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ベルトルト・フーバー誘拐事件【ベルトルト誕生日SS】

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  1. 1 : : 2015/12/23(水) 22:01:20
    こんばんは。執筆を始めさせていただきます。

    来る12月30日。ベルトルト・フーバーの誕生日を記念して、彼を主人公にした作品を描かせていただきます。

    その他の条件は、こちら↓↓↓

    * いつの間にか更新

    * 単行本第10巻程度のネタバレあり

    *読みやすさを優先し、コメントは制限させていただきます

    …以上の条件でも構わない、という方は、ぜひよろしくお願いします。

    更新は明日以降になります。ごめんなさい(涙)
  2. 2 : : 2015/12/23(水) 22:02:13
    期待
  3. 3 : : 2015/12/23(水) 22:04:34
    >>2 マルロ・ロッサムさん
    さっそくのご期待ありがとうございます!
    そして、申し訳ありませんが、この先コメントを制限させていただきます。
    こちらの編集ミスで…ごめんなさい(涙泣)
  4. 4 : : 2015/12/24(木) 21:19:41



    「…こりゃ…間違いねぇよ…」


    コニー・スプリンガーは、重々しく口を開いた。普段は楽天的な彼の表情も、今は陰を潜めている。


    「そうだ…ベルトルトは…」


    緊迫したコニーの様子に、周りの104期訓練兵たちも、そろって息を飲む。


    「ベルトルトは…何者かに、拐われちまったんだよ!」


    誰もが緊張した面持ちで顔を見合わせる中、アルミン・アルレルトは1人、口元に手を添えたまま、思案にふけっていた。



    …事の発端は、数時間前まで遡る。
  5. 5 : : 2015/12/26(土) 21:43:27
    850年。トロスト区南方。


    第104期訓練兵たちは、解散式を3日後に控え、その日は町に食料や備品の調達に駆り出されていた。


    すでに卒業試験も終わり、あとは解散式を待つばかりとなった彼らは、その足どりも自然と軽くなる。


    その上、午前中にその任務を終えた後は、午後からは非番である。


    彼らは手にいっぱいの荷物を抱えながらも、晴れやかな表情を浮かべながら歩を進めていた。


    「…午後からは何をしようかな…」


    大きな紙袋を両手に抱えながら、クリスタ・レンズは久しぶりの自由時間に、胸を踊らせる。


    「ちぇっ。休みっつっても、たった半日だろ。すぐに終わっちまうな…」


    周りの雰囲気と相反し、そう口を尖らすのは、ユミルだ。


    皆がウキウキとした表情を浮かべる中、その雰囲気を壊しかねない発言に


    「こら、ユミル」


    と、クリスタはすかさず彼女を諌める。


    「…おいおい。オレたちもあと3日経てば、一人前の兵士だ。そうなれば、そう易々と休みなんてありはしない。たとえ半日でも、今は貴重だと思うべきだぞ、ユミル」


    未だ不機嫌顔のユミルに、そうたしなめるのはライナー・ブラウン。訓練兵の中でも、立派な体格の持ち主である彼は、率先して重い荷物を一手に引き受けている。


    「…なあ、ベルトルト。お前もそう思うだろ?」


    と、ライナーは隣を歩く少年に声をかける。


    「うん…そうだね」


    ライナーと比べ、体つきは細いものの、104期の中では1番の長身である彼も、より多くの荷物を懸命に抱えている。


    ただ彼の場合、ライナーの様に率先してではなく、半ば強引に周りに押し付けられたのだが。


    性根が気弱で、心優しい彼は、皆がそれで楽が出来るなら、と、引き受けたのだった。


    「ベルトルト…大丈夫?その荷物、ちょっと多いんじゃない?」


    そう心配そうに眉を寄せるクリスタに、ベルトルト・フーバーはなんとか笑みを作り


    「ううん…大丈夫。それよりライナーの方が、たくさん持ってるし…」


    「そう…なら、いいけど」


    「無理すんなよな、ベルトルさん。解散式前にぶっ倒れてちゃ、シャレにもなんないぜ」


    そう軽口を叩くユミルに、クリスタは再び


    「こらっ、ユミル!」


    当のユミルは、もう慣れたもので、そっぽを向いてみせる。


    「あはは…」


    その様子に、ベルトルトは遠慮がちに、笑い声を上げた。


    決して輪の中心にはいないものの、ベルトルトは、同期たちと過ごすひとときを、いつの間にか安らぎの時として認識していた。


    そう。僕は、皆と共にいた。


    共に汗を流し、共に笑って、共に過ごした。


    その笑顔を、忘れる事は出来ないだろう。


    その記憶を、無かった事にするのは、もうすでに手遅れなのだろう。


    ベルトルトは、ふと、隣を歩くライナーの顔を見た。ライナーは、周りと楽しく談笑している。


    ライナー…僕は…


    僕は…僕たちは…


    1人、物思いに耽るベルトルトは、ふと、細い路地の向こうの、“それ”に目が留まった。


    立ち止まる。それを、凝視する。


    ベルトルトが立ち止まったのにも関わらず、同期たちは、彼を置いて歩き続けてゆく。


    だがベルトルトは、周りが自分を置いて行こうとするのにも気づかず、路地の向こうの“それ”を、じっと見つめていた。




  6. 6 : : 2015/12/29(火) 21:49:26
    訓練兵団に戻った104期生たちは、各々荷物を所定の場所に片付け始めた。それが終われば、今日の任務は終わる。


