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リヴァイ「第3の男」
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- 1 : 2013/11/30(土) 20:49:20 :
- エレン「中途兵団!?」
http://www.ssnote.net/archives/2294
アニ「女型の巨人ってなんやねん!知らんがな!!」
http://www.ssnote.net/archives/2294
も、まだまだよろしくお願いします。
今回は真面目な話。小説版の要素も1%位含んでますが、
小説読んでなくても全然大丈夫です。漫画版も出るし、問題ないはず。
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- 2 : 2013/11/30(土) 21:04:13 :
~840年・とある地下街~
リヴァイ「…本当に、これでいいんだな?」
???「ああ。お前との付き合いもこれまでだ。今まで楽しかったぜ」
リヴァイ「…こんな形で別れることになろうとはな」
???「それも運命ってやつだろ。誰も運命にゃ、抗えねぇのさ」
リヴァイ「…残念だ」
???「まぁお互い、生きてりゃそのうちどっかで会えんだろ」
リヴァイ「だといいがな」
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- 4 : 2013/11/30(土) 21:09:15 :
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???「ああそうだ。一つ、忠告しておくことがあった」
リヴァイ「何だ?」
???「実は、例の連中が復活の下準備を始めたそうだ。俺に縁のある、あの連中がな」
リヴァイ「何故それを?」
???「とある情報筋でな。しばらく前に知ってたんだ。本当なら、これほど虫唾が走ることはねぇな」
リヴァイ「止めないのか?」
???「生憎、連中には関わりたくねぇんでな。今まで俺がどんな目を見てきたか、教えただろう?」
リヴァイ「だからこそ、止めると思ったんだが?」
???「…まぁ、気が向いたらな」
リヴァイ「…そうか」
???「話が長くなっちまったな。そんじゃ、達者でな、友よ…」
リヴァイ「…」
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- 6 : 2013/11/30(土) 21:14:33 :
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~現在・トロスト区~
エレン「…巨人教?」
アルミン「うん。その昔、巨人を神格化し、崇拝する宗教があったんだ」
ミカサ「そんな宗教が…」
エレン「ウォール教と真逆の存在だな」
アルミン「何でも、壁の外への自由を求め、巨人と共存しようとしていたとか、はたまた
神たる巨人に全てを捧げて、服従することで生を受けるとか、説は様々ある」
アルミン「まぁ要は、この壁内に囚われ続けることに疑問を抱いた人類の妄想が、
曲がり曲がってこのような宗教を生み出したんじゃないかと言われている」
エレン「まぁ、壁内で生き続けるのに反対って言う点では、俺も一緒だな。
だからって、巨人に全てを捧げるって言うのはふざけすぎだと思うけど」
アルミン「巨人教に属した人々は様々。数十年前、調査兵団員の奥さんだったエレナ・マンセルという人が、
壁外調査で旦那を失った悲しみから逃れるように、巨人を崇拝したという文献もあるよ」
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- 7 : 2013/11/30(土) 21:19:28 :
エレン「本当なのか、その話は…?」
アルミン「さらに、巨人に飲み込まれた後、吐き出された女性の胎内から生まれた赤ん坊が、
その後兵士として活躍したという記録もある」
エレン「赤ん坊が!?そりゃすげぇな…」
アルミン「ただ、そこの行き着くまでは相当な苦労があったみたいだよ。周囲から『巨人の子』と忌み嫌われて
人としての扱いを受けさせてもらえなかったらしい」
ミカサ「本当なら、とてもひどい話。だけど、すごいことだと思う。
その子が兵士となって巨人を討つということは、自分自身の運命を定めた仇敵への反抗」
エレン「二人してあんま難しいこと言ってるなよ」
アルミン「ごめんごめん。そんなに難しいことは言ったつもりはなかったんだけど」
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- 8 : 2013/11/30(土) 21:26:42 :
ミカサ「それで、突然その巨人教の話をしたのは、いったいどういう意図があるの?」
アルミン「うん。実はね、その巨人教が、もしかしたら復活するかもしれないんだ」
エレン「えっ!?」
アルミン「あくまで単なる噂なんだけどね。王政が外の世界への興味を持つことを禁止してから、
その強引なやり口に不満を覚える人たちは、昔から少なからずいるのは知ってるよね」
アルミン「加えて、何度壁外調査に出ても、一向に成果の出ない調査兵団。
増えるのは死者に限らず、その遺族たちの悲しみも増加の一途をたどっている」
ミカサ「つまり、自由を求める人々や、悲しみから逃れたい人々。これらが集まり出していると?」
アルミン「確証はないけどね。でも、兵団の上層部などでは、この噂で持ち切りだ。
巨人教徒の子孫が新巨人教を率いているとか、根も葉もない情報が飛び交って混乱しているらしいよ」
エレン「そういう情報に踊らされるくらい、上は逼迫してるってことか」
ミカサ「楽観視して、もし事実だったのなら、笑い話では済まなくなる」
アルミン「その通りだよ。今の時点で僕らにはこの疑惑をどうこうできる力はないけど、
いずれその時が来たら、戦う覚悟は必要だね」
エレン「だな…」
ミカサ「…」
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- 9 : 2013/11/30(土) 21:35:10 :
???「あの…」
3人「?」
婦人「もしかしてあなたたちは、訓練兵の方達では?」
アルミン「はい、そうですけど…」
婦人「やっぱり。私の息子も、今は調査兵団に行ってるのよ。ちょうどあなたみたいな子でね。
あまりにそっくりだったから、思わず声をかけちゃった」
エレン「調査兵団に!?」
アルミン「立派な息子さんですね」
ミカサ「いずれは、私達の先輩になるだろう」
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- 10 : 2013/11/30(土) 21:40:56 :
婦人「というと?あなたたちも、将来は調査兵団に?」
アルミン「はい、今のところはその予定です」
婦人「それは立派だこと。とても誇らしいことだけど、家族としては毎日がヒヤヒヤ物でね。
無事に帰って来た姿を見届けるたびに、どれだけ安堵することか…」
エレン「それは分かります。けど、俺達にはもう、帰りを待ってくれる親はいないので…」
アルミン「…」
ミカサ「…」
婦人「あら、それは…ごめんなさい…」
アルミン「気にしないでください」
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- 11 : 2013/11/30(土) 21:46:57 :
婦人「こんな雰囲気にするつもりじゃなかったんだけど…。
そうだ、よかったらあなたたち、ウチにこない?息子の話を聞かせてあげたいんだけど?」
エレン「え!?調査兵団の息子さんの!?」
ミカサ「それは大変興味深いです」
アルミン「いいんですか?僕たち3人でお邪魔しても?」
婦人「構わないわよ。私が誘ってるんだから」
エレン「是非!お願いしますっ!」
婦人「なら決まりね。いらっしゃい、こっちよ」
エレン「スゲー楽しみだぜっ!!」
ミカサ「エレン、街中であまりはしゃがないで」
アルミン「まぁまぁ、ミカサ。僕だって、本当は大はしゃぎしたいくらいうれしいんだ!」
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- 12 : 2013/11/30(土) 21:53:29 :
~婦人の家~
婦人「さあ、上がって」
エレン「お邪魔しまーす!」
アルミン「質素だけど、木の雰囲気がいいなぁ」
ミカサ「昔住んでいた家を思い出す…」
婦人「さぁ、こっちに座って。今、紅茶を入れるから」
アルミン「あ、お構いなく…」
エレン「まぁ、せっかくだからごちそうになろうぜ。ほら、ミカサも」
ミカサ「うん」
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- 13 : 2013/11/30(土) 21:59:03 :
婦人「あなたたちは、出身はどこなの」カチャ…
アルミン(立派なカップだなぁ。高そうだ…)
エレン「俺たち3人は、シガンシナから来ました」
婦人「ああ、あのシガンシナから…」コポポポ…
ミカサ(…いい香り)
エレン「いつか、巨人どもを駆逐して、故郷を取り返してやるんです。何としてでも…」
婦人「巨人を、駆逐ねぇ…」
エレン(なんだ?急に…)
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- 14 : 2013/11/30(土) 22:04:33 :
婦人「あ、ほら、冷めないうちに飲んでみて。息子もこの紅茶は大好きなのよ」
アルミン「いただきます」
エレン「」ズズズ…
ミカサ「」ズズズ…
アルミン「おいしいっ!」
エレン「本当だ!俺は正直、紅茶はあまり好きじゃないんだけど、これならいくらでも飲めるぜ!」
ミカサ「こんなにおいしい紅茶は飲んだことがない…」
婦人「お口に合ったようね。気に入ってもらえてよかったわ」
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- 15 : 2013/11/30(土) 22:10:35 :
婦人「さて、早速、あなたたちが聞きたい話をしましょうか」
エレン「はい、お願いします!」
婦人「そうねぇ。でも、その前に一ついいかしら…?」
アルミン「え?」
ミカサ(急に雰囲気が…?)
