このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
追憶の花束【ミケ誕生日SS】※ミケニファ
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- 1 : 2015/11/01(日) 21:08:53 :
- こんばんは。執筆を始めさせていただきます。
遅れてしまいましたが、本日11月1日のミケ・ザカリアスの誕生日を記念して、スレッドを立ち上げさせていただきました。
よろしくお願いします。
その他の条件はこちら↓↓↓
* 不定期な更新ですが、立ち上げが遅れたため、他の作品よりもこちらを優先します
* シリアス回
* アニメ派の方、ネタバレ注意
* ミケ×ニファのカップリングあり
* 読み易さを優先し、コメントを制限させていただきます
…以上の条件でも構わない、という方は、ぜひよろしくお願いします。
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- 2 : 2015/11/01(日) 21:15:40 :
- ミケ分隊長はどこですか。
聞けない。あの日から1度も。
怖かった。現実を知ってしまうことが、今の私には何よりも恐ろしく、そして悲しい。
もう、何日経つだろう。あの人の大きな体を目にすることがなくなった、あの日から。
目を閉じれば、思い出す。あの人の、わずかに記憶に残る声、そして温もり。
あなたは私に何を遺したの。何も言わないままで。
今私がその胸に抱える、あなたが最期に私にくれたもの…。
『追憶の花束』
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- 4 : 2015/11/01(日) 21:35:32 :
- いつもの廊下が、妙に長く感じる。
早く…早く行かなければならない。そして、上官より伝えられた事柄を、正確に、そして確実に団長に伝えなければ。
「…っ…着いた」
私は乱れた息を無理に整え、その扉をノックする。
「…誰だ」
「…あ…ニファです…団長、ハンジ分隊長より、伝達事項を…」
少し間があった。
「…分かった。入れ」
私はホッと息をつくと
「…失礼します」
自室とは比べものにならないほど重厚に造られた扉を開き、中へと進み出た。
「ご苦労だったな、ニファ」
我が調査兵団の長である、エルヴィン・スミス団長が、椅子に腰かけたまま、にこやかに私を迎え入れる。
そして…。
「…。」
その隣には、ひときわ大きい人影があった。にこやかな表情をみせるエルヴィン団長に対し、彼は私をチラリと一瞥したきり、眉ひとつ動かさない。
「えっと…その…」
私は口ごもった。無表情に私を一瞥した彼は、数多の兵士をまとめあげる分隊長の一人、ミケ・ザカリアスだったのだ。
もしかしたら、団長と内密に何か話し合っていたのかもしれない…私は、また出直す旨を団長に伝えようと口を開くと、団長は私の心中を察したのか、片手でそれを制した。
「…構わない。ミケとはちょっとした世間話をしていただけだからな…このまま伝達を聞こう」
エルヴィン団長の言葉を聞きながら、私はミケ分隊長の顔をチラリと見た。
彼は、団長が“世間話”という言葉を口にしたとたん、ふっと鼻で笑った。それはほんの一瞬のことだったから、エルヴィン団長は気づいていないと思うが。
「…了解しました、団長。ではさっそく、次回の壁外調査について…」
私は気持ちを切り替え、団長に伝達した。
分隊という垣根を越えて、私は日々あちこちを飛び回っていた。
そして、何度か彼を目にした。
そんな日々のなかで、確実に花開いていたのだろう。
追憶という名の花束の、最初の一輪は。
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- 6 : 2015/11/01(日) 21:57:18 :
- 「だからこれはこの班にやってもらって…そう、それはうちの班でやるから…」
壁外調査前日。それはまさに戦場だった。
綿密に綿密を重ねて、それでも足りないくらい、私たちは他の班、そして自らの班員と、打ち合わせを重ねていた。
わずかな作戦の乱れは、即死を意味する。
幾多の死地を乗り越え、ようやく導きだした答えだった。それを理解した私も、もはや中堅といえるほどの立場にある。
「ニファ」
「はい」
私が所属する分隊の長である、ハンジ・ゾエが私に声をかけた。
「悪いんだけど、奇行種に遭遇した時の、他の班との連携について、もう少し綿密に話し合っておきたくてさ。その旨を伝えてもらえないかな」
「了解です」
そう対応しながらも、私は、“奇行種“という言葉を口にする時のハンジ分隊長の目に怪しい光が灯るのを目の当たりにし、若干引いていたのは、ここだけの話。
「どの分隊に伝えればよいですか」
「ん、ああ…ミケの班だよ」
ミケ、と聞いて、私はドキリとした。私は当時、ミケ分隊長が苦手だったからだ。それは私だけでなく、多くの兵士が彼に対して抱いているものだった。
初対面の人物の首筋から匂いを嗅ぎ、そして鼻で笑う。
そんなことが癖と表される人物を、すんなりと受け入れられるのは、いくら変人の巣窟と呼ばれる調査兵団であっても、ごく限られた
人物だけだった。
そんなミケ分隊長のところに伝達か…少し、気が重い。
しかし、これは仕事であり任務だ。私情を挟むわけにはいかない。
「…では、いってきます」
「うん、ニファ。頼んだよ」
私の心中を知ってか知らずか、ハンジ分隊長は笑顔で私に手を振ってみせた。
