このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
エレン「【善=悪《?】善≠悪》」
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- 1 : 2015/11/19(木) 05:33:15 :
- 君達は=と≠をご存知だろうか。
=を知ってるという人は多いだろう。
何故なら知らなければ数学どころか、算数さえ出来ないのだから。
しかし、≠を知らない人はいるだろう。
〇=△と書かれていれば、〇と△は同じであるという意味になる=に対し
≠の〇≠△は、〇と△は違うという意味となる。
さぁ、二つの意味を理解したところで本題に入りたい。
この世界は二つの意見に分かれていた。
善と悪は全く違うものだと主張する《善≠悪》
と
善と悪は同じものだと主張する【善=悪】
【善=悪】は、人殺しを悪とするなら、人殺しをした罪を罰し、殺す行為もまた悪であると主張する。
それに対し、《善≠悪》は人を殺した人間は死を持って償うのは当然の行為で、罰した善人は悪ではないと叫ぶ。
君らはどちらが正しいと思う?
俺はどちらも正しいとは思えないし、正しくないとも思えない。
つまるところ、俺は中立ーーいや、中間と言った方が正しいかもしれない。
だったら、俺がこの世界ーー【善=悪《?】善≠悪》だと思っている世界の?に入る答えはなんだと思う?
俺はその答えを、誰かに聞いた気がするんだ
ー
ーー
ーーー
ーーーー
ザー、ザーと波音のみが聞こえる海岸。
海は月明かりのみの明かりで一部が輝き、その他の部分は黒く染まっている。
それはまるで、一握りの善が悪に飲み込まれようとしているようだった。
そんな月明かりのみが照らす海岸を、金髪の少女が一人で歩いていた。
服装は白のワンピース、足は靴も履かずに裸足。
冷たい風が吹く海岸には合わない格好であった。
それなのに少女は一切の寒さも感じていないのか、笑顔で砂浜に足跡をつけて遊ぶ。
一人で遊ぶ彼女は、小さく呟く。
「ふふん、今行くね
エレン」
彼女は血に濡れた足跡を残して、目的の人物の元へ歩みを進めた。
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- 2 : 2015/11/19(木) 05:42:16 :
- ここまで見て頂いた皆様ありがとうございます
トトです、トトですよ
知らない皆様も、一作目見てるから知ってるよ~という皆様も、興味ないわーという皆様も、トトです
今回は一作目とは違い、戦闘です。戦いです。殺し合いです!
※グロ、キャラ崩壊が苦手な人はブラウザバックをお願いします
感想、アドバイスなどなどは有難いです
意味が分からない場所の指摘なんかも図々しいながらお願いしたいです
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- 3 : 2015/11/19(木) 10:25:35 :
- 2×××年、人類は猿から人間に進化したように新たなる進化を遂げていた。
それは異能。
人間の中に人間とは異なる力を備える人間が次々と生まれた。
炎を操ったり、異なる世界から生き物を召喚したりする人間が次々に登場し、人類は大いに喜んだ。
異能を使えし子供達は神と崇められていたが、ある日事件が起きた。
異能を使えし子供達が、人間に攻撃を始めた。
力のない人間達は世界を逃げ回り、心優しき異能者、レイス一族に助けを求めた。
レイス一族は大暴れする異能者を、レイス一族の異能を使い、50Mの壁で囲み閉じ込めた。
以来300年、壁の中を地獄と呼び、犯罪を犯した異能者を閉じ込める大きな牢屋となった。
壁の外は天国と呼ばれ、犯罪者を捕らえる蜘蛛と呼ばれる異能警察と人間達が共存している。
壁の中は殺し合いが日常茶飯事となっており、壁の中では毎日のように死人が出ると言われている。
ー
ーー
ーーー
ーーーー
「へぇ、壁の中は興味があったけどこうなってたんだね!」
「ハンジさん、急ぎ過ぎです!」
壁の中を二人の男女が歩いていた。
二人の服は壁の中に住む異能者達とは違い、シワ一つない綺麗なものだった。
そんな二人を遠くから睨む複数の眼光。
彼らは、この二人ーー正確には彼らが所属する組織を目の敵にしていた。
彼らの胸元には赤い瞳をした蜘蛛のバッチが着いていた。
彼らの正体は異能警察の蜘蛛。
壁の中に入れられた犯罪者達を捕まえた張本人達だったのだ。
ハンジ「モブリット、見てみなよ。八百屋に魚屋、モクドナルドなんかもあるよ!地獄も天国を真似て、店を作ったりするんだね」
モブリット「ハンジさん、気付いてないんですか!?すごく睨まれてますよ」
ハンジ「あはは、大丈夫だよ。万が一に彼らが襲いかかって来ようが、私が殺されるような人間に見える?」
モブリット「......逆に殺しそうですね。ホルマリン漬けにして」.
