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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

この作品は執筆を終了しています。

Long-Goodbye~シンデレラ後日談~【R15】

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  1. 1 : : 2015/11/15(日) 22:08:52
    こんばんは。執筆を始めさせていただきます。

    以前、リクエストいただきました、進撃の調査劇団~シンデレラ~の後日談を今回描いていきたいと思います。

    題名にも表示しましたが、今回は数珠繋ぎ作品のなかでも、過激な表現がいくつか登場する(…気持ちで挑戦する…)予定です。

    性的な表現や、グロテスクな表現が苦手という方は、閲覧をお控えください。

    その他の条件はこちら↓↓↓

    * 不定期な更新

    * リヴァハン要素あり

    * ハンジさんは、女性設定(良くも悪くも、女性であることを大きく表現していきます)

    * シリアス展開

    * アニメオリジナル要素含む(原作、コミックス派の方、ご注意ください)

    * 読みやすさを優先し、コメントを制限させていただきます

    以上の条件でもかまわない、という方は、ぜひよろしくお願いします。
  2. 2 : : 2015/11/15(日) 22:21:14
    屈強な胸の内に潜む何かに揺り起こされ、リヴァイは目を覚ました。


    その“何か”が何であるのか、リヴァイは理解してはいたが認めた事は1度たりとも無かった。


    次第に意識がはっきりしてくるー窓からは弱々しく朝日が射しこめている。


    もう、起きなければならない。そして兵士長としての務めを果たさなければならない。


    リヴァイは寝床を整えた。寝巻きを几帳面なくらいにきれいに畳み、枕元に置く。


    兵士長という階級により与えられた個室の中で、洗面で顔を洗い、歯を磨く。


    そして鏡の中の自分に問う。


    今朝も共に目覚めた何かと、今夜も共に眠りに落ちてゆくのかと。


    鏡の中の自分は答える。


    ー分からない。だがしばらくは、その何かとはお別れをしなければならない…それが、人類最強の兵士と呼ばれる男の、在るべき姿なのだ、と。


    ため息をつく。鏡に背を向けようとして、壁外で負傷した足に痛みが走る。


    苦痛に思わず顔を歪める。そしてそのまま歩を進める。


    胸の内に潜む“何か”ー寂しさと名付けてしまったそれと、暫しのお別れをした後で。




    ーLong-Goodbye
  3. 3 : : 2015/11/16(月) 21:33:22
    次第に明るくなってゆく廊下を1人歩く。


    誰ともすれ違う事の無いまま、回想にふける。


    『リヴァイも…寂しかったら、いつでも私のところへおいで。ハンジさんが優しく受け止めてあ・げ・る』


    調査劇団での舞台公演…舞台袖でハンジは自分にそう言った…強引に押し倒されたにもかかわらず、平然と。


    そう、あいつは…


    カチャ…


    静まり返った廊下に、乾いた音が響く。リヴァイが歩く先の扉の1つが開く音。


    ほんの少し開かれた扉から1人の男が出ていく。そしてそのまま廊下の向こうへと走り去ってゆく。まるで人目を凌ぐように。


    その扉の部屋の主が誰なのか、リヴァイは分かっていた。だが出ていった男が誰なのか、リヴァイは分からなかった。


    追いかければ、顔くらい確認できたかもしれない…だがリヴァイはそれをしなかった。


    すると再び扉が開かれ、見慣れた顔が覗く。


    「あ…」


    「てめぇにしちゃ早起きだなハンジ」


    調査兵団第四分隊長、ハンジ・ゾエは、廊下に出るなり大きく伸びをする。


    「ふあぁぁ…なんか目が覚めちゃってね。そういうリヴァイこそ早いじゃん。まだ誰も起きて来ないのに」


    外はようやく白み始めている。非番の兵士でなくとも、起床時間にはまだ早い。


    目覚めているのはリヴァイとハンジーそして先程の男性兵士くらいだろう。


    「ハンジ」


    「ん…なに?」


    彼女はリヴァイに笑顔を向けた。取って付けたように、お腹空いたね、などと軽口を叩きながら。


    「さっきの男と何をしていた」


    ハンジの表情が固まる。リヴァイはもう1度問う。


    「さっきお前の部屋から出ていった男と、何をしていた」


    ハンジは微笑んだ。彼女は髪をおろしていた。トレードマークのメガネもゴーグルも、今は身につけていない。


    寝巻きのまま佇む姿は、色香を漂わせていた。少なくとも、リヴァイにはそう見えた。おそらく、今兵団のどこかにいる先ほどの兵士にも、そう見えたのだろう。


    だが彼女も変わらなければならない。困難をものともせず、人類の勝利の道標となる、ハンジ・ゾエの姿に。


    「えっと…」


    リヴァイの問いに、彼女は言い淀んだ。その手はしきりに下腹部をさすっている。


    痛みが残っているのだろうか…リヴァイは息をついた。


    「その…ほらあれだよあれ」


    彼女は言った。


    「トランプ」


    彼女の答えに、リヴァイは鼻で笑い、再び歩を進める。


    「…とんだババ抜きだ」


    すれ違いざまに、そう言ってやる。


    不安と恐怖を拭いきれない兵士に…肉体という手段を用いて慰めようとする、彼女に向かって。
  4. 4 : : 2015/11/17(火) 21:15:13
    第57回壁外調査から2日が経過していた。


