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星空の下で。【ハンジ誕記念ss】

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  1. 1 : : 2015/09/05(土) 23:54:02
    ハンジさん、誕生日おめでとうございます!
    残念ながら、今日中に書き上げることはできません。
    が、今日中にスレを立てれば間に合う!!と考えた私は、立てました。
    更新は、明日以降、行います。

    *リヴァハンです。

    *多分、いや、亀更新です。

    *短編です。

    ハンジさん、ぎりぎりでごめんなさいっ
  2. 2 : : 2015/09/06(日) 11:26:53



    __壁外調査を重ねる度に、目に見えて減り行く兵士達。

    壁外調査から帰還後、もしくは壁外調査の休息の時、仲の良かった輩がいなくなっていることには、もう馴れてしまった。

    中には昨日話した者や、今朝話した者が、昼にはいない、なんてことも多々あった。

    それに馴れてしまった自分は、人間ではないのかもしれない。

    人間の"何か"が抜け落ちて、"ヒト"の形をした何かになってしまったのだ。

    その"何か"というのは、感情だと思う。

    喜怒哀楽の内の、"哀"の部分が抜けきってしまい、哀しみを感じなくなってしまった。

    もしかすると、私以外の誰か__長年調査兵団で生き残った古参兵は、皆そうなのかもしれない。

    少なくとも、私の知っている彼は、喜怒哀楽、全てが抜け落ちているように見える。
  3. 3 : : 2015/09/06(日) 11:28:51
    ◇◆◇◆