婦人「あなたたち…」
婦人「…巨人教について、どこまで知っている?」ギロ
3人「!?」
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- 16 : 2013/11/30(土) 22:17:36 :
エレン「え?いきなりどうしたんですか…?」
婦人「質問にはおとなしく答えたほうが身のためだ。さぁ、答えろ。どこまで知っている」
アルミン「…過去にそういう宗教があったという噂程度でしか。詳しいことは、僕達は知りません」
婦人「本当にそれだけか?」
アルミン「…と、言うのは?」
婦人「巨人教が復活するという情報を、すでに兵団が掴んでいるのではないか?」
3人「!!」
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- 17 : 2013/11/30(土) 22:24:23 :
婦人「その顔は、図星のようだな。まったく、兵団にも鼻の利く連中がいるものだな」
アルミン「では、本当なのですね。巨人教の復活というのは…」
婦人「そういうことになるな」
ミカサ「なぜ、こんなことを!?巨人がどういうものか知らないのですか!?」
婦人「偉大なる絶対神だ。何者も彼らを穢してはならない」
エレン「違う!!奴らは、ただ人間を喰らうだけのバケモノだ!」
婦人「街で貴様らが巨人教について話していた時、貴様らも仲間に入れてやろうかと思ったのだがな。
先ほどの貴様の『駆逐』発言、アレにより、その話は却下となった」
エレン「だからさっき…!」
婦人「悲しいな。巨人を憎むだけしかできない、愚かな人間どもが。
我々とともに行動すれば、自由と繁栄が待ち受けているというのに」
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- 18 : 2013/11/30(土) 22:31:44 :
エレン「ふざけんなっ!!」ダッ!
婦人「おっと、動くな」
エレン「!?」
バンッ!!
男たち「」ゾロゾロ
アルミン「ずっと潜んでいたのか…」
婦人「動けば、貴様らの命はないぞ。さすがに、この人数ではきついだろう」
エレン「だから何だってんだ!俺達は訓練兵とはいえ、兵士だ!このくらい、何てこと…」
ミカサ「…っ!」ガクンッ!
アルミン「ミカサ!?」
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- 21 : 2013/11/30(土) 22:38:55 :
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エレン「どうした!?」
ミカサ「体の自由が利かない…!薬を、盛られたのかも…しれない…」
エレン「薬だと!?」
アルミン「…うっ…」ガクンッ!
エレン「アルミっ…」ガクンッ!
婦人「効いてきたようだな」
エレン「…さっきの紅茶か…!」
婦人「ご名答。馬鹿なガキ共だ。貴様らの親は、『知らない人にはついていくな』と教えなかったようだな。
親も親なら、子も子という事か」
エレン「母さんの悪口はやめろ…」ガクガク
婦人「こいつらを縛って連れて行け」
男たち「はっ!」
エレン(…クソっ!意識が…!!)
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- 24 : 2013/12/01(日) 13:11:42 :
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~トロスト区某所・倉庫内~
エレン「」パチッ
婦人「目が覚めたか?」
エレン「…ここは!?」ガチャ
エレン「!?」
アルミン「鎖だよ。僕らは縛られて動けない」
ミカサ「…」
婦人「しばらくは、ここにいてもらおうか。無駄な抵抗はよすんだな。いくら泣き叫んでも、外に声は届かない」
エレン「クソッ!!ミカサ、この鎖引きちぎれ!!」
ミカサ「無茶言わないで。さすがに、これは無理…」
アルミン「エレン、冷静になって。熱くなっていては、奴らの思うツボだ」
エレン「けどよぉ…」
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- 25 : 2013/12/01(日) 13:20:24 :
婦人「貴様らの読み通り、これから我々は、巨人教復活ののろしを上げる」
アルミン「…こんなことをしていては、息子さんが悲しみますよ?」
婦人「…そうだろうな。息子が『いれば』な」
エレン「それは、どういう…?」
婦人「息子はとっくに死んでいる。壁外調査で大怪我を負い、そのまま息絶えたらしい。
…まぁ、死体が帰ってきたわけではないからな。調査兵が数名で報告に来ただけだった」
アルミン「そんな…」
婦人「息子を亡くし、悲しみに暮れていた私に手を差し伸べてくれたのは、巨人教だった。
それ以来私は、巨人様を絶対神として崇め続けている」
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- 26 : 2013/12/01(日) 13:26:57 :
エレン「大怪我って、巨人にやられたんだろ!?じゃあ、巨人は息子さんの仇じゃねぇかよ!!」
婦人「巨人様に殺されたというのなら、それも運命。巨人教は、運命の流れには抗わない」
エレン「狂ってやがる…!」
婦人「何とでもいうがいい。本来、貴様らはここで始末する予定だったが、気が変わった。
我々巨人教復活のお膳立てをしてもらうことにした」
アルミン「お膳立て…!?」
婦人「なに、貴様らは何もする必要はない。ただ、壁の上から吊り下げて、巨人様を呼び寄せる生贄になってもらうだけだ。
巨人様がある程度お集まりになったところで、トロスト区の前門を開放する」
エレン「馬鹿言うな!駐屯兵団がいるんだ!そんな勝手な真似、できるわけがねぇ!!」
婦人「甘いな。駐屯兵団内に巨人教徒が紛れ込んでいるという発想はないのか?」
エレン「…なんだと!?」
ミカサ「すでに、駐屯兵団内に、巨人教の息がかかった者が潜んでいると言うの!?」
アルミン「何てことだ…」
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- 27 : 2013/12/01(日) 13:34:01 :
婦人「計画実行日の壁上の任にあたるメンバーが、全員巨人教徒になるように仕組ませてもらった。
何の滞りもなく、当日は実行に移せる」
エレン「訓練兵!訓練兵も固定砲整備の任務があるはずだ!!そいつらが黙ってないぞ!!」
婦人「…やれやれ、同じことを何度も言わねば分からないか?」
ミカサ「!!」
アルミン「…そんな」
エレン「…マジかよ…」
婦人「観念するんだな。安心しろ。最後には貴様らを、巨人様の一部にしてやる。光栄に思うがいい」
エレン「つまり、巨人のエサにするってことかよ…」
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- 28 : 2013/12/01(日) 13:39:44 :
~訓練兵団施設~
ライナー「…巨人教?」
ベルトルト「うん。どうやら、巨人を崇拝する謎の宗教が活動を始めるとかなんとか」
アニ「巨人を壁内に取り入れるんだとさ。人類の自由のためだか何だか知らないけど」
ベルトルト「どうする?僕らが手を下さずとも、勝手に人類が滅びてくれるみたいだけど…?」
ライナー「いくら目的が同じとはいえ、タイミングというものがあるだろう。
こっちの都合もお構いなく、勝手に巨人を呼び込まれても困るってもんだ」
アニ「同感。ただがむしゃらに人類を滅ぼせばいいってわけじゃないしね。時期尚早ってやつだよ」
ベルトルト「そう…」
アニ「そういえば、訓練兵の何人かが、陰で巨人教がどうたらって言う話をしてたけど、聞いてみる?」
ライナー「そうだな。協力するふりをすれば、情報を引き出せるかもしれん。そいつは誰だ?」
アニ「教えてあげるから、あんたらが行ってきてね…」
ベルトルト「…」
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- 29 : 2013/12/01(日) 13:49:55 :
~調査兵団本部~
リヴァイ「…」
ハンジ「リヴァイ。どうしたの、そんな辛気臭い顔して」
リヴァイ「てめぇみたいに、四六時中アホ面晒してるよりはマシだ」
ハンジ「アホ面って、ひどいなぁ…」
リヴァイ「本当のことだろう」
ハンジ「それよりさ、リヴァイも知ってるんでしょ?あのこと」
リヴァイ「一応、耳には入っている。だが、さほど気にする必要もねぇと思うが?」
ハンジ「本当にそう思ってる?」
リヴァイ「どういう意味だ?」
ハンジ「巨人教」
リヴァイ「」ピクッ
ハンジ「やっぱり気にしてるじゃない」
リヴァイ「てめぇには関係ねぇだろ」
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- 31 : 2013/12/01(日) 13:58:34 :
-
ハンジ「それにしても、酔狂なことを考える人もいるもんだねぇ。
壁内に招き入れる、ってのがなければ、私も巨人教に入ってもいいかもね」
リヴァイ「まさか、今回の噂の出所は、てめぇじゃねぇだろうな…?」
ハンジ「まさか。私もそれが気になって、調べてるんだよ」
リヴァイ「そうか…」
ハンジ「ねぇリヴァイ」
リヴァイ「何だ」
ハンジ「巨人教の首謀者とされる人物について、心当たりがあるんじゃない?」
リヴァイ「ねぇな、そんなもん」
ハンジ「私もミケもエルヴィンも、きっと同じ考えだよ?」
リヴァイ「そいつはよかったな。俺には関係ない」
ハンジ「…」
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- 32 : 2013/12/01(日) 14:03:37 :
リヴァイ「…」スッ
ハンジ「どこ行くの?」
リヴァイ「…墓参りだ」
ハンジ「わざわざこのタイミングで『彼』のお墓参りに行くの?」
リヴァイ「いつ行こうが、俺の勝手だろ」
ハンジ「…」
ハンジ(…もし、噂の件の首謀者が『彼』なら、この件は一筋縄ではいかなそうだね)
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- 33 : 2013/12/01(日) 14:10:42 :
~巨人教による計画実行日・訓練兵団施設~
キース「イェーガー、アッカーマン、アルレルトはまだ戻らんのか…?」
マルコ「はい。一昨日、トロスト区で目撃されたという報告はあるのですが…」
ジャン「一体どこに行きやがったんだ…?」
キース「何らかの事件に巻き込まれたという可能性はないのか?」
クリスタ「でも、ミカサもいるので、それは考えにくいかと…」
ユミル「もしミカサをノしちまうような相手だったとしたら、それこそ終わりだけどな」
サシャ「心配ですね。ご飯はちゃんと食べてるんでしょうか…?」
コニー「飯以外にもっと心配することがあるだろうが…」
キース(いったい、何が起こっているのだ…!?)
