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エルヴィン「調査兵団潜入捜査班出動だ!」リヴァイ「はっ?」

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  1. 1 : : 2015/08/16(日) 20:59:27
    メインキャラはリヴァイ、ミケ、ナナバです。
    ナナバさんは男設定です。

    エルヴィンが分隊長だったときのことを別のSSで書いているのですが、

    ミケ「エルヴィン率いる」リヴァイ「調査兵団第一分隊の」ハンジ「日常!」
    http://www.ssnote.net/archives/37399

    どこまでもカッコイイ第一分隊も描いてみたいと思ったことがきっかけで作りました。
    ただ残念ながらハンジさんはあまり出てきません。(でも、物語のどこかでハンジさんらしく格好良く登場するかもしれません!?)

    短めのSSです。
    ということで宜しくお願いします。

    *アニメと単行本のみの方にはネタバレ的要素もあるのでご注意ください。
  2. 2 : : 2015/08/16(日) 21:02:38
    844年も終わりに近づく頃・・・
    度重なる壁外調査の失敗で、調査兵団の資金は圧迫していた。
    副団長を務めるエルヴィン・スミスは壁外調査時以外ではその資金繰りに終われていたのであった。

    そして、そんなある日・・・エルヴィンはザックレー総統よりある任務を言い渡される。

    調査兵団本部副団長室

    コンコンッ

    エルヴィン「入ってくれ。」

    ガチャ

    リヴァイ「急に呼び出して何の用だ?・・・!」

    ミケ「・・・。」

    ナナバ「・・・。」

    リヴァイ「なんだ、お前たちも来ていたのか。」

    ミケ「ああ、急に呼ばれてな。」

    ナナバ「エルヴィンが大事な用だって言うからさ。」
  3. 3 : : 2015/08/16(日) 21:03:18
    エルヴィン「君たちに集まってもらったのは他でもない。調査兵団潜入調査班の出動だ。」

    リヴァイ「はっ?」

    ミケ「そんなのあったか?」

    ナナバ「うーん・・・聞いたことないよ?」

    エルヴィン「それはそうだ。なぜなら、私がさっき作ったからな。」

    リヴァイ「おい、どういうことだ?」

    エルヴィン「実はザックレー総統から直々に私に依頼があった。」

    ミケ「ザックレーだと?」

    エルヴィン「我々、調査兵団の軍資金が常に不足していることは知っているな?」

    ナナバ「それはもちろん・・・。」

    リヴァイ「日に日に飯も不味くなっていくしな。」フンッ

    エルヴィン「私は常々その資金獲得と資金繰りに苦労しているわけだが・・・その資金の流れについてある情報が入った。君たちにはそれを調べてもらいたい。」

    ミケ「調べる?何をだ?」

    エルヴィン「君たちはモーリス卿を知っているか?」
  4. 4 : : 2015/08/16(日) 21:04:38
    リヴァイ「ああ、あの最近荒稼ぎしているという貴族だろ?」