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- 7 : 2015/11/02(月) 21:20:45 :
- ミケ分隊長はすぐに見つかった。他の班員たちが忙しなく動いているなか、腕を組み、静かに佇んでいる。
「あの…」
私が声をかけると、ミケ分隊長は静かに目を開き、私に視線を向けた。
「…第四分隊、ハンジ分隊長からの伝達です。明日の壁外調査の際、奇行種に遭遇した時の対応について、再度話し合いの場を設けたい、とのことです」
私は淀みない口調でそう伝達した。
「そうか。分かった」
ミケ分隊長はそう一言だけ私に告げると、再び視線を外した。
「…ミケ!さっきの陣形のことだけど…」
ミケ班の兵士が駆け寄ってくる。私は、そっとその場を後にした。
ミケ分隊長。本当に静かな人だ。うちのハンジさんとは、大違いだな…。
そんな想いを、心に抱きながら。
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- 8 : 2015/11/02(月) 21:45:15 :
- そして壁外調査は終了し、なんとか生き残った私は、いつもの日常に戻った。
「…ハンジさん?」
「ん、なんだい?」
「なに…してるんですか?」
ある日のこと、私は兵団本部の庭でなにやら探し物をしている様子の上官に声をかけた。
「花を探してるんだよ」
「花…ですか」
相変わらず、突拍子もないことをする人だ。兵団本部の庭なんて、花はおろか、雑草すらそんなに生えていないのに。
「ハンジさん。花が欲しいのですか?」
「うん。なるべく手のかからない、かつ、キレイなやつをね」
そんな都合の良い花なんて…私は内心呆れながら続ける。
「ハンジさん。花が欲しいのなら、花屋さんに行かないと」
私の言葉に、ハンジさんは困り顔をみせ
「そうそう。私もそう思うんだけど、なんせお金が無くてね。壁外調査のあとだから仕方ないけどさ」
「どうして花が必要なんですか。まさか、実験と何か関係が…」
「ないよ。ただ、プレゼントにしたいだけ」
「…プレゼント…」
私は怪訝な表情のまま、そう反復した。
「もうすぐ誕生日の人がいるからね」
「誕生日…誰のです?」
「ミケの」
「ミケ分隊長の!?」
思わず声を上げる私に、ハンジさんは笑って
「そう。ミケってば、自分のことってあまり話たがらないからさ…誕生日を聞き出すのにも苦労したよ。もしかして、兵団の中で知ってるの、私だけかもね」
その言葉に、私は妙に納得した。
「そうですね…私もあまり話をしたことがないので…でも、どうして花なんですか?」
「ああ。ミケの実家は花屋さんなんだよ」
「それも、ミケ分隊長が話してくれたんですか?」
「いや。これは私独自の調査の結果さ」
得意気にそう話す上官を前に、私は呆れると同時に、初めて知る寡黙な上官の秘密に、なぜか少し心が和らぐのだった。
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- 9 : 2015/11/03(火) 21:38:36 :
- 「でも…ハンジさん」
私は、ふとあることを思い付く。
「その、ご実家が花屋さんであるミケ分隊長の誕生日に、わざわざ花を贈るというのも…その…」
はっきり言って不相応。そう言いたいのだが、相手が上官なので口に出すわけにもいかない。
そんななか、私が言わんとしていることを察したのか、ハンジさんが言う。
「そうだよねぇ…花屋の息子に花、ってのもおかしいよね。でも、ミケの趣味嗜好ってとことん謎だからさ」
相手の匂いを嗅いで鼻で笑う…これは趣味と言って良いものなのかどうかは疑問だが、仮にそれが趣味だとしても、それに対して贈る物なんて、果たしてあるのかどうか…。
「う~ん…ミケ…彼の謎は巨人並みに深い…」
芝居がかった口調でそう呟きながら、ハンジさんは腕を組み、考え込んでいる。そんな上官を目の前にして、いつしか私も同じように腕を組む。
誕生日の贈り物。いい歳をした大人が、なぜそこまで真剣に悩むのかと思うだろうが、常に壁外で高い致死率を誇る調査兵団にとって、誕生日とは、ただ1つ歳をとるだけの日ではなく、もっと深い意味のある、重んじるべきものになっていた。
祝福される側にとっては、無事にその日まで生き延びたことへの喜び。そして、祝福する側は、自分も自らの誕生日まで、いやそれ以上に、生き延びられるよう、そっと祈りを捧げる日…。
「んああっ!分からん!!!」
「ハンジさん…去年は何を贈っていたんですか?」
悲痛な叫び声を上げる上官に、私は問う。
「それが…ミケの誕生日が判明してからの誕生日は、今年が初めてなんだよ!!!」
なんと。私は思わず目を見開く。ミケ分隊長が調査兵団に所属してから、けっこうな年月が経っているだろうに、この奇行種とまで表される我が上官は、どうやってそれを聞き出したのだろう…。
「こうなったら仕方ない…ニファ!」
「は、はい!?」
ハンジさんは私の肩をガッチリと掴むと
「分隊長からの命令だ。ミケ・ザカリアスから誕生日に貰いたいと思っているものを、聞き出して来てくれ」
「へっ…えええっ!?」
悲鳴にも近い声を上げる私を尻目に、ハンジさんは
「頼んだよ!」
と言うが早いか、笑顔で手を振り、足早に立ち去っていった。
えっと……これは…つまり…。
「…そんなぁ…ハンジさん…」
私は現実を何とか受け止め、深い深いため息をつくのだった。