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- 34 : 2013/12/01(日) 14:15:06 :
~トロスト区~
教徒「トロスト区の前門前に到着しました」
婦人「分かった。お前たち、到着だ。馬車を降りるぞ」
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「…」
婦人「そんな目をしても無駄だ。計画は止められん。おとなしく従わないのなら、少々痛い目を見てもらう必要があるが?」
エレン(俺一人が苦痛を受けるなら構わないが、ミカサとアルミンまで巻き込むわけにはいかねぇ。
悔しいけど、ここは従うしかないか…)
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- 35 : 2013/12/01(日) 14:22:24 :
エレン「さっさと連れてけよ。こっちは、腹ペコでまともに歩けねぇんだ」
婦人「口だけは元気だな。いいだろう。おい、こいつらを連れて行け」
教徒「はっ!」
ミカサ「」ガシッ
アルミン「」ガシッ
エレン「」ガシッ
駐屯兵「おい、そこで何をしている!?」
婦人「は?おいおい忘れたのか、我々の計画を」
駐屯兵「計画?なんのことだ?」
婦人「…どうしたことだ?」
エレン「おいおい、もしかして手違いでも起きたのか?」
婦人「黙れ。貴様には関係ない」
駐屯兵「怪しい連中だな。身元を調べさせt」バシッ!
駐屯兵「」バタッ
エレン「なんだ!?」
駐屯兵(教徒)「すまん、どういうわけか知らんが、突然壁上の増員が言い渡されてな。
他の増員メンバーは縛って監禁して、残りのこいつを探していたところだったんだ」
婦人「そう言うわけだったのか。まったく、驚いたぞ。しかし、突然の増員とは、少々気になるな」
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- 36 : 2013/12/01(日) 14:26:18 :
駐屯兵(教徒)「まさか、感付かれたのか?」
婦人「どうだかな。いずれにせよ、今日はこのまま実行まで行く。邪魔が入ったら、その都度消していけばいい」
駐屯兵(教徒)「はいよ。それじゃ、こいつらを壁上に。おい、お前ら!」
訓練兵(教徒)「はい」
駐屯兵(教徒)「この3人は巨人様への生贄だ。壁上へ連れていく。こいつらが抱えていくから、上まで誘導してくれ」
訓練兵(教徒)「分かりました。では、こちらへ…」
教徒「うむ」
エレン(クソッ!いよいよか…)
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- 39 : 2013/12/01(日) 18:45:18 :
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~壁上~
教徒「ふんっ」ブンッ
エレン「」ドサッ!
ミカサ「」ドサッ!
アルミン「」ドサッ!
教徒「壁上というのは、壮大な眺めだな。見ろ、巨人様が闊歩されている」
エレン「こっちは大切な生贄だぜ。もう少し丁寧に扱えよ」
教徒「そうだったな。巨人様への大切な生贄だ。悪かったよ」
ミカサ「…」
アルミン「…」
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- 40 : 2013/12/01(日) 18:51:53 :
教徒「すでに聞いていると思うが、今からお前たちをこの壁上から下へ吊るす。
お前らにつられて巨人様がある程度集まったところで、前門の扉を開放するわけだ」
教徒「いよいよ巨人様が我々を迎えに来る。我々は、巨人様とともに自由をつかむため、壁外へと繰り出す。
巨人様の素晴らしさが分からない愚かな人間どもは、巨人様の生贄となるのだ!!」
エレン「馬鹿だろ、お前ら。巨人は人間を差別なく喰らう。お前らがどれだけ巨人を崇めてようが、
そんなの向こうには何一つ伝わらないさ。お前らも一緒に喰われちまえ!」
教徒「この場に来ても、まだそんなことを…。悔い改めるようなら、命だけは助けてやろうかという親心もあったが、
もうそんなものも必要ないな。望み通り、最後に消してやろう」
エレン「やってみやがれ!」
教徒「」ブンッ!!
エレン「ぐっ!」ドゴッ!!
ミカサ「エレンっ!」
アルミン「ひどいっ!動けない相手を蹴りつけるなんて!!」
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- 41 : 2013/12/01(日) 18:58:46 :
教徒「貴様らの反抗的な態度が悪いのだ。おとなしくしていれば済む問題もあるというのに。
自らの手で首を絞め続け、死ぬ運命となった愚かな連中よ」
エレン「野郎…!」
ミカサ「エレン、もうやめて。こいつらには、何を言っても通じない。これ以上、不必要に刺激しないで」
アルミン「ミカサの言う通りだ。僕らの命は、こいつらが握っている。最悪の事態を避けるためにも、ここはどうか冷静に…」
エレン「お前ら…」
教徒「なんだ、仲間のほうは利口じゃないか。おい、お前!」
訓練兵(教徒)「はっ!」
教徒「時間までこいつらを見張っていろ。後の2人の訓練兵も連れて来い」
教徒「」スタスタ…
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- 42 : 2013/12/01(日) 19:05:08 :
一同「…」
訓練兵(教徒)「…だ、そうだ。お前ら、出て来い」
訓練兵2「…」スタスタ
訓練兵3「…」スタスタ
ミカサ「あなたたち…」
エレン「お前ら、訓練兵ってことは俺達の同期か?こんなことに、本気で手を貸すつもりなのか!?」
アルミン「お願いだからやめてくれ!」
訓練兵(教徒)「本気で手を貸すつもりか、だと?当然だ。俺達はそのためにここにいる」
エレン「お前ら…!」
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- 43 : 2013/12/01(日) 19:12:27 :
訓練兵(教徒)「最近姿を見ないと思っていたら、まさか生贄にされていたとはな。マヌケにもほどがあるぞ。
ミカサもいながら、情けない」
ミカサ「やはり、私達の同期?」
アルミン「そんなフードで顔を隠されてたら、誰だか分からないね」
訓練兵2「ひどいなぁ。これでも結構、君達とは会話してるのに。声で思い出してもらえないなんて」
訓練兵3「私はそんなでもないけど?」
エレン「…ん?」
訓練兵(教徒)「本気で手を貸すつもりだと言った。だが、何も巨人教に手を貸すとは言ってない。
手を貸すのは、お前らの脱走だ」
エレン「なんだと!?」
訓練兵2「そろそろいいかな。教徒たちは誰も見てないようだし」
訓練兵3「別に見られてもいいでしょ。向こうも訓練兵教徒の顔を知らないみたいだし」
バサッ!