    エルヴィン「そうだ。実はそのモーリス卿が調査兵団への軍資金を流用している疑惑がある。」


    ナナバ「何だって?」

    エルヴィン「そのせいで、兵団上層部が割り当てている我々への軍資金が正常に流れてきていないようだ。」

    リヴァイ「それは・・・兵団上部にも協力者がいる可能性があるな。」

    エルヴィン「ああ。だから内密かつ慎重に調べなくてはならない。そして、我々の資金を回収しなくてはならないのだ。」

    ミケ「それでエルヴィンのところに依頼が?」

    エルヴィン「そうだ、兵団内に裏切り者がいるとなっては求心力に影響が出る。信頼できる人間で内密に進める必要があるのだ。」

    リヴァイ「なるほどな。」

    ナナバ「でも、なんで私たちなのかな?」

    エルヴィン「なぜって、君たちの実力を何よりも知っているし、私が信頼しているからだ。」

    ミケ「エルヴィン・・・。」

    リヴァイ「仕方ねぇ、やるか。」

    ナナバ「そうだね。」

    エルヴィン「よし、早速だがモーリス卿の身辺を探ってくれ!」

    リヴァイ/ミケ/ナナバ「了解!」
  5. 5 : : 2015/08/16(日) 23:47:35
    その日の夜

    ヒュゥゥゥ

    ナナバ「ねぇ、いきなりモーリス卿の邸宅に潜入するなんて大胆すぎない?」

    リヴァイ「悪いが俺は気が長くはないんだ。」

    ミケ「大胆には進めるが、あくまで内密にだ。」

    ナナバ「はぁ・・・わかったよ。で、どうする?」

    リヴァイ「まずは奴の邸宅に出入りする人間の中に怪しいものがいないか確認する。」

    ナナバ「ということは、これから毎日張り込む気?」

    ミケ「いや・・・モーリス卿に協力しているのが兵団の者だとすれば、日中はここに来るのは難しいだろう。確認しなくてはいけないのは夜だな。」

    リヴァイ「それにしてもなんだか騒々しい家だな。今夜はなんかやっているのか?」

    ミケ「灯りが多くないことを考えるとパーティーとかではないな。」

    ナナバ「この邸宅の構造ってどうなってるんだろうね?灯りがついている部屋が少ない割には出入りする人間が多くない?」

    リヴァイ「ああ、確かにな。地下室とかがあるのかもしれねぇな。よし、探るぞ!」

    ミケ/ナナバ「おうっ!」バッ
  6. 6 : : 2015/08/16(日) 23:49:05
    モーリス卿邸宅敷地内

    ガサガサッ

    リヴァイ「・・・。」

    サササササッ

    ミケ「・・・。」コクッ

    ヒュゥゥゥゥ

    ナナバ「・・・。」コクッ

    ガタッ

    守衛A「なんだっ!?」

    リヴァイ「・・・。」

    守衛A「おまえ・・・!!何者だ!」

    リヴァイ「・・・フンッ。」バキッ

    守衛B「おい、何してる!」ダダダッ

    ミケ「・・・悪いな。」ドスッ

    守衛B「くそっ!!」

    バッ!!