    その結果得られたもの…多くの損害、犠牲…


    それと、この痛み、か。


    食堂の隅に腰掛け、リヴァイはそう付け加えた。


    周りは静かだが、微かに兵士たちが起床し、活動し始める気配がする。


    湯気が立ちこめる紅茶を口に運びながら、リヴァイは1枚の紙を広げる。それは今日付けの新聞だった。


    その内容は…兵団への批判、王政の発表する下らない創作記事…そんな記事がはびこる紙面の片隅…リヴァイは迷う事なくそこに視線を落とす。


    しかし目的の記事は見つからず、リヴァイはわずかに眉を潜める。


    本日休載とだけ書かれた、小さな区画…そう、昨日もそうだった。


    リヴァイはそれを確認するなり、すぐに新聞を机の隅に置くと、紅茶を飲み、朝食を食べる。


    彼が探していたもの。それは、1つの物語だった。
  5. 5 : : 2015/11/17(火) 21:32:34
    ニコラス・デュフナー。有力貴族の御曹司。


    ドルテ・カーフェン。貧しい家庭に生まれ、娼婦となった娘。


    身分の違う2人は恋に落ちた…ありふれた三文小説。


    リヴァイがその連載小説を見つけたのは、1ヵ月ほど前だった。


    それはほんの偶然だった。ちょうど何かのーほんの些細な事で覚えていないー用事で街を歩いている時の事だった。


    1枚の紙が、風に舞っていた。行き場を探し求めるように。


    そしてそれはリヴァイの足に絡み付いた。待ってくれと言わんばかりに。


    仕方なくそれを拾う。


    「…チッ…」


    そのまま放り投げてしまおう。行き着くべき場所へ行けば良い。


    しかしそこでリヴァイは、紙面のある一文が目に留まった。


    『君を愛する事で、僕は寂しささえも愛してしまったんだ』


    物語の主人公、ニコラス・デュフナーの台詞だった。


    リヴァイは急いでいる足さえ止め、その一文が描かれた物語に、いつしか目を走らせていた。


    正直、どうでも良い…紙の上の男女が結ばれようが別れようが、自分には関係ない。


    ただ、ほんの少し…明日を迎える理由ができたと、リヴァイは思った。兵士としてではなく、1人の人間として、ほんの少しだけ。


    そしてその日から、朝を迎えるたび、リヴァイは2人の運命を、静かに見守っていたのである。


    だがそれも不意に終わりを迎えた。何の前触れも無く、理不尽な理由すら無いままで。
  6. 6 : : 2015/11/21(土) 21:31:19
    「リ~ヴァイ」


    その声に思わず我に返る。ハンジだ。


    ハンジはリヴァイの向かいの席に腰掛け、彼の手の中にある新聞を目にし、苦笑する。


    「またそんなの読んでたの?全く…君も物好きだね」


    ハンジはリヴァイが毎朝新聞に目を通す本当の理由を知らない。リヴァイもとくに話してはいない。その必要がないから。


    「朝から元気だけはあるな。ハンジ」


    「まあね」


    当然の事ながら、彼女は寝巻きから兵服に着替えていた。その眼鏡の奥には、探求の光をたたえる瞳がある。


    すでにそこには、憂いに満ちた女の姿は無い。


    まったく…女というやつは。彼女の素早い変貌に、リヴァイは内心舌を巻いた。


    「ところで…そっちはどうだ…報告は、済んだのか」


    リヴァイの問いに、ハンジは真顔で頷き


    「私の方は、だいたいね。リヴァイの方こそ大丈夫なの?ケガしてるとはいえ…その、今回犠牲になった兵士のほとんどを、任せちゃってるけど」


    彼らの言う報告、というのは、先日の壁外調査で犠牲となった兵士の遺品をまとめ、遺族のもとへその旨を伝えて回る、というものだった。


    原則として、その役目は犠牲となった兵士の直属の上官が行うものとしているが、今回リヴァイはそのほとんどを自ら引き受けている。


    「問題無い。寧ろ…する事があった方が、多少気は休まる」


    リヴァイはそう言って、冷めかけた紅茶を口にした。


    彼は今、戦線離脱を強いられている。壁外で突如として現れた女型の巨人との交戦で、右足を負傷しているのだ。


    「もう、全部終わったの?」


    ハンジの問いに、リヴァイは視線を落とし


    「…あとはイヴァンの家だ」


    イヴァン。彼もまた、壁外で犠牲となった兵士の1人だった。


    当初、回収不能だった彼の遺体を持ち帰るべく、2人の同郷の幼なじみが隊列を離れ、単独で遺体を奪還しようとした。


    その結果、陣形に巨人を誘き寄せてしまい…そして…


    リヴァイはここで回想を打ち切った。もう、過去の事だ。


    そしてハンジに向かい、言った。


    「イヴァンの家にも、俺が必ず行く。ハンジ…お前は自分のすべき事をやれ」


    ハンジは微笑んだ。


    「うん…分かったよ。リヴァイ」


    自分のすべき事。その言葉はハンジに重くのし掛かった。彼の知らない、心の片隅で。
  7. 7 : : 2015/11/21(土) 21:56:31
    ウォール・ローゼの南に、イヴァンの生家はあった。