    「…よっこいしょっと…」


    ライナーは、そうかけ声をかけ荷物を床に下ろす。


    「よっこいしょって…ライナー、オッサンかよ」


    笑い声の主はコニー・スプリンガーだった。コニーの言葉に、自然と周りからも笑い声が上がる。


    ライナーは苦笑した。


    「おいおい。オレ、そんな事言ったか?」


    「言ってたぜ。ほら、こうやって…よっこいしょ…ってな」


    コニーは、ライナーの先ほどの様子を、少々大げさに再現してみせる。周りの笑い声がいっそう大きくなる。


    ライナーは気を悪くする様子もなく


    「ははは。こりゃ、まいったな…なあ、お前にも聞こえたか、ベルトルト…」


    ライナーは、隣に立っているであろう、ベルトルトに視線を向け…


    「…ベルトルト…?」


    だが、そこにベルトルトはいなかった。ライナーは、ぽかんとした表情のまま、コニーに顔を向ける。


    「おい、コニー。ベルトルトを知らないか?」


    コニーも首をかしげる。


    「さあ…便所にでも行ってるんじゃねえのか?」


    そうか、と、ライナーはとりあえず納得した。お互い、1日の大半行動を共にしているとはいえ、子供じゃあるまいし、いちいち便所まで共にする必要は無い。


    「それよりライナー。午後から何するか、もう決めたか?今、サシャたちと一緒に外で遊ぼうぜって話をしてるんだけどよ」


    コニーはすでに、ベルトルトの事よりも、午後からの楽しいひとときに、胸踊らせている。ライナーは、曖昧に笑みを浮かべた後


    「ああ…すまん。俺は午後から野暮用でな…」


    コニーはつまらなそうに口を尖らせ


    「ちぇっ、野暮用か。仕方ねぇな…」


    「せっかく誘ってくれたのに、すまないな」


    ライナーは、再度周りに視線を走らせる。やはり、ベルトルトの姿は無い。


    胸騒ぎがする。


    …いや、落ち着け。まだ騒ぎ立てる程の事でも無い。ライナーは、そう自分に言い聞かせた。


    本当にベルトルトは、便所に行っただけなのかもしれない。もしかしたら、1人、自室に戻っているだけかもしれない。


    そもそも…ベルトルト…あいつは、この訓練兵団に戻っているのか。


    姿を消したとしたら、いつから。


    ライナーは静かにその場に立ち尽くしながらも、胸中のざわめきが治まる事は無かった。


    そして、そんな彼の様子に、柱の陰から視線を送る者…アニ・レオンハートだった。


    彼女もまた、これから起こり得るかもしれない異変を、感じ始めていた。





  7. 7 : : 2015/12/31(木) 21:41:06
    ライナーは待った。ベルトルトが、再び自分の隣にやって来るのを。


    こんな事がかつてあっただろうか…いや、無い。幼い頃から共に過ごしてきた中で、それは始めての時間だった。


    ライナーは待った。胸騒ぎを必死に抑え、平静を装いながら。


    そして夕食の時間になっても、ベルトルトは現れなかった。


    夕食の準備が整い、食堂に集まり始めた104期生たちは、ベルトルトの失踪を知り、騒然となった。


    「おい、どういう事なんだよライナー。ベルトルトがいなくなったって…」


    訓練兵の突然の失踪。それは、あり得ない事ではなかった。厳しい訓練に、粗末な食事。この3年間、逃げ出した者は、両手で数えきれないほど存在した。


    ただ…それが今、となると、条件は異なる。解散式は目前に迫っているのだ。せっかく積み重ねてきた3年間を、今さら棒に振るような行為を、果たしてするだろうか…。


    コニーの質問に、ライナーは苦悶の表情を浮かべたまま、首を振る。


    「…いや、オレにも分からない。町へ出掛けた時は、確かに一緒にいたはずなんだが…」


    「それからベルトルト、この訓練所に戻って来たの?」


    クリスタの問いに、ライナーは再び首を振り


    「…いや…実ははっきりと記憶に無いんだ…てっきりオレに付いて来てると思ったんだが…」


    「そんなの、決まってるじゃねぇか」


    ライナーから少し離れた席から声がする。ジャン・キルシュタインが、皮肉な笑みを浮かべている。


    「解散式が終われば、オレたちはもう一人前の兵士だ。言うなれば、巨人を目の前にして、逃げる事は許されなくなる…ベルトルトは、それにビビっちまったんだよ…ま、オレは憲兵になって内地に行くから、関係ねぇけどな」


    「…おいおいジャン…ベルトルトにかぎって、それは無いと思うよ…」


    ジャンの隣に座るマルコ・ボットが、得意顔の友人に苦笑しながら続ける。


    「ベルトルトは、普段目立たないけど、すごい実力の持ち主なんだ。きっと訓練兵の中でも、10位以内は確実だと思うよ。そうすればジャンみたいに、憲兵になって内地に行く事も可能だし…今さら逃げだすなんて勿体ない事、絶対しないと思うけどな…」


    穏やかな語り口ではあるものの、その意見は正しかった。


    「…じゃあベルトルトは…どこかへ出掛けた…のか…?」


    コニーがそう言ったものの、その可能性がとてつもなく低い事も、誰もが思っていた。


    常にライナーをはじめとした同期たちと行動を共にしてきたベルトルトが、誰にも言わずに単独で行動するなど、あり得ない事だった。


    それは決して協調を重んじる性格だからではなく、彼自身も入団当初に語っていたように、彼には、自分の意志が、無いのだ。


    「だとしたら…連れ去られたのか?」


    ライナーの言葉に、皆、息を飲んだ。
  8. 8 : : 2016/01/07(木) 21:52:50
    「…連れ去られた」


    ライナーの言葉を反復するかたちで、沈黙を破ったのは、アニだった。


    「それが本当だとしたら…一体誰に…心当たりはあるのかい、ライナー」


    「いや。だが、人拐いはトロスト区はおろか、王都でも頻発している。いつどこで、誰が狙われても、おかしくないだろ」


    5年前のウォール・マリア陥落以降、巨人の襲撃はなくなり、人々は落ち着きを取り戻したかのようにみえるが、慢性的な食料不足や貧富の差は広がり、スリや強盗といった犯罪も後を絶たないのが現実だった。