    ナナバ「・・・。」クスッ

    守衛AB「うわぁぁぁぁ!」

    リヴァイ「ナナバ、きつく縛りすぎだろ?」

    ナナバ「解けて仲間を呼ばれたら厄介だろ?」

    ミケ「屋根から降ってきて縛り上げるとは・・・。」スンッ

    リヴァイ「おまえが一番大胆だろうが。」ハァ
  7. 7 : : 2015/08/17(月) 20:53:04
    ナナバ「ここが裏口のようだね。」

    リヴァイ「・・・入るぞ。」ガチャ

    ミケ「暗いし、静かだな。」

    リヴァイ「やはり人を多く呼んでいる割にはおかしいな。」

    ナナバ「リヴァイ、ミケ!ここに地下に行く階段があるよっ!」

    リヴァイ「やはり地下か。」

    コツコツコツコツッ

    ナナバ「・・・どこまで続くのだろうね。」

    リヴァイ「・・・(シィーッ)」

    ミケ「・・・灯りが見えるぞ。声も聞こえる。」

    スンスンッ

    ミケ「多くの人の匂いが入り混じっているな、出入りしている人間はここに集まっているようだ。」

    リヴァイ「さすがはミケだな。」

    ミケ「入口10メートル前に男が2人いる。恐らく警備だ。」

    ナナバ「よし、やるしかないね!」
  8. 8 : : 2015/08/17(月) 20:54:28
    スタスタスタッ

    警備員A「おい、おまえたち何者だ!モーリス卿からの招待状を持っている者以外はここから先は入れないぞ!」

    リヴァイ「・・・そうか。それは残念だな。」ドスッ

    警備員A「ううぅ・・・。」ドサッ

    警備員B「こんなことして知らねぇぞ!あの方は兵団に守られているのだからな!」

    ミケ「そうか。そいつはいい情報だ。」ドンッ

    警備員B「ぐっ・・・。」ガクッ

    ナナバ「頼もしいね、二人とも。ほら、あそこ!あそこにモーリス卿がいる!」

    リヴァイ「おまえ、モーリス卿の顔が分かるのか?」

    ナナバ「だって、壁内新聞でよく似顔絵が出ているじゃないか。」

    ミケ「すっかり有名人ってわけか・・・。」

    リヴァイ「おい、モーリス卿が何人かを連れて立ったぞ。」

    ナナバ「・・・更に別の部屋があるのか?」

    ミケ「!!」スンッ

    リヴァイ「どうした?」

    ミケ「マズイな。外の守衛をやったのがバレたらしい。結構な人数がこちらに向かっている。」

    ナナバ「もう少し調べたかったけど、ついてないね。」

    リヴァイ「おまえら、ズラかるぞ!」ダダダッ

    丁度その頃・・・

    モーリス卿「お待ちしておりましたよ。」

    男「遅れて悪かったな。やけに騒々しいようだが・・・。」

    モーリス卿「何やら不審な者が屋敷をうろついているようでしてね。まぁ、直に捕まるでしょう。」ハハハッ

    男「不審な者か・・。」
  9. 9 : : 2015/08/18(火) 21:38:05
    調査兵団本部副団長室

    エルヴィン「そうか、モーリス卿邸の地下にはそんな場所が・・・。」

    リヴァイ「ああ、あそこで人を集めて何かをやっているようだ。」

    ミケ「それに、さらに限られた人数を招く場所があるようだったな。」

    ナナバ「もう少し忍び込めていたら、その場所も特定できていたのかもしれないんだけど。」ハァ

    エルヴィン「無理は禁物だ。この調査が下手に公になり、あちら側に何かしらの手を打たれれば調査兵団だけではなく総統の立場も悪くなる。」

    リヴァイ「潜入後に近くの酒場を張ってみたんだが、近いうちにモーリス卿が公にパーティーを開くそうだ。」

    エルヴィン「それは本当か?」

    リヴァイ「ああ。どうやったらそのパーティーとやらに参加できるのか、それに他にもモーリス卿を追い込む情報がないか探ってみる。」」

    エルヴィン「ああ、頼むぞ。」
  10. 10 : : 2015/08/18(火) 21:40:29
    モーリス卿邸宅周辺酒場

    ガヤガヤ

    リヴァイ「・・・貴族の豪邸が近くにあるにしては治安の褒められた場所じゃねぇな。」

    ミケ「ああ、全くだ。」

    ナナバ「こういう騒々しい人間が集まるところはあまり好きじゃないなぁ。」

    リヴァイ「ナナバ、好き嫌いを言うんじゃねぇ。これは任務だ。」

    ナナバ「分かっているよ、リヴァイ。冗談だよ。」フッ

    リヴァイ「おまえの冗談は分かりにくい。」チッ

    ミケ「・・・おい、右の角のテーブルだ。何かモーリス卿の話をしているぞ。」コソッ

    ナナバ「本当に?」
  11. 11 : : 2015/08/18(火) 21:41:12
    ガヤガヤ

    町人A「それにしても、どうしたんだろうな。急にパーティーを開くだなんて。」

    町人B「なんでも色々と稼いだのも町の人たちのおかげだとか何とか言って、この町の住人を招待するらしいよ。」

    町人A「とは言ってもなぁ。さすがは貴族だよ、悪趣味だろ。町1番の美人を連れて来るのが条件だなんてさ。」

    町人B「でもうちの母ちゃんなんて、基準はないんだからって行く気満々だ。」

    町人A「ははっ、そりゃ頼もしいな。」

    町人B「それにしてもモーリス卿なんて、そんなに儲けている貴族ではなかったのにな。なんでこうも急成長したもんかね。」

    町人A「なんでも色々と悪いことをしているって噂だ。最近じゃ、偽金まで作ってるんじゃないかって話もあるぜ・・。」


    リヴァイ「・・・。」

    ナナバ「・・・。」

    ミケ「・・・!!」
  12. 12 : : 2015/08/19(水) 20:33:41
    男「よぉ、あんたら。人の話の盗み聞きはよくねぇんじゃないのか?」