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- 10 : 2015/11/04(水) 21:37:19 :
- ミケ分隊長の好きな物。
それを聞き出すには、まずミケ班の人たちに聞いてみるのが得策だろう。
私はそう考え、班員の1人である、ナナバのもとへと向かった。
「う~ん…ミケの好きな物、か…」
すぐに答えが返ってくると思いきや、ナナバはそう言い淀む。
「ナナバは、ミケ分隊長の誕生日を祝ったりしないの?」
「いや…誕生日自体知らなかったよ。他の班員を祝う時にも、ミケはあまり輪の中に入ろうとしないしな…」
聞けば聞くほど、我が第四分隊とは大違いだ。私たちの班では、班員の誕生日を祝おうと意気込むのは、他でもない、ハンジ分隊長だ。
「そっちの班は…その…連携とか、そういう面は大丈夫なの?」
私の問いに、ナナバは大きくかぶりを振って
「全然!問題ないよ。ミケが誰よりも頼りになる存在だってことは、兵団の中でも、ミケ班である私たちが一番よく分かっているからね。壁外での巨人を目の前にした時の連携プレー…見せてやりたいくらいだよ!」
たしかに、ミケ分隊長は、人類最強の兵士と詠われるリヴァイ兵長に次ぐ実力の持ち主と、兵団内で囁かれている。
同じ調査兵団でも、分隊のかたちはさまざまなのだろう…私は、そう解釈した。
「ねえ…ミケの好きな物分かったら、私にも教えてよ」
ナナバがそう言って私にウインクしてみせる。
「ナナバが聞いてよ。私が聞くよりも、すんなり答えてくれると思うけど」
するとナナバは、困ったように小首をかしげて
「普段身近にいる存在だからこそ、聞きづらいことってあるじゃないか。ね、ニファ。お願い」
ナナバはそう言って私に両手を合わせる。
「うん…分かった。やってみる」
もともと、他人から何か頼まれたら断れない性格の私は、仕方なくミケ分隊長を捜すことにした。
だけどその胸の奥が、ほんの少しだけ高揚しているのを、私はふと感じていたのだった。
ミケ分隊長…どこかな。
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- 11 : 2015/11/06(金) 21:18:46 :
- 人通りの少ない廊下の窓辺に、彼はひっそりと佇んでいた。
外は穏やかに晴れ渡り、時おりそよぐ風が、彼の砂色の髪を優しく撫でている。
ミケ分隊長は、じっと外を見つめたまま、私に気づく様子もない。
私はふと、彼の視線を辿ってみた。
彼がその高い視線の先で見つめていたもの…それはどこまでも続く青い空と、私たち人間が手に届くことの出来ない壁の向こうへと飛び立つ、鳥たちの群れだった。
「…きれい…」
思わずそう言葉を漏らすと、ミケ分隊長は私に視線を向ける。
「あの鳥たちは…どこへ行くんですかね…」
「…どうだろうな…」
と、ミケ分隊長は言った。
「どちらにしろ、俺たちがまだ知ることの出来ない、壁のはるか先だろうな」
「まだ…知ることの出来ない…壁のはるか先…」
私は鳥たちが飛び去ってゆくさまを見据えながら、そう反復する。
「ところで俺に何か用か」
ミケ分隊長にそう言われ、私は本来の目的を思い出し、なぜか顔が熱くなるのを感じるのだった。
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- 12 : 2015/11/06(金) 22:00:48 :
- 「えっと…あの…その…」
任務中であれば、まっすぐに相手の目を見、確実に伝達を済ませる私の目が泳ぐ。
今さらながら、何て切り出せば良いのだろう。
何の前振りも無く、誕生日に何が欲しいのか訊けるような間柄でもないし…後で冷静になって思えば、ハンジ分隊長に依頼された旨を正直に話せばよかったのだが、その時の私は、そこまで冷静になれなかった。
ぐるぐると回る意識のなか、ただ頭の中に浮かぶ言葉が、私の口から飛び出してくる。
「わ、私…」
するとミケ分隊長が促すように視線を送ってくる。その視線は、イライラと急かしているというより、私の次の言葉を静かに待ってくれているようだった。
「私…好きな…」
彼はその言葉に、わずかに首をかしげるも、あくまで冷静だ。それに対し私の頭は、突然巨人の襲来に遇ったかのように、大パニックだ。
「私好きなんです!!!」
そこから先の記憶は曖昧で…
「ミケ分隊長のことが!!!」
ぷっつりと途切れた意識のなかでわずかに残っていたのは、叱責を受けることなく、大きな腕に抱えられ介抱された、優しい記憶だった。
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- 13 : 2015/11/07(土) 21:21:08 :
- …
…
…意識が、だんだん戻ってくる。
「…うん…ありがとう、ミケ。あとは私が看てるから…うん…ははは…今度、何か奢るよ…いや、いいっていいって。それじゃ…」
…キィ…
…パタン。
扉の閉まる音を聞き、私は目を開いた。
「あ。気がついた?」
そう私に笑顔を向けたのは
「…ハンジ…さん…?」
「気分はどう?もう今日は休んでていいからね」
どうやら私は、医務室のベッドに寝かされているようだった。
「あの…私…」
頭がズキズキする。あの時意識を失い倒れた拍子に、どこかにぶつけたのだろう。
「ビックリしたよ。いきなりミケがニファを抱えてくるんだもん。でも、大したことなくて良かった」
と、ハンジさんは白い歯を見せて笑う。
「…ミケ…分隊長…が…?」
「そうだよ。君が倒れていた所を、偶然通りすがったんだって」