    誘拐事件も頻発しており、裏では大きな組織が動いているのではないか、というウワサもある。


    「こりゃ…間違いねぇよ…そうだ…ベルトルトは何だか知らねぇ奴らに、拐われちまったんだよ!」


    そう叫ぶコニーの額からは汗が流れ、彼の中ではすでに、ベルトルトは何か大きな組織の絡む誘拐事件に巻き込まれた、というシナリオが出来上がってしまっている。


    コニーは慌てふためいた。


    「どうすりゃいいんだよ!?教官に知らせるか…それとも、憲兵か!?」


    同期のピンチにいても立っても居られず、食堂を飛び出そうとするコニーを止めたのは


    「…ちょっと待って…」


    同期の誰もが混乱に陥る中、1人静かに思案にふけていた、アルミン・アルレルトだった。


    幼少の頃から本好きで聡明な彼は、この3年間培われた座学の知識も相まって、その頭脳はもはや104期いち、とウワサされるほどだ。


    そんなアルミンの発言とあって、食堂にいる誰もが、彼に注目する。


    当のアルミンは、思いの外周りの注目を集めてしまい、戸惑っている。


    「あ、いや、その…そんな大した事じゃ、ないんだ…けど…」


    実力は申し分無いのだが、彼はまだ自分に自信が持てていなかった。


    「構わないアルミン。続けてくれ」


    ライナーの言葉に後押しされ、アルミンは周りの視線に押し潰されそうになりながらも、続ける。


    「えっと…もし、本当にベルトルトを誘拐した犯人が存在したとして…どうして僕たち104期の中から、ベルトルトを狙う必要があったのかな…」


    周りとは違う物事の捉え方に、ライナーは思わずアルミンと向き合う。


    「…そりゃどういう意味だ、アルミン」


    「…誘拐するのなら、犯人も何かしらの目的があるはずだ…たとえば、身代金とか…」


    「…はっ、それは無いだろ。誰が訓練兵相手に、金なんか要求するかよ」


    そう皮肉を込めて言い放つジャンに、周りもうなずく。


    口減らしのために入団させられた者すら存在する訓練兵から、身代金を要求しても無駄だろう。金目的に誘拐するとしたら、王都に住む貴族の子を狙うのが自然だ。


    「もし、100歩譲って僕たち訓練兵を狙ったとして…あの時、ベルトルトのそばには…クリスタもいた。もし狙うのなら、大柄な男のベルトルトよりも、小柄なクリスタを狙うんじゃないかな…」


    とても控えめな語り口ではあるものの、アルミンの発言は的を得ていた。


    そんな中、静かにアルミンに問いかけたのは、アニだった。


    普段口数が極端に少ないアニが、こうも何度も発言を繰り返すのは、入団以来初めての事かもしれない。だが、事の深刻さ故、それを疑問視する者は誰もいなかった。おそらく、アルミンでさえも。