    リヴァイ「・・・なんだ、てめぇ。」ギロッ

    男「ちょっと表出ろよ。」クイッ

    リヴァイ「・・・。」

    ミケ「・・・。」

    ナナバ「・・・。」

    ザザッ

    男「おまえ、調査兵団のリヴァイだろ?」

    リヴァイ「・・・だったら何だ?」

    男「他の二人も調査兵団だよな?」

    ミケ「・・・。」

    ナナバ「・・・。」


    男「単刀直入に聞こう。昨夜、モーリス卿の家に忍び込んだのはお前達だな?」

    ナナバ「なんのことだ?」

    男「おっと、嘘をついてもらっちゃ困るぜ。マントを被ったチビ・・・そのうえ、半端ない強さって言ったら・・・リヴァイ、あんたしかいないだろ?」

    ミケ「マントだと?調査兵団のマントだったというのか?」

    男「そんなの関係ないんだよっ!」バッ
  13. 13 : : 2015/08/19(水) 20:34:39
    リヴァイ「チッ、バカが。」

    バキッ

    ドスッ

    男「・・・。」チーン

    「これはこれは調査兵団の皆さん。随分と暴れたようですね。おかげでこの町の警備も捗ります。」パチパチ

    ナナバ「・・・おまえは!」

    リヴァイ「・・・憲兵団・・・ナイルの部下か。」

    「そういう呼び方はやめてくれませんかね?私にも役職と名前があるのですよ。」チラッ

    リヴァイ「ほお、聞かせてもらおうか。」

    「憲兵団副師団長のザーク・アレンスです。以後、お忘れなきよう。エルヴィン副団長にもよろしくお伝えください。」フフッ

    リヴァイ「・・・薄気味悪い野郎だ。」

    ザーク「おっと、あの師団長とは一緒にしないでくださいね。本当の上と繋がっているのは私ですから。」フフフッ

    ミケ「・・・?」
  14. 14 : : 2015/08/20(木) 20:11:47
    再び調査兵団副団長室

    エルヴィン「ザーク・アレンスだと?」

    リヴァイ「ああ。俺達を怪しんでいたモーリス卿の関係者らしい男をやっつけた直後にタイミングよく出てきやがった。」

    ナナバ「なんだか、気味悪い奴だったよね。」

    ミケ「ナイルと自分とでは格が違うという口ぶりだったぞ。上と繋がっているのは俺の方だとか言っていたな。」

    エルヴィン「(・・・ザークか。)」

    リヴァイ「それに俺達がモーリス卿の邸宅に潜入したのを気づいている様子だったな。」

    ナナバ「マントはあくまで顔隠しのためだったし、普通のを羽織ってたんだけどね。」ハァ

    ミケ「感づかれてしまったものは仕方がない・・・どうするエルヴィン?」

    エルヴィン「・・・もう1度、モーリス卿の情報を集めてくれ。」

    リヴァイ「はっ?」

    ナナバ「あまり周囲を嗅ぎまわるのは、危ないんじゃなかな?ただでさえ感づかれているのに・・。」

    エルヴィン「君たちにはモーリス卿が開催するパーティーに潜入してもらう。パーティーへ参加は私がなんとかしよう。私はこのパーティーで何かしらの動きがあると考えている。それまでになんとかしてそこで何が行われようとしているのか、情報を集めてくれ!」