アルミン「あっ!!」
ミカサ「嘘…」
エレン「お前ら…!」
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- 44 : 2013/12/01(日) 19:17:02 :
ライナー「驚いたか?救世主様の参上だ」
ベルトルト「訓練兵に紛れていた教徒から計画の話を聞いて、そのまま彼らとすり替わったのさ」
アニ「あいつらには眠ってもらってるよ。安心しな」
エレン「なんてこった…!絶望の淵から一転、希望が湧いてきやがった…!」
アルミン「地獄に仏とは、まさにこのことだね…」
ミカサ「助かるの、私達…」
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- 45 : 2013/12/01(日) 19:27:55 :
ライナー「ここを抜けるには、すんなりとはいかないだろう。だが、鎖さえ解き放っちまえば
あんな連中などお前らの相手じゃないだろう?」
エレン「当然だ。今までずっとおとなしくしてたからな。暴れたくてウズウズしてんだよ!」
ミカサ「然るべき報いを受けさせよう…」
アルミン「助けに来てくれたのはうれしいんだけど、憲兵や駐屯兵に連絡はしなかったの?」
ライナー「それもやったが、憲兵団は日ごろからあの通りだ。取り合ってくれるわけもない。
駐屯兵も、壁上の増員はしてくれたが、半信半疑と言ったところだったな」
ベルトルト「一介の訓練兵の、根も葉もない情報だもん。信じてもらえないのが普通だよ」
アルミン「確かに…」
アニ「その、増員部隊も全員やられたみたいだし、ここには私らだけってことになるね」
ライナー「奴らに気づかれる前に、さっさと鎖を解くぞ。ベルトルト、そっち持て」ジャラ
ベルトルト「うん」ジャラ
エレン「すまねぇ」
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- 46 : 2013/12/01(日) 19:34:16 :
アルミン「いつ戻ってくるか分からないからね。申し訳ないけど、急いでもらえる?」
アニ「言われるまでもないよ」
ミカサ「…残念ながら、手遅れみたい」
一同「!?」
教徒「貴様ら、何をしている!?」
駐屯兵(教徒)「訓練兵の奴ら、生贄の連中の仲間だったのか!?」
ライナー「見つかったか…」
アニ「構わない。力づくで蹴散らせばいいだけでしょ」
教徒「おっと、そうはいかんぞ?」チャキ
駐屯兵(教徒)「」チャキ
アルミン「銃を持っていたなんて…」
エレン「さすがにマズいな…」
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- 48 : 2013/12/01(日) 19:40:42 :
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教徒「生贄が6人に増えたようだな。これ以上勝手な行動をされても面倒だ。死なない程度に痛めつけておくか」チャキ
ミカサ「…このままでは!」
アニ「…ハラくくらないと駄目かね」
???「おいおい、ガキ相手にそんなもん使うとは、大人げなくねぇか?」
教徒「誰だ!?」
???「2人か。お前らで最後だな」
教徒「最後?何のことだ…?」
駐屯兵(教徒)「壁を登って来たのか!?下にいた連中はどうした!?」
???「死んだよ。一人残らずな。お前ら巨人教は、死んで当然のクズ宗教団体だからな」
教徒「な…!死…!?」
???「そう言うわけだ。お前らも例外じゃない」チャキ…
教徒「ひいぃっ!!!」
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- 49 : 2013/12/01(日) 19:47:39 :
エレン「あれは…」
ライナー「ガトリングガンだ。あんなもの、いったいどこで手に入れたんだ…!?」
???「あばよ、巨人教のクズ野郎…」
ライナー「待て!!殺しはダメだ!!!」
???「あん?」
ベルトルト「あなたが巨人教を憎んでいるのは伝わってきました。ですが、殺すのはダメです」
???「ガキが…。俺に意見してんじゃねぇぞ!!」
ライナー「下では、騒ぎを聞きつけた憲兵が壁を登り始めている。
あんただって、そんなもの構えてたら無事に帰してもらえないぞ?」
???「知るか、そんなこと。全員ぶっ殺してずらかりゃいいさ」
教徒「うぅ…」ブルブル…
???「つーわけで、あばよ…」
リヴァイ「そこまでだ」
一同「!?」
-
- 50 : 2013/12/01(日) 19:55:42 :
ヒュゥゥゥゥゥゥンッ…
スタッ
リヴァイ「これ以上、壁上で好き勝手するのは許さんぞ」
リヴァイ「…バリー」
バリー「…リヴァイ、久しぶりだな。4年ぶりか?」
ハンジ「私もいるよ♪」
バリー「てめぇはいらねぇよ。帰れ」
ハンジ「相変わらず扱いがひどいなぁ。せっかくの再会だってのに」
ライナー「おい、あの二人は…」
アルミン「調査兵団のハンジ分隊長と…」
エレン「人類最強の、リヴァイ兵士長だ…!」
ミカサ「どうしてこんなところに…?」
-
- 51 : 2013/12/01(日) 20:01:47 :
-
リヴァイ「最近はおとなしいと思っていたが、また始めやがったのか?」
バリー「俺の人生を狂わせた奴らを野放しにしておけるか。こいつらは、全員ぶっ殺す」
リヴァイ「俺の知らねぇところで殺り合う分には構わねぇが、目の前でやらせるわけにはいけねぇ。銃を降ろせ」
バリー「てめぇ、巨人教の連中を見逃せって言うのか!?」
リヴァイ「見逃しはしない。こいつらは、兵団が責任をもって厳正に処罰する。お前の出る幕はない」
バリー「…チッ!」
憲兵「いたぞ!あいつらだ!!」
憲兵「捕えろ!!」
教徒「うわあぁっ!!!」
駐屯兵(教徒)「クソッ!!!」
-
- 52 : 2013/12/01(日) 20:08:15 :
ナイル「…お前も来ていたのか、リヴァイ」
リヴァイ「だからどうした。俺からすれば、お前がわざわざ巨人領域との境界まで足を運んでいることの方が不思議だが?」
ナイル「…理由を言うまでもないだろう」
リヴァイ「…憲兵団も重い腰を上げるとは、相当だな。それとも、ただ単純に、巨人にビビってるだけか?」
ナイル「黙れ。巨人を壁内に入れようと企む連中を、放ってはおけないだろうが」
ハンジ「ちょっとちょっと、喧嘩しないの。せっかくナイルちゃんもやる気になってるんだから、ここは素直に受け入れなって」
リヴァイ「…チッ!」
-
- 53 : 2013/12/01(日) 20:14:21 :
バリー「…」
ナイル「…どこかで見た顔だと思ったが、貴様、バリーか?」
バリー「だったら何だってんだよ。こっちはてめぇのツラも見たくねぇな」
ナイル「今回の一件、兵団は首謀者が貴様だとの見立てを出したんだが?」
バリー「ふざけんな!!なんで俺が巨人教に手を貸さなきゃならねぇんだ!!」
リヴァイ「俺もお前に会うまでは半信半疑だったが、ここにきて確信した。
こいつは、天地がひっくり返っても巨人教に手を貸すような奴じゃない」
ハンジ「半信半疑?9割方、バリーがシロだと信じてたくせに」
リヴァイ「…」
-
- 54 : 2013/12/01(日) 20:22:55 :
バリー「…とにかく、とっとと帰れ。そいつらを俺の視界からさっさと消さねぇと、俺が何するか分からねぇぜ?」
リヴァイ「だ、そうだ。ナイル、連れて行け」
ナイル「貴様に命令されるまでもない」
スタスタ…
ハンジ「それにしても驚いたよ、バリー。君も、巨人教の復活に感付いていたなんて。どこかで情報でも仕入れたの?」
バリー「何だっていいだろ。もう俺は何にも縛られない身だ。お前らに、俺の行動をとやかく言われる筋合いはない」
エレン「あのー…」
バリー「なんだ!?ガキが!!」
エレン「俺達は、これからどうしたらいいですか…?」
リヴァイ「とりあえず、お前らにはいろいろと聞かなきゃならねぇことがある。残ってもらうぞ」
エレン「はぁ…」
-
- 55 : 2013/12/01(日) 20:32:51 :
バリー「それにしても、災難だったな、お前ら。あんなクズ共に捕まっちまうとは」
アルミン「ははは…。知らない人にホイホイついていった僕達が悪いんです…」
バリー「まぁ、そう落ち込むなって。せっかくのカワイイ顔が台無しだぜ?」ワシャワシャ
アルミン「うわっ!頭をなでないでくださいっ!それにカワイイだなんて、やめてくださいよ!」ワシャワシャ
アルミン(あれ、この人…?)
ミカサ「それにしても、あなたはなぜ巨人教をあんなにも…?」
バリー「あー…。まぁ、いろいろとあるのよ。根が深いんで、詮索しないでいてもらえると助かる」
ミカサ「…了承した」
-
- 56 : 2013/12/01(日) 20:39:50 :
アルミン「バリーさんは、今は何をされてる方なんですか?」
バリー「まぁ、それもいろいろと。あちこち回りながら、な…」
エレン「生活費とかどうしてるんだ?チンピラみたいに、カツアゲしてるわけじゃないよな?」
バリー「んなしょーもねぇことするかよ!金はな…」
バリー「…?」
エレン「?」
バリー「…あぁ、そうだ、昔稼いだ金があるのよ。それを切り崩しながら、な。結構な額があるんだぜ」
エレン「それじゃ、肉も食えるくらいの額が!?」
バリー「ああ、もちろんだ。肉だってな、今朝も…」
バリー「…」
エレン「…どうした?」
バリー「…ああ、そうだ、今朝も食ったぜ!絶品だった!」
エレン(…なんでいちいち、会話に間があるんだ、この人?)
リヴァイ「…」
ハンジ「…」
-
- 57 : 2013/12/01(日) 20:45:50 :
アルミン「ところで、バリーさんはリヴァイ兵士長達とお知り合いなんですか?親しげにお話しされていたみたいですけど」
バリー「まぁな。リヴァイとは、10年前からの付き合いだ。地下街で一緒にやんちゃしてたよ」
ハンジ「ブフッ!」
リヴァイ「てめぇ、何が可笑しい…」
ハンジ(やんちゃ…)ククク…
エレン「おい、ライナー達も来いよ。この人の話、面白そうだぞ!」
シーン…
エレン「ライナー?」
ミカサ「…いない。いつの間に」
アルミン「憲兵団たちと一緒に降りたのかな?」
エレン「…何だよ、一声かけてけばいいのに」
-
- 58 : 2013/12/01(日) 20:57:56 :
バリー「…お前ら、もしかしてさっきの訓練兵の連中とは知り合いなのか?」
エレン「え?ああ、同期なんだ。巨人教徒のふりをして、俺達を助けに来てくれたんだ」
バリー「同期…?ってことは、お前らも訓練兵か…?」
エレン「ああ、そうだよ。それがどうか…」
バリー「」ヒュッ!