    周りに建ち並ぶ民家に比べ、小綺麗な造りになっている。比較的裕福な家庭なのだろう。


    磨き上げられた扉を軽く叩く。程なくして、母親とおぼしき中年女性が顔を出す。


    調査兵団の兵服に身を包んだリヴァイを見て、全てを悟ったのか、その表情はすぐに引きつった。


    遺品を抱えたまま、室内に通される。居間には父親の姿もあった。


    余計な感情は入れない。遺品を差し出し、事実のみを正確に伝える。それがどんなに、残酷なものであっても。


    すぐに、母親がその場に泣き崩れる。父親はそんな妻の肩を支え、すすり泣く。


    そんな2人を残したまま立ち去ろうとするリヴァイを、父親が呼び留める。


    「…すみません…1つだけ、頼みたい事があるのですが…」


    そう言って父親は、リヴァイに1通の手紙を差し出す。


    「息子の部屋にあった物なのですが…どうやら息子は、毎月この宛名の人物に手紙を送っていたらしく…私どもが、誰なのか、と聞いても…いずれ話すの一点張りで…名前を見るかぎり、女性の物ですので、もしかしたらと思ってはいたのですが…」


    父親はそこで言葉を切り、服の袖口で涙を拭うと


    「お願いです。息子の最後の手紙を…その宛名の女性に届けてはもらえませんでしょうか…」


    リヴァイは、今一度手紙を見る…が、宛名は記してあっても、住所は書かれていない。直接手渡すつもりだったのだろうか。


    「お願いします…息子の…イヴァンの代わりに…」


    父親はそう言葉を重ねる。母親もエプロンの裾で涙を拭い、夫と共に頭を下げている。


    リヴァイは言った。


    「…分かった。必ず届ける…イヴァンの代わりにな」


    その言葉に、夫婦は寄り添いながら、再び涙を流し


    「ありがとうございます…本当に…本当に…」


    イヴァンの生家を後にしながら、リヴァイは再び手紙に視線を落とした。


    そこに記された名前。


    アンドレア・バルマー。


    …なぜだろう。どこかで見覚えのある名前だった。
  8. 8 : : 2015/11/22(日) 21:33:25
    リヴァイはその足で調査兵団本部へと戻り、休憩中のディターを呼び出した。


    ディターはイヴァンと同郷で幼なじみであり、壁外でイヴァンの遺体を持ち帰ろうと奮闘した1人でもある。


    …ディターと共にイヴァンを故郷へ連れ帰ろうと馬を走らせたもう1人の友人は、引き連れて来た巨人に喰われ、命を落としている。


    にもかかわらず、ディターに背負われたイヴァンの遺体は、非情にも地面に落下し、自らも巨人に襲われたディターは、イヴァンを見棄て、逃げおおせる他無かった…。


    そんな彼に、リヴァイは1つの腕章を手渡した。


    …イヴァンの物だと告げて。


    「…リヴァイ兵長…あの、何か…」


    突然の呼び出しに些か緊張した面持ちのディターに、リヴァイは何の前置きもせず手紙を差し出した。


    「今しがたイヴァンの家に行き、両親からそれを受け取った。宛名の人物に届けてほしいそうだ」


    アンドレアという女性が、イヴァンにとってどんな存在だったのか、今の時点では想像の域を出ない。


    しかしながら、たまに顔を合わせる両親には話さずとも、毎日顔を合わせていた友人には打ち明けていた可能性は、充分ある。


    「宛名の女について、何か知っている事があれば教えてくれ」


    だが予想に反して、ディターは宛名を見るなり、首を捻る。


    「…すみません…自分には、何も…」


    「そうか」


    そうして踵を返そうとした時、ディターが思い出した様子で声を上げる。


    「…そういえば…」


    「なんだ」


    「いえ…いつだったか、イヴァンと酒を飲みながら、何と言うか、女の話になって…その時あいつ、言ってたんです…大事な人が出来て、両親にも紹介したいけど、今はまだ無理なんだって…」