    リヴァイ/ミケ/ナナバ「了解!」
  15. 15 : : 2015/08/21(金) 22:08:40
    ヒュゥゥゥゥ

    ナナバ「また来ちゃったね。邸宅で良かったの?」

    ミケ「あれから数日、奴が出歩きそうな場所を探ってはみたが随分と用心深いようだ。」

    リヴァイ「ああ、だからきっと大事な話はここでするに違いねぇ。」

    ナナバ「もうマントは不要な気もするけどね。」

    リヴァイ「ばか言え。こいつを付けて歩いていたら目立つだろう?」

    ミケ「ああ、リヴァイの言う通りだ。」

    ナナバ「まさか巨人との戦い以外に使う時が来るなんてね。」

    リヴァイ「お喋りはここまでだ・・・作戦通り行くぞ。」

    ガッ

    ビュゥゥゥン

    ナナバ「こんな使い方があるんだね。」

    ミケ「煙突を立体起動装置で降りるなんてな。」スンッ

    リヴァイ「エルヴィンがなんとかしてモーリス卿の邸宅の設計者から設計図を調達してくれたおかげだ。」

    トンッ

    リヴァイ「この暖炉のある部屋の隣がモーリス卿の隠し部屋だ。」

    ミケ「・・・。」

    ナナバ「・・・。」
  16. 16 : : 2015/08/22(土) 20:27:39
    モーリス卿隠し部屋

    「準備は進んでいるのだろうな?」

    モーリス卿「おかげ様で。貴方のおかげですよ、まさか兵団の金庫番を兼ねている人間が闇世界に片足を突っ込んでいる貴族に金を回すなんてね。」ヘヘヘッ

    「いいのですよ、回している金は人類にとっては何の役にも立たない巨人のエサにしかならない調査兵団のものなのですから。」フフフッ

    リヴァイ「・・・誰と喋っているんだ?」コソッ

    ミケ「!!」

    ナナバ「あいつじゃないか!」

    リヴァイ「・・・ザーク・アレンスか。」

    ザーク「随分と金を回してやったんだ。これからも我々が大いに活躍できるようにしてもらわないとな。」

    モーリス卿「もう増やす方の準備はできてますぜ。あとは周囲の貴族たちを手なずけるための余興を行うだけですよ。」

    ザーク「それにしても貴族は悪趣味なもんですね。女を売買したいとは。」

    モーリス卿「地下では色んな取引がありましてね、その中でも人の売買は特に金になる。特に若くて美しい女は闇に出入りする貴族達に人気が高くてね。」ハハハッ

    ザーク「まぁ、好きにしてくれ。我々の狙いはその先だ。」

    モーリス卿「ええ、まさか兵団が偽金を作って資金を回すとはね。国民も想像がつかないでしょうねぇ。たんまりと分け前はもらいますよ。」ニヤニヤ

    ザーク「分かっている。安心しろ。」フフッ

    ナナバ「ねぇ、聞いたかい?」

    ミケ「ああ、とんでもない話だ。」

    リヴァイ「戻って、早急にエルヴィンに報告するぞ。」
  17. 17 : : 2015/08/23(日) 18:09:51
    調査兵団本部

    エルヴィン「そういうことか。つまりザークが我々調査兵団の軍資金をモーリス卿に横流しすることに一役買っていて、その横流しした金で偽札を作り荒稼ぎするつもりだと・・・。」

    ミケ「おまけに他の貴族にも下手な口出しさせないように、自分が開催するパーティーで集めた女たちを闇の競にかけてそいつらに売りさばき、自分の悪事に片足突っ込ませる気だ。」

    リヴァイ「そんなところに来る貴族だからな。おおかた真っ白な奴なんていないだろ。そこにも漬け込む気に違いない。」

    ナナバ「とことん腐った奴じゃないか。」

    エルヴィン「よし、今度のパーティーで、その競の現場と資金流用の現場、そして偽札に関する証拠を掴むんだ!そこで出来ればモーリス卿とザーク共々、悪事を暴く!」

    リヴァイ「もちろん、作戦はあるんだろうな。」

    エルヴィン「ああ、これから君たちに説明する。当日は指示通りに動いてくれ。」
  18. 18 : : 2015/08/23(日) 18:10:46
    パーティー当日

    リヴァイ「おい、ナナバはまだか?」イライラ

    ミケ「リヴァイ、そんなに気を荒立てるな。慣れないことをしているんだ。大目に見てやれ。」

    リヴァイ「だいたい俺はそんなことをする必要はねぇと思うんだがな。エルヴィンの作戦だから仕方がない。」チッ

    バンッ!

