この作品は執筆を終了しています。
Time paradox ※不条理劇
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- 1 : 2015/12/06(日) 22:55:59 :
- 今回は不条理劇(っぽいもの)に挑戦してみました。
我ながら訳の分からない話になったと思いますが、よろしくお願いします。
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- 2 : 2015/12/06(日) 22:56:32 :
__________あなたの未来 を、変えてみませんか?
ぼさぼさ頭に眠たげな眼。
山並平祐、32歳、無職。
時々日給のバイトをしてはその日暮らし。
ゴミだらけの部屋、汚れきった布団の上に一人寝そべり、山並はため息をついた。
(ちっ・・・・・・・・・・・・また請求書か。)
山並のポストはたくさんの広告に混じり、いつも請求書で一杯だった。
時々あまりに一杯になりすぎて、請求書ごと捨てられてしまうことも日常茶飯事。
それでも、時々気が向くと、請求書やチラシで一杯になったポストを漁った。
何の変哲もない、無気力な日常・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・ん?」
そのはずだった。
この広告を見つけるまでは。
「なんだこりゃ? “あなたの未来 を、変えてみませんか?”」
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- 3 : 2015/12/06(日) 22:57:34 :
その広告を読んでみると、どうやら人生相談所の様なものらしい。
住所を見てみると、意外と近いところにあるらしい。
「・・・・・・・・・・・・はっ、ばかばかしいや。」
山並は上半身を起こし、くしゃくしゃにチラシを丸めて、ゴミ箱目がけて投げこんだ。
ゴミはゴミ箱を外れ、床にポトリと落ちてしまった。
「ちっ、上手くいかねえもんだな。」
山並はぼそりとそう呟くと、また横になった。
ガンガンッ!
「!!」
すると突然、玄関の扉が叩かれる音がした。
(くそ・・・・・・・・・・・・あいつらだ!)
山並はこっそりと、窓の扉を開け始めた。
「おいでてこいや! いつまで支払い誤魔化してると思ってんだよ!?」
「なあ、金、返さないと、俺たち君を酷い目に遭わせなくちゃいけなくなるんですよね。」
__________いつもの借金取り二人が、またしても山並の部屋の前にやってきたのだ。
開けた窓からこっそり逃げ出す山並。
部屋から抜け出し、とにかく安全なところへと逃げ出しながら、山並はふと考えた。
(くそ・・・・・・・・・・・・どうして、俺はいつもこんな目に。)
そう考えた山並の足は、自然と、広告にあった相談所へと向かっていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 4 : 2015/12/06(日) 22:58:05 :
その相談所は、都会の雑多なビル群の二回にある、薄汚れた建物であった。
「ここが・・・・・・そうなのか?」
相談所にはそぐわない、どちらかというと事務所のような雰囲気を醸し出す怪しげな建物の中に足を踏み入れる山並。
恐る恐る階段を昇り、二階の扉を開けた。
「おや、いらっしゃい。お客さんとは珍しいもんだ。」
そこにいたのは、いかにも怪しげな、よれよれの白衣をきたお爺さんだった。
「あの・・・・・・。」
「お前、今の人生を変えたいんだろう。だが、その覚悟はあるのか?」
「いや人の話聞けよ!?」
お爺さんは早速山並の話を無視し、話を進めた。
「今を変えるためにはつまり、お前の過去を変えればいい。」
「ちっ、何だよ・・・・・・ただのいかれた爺さんかよ。」
言ってることがさっぱり理解できなかった。
今を変えるなら過去を変える?
アインシュタイン先生もびっくりのトンデモ理論だ。
「おい、俺はまじめに今の状況を変えたいと思ってんだ。ふざけてんなら帰るぜ?」
「そう言うな、若いの。わしもまじめだ。どうだ、騙されたと思って、一つ、わしに協力しないか?」
「はあ!?」
どうしてこんな流れになった?
ていうか、何なんだよこの爺さん?
いっちゃってるよ!
マッドサイエンティストみたいだよ!