ハンジ「...モブリット、一人ぐらいお持ち帰りしちゃダメかな...」
モブリット「...絶対にダメですよ」
ハンジ「ケチ...」ハァー
モブリット「ケチではありません。だから、ハンジさんではなくてミケさんがよかったのに...」
ハンジ「仕方ないさ。彼は彼で忙しいんだから」
モブリット「...」ハァー
ハンジ「それにミケはね、今から向かう場所には行けないんだよ」
モブリット「はい?」
ハンジ「まぁ、後から教えてあげるよ。今は目的の場所に着いちゃったからさ」
ハンジが歩みを止めて、指さす方向を見ると一軒のカフェが建っていた。
名前は『カフェ・シガンシナ』
カフェから香るコーヒーの匂いに喉が渇く。
ハンジ「じゃあ、入ろっか」
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- 4 : 2015/11/19(木) 18:55:07 :
- カランカラン
「いらっしゃい」
二人が店の中へ入ると、一人の女のような少年が迎え入れてくれる。
カフェの中は通常のカフェと変わらない机と椅子が置いてあり、そこに三人の男女がいた。
ハンジ「やぁ、アルミン」
アルミン「げっ、蜘蛛」
ハンジ「あはは、アルミンは変わらず辛辣だね」
まず一人目のアルミン・アルレルト。
机を拭いて汚れを取っている体勢で、ハンジの登場に嫌な顔を見せる。
アルミン「はぁ、今日は何か用ですか?」
ハンジ「そう焦らないでよ。コーヒーを一杯頼みたいんだけど」
「貴方達蜘蛛に飲ませる物はない。用件を至急伝えて出て行って」
ハンジ「ミカサ...そう言わずにさー」
ミカサ「至急用件を」
二人目にミカサ・アッカーマン。
無表情でコーヒーを作り、先程から甲斐甲斐しく男のコップにコーヒーを注いでいた。
ハンジ「一杯飲んだら言うからさ」
ミカサ「何度言われても答えは変わらない」
「ミカサ、インスタントコーヒーでも出してやれ」
ミカサ「むぅ...エレンが言うなら仕方がない」
三人目はエレン・イェーガー。
棒付きキャンディーを咥えて、太古の昔に流行ったPSPと呼ばれるゲームで遊びながら、ミカサの入れたコーヒーを飲んでいた。
エレンはフードを浅く被り、辛うじて顔が見えるほどだった。
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- 5 : 2015/11/19(木) 23:46:14 :
- ミカサ「はい、インスタントコーヒー」ガシャン
ハンジ「熱っ!?ミカサ、乱暴に置いたせいでコーヒーがかかったんだけど!半分以上零れてるし!」
ミカサ「出してもらえただけ感謝して欲しい」
ハンジ「ムキィー」
エレン「奇行種、うるさい。早くここに来た用件を言え」
アルミン「そうですよ。用件を教えてください」
ハンジ「しょうがないな。今回の依頼は人探し&護衛と言ったところかな」
ミカサ「人探しなら私達じゃなくてもいいはず...というよりは私達は向いていない」
エレン「そうだな。護衛ならともかく、俺達は殺し専門の鴉だぜ?」
警察組織にも色々な種類がある。
人間を取り締まる普通の警察【蟻】
異能者犯罪者を捕まえる【蜘蛛】
そして、異能者犯罪者を殺す専門の【鴉】
もう一つ【鳩】が存在するが、【鴉】と同様に隠された存在とされている。
人間を殺すことが許された世界。それが地獄だった。
ハンジ「そうなんだけどね...探してもらいたい人物がクリスタ・レイスなんだよ」
エレン「クリスタ・レイス?レイスってあのレイスか?」
アルミン「壁を創った?」
ハンジ「そう、そのレイス。二日前に家を抜けてそのまま帰ってこないんだよ」
ミカサ「そう、私には関係ない」
アルミン「そうだね。僕にも関係ないかな。レイスと関わるなんて死んでも嫌かな」
エレン「それは俺の専門外だからパスだ」
ハンジ「頼むよ~!モブリットも黙ってないで何か言ってやってよ!」
モブリット「えぇー」
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- 6 : 2015/11/20(金) 00:37:33 :
- ハンジ「はぁ、この方法は使いたくなかったんだけどね..」
ハンジの一言でカフェの中の空気が変わる。
ミカサがエレンを守るように前に立ち、アルミンが後方へと下がる。
モブリットは腰にある拳銃に手を当て、ハンジは怪しく笑う。
エレンは「面白いことになってきたな」と笑い、ゲームを続ける。
ハンジ「まぁ、そんなに警戒しないでよ」
最初に動いたのはハンジだった。
突如、ハンジの横の空間が崩れた。
パリンパリンとガラスが割れる音を鳴らしながら、空間が崩れ真っ暗な空間が生まれた。
何も無い真っ暗な空間。
それを創り出したのが『異能』
ハンジの異能は『空間』
空間を操る能力だ。
真っ暗な空間にハンジは手を突っ込む。
ハンジの手は暗闇の空間に
吸い込まれ
飲み込まれ
沈み込んだ。
そして、ハンジが真っ暗な空間から手を引き抜いた時に手に持っていたのは
エレン「棒付きキャンディー...」
棒付きキャンディーだった。
ハンジの手に握られた棒付きキャンディーに、エレンが反応する。
エレン「あれは天国限定発売のチーハン味じゃねぇか!しかも、バナナにメロン、チーズケーキなんてのもあるぞ!」
ハンジ「エレン、この棒付きキャンディーが欲しいかい?」
エレン「くれるのか?」
ハンジ「うん、ただし依頼さえ受けてくれればね」
ミカサ「エレン、だm「任せとけ」
エレン「クリスタの一匹や二匹、すぐに見つけてやる」
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- 7 : 2015/11/20(金) 02:59:44 :
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ーーー
ーーーー
ハンジ「モブリット、信じられるか!?コーヒー代が750円だよ!?しかも、半分は零されたのに1円たりとも安くしようとしないんだから!」
モブリット「ハンジさん、信じられます?上司が部下に無理矢理払わせたんですよ?しかも、それをいかにも自分が払ったかのように愚痴るんですよ」
『カフェ・シガンシナ』から出た二人は、文句を言いながら天国へと歩いていた。
もう、夕暮れ。
カラスがオレンジ色に染まる空を飛んでいるのが見えた。
モブリット「あっ、そういえばハンジさん。来る時に話していた『ミケさんがこの場に来れない』のはなんでですか?」
ハンジ「えぇ!?君はあの二人に会って分からなかったのかい!?」
ハンジが大きな声を上げる。
いつものハンジがここまで驚くのは珍しい。
モブリット「あの二人ですか...?」
ハンジ「ミカサ・アッカーマンとアルミン・アルレルトだよ」
モブリット「はぁ?あの二人には何かあるんですか?」
ハンジ「モブリット、君は仕事に関しては優秀だけど知識に至っては全然駄目だね」
ハンジ「ミカサ・アッカーマン。