    「リヴァイ、この書類に目を通してから、サインお願い。あと、エルヴィンに届けてくれたら助かるんだけど。」

    昼の12時を過ぎたある日、調査兵団第四分隊長である、ハンジ・ゾエは、同じく調査兵団の同僚、リヴァイ兵士長の部屋に訪れていた。

    片手に持った5枚くらいの書類の束をひらひらさせ、怠そうに欠伸をした。

    「分かった。」

    リヴァイは一言返事をすると、ハンジのほうを振り向き、睨みを利かせる。

    「てめぇ、また徹夜か?」

    ハンジは頭をぼりぼりと掻きながら、まぁね、と苦笑した。

    「ぶっ倒れたら元も子もねぇぞ。しっかり休め。 馬鹿野郎。」

    普通の兵士なら、参ってしまうリヴァイの視線を気にも止めず、分かったよ、とてきとうに返事をした。 

    「そんじゃ、頼んだよ。」

    ハンジはもう一度念を押して頼むと、リヴァイの部屋を後にした。
  4. 4 : : 2015/09/06(日) 11:35:00

    廊下に出たハンジは、仕事も一段落したので、何をしようか、と思考を巡らせる。

    リヴァイや、ハンジの副官であるモブリットに何か言われる前に、風呂に入ってしまおうと、ハンジは自室へ向かった。

    目的地へ着くと、棚の引き出しを開けた。

    ぐちゃぐちゃに混ぜられたように、散乱する衣服の中から、適当にシャツと下着を取り出す。

    乱雑に足で引き出しを閉めると、今度は一つ上の引き出しを開けた。

    今度は綺麗に畳んで仕舞われている兵服を取り出すと、またも足で閉めた。

    兵服が綺麗に畳んであるのは、ハンジの副官、モブリットがやってきて、畳んでくれるからだ。

    だが、さすがに下着類は畳めないと、兵服だけ、いつも畳んでくれる。

    ごちゃごちゃと床に置かれた物を避けながら、部屋の出口へ向かう。

    すると、丁度モブリットと出会った。

    「おや、ハンジさん、お風呂ですか?」

    「まぁね。珍しく、モブリットやリヴァイに言われる前に入ろうかな、ってね。」

    そういってハンジはまた、大きな欠伸をした。

    「へぇ、珍しいですね。それはいいことなんですけど、また徹夜したでしょう?」

    モブリットの言葉に、ハンジはギクリと肩を揺らす。

    「あはは、バレちゃったか~。」

    わざとらしく苦笑いするハンジを他所に、モブリットはまるでどこかの母親の様に怒りだす。

    「何度言ったら寝てくれるんですか!昨日は布団に入ってから俺が、寝るまで監視してたじゃないですか!狸寝入りですか?!」

    モブリットからひっきりなしに浴びせられる言葉のシャワーに、ハンジは顔をしかめる。

    「まぁまぁ、そう言うなよ。私だって今日は寝るさ。」

    ハンジの落ち着いた声に、ぶつぶつと何やら呟くモブリット。

    「…信用できませんね。リヴァイ兵長にでも訴えましょうか…。」

    ハンジはそんな言葉は耳に捉えることなく風呂に向かおうとした。

    が、何か引っ掛かる言葉をモブリットが呟いた気がして、ハンジは立ち止まる。

    「……!リヴァイに言うだって?!やだよ!本当に寝かされるじゃないか!」 

    ハンジのさっきとは異なる態度に、モブリットは確信する。

    これだ、と。

    「全く、仕方ないですね。」

    モブリットは溜め息を吐く。

    「おぉ!リヴァイに言わないでくれ__」

    くれるのか、ハンジの嬉しそうな言葉を遮る様に、モブリットはさらりと冷たく言う。

    「リヴァイ兵長に頼むしかないですね。」

    「えっ」

    ハンジの笑みは、そのまま凍りつく。

    「おいハンジ、てめぇなんだその面。本当に巨人になっちまったのかと思ったじゃねぇか。」

    聞きなれた低い声に、ハンジはまた、びくりと震える。

    モブリットの背後から、ぬぅ、と現れた人物は、さっき会って話した者だ。

    「や、やぁリヴァイ。巨人みたいな顔してたかい?それは嬉しいよ…ねぇ、さっきの会話聞いてたの…?」

    ハンジのぎこちない対応に、リヴァイはふんっと鼻を鳴らす。

    「あぁ、しっかり聞かせてもらったぞ。」

    何処か得意気にするリヴァイに、ハンジは落胆の色を浮かべる。

    「じゃあ、今日はリヴァイがずっと部屋にいるの?」

    ハンジは溜め息混じりに、体の力を全て吐き出したようなか細い声で呟いた。

    「そう言うことになるな。」

    リヴァイの口から飛び出る言葉は、ほとんど無駄がない。

    伝いたいことを言う際、それ以外口が開かない仕組みになっているのか、と疑問に思うくらい無口だ。

    ただ、よく喋る日もある。

    それは、彼の感情が、無くなったはずの感情が、微かに高揚している時だ。

    「そんなことより、早く風呂に行ってきて下さい。入るつもりだったんでしょう。」

    モブリットの促しに、ハンジは再び歩みを進めた。

    後ろのほうで、モブリットがリヴァイに礼を言う声が聞こえた。

    その声に、小さくちっと舌打ちをすると、ハンジは黙々と風呂場へ向かった。
  5. 5 : : 2015/09/08(火) 21:12:27
    ゆうひめもギリギリだね
    9月6日5分前w
    やっぱリヴァハンになるよね!
    お風呂はリヴァイとハンジ一緒に入らないの( *´艸`)?
    まあ、とりあえず期待してるから
    頑張ってねー!
  6. 6 : : 2015/09/08(火) 22:40:31
    >>5
    ぎりぎりだよw
    やっぱりリヴァハンだよね(oゝД・)b
    一緒にお風呂いいね!参考にしてみるよ!
    ありがとうございます♪
  7. 7 : : 2015/09/10(木) 22:58:24
    期待じゃ!!!
  8. 8 : : 2015/09/10(木) 23:56:19
    モブリットが一瞬ゲスく…まぁ、それもハンジさんの為だからいっか♪
    ハンたんのお祝いssが書けなくて残念…。今からでも…遅い…遅いね…
    期待です^^
  9. 9 : : 2015/09/11(金) 17:53:05
    >>7
    ありがとうございます
    更新遅くてすみません( ノД`)…