「なに、お代は取らん。特別にな。」
「・・・・・・・・・・・・で、何をする気だ。」
「簡単なことだ・・・・・・・・・・・・今のお前の意識を、過去に送る。」
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- 5 : 2015/12/06(日) 22:58:35 :
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
暫くの間、沈黙が二人を包んだ。
「何だよそれ!? 何かの映画か漫画かよ!? ああバカバカしい!!」
「つべこべ言わずにさっさとこれを被れッ!!」
「!! うおっ!?」
俺が文句を言うと、爺さんは強引にたくさんのケーブルが付いたヘルメットを被せてきた。
「いって~なッ! てうおっ!? いつの間にか手足椅子に縛られてるし!?」
「性能は保証しよう。後は・・・・・・お前が今 をどう考えるかだ!」
「おいふざけんなよッ!! 放せッ!!」
爺さんは喚く俺を無視し、大きなレバーを勢いよく落とした。
途端に、頭を強烈な衝撃が襲い、俺の意識は彼方へと飛んでいった・・・・・・・・・・・・
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- 6 : 2015/12/06(日) 22:59:03 :
__________こ、ここは・・・・・・。
俺が目を覚ますと、目の前に女の子が立っていた。
(そういやこの子は・・・・・・・・・・・・俺が好きだった女の子だ。)
随分と中途半端なところに飛ばされて困惑していたが、やがて状況がはっきりしてきた。
好きだった女の子に俺は告白したのだ。
何だか、ひどく昔のように思えて、懐かしい感覚に囚われた。
だが、次の瞬間には、心の中にどす黒い感情が流れ込んできた。
(そうだ・・・・・・・・・・・・俺はあの時・・・・・・。)
案の定、その瞬間はやってきた。
「ごめん、山並君・・・・・・・・・・・・私、付き合ってる人がいるの。」
そうだった。
クラス一の美少女だともてはやされていたこの女の子に、俺は振られたのだ。
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- 7 : 2015/12/06(日) 22:59:34 :
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__________そこからの俺は、まさしく人生のどん底だった。
その女の子が付き合っていたのは、クラス一優秀な男だった。
眉目秀麗、才色兼備。
勉強もスポーツも出来る、優等生を絵に描いたような男。
しかも両親は金持ちで、有名な企業の息子。
だが、その性格は鼻持ちならないほど傲慢で、しかも気に入らないやつを片っ端から虐めていた。
そのくせ自分は手を汚さず、必ず影から指示を出し、徹底的に苛め抜くという周到さを見せていた。
(あの後俺は、こいつに虐められたせいで、暗い中学校時代を送ることになってしまったんだ。)
そう思うと、頭の中が真っ白になった。
放心状態になった俺を、女の子は俺が振られたショックでそうなっているのだと解釈し、黙って去っていく。
それから数日して、案の定、俺は虐められた。
上履きの中に画びょうが入っていたり、
机が落書きだらけになっていたり、
とにかく、クラス中の奴がその鼻持ちならない男の言いなりになって俺を徹底的に無視するか、或は積極的に俺を虐めてきた。
(・・・・・・・・・・・・あの頃はあんなに悩んだってのに、今となってはこんなものか。)
その虐めは、しかし、今の俺にはかえってぬるいくらいに感じられた。
お客さんのいる前で大声で罵倒されたり、
理不尽なクレームを言う酔っ払いに必死に頭を下げたり、
働くたびに擦れるように身を削った今の俺にとっては、何ともそれがかわいく思えたのだった。
しかしだ・・・・・・・・・・・・当時の俺はこんなことにかかずっていた。
そう思うと、俄然あの男が許せなかった。
「まぁ、俺のこの後の人生を台無しにしやがったんだ・・・・・・・・・・・・人生には人生を持って償うのが当然だろ?」
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- 8 : 2015/12/06(日) 23:00:43 :
翌日。
とある有名企業の息子の一人が、自宅で首を吊っているのが発見された。
警察は殺人と自殺の両方の可能性から捜査をしていたが証拠は見つからず、最終的には自殺と判断された。
「・・・・・・・・・・・・ふう。」
ことを終え、その日の夜に就寝して目を覚ますと、再び俺は現代に還ってきたみたいだった。
上半身を起こして、あたりを見渡すと、ごみの散らかった部屋がそこにあった。
辺りは薄暗闇に包まれ、夜の帳が降りていく。
__________夢だったのか?
まだズキズキする頭を起こすように、俺はコップに水を入れてグイッと一口に飲んだ。
頭がボーっとしてふわふわする。
昼夜が逆転し、まるで夕方に目を覚ましてしまったかのような感覚に囚われていると、突如として携帯のベルが鳴った。
そこにかかれた名前を見て、俺は思わず戦慄した。
「なっ・・・・・・・・・・・・こ、殺したはずだぞ!?」
そこには、殺したはずの男の名前が表示されていた。
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- 9 : 2015/12/06(日) 23:01:25 :
恐る恐る電話に出ると、その男は酷く無邪気に話しかけてきた。
『よう、平祐。元気にしてたか?』
「あ、ああ。」
『!? どうした・・・・・・何だか声暗いぞ!? どこか具合わりいのか!?』
「い、いや・・・・・・・・・・・・そんなんじゃねえよ。」
『でだ、考えてくれたか? あの話?』
「あの話?」
『おいおい、冗談きついぜ。 結婚のスピーチの話に決まってんだろ?』
__________再び俺は寒気を覚えた。
どうやら、過去の俺があいつを殺したことで今 は本当に変わってしまったらしい。
でも、じゃあなんでこいつは生きている?