地獄に収監されたのは確か...12歳の頃。
入れられた理由は、両親を殺した強盗を殺したこと。
そして、13歳で鴉に入隊。
13人もの犯罪者を捕らえる、または殺すことに成功している。
彼女が処理した犯罪者の中にはS級が1人いる」
モブリットはミカサの経歴に驚く。
犯罪者は強さによって、6つの級に分けられる。
C級→B級→A級→S級→SS級→SSS級
これは左に近いほど弱く、右に近いほど強いこととなる。
一番強いとされるSSS級はこの世界には今はいない。
今存在する中で一番強いとされるSS級は三人しか存在しない。
そして、S級は7人。
モブリットは詳しくは知らないが、その7人の中の1人がミカサだと直感する。
ハンジ「そして、アルミン・アルレルト。地獄に収監されたのは13歳の頃。
収監された理由は、実験と称して殺し合いを人間同士させたため。
彼も13歳で鴉に入隊。
27人もの犯罪者を無傷で捕らえている」
モブリット「えっ、無傷ですか?」
ハンジ「あぁ、無傷さ」
モブリット「それは傷が出来ないほどの戦闘で犯罪者を捕らえたということですか?」
ハンジ「あぁ」
モブリット「それは不可能では...」
ハンジ「それが彼には出来るんだよ」
モブリットは頭が混乱する。
戦闘が起きれば傷が出来るし、出来ない戦闘など口論などの暴力がない戦闘のみだろう。
犯罪者が口論で負けて大人しく捕まえるとは思えない。
では、傷が出来てしまう殴り合いしか捕らえる方法はない。
しかし、アルミン・アルレルトは無傷で捕らえている。
理解が出来ない。
ハンジ「モブリット、君の質問に戻ろう。どうしてミケが来れないかだけど、犯罪者達は待っているからさ」
モブリット「待っている?」
ハンジ「地獄を出るための機会をね。ミケは自分の異能を使って壁から犯罪者を出れないようにした。犯罪者はミケを殺さない限りは壁を出ることが出来ない。だから、ミケはこの場には来れないと言ったんだよ」
モブリット「な、なるほど...って、ハンジさん」
ハンジ「なに?」
モブリット「ミカサとアルミンのことは分かりましたが、エレン、エレン・イェーガーは?」
ハンジ「あぁ、彼かい?彼は確かーー
異能が使えないただの人だったはずだよ」
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- 8 : 2015/11/20(金) 11:41:39 :
- ー
ーー
ーーー
ーーーー
エレン「はぁ、なんで俺が人探しなんかなんかしなくちゃいけねぇんだよ」
アルミン「それは僕のセリフなんだけど、エレンが引き受けたのになんで僕まで...」
ミカサ「口を動かす暇があるなら目を動かしてほしい。早く帰りたいので」
彼らがクリスタ・レイスを探しに来ていたのは、地獄の中心街ーー【ストヘス区】
異能犯罪者の中でも危険な犯罪者達が住み着く地域だった。
エレン「にしても、本当にいんのか?なんちゃら・レイスは地獄に」
ミカサ「私もそれは不思議に思った」
アルミン「クリスタ・レイスね。蜘蛛の人が言ってたじゃないか。クリスタには地獄に会いたい人がいたって」
ミカサ「それは聞いた。しかし、おかしいと思う」
エレン「ミカサの言う通りだ。レイス家は壁を創った一族だぞ。地獄に来るなんて自殺行為だろ」
アルミン「そんなこと僕に言われても知らないよ。僕は彼女の心なんて分からないし、彼女に興味もない」
ミカサ「私もアルミンに同意しよう。私もクリスタには興味はない。私が興味があるなのはエレンだけ」
ミカサの言葉に三人は静かになる。
エレンは口に咥えた棒付きキャンディーを新しい物に変え、ミカサの言葉を無視する。
アルミン「ミカサはエレンが好きなんだね」
ミカサ「??何を言ってるの?私には感情はない」
アルミン「...鈍感なのか、照れ隠しなのか分からない」
エレン「はぁ、話してないで早く探せよ」
ミカサ「分かっていr「きゃーーーーーーーーー」
ミカサの声を遮って、聞こえる絶叫。
距離からすると、エレン達がいる場所からそう遠くない場所から聞こえた。
アルミン「あー、嫌な予感がする。行きたくないよ...」
ミカサ「クリスタ・レイスの可能性がある以上は行くしかない」
アルミン「デスヨネー」
エレン「チュッパチャプスがあと2個しかないから一度帰るわ」
アルミン「エレンも行くよ」
エレン「ウッス」
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- 9 : 2015/11/20(金) 22:52:30 :
- 「誰か...誰か助けて...」
少女は入り組む街を逃げ回っていた。
少女を追う大人数の異能者。
全員が男で、久し振りの女に興奮していた。
「お嬢ちゃん、逃げることはないだろ。俺達はお嬢ちゃんみたいな可愛い女の子が一人でいたら危ないと思ってだな」
「う、うそ!貴方達は私に危害を加えようとしてるでしょ!」
「いいからお嬢ちゃん、大人しくしな。ここは地獄だぜ?助けるような善人は1人もいない場所だ」
「た、助けて...おねえちゃん」
金髪の少女は諦めたように地面に座り込む。
ハゲ頭の犯罪者が笑い、少女に近付く。
エレン「おい、お前がクリスタ・レイスか?」
そんな異常事態の状況に空気を読まない人間が割り込む。
エレンだ。
「だ、誰ですか?」
エレン「質問してるのは俺だ。お前はクリスタ・レイスか?」
クリスタ「は、はい」
エレン「そうか」
「おい、クソガキ。何を邪魔してくれてんだ?」
「殺されてえのか?ガキは母親の子守唄でも聞いて寝てろよ」
エレン「あ、邪魔したな。クリスタは貰っていくな」
クリスタ「ふぇ!?」
「ざけんな!そいつは俺達の獲物だ!横取りするってんなら殺すぞ」
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- 10 : 2015/11/21(土) 15:13:00 :
- クリスタを取り囲む男達がナイフを構える。
クリスタはエレンの後ろに隠れる。
エレン「はぁ...おっさん達、覚悟した方がいいぜ」
「覚悟すんのはお前じゃねぇか?俺はA級犯罪者だぞ?」
A級と聞き、クリスタは驚く。
A級は蜘蛛3人がかりでやっと捕らえることが出来るほどの強者だ。
エレン「だから?」
「おいおい、ちゃんと聞いてたか?A級だぞ?」
エレン「だからどうしたんだよ」
「あー、ガキに説明しても分からねぇか」
エレン「おっさん、勘違いしてるようだが、異能者同士の戦いにA級とか関係ないぞ」
「負け惜しみか?お前はせいぜいBかC程度だろ」
エレン「あぁ、そうだな。ちなみに異能『電撃』だ」
「おいおい、馬鹿かよ。自分の異能バラすのは自殺行為だぜ」
エレン「いいハンデだろ?」
「このガキ!」
男が怒り、エレンに向かって異能を発動する。
男が使う異能は『炎』
エレンを取り囲むように炎の壁が立ち上る。
熱い。
目が乾き、瞼を開けることが出来ない。
喉が乾き、水分を欲する。
