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  1. 1 : : 2015/09/05(土) 09:33:15

    ーー何…かしら…?

    「…腹部…損…が「臓器…移…が…必…だ…!!」

    ー私は どこに いるの……?

    「ーーこの子の臓器を…血液型は同じだ…っ!」

    声だけが頭に響くわ…臓器…?

    「…ご家族とも連絡がつきません ですが 遺族の方の
    同意なしには…!」「嘉納先生…「ーー他に方法などないっ…!」

    遺族…? 煩わしい…何なの…?

    「見殺しには出来ん! 全ての責任は私が取る!
    彼の臓器を ーー彼女に……!!」

    ーー…私 私は…? ……? 私の名… あら…? ーひとつ、も……

    「ー脈拍安定!」 「…手術は成功だ!」


    …ウフフ…はじめから “そう”産まれてきたんだもの。
    ーーああ “退屈”ね……

    …………
    嘉納総合病院 寝室

    TV<マスコミ「少年に臓器提供の意思は、あったのですか!?
    遺族への確認は、ありましたか!? 見殺し…ー医者なら…」

    TV<嘉納教授「目の前の命を救う事こそ、医師としての
    私の使命だと考え、今回の決断を致しました……」


    ぽー……むくっ
    少女「……!」はっ
    男医師「…調子はどうだい? 中々目を覚まさなくて心配したよ。」

    少女「ええ…私……ごめんなさい。嘉納、先生だったかしら? 」

    嘉納「! ああ、丁度、TVで私が出た時の会見だったか。
    臓器移植は、君を救うためとは言え、一人の少年を犠牲に
    してしまった。ただ、君を救いたい。その一心で判断し
    決めたことで、後悔はない。しかし、私の独断で君に
    手術を施したことは、申し訳なかった……っ!」

    少女「いえ…助けて、頂いて…ありがとうございます。」にこっ…

    嘉納「そう言ってもらえると…心が救われるようだよ。
    …あぁ、起きたばかりで、立ち上がるのも辛いだろうね。
    今、食事を運ばせるから、そこでくつろいで待ってなさい。」

    少女「あ、私……あんまり、多くは入らないので
    その、お願いします。」おずおず…

    嘉納先生は、察してか口角を少しばかり上げ微笑みながら退出し
    ぽつんと静寂な雰囲気が辺りを包み、寝室は一人になった。

    少女「(…喰種であることは、バレていないのかしら…
    でも、ここには、居られないわね。赫子は、…まだ出せない。)」

    かつん、かつん…

    少女「(ー人間…女、一人…?)