    「それじゃあアルミン、犯人は…もし、いたらの話だけど…狙う相手がベルトルトじゃなきゃならない理由が、あるって事なのかい?」


    アニの問いかけに、アルミンは再び自信無さげに視線を落とす。


    「えっと…たぶん、そうじゃないかな。その理由が何なのか、まだ分からないけど」


    アニは目配せした。相手はライナーだった。ライナーもアニだけに視線を返した。


    ベルトルトでなければならない理由。まさか、でも、もしかしたら。


    その“もしかしたら”を知る者は、その時点では、アニとライナーだけだった。




  9. 9 : : 2016/01/12(火) 21:26:15
    もしベルトルトが連れ去られたとして、その理由とは、果たして。


    誰もがその明確な答えが出せぬなか、ライナーは決断した。


    「ベルトルトを捜しに行こう」


    「行くって…どこへだよ」


    コニーの問いに、ライナーは周りの同期たちに呼び掛けるように、言った。


    「最後にベルトルトを見た場所…また町へ出ようと思う。本人が見つからないにしても、何か手がかりが掴めるかもしれない」


    現時点で、それは的確な判断なのだろう。ライナーのいつもながらの判断力に、周りの誰もがうなずいた。


    ライナーはさらに続ける。


    「そこで、二手に分かれたい。オレと一緒に町へ出て、ベルトルトを捜す組。そして、ここに待機して、ベルトルトの帰りを待つ組」


    そこで、すっと手が挙がる。マルコだった。


    「僕はどっちの組でも構わないけど…そうやって僕ら全体で行動に移すのなら、きちんと教官に報告した方がいいんじゃないかな」


    協調性を重んじる、彼ならではの発言に、同調する者も少なくない。


    「ケッ、相変わらず優等生だな、マルコ」


    そう言ってジャンは、隣に座る友人の頭をワシャワシャと掻き乱す。


    もはや日常茶飯事となった絡みに、マルコは苦笑しながら


    「別に…そんなんじゃなくて…もう、やめてよジャン…」


    そんな中、ライナーはチラリと視線を送った。その相手はまたしてもアニだった。


    目と目で交わす、一瞬の会話。


    …今の時点で、兵団内部にベルトルトの失踪が知られるのは、まずい…。


    ライナーは言った。


    「…いや。教官には黙っていよう。まだ誘拐だの人拐いだのと、決まったわけじゃない。案外、ベルトルトのやつ、1人で町をぶらついてるだけかもしれないしな…ははは」


    ライナーは笑った。なるべく不自然にならないように。平静を装うために。


    自分たちの思惑に、誰1人勘づかれないために。


    そうだ。自分たちは、戦士なのだ。帰れなくなった故郷に帰るべく、選ばれた戦士。ベルトルトも、そして、アニも。


    ライナーは辺りを見回した。


    …大丈夫。誰も不審に思っていない。アルミンも先ほどから1人、思案に耽ったままだ。


    一刻も早く、ベルトルトを見つけ出さなければ。


    そしてライナーと共に町へ捜索に向かったのは、アニとマルコ。そして、アルミンだった。
  10. 10 : : 2016/01/13(水) 21:31:45
    ウォール・ローゼ、トロスト区の町並みは、日を追うごとに賑わいを取り戻していた。