「ぎゃはは、熱いか?今すぐにその女を引き渡すなら許してやってもいいぜ」
エレンは自分の背後を見る。
熱さのせいで多量の汗をかいて、少し艶かしい感じになっているクリスタ
彼女を見ていると、エレンの頭の中に靄がかかる。
濃い霧が大事な記憶を覆い隠し、思い出せないようにしているような感じだ。
「さぁ、どうする?」
エレン「うるせぇよ、おっさん」
「ほう、どうしても死にたいようだな」
エレン「お前じゃ俺は殺せねぇよ。宣言してやるよ。お前は五秒後に電撃に貫かれて俺に負ける」
「はっ、出来るもんならやってみろ」
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- 11 : 2015/11/21(土) 17:24:09 :
- ミカサが鈍感でかわいいです期待です‼
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- 12 : 2015/11/22(日) 00:39:46 :
- エレン「1」
エレンは宣言通りに五秒で倒す気なのか、カウントダウンを開始する。
男もエレンの異能を警戒し、防御体制を取る。
エレン「2」
エレンが服の中に隠していた刀を二本取り出す。
一つはエレンの身体よりも少し短い長さで細い長刀と呼ばれる刀。
もう一つは包丁ほどの大きさの短刀と呼ばれる刀。
長さが不釣り合いな刀をエレンは構える。
エレン「3」
残り二秒、男が仕掛ける。
エレンとクリスタを囲む炎の壁が、炎の槍を形成し、エレンを目掛けて降り注ぐ。
エレン「4」
エレンに炎の槍が刺さるーーと思われた瞬間にエレンが消える。
それは詳しく言えば消えたわけじゃなかったが、クリスタにも男にもエレンは消えたように見えた。
エレンは降り注がれる槍を伏せて躱し、一瞬にして男の懐へ潜り込む。
縮地
昔に使われた体術で、長距離を瞬時に移動する技だ。
それは瞬間移動にも似た一瞬にして移動する技。
エレン「5」
男には突然、エレンが目の前に現れたように見えたはずだ。
エレンは右手で拳銃の形を作り、男に向ける。
男は咄嗟に横に避ける。
電撃が飛んでくることを予想して
エレン「バーン」
しかし、男の予想は裏切られることとなった
エレンは電撃など撃たなかっただ
エレンは笑う
笑う
笑う
盛大に騙された男を見て笑った。
「騙しやがったなぁぁぁあああああ」
エレン「おっさん、いいことを教えてやるよ。戦いは騙し合いから始まるんだよ」
エレンは笑って言う
「騙された方が悪いんだよ」
と
電撃も嘘
刀も相手を警戒させるためだけの物
エレンの戦いは全てが嘘で、全てがフラグ
エレン「じゃあな、おっさん。面白かったぜ」
エレンは男にお礼を言って、男の顔面を蹴り上げた
男は二、三回転がり、建物にぶつかり、動きを止める
男は白目を向いて気絶していた
エレン「あー、飴より甘い男だったな」
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- 13 : 2015/11/22(日) 03:20:51 :
- クリスタ「まだ、まだ四人いるよ!」
エレン「あー、大丈夫だ。あいつら、もう気絶してる」
クリスタ「え?」
エレンの言葉を正すかのように、残った四人の男が倒れる。
四人の男の後ろにはミカサが立っていた。
四人ともミカサ1人で倒したようだ。
アルミン「エレン、その子がクリスタ?」
エレン「そうらしいぞ」
アルミン「やぁ、クリスタ。僕達は君の味方だよ。ハンジ・ゾエから依頼を受けて君の護衛を引き受けた【鴉】だよ」
クリスタ「ハンジさんから?護衛を?連れ戻せじゃなくて?」
アルミン「ハンジさんからの伝言ね。『どうせ見つけるまで逃げ出すのをやめないんだから、見つけるまではその子達を手足のように使ってよ』だって」
クリスタは周りに立つ三人を見渡す。
異能を一切使わずに、異能犯罪者を圧倒したエレン
四人を相手もしても負けないミカサ
相手を落ち着かせる会話術を所持するアルミン
クリスタ(彼らなら見つけ出せるかも知れない)
そんな予感がする
クリスタは手を伸ばす
アルミンは助けを求めるクリスタの手を取る
ミカサはその光景を無表情で見つめる
アルミンは護衛対象の保護に成功したことに胸をなで下ろす
ただ、エレンだけは熱さで完全に溶けきった飴を新しい物に変えながら、クリスタを訝しげに睨みつけていた
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- 14 : 2015/11/22(日) 08:50:13 :
- PVが200超えました
ありがとうございますペコリ
クリスタを保護して一安心する三人を遠くから見つめる影が三つ。
「おい、どうすんだよ。クリスタ嬢を見つけたと思ったら変な奴らに保護されたぞ」
「ふふふ、大丈夫だよ。私の計算通りだから」
「本当に大丈夫なんですか?」
「うるせぇよ。私の嫁の計算が狂うわけないだろ。てか、お前は何を食べてんだよ」
「見て分かりませんか?芋ですが?」
「その芋どっから持ってきた?」
「??ユミルの食糧の中ですが?」
ユミル「サシャ、てめぇ!今日という今日は殺す!死んで詫びろ!」
サシャ「なんでユミルは興奮してるんですか!?ヒストリア助けてください!」
ヒストリア「二人共緊張感を持ってよ」
ユミル「あぁん?大丈夫だろ。あいつら三人の情報は見たけど強そうな奴はいなかったし」
サシャ「えぇっと、誰でしたっけ?ア、アクリルでしたっけ?」
ヒストリア「アルミンね」
サシャ「そうです。あまり強そうとは思えないんですけど」
ユミル「それに関しちゃ芋女と同感だな。ミカサとかいう奴にしろ、エレンにしろ強いとは思えねぇ。しかも、エレンって奴は異能を持っていない無能力者っていうじゃねぇか。雑魚だよ雑魚」
ヒストリア「ユミル、エレンを舐めない方がいいよ。ユミルよりも強いからさ」
ユミル「ヒストリアはエレンって奴にご執心だな。嫉妬しちまうぜ」
ヒストリア「はぁ、二人共行こっか」
サシャ「帰りにラーメン屋に寄ってもいいですか!?」
ユミル「お前の奢りな」
サシャ「!?」
二人は雑談をしながら、裏路地へ姿を消す。
一人残ったヒストリアと呼ばれる金髪の少女は恍惚とした顔でエレンを見つめる。
ヒストリア「はぁ...エレンかっこいい。
あの時よりも強くなったんだね。
こんなに離れているのに鳥肌が立っちゃったよ。
あぁ、早く会いたいな
早く殺し合いたいな」
ヒストリアは月明かりに溶けるように姿を消した
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- 15 : 2015/11/22(日) 15:05:47 :
- ヒストリアヤンデレ!?期待です
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- 16 : 2015/11/22(日) 15:40:37 :
- 期待!