    思考に耽っていながらも、少女は部屋に近づく
    何者かの気配感知し、直後人影がドアに映る。

    がらっ すたすた……

    ナース「ーあ、大丈夫? 今、ご飯持って来たわ。
    ね、身体の治りも早かったし、助かってよかったね…」

    少女「 おかげさまで。お食事もお気遣いなく……
    (うっ…人の食事なんて…いつ以来かしら…?
    …いつ……?カネキさんを喰い損ねて 、今日は…)」

    少女「ーあの、今日は、何日でしたか…?」
    ナース「…そうね。事故からは、7日経っているわ。
    …でも、貴女の治りが早いのもあって、短いくらいよ。」

    少女「そう、ですか。あ…ご飯、頂きますね。」
    ーあぁ、もう。まっずいご飯なんて喰べられないの…いい、かしら。


    ナース「…ゆっくり味わってね。後で、食器を下げに戻るから。」
    あたしの敏感な鼻に目の前の肉の芳ばしい香りは、ひどく食欲をそそった。

    少女「…あまり、味わってもいられないみたいー「え…?」くるっ

    ぐしゅっ!
    その一噛みで、まず悲鳴が上がらぬよう、最期に断末魔を
    叫ばぬよう、衝動の赴くままに喉笛を噛み千切った。

    ナ…/ス「え、お…っ…ぎっ…〜ぁ。」
    …/少女「ーこの際、私好みの体形じゃなくテてもイイわ…ねェ?」

    ガツ、ガッ…ガツっ…
    声にならない言葉を紡ぎながら、ナースをなしていた原型が
    蛇が体内の獲物を消化するように、少女の体内に取り込まれる。

    …種少女「カらダもあタまも、ああすっキリ。」

    ポタ…ポタ……ヒュオっ! ガシャアァっ! !
    惨状をそのままに、寝室の窓ガラスを粉々に砕き割り勢い良く
    身を乗り出し、腹ごしらえを済ませた少女が病院を後にした。


    喰種少女「ウフ…まだ、全ッ然、喰い足りねェ……っ!!」
  2. 2 : : 2015/09/06(日) 04:30:03
    …………
    20区 郊外路地裏

    喰種少女「ー病院出たのはイイけど…
    このままじゃ、格好つかないわね…」とことこ…

    少女は、身を潜めるように、森に紛れる木の葉のように。
    薄暗い道をあてもなく彷徨っていた。

    がやがや……
    モブDQN1「ーだからよォ、ペンギンは飛ばねぇっつってんだろ?」
    DQN2「あァん…? じゃァ、ニワトリは飛ぶんかよ?」

    DQN1「だから…、…ん? おっ…かわいくね?」

    喰種少女「…あらぁ。」
    少女の目先には、飛んで火に入る夏の虫と
    言わんばかりの人間を捉えた。

    DQN2「…お姉さん、そんなカッコで、どこ行くの〜?」ざっざっ…
    DQN1「ーイイとこあっからさァ、俺たちとどうよ? へへへ…」ざっ…

    喰種少女「嬉しいわ。」ひゅあっー

    不用心にも、少女の領域に入らんとする輩が
    歩み出て、その命を失くす秒読みの段階に入った直後ーー

    喰種少女「!」

    ーがいんっ…!赫子とクインケが衝突し合う金属音が、辺りに鳴り響く。

    長身男「ー君たち大丈夫か!? ここは任せて…早く逃げろ!」
    DQN1「ヒェ…っ! ひは、ひ…!」がくがく…
    DQN2「ーうっ、わ…うわあァあァアアっ!!」くるっ だっだっだ…

    長身男「おいっ! 何を…っ! お前も急ぐんだっ!」
    DQN1「こ、腰抜けて……っ」びくびく…

    ーぐぉんっ!

    男とDQNのやり取りを見かねた、少女の赫子が再度
    獲物に飛びかからんと、真っ直ぐにその牙を剥いた。

    どかぁっ!
    DQN1「おぶっ!」がく…
    長身男「! ぐっ! 貴様っ…!」

    呆気にとられたDQNは、少女の赫子に叩き衝かれ意識が暗転する。
    少女はそれに振り返ることもなく、男に向き直り敵意を露わにする。

    喰種少女「ウフフ…、貴方、オイシそう…!
    ちょうど…小腹が空いてたの。」

    長身男「(くっ、どうする…? 先輩を呼ぶか、いや。その余裕も
    ない…DQN1も放ってはおけん。こうなれば、時間をか、せ…!?)」

    ーばきばき…っ! ばき… 異形となって少女の背に
    聳え立つ鱗赫の赫子が4本、這い出るように姿を現した。

    喰種少女「ー退屈、ねぇ?」にいぃ… 長身男「…っ!」ぞわっ…

    その姿に、身体中が発する警告音が、基本を振り返るように
    手が自然とクインケを、敵対する際の構えに持ち直している。

    ーぎゅる! 縦横無尽に這い回る赫子が、烈火のごとく男に迫った。

    長身男「(うっ、瞬き…すら!)」

    ーー

    ぞぶっ……!
    長身男「か、はっ…っ…! 強、ぎる……ーー」どさっ
  3. 3 : : 2015/09/07(月) 03:15:00
    …………
    しゅるしゅる…
    突き刺した赫子で、獲物を仕留めた手応えを得た彼女は
    鱗赫を仕舞いながら、優越感を胸に男の側に近付く。