    ここでディターはふと言葉を切り、遠い日の楽しいひとときに思いを馳せ、天を仰ぐ。


    「…大事な人って誰だよって、俺もその時、しつこく聞き出したんですけど…イヴァンのやつ、時期が来れば必ずお前にも紹介するからって…」


    …そしてその時期は、もう永遠に訪れる事は無い…ディターは、込み上げてくる感情を押し留めるように、奥歯を噛みしめる。


    そんな感傷に浸るディターを目覚めさせるように、リヴァイはディターの手中から、手紙を抜き取った。


    「…分かった。もういい。訓練に戻れ」


    「はい…すみません、お役に立てなくて」


    「いや。構わん」


    ディターの目には、あの日のような涙は微塵も流れてはいなかった。代わりに、自分を励ますかのように、ジャケットの胸のポケットに手を添えている。


    きっと今、彼はイヴァンの魂と共にあるのだろう。


    「リヴァイ…兵長…」


    「なんだ」


    ディターは胸のポケットに手を添えたまま、言った。


    「俺からもお願いします。その手紙、必ず届けてください。そうすれば、イヴァンも…」


    「…ああ。分かっている。だからお前は安心して、自分の今すべき事を全力でやれ」


    兵士長の言葉に、ディターは見事な敬礼を見せ、訓練へと戻っていった。


    リヴァイはその後ろ姿を見送ると、ディターに背を向け、歩を進めるのだった。




  9. 9 : : 2015/11/28(土) 21:39:26
    リヴァイは、静かに思考を巡らせた。


    イヴァンは大事な人(おそらく、恋人もしくは婚約者)であるアンドレア・バルマーを、友人のディターはおろか、両親にさえその存在を話さなかった…話せなかった…?


    イヴァンの生家…他の家庭よりも、比較的裕福であり、故に世間体を重んじる家柄だとしたら…。


    リヴァイは、次に向かうべき場所を定めた。娼館である。


    地下街の娼館である可能性は低い。地下街を行き来するには、莫大な通行料を払わなければならない。


    兵団のいち兵士に過ぎないイヴァンに、そう易々と払えるものではない。却下。


    もっと足しげく通っても支障の無い場所…ローゼ内の娼館を探せ。 


    調査兵団本部から一番近い娼館に、リヴァイは足を踏み入れた。


    窓の無い、煤けた壁に囲まれた安普請。


    薄暗い中で目を凝らすと、カウンターに1人の男が座っている。ガリガリに痩せこけているが、まだ若い男だった。


    リヴァイは、カウンター越しに男と向き合う。


    「…アンドレア・バルマーという女は居るか」
  10. 10 : : 2015/11/28(土) 22:00:56
    男はにやりと笑い、口では知らないと答えた。その目は知っていると言っている。


    リヴァイはため息をつくと、カウンターの上に銅貨を置いた。


    「…アンドレアの居場所を教えてくれ」


    男は素早く銅貨を掠め取ると、かん高い声を上げた。


    「ひひっ…アンドレアがお気に召されたんですかえ…うちには、まだまだ可愛い子がたっくさんおりまさあ…お望みならこど」


    リヴァイは男の喉笛を掴んだ。死なない程度に加減してはいるが、その気になれば、いつでも潰す事が出来る。


    「…営業熱心なのは良いが…こっちもそんなに暇じゃねえんだ…さっさと答えろ。グズが」


    リヴァイは、男の命を手中に収めたまま続ける。


    「俺はアンドレアの顔すら知らねえ。ただ…渡す物があるだけだ」


    その瞳から、本能的に命の危機を感じたのか、男は左側を指差し


    「そっ…そごっ…そご…」


    男の指の先を見ると、いくつかの引き出しの付いた棚がある。


    …あれか。リヴァイは、男の喉から手を離した。


    男はよだれやら鼻水を垂らしながら、ごほごほとむせ始める。


    その汚ならしい光景を避けるように、リヴァイは棚へ近づいた。


    引き出しを適当に物色すると、1冊の帳簿が見つかった。この店の従業員名簿らしい。パラパラとめくると、アンドレアの名がある。住所も記されている。


    この娼館から、さほど離れていない。


    記された住所を記憶した後、リヴァイは男に視線を移した。


    男はようやく呼吸が安定し始めたのか、ぜえぜえと大きく肩で息をしている。


    「…アンドレアはここの従業員だな。今日は、ここにいるのか」


    リヴァイの問いかけに、男はぶるぶると怯えながら、小刻みに首を横に振る。恐怖のあまり失禁したらしい。リヴァイは顔をしかめた。


    「きょ…今日はひっ…非番で…ここにはいな…その…いいい命だけはご勘弁を…」


    アンドレアの住所が判明し、かつ、今この店にはいない。これだけの情報があれば、もうここに留まる理由は無い。


    リヴァイは男に一瞥もくれずに立ち去ろうとして…ふと立ち止まり、銅貨を再びカウンターの上に置いた。


    そして振り返る事なく、娼館を後にした。


    リヴァイは目にする事はなかったが、男はガクガクと震えながらも、またもカウンターの上の銅貨を、素早く掠め取っていた。




  11. 11 : : 2015/11/29(日) 21:32:33
    白い石造りの集合住宅。


    先程の娼館を彷彿させるような安普請が、アンドレアの自宅だった。


    扉を軽く叩く…返事無し。しかし、留守ではないようだ。わずかだが、中から人の気配がする。


    もう1度。今度は少し強めに叩く。


    …するとようやく、扉の方に近づく気配がして、そのまま扉が静かに開く。


    「…誰?」


    もう昼間だというのに、寝ぼけ眼の女が覗く。


    背丈はリヴァイよりわずかに低く、その髪は寝起きのためか乱れてはいるが、長い亜麻色の髪が、昼間の太陽に照らされ、美しく輝いている。


    大きな瞳は少し潤んでいて、肌は陶器のように白く、薄桃色の唇に、わずかながら色香を漂わせている。


    中年男性が身に付けるような、野暮ったい黒ぶちメガネをかけている事を差し引いても、充分美人の部類に入る。


    「…調査兵が、あたしに何の用?」


    自由の翼を纏ったリヴァイの姿に、女は眉根を寄せる。


    「…アンドレア・バルマー…だな?」


    「…そうだけど」


    アンドレアは、あくまで自分の眠りを妨げた客に対し、大義そうな態度を装ってはいるものの、その語尾はわずかに震えている…リヴァイが来訪した目的を、察知したのかもしれない。