…偶然通りすがった…?いや、違う。だって…
戸惑う私をよそに、ハンジさんは続ける。
「私、ミケに言われちゃったよ…ハンジ。実験に没頭するのはいいが、部下をあまり振り回すなよ…部下たちの働きによって、我々の分隊は正常に機能しているんだからな…スン…って」
途中、ミケ分隊長の真似をしたつもりなのか、芝居がかった口調でそう言った後、ハンジさんは私に向かってすまなそうに肩をすくめる。
「…ごめんねニファ。いつも無理をさせてしまって。私…ニファはいつも何も言わずに、何でも引き受けてこなしてくれるからさ…それでつい、君の体調も考えずに、私は…」
ハンジさんはここで、私に向かって深々と頭を下げ
「本当に…ごめん」
私はしばし言葉も出ず、自分に向かって下げられた上官の頭を見つめていた。
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- 14 : 2015/11/07(土) 21:43:40 :
- そしてやっと現実を受け止めた私は、大いに慌て
「そんなハンジさん、頭を上げてください!私が体調管理を怠ったのが、そもそもの原因なんですから…」
もっとも原因は、それだけではないのだけれど。
ハンジさんに向かい合うかたちで、私は両手をつき、深々と頭を下げる。
「本当に…ご迷惑をかけて、すみませんでした…ハンジさん」
私の言葉に、ハンジさんは手をヒラヒラさせ、笑う。
「いいって。確かに最近の私は飛ばし過ぎだって、モブリットにも言われてたし。今回はいい機会だと思って、ゆっくり休みなよ」
そんなハンジさんの言葉を合図にしたかのように、私の体にどっと疲れが押し寄せてくる。そういえばこの数ヵ月間、まともに休みなどとったことがなかった。
ただただ、懸命に目の前の任務をこなしていた。
だからハンジさんの言葉は、正直ありがたかった。
「ありがとうございます…あ、それと…結局ミケ分隊長の欲しい物、訊けなくて…」
「ああ。大丈夫。今度飲みに行った時にでも、訊き出してみるからさ。私の方こそ、変なこと頼んで悪かったよ」
「それに…ミケ分隊長にも…その…ご迷惑を…」
突然目の前で(なぜか)告白され、しかもそのまま卒倒。にもかかわらず何も言わずに介抱し、しかも上官にはもっと部下の体調を気遣うようにとまで言ってくださったのだ。
私の心は、ミケ分隊長に対し、申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちでいっぱいになった。
「うーん…ミケの欲しい物、ね…」
いっぽうハンジさんは、そう言って口元に手を当て考え込んだかと思えば、ふと、私を見てにやにやと笑い
「…もしかしたらさあ、ニファ…」
「はい?」
「ミケに、欲しい物は何か、って訊いたら…」
ハンジさんはそこで言葉を切り、私の耳元に口を寄せ
「…ニファ…お前が欲しい…スン」
「…!!?」
「…な~んて言われたら、どうする?」
ハンジさんは私から離れ、いたずらっぽく笑う。
私の顔は、火のついたように熱くなる。
「ハハ…ハンジさん…そんな…私…」
正直言って、私は未だ男性とお付き合いしたことは無い。ゆえに、そういう経験も無い。
けれど、“女の人が男の人の物になる”、という意味くらい分かる。
私の表情を見て、ハンジさんは愉快そうに笑い
「はっはっは…冗談だよニファ。じゃ、ゆっくり休んでね」
それじゃあねと手を振り、ハンジさんは医務室を出ていった。
1人きりになった私は、冷たいシーツに火照った顔を冷やしながら、いつしか眠りに就いていた。
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- 15 : 2015/11/08(日) 21:21:49 :
- それから幾日か経ち、私たち調査兵団は、再び自由を求め壁の外へ出た。
聞こえる悲鳴、そして怒号…私には、すべて無機質なものに思える。
悲しみも怖さも、何も無い。ただ、前進する…分隊の命に従い、生きて壁内に帰る。それだけ。
きっと、何年も死地をくぐりぬけるうちに、心が麻痺してしまっているのだろう。そんな兵士は、私だけではないはずだ。
「…う…」
はっと気づく。
「…。」
先ほど討伐した巨人にやられたのか、近くで1人の兵士が、血まみれになって倒れている。
…自分の所属する分隊、階級にとらわれず、生存の確率がある場合、極力救出に努める…壁外でのルールの1つだ。
私は、倒れている兵士に近づいた。幸い、近くに巨人はいないようだ。
馬を降り、兵士の状態を確認する。
「う…う…」
兵士は男性のようだが、その顔は血にまみれ、苦痛に歪んでいる。
「だ…大丈…」
私は息を飲んだ。
巨人に噛まれたのか、彼の腹はパックリと割れ、内蔵がはみ出したまま、それでもまだわずかに機能している…。
すぐに事切れてしまえば、楽だろうに。私は思わず目を伏せた。
「う…あ…」
彼の唇が、わずかに動く。そして虚空に向かい、右手を伸ばす。
ああ…もうすぐ彼は…。
私は、彼の死期を悟った。
「…###…」
…誰かを呼んでいるようだ。うまく聞き取ることはできないが、少なくとも、私ではない。
「…###…あ…」
彼が懸命に手を伸ばす虚空の先に、何があるのだろう。
「…###…あ…いして……る…」
それが彼の、最期の言葉だった。
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- 16 : 2015/11/08(日) 21:34:22 :
- 「4メートル級が2体接近!!!」