エレン「…っ!」バキッ!
エレン「」ドサッ!
ミカサ「何を!?」
アルミン「エレンっ!!」
-
- 59 : 2013/12/01(日) 21:04:10 :
バリー「そうか、てめぇらも兵団の犬だったのか。愛想ふりまいて損したぜ。
リヴァイ、お前は知ってたんだろう?なんで黙ってた!!」
リヴァイ「聞かれなかったからな。こいつらが訓練兵だと知ったのも、さっきの連中と親しげに会話してるのを見たからだ。
最初から知ってたわけじゃない」
バリー「…ああ、そうかよ」
ハンジ「…まだ、兵団のことも嫌いなの?」
バリー「当たり前だ!!てめぇら二人にはそれなりに世話になったし、恩もあるから例外だが…。
他の連中はクズの塊だ!巨人教を滅ぼしたら、次は3兵団まとめて滅ぼしてやる!!」
リヴァイ「まだそんなことを言ってたのか。まぁ、せいぜい頑張れ」
バリー「…胸クソ悪いぜ。帰る」スタスタ…
-
- 60 : 2013/12/01(日) 21:13:35 :
リヴァイ「…」
ハンジ「いいの、リヴァイ?あのまま帰しちゃって…」
リヴァイ「奴を引き留める理由がない。巨人教の連中を止めるのに協力した民間人だ」
アルミン「でも、彼は下にいた巨人教の教徒を殺害して…」
リヴァイ「証拠でもあるのか?奴がそう言っていただけだろ?」
アルミン「そうですけど…」
リヴァイ「どの道、犯罪者の処分は憲兵団の仕事だ。俺達調査兵団の相手は、人間じゃない」
エレン「…そうですよね」
ミカサ「…」
-
- 61 : 2013/12/01(日) 21:22:19 :
エレン「それよりもさっきのバリーって人、兵士長達の知り合いって言う以外にも、何か兵団と接点がありそうでした。
いったい、あの人と兵団の間には何があったんですか?」
ハンジ「それを聞いちゃうか。長くなるけど、いいかな?」
リヴァイ「おいハンジ。こんな訓練兵のガキ共に教えることじゃねぇだろう」
ハンジ「この子たちだって、少なからず巨人教と関わってしまった。知る権利はあるはずだよ?」
リヴァイ「…」
エレン「お願いします。教えてください!」
ミカ&アル「お願いします」
-
- 62 : 2013/12/01(日) 21:27:22 :
リヴァイ「…チッ!好きにしろ」
ハンジ「よかったね。リヴァイの許可が下りたよ」
3人「ありがとうございます!」
ハンジ「さて、それについてはまず、10年前の話からしないといけないかな。リヴァイ、お願いできる?」
リヴァイ「…あれは10年前、俺がまだ地下街で生活していた時期にさかのぼる…」
-
- 64 : 2013/12/02(月) 18:29:13 :
-
~840年・とある地下街~
バリー「ふんっ!」バキッ!!
男「うわっ!!」ドサッ!!
バリー「勝負あったな。さっさと金置いて消えやがれ!!」
男「クソッ…!覚えてろ!!」ダッ!!
バリー「ハッハッハ!!大漁大漁っと!」⊃金
リヴァイ「おい」
バリー「おぉ、リヴァイじゃねぇか。見ろよこれ。これだけありゃ、しばらくは喰いっ逸れねぇぞ」
リヴァイ「チッ!汚ねぇな…」
-
- 66 : 2013/12/02(月) 18:37:09 :
-
バリー「相変わらずだなぁ、お前も。少しはその潔癖症がどうにか治らんかね?」
リヴァイ「俺から見れば、お前らみたいにゴミ溜めの中にいても平気なツラしてる連中のほうが不思議で仕方ねぇがな」
バリー「相変わらず手厳しいこった」
リヴァイ「…それよりも」
バリー「なんだ?」
リヴァイ「少々不穏な噂を聞いた。何でも、昔存在した巨人教とか言うふざけた宗教の、
教徒の一族の末裔がこの地下街に潜伏しているそうだ」
バリー「!!」
リヴァイ「今、憲兵団が血眼になって探している。普段ろくに働きもしねぇ連中が、だ。
異常事態だと思わねぇか?」
バリー「…ああ、そうだな」
-
- 67 : 2013/12/02(月) 18:44:03 :
リヴァイ「…ずいぶん顔色が良くねぇな。何か心当たりでもあるのか?」
バリー「いや、俺は何も知らん。ほら、帰って飯にしようぜ!」
リヴァイ「…」
バリー「…」
リヴァイ「…お前、やはり何か…」
憲兵「おい、あいつじゃないのか?」
バリー「!?」
リヴァイ「何だ?憲兵か?」
憲兵「間違いない。あの顔つきは奴だ。捕えろ!!」
リヴァイ「何事だ!?こっちに来やがる!?」
バリー「逃げるぞリヴァイ!!ここはマズい!!」
リヴァイ「状況が呑み込めん!なぜおまえが憲兵に目を付けられているんだ!?」
バリー「詳しい話は逃げきってからだ!!」
憲兵「待てっ!!逃げても無駄だ!!」
リヴァイ「」ダダダダダッ!
バリー「」ダダダダダッ!
バリー(…クソッ!この場所も、もう限界なのか!?)
-
- 68 : 2013/12/02(月) 18:50:19 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リヴァイ「はぁ、はぁ…」
バリー「なんとか逃げ切れたな…」
リヴァイ「…」ジロ…
バリー「そんな目しなくても、ちゃんと教えてやる。約束だからな…」
リヴァイ「憲兵に追われるようなことは今まで何度もやってきたが、あそこまでしつこく追い回されたのは初めてだ。
何やらかした?」
バリー「…別に、いつもと変わらんさ」
リヴァイ「じゃあ何故だ?」
バリー「…問題は、俺の過去のほうにある」
-
- 69 : 2013/12/02(月) 18:56:11 :
リヴァイ「…やはりそっちか。という事は、俺が聞いた噂というのも…」
バリー「ああそうさ。地下街に身を潜めている巨人教徒の末裔、そいつは俺のことだ」
リヴァイ「…何だってそんなことを?」
バリー「おい!勘違いするな!!ただ巨人教徒が先祖にいたって言うだけで、俺は巨人教とは縁もゆかりもねぇ!!
信じてくれ!!」
リヴァイ「…信じよう」
バリー「…ありがとよ。やっぱ持つべきものは友だな」
リヴァイ「だが、末裔というだけで、奴らがあそこまで必死になるのはどういった理由だ?」
-
- 70 : 2013/12/02(月) 19:05:06 :
バリー「奴らは昔、シガンシナの前門を開け放ち、一体の巨人を侵入させた。その巨人によって甚大な被害がもたらされ、
大半の人々が、その目を覆いたくなるような光景に恐怖した」
バリー「だが、その事実はほとんど後世には伝わらなかった。なぜだと思う?」
リヴァイ「…政府の連中か?」
バリー「その通り。奴らは、この事実をもみ消した。事件を知る住民を一人ずつ消し、
歴史の文献からも巨人教の存在を削除して、現代じゃ巨人教はただの噂話でしかなくなっちまったのさ」
リヴァイ「…だが、それが実在した。そしてお前が、巨人教徒の末裔だと」
バリー「俺の先祖がほんとに巨人教徒だったかどうかは知らん。
俺は元々、ウォール・ローゼの辺境の村の出身だってのは話したよな?」
リヴァイ「ああ、聞いた」
バリー「その下らん噂を信じた連中が、徒党を組んで俺と家族を追い出そうとしやがった。
その結果、親父は殺され、俺は母親と共に、命からがら逃げだした」
バリー「その後のことはよく覚えていないが、何とか身分を偽ってトロスト区に住むことができた。
だが、いつまた同じ目に合うか分からなかった。だから俺は家を出て、現在に至るってわけだ」
リヴァイ「…恐ろしくなって逃げてきたと。母親を置いて」
バリー「…その通りだ。俺を助けてくれた母親を、一人で置いてきた。最低な息子だぜ。
親孝行の一つもしたことがねぇ。結局俺は、自分がかわいいだけなんだよ」
リヴァイ「…それに関しては、お前を責めるつもりは毛頭ない。俺が同じ立場でも、そうするだろう」
バリー「リヴァイ…」
-
- 71 : 2013/12/02(月) 19:12:59 :
リヴァイ「だが、憲兵団がどこからお前の素性についての情報を得たかが気になるな。
ヘタすれば、トロスト区のお前の母親にも危険が迫っているんじゃないのか?」
バリー「!!」
リヴァイ「…」
バリー「…リヴァイ、すまん、お前との関係も、今日までだ」
リヴァイ「…行くんだな」
バリー「ああ。ここにいても、お前に迷惑かけちまうだけだ。それに、危険が迫ってるってのに、
母親を放ってはおけねぇからな」
リヴァイ「…ここを出ることに後悔しないというのなら、俺は止めない」
バリー「冷てぇな、嘘でもいいから、少しは止めろよ」
-
- 72 : 2013/12/02(月) 19:18:01 :
リヴァイ「…本当に、これでいいんだな?」
バリー「ああ。お前との付き合いもこれまでだ。今まで楽しかったぜ」
リヴァイ「…こんな形で別れることになろうとはな」
バリー「それも運命ってやつだろ。誰も運命にゃ、抗えねぇのさ」
リヴァイ「…残念だ」
バリー「まぁお互い、生きてりゃそのうちどっかで会えんだろ」
リヴァイ「だといいがな」
-
- 73 : 2013/12/02(月) 19:24:54 :
バリー「ああそうだ。一つ、忠告しておくことがあった」
リヴァイ「何だ?」
バリー「実は、例の連中が復活の下準備を始めたそうだ。俺に縁のある、あの連中がな」
リヴァイ(…巨人教の名を伏せた?どこで誰が聞いてるかも分からないから、俺に対する気遣いか?)
