと思えばいつでも連れ去ることができる)
ベルトルト(それに彼はまだ自分が巨人化できることを知らない…!)
「ベルトルト?」
ベルトルト「え…?」
ミーナ「大丈夫?ぼーっとしてるけど」
ベルトルト「ああ…ごめんね」
ミーナ「対人格闘は確かに点数が低いけど…立派な兵士になりたいからちゃんとやるよ!」
ベルトルト「うん…」
ミーナ「はあ!」
ベルトルト「はっ」
ベルトルト(ミーナ…生きてる……)
ミーナ「なかなか強いね…」
ベルトルト「………」
ミーナ「ううん…みんな強い、**は」
ベルトルト(彼女は俯き囁く)
ベルトルト「え…?」
ミーナ「だって、私の顔も……」
ベルトルト(そしてその顔をゆっくりとあげる…)
ミーナ「こんなんになっちゃったもんね…」
-
- 8 : 2015/12/28(月) 16:50:48 :
ベルトルト「!!?」
ミーナ「きゃあ!!」ドン
ベルトルト「はあ…はあ…」
ベルトルト(今顔が……何かに抉られたように"なかった")
ミーナ「いてて…」
ベルトルト「あ…」
ベルトルト(もう一度彼女が顔を上げた時…そこにはいつもの彼女がいた)
ミーナ「いきなり本気を出すからびっくりしちゃった」
ベルトルト「その…ごめん」
ミーナ「許す!」
そこまでー!
ミーナ「あ、終わったみたい…戻ろっか」
ベルトルト「……うん」
ベルトルト(一体…なんだったんだ?)
-
- 9 : 2015/12/28(月) 16:57:58 :
ベルトルト(その時から…いやもしかしたらもっと前から、僕は狂っていった)
フランツ「ベルトルト!一緒に組もうぜ!」
フランツ『ベルトルト…俺を殺したんだ、それくらいできるよな』
ハンナ「今日ね、フランツと一緒に街へでかけたの」
ハンナ『もう彼とは共に過ごすことができない……そう、巨人に喰われたから』
ミリウス「あ〜あ、休日は何しよっかな」
ミリウス『もう何もできない身体になってしまったけどな』
ベルトルト「はあ…はあ……」
ベルトルト(あれから僕は…死んだ同期に会うと耳から入ってくる言葉とは別の言葉が溢れてくるようになった)
ベルトルト(彼らの表情は常に"無")
ベルトルト(笑っている時も…泣いている時も、そこに感情は感じられなかった)
-
- 10 : 2015/12/28(月) 17:04:43 :
マルコ「ベルトルト…大丈夫かい?」
ベルトルト「………っ」ビクッ
マルコ「そんなに驚いて…どうしたの?」
マルコ『僕はもっと驚かされたけどね…』
ベルトルト「ごめん…体調が悪くて」
マルコ「大丈夫かい?君は健康体じゃないか!』
ベルトルト「え…?」
マルコ『だってほら!こんなにすべてのパーツがそろっている!』
マルコ『みてみて、ほら、僕!!』
マルコ『右半分ない!』
マルコ『立体起動も使えないし、ご飯も食べれないし、話せない!」
マルコ「もう立ってもいられないんだ…ははははは!!!」
ベルトルト「!!」
ベルトルト(その瞬間……マルコの身体の右半分が引きちぎれる)
マルコ「痛い、痛い、痛いよ……」
ベルトルト「うわ…あ……あ」
マルコ「憎いよ、憎いよ、憎いよ……」
ベルトルト「うわぁぁああ!!」
ベルトルト(僕はそのまま……走り去っていった)
-
- 11 : 2015/12/28(月) 17:09:08 :
食堂
ライナー「おい、ベルトルト…大丈夫か?」
ベルトルト「………」
ライナー「すっかり顔が青ざめてるぞ」
ミーナ「まるで死体みたい!ふふ!!」
コニー「ご飯もぜんぜん食べてねーじゃねえか」
フランツ「もったいないな…僕にはもう食べる胃さえないのに!!ははは!!」
ベルトルト「…………」
ベルトルト(あの日…マルコと話してから、彼らはもう生きた身体じゃなくなってしまった)
ベルトルト(恐らく彼らが巨人に食べられた姿…そのままで動いている)
ライナー「しかたない…部屋に連れて行くな」
ジャン「ああ、頼んだ」
マルコ「逝ってらっしゃい」
-
- 12 : 2015/12/28(月) 17:14:01 :
宿舎 男子部屋
ライナー「大丈夫か?」
ベルトルト「すごく…気分が悪い」
ライナー「そうだな…」
ベルトルト「もう…ここにいたくない」
ライナー「……今度の休日、また街にでもいくか?」
ベルトルト「街なんてとんでとない!!」
ベルトルト「街にはあいつらみたいなのがうじゃうじゃいるんだ!」
ベルトルト「足りない身体で歩き回る人間が……」
ライナー「………」
ベルトルト「………!」
ベルトルト「えっと……ごめん」
ベルトルト(そんな悲しそうな顔をしないでよ、ライナー)
ライナー「その……お前もだいぶ抱え込んでいたんだな」
ベルトルト(そんなこと言わないでよ、ライナー)
ライナー「気付いてやれなくて…すまなかった」
-
- 13 : 2015/12/28(月) 17:16:06 :
ベルトルト(ライナーが食堂に戻った後…僕は一人で考えた)
ベルトルト(僕は…何のために過去に戻ったんだっけ)
ベルトルト(ユミルは一体…僕にどうしてほしいんだ?)