    ハンジ「やぁ、お待たせ!二人とも、正装が決まっているね!」

    ミケ「ハンジ!?なぜ、おまえがここにいる?」

    リヴァイ「おいクソメガネ、また勝手に首を突っ込む気じゃないだろうな?」ギロッ

    ハンジ「ははは、大丈夫だよ。エルヴィンのお願いでね、ナナバの手伝いをしただけだよ!ナナバ!入っておいでよ!」

    ガチャ・・・

    ナナバ「・・・エルヴィンの指示とはいえ、気が進まないなぁ。なんで私が女役なんだよ。」ムスッ

    ハンジ「ちょっと!ナナバ!私のメイクに文句があるの!?」

    ナナバ「そんなことは言ってないだろう?男なのに女の格好をするのは気が進まないって言っているだけだよ。」

    ミケ「・・・見事に女だ。」

    リヴァイ「ああ・・・これならいけるかもしれねぇな。」

    ミケ「さっきまで文句言っていたのは誰だったかな。」フッ

    ハンジ「ナナバ、ドレスもばっちり小細工しといたから頑張ってね。」コソッ

    ナナバ「ああ、ありがとう。助かるよ。」

    リヴァイ「・・・よし、作戦は分かっているな?」

    ミケ「ああ。」

    ナナバ「もちろんだよ!」

    リヴァイ「・・・行くぞ!」
  19. 19 : : 2015/08/23(日) 18:12:16
    モーリス卿邸宅

    ガヤガヤ

    ミケ「さすが公にしているだけあって、賑わっているな。」

    リヴァイ「それにしても俺たちは救われたな。男は仮面をつけていいだなんて。」

    ナナバ「やっぱり私が女装する意味はなかった気がするよ。」ハァ

    リヴァイ「大方、貴族の保身のためだろうな。てめぇの身を守りたければこんなところに来なきゃいいだけの話なのに。」

    ミケ「ナナバ、大丈夫か?ちゃんと歩けるのか?」

    ナナバ「正直、歩きにくいよ。このスカートっていうのは歩くのに邪魔だね。」

    「さぁ、みなさん!本日はモーリス卿主催のパーティーにお越しくださいまして、ありがとうございます。本日の趣旨はお分かりかと思いますが、女性の皆様はこちらにお集まりください。」

    リヴァイ「だとよ。行ってこい。」

    ミケ「そっちは頼んだぞ、ナナバ。」

    ナナバ「ああ、任せといて。そっちも頼むよ。」

    リヴァイ「・・・。」コクッ

    ミケ「・・・。」コクッ

    「皆さん、町一番の美人として名乗りを上げていらっしゃるだけあって、どなたも美しいですね。もう少ししたら準備が整いますのでここでお待ちください。」

    ガヤガヤ

    ナナバ「(・・・競にかけるって言っていたけど、一体どうやって・・・。)」

    ガタッ!

    キャー

    ナナバ「な、なんだっ!?」
  20. 20 : : 2015/08/23(日) 18:12:53
    その頃、リヴァイ達は・・・

    ガヤガヤ

    リヴァイ「モーリス卿から例の招待を受けているんだが、このまま待てばいいのか?」

    執事「これはこれは。ご招待を受けている貴族の方ですね。どうぞ、こちらにお進みください。」

    ミケ「すまない。」

    スタスタスタッ

    リヴァイ「やはり、地下室のようだな。」

    ミケ「ああ。競のほうと偽金・・・どちらを先に片付ける?」

    リヴァイ「競のほうはナナバに任せているからな。動きがあればそちらが優先だが・・・。」

    ミケ「おい・・・モーリス卿だ。あの様子だと今から競に向かうのか?」

    リヴァイ「・・・ザークもいるみてぇだな。」

    ミケ「・・・ああ。」

    リヴァイ「まずは競に向かうぞ。そこで競の実態とザークの関与を裏付ける!」
  21. 21 : : 2015/08/23(日) 18:13:42
    ガタガタッ

    キャー

    ナナバ「(なんだよ、これは!?)」アセッ

    ドンッ!