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- 17 : 2015/11/23(月) 15:36:24 :
- エレン「おい、クリスタ」
クリスタ「は、はい!」
エレン達は保護対象を保護し、三人が住むカフェへと連れ帰った。
そして今、クリスタはーースパルタなお料理教室の最中だった。
事の始まりはエレンの一言
エレン「で、こいつは何の仕事させるんだ?」
だった。
クリスタは頭上に疑問符を浮かべる。
顔には仕事なにそれ美味しいの?と書かれていた。
アルミン「エレン、何を言ってるの?彼女は保護対象で、仕事をさせるために連れてきたわけじゃないよ?」
その通りだ。
護衛対象までに仕事を強要してしまったら、仕事中に襲撃を受けてしまうかもしれない。
そんあ事態を避けるためには、仕事中は安全な位置で隠れてもらうのが一番安全だった。
エレン「アルミン、お前こそ何を言ってんだ。働かざるもの食うべからずだ。俺達に保護されている間はそいつも俺達にご馳走してもらうわけなんだから働け」
アルミン「だからねーー」
エレン「それに働いている最中だって、俺達のそばが安全なんだ。目の届く所に置くんだから、ポツンと座らせておくよりも働かせた方が効率がいい」
エレンの言葉にアルミンも「確かに」と呟く。
そして、クリスタの働く役割を決める話し合いが始まった。
その間クリスタは終始顔は引き攣っていた。
そして、クリスタは料理担当となり、料理担当だったエレンからメニューの作り方を教えられていた
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- 18 : 2015/11/24(火) 15:12:31 :
- クリスタ「ふぁ、疲れた...」
エレン「ほらよ、コーヒーだ。お好みで砂糖とミルクを入れろよ」
エレンはクリスタの向かいの椅子に座り、クリスタにコーヒーを渡す
クリスタは砂糖を三つとミルクを2個入れてスプーンでかき混ぜながら、エレンを見る。
エレンは砂糖とミルクを一つずつ入れて、咥えていたチュッパチャプスでかき混ぜる
かき混ぜ終わったチュッパチャプスを再び咥えたエレンをクリスタは、信じられないものを見たという表情で見つめる
エレン「なんだ?」
クリスタ「いや...美味しい?」
エレン「コーヒーか?ミカサが入れるコーヒーはうまいから飲んでみろよ」
クリスタ「いや、そっちじゃないんだけどね」
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- 19 : 2015/11/24(火) 17:42:01 :
- 期待です
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- 20 : 2015/11/25(水) 19:11:24 :
- 湯気が立ち上るコップで暖まるクリスタはカフェの中を見渡す
木材で建てられたレトロな家
所々に焦げあとや修理跡が見られる
何がここであったのかは容易に想像がついた
エレン「ん?なんだ?」
クリスタの目の前に座る少年
彼らは【鴉】と名乗った
【鴉】ならクリスタも知っている
化け物を殺す化け物、警察も手を拱いた化け物で構成された最強で最凶な警察組織の一部
鴉のように善も悪も食い散らす【鴉】
敵になったら最悪だが、味方であればこれ以上心強い仲間はいない
クリスタ「そういえば、エレンは異能を使わないんだね」
エレン「ん?いきなりなんだ」
クリスタ「いや、さっき助けられた時に1度も使わなかったなと思ってね。使わなくても楽勝だったからと思ったんだけど」
気になってねとクリスタは続ける
エレンは少し顔を歪ませる
ミカサ「エレンは無能力者、異能を持たない存在」
クリスタ「そ、そうなんだ!変なことを聞いてごめんね」
エレン「気にするな」
カフェを嫌な雰囲気が包む
アルミンが小さく何かを呟くがクリスタはそれどころではなかった
怖い
自分よりも強い相手が怒っているかもと思うと怖かった
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- 21 : 2015/11/25(水) 21:20:05 :
- 期待です
続き楽しみ
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- 22 : 2015/11/25(水) 22:45:50 :
- あれ?無能力者なのになんで地獄にいるの?
期待
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- 23 : 2015/11/25(水) 22:46:47 :
- >>22
おいおい理由は説明していきまふ
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- 24 : 2015/11/26(木) 00:04:31 :
- エレクリですか?期待です‼
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- 25 : 2015/11/26(木) 23:15:13 :
- エレン「そんなに怖がるな。お前には手を上げようなんてしねぇよ。俺は格段にこの二人より弱いからな」
アルミン「そんなことないよ。エレンは強いじゃないか」
ミカサ「アルミンの言う通り、エレンは強い」
エレン「謙遜はやめろ。絶対に敵わない奴に褒められても嬉しくねぇよ」
アルミン「本当に敵わないと思ってる?」
急にアルミンの声が冷たくなった
恐怖を抱かせるほどの声音だ
エレン「あぁ、思ってるぞ。事実、アルミンとミカサと稽古しても手も足も出ないだろ」
アルミン「そうだね。君は異能を使ってない状態の話だけどね」
ミカサ「アルミン、何を言ってるの。エレンは無能力者なので、異能を使ってないのが普通」
アルミン「そうかな?もし、エレンが無能力者ではなかったら?」
エレン「何が言いたいんだ?」
アルミン「昔から疑問だったんだけど、なんで異能者の監獄である地獄に無能力者がいるの?おかしいと思わないの?」
-
- 26 : 2015/11/27(金) 00:53:30 :
- 期待です(´°ω°)ノ
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- 27 : 2015/11/28(土) 00:41:05 :
- 「確かに」とミカサが呟く
私も理解した
異能者しかいないはずのこの壁の中に、無能力者が果たしているのか?