    リヴァイは、イヴァンからの手紙を差し出した。


    「…これを渡すよう、イヴァンの両親から頼まれた…アンドレア・バルマー…お前宛になっている」


    アンドレアは驚いたように目を見開いたあと、何かを悟ったように、ふっと笑い


    「…あら。わざわざご苦労様。ちょっとあがっていきなさいよ…紅茶はお好きかしら」


    その艶めまかしい声色と視線は、男を誘い込むのに、充分な魅力を放っていた。


    …そして、それはわずかに悲しみを帯びていた。


    リヴァイは無言のまま、アンドレアの自宅に足を踏み入れるのだった。
  12. 12 : : 2015/12/05(土) 21:35:00
    中は薄暗い。そして、化粧やら香水やら石鹸やら…いわゆる女の匂いがする。


    リヴァイは部屋を見回した。床は脱ぎ捨てられた服や下着。その他訳の分からないもので溢れ返り、お世辞にも、女性らしい清潔感のある部屋とは言い難い。


    そんな中、奥に備え付けられたベッドだけが、まるで訪問者を誘うかのように、整然と窓からの僅かな光に照らされていた。


    「手紙、そこに置いといてくれる?」


    悠々とタバコをふかしながら、アンドレアは部屋の隅を指差す。そこには、簡素な机と椅子がある。


    リヴァイは手紙を置こうとし…机上にある物に目を留める。


    それは、数枚の原稿用紙と、万年筆。それに、辞書だった。


    相変わらずの寝ぼけ眼に、タバコの煙をくゆらす彼女には、不釣り合いな物ばかりだ。


    そして何よりもリヴァイが注視したのは、その原稿用紙に書かれた内容だった。
  13. 13 : : 2015/12/06(日) 21:33:07
    『……ドルテ…』