    ナナバ「!!」

    「さぁ、女ども!ここに一列に並べ!!」

    キャー

    「こら、逃げるな!とっとと並べ!!」

    ナナバ「(くっ・・・ここで暴れとくか!?いや・・証拠を掴まなくては・・。)」

    「おまえはこっちだ!」

    ナナバ「!!」グイッ

    「よし、見繕ったところこんなもんだな。他の女どもは帰れ!ほら、とっとと行け!」

    ナナバ「(とりあえず、競にかけられない女性はみんな帰してもらえそうだ。良かった。)」ホッ

    「ふーん、なかなか綺麗な姉ちゃんじゃないか。ほら、進め!」

    ナナバ「うわぁ!痛いじゃないかっ!」キッ

    「うるせぇな!早く行け!」

    ナナバ「・・・(証拠を掴むまでの我慢だ。)」うぅっ

    ガヤガヤ

    ミケ「騒々しくなってきたな。」

    リヴァイ「いよいよ始まるようだな。」

    リヴァイ/ミケ/ナナバ「(絶対に証拠を掴んでやるっ!)」ゴゴゴゴゴッ
  22. 22 : : 2015/08/23(日) 18:16:35
    「貴族の皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。早速ではございますが、本日の品定めを始めたいと思います。」

    ワー

    ワー

    「本日はモーリス卿が選りすぐったこの町の美しい娘を取り揃えております。どうぞ、ご自身の目で確認してください。さぁ、美しき娘たちの登場です!」

    ザーク「始まったな。」

    モーリス卿「はい、今宵もたんまり稼がせてもらいますよ。」

    ミケ「・・・。」

    リヴァイ「・・・。」

    ズラッ

    女性A「・・・。」ブルブル

    ナナバ「(ああ、震えちゃっているな。大丈夫かな?ほかの娘たちも・・・そうだよね、正気じゃいられないよね。)」チラッ

    「まずはエントリーNo.1!スラリとしたプロポーション、金色の大きな瞳、まだあどけなさが残りますが成長が楽しみな逸材です。」

    貴族A「おおっ!美しい!」

    貴族B「おまえはあんなガキが好みか。おれはもう少し大人っぽいのがいいな。」ニヤニヤ

    リヴァイ「・・・趣味の悪い奴らだな。」

    ミケ「・・・もう少しの辛抱だ。耐えろ、リヴァイ。」スンッ

    「さて、次は今回の一番の逸材かもしれません!エントリーNo.7!短めでありながら金髪の美しい髪、そして透き通るような蒼い瞳、そして筋の通った鼻・・・すべてのパーツが美しいと言ってもいいでしょう!皆さんからの高額の入札を期待しています。」

    ワー

    スッ
  23. 23 : : 2015/08/23(日) 18:16:49
    貴族A「おい・・・どうした?」

    貴族B「女が前に出たぞ。踊りでもしてくれるのか?」ハハッ

    女性A「・・・。」ブルブル

    ナナバ「(もう、大丈夫だよ。)」ニコッ

    女性A「・・・?」

    ナナバ「(灯りが消えたら、他の娘たちも連れてここから逃げるんだ。いいね?)」コソッ

    「おい、貴様!なにやっている!」バッ

    女性A「キャーッ」ガッ

    ナナバ「その娘から、手を離せ!」バキッ

    ドタッ

    「貴様、何者だ!?」

    ナナバ「私のことかな?」フフッ

    バサッ

    「何!?貴様、男か!?」アセッ

    モーリス卿「何だ!?」

    ザーク「あれは・・・確か。」ビクッ

    ナナバ「どう見たって男じゃないか。失礼しちゃうな。」ハァ

    「くそっ!おい、やっちまえ!」

    ナナバ「リヴァイ!ミケ!」ジャキ

    バッ

    ザーク「リヴァイだと・・!?」アセッ

    リヴァイ「ようやく出番か。」

    ミケ「行くぞ。」

    バッ!!!
  24. 24 : : 2015/08/23(日) 18:19:12
    貴族C「なんだ!?灯りが消えたぞ?」

    貴族D「どうなってるんだ?おい、誰か!!」

    ザワザワ

    ドドドドドドッ

    パァ

    貴族A「灯りがついたぞ。」

    貴族B「これはなんだ!?あいつらは・・・。」

    貴族C「調査兵団!それに・・・憲兵団か!?」ヒィィ

    ザーク「くそっ!」バタバタッ

    モーリス卿「ここまでか。」バタバタッ

    リヴァイ「おい、エルヴィン。逃げないように縛り上げておいたぞ。」

    ミケ「・・・。」スンッ

    エルヴィン「ここまでだ、二人とも。既にこの一件はザックレー総統に報告されている。今後の調査ですべての悪事が暴かれるだろう。」

    ザーク「・・・エルヴィン・スミス!」チッ

    ナイル「まさか・・・おまえが・・・。」
  25. 25 : : 2015/08/23(日) 18:20:29
    「おい、逃げるんじゃねぇ!!!」

    女性「キャー!!」

    ナナバ「危ない!!」ダダッ

    バッ!