リヴァイ「何故それを?」
バリー「とある情報筋でな。しばらく前に知ってたんだ。本当なら、これほど虫唾が走ることはねぇな」
リヴァイ「止めないのか?」
バリー「生憎、連中には関わりたくねぇんでな。今まで俺がどんな目を見てきたか、教えただろう?」
リヴァイ「だからこそ、止めると思ったんだが?」
バリー「…まぁ、気が向いたらな」
リヴァイ「…そうか」
バリー「話が長くなっちまったな。そんじゃ、達者でな、友よ…」
リヴァイ「…」
-
- 74 : 2013/12/02(月) 19:37:58 :
~現在~
リヴァイ「…と、言うわけだ」
ハンジ「そこでリヴァイとバリーは別れ、リヴァイはそのまま地下街でゴロついていた時に、
エルヴィンに拾われて調査兵団に入ったのさ」
エレン「なるほど。つまり、バリーが巨人教を憎んでいるのは、そういう因縁があったから…」
アルミン「確かに、殺したいほど憎くなる気持ちも分かりますね。親を殺され、故郷を追い出された…」
ミカサ(親を殺され、故郷を追い出される…。私達も立場は違えど、境遇は似ている…)
エレン「でも、バリーは兵団にも恨みを持っているようでしたけど、さっきの話だとそんな様子はありませんでしたよ?」
ハンジ「この話には、続きがあるんだ。ここからは、私が話そう」
リヴァイ「…」
-
- 75 : 2013/12/02(月) 19:44:40 :
~846年(バリーとの別れから6年後)・調査兵団本部~
エルヴィン「…以上が、次回壁外調査の概要だ。質問はあるか?」
リヴァイ「さすがに、シガンシナまでは無理じゃねぇのか?明確なルートも決まってないだろう?」
エルヴィン「確かにそうだが、シガンシナまでの方角ははっきりしている。余程の障害がない限りは、
トロスト区から最短距離で到着できるだろう」
リヴァイ「戦闘はどうする?平地を突き進むのなら、立体機動装置はまともに使えねぇぞ?」
エルヴィン「戦闘は極力避ける。いろいろと、索敵のための隊列の陣形を考案している最中だ」
リヴァイ「…まぁ、作戦面はお前に任せる。俺はお前を信じて行動するだけだ」
エルヴィン「そう言ってもらえると助かる」
-
- 76 : 2013/12/02(月) 19:51:20 :
ガチャッ
エル&リヴァ「!」
ハンジ「やっほー。二人とも元気?」
リヴァイ「帰れ」
ハンジ「ひどっ!ストレートすぎでしょ!」
リヴァイ「てめぇが来るとろくなことがねぇ」
ハンジ「まぁそう言わずに。面白い話があるんだよ」
エルヴィン「面白い話、だと?」
ハンジ「うん。ちょっとした逸材を発見してきたんだ」
-
- 77 : 2013/12/02(月) 19:56:46 :
リヴァイ「…逸材?新兵か?」
ハンジ「訓練兵じゃないけど、まぁ、新兵っちゃ新兵だね」
エルヴィン「どこからかスカウトしてきたのか?いつの間に…」
ハンジ「いやあ、立体機動装置をちょっと使わせてみたんだけど、すごいよ、彼!
初めてとは思えないような飛び方するんだよ!!」
リヴァイ「ほう、そいつは面白ぇ。どこにいる?」
ハンジ「裏の森だよ。まだ飛んでるかもね」
エルヴィン「行ってみるか。素質次第では、即戦力として迎え入れよう。君と同じようにな」
リヴァイ「…」
-
- 78 : 2013/12/02(月) 20:03:40 :
~裏の森~
エルヴィン「…ほう」
ハンジ「…ふふっ」
リヴァイ「…なっ!?」
ヒュンヒュンッ
スタッ!
バリー「…ってな感じでいいかい、分隊長さんよ?」
ハンジ「オッケー、上出来だよ。これなら、すぐに上達できるだろうね」
バリー「さすがだな、俺。うかうかしてると、分隊長のイスを明け渡してもらうことになるぜ?」
ハンジ「ははっ。楽しみにしてるよ」
リヴァイ「…なぜお前がここにいる?」
バリー「あん?」
-
- 79 : 2013/12/02(月) 20:11:15 :
ハンジ「お?」
エルヴィン「リヴァイ、知り合いか?」
バリー「お前、リヴァイか!?」
リヴァイ「…どういう経緯があったか知らんが、お前が調査兵団に来るとはな」
バリー「お前こそ。目つきの悪いチビがいるとは聞いていたが、まさかお前だとはな!
久しぶり、会えてうれしいぜ!」
ハンジ「リヴァイのお友達?偶然ってあるもんだねぇ」
リヴァイ「それよりもお前、あの後どうなった?」
バリー「ああ、そのことか。お袋は無事だったよ。トロスト区じゃ、何も心配することはなかった」
リヴァイ「そうだったか…」
バリー「さすがにあそこじゃ地下街みたいなことはできねぇから、
適当に悪党ぶっ飛ばして、憲兵の手伝いしながら日銭を稼いでいたんだ」
バリー「そしたら、こちらの分隊長殿の目に留まり、現在に至るってわけだ」
-
- 80 : 2013/12/02(月) 20:19:08 :
リヴァイ「お前、あの件は大丈夫なのか?」
ハンジ「ああ、彼の素性についての件ね。私は彼から全部聞いた。リヴァイも知ってるんだね」
リヴァイ「…」
ハンジ「大丈夫、言いふらしたりしないよ。彼には、ここにいてもらわないと困るからね」
バリー「そう言うわけで、よろしく頼むぜ」
リヴァイ「…お前、また母親を置いて…」
バリー「今回は、逃げてきたんじゃねぇ。戦いに来た。俺達の人生を狂わせる原因になった、巨人とな!」
リヴァイ「…そうか」
-
- 81 : 2013/12/02(月) 20:25:56 :
バリー「今からワクワクして仕方ねぇんだよ…。あの間抜けなツラの野郎共を、好き放題に殺っていいんだからよ…」
リヴァイ「…」
バリー「なぁ、巨人を殺るってのはどんな感覚なんだ?楽しいか?気持ちいいか?
教えてくれよ、リヴァイ」
リヴァイ「さぁな。自分で確かめろ」
バリー「相変わらず冷たいねぇ。もうちょい優しさってもんがないのかね」
リヴァイ「それよりお前、あの件についてはどうなっているんだ?」
バリー「あの件?」
リヴァイ「6年前の別れ際に言っただろう?巨人教が復活を企んでいると…」
バリー「ああ、そのことか。あれからは、俺も情報ナシだ。トロスト区で普通に生活してたら、
前みたいな裏の情報は手に入らねぇよ」
リヴァイ「そうか…」
バリー「兵団のほうでも何もつかめねぇのか?」
リヴァイ「表立って詮索するわけにはいかねぇからな。かと言って、バレねぇようにやるのには限度がある。
こっちも収穫はない」
バリー「そうか。でもまぁ、6年も経って何もねぇんだ、心配するほどのことじゃねぇのかもな」
リヴァイ「だといいがな…」
-
- 82 : 2013/12/02(月) 20:34:25 :
~1か月後~
ナイル「エルヴィンはいるか?」
ハンジ「ナイルちゃん、どうしたの?わざわざ調査兵団本部に来るなんて、珍しい」
ナイル「質問に答えろ。エルヴィンはどこだ?」
ハンジ「エルヴィンは、リヴァイ達とちょっと出払ってるよ。なんか用事?」
ナイル「なら仕方がない。今、本部にいる全兵を集めてくれ。緊急の連絡事項がある」
ハンジ「連絡事項?いったい何を…?」
ナイル「いいから集めろ!早急にだ!!」
ハンジ「何だよ、偉そうにしやがって…!」スタスタ…
-
- 83 : 2013/12/02(月) 20:41:02 :
~集会所~
調査兵「いったい何が始まるんだ…?」
調査兵「何でも、憲兵団の師団長から直々に通達があるらしい」
調査兵「何だって突然、そんな…」
ナイル「静まれ!!」
調査兵一同「!!」
ナイル「これより、緊急の連絡事項を通達する!!」
ハンジ「まったく、勝手なことを…」
ナイル「諸君らは、『巨人教』というものを知っているか!?」
ハンジ「!?」
ハンジ(巨人教だって!?なんでそれをナイルちゃんが…)
-
- 84 : 2013/12/02(月) 20:50:46 :
ナイル「過去に存在したと噂される、巨人を崇拝する、狂った人間達の宗教だ。
近年になって、その宗教団体が復活するという情報が兵団内で飛び交っている」
ハンジ(…そういえば、バリーも過去に憲兵から追いかけられたって言ってたな。
マズいぞ、もしかしたらバリーのことをキャッチしたのかも…!)