    喰種少女「……、…あら、死んじゃった?」とことこ…

    脇腹を抉った一撃は激痛を伴い、表情は強張り言葉を
    発するのが億劫になる程、男の身体に多大な損害を齎した。

    長身男「(あっ…ぐ…っ!)ぁ、真戸さん……すみ、せ…ん。」

    一方的に蹂躙された男は、意識半ばで人名を呟き何かが
    近付く気配を感じたのを最後に、そのまま意識を手放した。

    喰種少女「ーまと? ウフフ…、……あ?」

    しゅおっ ーぎりゅっ!

    真戸「おやおや…? ー亜〜門く〜ん〜…駄目だろう
    まったく…せっかくの男前が台無しだな。」すたすた…

    死神と呼ばれる架空の存在が現実にいるならば
    眼前に現れたこの男の出で立ちは、まさに相応しい。

    ーーしかし。

    突如として出現した死神に、不意を縫って浴びせられた一撃は
    食事を目の前にした、彼女の逆鱗に触れたことに変わりない。

    喰種少女「…は? 痛いじゃないの…っ! あァアぁっーーっ!」
    眼は赫く赫く染まり、仕舞いかけていた赫子を
    再び戻すことに、そう時間は要しない。

    ーーが、その数秒という刹那は、死神にとって喰種を
    屠ることに容易い準備時間である結果を除いては。

    真戸「ふ〜む…、鱗赫の喰種か。しぶとさが取柄で
    ある以外、羽赫の喰種と比べれば、まだまだ遅い。」

    ぞるっ! ぞるっ!
    喰って掛からんとする、彼女の赫子がその態勢を整える僅かな間で
    切断され、死神のクインケを操る技巧は、常人離れしていた。

    喰種少女「はっ、は…ぁ、っ! 痛い、痛いの……逃げ、なきゃ…」

    出会い頭の不意打ちを受け、傷口からは留めなく流血し
    複数の赫子を切断されたことが戦意喪失に至った。


    喰種少女「(力ガ…っアいつ倒すノにー喰イ足りナイわっ…!)」ずりずり…

    打って変わって、状況が一変した今、彼女の選択肢は
    敵前逃亡の一手以外に、生き永らえる手段はない。

    真戸「ークククっ…! 私が貴様ら喰種を逃がすとでも…?」はっ

    喰種が逃げる方向には、先ほど気を失い倒れたままの男
    改め、亜門が死神の目に入ったー

    喰種少女「(はぁ…っ! 邪魔よ、私の、私に、私をーー)」

    しゅるしゅるっ…
    ーその瞬間、彼女は死神の動揺や隙を意図した訳ではない、だが。

    ぶんっ!
    複数の内、1本の赫子を這わし亜門の身体に巻き付け…

    ーどこっ…
    放り投げる形で、死神目掛けて叩きつけた。

    真戸「むっ…!」ばっ!

    すぐに亜門を受けて、払い除けると同時に周囲を見渡したが
    すでに喰種の姿形はなく、足元には亜門が横たわっている。

    真戸「我ながらまだまだ甘いな。喰種を前にして止めを
    刺せんとは。…追跡もいいが、亜門くんの容態も宜しくない…」

    ー悪足掻きも侮れん。赫包を放って置いたのが、仇となったか。

    …………
    戦場を後に亜門を抱え、まるで魂を捧げに冥土へ向かうような
    そんな足取りで、真戸らは20区の喰種対策局支部へと帰還した。

    ……
    ????
    喰種少女「ーこ、こは……?」
  4. 4 : : 2015/09/09(水) 03:46:49
    小娘「ーあ、起きましたよ、店長。」老人「ーおや、目を覚ましたかい?」