    >>8
    もぶりっとゲスかったねw
    ハンジさんの為だからいいや♪
    ひなのんちゃん、今からでもまだ間に合う!!
    大丈夫だよ!がんばれひなのんちゃん!(殴
    ありがとうw
  10. 10 : : 2015/09/18(金) 19:30:18


    風呂から上がると、ハンジは再び自分の部屋へ戻った。

    今日は徹夜できないので、夜やろうと思っていた巨人の研究レポートを、今することにした。

    今からなら、夜には終わるだろう。

    木で作られた簡素な椅子に腰かけると、ハンジはふぅ、と息を吐き出した。

    これは、疲れからの溜め息ではなく、気持ちの入れ換えのための深呼吸だ。

    ハンジが一度、机にかじりついたら、中々離れないのは、モブリットやリヴァイをはじめとする、調査兵団ほとんどの兵士は百も承知だ。

    モブリットは今回もそれを心配したが、今日はリヴァイがハンジを無理矢理にでも休ませる、とのことだったので、安心して仕事をすることができた。
  11. 11 : : 2015/09/20(日) 01:26:07
    ◆◇◆◇

    気づけば、もう9時をまわっていた。

    一度、大きく伸びをすると、凝った肩を片手で軽く叩いた。

    すると、リズムよく、軽いノックの音が響いた。

    「ん、入っていいよ。」

    ハンジには誰か、だいたい予想がついていた。

    この時間にやって来るのは、だいたいリヴァイかモブリットしかいないだろう。

    キィ、と小さく悲鳴をあげるドアを押し開けて、部屋の中に入ってくるのは、顔を見なくても誰だか分かった。

    モブリットなら、入ってきたと同時にごちゃごちゃとうるさいのだが、リヴァイの場合、静かに隣まで歩み寄ってくるまで、一言も喋らない。

    そのをよく理解していたハンジは、リヴァイだと把握した。

    「こんな時間にどうしたんだい?リヴァイ。」

    「どうしたんだじゃねぇ。てめぇの副官に言われて寝かしにきた。」

    書類仕事にのめり混んでいたハンジは、今日はリヴァイが休ませに来ることを、すっかり忘れていた。

    「げっ……すっかり忘れてたなぁ…。」

    ハンジは苦い顔をすると、椅子から立ち上がり、伸びをした。

    「んぅ~……っはぁ。」

    上へ伸ばした手をゆっくり下へ下ろすと、にこっと笑みを浮かべた。

    「ねぇ、リヴァイ!提案があるんだ!」

    元気よく言うハンジは、人差し指を立てて、もう片方の手を腰にあてがった。
  12. 12 : : 2015/09/20(日) 01:27:33
    「何だ。手短に話せ。」