ベルトルト(僕に何をみてほしいんだ?)
ベルトルト(問いかけ続けているうちに……僕は深い眠りに落ちた)
-
- 14 : 2015/12/28(月) 17:22:45 :
ベルトルト(熱い……)
ベルトルト(頭が痛い……)
ベルトルト(気持ち悪い……)
ベルトルト「……?」
ベルトルト(硬い……ここはベットの上じゃない?)
ベルトルト(それになんか臭い……これは…)
ベルトルト「血の臭い……?」
ベルトルト(目を覚ますと…そこは食堂)
ベルトルト「ひっ……!!」
ベルトルト(目の前には血の池)
ベルトルト(周囲を見渡せば……そこには死体の山)
ベルトルト「一体誰が……」
ベルトルト(そんなの聞くまでもない)
ベルトルト(だって僕の手には血にまみれたブレードがあるのだから)
-
- 15 : 2015/12/28(月) 17:27:17 :
ベルトルト「そうだ……あまりにもあいつらがしつこく僕を責めるから」
ベルトルト「黙らせてやろう、そう思っただけなんだ」
ベルトルト(あたりを見回す、生きている者はどこにもいない)
ベルトルト(目を閉じて耳を澄ます……聞こえるのは風の音だけ)
ベルトルト(周りには…誰もいない)
ベルトルト「ライナー?」
ベルトルト「ライナー、いるかい?」
ベルトルト(死体の中に彼はいない)
ベルトルト「ねえ、どこかにいるんだよね」
ベルトルト「ライナー?」
ベルトルト「……………」
ベルトルト(誰も、いない)
-
- 16 : 2015/12/28(月) 17:32:47 :
ベルトルト「これからどうしよっか…」
ベルトルト「何をすればいいんだろ」
ベルトルト(あれ、この疑問前にもどこかで…)
ベルトルト「誰か教えてよ」
ベルトルト「ねえ、誰か」
ベルトルト(虚ろな目をこちらに向ける者はいても…僕の質問に答えてくれるものはいない)
ベルトルト「僕は自分の意思がないからさ、誰かに決めてもらわないと動けないんだ」
ベルトルト「誰かに従わないと動けないんだよ」
ベルトルト(本当にそうだっけ?)
ベルトルト「だから誰か僕に教えてくれよ」
ベルトルト(なんかなかったっけ、僕の意思で動いたこと…)
ベルトルト『この…悪魔の末裔が!!』
ベルトルト「!!」
ベルトルト(そうだ…)
ベルトルト「アニ!!」
-
- 17 : 2015/12/28(月) 17:37:26 :
-
ベルトルト「どこだ…どこにいる!?」
ベルトルト(僕は食堂を出て彼女を捜す)
ベルトルト「泣いてるかもしれない…!」
ベルトルト(こんなに身体が自然と動いたことってあったっけ)
ベルトルト「確か…北!北のユトピア区で拷問を…」
ベルトルト(扉を開ける)
ベルトルト「!!」
ベルトルト(そこには…アニがいた)
ベルトルト(透明な結晶の中で眠ったアニが)
-
- 18 : 2015/12/28(月) 17:41:12 :
ベルトルト「そっか……ここにいたんだね」
アニ「…………」
ベルトルト「よかった…拷問をうけてるわけじゃ、ないんだね」
アニ「…………」
ベルトルト「だけど…ずっとここにいるのは寂しいよね」
アニ「…………」
ベルトルト「わかった…必ず助けに行くよ」
ベルトルト「不思議だよね…僕は君のためだと思うと」
ベルトルト「自分の意思で動けるんだ」
-
- 19 : 2015/12/28(月) 17:45:58 :
ベルトルト「………ん」パチ
ユミル「おかえり」
ベルトルト「あれ、ここは…」
ベルトルト(外…僕がいるのは壁の上)
ベルトルト「夢…だったのか」
ユミル「自分のやるべきこと…みつかったか?」
ベルトルト「うん…」
ユミル「そりゃよかった」
ベルトルト「ありがとう」
ベルトルト「君は…本当に女神かもしれないね」
ユミル「そりゃどーも」
ベルトルト(夢の中の数日間は、本当に夢だったのだろうか?)
ベルトルト(まあ、なんでもいい)
ベルトルト(僕は彼女を助けにいこう…)
ベルトルト(そう、自分の意思で)
おしまい
-
- 21 : 2015/12/28(月) 22:37:08 :
- お疲れ様です!
原作風のSSを書くのが上手いです!
-
- 22 : 2016/02/03(水) 14:52:02 :
- お疲れ様でした!
女神が起こした奇跡のお陰でベルトルさんもやるべき事が決まって嬉しいです。
悔いのない選択を!って気持ちになれました。
すてきな作品ありがとうございます!
- 著者情報
- 「進撃の巨人」カテゴリの人気記事
- 「進撃の巨人」カテゴリの最新記事
- 「進撃の巨人」SSの交流広場
- 進撃の巨人 交流広場