別の世界線にでも戻ってしまったのか!?
未来における矛盾――――――――タイム・パラドックス。
状況を掴もうと、俺は必死に奴から話を聞きだした。
どうやら俺は、奴とは親友で、しかも、結婚式のスピーチを頼まれていたらしい。
しかもその結婚相手は、俺が好きだったあの女の子だった。
『じゃあこの後俺の部屋で飲もうぜ!?』
「ああ、今行くよ!」
俺は努めて明るく振る舞い、陽気に電話を切った。
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- 10 : 2015/12/06(日) 23:02:02 :
__________許せなかった。
俺の人生を奪った男が、まだのうのうと生きていて、しかもあの女の子と結婚して幸せを掴むことが。
怒りに燃える俺の手に、ふと、一冊のノートが手に触れた。
何気なくそのノートを取るとそれは・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・殺人・・・・・・計画書?」
どうやら、この世界線の俺は、殺したはずの男に恐怖を感じて、必死に殺人の計画を練っていたらしかった。
その為に親友を装い、彼に近づいていたらしいと俺は推測した。
俺はその計画書を読み、機が熟したと判断した。
(またあの時のように、自殺に見せかけて殺害すればいいんだ。)
首を括るための縄を持ち、俺は自分の部屋を出ていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 11 : 2015/12/06(日) 23:02:28 :
「待ってたぜ!? よく来たな!!」
あいつは機嫌よく俺を迎えてくれた。
あいつの家は豪邸だったが、両親は既に他界してこの豪邸に一人で住んでいたのだ。
都合のいいことに、この男は既にお酒を飲んでいたのか、陽気になっていた。
そのまま俺はリビングに通され、豪華なテーブルの上には、既におつまみが用意されていた。
暫くの間、俺たちは昔話に花を咲かせていた。
(よし、このままこいつが酔いつぶれれば、俺の勝ちだ。)
俺はそう考えながら、こいつを殺害するタイミングを窺っていた。
「いや~~~、それにしてもめでたいことだな! 遂に結婚なんてよ!」
「はは・・・・・・僕たちは、中学からの付き合いだったからな。」
良い感じに酔いつぶれ始めている。
そう思った次の瞬間だった。
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- 12 : 2015/12/06(日) 23:03:09 :
グラッ
「!!」
突然、視界が傾いた。
と思うと、急に喉が苦しくなった。
「ゲホッ! ガハッ!! おま・・・・・・いったい・・・・・・何をしたッ!?」
そう言いながらそいつの表情を見ると、その男は笑っていた。
「いやだなぁ・・・・・・・・・・・・君は分かっているはずだよ?」
「な、なにをぉッ!?」
その笑みは、常の彼らしからぬ、神経質で冷酷な微笑みだった。
「君は、僕の大切な兄さんの命を奪ったんだからね。」
「!?」
「だから僕に近づいてきたんでしょ? 出来そこないだった双子の弟だった僕に?」
「ゲホッ! がはぁッ!!」
口から大量の血を吐く。
酒の中に毒薬を盛られたことに、遅まきながら気が付く。
「兄さんは外では尊大だったけど、僕には優しかった。両親の圧力を分かち合う、心の支えだった・・・・・・。」
「うぐ・・・・・・・・・・・・。」
「だから僕は、兄さんの分も生きることにした。兄さんの名前を使ってね。」
「うっ・・・・・・・・・・・・」
「ふふ、兄さん・・・・・・・・・・・・やったよ、僕、復讐を果たしたよ。」
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- 13 : 2015/12/06(日) 23:03:44 :
__________あなたには、変えたい未来 はありますか?
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- 14 : 2015/12/06(日) 23:05:12 :
- 今回はとても短いのですが、以上で終了になります。
かなり実験的なものを作ろとしましたが、いかがだったでしょうか?
感想を頂けると幸いです。
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- 15 : 2020/10/03(土) 09:04:44 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
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【キャロル様教団】
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コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
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