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たまには宛のない旅を

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  1. 1 : : 2015/12/13(日) 18:26:50
    久しぶりの進撃SSです。
    エレミカ、超短編です。
  2. 2 : : 2015/12/13(日) 18:28:16









    あなたは旅がお好きだろうか。

    どこか行きたいところがあって、なにか見たいものがあって行く、「旅行」ではなく。

    宛のない、「旅」。

    私は・・・



















    その衝動は何となく生まれたものであった。理由なんてなかった。

    私は無意味に、エレンを誘った。もし時間があるなら、一緒に出掛けないかと。

    「ああ、いいぜ」

    彼はすぐに承諾してくれた。と同時に、目的を問われた。私は何も言わずに、彼の手を引き兵舎を出た。

    「事情が無い」という事情を話すことが出来なかった。それを言えば、断られるんじゃないかと思ったから。

    外に出ると、空は重苦しい灰色。残念なことに、天気が良いからという、ありふれたくだらない理由は言い訳として封じられたのだ。

    そしてもう一つ、困った問題が。行き先を考えていなかったのだ。目的が無いもの、当然だ。

    仕方なく、何となく方向を決め、再び歩き出した。彼は不思議そうな顔をしながらも、特に不平不満は漏らさず隣を歩いてくれた。私はそれが申し訳なかった。






    歩き出してから、結構な時間が経った。私達は、壁の近くのとある湖に来ていた。水面は、灰色に沈む空を忌々しい程正確に映しており、美しさは欠片ほども感じられない。しかも、奥の方には壁が見えている。人類を狭い空間へと縛り付けているあの壁が。

    こんな景色を見せることになって、本当に申し訳ない。エレンに対して、そんな気持ちが強くなっていく。



    「早く、巨人を駆逐して、外の世界を旅したいな」



    彼が呟いた。その呟きは、私に向けられているように感じた。

    俺には、こんなことをしている暇はないのだ。そう、遠回しに告げているような。

    心が騒ぎ出す。

    負の感情が、渦を巻く。

    それは、音となって耳に響くほどに―――――――――――――



    ――――――――――――雨。

    その音は、私の心のざわめき等ではなく、驟雨によるものであった。

    天から一斉に放擲される無数の水滴が、瞬く間に土を、草を、そして私を湖の底へと沈めていく――――――それ程の雨だった。

    私は雨の中、呆然と立ち尽くしていた。すると、突然手を引かれた。

    「どこかに雨宿りしないと、風邪ひいちまうぞ」

    手を引かれるがままに奔ると、小屋があるのを見つけた。私達はそこで雨宿りをすることにした。



    扉には鍵が掛かっていた。誰かの所有物なのだろう。軒下に身を潜めて、雨が弱まることを待つことにする。しかし、風が雨粒を屋根の下へと潜り込ませていくために、完全に逃れることは出来ていなかった。

    身体の熱が少しずつ奪われていく。このままでは、風邪をひいてしまうかもしれない。そう思っていると、隣の彼が大きなくしゃみをした。一方で、雨は止むどころかさらに強さを増しているようにすら感じる。

    もう、耐えられない。



    ―――――――――ごめんなさい。
  3. 3 : : 2015/12/13(日) 18:29:02



    私があなたを連れ出したばかりに、こんな目に遭わせてしまった。そう謝罪の言葉を述べた。

    「謝らなくて良いって。お前だって、こんなことになるなんて予想してなかったんだろ?」

    少し困ったよう顔をして、彼は言った。

    その通り。こんな事態になるとは、思っていなかった。いや、本当にそうだろうか。兵舎を出た時目にした、あの暗く淀んだ雲を見て、雨を連想しない者がいるのだろうか。

    にもかかわらず、私は自分の都合を無理やり押し付けようとした。理由のない都合を。

    私は独善的で利己的な女なのだ。

    思いは言葉となり、声として滞りなく流れだした。理由なんて無かった――――――なんて、本当は言わなくても良い事なのに、吐き出さずにはいられなかった。

    そうして、全てを吐露した。



    「別に、良いんじゃないか。目的も無く、理由も無く、ただ何となく、一緒に出掛けようって誘ったって。そう思うのが、家族ってもんだろ」

    彼は静かに、それでいてはっきりと言った。顔を上げて彼の顔を見ると、暖かな光が差し込んでいた。

    「――――――なんてな。今言ったことは嘘ではないけれど、人類の未来が掛かっているこの時に理由も無く連れ出されたら、やっぱり俺は怒るだろうな。こんなことしてる場合じゃないって」

    だったらどうして、あなたはそんなに穏やかな顔をしているの?

    「こんなもん見せられたら、そうならざるを得ないよ」

    そう言って、彼は視線をずらした。それを追いかけると、湖が。



    「綺麗・・・」



    いつの間にか雨は止み、雲の切れ間から神々しい程の光が地へと注がれていた。湖の水面は、その光を湖自体が光っているかのように思える程輝かしく反射しており、一筋の天の川が浮かんでいた。

    「ありがとう」

    不意に言葉を掛けられ、私は彼の方へと視線を戻した。

    こっちの景色の方が、何倍も美しくて、暖かで、心を躍らせる。

    そう思ったから、私は思った。

    宛もなく、あなたと出掛けたいなんて思ったのは・・・

    あなたが家族だから、というだけではないよ。

    家族以外にもいるでしょう?

    そうやって、なんでもいいから一緒に歩きたいって思える人が。










    あなたは家族。そして私の想い人。

    いつかあなたと、外の世界へと「旅」をしたい。



    -fin-
  4. 4 : : 2015/12/13(日) 18:33:13
    自己最速完結。

    ご意見、ご感想等ございましたら遠慮なくどうぞ。
  5. 5 : : 2015/12/13(日) 18:47:18
    まあまあ良かったんじゃない。
    まあ、お疲れ。
  6. 6 : : 2015/12/13(日) 20:53:30
    文章力が高い小説でした!すごいです!
  7. 7 : : 2015/12/13(日) 23:48:18
    >>5
    まあまあですか・・・そうですね。もっと精進せねば。
    感想、ありがとうございます。

    >>6
    ありがとうございます!
  8. 8 : : 2016/02/09(火) 23:54:55
    ども、私大入試前日なのに書き込んでいるheißeです。

    一通り読ませていただきました。こういった何気ない出来事を深く掘り下げて、色濃く描写している辺り、さすが平子さんです。比喩も独特で、短いながらも進撃独特の世界観が凝縮されていて読み応えもありました。ただ読んでいてちょっとだけ、ミカサが自己を追い込み過ぎな気がしたような、しななかったような…ほんとにちょっとだけですけどねw
    それ以外は特に気になった点もなく、物語に違和感無くのめり込めました。執筆お疲れ様です。私大&2次試験頑張りましょう(^_^*)

  9. 9 : : 2016/02/10(水) 22:37:43
    >>8
    感想ありがとうございます!ミカサが自分を追い込み過ぎ・・・ですか。ストーリーに合わせてキャラを動かしてしまう私の悪い癖ですね。これからは注意していきたいと思います。

    そうですね!目指せ現役合格!お互い頑張りましょう!
  10. 10 : : 2020/10/26(月) 14:57:55
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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