    ナナバ「!!」

    バキィィィィ!!

    「女性に手を挙げるなんて許せないね!」フンッ

    ナナバ「ハンジ!!」

    ハンジ「って、加減せずに殴ったからクソ痛い!!」うぉぉぉぉ

    モブリット「ハンジさん!無茶しすぎです!」

    ナナバ「モブリットまで!」

    モブリット「周辺を取り囲むのに招集されたんだけど、またこの人が・・・。」チラッ

    ハンジ「だって、水臭いじゃないか。ミケにリヴァイにナナバなのに、なんで私が呼ばれないんだ。」ムスッ

    ナナバ「やっぱり気にしてたのか?そりゃ、ハンジは女性だからさ。危ない目に遭わないようにエルヴィンが配慮したんだよ。」

    モブリット「それに次の壁外調査の方も煮詰まってますからね。あなたの力はそちらにも必要です。」

    ハンジ「うう・・・わかったよ!それにしても私の細工したドレス、脱ぎやすかっただろ?」

    ナナバ「ああ、おかげさまで。」

    ハンジ「なら、良かった。それにしてもナナバがタンクトップ姿なんで珍しいね。」ドキッ

    ナナバ「ドレスの下に着るからね、仕方ないよ。」
  26. 26 : : 2015/08/23(日) 18:21:22
    リヴァイ「エルヴィン、あったぞ。」

    エルヴィン「すごい機械だな・・・ここを偽札作りの拠点とするつもりだったのか。」

    ミケ「・・・そうみたいだな。」

    エルヴィン「君たち、ご苦労だった。これからザックレー総統に報告する。」


    こうしてザーク・アレンスとモーリス卿の悪事が暴かれ、調査兵団の軍資金も取り戻すことが出来た。

    ハンジ「ねぇ、もう潜入捜査班は始動しないの?次は私もちゃんと入れてね!」

    リヴァイ「もうないだろ。あれは特別だ。」

    ナナバ「本当、もうあんなのはごめんだよ。」

    エルヴィン「そういうな。ナナバの女装はなかなか様になっていたぞ。」ハハッ

    ミケ「・・・。」スンッ
  27. 27 : : 2015/08/23(日) 18:23:25
    その頃・・・

    ザックレー「以上がエルヴィンに依頼して把握した調査兵団軍資金流用の実態だ。」

    キース「・・・。」

    ザックレー「どうした、キース?顔色が悪いぞ?確かにおまえに相談していなかったのは悪かったが・・・。」

    キース「いえ、構いません。」

    ザックレー「?」

    キース「・・・彼らは特別なのですから。」ググッ

    そして王都では・・・

    サネス「憲兵のバカが捕まったらしいぞ。やはり中央に関わらせるには早すぎたな。」

    「・・・。」

    サネス「尻尾を掴んだのは調査兵団らしいぞ。」

    「調査兵団・・・?」

    サネス「ああ。あいつらは厄介だな。特にあのエルヴィン・スミスとリヴァイが・・・。」

    「リヴァイだと?」

    サネス「知っているのか?」

    ケニー「さぁ?同じ名前のクソガキなら知っているが、そんな歳食った奴は知らねぇよ。王政に刃向う連中には、いつかおしおきしないとな。」


    時は844年も終わりに近づく頃・・・
    調査兵団は新たな時代を迎えようとしていた。
    人類最悪の日の訪れと、この国を賭けた人々の争いはもう少し先の話である。

    おしまい。
  28. 28 : : 2015/08/23(日) 18:39:08
    短めのSSですがお読みいただき、ありがとうございました。
    構想としてはルパンみたいに単純明快なものにしたかったので少しざっくり感はあるかもしれません。頭の中のイメージを文章に載せるのは難しいなと日々痛感中。精進します(;´・ω・)

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nekonokomomomo

進撃のオッドアイ

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