    まばらに建ち始める大きな商店や家屋は、人類の復興と繁栄を表す象徴のように、誇らしげにそびえ建っている。


    楽しそうに笑い声を上げながら通り過ぎてゆく親子連れに視線を送りながら、マルコが口を開く。


    「トロスト区の町も、ずいぶんと賑やかになったね」


    「そうだね。5年前の巨人の襲来から、ようやく人類は復興しつつあるのかな…表面上だけかもしれないけどさ」


    と、アルミン。


    明るく陽の当たる場所では、人々が笑顔を交わしながら、行き交っている。


    しかし陽の当たる場所には必ず影ができるように、一歩路地裏に入ってみれば、両親を巨人に殺され、孤児となった子どもたちが、身を寄せ合って生きている。


    アルミン自身も、ウォール・マリア陥落後、両親と祖父を奪還作戦に駆り出され、失っている。


    それは今もなお、彼の心に暗い影を落とし続けている。


    「…ここだ」


    引率していたライナーが、歩みを止める。


    「オレの記憶が正しければ、最後にベルトルトの姿を見たのはここだ」


    周りは古い民家が建ち並び、そんな中でポツポツと、真新しい大きな建物もある。ただ、夕暮れ時である事を差し引いても、人通りは全くと言っていいほど少なかった。


    「…人目も少ないし、ここで連れ去ろうとしても、そんなに難しい事じゃあないね…」


    辺りに素早く視線を走らせながら、アニが言う。


    「…ああ。だが逆に言えば、目撃情報もそんなに期待出来ないという事だな…」


    ライナーは頭を抱えため息混じりに言う。


    「どうしよう。とりあえず、この辺りの民家を当たってみようか…」


    マルコがそう言って周りを見回すなか、アルミンはふと、路地裏へと続く細い道に、視線を注いだ。


    子どもの声がする。それも、笑い声。とてもはしゃいでいる…1人や2人ではない。


    「…ねえ、この先って…」


    とここで、アルミンは耳をすませた。聞こえたのだ。


    「…どうした、アルミン」


    アルミンの様子に、ライナーが声をかけるも、アルミンは路地裏に神経を集中させている。


    「…聞こえたんだ…ベルトルトの声が」


    「本当か!?」


    ライナーは思わず声を上げる…アニも鋭い視線をアルミンに向ける。


    「うん…たぶん…あっ!そうだよ、間違いない!ベルトルトは、この先にいるよ!」


    耳をすませていたアルミンは、そう確信する。路地裏の先に何があるのか分からないが、確かにベルトルトの声を聞いたのだ。


    「…よし、行こう」


    ライナーは先頭をきって走り出した。


    「あっ…待って、僕も…」


    アルミンも後に続く。


    「ベルトルト…無事だといいけど…」


    と、マルコもアルミンの後ろにつく。


    そして最後にアニが、背後をチラリと気にした後、マルコの背中を追った。

  11. 11 : : 2016/03/19(土) 21:26:28
    彼らがたどり着いた先は、高い塀に囲まれた、一見寂れた広場だった。


    そんな場所に響くのは、たくさんの幼い子どもたちの笑い声だった。


    「…ここは…」


    呆然とその光景を見つめるライナーも、ある人物に視線を移したとたん、その表情が驚きに変わった。


    「ベルトルト!」


    「…ライナー!?」


    はにかんだ笑みを浮かべつつ、子どもたちと戯れる長身の少年は、紛れもなくベルトルトだった。


    ベルトルトは…一瞬気まずそうにライナーから視線を反らした後、子どもたちから離れ、駆け寄って来た。


    「ベルトルト、これはいったいどういう事なんだ!?」


    ベルトルトがライナーたちのもとに着くが早いか、ライナーはそう彼に詰め寄る。


    「…その…ごめん…」


    「ごめんじゃ済まされないだろ!?」


    今まで自分たちが、どれだけベルトルトの事を心配してきたかを考えると、ライナーが激昂するのも無理はない。しかし、そんなライナーを前にして、ベルトルトはただ、うつむいているばかりだ。


    そんな状況をみかねたのか、マルコがゆっくりとした口調で、彼に問いかける。


    「ベルトルト…無事で良かった。僕たち、本当に心配していたんだよ…いったい何があったのか、聞かせてくれないかな…」


    するとベルトルトはようやく顔を上げ、自らの口で語りはじめた。


    なぜ自分が、ここにいるという判断を下したのかを。
  12. 12 : : 2016/03/25(金) 21:55:21
    同期たちと買い物から帰る途中、ベルトルトはふと視線を感じ、立ち止まった。


    細い路地の向こうに視線を移すと、1人の少年…と呼ぶにはまだ幼いくらいの子どもに、じっと見つめられているのに気がついた。


    …なんだい?


    声には出さず、小首をかしげてみせる。するとその子どもは、こっちに来て、とでも言うように、ベルトルトに向かって手招きをする。


    ベルトルトはここで、真っ先に同期たちの後ろ姿に視線を移した。このままあの子に付いて行けば、単独行動をしてしまう事になる。


    誰にも…ライナーにさえ、何も言わないままで。


    ベルトルトが迷っている間にも、同期たちの背中は遠ざかっていく。


    すると子どもは、ベルトルトにこう言い放ったと言う。


    「お兄ちゃんじゃなきゃダメなんだ…はやく来て、お願い…!」


    その声を合図に、ベルトルトは子どもに誘われるがまま、路地の奥へと駆けていったのだった。


    “お兄ちゃんじゃなきゃ、ダメなんだ…”


    その言葉の意味を、ベルトルトはすぐに知る事になる。


  13. 13 : : 2016/03/27(日) 21:43:41
    少年に連れられてたどり着いた場所…そこには、少年と同じくらいの年頃の子どもたちが、思い思いに遊び回っていた。


