このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
「ごめん、ありがとう。」
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- 1 : 2015/11/04(水) 00:36:05 :
- 寝る前に一丁短編を書きます。
翌日読み返してみて変な文章であったら多分消します。
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- 2 : 2015/11/04(水) 00:42:17 :
彼女は、癌だ。
治る確率は30%
闘っている。
病気と。
今も、闘っているだろう。
最初のうちは、お見舞いも行ってた。
だんだん痩せていく姿を見るのは、辛かった。
次第に、色々な理由をつけて病院に行くのをやめた。
交際している彼女を、見捨てようとした。
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- 3 : 2015/11/04(水) 00:46:11 :
父に勧められて医学の勉強に励んでいたが、疲れた。
だるい。
暇だ。
そんなことを思って俺は、出会い系サイトに手を出した。
一週間後、直接会った。
彼女とは違うタイプで
いいな、って思った。
何にも劣りがない。
初日は映画館に行って終わりにした。
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- 4 : 2015/11/04(水) 00:47:03 :
- 期待
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- 5 : 2015/11/04(水) 00:48:22 :
日を重ねるうちに、彼女のことは脳裏から離れてサイトで知り合った女性に夢中になった。
やっぱ、病気でどこにも行けない女より
健康で元気な女と一緒にいる方がいい。
そう、思っていた。
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- 6 : 2015/11/04(水) 00:51:21 :
彼女とはまだ行っていない、水族館や美術館。
動物園や遊園地に行った。
楽しかった。
普段のストレスを解消できた。
痩せていく彼女を見て辛くなるより
目の前で楽しんでいる女性の方が魅力的に思えた。
そうだと思った。
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- 7 : 2015/11/04(水) 00:55:40 :
- 長く月日が経って、俺は彼女の存在なんてなかったことにしていた。
ラブホテルへ向かった。
出会った女性と二人で向かった。
ベッドで、快楽を得ろうとしたその時
俺の携帯にメールが送られてきた。
雰囲気は台無しになって、女性は浴室へ行った。
俺は舌打ちをして、メールを見た。
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- 8 : 2015/11/04(水) 01:03:28 :
エレンへ
私のこと、覚えてる?まさか、忘れてないよね(笑)
大学、忙しいのかな。お医者さんになるにはたくさん、勉強が必要だけど頑張ってね。
そういえば、最近お見舞いに来ないね。私のこと、嫌いになっちゃったのかな
私は貴方から別れを告げないと別れる気はありません。
でも、こんな病気の人よりもっといい人はいっぱいいるよ。
遠慮しないで、私を振って。
関わりを経って。お願いします。
じゃないと、期待しちゃうよ。
最期の前にまた来てくれるかもって。
返信、待ってます。
メールはそこで終わっていた。
……俺は、バカだ。
彼女は、病気と闘っていた。
俺よりも辛い思いをしていた。
でも、俺は逃げた。
彼女は、逃げた俺を待っていた。
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- 9 : 2015/11/04(水) 01:08:50 :
- 俺が、遊びまくってた時も待っていた。
苦しいのと闘って待っていた。
俺を・・・
こんなクソ野郎を待っていた・・・
「……っ、バカ、かよ…」
「何、待ってんだよ……っははっ」
「こんな奴を……」
俺の頬を伝う液体の思いはわからない。
自分でもわからない。
でも、ただ一つわかる。
俺は、
「会いたい」
って思ってること。
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- 10 : 2015/11/04(水) 01:11:38 :
自分を殴った。
歯がぐらぐらした。
俺は走った。
一つの目的地を目指して走った。
待っている、彼女の元へ。
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- 11 : 2015/11/04(水) 01:16:45 :
- どんぐらい走ったかは覚えていない。
最後に、病院の受付で彼女の部屋が変わってないか確認して……
そこから・・・
ああ、意識が途切れたのか。
目を開けると彼女がいた。
太ってる。
女に対しては失礼だが、思った。
「大丈夫なの……?」
声を掛けられた瞬間、俺の体に電撃が走った。
この声
この香り
この黒髪
ミカサだ。
ミカサなんだ。
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- 12 : 2015/11/04(水) 01:22:27 :
俺は彼女を抱き締めた。
そんな資格はないだろうに。
細かった体はまだ頼りなかったけど、確実に回復してきて。
元気な頃のミカサに戻る。
戻っている。
「ちょっと……苦し…」
「ごめんな、ミカサ……」
「・・・」
「寂しかったよ」
「ごめん」
「待ってたよ、ずっと」
「ごめん」
「ここに来てくれてありがとう」
「ごめん。ごめん。」
「エレン。暖かいね」
周りから聞いたら意味深な会話だろうな。
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- 13 : 2015/11/04(水) 01:27:08 :
落ち着いて、二人でベッドに横になって天井を見て話をした。
俺は今までのこと、全部話した。
彼女は悲しい顔もせずただ、頷いていた。
「エレンは、その人のこと好き?」
突然、質問された。
「・・・」
流れる沈黙。
一緒にデートしたりしたが、横にいる彼女に対しての気持ちとは違った。
でもなんであんなところまで事を進めようとしたんだろうな。
それはきっと、
俺がバカだからだ。
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- 14 : 2015/11/04(水) 01:28:41 :
- 目から涙が…!