目の前の死を悼む暇も無いまま、私は我に返る。
ガリガリに痩せた巨人が2体、こちらに向かってくる。
私はすぐさま馬に飛び乗り…彼に黙礼した後、隊列へ加わるべく、馬を走らせた。
「このまま逃げ切るぞ!!!」
他の兵士が必死にひた走るなか、私は視線の端に何かが留まり、思わず馬の進路を変える。
そこに広がっていたのは…
「…きれい…」
荒野の片隅に、花が群生していたのだ。
美しかった。まるでその空間のみが、残酷なこの世界から切り離されているかのようだった。
その花の色は、いつか見た空の色…そう。あの日ミケ分隊長と見た、きれいな青い空。
そうだ。私はまだ、彼に何も伝えていない。
ありがとうも、ごめんなさいも、何も。
気がつけば、私は馬から降り、花を摘み取っていた。
ミケ分隊長にこの花束を贈ろう。そして、ごめんなさい、と謝ろう。ありがとうって伝えよう。
残酷な光景がひしめき合うなか、私は彼のことを想うだけで、幸せだった。
あの日…なぜ私はいきなり彼に告白したのかは、正直分からない。もしかしたら、苦手だと思いつつ、実は意識していたのかもしれない。
だけど今は分かる。私は、本当に彼のことを…
「ニファ!!!」
誰かの叫び声に、私ははっと我に返る。
その背後には、先ほど見た4メートル級の巨人が、にやにやとこちらを見つめ、立っていたのだった。
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- 17 : 2015/11/09(月) 21:08:01 :
- 「ニファ!!!早く馬に乗れぇ!!!」
巨人にアンカーを刺し、そう叫ぶのは
「ケイジ!」
「何やってんだ早くしろ!!!」
同じ第四分隊に所属し、同期でもあるケイジは、必死にそう叫ぶ。
しかしケイジの応戦も空しく、巨人の手が私へと伸びる。
「…っ…!」
とっさにそれを避け、体勢を整えようとしたとき…
グキッ。
左足に激痛が走る。それでも私は、摘んだ花を懐へとしまい、馬に飛び乗った。
「…このまま走るぞ!!!」
私はケイジと共に隊列へと戻り、そのまま壁内へと帰還した。
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- 18 : 2015/11/09(月) 21:18:22 :
- 本部へと戻ると、ケイジは私に怒りと戸惑いの表情をみせる。
「おい…ニファ」
私は何も言えず、ただ目を反らす。
「どういうつもりだよお前…隊列を離れて…しかも馬から降りて、何してたんだよ」
言葉を重ねるにつれ、彼は語気を強める。
それでも何も言えない私に、ケイジは両肩をつかみ
「…俺とお前は同期だ…だからこんなことは言いたくないが…壁外で何してんだよお前は。いつものお前らしくないぞ。いつもの真面目なお前なら…」
ふと、私は顔を上げる。
「…いつもの…私」
「そうだ。いつも忠実に任務をこなしてくれて助かるって、ハンジさんも言ってるじゃないか。しっかりしろよ」
じゃあな、とぶっきらぼうに手を振り、ケイジは去っていった。
ケイジが怒るのも無理はない。直情的な彼のことだ。もし私が男だったら、殴られていたかもしれない。
『…いつもの真面目なお前なら…』
ケイジの言葉が脳裏に浮かぶ。
私は左足の痛みを引きずりながら、歩を進めた。本部に帰ったとはいえ、やるべきことは山ほどある。
時おり、懐に入れた花束が、唯一私の心に寄り添うように、優しく香っていた。
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- 19 : 2015/11/09(月) 21:21:56 :
- 足のケガは思っていたよりも酷く、しばらくは松葉杖をつきながらの生活を余儀なくされた。
それでも、次の壁外調査までには完治しなければ…そしてまた、人類の勝利のため、奔走しなければ。
そんな思いを抱きながらも、気がつけば私は、壁外で摘み取ったあの花を束ね、お気に入りのリボンを結んでいた。
そして、あの窓辺へと向かった。
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- 20 : 2015/11/09(月) 21:27:14 :
- こつ、こつ、と慣れない杖に時おりふらつきながら、ミケ分隊長の姿を捜した。
…いない。
無理もない。あの日の窓辺にいるかもしれないと思ったのは、ただ私の一方的な勘なのだから。
「…しょうがない、か」
私はそうひとりごちると、もと来た通路へと戻るべく、杖を慎重に動かしていく。
そして前に進もうとしたとき…
「ああっ…」
石を踏みつけたのか、それとも床が滑りやすかったのか、とにかく杖は大きく滑り、その結果、私の体は大きく前に傾く。
瞬時に体勢を整えることもできぬまま、私はあの日と同じように石畳の床にダイブすることを覚悟し、ぎゅっと目をつぶった。
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- 21 : 2015/11/09(月) 21:45:06 :
- ドサッ…。
あ…硬い。床だから当然だろう。
あれ…でも、なぜか温かい。
「…え…」
目を開くと、そこにはなぜか、灰色の布が…。
私はそのまま顔を上げる。
「ミケ…分隊長…」
転びそうになった私を、彼が抱きとめてくれたのだ。ミケ分隊長はそのまま何も言わず、私を起こしてくれた。
「…すみません…」
すると、彼は床に落ちた何かに気づき、拾い上げる。
「あ…」
いつの間にか、懐から花束がこぼれ落ちていたのだ。