    すると、そのうちの数人が、ベルトルトを連れて帰って来た少年に気づき、駆け寄って来る。


    「あっ…本当に来てくれた!」


    「本当だ!すごいや!」


    子どもたちは、あれよあれよという間にベルトルトの周りに集まってくる。


    「えっ…と…僕は、どうすれば…」


    自分の今すべき事を確認しようにも、当然の事ながら、隣にライナーの姿は無い。


    「お兄ちゃん、お名前、なんていうの?」


    「えっ…と…ベルトルト…」


    「ベ…ベル…ル…」


    幼い子どもたちは、懸命に教えられた名前を反復しようとするも、なかなか舌が回らない。


    「ベル…ベル兄ちゃん!」


    1人の子どもがそう叫ぶと、周りの子どもたちも、口々に


    「ベル兄ちゃん!ベル兄ちゃん!」


    子どもたちの歓迎ぶりに、ベルトルトはすっかり参ってしまい、それでも勇気を振り絞り、帰ろうと口にしようとしたとき


    「ベル兄ちゃん、あれ見て!」


    子どもにそう促され、小さな指先の向こうに目をやると、そこには大きな壁がそびえ立っていた。


    「あの向こうにね、風車とお花畑があるんだよ」


    確かに、ベルトルトが少し背伸びをしてみると、風車らしき建物がみてとれる。しかし、子どもたちの身長でそれを確認することは出来ないだろう。


    「あのね、町が大きくなってね、ここも小さくなったの。それでこの壁ができたんだよ」


    子どもの拙い説明を、ベルトルトは自らの頭のなかで要約してみた。要は、近年の町の開発による広場の縮小のため、新しく壁が造られたのだろう。


    「遊ぶとこ、狭くなっちゃったんだよねぇ」


    子どもたちは、不満そうに口を尖らせる。町民…大人たちにとって、子どもの遊び場を確保する事よりも、自分たちの暮らしを豊かにしていく事の方が、はるかに先決なのだろう。


    あの日ー巨人の襲来によって、人類は活動領域のみならず、多くのものを失ったのだ。今や大人たちに、この子どもたちの不満が届く事は、無いのかもしれない。


    「ベル兄ちゃん!」


    「ん…なんだい?」


    「肩車!肩車して!」


    子どもたちは、そう口々に訴え、無邪気な笑みを浮かべたまま、ベルトルトに向かって両手を差し出してくる。


    「え…どうして?」


    「だって、ベル兄ちゃんくらい大きかったら、きっとあの風車も、お花畑も見えるでしょ!ぼく、また見てみたいもん!」


    「わたしも…お父さんは、もういないから、ベル兄ちゃんに肩車してもらう!」


    「ぼくも!」


    「わたしも!」


    …ベルトルトは、込み上げる何かを、拳と共にぎゅっと押し潰した。そうだ。この子たちも、巨人の襲来によって家族や家を失った犠牲者なのだ。


    ベルトルトは1人の子どもの体を抱き上げた。歓声と共に持ち上がってゆく子どもの体は温かく柔らかで、ベルトルトは長い間失っていた何かを、ほんの少し取り戻したような気がして、不思議だった。