ナイル「そこで我々憲兵団は、巨人教とかかわった人物、及び巨人教の末裔とされる人物を洗い出し、
秘密裏に捕えて情報を引き出そうとしてきた。約6年前からだ」
調査兵「そんなことやってたのかよ…」
調査兵「全然知らなった…」
ナイル「先日、ストヘス区で巨人教の関係者と思われる人物を捕え、我々が洗い出した人物は、全員確保することに成功した」
ハンジ(全員?ってことは、バリーはリストに入ってなかったってことか。とりあえず、一安心かな…)
ナイル「…一人を除いて、な」
ハンジ「!?」
-
- 85 : 2013/12/02(月) 20:58:19 :
ナイル「その人物は6年前、とある地下街にて、憲兵からの追跡を逃れ、今もどこかで暮らしていると聞く」
ハンジ(…6年前、憲兵から逃げた!?間違いない、バリーのことだ…!)
調査兵「その人物とは…?調査兵団と関係が…?」
ナイル「アルバス・マンセル。かつて、シガンシナ区の前門を開け放ち、巨人を壁内へと招き入れた
エレナ・マンセルの兄弟の子孫だ。この名前に心当たりのある者は?」
調査兵「いや、そんな奴はうちには…」
ハンジ(…バリーじゃない。よかった。でも、気になるな。アルバス・マンセル…)
-
- 86 : 2013/12/02(月) 21:03:50 :
- ※エレナさんは小説版の人ね。オリキャラではない
ナイル「調査兵に限らず、どこに潜んでいるか分からない。くれぐれも警戒してくれ」
ハンジ「さぁ、終わったならさっさと帰った帰った」
ナイル「ハンジ、貴様…!今の話、しかと刻み込んでおけよ!」
ハンジ「分かりましたってば!」
調査兵「…あの」スッ
ハンジ「何?」
調査兵「アルバスという人物は知りませんが、巨人教と関わりのありそうな人物を知っています…」
ナイル「何だと!?」
調査兵「先月、ウチに入って来たバリーという男が、陰で『巨人教がどうした』、などと言っているのを耳にしました…」
ハンジ「!?」
ハンジ(まさか!!この子に聞かれていたのか!?)
-
- 87 : 2013/12/02(月) 21:10:30 :
ナイル「…ハンジ、バリーとはいったい?」
ハンジ「勘違いだよ。彼は何も知らない。そんなそぶりもなかったよ」
ナイル「だが、巨人教のワードが何もなしに出てくるとは考えにくい。彼も何か知っているとみていいな。
少々話を聞きたいんだが、彼はどこにいる?」
ハンジ「だから、バリーは何も知らないって!!いい加減帰ってよ!!」
ナイル「何故そうムキになる?お前も何か知っているんだな!?だから、バリーを庇おうと!」
ハンジ「そんなワケ…」
エルヴィン「何の騒ぎだ?」
調査兵「あ、エルヴィン団長、おかえりなさい…」
リヴァイ「何故ウスラ髭がここにいる?」
バリー「ずいぶんと騒がしいな、喧嘩なら参加するぜ?」
-
- 88 : 2013/12/02(月) 21:17:21 :
調査兵「あっ!師団長、あの男がバリーです!」
ナイル「…君が?」
バリー「あん?何の用だ?俺がどうかしたか?」
ナイル「単刀直入に聞こう。君は、巨人教について何を知っている?」
バリー「!?」
ハンジ「ちょっと、彼は…」
ナイル「黙れハンジ!!」
ハンジ「…っ!!」
-
- 89 : 2013/12/02(月) 21:25:36 :
バリー「…憲兵様は俺の正体を突き止めたってのか…?」
ナイル「正体?何のことかな。私はただ、何を知っているのか聞いただけだが?」
バリー「…クソッ!カマかけやがったのか!?」
ナイル「どうやら、クロと見ていいな。連行させてもらうぞ」
エルヴィン「おいナイル、勝手な真似はよせ。こちらの承諾もなく、うちの兵を連れていくことは許さんぞ」
ナイル「『巨人教に関わるものはすべて捕えよ』。政府からの通達だ。これを妨害するのなら、
お前ら調査兵団の幹部と言えど、タダでは済まされんぞ?」
エルヴィン「…」
リヴァイ「バリー…」
バリー「…心配すんな!俺は何もしてねぇ!無実だって分かればちゃんと帰してもらえるだろ」
ナイル「…行くぞ」
スタスタ…
ガチャン…
-
- 90 : 2013/12/02(月) 21:33:21 :
エルヴィン「…ハンジ、これは…」
ハンジ「ごめんっ!私がこの場にいながら、バリーを守れなかった!!」
リヴァイ「気にするな。遅かれ早かれ、憲兵には目を付けられていただろう」
ハンジ「…バリーは大丈夫だよね…?」
エルヴィン「…どうだろうな。一つ言えるのは、今まで憲兵に連れ去られた巨人教の関係者は、
誰一人、帰って来たという報告がないということだけだ」
ハンジ「そんなっ…!!」
リヴァイ「…」
-
- 91 : 2013/12/02(月) 21:42:25 :
~現在~
アルミン「そんなことが…」
エレン「憲兵団の野郎…!」
ハンジ「ナイルちゃんは悪くないよ。政府から言われたんじゃ、従うほかにないからね。
私が早く感付いていれば、バリーを匿い続けることができたかもしれないのに…」
リヴァイ「何度も言っただろう。いずれは憲兵に目を付けられていたはずだと。
それにあの時、俺達は強引にでも連れ戻すことができたはずだ。なのに、それをしなかった」
ハンジ「…兵団に属している以上、政府には逆らえない。まったく、あの時ばかりは、調査兵になったことを後悔したね」
リヴァイ「同感だ。自由が効かねぇことの不便さを、あの時始めて痛感した」
アルミン「…それで、憲兵団に連れ去られた後は、どうなったんですか?」
ハンジ「うん。その後なんだけど、事件が起きてしまった…」
-
- 92 : 2013/12/02(月) 21:49:20 :
~846年・憲兵団本部~
ナイル「…ではバリー君、巨人教について、知っていることを話してもらおうか?」
バリー「お前らに話すことは何もねぇ。とっとと帰らせてもらえるか?」
ナイル「それはできない。君が、巨人教についての情報を掴んでいるのは明らかだ」
バリー「ふざけんな!!俺は巨人教の情報は知らねぇ!!あいつらに関わるのはゴメンだ!!」
ナイル「…連中を知ってるような言い方だな。君と巨人教には、どんな接点があるんだ?」
バリー「…てめぇ、また俺を…!!」
-
- 93 : 2013/12/02(月) 21:57:51 :
ナイル「仮に何も情報がないとしよう。と、すると、君は巨人教信者の子孫、という線もあるのかな?」
バリー「…っ!」
ナイル「その顔は図星か。そうだとすると、君のことはこちらの調査漏れという事になるな。
あとで確認して、リストを作り直さねばならないかもな」
バリー「…今まで捕まえた連中はどうした?」
ナイル「それは君が知る必要はない」
バリー「本当に巨人教に関係してた奴はどうなっても構わん。だが、ただ血縁者って言うだけで
捕えた奴もいたはずだ!!そいつらはどうなったか聞いてんだよ!!」
ナイル「何度も言わせるな。君が知る必要はない」
バリー「…この、クズがあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」ガッ!!
ナイル「やめろ」
パァンッ!!
バリー「…うぐぁっ!!!」ドサッ!