「…壁外の花か」
花束を眺めながら、ミケ分隊長は言う。
「この辺りじゃ見かけない種類だ」
「はい。とっても美しかったので…その…」
どのようにして摘んで来たのか、私は言えなかったが、ミケ分隊長は私の左足を見て察したらしく、すっと目を細める。
私は思わず、彼から目を反らした。
「…私…ミケ分隊長にあの日のこと…まだ、お礼も何も言えてなくて…それで、あの日見た空と同じ色の花を見つけて…あなたにも、見てもらいたくて…それで…」
彼の表情は分からないけれど、じっと私の言葉に、耳を傾けてくれていることは分かった。
私は自分の左足を見据えたまま、自嘲の笑いを浮かべる。
「バカですよね、私。壁外でそんなことして…他の仲間にも迷惑かけて…ケガまでして…」
ミケ分隊長は、何も言わない。
「私……あのまま巨人に殺されていても、仕方がなかったんです…私が死んだって、何も変わらないし、何も残らない…私の代わりは、いくらでもいますから…だから…私なんて…」
…暫しの間沈黙した後、ミケ分隊長は、ゆっくりと私に近づいた。
そして言った。
「お前も変わり者だな…俺ほどじゃないが」
私は、そっと顔を上げた。
彼は花束に、優しく口づけするように香りを嗅いだ後
「だが…そんなことを言うな」
そう言って私を見つめる瞳は、とてもまっすぐで、優しくて…
「あの…ミケ分隊長。お願いがあります」
そんな彼に向かって私は微笑み、そして言った。
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- 22 : 2015/11/09(月) 21:53:52 :
- 「こんな変わり者の私が…壁の外で死んでしまう前に、あの日の返事を訊かせてくれませんか」
私の言葉に、ミケ分隊長は少し驚いたように目を見開く。
「あのときはすぐに倒れてしまったけれど…もう1度、言わせてください。私は…もし…死ぬことを受け入れなければならない時…あなたのことを…想っていたい…」
そう。名もなき兵士が見つめていた虚空の先…私は、あなたの姿を見つめていたい。
「あなたのことが…大好きです…ミケ分隊長」
今度は倒れたりしない。私は、彼の返事を待った。
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- 23 : 2015/11/10(火) 21:23:59 :
- 彼は言った。
「お前の代わりなどいない」
そしてその大きな手が、私の髪にそっと触れる。
「戦い続ける以上、俺たち兵士に、死は必ず訪れる。お前も俺も例外ではない」
彼の指が、私の髪を撫でてゆく。とても心地よい。
私は、そっと目を閉じた。
「だが…もしその時が訪れたなら…」
彼はそこで言葉を切る。そして私の唇に、温もりとチクチクした感触が伝わる。
彼が私に、口づけをくれたのだ。花の香りを嗅ぐように、そっと。
そして言った。
「俺も、お前を想う」
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- 24 : 2015/11/10(火) 21:39:38 :
- 風が、優しく2人を撫でてゆく。温かくて、優しいそよ風が。
「遅くなりましたが…お誕生日、おめでとうございます」
私は彼に精一杯の笑顔を見せる。
すると心無しか、彼のその髭を蓄えた顔が、赤みを帯びた気がした。
ミケ分隊長は、照れ隠しのように鼻をスン、と鳴らし
「そういえばハンジがしつこく訊いて来たな。誕生日に何が欲しいとか何とか」
「はい。実は私もすっごく悩んでいたんです…あの、それでハンジさんには、何て答えたんですか?」
私の問いに、彼はブーツを履いた足をちょいと上げ
「靴下だ」
「靴下…」
「今まで使っていたやつに穴が空いてな…俺の場合、だいたいサイズが無くて、特注だから手に入りにくくてな」
確かにそうだ。ミケ分隊長の体は大きい。私のすべてを、包み込んでしまえるくらいに。
「靴下ですね。分かりました。ミケ分隊長に似合うもの、私探します」
「いや、もういい」
彼は言った。
「あれからハンジやらエルヴィンやらリヴァイやら、さらには俺の班員からも靴下が贈られてな…靴下はもういい」
「じゃあ…何がいいですか?」
すると彼は、再び花の香りを嗅ぎ
「俺にはこれで…充分だ」
その言葉に、私の胸は、なぜかとくん、と高鳴った。
-
- 25 : 2015/11/11(水) 21:55:50 :
- 「これで、って…本当は欲しいもの、あるんじゃないですか?」
私の問いかけに、彼は目を反らし
「…いや…」
私は杖を使わぬまま、彼に歩み寄る。
途中、痛みが走り、私の体は大きく傾く。
「痛っ…」
苦痛に顔を歪める私に手を差しのべながら、彼は言う。
「無理するな。部屋まで運んでやる」
「私の部屋に、ですか?」
「当たり前だろう」
私は寄せられた彼の胸に顔を埋め、精一杯広げた両腕で抱き締めた。
彼は一瞬身を強ばらせたものの、私をその大きな腕で包み込んだ。
私はさらに彼を抱き寄せた。ぎゅっと強く、強く。
「お前は足をケガしている」
ミケ分隊長は、静かに言う。
「お前の気持ちは理解している。そしてそれは俺も同じだ。ただ、お前は…そうだな…経験が浅いから…自分が今していることの意味を、充分分かっていないだけだ」
「分かってます。私…子どもじゃありませんから」
私は…あなたが欲しい。
あなたがその高い視線から見つめたすべてを…見てみたい…感じてみたい。
「今日は…あなたのそばに…居させてください」
-