    ニコラスは、汗ばむその右手を、ドルテの左手に重ね合わせた。


    2度目となる、ベッドの上でのひととき。


    ニコラスはドルテをがむしゃらに愛した。それは多少の痛みを伴うものであっても、ドルテにとってこの上無い悦びだった。


    ニコラスは言った。


    『僕たちは、ずっと一緒だよ』


    『本当に…本当にそうなの?だってあなたは…』


    込み上げる感情に、ドルテは言葉を切った。


    そう。ニコラスには、家同士が一方的に決めた許嫁がいるのだ。もちろん、ドルテのことでは無い。


    『愛してもいない人と、結婚なんてできるわけが無い。君だって、そうだろ?』


    『あなたがそう思っても、周りがどう思うかは、分からないわ』


    そうは言ったものの、ドルテは、自分の中で膨らみ続ける妄想に、思わず涙を流していた。それは妄想に過ぎなくとも、限りなく現実に近いものだった。


    そして、ドルテにとって、限りなく悲しい結末だった。


    ニコラスはドルテの涙を、人差し指で拭うと、言った。


    『泣かないでドルテ。僕はね








    …物語は、ここで途切れている。
  14. 14 : : 2015/12/06(日) 21:48:29
    リヴァイは、アンドレアを見た。


    「これはお前が書いたのか」


    突然投げかけられた質問の意味が分からなかったのか、アンドレアは眉を潜める。


    「えっ。何の事?」


    「これだ…この原稿用紙に書かれたやつだ」


    その言葉に、アンドレアはまるで年端もいかない少女のように、くすり、と笑い


    「やだ。見られちゃった。そう、それ、あたしが書いたの」


    アンドレアの返事に、リヴァイは思わずため息をついた。


    アンドレア・バルマー。どこかで見た事のある名だと思っていたが、今さらながら思い出した。


    新聞だ。あの連載小説だ。毎回、題名の横に添えられていた作者の名前だったのだ。


    …それを即座に思い出していれば、あんな娼館にも行かずに済んだかもしれない…。


    迂闊な自分に内心呆れるリヴァイに、アンドレアは、ゆっくりと近づき、上目遣いに顔を覗き込んでみせる。


    「あ。もしかして…読んでくれてたの、あの連載…」


    「ああ。…退屈しのぎにな」


    壁外調査の翌日から途切れていた物語。


    考えてみれば、物語の2人ーニコラスとドルテ。そしてイヴァンとアンドレアは、とてもよく似ている。


    貴族の御曹司であるニコラスは、貧しい家に育った娼婦のドルテと恋に落ちている。


    イヴァンもまた、町中では比較的裕福な家庭で育ち、娼婦であるアンドレアと出会った…。


    そんな中、物語の恋人たちとの決定的な違いは…


    …イヴァンとアンドレアは、もうその指先すら触れ合う事は出来ない、という事だった。


    永遠に。

  15. 15 : : 2015/12/12(土) 21:55:46
    「でも、驚いたな」


    アンドレアは言った。


    「あんな小さな記事…読んでくれてたなんて」


    紙面は常に、王政に関する事…政府が国民に伝えたい事で埋めつくされ、アンドレアの書いた小説など、目に留める者など、ほとんどいない。


    彼女はそれを承知の上で書き続けていたのだろう。


    「あの連載の仕事…イヴァンが紹介してくれたものなの」


    アンドレアはイヴァンからの手紙の封を、丁寧に開いていく。


    「あたし、本を読むのが好きで…いつか自分で小説を書いてみたいって話したら、本当に叶えてくれたの。きっと今の仕事から足を洗ってほしかったんだよね…そんなの、簡単にできる事じゃないのに…」


    封を開けると、そこに入っていたのは、数枚の紙幣。そして、1枚の便箋。


    アンドレアはイヴァンからの手紙を読んでいる。リヴァイはそれを、黙って見ていた。


    「…連載記事の報酬は、毎回イヴァンが感想を添えて、あたしに渡してくれてたの…続き、楽しみだっ…てさ」


    イヴァンもまた、物語の2人ーニコラスとドルテの行く末を見守っていたのだ。おそらく、自分とアンドレアの姿と重ね合わせながら。


    「…この続きなんだが…」


    リヴァイは言った。


    「この続きは書くのか」


    アンドレアは驚いた様子で顔を上げる。


    「…それは…」


    もしも、このまま続きを書かなければ、代わりの記事が載る。新聞を作る側にとっては、何の痛手も無い。


    それはリヴァイとて同じ事。続きが載ろうが載るまいが、やるべき事に代わりは無い。ケガが完治すれば、再び戦いの渦中に舞い戻る。


    ただ、それだけだ。


    「…すまない」


    沈黙を絶ち切るべく、リヴァイは口を開いた。


    「余計な事を言った…これを書き続けるかどうかは、お前の自由だ。好きにしろ」


    そう告げ立ち去ろうとするリヴァイのマントの裾を、アンドレアは掴んだ。


    「…待って」


    リヴァイは振り返る。


    「えっと…明日も、来てくれない…?私、明日も家にいる…だから…」


    突然、忘れかけていた彼女の色香が、再び漂い始めた気がした。そして視線の先には、整えられたベッド。


    「…俺はお前を買う気は無い」


    「…エッチ…」


    「…あ?」


    アンドレアは書きかけの原稿用紙を、そっと撫でた。


    「…そういう意味じゃなくて。あなたがいると…こう…ソーサク意欲?ってのが沸いてくるの。だから、ね、お願い」


    アンドレアは顔の前に両手を合わせ、片目を瞑ってみせる。その姿は、無邪気な少女の様だ。


    「…約束は出来ない…だが、暇が出来たら、考えてやらん事も無い」


    そんなリヴァイの言葉に、アンドレアは、ぱっと笑顔になって


    「きゃあ、マジ!?ありがとう!」


    手負いとはいえ、多忙な身であったにも関わらず、リヴァイは断る事が出来なかった。


    おそらくその役割は、壁の外に遺してきた、イヴァンの代わりなのだから。


  16. 16 : : 2015/12/13(日) 21:31:48
    夕闇が迫り始めた頃、リヴァイはようやく、調査兵団本部へと戻った。


    人通りの無い廊下を、自室に向かい歩いていると、ふと目の前に人影が現れる。


    ハンジだった。


    「…遅かったね」


    「…ああ」


    「どこ行ってたの?」


    「…お前にいちいち報告する義務はねぇだろ」


    リヴァイは、にべもなかった。ハンジは乾いた笑い声を上げ


    「ははは。それもそう…だよね…」


    何か言いた気な様子を隠せないハンジをよそに、リヴァイは再び歩を進める。


    「…あ、あのさ…」


    ハンジが口を開き、リヴァイは立ち止まる。


    「今夜、そっちに行っても良い?」


    リヴァイの背を見つめたまま、ハンジはそう問いかける。その誘いが決して仕事に関するものでは無い事は、すぐに察知できた。


    リヴァイは振り向き、ハンジと向き合う。


    「別に構わん。気が向いたら来い」


    「うん。分かった」


    その会話は、2人にとって初めてのものでは無かった。


    お互いどちらかが誘い、承諾し、共に一夜を過ごす。それは相思相愛を伴うものではなく、もし…もしも、どちらかが失われる事になっても、また代わりの誰かを探す…それだけ。