おかしい
アルミン「ねぇ、君は何を隠しているの?」
アルミンがエレンを追い詰める
逃げ場のない隅へと
エレンはアルミンを睨む
アルミン「僕を仲間と思わない方がいいよ。僕が君の近くにいつもいるのは依頼を受けてだって知ってるよね」
エレン「あぁ」
アルミン「教えてよ。あの大罪人、グリシャ・イェーガーの息子である君の秘密を」
アルミンがエレンの目を見つめる
エレンの目が徐々に虚ろになっていく
何かに囚われるように
エレン「俺はーー「アルミン!」
エレンの声を遮ってミカサが怒鳴る
ミカサ「アルミン、異能を切ることをオススメする。死にたくなければ」
アルミン「ミカサは怖いね。君が僕を殺せるとでも思ってるの?」
ミカサ「やる気?」
二人の間で火花が飛び散る
殺気が膨れ上がり、場が凍り付く
エレン「おい、二人共やめろ」
いつの間にかアルミンの異能らしきものから逃れたエレンが立っていた
エレン「気付かないのか?」
アルミン「何が?」
ミカサ「囲まれている」
クリスタ「えっ」
エレン「三人だな」
ミカサ「うん」
エレン「カフェの前で堂々と構える奴、裏口に立っている奴、裏口に立つ奴の後方で立っている奴のどれに行く?」
ミカサ「私は後方の奴を相手する。先程から挑発されている ので」
アルミン「じゃあ、僕は裏口の子にしようかな」
エレン「なら、俺は目の前の相手か」
-
- 28 : 2015/11/28(土) 07:00:05 :
- 面白い。四作見てるけど全部いい。
期待です。
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- 29 : 2015/11/29(日) 23:56:59 :
- アルミン「はぁ、いいところで邪魔してくれちゃったね」
アルミンは裏口を出た所にいた堂々と立つ男に吐き捨てる
「いい所?何を言ってるんだ。今ここがまさにいいところだろ?」
アルミン「何を言ってるの?」
「今まさに戦闘が始まろうとしてるんだぜ?コーフンするじゃねえか。最高だろ?最高に決まってんじゃねえか」
アルミン「あぁ、ただの戦闘狂か」
「そんな頭の悪い連中と一緒にしないでくれ。俺は戦闘を一種の娯楽と考えてるだけだ」
アルミン「その思考が戦闘狂だっての」
「お前は頭の悪いのか?」
アルミン「それはこっちのセリフだよ」
「お前とは合わないな」
アルミン「戦闘狂と趣味が合うとか最悪でしょ」
コニー「戦闘狂じゃねえ。コニー・スプリンガー様だ」
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- 30 : 2015/11/30(月) 04:58:36 :
- アルミンの能力がすごく気になる
-
- 31 : 2015/11/30(月) 21:06:16 :
- 「やっほー」
戦場に舞い降りたミカサにかけられた第一声は気の抜けるような気軽なものだった
戦場ではハンバーガーを食す少女が、ベンチに腰掛けて手を振っている
ミカサ「貴女が私に挑発してきた子?」
「そうだよ」
少女は何食わぬ顔で肯定する
ミカサ「殺す」
「あはは、そんなに怒らないでよ。ただ、あの目付きの悪い子が虐殺される幻覚を見せてあげただけじゃない」
大声を上げて少女は笑う
それに伴い、ミカサの殺気は膨らむ一方だった
「もしかして、好きとか?」
ミカサ「好き?仲間の虐殺を見て怒らない人間が存在すると思う?」
「つまりは好きではないと?」
ミカサ「私には人を愛す心などはない?」
「心がない?それは矛盾するよね。心がないならどうしてーー」
怒ったの?と少女が言った途端に、ミカサが動く
矢のように飛び出したミカサが、少女の脳天めがけて踵を振り下ろす
少女は難なく躱し、笑う
「図星?図星なのか?」
ミカサ「少しは黙れないの?亀頭娘」
ミーナ「あー、もう怒った!!!私にはミーナって可愛らしい名前があるんだから!!!」
ミカサ「うるさい、亀頭」
ミーナ「きぃー、殺す殺す!!!」
ミカサ「貴女に私が殺せると思わない方がいい」
ミーナ「えっ、もう貴女死んでるのに?」
ミーナの台詞に遅れて、ズサッとミカサの胸から刃物の刃先が顔を出す
ミカサ「な、なぜ..」
ミカサは口から多量の血を吐きながら疑問を投げかける
胸から生える刃物は、ミカサの血で赤く染まる
ミーナ「さっき私は言ったじゃない。幻覚を見せてあげたって」
次にミーナの声が聞こえたのはミカサの後方
ミカサに刺した刃物の鍔を持って、前にいたはずのミーナが後ろに出現する
ミカサ「私が最初から話してたのは..」
ミーナ「そう、幻覚だよ?私はずっと後ろにいたのに気付かないんだもん。笑っちゃったよ」
気さくに笑うミーナはミカサから刃物を抜き取る
その際に多量の血が吹き出るが気にしない
ミカサの身体は力を失い、地面へと倒れた
ミーナ「あーあ、死んじゃった」
-
- 32 : 2015/12/01(火) 07:18:49 :
- ミカサァァァァァァァァァァ!!!
-
- 33 : 2015/12/02(水) 21:23:16 :
- エレン「ふぁ、コーヒー飲んだのに眠い」
大きな口を開いて欠伸を漏らす
緊張感もクソもない
エレンからは負けるなんて思っていない雰囲気が醸し出されていた
「おい餓鬼、何眠そうにしてんだ」
エレン「あぁん?眠そうじゃねぇよ。眠いんだ。そんなことも理解出来ないのか餓鬼」
売り言葉に買い言葉
暴言に暴言で返す
子供の喧嘩が繰り広げられる
罵倒に罵倒を重ねる子供の戦いは長い間続き
「ばーかばーか」
エレン「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぞ」
小学生から幼稚園生まで退化した喧嘩になっていた
緊張感なんてない
血を流す戦いが始まる気配がない
そんな平和が壊れたのは突然だった
エレン「馬面!」
平和を壊れたのはエレンが放った一言
「お前、言ってはいけない言葉を言ったな」
エレン「は?」
ジャン「俺は馬面じゃねぇ、ジャンっていう名前があんだよ」
エレン「お前の名前なんて興味ねぇよ」
ジャン「うるせぇ、お前は地雷を踏み抜いたんだ。死ぬ覚悟は出来てんのか?」
エレン「はぁ?散々罵倒を繰り返したんだ。お前こそ死ぬ覚悟は出来てるか?」
エレンは前回同様に、長刀と短剣を取り出す
ジャンはエレンの取り出した長刀を見て疑問に思う
ジャン「お前、どこからそんな長い刀を取り出した?」
エレン「服の中からだよ」
ジャン「自分の服に入りそうもない刀をか?」
誰も疑問に思わなかった疑問
その疑問をジャンは投げかける
その質問にエレンはーーーー
顔を歪ませて笑った
-
- 34 : 2015/12/03(木) 00:59:21 :
- コニー「はぁはぁ、有り得ねぇ」
コニーは先程までの強気な様子を影に潜めて、愚痴をこぼす
コニー「あいつ、化け物じゃねぇか」
アルミン「かくれんぼかな?僕が鬼で君が隠れるんだね」
楽しそうに話す声が聞こえる
コニーに恐怖を植え付ける
コニー「くそっ!話と違う!雑魚が相手だって言ってたじゃないか!!」
アルミン「どこ〜?どこにいるの〜?」
コニー「俺はこの依頼から降りるからな!!」
アルミン「みーつけた」
コニーが立とうとした途端、首筋に当てられる拳銃の冷たい感触
見つかった?