    「あのね、今日は星が綺麗なんだ。」

    ハンジはそう言うと、窓の外の大空に目をやった。

    真っ黒い紙に、白い絵の具で飛沫を飛ばしたように、星々は散りばめられていた。

    リヴァイはハンジの視線をなぞるように、大空へと目を向ける。

    「それがどうした。」

    「あのさ、星を見に行こうよ。情報によると、今日は流星群が見れるらしいんだ。」

    ハンジはにっこりと微笑んだ。

    「……。」

    何かを考えているのか、黙りこむリヴァイに、ハンジは手をぱちん、と合わせる。

    「お願いだよ、リヴァイ。一度見てみたんだ。流星群。」

    「見たことくらいあるだろ。」

    「それがないんだなぁ…。仕事とかさ、忙しくって。」

    ほう、とリヴァイは顎に手を添えると、もう一度夜空を見上げる。

    「ね?お願いリヴァイ。」

    追い討ちをかけるように、ハンジはリヴァイにするりと舐めるように巻き付いた。

    腰に巻き付いたハンジは、リヴァイを上目使いで見つめる。

    「てめぇ、女でよかったな。全く。」

    リヴァイは呆れたような素振りを見せると、マントを取ってくる、と言い残して部屋を出ていった。

    リヴァイが出ていった後、静まり返った部屋の中、ハンジは一人、ほくそ笑んだ。
  13. 13 : : 2015/09/22(火) 20:49:59

    ◆◇◆◇


    「うわぁ…。綺麗だなぁ。」

    まだ星が流れていない空は、歓声をあげるには十分だった。


    ここは壁の上。

    ウォール・ローゼだ。

    本当は許可なしに上がるなんざ、規則に反しており、罰せられるだろう。

    だが、ハンジとリヴァイなどの階級が高い者なら、巨人についての考察に、なんえ言えば通るだろう。


    ハンジはすとん、と壁の淵に腰をかけた。

    足をぶらぶらさせてみる。

    夜の気温は、昼とは違い冷たく、ハンジはぶるりと身を震わした。

    リヴァイはハンジの隣に腰を下ろす。

    「寒いね、リヴァイ。いくらマントをつけてるからとは言え、こんな薄っぺらいもんじゃ、ほとんど意味無いね。」

    ハンジが、少し震えを帯びた声で、リヴァイに話しかけた。

    リヴァイはハンジの方をちらりと盗み見見る。

    ハンジは夜空を見上げたままだ。

    リヴァイはハンジの言葉に返答することなく、ハンジと同じように夜空を見上げた。

    「…なんだよ。無視するなよ。」

    「…………あぁ、寒いな。」

    「……だよね。」

    ハンジはぱたり、と寝転がる。

    ひんやりと夜の気温に冷やされた壁の冷たさが、服を突き抜いて身体に伝わる。

    じんわりと体温を奪っていく。

    「あっ、流れ星!」

    ハンジはある方向を指差して言った。

    夜空の暗闇から、どこからともなく、眩く光り、現れてはどこか遠いところに落ちて、地面につく前に消えてしまう。

    それは、ハンジがいくら手を伸ばしても届かないものだった。

    次から次へと降り続く光は、ハンジの目にはとても幻想的に映った。

    「……ねぇ、リヴァ___…!」

    綺麗だね、ハンジがリヴァイに話しかけようと、身体を起こし、ふいに顔をリヴァイに向けると、言葉を紡ぐのを止める。



    涙。

    一粒、二粒。

    三、四、五。


    ハンジは目を見開いた。

    確かに、彼女の眼は捉えた。

    月光に、星の光に照らされて、透き通った水滴が光輝き、零れ落ちるのを。

    すっかり無くなった、ぽっかりと穴の空いた、"哀"の感情が、また彼に芽生えたのだ。


    それにつられるように。

    ぽとり、冷えきった壁に、彼女の体温が溶け込んでいく。

    ハンジは素早く、彼にバレないように、涙を拭うと、ニヤリと笑う。

    「っはは。リヴァイってば、泣いてるの?」

    ハンジはわざとらしく笑ってみせる。

    「……そうだな。」

    リヴァイは簡単に答えると、ハンジと同じように涙を拭った。








    今日、彼の感情が溢れた。







    星空の下で。


    End
  14. 14 : : 2015/09/22(火) 20:54:28
    以上で終わりです。

    いやぁ、なんかぐだぐだで、何を伝えたいのか分からなかったです(^_^;)
    感動する感じにしたかったんですが…。

    それにリヴァイって、怒ってますよね(((・・;)
    スレを立ててから気づきました、すみません。
    リヴァイ誕みたいになってましたしね…。

    ここまで見てくださった方、お星様をくれた方、ありがとうございました。
  15. 15 : : 2015/09/22(火) 21:25:02
    執筆お疲れさまです。
    感動したよ!!!
    リヴァイが涙を流すシーンは、意外性があったし、文章もすごくステキだったよ!
    あと、密かにモブリットの日頃の気遣い(下着をさけて兵服のみ畳む、眠るまで監視する)にも感動したよ!!!
    ステキな作品をありがとう!!!
  16. 16 : : 2015/09/22(火) 21:34:22
    >>15
    さだはる殿、ありがとうございます!
    お星様まで…!
    モブリットはおかんだからねw
    あ、リヴァイもだ。Wおかん…私達学生の宿敵…!
    文章については、本当に嬉しいです。
    あまり自信がないというかなんというか、、

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著者情報
20030522a

ふらい

@20030522a

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