    あの、新聞の片隅に載せられた、小さな物語のように。
  17. 17 : : 2015/12/13(日) 21:53:12
    言葉にしては、いけない。


    どんなに心が高ぶろうとも。


    どんなにこの身体が、熱くなったとしても。


    深夜、リヴァイの自室を訪れ、彼に抱かれながら、ハンジが常に肝に銘じている事だった。


    好き。大好き。愛してる…ずっと、そばにいて。


    それは心に想う事すら許されない。私情は棄てろ。個を捨て公に心臓を捧げる…それが、兵士の務め。


    こうして身体を重ねられるだけでも、幸せだって…これで、明日からまた前に進む事が出来る。きっと。


    …ごめんね…リヴァイ。


    次第に薄れゆく意識の中で、ハンジは彼と愛し合い、恋人同士として過ごす物語を、そっとそっと心に描き、そして跡形も無く、消し去るのだった。
  18. 18 : : 2015/12/14(月) 21:18:41
    こいつは心を壊してる。


    ハンジを抱くたびに、リヴァイはそう1人、悟っていた。


    時には聡明に、時には残酷なまでに、彼女は前進し続けている。全ては、人類の勝利のために。


    だがリヴァイには見えた。砕けてゆく、彼女の心が。


    ガラスの様に砕け散り、地に落ちてもなお、きらきらと輝きを放つ、その心。


    リヴァイの瞳には、それは美しく、そして悲しげに映っていた。


    …ハンジ。


    寂しいと、辛いと悲しいと…口にしたければ、すればいい。


    少なくとも、自分が生きている限り、全て受け止める。


    それでもお前は、強くなれるのだから。


    そして俺は…それ以上に強くあり続けなければならない。人類最強と謳われた、兵士なのだから。


    実態は…部下の1人すら壁の外から救い出す事も出来ない、無力で無能な存在に過ぎないのだが。


    ただ出来る事と言えば、その意思を、無念を背負って生きてゆく。その役目は、俺だけでいい。


    お前はそれ以上、心を壊す必要は無い…前ばかり見なくていい。たまには、空を見上げてみろ。


    リヴァイは、呼吸の乱れたハンジの頬を、そっと撫でた。


    ハンジは、ふっと笑みをこぼした。


    「…リヴァイ…」


    もしも、この世界が壁に囲まれていなければ…この後に続く言葉は…


    …愛してる。


    そう告げる代わりに、ハンジはリヴァイの首筋に、そっと唇を落とした。


  19. 19 : : 2015/12/20(日) 21:37:26
    次の日、リヴァイは約束どおり、アンドレアの家を訪れた。


    とはいっても、何をするでもなく、原稿用紙と向き合うアンドレアの隣で、椅子に腰掛けている。


    「…ねえ…」


    「なんだ」


    原稿が進んでいるのかいないのか。アンドレアは、原稿用紙に視線を落としたまま、リヴァイに声をかける。


    「…ニコラスとドルテの出会いって、覚えてる?」


    アンドレアの問いかけに、リヴァイは浅い記憶を探り、答える。


    「確か…町でドルテがゴロツキに絡まれて、そこをニコラスが通りすがった…」


    「そうそう。ニコラスはボンボン育ちのくせに、セーギ感とやらは強かったから。ドルテも、まさかこんな小綺麗な男が、って感じだったみたい」


    「…そうか」


    そう。あの時思ったものだ。なんてありきたりな、安っぽい三問小説なのだ、と。


    今は亡き部下たちと、食卓を囲みながら。


    「それで、ゴロツキを追っ払った後、ニコラスはドルテに一目惚れ。ドルテとしては、こんな私なんかって思ってたんだけど…ニコラスは、言ってくれたんだ…」


    アンドレアは、言葉を切った。リヴァイは、黙って彼女の言葉を待った。


    「…君の目を見れば分かる。汚れの無い、美しい心を持っている…って」


    そう。その瞬間から、ニコラスとドルテの恋は始まる。そして…次の新聞を開いた日…そうあの日は、雨で訓練が中心されたため、1日中、旧本部の掃除に明け暮れた…。


    ほんの数日程前の事。それでも、決して戻る事の無い過去に、リヴァイはわずかに想いを馳せた。


    「ニコラスは…ドルテとの結婚まで考えてたんだよね…」


    アンドレアは、ぽつりと言った。作者として物語の流れを振り返っていたのか。


    しかしその瞳は、物語の中の2人を通し、別の、決して戻る事の無い日々を、思い返しているようだった。


    リヴァイとて、それは勘づいていた。しかし同情の言葉は決してかけるつもりは無い。これは、彼女が越えなければならない、痛みなのだから。


    「…ねえ」


    「なんだ」


    「イヴァンって…死んじゃったんだよね」


    リヴァイは、息をついた。そして、彼女とともに、新たな痛みを背負う事を、覚悟した。


    「…ああ。イヴァンは死んだ。遺体も回収不可能だ」
  20. 20 : : 2015/12/23(水) 21:50:43
    彼女はもう、恋人の身体にすがり泣く事すら出来ないのだ。


    アンドレアの表情をうかがい知る事も出来ぬまま、リヴァイは言った。


    「この事実を知った上で、物語の続きを書き進めるのかどうかは、お前の自由だ。好きにしろ」


    アンドレアの手は止まったまま、時が止まったかのように動かない。彼女なりに、この残酷過ぎる事実を、必死で受け入れようとしている様にもみえた。


    無言のままの彼女に、リヴァイはこう言葉を重ねた。


    「…ただ、お前がここで物語を書くのを止めれば、ニコラスとドルテは結ばれる事も、別れる事も無く、そのまま誰の記憶からも、消えてしまうだろうがな…俺も、記憶力に自信がある方じゃない」