- 26 : 2015/11/14(土) 22:17:55 :
- 「…分かった」
そう一言だけ告げた後、彼は私を抱えたまま立ち上がった。
そして向かった先は、私の部屋ではなく、ミケ分隊長の自室だった。
兵団では階級が分隊長以上になると、各々個室が支給される。私は、ミケ分隊長の自室に入るのは、これが初めてだった。
ミケ分隊長は部屋に入るとすぐに、私を備え付けのベットに座らせる。
「今夜はそこで寝ろ」
そして、私のそばを離れようとする…。
「…一緒にいてください」
離れそうになる腕を、私はつかんだ。
「安心しろ。俺はそこの机で報告書をまとめているだけで、ちゃんとお前のそばにい」「このまま…」
私は彼の言葉を遮り、続ける。
「このまま私を包んでいてください…お願い…します…私…」
今、この温もりから片時も離れたくない。それは、願いだった。
ミケ分隊長は深く息をつくと、軽々と私をベットに押し倒し、今度は強く唇を押し付けた。
そして、言った。
「…今ここから出ていかなければ、続きをする」
続き…か。彼は真剣だ。それに対し私は、クスリ、と笑ってみせ
「出ていくって…無理ですよ。私が使ってた杖、廊下に忘れたままですから」
「また俺がお前を抱えて送っていく。それくらい、なんの負担にもならない」
私は、悲しげに目を細める。
「その…私、こういうの初めてだから何も分からなくて…もしかして、興醒めしちゃいました…?」
私の問いに、彼は即座に
「いや。醒めるどころか、理性を保つのに必死だよ、今は」
「なら…その…」
「お前は、まっすぐな心を持っている」
彼の瞳に、優しい光が灯る。吸い込まれそうになる、優しい瞳。
「だから、もし今ここで俺がお前を抱けば…お前は俺を、愛してくれると思う…確かな心で…だが、俺は兵士として戦い続ける使命がある…戦うことをやめたら最後、人類は本当に敗北してしまう…」
私の肩を押さえる手に、わずかに力がこもる。
「それだけは…絶対に、あってはならない…この自由の翼を背負った時から、そう心に誓っていた…だから」
「もし俺を失うことになったら…お前は悲しむだろう……ですか?」
私は彼の言葉を引き継いだ。図星だったのか、彼は照れ臭そうにスン、と鼻を鳴らす。
「人が死んだらどうなるかなんて分からない。だが、お前が悲しむ姿は、見たくない…」
彼はそう告げると、私を押さえる力を弱めた。
私はその手をとり、自分の心臓に押し当てた。
-
- 27 : 2015/11/14(土) 22:39:47 :
- 「ミケ分隊長。お忘れではないですか」
私の心臓を彼の手に押し当てたまま、私は続ける。
「私とて、人類のために心臓を捧げた兵士です。私たち兵士は…愛する誰かに…泣いてもらうために死んでゆくわけではないのです…私たち兵士は…愛する人の死を…涙の糧にするのではないのです…それは…同じ自由の翼を背負う者、皆同じはずですよね」
ミケ分隊長は、私の言葉に目を閉じ、そして言った。
「そうだな…そのとおりだ」
「だから、今は…私に愛することを、許してください…私にまだ、まっすぐな心が残っているうちに」
私が話を終えると、彼の唇が、私の口を、首筋にを、身体を、優しく撫でていった。
そこから先は…ほんの少しの痛みと、チクチクした感触…そして、幸せなひとときが、私を包んでいった。
彼が生きた、ほんのひと欠片を、私の身体に刻み込むように。
-
- 28 : 2015/11/14(土) 22:52:22 :
- …
…
…一陣の風が吹く。痛くて寂しくて、冷たい風が。
あれから、どれだけの時が過ぎただろう…どれだけの命が、壁の向こうで散ったのだろう。
私は今、あの日の窓辺にいる。
だけどその隣に、あの人はいない。
あれから私は、あの空の色を見ていない。どんなに晴れた日でも…私の目には、暗く淀んだ空でしかない。
「…ごめんなさい」
ごめんなさい、ミケ分隊長。あなたは許してくれたのに。失うことをおそれず、愛してくれたのに。
私は悲しみを拭いきれなかった…いつまでも、あなたの面影を捜してしまった…。
だけど、あなたは今いるのは…私の手の届かない、遠い壁の向こう。
私も…私も行きます。必ず。それが私たち兵士の務めなのだから。
そうすれば、きっと…。
私の心は、たった1つの温もりに揺れ動きながらも
この世界の本当の残酷さを、今はまだ、知らない。
<終>
-
- 29 : 2015/11/14(土) 22:54:25 :
- ※…以上で、終了とさせていただきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
コメントを解禁いたしましたので、ご意見ご感想などいただけたら、ありがたいです。
よろしくお願いします。
-
- 30 : 2015/11/15(日) 00:21:59 :
- なんというか、心を現れたような気分です・・・(笑)
感動しました。私もこんな人を惹きつけるような作品を書けるようになりたいです^ ^
-
- 31 : 2015/11/15(日) 10:48:56 :
- あまり見かけないCPだったので、とにかく新鮮で心躍らせながら楽しく読ませて頂きました。強い者だけが生き残る残酷な世界で、いつかどこかで在ったかもしれない束の間の穏やかな時間。原作では凄惨なる道を歩む彼等だからこそ、こういったひと時を大切にしていたのかなぁ………と、しみじみしちゃいました。
執筆お疲れ様でした( ´ ▽ ` )
-
- 32 : 2015/11/15(日) 14:41:06 :
- 今回の作品も良かったです^^
お疲れ様でした!!