なぜ?俺の気配を消すことが出来る『隠密』は完璧だった
アルミン「なんで俺の『隠密』を破ることが出来たんだ?とか考えてるでしょ」
コニー「なっ!?なんで俺の異能を知ってる!?」
アルミン「君には到底分からない理由だよ。まぁ、ヒントを与えるとしたら僕は今、君の何の声を読み取ったかが僕の異能のヒントだよ」
コニー「俺の声?」
アルミン「じゃあね」
暗闇が支配する牢獄の町に、甲高い銃声が鳴り響いた
-
- 35 : 2015/12/03(木) 01:19:27 :
- ミーナ「あーあ、つまらないつまらない。つまらなーい」
ミカサとの戦いを終え、ミーナは大声で怒鳴り散らす
ミーナは依頼主から、ミカサは強い異能者だと聞かされていた
そんな強い異能者に自分の力がどれだけ通用するか、ワクワクした気持ちで戦いに挑んだ結果は
雑魚、小物、平凡
弱い弱い弱い弱い弱い弱い弱い
今まで殺した中で一番の雑魚
有り得ない
ミーナ「本当に有り得ない。こんなことだったらジャンの方の無能者の方がマシでしょ」
まぁ、雑魚には変わりないけどと呟きミーナは歩みを始める
「何処に行くの?」
そんなミーナの歩みを止める声が後方から聞こえる
ミーナ「いやいや、有り得ない。幻覚かなー、幻覚の異能者が幻覚を聞いちゃうとか笑い話だね」
「幻覚?私の声は幻覚ではない」
やはり、はっきりと聞こえる
先程殺したはずの女の声が
有り得ない
有り得ない
ミーナ「有り得ない!!!!なんで生きてるのよ!!!」
ミーナが振り向いた先にいたのは、予想した通りの人物
ミカサが立っている
胸には傷跡など一切なく、ミーナ自身が刺した幻覚を見たのではないかと錯覚するほどだった
地面にはミカサが流した血は存在しない
ミーナ「分からない。どうして生きてるの?分からない分からない。分からないけど、もう一回殺せばいっか!」
ミーナはミカサを斬る
今度は間違っても殺し損ねないように何度も斬っておく
血が飛び散り、ミーナにも多くの血がかかる
暖かい
この暖かさは偽物じゃない
偽物じゃないのに...
ミーナ「今度は絶対に殺したはず」
ミカサ「誰を?」
どうして
どうしてーーー
ミーナ「死なないのよ!!!!!」
-
- 36 : 2015/12/03(木) 03:19:28 :
- ジャン「おいおい、まだまだ踊ろうぜ!」
大声を上げてジャンはエレンに斬り掛かる
ジャンの振るった刀を刀で受け止めて押し返す
これで何回目防いだだろう
考える暇もなく次々に斬撃が襲いかかる
火花を散らし、刀と刀が衝突する
ジャン「スピードアップ」
ジャンが目の前から消え、後ろに姿を現す
ジャンの異能は『速度』
一定時間だが自分や相手の速度を調節することが出来る能力
自分の速度を上げて、ジャンは一瞬にしてエレンの後ろに回り込んだ
エレン「ちっ」
舌打ちを残し、エレンは前に転がる
遅れてエレンのいた場所にジャンの刀が振るわれた
ジャン「よく躱したな」
エレン「お前より厄介な相手と稽古してたおかげだな」
ジャン「俺よりも厄介な相手?ははっ、馬鹿言うんじゃねぇよ。俺の速度よりも厄介な異能なんて存在しねぇよ」
ジャンは笑う
自分の異能こそ最強と信じて疑わない笑い
エレン「いや、お前の異能はそこまで厄介じゃねぇよ。ただ単に速くなるだけだ。それも時間制限付きだ。脅威と言えば脅威だが、対処の方法はないわけじゃない」
ジャン「無能者が生意気言いやがって」
エレン「異能者が偉いわけじゃないんだ。生意気言ってもいいじゃねぇか...それに俺は無能者じゃねぇよ」
-
- 37 : 2015/12/03(木) 03:55:37 :
- エレンの言葉にジャンは矛盾を感じる
依頼主からはエレンは無能者であると聞いている
だが、エレンは無能者ではないと言う
どっちが本当か迷いが生じる
エレンは無能者ではないかもしれない可能性が警戒心を生み出すーー何も聞いていない人間ならば
ジャン「お前の戦い方は聞いてるぜ。相手に嘘をついて混乱させる戦い方だろ?口癖はなんだったけな...戦いには騙し合いが付き物だろ?だっけ?」
ジャンは依頼主からエレンの性格までも聞いていた
有りもしない異能をでっち上げ、相手を騙し倒す戦い方
卑怯だが無能者が異能者を倒すやり方としては正しいと言える
だがその戦い方は相手がエレンの戦い方を知らないこと前提で成り立つ戦闘方法だ
知られた今、エレンは負けが確定したことを意味する
意味するが
ジャン(なんだこの予感は...全身を駆け巡る嫌な予感が)
エレン「ジャン、いいことを教えてやるよ。騙し合いは戦いの前から始まってるんだぜ」
エレンが動く
長刀をジャンに向けて投げる
ジャン「スピードアップ」
ジャンは投げられた刀を避け、一瞬でエレンの懐に潜り込む
ジャンは刀をエレンの腹めがけて振るう
キンッ、とジャンの刀をエレンの短剣が受け止める金属音が鳴る
しかし、ジャンも受け止められることは予想内
ジャン「スピードアップ」
異能の二連
ジャンは先程見せた目の前から一瞬にして後ろに回り込む芸当を再び見せつける
ジャンはエレンの肩に手を置く
ジャン「スピードダウン」
ジャンの異能は勘違いされることが多いが、速度を上げる異能ではない
速度を調節することが出来る異能だ
速度を速めることも出来れば、遅くすることも出来る
相手を遅くするならば、遅くする対象の身体の一部に触れて異能を発動すれば一定時間遅くすることが出来る
ジャン(これでエレンは五秒間だが動きが遅くなる。五秒も遅くなれば十分だ。一瞬にして胸を指すことは容易だ)
ジャンは動きが鈍足になったエレンに刀を振り下ろす
勝った
あの大罪人の子供に勝った
ジャンは自分の勝利を疑わない
自分の異能を疑わない
それが
エレン「お前の敗因だな」
ジャンの振り下ろされた刀はエレンの素手によって受け止められる