    するとアンドレアは、うなだれた顔を、ゆっくりと上げた。


    「…あんたは、どうなの…?」


    突然の問いかけに、リヴァイは眉を潜める。


    「…あ?俺がどうかしたのか」


    アンドレアはリヴァイの方を見たまま、彼の首筋を指差した。


    「…あんたはカノジョさんと、結ばれるご予定はあるのかしら?」


    アンドレアはそう言って、にやにや笑い始める。リヴァイは最初こそ彼女の指摘に気付かなかったものの、昨夜のハンジとの出来事を思い出し、慌てて首筋を手で覆った。


    その様子に、アンドレアは苦笑する。


    「…まさか、気付いてなかったの、そのキスマーク」


    今度はリヴァイが口を閉ざす番だった。正直、アンドレアに指摘されるまで気付かなかった。朝から周りにさらしたままだったとは。さすがの彼も、顔が熱を帯びてゆくのを感じた。


    「…で、そのカノジョさんとは、どうなの…ん?」


    「あいつとは、そういった関係じゃない」


    「あら、もしかして、あたしと同業者?」


    「ちがう」


    即座に否定したのち、リヴァイは息をつき、言った。


    「あいつは…ハンジは兵士だ。そして、俺もそうだ。兵士同士、お互いに心を慰め合う…ただ、それだけだ」


    リヴァイの説明は、兵士ではないアンドレアには理解しがたいものかもしれない。


    だが、リヴァイのその目…決意だとか悲しみだとか、その他壁の中だけで生きてきた人間には分かり得ない光を、アンドレアは感じる事ができた。


    きっと、彼はお別れをしたのだろう。愛だとか恋だとか、そういった誰もがすがる感情や心と。


    自分がたった今、最愛の恋人と、お別れをしたように、そっと。


    アンドレアは、手にしていたペンを、ぎゅっと握りしめ


    「…あたし、書くよ、続き」


    リヴァイの視線が、ゆっくりとアンドレアに向けられる。


    「ニコラスとドルテが、果たしてくっつくのか、別れちゃうのかは、まだ分からないけど、絶対に最後まで書き上げてみせる。そしたらまた、読んでくれるよね…」


    初めて、アンドレアの声が震えた。泣いているのだ。自らがまたペンを握る事によって、運命がまた動き出した恋人たちを前に、彼女は涙していた。


    「…ああ。そしたらまた目を通す。退屈しのぎには、なるからな」


    そうすれば、リヴァイの時もまた、流れだす事だろう。今は亡き部下ではなく、新たな環境の中で、再び2人を見守り続ける。


    「うん、ありがとう。もう、あんたがいなくても書けるから…今日でもう、お別れだね」


    「…ああ。そうだな」


    リヴァイは、ゆっくりと椅子から立ち上がり、アンドレアの自宅を後にした。それは今までの別れとは異なり、その別れの先には、柔らかな光が灯っている。


    だからこそ、口にできる言葉がある。リヴァイは、振り向き様にそっと、彼女に贈った。


    「…さよなら…」





    <終>

  21. 21 : : 2015/12/23(水) 21:53:04
    ※…以上で終了とさせていただきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


    私事ながら、今回の作品は、反省点の多いものでした。話の流れが、ちぐはぐだったというか…。


    コメントを解禁いたしましたので、皆様、叱咤激励を、よろしくお願いしますm(__)m
  22. 22 : : 2015/12/26(土) 10:50:10
    リヴァイせつないよぉぉ...。
    面白かったです!ちなみにベルトルさんのも期待です!
  23. 23 : : 2015/12/26(土) 21:11:26
    >>22 みかん残骸さん
    最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
    ベルトルトの方も頑張ります。
    えっと…残骸…みかん、食べちゃったのかな(笑)
    きっと、食べたのなら、こたつの中でですね!キリッ。
  24. 24 : : 2020/10/27(火) 10:13:42
    http://www.ssnote.net/users/homo
    ↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️

    http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
    ↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
    ⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️

    ⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
    10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
    みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
    今回は誠にすみませんでした。


    13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
    >>12
    みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
    現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました

    私自身の謝罪を忘れていました。すいません

    改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
    今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
    あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
    SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
    本当に今回はすみませんでした。




    ⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️

    http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi

    ⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️

    56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ごめんなさい。


    58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ずっとここ見てました。
    怖くて怖くてたまらないんです。


    61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
    お願いです、やめてください。


    65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    元はといえば私の責任なんです。
    お願いです、許してください


    67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    アカウントは消します。サブ垢もです。
    もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
    どうかお許しください…


    68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    これは嘘じゃないです。
    本当にお願いします…



    79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    ホントにやめてください…お願いします…


    85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    それに関しては本当に申し訳ありません。
    若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
    お願いですから今回だけはお慈悲をください


    89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
    もう二度としませんから…
    お願いです、許してください…

    5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
    ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
    本当に申し訳ございませんでした。
    元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
    私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
    今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。

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kaku

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