-
- 33 : 2015/11/15(日) 21:27:13 :
- >>30 イリヤスフィールさん
コメントありがとうございます。
今回の作品は、書いている途中で何度も迷い、書いては消し書いては消ししていました。
イリヤスフィールさんが今回心惹かれ、感動したのは、私の作品の力ではなく、
あなたの心がそれだけ純粋で温かいからなのではないでしょうか。
イリヤスフィールさんの作品も、ぜひ読ませてくださいね(^^)
>>31 heiBe:無銘の戯言遣いさん
コメントありがとうございます。
私自信も、ミケニファという新しいジャンルを、存分に楽しませていただきました(^^)
お互いに兵士、という立場のなかで、いかにして人間らしく愛し合っていくのか、自問自答の日々でした(^_^;)
また楽しんでいただける作品が描けるよう、頑張ります。
>>32 子供なのにオタク<進撃大好き>さん
いつもありがとうございます(^^)
アダルト展開の方は、また別作品で描きます…はい(>_<)
別作品になりますが、ラジオのほうが停滞してしまってすみません…彼らはヤギさんたちと仲良く待機中です(笑)
-
- 34 : 2015/11/29(日) 18:26:10 :
- ログインしました!!!
えへへ、数珠繋ぎさんのssに
たくさんお邪魔しようとおもいます!
これからもよろしくお願いします!
-
- 35 : 2015/11/29(日) 21:12:02 :
- >>34
ようこそ!フォローまでしていただき、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
-
- 36 : 2020/10/27(火) 10:13:49 :
- http://www.ssnote.net/users/homo
↑害悪登録ユーザー・提督のアカウント⚠️
http://www.ssnote.net/groups/2536/archives/8
↑⚠️神威団・恋中騒動⚠️
⚠️提督とみかぱん謝罪⚠️
⚠️害悪登録ユーザー提督・にゃる・墓場⚠️
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
10 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:30:50 このユーザーのレスのみ表示する
みかぱん氏に代わり私が謝罪させていただきます
今回は誠にすみませんでした。
13 : 提督 : 2018/02/02(金) 13:59:46 このユーザーのレスのみ表示する
>>12
みかぱん氏がしくんだことに対しての謝罪でしたので
現在みかぱん氏は謹慎中であり、代わりに謝罪をさせていただきました
私自身の謝罪を忘れていました。すいません
改めまして、今回は多大なるご迷惑をおかけし、誠にすみませんでした。
今回の事に対し、カムイ団を解散したのも貴方への謝罪を含めてです
あなたの心に深い傷を負わせてしまった事、本当にすみませんでした
SS活動、頑張ってください。応援できるという立場ではございませんが、貴方のSSを陰ながら応援しています
本当に今回はすみませんでした。
⚠️提督のサブ垢・墓場⚠️
http://www.ssnote.net/users/taiyouakiyosi
⚠️害悪グループ・神威団メンバー主犯格⚠️
56 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:53:40 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ごめんなさい。
58 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:54:10 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ずっとここ見てました。
怖くて怖くてたまらないんです。
61 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:55:00 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
今までにしたことは謝りますし、近々このサイトからも消える予定なんです。
お願いです、やめてください。
65 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:56:26 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
元はといえば私の責任なんです。
お願いです、許してください
67 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
アカウントは消します。サブ垢もです。
もう金輪際このサイトには関わりませんし、貴方に対しても何もいたしません。
どうかお許しください…
68 : 墓場 : 2018/12/01(土) 23:57:42 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
これは嘘じゃないです。
本当にお願いします…
79 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:01:54 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
ホントにやめてください…お願いします…
85 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:04:18 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
それに関しては本当に申し訳ありません。
若気の至りで、謎の万能感がそのころにはあったんです。
お願いですから今回だけはお慈悲をください
89 : 墓場 : 2018/12/02(日) 00:05:34 このユーザーのレスのみ表示するこの書き込みをブックマークする
もう二度としませんから…
お願いです、許してください…
5 : 墓場 : 2018/12/02(日) 10:28:43 このユーザーのレスのみ表示する
ストレス発散とは言え、他ユーザーを巻き込みストレス発散に利用したこと、それに加えて荒らしをしてしまったこと、皆様にご迷惑をおかけししたことを謝罪します。
本当に申し訳ございませんでした。
元はと言えば、私が方々に火種を撒き散らしたのが原因であり、自制の効かない状態であったのは否定できません。
私としましては、今後このようなことがないようにアカウントを消し、そのままこのnoteを去ろうと思います。
今までご迷惑をおかけした皆様、改めまして誠に申し訳ございませんでした。
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