ジャン「嘘だろ!?」
ジャンが驚きの声を上げる
当たり前だ
エレンが刀を素手で受け止めたことも信じられないが、一番信じられないのは
ジャンの異能でエレンの動きを遅めたはずだったのだ
そして、ジャン自身にかけたスピードアップもまだ解けてはいない
動きが遅くなった状態で、動きの速くなったジャンの攻撃を受け止める
不可能なはずの行為だ
エレン「さっき言っただろ?俺は無能者じゃないって。信じなかったのはお前だぜ?」
ジャン「まさか...お前」
エレン「騙される方が悪いんだぜ」
悲鳴にも似た負け犬の雄叫びが暗闇の夜に轟く
勝負の敗者は容赦のない勝者の蹴りに沈んだ
その光景を屋根の上で観戦する影が一つ
「エレンが無能者じゃないと知れたのは収穫だけど、どんな異能かさっぱり分からないのが残念だね。はぁ、ジャンも役に立たないね」
その人影は三人に依頼を出した本人
エレン・イェーガーを一番警戒する者だった
その人影は、エレン・イェーガーに気付かれる前にそさくさとその場から去っていった
-
- 38 : 2015/12/03(木) 04:04:31 :
- 面白いです(/´∀`*)期待だぁ
-
- 39 : 2015/12/03(木) 05:14:10 :
- クリスタ「エレン、終わったの?」
カフェの扉から少しだけ顔を出すクリスタ
エレンはその姿に笑いが込み上げる
小動物のようで癒される反面、クリスタに顔が似た少女が、絶対にやらない行動をしてる違和感が面白かった
エレン「あぁ、終わったよ」
エレンは倒れているジャンを指差して勝ったことを証明する
クリスタは安全を確認し、小走りでエレンに近寄る
クリスタ「死んでるの?」
エレン「いや、気絶してるだけだ。こいつには色々と話してもらわないといけないからな」
ミカサ「それは必要ない」
エレン「ミカサ、勝ったのか」
ミカサが無傷で帰還する
肩に背負った少女は凄い恐怖を体験したのだろう
小刻みに震えながら、死なない死なないと呟いている
ミカサ「それほど強い相手でもなかったので、負けることは無かった」
エレン「そうか、それでその必要がないっていうのはどういう事だ?」
ミカサ「なぜカフェを狙ったのかは聞いた。依頼主に依頼されて襲ったと言っていた」
エレン「その依頼主は?」
ミカサ「分からないらしい。フードを深く被り、素性がバレないようにしてたと言っていた」
エレン「そうか」
ミカサ「しかし、小柄で柔らかな口調だと言っていた」
エレン「ふーん、小柄で柔らかな口調ね..」
アルミン「あっ、二人共倒せたんだね」
ミカサに遅れてアルミンが姿を現す
アルミンもミカサと同じく無傷
しかし、ミカサと違うのは倒したであろう敵が見当たらないところだ
エレン「アルミン、敵はどうした?」
アルミン「ああ、生かしてたら危険が及ぶ可能性がある以上殺すしかないでしょ?」
平然と言いのけるアルミン
殺すのが当たり前と思っている顔だ
エレンは苛立ちを覚える
エレン「なぁアルミン、今回の襲撃の目的はなんだと思う?」
アルミン「そうだね。タイミング的に考えてクリスタの殺害かな?」
ミカサ「私もそう思う」
エレン「そうか?それにしては早くないか?」
ミカサ「早い?」
エレン「クリスタを保護したのが今日の昼頃だ。なのにクリスタがカフェにいると把握するのに半日もかかっていない。いくら何でも早すぎる」
アルミン「そう?」
エレン「クリスタを狙っていたならこの三人の動きは不可解なんだよ。クリスタというよりも俺達三人を狙っていた」
ミカサ「??」
エレン「カフェに乗り込まずに外で一対一をしたのがいい証拠だ。一対一なんかせずともカフェに乗り込んでこれば勝機はあった」
エレンは「アルミンはどう思う」と言葉を続ける
アルミンは何も言わない
無言を貫く
エレン「依頼主はお前だろ?」
ーーTo be continuedーー
-
- 40 : 2015/12/03(木) 07:23:45 :
- 乙。面白かった。
読きを書いてくれ。
-
- 41 : 2015/12/03(木) 19:53:46 :
- めっちゃ面白い
-
- 42 : 2015/12/13(日) 07:22:23 :
- 続きまだかなぁ
待ってます
-
- 43 : 2015/12/29(火) 17:25:35 :
- これなんかのアニメですか?もしそうでしたらなんのアニメか教えてください
-
- 44 : 2016/01/02(土) 02:50:57 :
- 続きまだー?
-
- 45 : 2016/01/16(土) 19:18:17 :
- >>43
完全オリジナルでふ
キャラは進撃ですが
-
- 46 : 2016/04/05(火) 19:24:06 :
- 続きは出ますか!?
期待してます!( ^ω^ )
-
- 47 : 2016/08/12(金) 07:08:59 :
- こちらの作品、冬式さんとコラボすることとなりました
(コラボというよりは、この作品を冬式さん風にアレンジした進行作品ですが)
ということで、こちらの作品も続けますが、冬式さんhttp://www.ssnote.net/users/huyuの描く作品も宜しくお願いします
-
- 48 : 2018/01/20(土) 00:32:30 :
- 続きまだですか?
-
- 49 : 2018/11/23(金) 19:25:29 :
- もう続きかかないんですか?
期待です
-
- 50 : 2018/11/23(金) 19:33:01 :
- ヒント:2年前のss
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
エレン「善と悪の方程式」 シリーズ
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