    「…ほら…どうだい…」


    「わあっ…見える…見えるぞ…やったぁ!」


    「えっ、いいな!次、わたしも!」


    「ぼくも!」


    「はは…順番、順番、だよ…」


    そうして、時間はあっという間に過ぎていったのだった。



  14. 14 : : 2016/04/03(日) 21:45:47
    事の顛末を話し終えたベルトルトは、ライナーたちに向かい、深々と頭を下げた。


    「みんな…本当に、ごめん。僕は…僕はこんな事をしていられる立場じゃないのに…だって僕は…」


    僕は…


    その言葉を待たずに、ライナーは穏やかな表情を浮かべ、ベルトルトを励ますようにうなずいてみせる。


    「ベルトルト。そんなに自分を責める事はないぞ。オレたちは、兵士なんだ。兵士たるもの、たとえ子どもであっても市民に手を差しのべる事は当然の義務だからな」


    「…ライナー…」


    「お前は兵士としての義務を果たしたんだ。もっと胸を張れよ」


    と、ライナーはポンとベルトルトの背中を叩く。


    「…ライナー…」


    ベルトルトはライナーの言葉を肯定しなかった。それに対し不審に思う者は、この時点では誰もいなかった。


    「…ま、どっちにしろ…」


    アニは、ほつれた髪を耳にかけながら、言った。


    「兵士の義務とやらは別として、今回みたいに無断で行動するのは…良くないんじゃないかい」


    アニの鋭い視線に射ぬかれ、ベルトルトは再びうつむいた。


    「…その通り…だね…もう、二度としないよ、こんな事…」


    「…そう。なら、いいんだけど」


    そうするとアニは再び、周りに興味を示さない、いつもの表情に戻った。


    それを、アルミンは黙って見ていた。


    「…ベルトルト…」


    声をかけたのは、マルコだった。ふとベルトルトは顔を上げると、マルコはいつものように、穏やかな笑みをたたえ、自分を見つめている。


    「ベルトルト、僕は思うんだ…もし、僕がベルトルトと同じ選択を迫られた時…きっと僕も、君と同じ選択をしていたと思うから…だから、もう自分を責めないで」


    ね、と、マルコは笑った。


    普通なら笑みを返すところなのだが、出来なかった。


    ベルトルトの中に、決断してしまった“もう1つの選択”が、黒い棘のごとく、絡み付いていたのだ。


    ふと、ライナー、そしてアニの瞳にも陰がさす。まるで、何かの痛みに耐えているかのように。


    「マルコ…僕は…」


    「ベル兄ちゃん!」


    いつの間にか、ベルトルトの周りに、再び子どもたちが集まって来る。


    「ベル兄ちゃん、お話、もうすんだの?」


    「早く遊ぼうよ!」


    ベルトルトは、はにかんだ笑みを浮かべ


    「うん…でも、今日は遅いから、また今度ね」


    「ええ~っ!」


    「やだぁ~!」


    駄々をこね始める子どもたちに、ライナーがこう呼び掛ける。


    「よ~し、じゃあ今度は、ベルトルトだけじゃなく、オレも遊びに来てやるかな!」


    「本当!?」


    「やったぁ~!」


    「ああ。だから、今日はおとなしく、家に帰るんだぞ」


    「はぁ~い!!!」


    ベル兄ちゃんが、また来てくれる。それだけじゃない。兵士のお兄ちゃんも、来てくれる。一緒に遊んでくれる。


    子どもたちは、口々に歓声を上げながら、家路についていった。


    「…さあ、僕たちも帰ろうか。皆心配してるよ」


    マルコの呼び掛けに、皆きびすを返す。


    アニも、また何事にも関心を示さず、他人との干渉を避けるように、表情を固め、歩き始める。


    「…ねぇ…アニ…」


    アルミンだった。アルミンはアニに問おうとしていた。まだはっきりとは分からない、だけど重要な、何かを。


    「なんだい?」


    それを口にするのなら…


    「……ううん。何でもない」


    そして彼らは、あの日を迎える事になる。




    <了>





  15. 15 : : 2016/04/03(日) 21:47:15
    ※…以上で終了とさせていただきます。
    長い執筆期間にも関わらず、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
    感想などございましたら、ぜひコメントにてよろしくお願いします。