期待です
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- 15 : 2015/11/04(水) 01:29:28 :
- 「エレン」
突然名前を呼ばれた。
「私、治るって」
なんとなく、予感はしていた。
俺は喜びもせず、何も言わず、ただ彼女の頭を撫でた。
今も昔も変わらない黒髪だ。
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- 16 : 2015/11/04(水) 01:34:11 :
- 「ミカサ、ごめんな」
彼女は黙って聞いた。
「そして、ありがとう」
「俺を待っててくれて。それと……」
「こんな俺を過ちから救ってくれて」
「……他意はないよ」
彼女なりにクールに決めたつもりだろうが涙声だった。
この夜は一緒のベッドでぐっすりと寝た。
一ヶ月後
退院の時
回復力は並みの人間では考えられないスピードだった。
流石、ミカサだ。
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- 17 : 2015/11/04(水) 01:58:20 :
彼女は俺を許した。
もう一度、やり直そうと。
彼女はどこまで俺に甘いのか……
言える立場じゃないけど思う。
何で俺は、ミカサを見捨てたんだろう。
こんなにいいやつ、俺には勿体ないぐらいなのに。
贅沢しやがって。あん時の俺。
「さあ行こう。帰ろう」
ミカサが俺の手を握り締めた。
俺はそれを握り返した。
「ごめん、ありがとう」
「?」
今、一番言いたかった言葉だ。
fin
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- 18 : 2015/11/04(水) 02:00:00 :
- こんな遅くまでなんで書いてるんだろう・・・
寝ます。明日変だとと後悔するだろうけど怖いけど寝ます!
おやすみなさい。皆さんもいい夢を!
-
- 19 : 2015/11/04(水) 13:11:40 :
- ん~
ほろ苦いですね!
しかし
僕は捻くれ者なんで
出会い系のほうの女性が
その後どうなったのか、とか
そんな
あんまり関係ないところばかり
気になりますw
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- 20 : 2015/11/04(水) 14:11:38 :
- 面白かったです!MARIAさんのエレミカはやっぱりいいですね!
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- 21 : 2015/11/04(水) 18:10:49 :
- >>19
書いてたげるw
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- 22 : 2015/11/05(木) 17:19:29 :
- さ、さすがです
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- 23 : 2015/11/05(木) 22:03:14 :
- 出会い系サイトで知り合った女性の後日談
はぁ……、せっかくいい雰囲気だったのに台無し。
エレン、会う度にかっこよくなっていってる気がする。
エレンもきっと、私のこと好きだよね……?
シャワーを浴びてから部屋へ戻ると、彼はいなかった。
忽然と姿を消した。
急いで出ていったような痕跡がある。
さっきのメール、女の人から?だから急いで出ていった?