    喰種少女「あら…マスター、と…トーカちゃん? (私、生きてる、のね……)」

    小娘改めトーカちゃんと呼ばれた少女が口を開いた。
    片目を覆い隠すような黒のショートヘア。目つきは鋭いが顔立ちは
    整っている。身体つきは、小柄で細身の体躯で意見が分かれそうだ。

    トーカ「…大喰い。いや、リゼ。アンタが近くの路地で
    ばったり倒れてるところ見つけて、ここまで連れてきた。」

    老人改めマスターと呼ばれた方が次いで言葉を発した。見た目は
    白髪頭のおじさま。目元は垂れており柔和な雰囲気を纏っている。

    マスター「ーリゼちゃん。…ここ最近は捜査官が二人、ウチの
    区に来ている。言い分はあるだろうけど…慎重になりなさい。」

    ーーリゼ? …リゼ……大喰い…?
    私に話してるのだし、きっと…私のことね。
    ……リゼ……
    ……

    マスター「(?……)」
    リゼ「ああ…そうなんですね。…ありがとう御座います。
    ごめんなさい。後、ここはどこだったかしら…?」

    トーカ「へ…? ああ、ここは、あんていくの2階にある一室だよ。
    アンタ、まだ傷治りきってないし、暫くここで休んでな。」

    リゼ「ートーカちゃんも。看病してくれたの…ありがと。
    …ただ、お腹が減って仕方が無いのよね。」
    トーカ「い、いや、別にアンタのことが心配で、だとかそんな…」

    マスター「リゼちゃん。捜査官の動きが落ちつくまで
    こちらの提供する食事で、我慢してくれるかな?
    その間に、身体の傷は癒えるだろうしね。」

    リゼ「はい…以後、気をつけますね。…ご迷惑お掛けします。」
    トーカ「リゼ。1日3食持ってくるけど、勝手に外出て人食うなよ?」

    リゼ「あら…そんなに私のこと信用されてないのね。けれど
    さっきは大喰いだなんて、あまり女性に向ける言葉じゃないわ。」

    トーカ「え、あ…っ、ごめん。アンタの呼び名。大喰いのリゼって
    言えば、…っていうか周りの喰種からは、そう聞いたことないの?」

    リゼ「…そうだったかしら、ね。」トーカ「(……?)」

    マスター「ーよし、トーカちゃん。そろそろ表に出て
    接客してもらえるかな? お客さんがご来店される
    時間帯だから、忙しくなるしね。」

    リゼの様子に首を傾げたトーカだったが、マスターに促され然程
    気に留めず部屋を退出し、あんていく本業の喫茶店に踵を返した。

    トーカ「あ、はい。…それじゃ、今から出ますね。」たったっ…ばたん
    ……


    マスター「ーその傷、白鳩から受けたものだね? リゼちゃん。」

    リゼ「ーフフ、分かってて私のこと助けたんですね。
    マスター、心配していただいて、ありがたいですが
    …私が巻いた種は、私が摘みますので、お気遣いなく。」

    マスター「いや、ね…捜査官が入り始めたのは、恐らく笛口さん
    親子を探してのことだけど…リゼちゃんは、以前から捜査対象に
    当たる喰種でもあるし、これ以上は…君の安全を保障出来ない。」

    リゼ「(笛口さん…親子…見れば思い出すかしら…)ーええ…分かり
    ました。まだ優れないので、もう少しの間お世話になりますね。」

    マスター「うん…ここにいる間は、歓迎するよ。…丁度、笛口さん
    の娘が隣の部屋にいるし、挨拶を兼ねて、遊んであげるといいね。」
    ……


    そう言って、マスターは部屋を出た。外に出歩くことが
    今は出来ないため、先の会話の中で耳にした笛口さんの
    娘さんに会おうと、隣に住まう部屋を訪ねることにした。

    ーー

    リゼ「…失礼します、笛口さんおられますか?」こんこん….

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red_gorisu

ハシャ

@red_gorisu

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