  16. 16 : : 2016/04/04(月) 07:43:54
    ※すみません(^_^;)朝の時点までコメント制限解除するのを忘れてました…。
    改めて、感想などよろしくお願いします。
  17. 17 : : 2016/04/06(水) 13:22:08
    お疲れ様です!(o^^o)ベルトルトの優しさにジーンと…。それと終わり方が、切ない感じと、原作に繋がってる感じがまたいいです!次の作品も期待してまーす!
  18. 18 : : 2016/04/07(木) 10:16:01
    >>17腐敗蜜柑の残骸さん
    最後まで読んでいただき、ありがとうございます(^^)
    そうなんです!ちょいと原作に伏線を張る感じ(あくまで、感じ)にしてみたんです。
    気づいていただけて、嬉しいです。次回も頑張ります。
  19. 19 : : 2016/06/10(金) 22:43:29

    お疲れ様です!
    文章力が凄い…ただただ感銘しました。
    幕引きも綺麗に、なおかつ原作に繋げる感じで。
    素晴らしすぎるの一言に尽きます!!


  20. 20 : : 2016/06/11(土) 21:32:36
    >>19 u-mopさん
    最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
    最近なかなかネタが思いつかず悩んでいましたが
    u-mopさんのコメントを読んで、元気が出ました(^^)
    これからも頑張ります。
  21. 21 : : 2020/10/06(火) 10:23:16
    高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
    http://www.ssnote.net/archives/80410

    恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
    http://www.ssnote.net/archives/86931

    害悪ユーザーカグラ
    http://www.ssnote.net/archives/78041

    害悪ユーザースルメ わたあめ
    http://www.ssnote.net/archives/78042

    害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
    http://www.ssnote.net/archives/80906

    害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
    http://www.ssnote.net/archives/81672

    害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
    http://www.ssnote.net/archives/81774

    害悪ユーザー筋力
    http://www.ssnote.net/archives/84057

    害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
    http://www.ssnote.net/archives/85091

    害悪ユーザー空山
    http://www.ssnote.net/archives/81038

    【キャロル様教団】
    http://www.ssnote.net/archives/86972

    何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
    コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
    http://www.ssnote.net/archives/86986

    http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=18
  22. 22 : : 2020/10/27(火) 10:13:35
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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