最悪だ。
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- 24 : 2015/11/05(木) 22:08:37 :
私はいつもこうだ。
学生時代付き合った男性は数人いたけれど、皆突然別れを切り出す。
せめて気まずくなってから別れたいのに、別れる前日まで平然と私と会話している。
無駄に期待させて、油断させといて最後に暗い未来を残して消えていく。
いい人がいないか出会い系サイトに手を出しちゃったけど、やっぱりネットはろくなことがない。
「はぁ・・・」
思わず出てくるため息。
こうここにいても仕方ないや、帰ろう。
忘れ物がないよう荷物を確認し、私は部屋を出た。
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- 25 : 2015/11/05(木) 22:30:45 :
ホテル側に鍵を渡した。
お金は、彼が払っていたようだ。
そんな優しさ、いらない。
都会の夜は綺麗だ。
美しい。
と思うのと同時に自分が醜い。
この美しさには叶わない。
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- 26 : 2015/11/05(木) 22:34:15 :
死にたい。
久々に思った。
彼と出会ってから久しぶりに思ったこの感情。
窒息死、溺死、焼死……どれにしようか。
ドラマの真似をして、睡眠薬を大量に飲んで死のうか。
本気で考える。
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- 27 : 2015/11/05(木) 22:38:24 :
「おい」
フラフラと歩いていたので、気づかなかった。
「おい!!」
大声に、ハッと振り返ると数人の男がニヤニヤしながらこっちを見ている。
「……何でしょうか」
「今お前ラブホから出てきたろ。男はどうした?見捨てられたか?」
あんたたちには関係ないだろうと思ったが誤魔化した。
「まぁめんどくさいことはさておき俺らと遊ばねぇ?」
……?
これが、ナンパというやつか?
-
- 28 : 2015/11/05(木) 22:43:08 :
- 不快に思った。
私は走って逃げた。
「あっあの女……!」
と、声が聞こえたが走った。
後ろからの足音がどんどん近づいてくる予感がする。
気のせいではない。
振り返るともうすぐ捕まりそうだ。
絶望的なこの状況で、私の足下に他人の足が伸びてきた。
私は盛大に転んだ。
恥ずかしさと恐怖が込み上げてきて、思わず顔を伏せた。
「お?てめぇ気が利くじゃねぇか」
「……???何言ってるんだい?」
「は?」
「この子、僕の彼女なんだけど」
……え。
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- 29 : 2015/11/05(木) 22:48:10 :
「てめぇが女の男なら一緒にラブホから出てきただろうが!?」
「……待ち合わせなんだけど」
「どうだとしても貧弱なお前より俺らの方がいいに決まってんだろ!?」
ぐいっと私を引っ張った。
思わず少し悲鳴を上げた。
「何してくれてんの」
突然この人は、自分の二倍ぐらいある相手を投げ飛ばした。
そして私は手を引かれ、着いていった。
人気のない路地。
息整える。
「危なかったね」
「……助けてなんで、言ってない」
「……ねぇ、ちょっと言っていいかな」
何だろうと思い顔を上げた。
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- 30 : 2015/11/05(木) 22:54:01 :
「さっき一目惚れしました。僕と付き合ってもらえませんか?」
バカ?
翌日、エレンから話があった。
別れて欲しい、と。
元々付き合ってた訳じゃないけど返事をした。
「……」
「浮かない顔をしてるね」
隣からいきなり現れたので思わずチョップを入れてしまった。
「ふぐっ」
「あ……」
痛いと言いながら自分の頭を撫でる姿が可愛かった。
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- 31 : 2015/11/05(木) 23:01:18 :
「……私みたいな人をどうして好きに?」
「……好きに理由なんてある?」
確かにそうだ。
……面白い。
「いいよ」
「え?今なんて……」
「付き合っても、いいよ」
「……!?」
ポカーンと間抜けな顔をしていた。
やっぱり面白い。
一途そうだし、かわいい。
暗い気持ちが一気に晴れた。
目の前の彼の喜び顔が、心の鏡に写った。
fin
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- 32 : 2015/11/05(木) 23:01:33 :
- ……変なの。
-
- 33 : 2015/11/06(金) 22:40:36 :
- …だ…誰なのか気になる…
お疲れ様でした。次回作もたのしみにしてます。
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- 34 : 2015/11/16(月) 12:53:44 :
- 良かった…すごく感動した…
最後のはアルミンとクリスタ(アニ)のような気がする…
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- 35 : 2017/04/08(土) 21:29:19 :
- ぬぉーーー!ミカサと付き合ってるくせにっ浮気とかっ!ふざけんな!この変態野郎っ!お前には勿体無いんじゃっ!この野郎!はっ!つい本音が出てしまった。ごめんなさい!
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- 36 : 2017/06/25(日) 22:49:08 :
- エレミカとアルアニ……なのかな?
乙です!!今作品もめちゃめちゃ良かったでふ!!(`ω´)グフフ
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- 37 : 2018/07/17(火) 20:46:04 :
- おい❗
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