-
- 94 : 2013/12/02(月) 22:09:03 :
憲兵「次暴れたら、右足を撃つぞ。両足使い物にならなくなってもいいのか?」
バリー「…本当にこんな連中が、秩序を守る集団なのかよ…」
ナイル「政府からの命令は絶対だ。兵団に所属している以上、逆らうわけにはいかん」
バリー「どいつもこいつも、兵団の犬どもが…!」
ナイル「…その様子では、どれだけこちらが譲歩しても話してくれる気は無いようだな」
バリー「お前らがいつ譲歩した!?権力にかこつけて不当に拘束し、言うこと聞かなけりゃ即発砲、
やりたい放題だろうが!!」
ナイル「素直に従わない場合の処遇も決まっている。こいつを牢に入れておけ。明日、例の処分を実行に移す」
憲兵「はっ!!」
バリー「…クソが!!」
-
- 96 : 2013/12/03(火) 18:55:15 :
-
~地下牢~
バリー(…クソッ!ようやく居場所を見つけたと思ったのに、また巨人教のせいでこのザマかよ!
ホント何してくれてんだ、ウチのご先祖様はよぉ!!)
バリー(確かに、巨人教みたいな狂った宗教を野放しにしておきたくねぇ政府の考えも理解できる。
だが、だからってこりゃあんまりだろうが!他にも、俺と同じ思いをしてる連中がいるのか!?)
バリー(…冷静に考えりゃ、捕えられた奴らはここに入れられるはずだ。だが、今捕まっているのは俺一人。
確か、地下牢はここだけだと言っていたな)
バリー(釈放されたのかもしれねぇけど、だったらあいつらが俺の問いに答えねぇのはおかしい。
つまり、ここにいないという事は、『そういうこと』になるんだな…)
バリー「あんまりだろう。報われなさすぎだろうがよぉ…」
憲兵「おい」
バリー「…何だよ!?」
憲兵「時間だ。出ろ」
バリー「…あん?」
-
- 97 : 2013/12/03(火) 19:05:19 :
~処刑場~
バリー「」ギュッ
バリー(こんな場所のど真ん中に縛り付けやがって…。やっぱり、『そういうこと』かよ。
予想通り過ぎて涙が出るぜ…)
バリー(つまり、他の連中も、従う従わない関係なしに消されてきたんだろうな。
疑わしきは罰せり、虚偽の芽はつむべし、実に合理的だ)
憲兵「」チャキ…
バリー(憲兵はざっと20人ってところか。全員で一斉に銃撃、射殺ってのもまたずいぶんと古典的な処刑法だな)
バリー(殺るならせめて、痛みを感じねぇように一瞬で頼むぜ…)
-
- 98 : 2013/12/03(火) 19:12:01 :
ナイル「用意…」
バリー(…悔いしか残らねぇ人生だった。わけの分からん先祖の鎖に縛られて、わけの分からんうちに死ぬことになる。
俺の人生は一体何だったんだろうな…)
バリー(もし、ここを生きて出られたら、俺は許さねぇ。巨人教も、兵団も!!
俺をここまでコケにした存在全てに復讐してやる!!)
ナイル「撃てっ!!!」
ダァンッ!!!ダァンダァンダァンダァンダァンッ!!!!!!
バリー「…がっ!!!!」
バリー(…復讐を…)ガクッ…
-
- 99 : 2013/12/03(火) 19:35:49 :
~調査兵団本部~
バリー「」パチッ
ハンジ「あっ!!バリー、目が覚めた!?」
バリー「…こ…こは…?」
バリー(あれ?俺は何をしていたんだったか…?俺は、バリーというのか…?)
ハンジ「私のことが分かる!?ゆっくりでいいから、考えて思い出して!!」
バリー(こいつは確か…)
バリー「は、ん、じ…」
ハンジ「そうっ!!正解!!よく思い出したね!!!」
バリー(ずいぶんとはしゃいでるな。何があったって言うんだ?)
バリー(それにしても、体が重いな…。うまく動かないというか…。イマイチ、頭の回転も悪い)
-
- 100 : 2013/12/03(火) 19:42:53 :
ハンジ「本当に目を覚ますとは驚いたよ!!処置の甲斐があったなぁ!!」
バリー「俺は…?」
ハンジ「慌てないで!ゆっくり、ゆっくり考えるんだ…」
バリー(…俺は確か…)
バリー「!!!!!!」
バリー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」ガバッ!!!
ハンジ「!!!」
バリー(全部思い出したぞ!!俺は、あの時憲兵団の連中に撃たれた!!)
バリー「…じゃあ、なんで俺は生きているんだ?」
-
- 101 : 2013/12/03(火) 19:50:52 :
リヴァイ「…驚いた。本当に生きてやがるんだな。とんでもねぇ生命力だ」
バリー(えっと、こいつは…)
リヴァイ「?」
バリー「…!」
バリー「リヴァイ!俺はあの時、確かに撃ち殺されたはずだ!!なんで俺がここにいる!?」
リヴァイ「今この場で生きてるんだから、生きてるんだろうな。それしか言えん」
バリー「…どうなってやがる?」
ハンジ「大変だったんだよ、丸二日に及ぶ大手術。それから3か月、君は眠っていたんだ」
バリー「3か月だと!?馬鹿な!!」
ハンジ「本当だよ。死の淵から君を呼び戻したんだ、そのくらいは当然さ」
バリー「…こんなことってあるんだな…」
リヴァイ「…」
-
- 102 : 2013/12/03(火) 19:56:48 :
ガチャ…
エルヴィン「失礼。バリーが目を覚ましたと聞いてな」
バリー「…えっと」
ハンジ「焦らないで」
バリー「…エルヴィン!久しぶり、でいいんだよな?」
エルヴィン「ああ、久しぶりだ。よく戻ってきてくれた。歓迎しよう」
バリー「へへっ、照れるじゃねぇか」
ハンジ「エルヴィン、バリーの身柄はどうなるの?また連れていかれたりとか…」
エルヴィン「それはない。死刑囚というのは、死刑を執行した時点で死亡者扱いになる。
その後、万が一生き延びるようなことがあったとしても、存在しない人間ということになる」
リヴァイ「つまり、もうバリーは誰にも追われずに済むというわけだ」
バリー「…存在しない人間…」
リヴァイ「体の調子が戻ったら、早速やってもらうことがある」
バリー「やってもらうこと?」
エルヴィン「…その目で、巨人を見てもらおうか。今後のためにも、な」
-
- 103 : 2013/12/03(火) 20:06:25 :
~現在~
ハンジ「というわけで、ここまでが、彼が連れ去られてからのいきさつさ」
エレン「本当に、処刑から生き延びたんですか…?」
ミカサ「人間とは思えない…」
ハンジ「人間とは思えない、か。あながち、間違いじゃないね。だって彼は…」
リヴァイ「おい!」
ハンジ「!!」
リヴァイ「誰もそこまで話せとは言ってねぇ。訓練兵ごときに話す内容じゃねぇだろう」
ハンジ「でもさ、ここまで話したのに、それはないでしょ?」
リヴァイ「ダメなものはダメだ」
ハンジ「ちぇっ!リヴァイのケチ!」
エレン「そういえば、さっきのバリーも、会話の途中で時々変な間があったんです。
何かを思い出すようにして、ゆっくりと…。さっきのと何か関係が?」
ハンジ「それも…」チラッ…
リヴァイ「ダメだ」
ハンジ「だって」
エレン「はぁ…」
-
- 104 : 2013/12/03(火) 20:06:57 :
アルミン「とりあえず、その件についてはいいです。その後、バリーさんを壁外に連れて行ったんですか?」
ハンジ「うん。ちょっと試してみたいこともあったから、巨人を見せるという名目で連れて行ったんだけど…」
-
- 105 : 2013/12/03(火) 20:13:22 :
~846年・トロスト区壁上~
バリー「うっは!壁の上ってのはほんとに高いんだな!街が一望できるぜ!」
ハンジ「何せ50メートルだからね。ウォール教の連中が神として崇めるのも頷けるよ」
リヴァイ「あいつらはイケ好かねぇが、巨人を神とあがめる奴らよりは遥かにマシだな」
バリー「巨人を、神と…?……巨人教っ!!!」
ハンジ「バリー?」
バリー「巨人教、そして兵団、俺は奴らに復讐をっ…!!!」
リヴァイ「落ち着け。ここで暴れても仕方ねぇだろ」
バリー「…あ、あぁ、すまん。俺がどうかしていた」
バリー(…なんでこんな大事なことを忘れていた?今言われるまで、頭の片隅にもなかったぞ?)
-
- 106 : 2013/12/03(火) 20:21:42 :
ハンジ「…どこか、調子悪い?」
バリー「…なんか、変なんだ。大切な事なはずなのに、頭の中からすっぽりと抜け落ちてるというか…。
思い出そうとすれば思い出せるんだが、そうしない限り、記憶から引っ張り出せないんだ」
ハンジ「すっぽりと、ね…」
リヴァイ「…」
バリー「大切なことに限らず、日常の記憶、例えば、昨日の夜喰ったものとか、
久しぶりに会った奴の名前とか、そういうのもすぐに出てこない。思い出そうとしないと、出てこないんだ」
バリー「あとは、なんだか俺の体が俺の物じゃないような感覚もたまにあるんだ。
やっぱり、あれだけの銃撃を喰らって、俺の体はおかしくなっちまってるんだろうか…?」
ハンジ「…そうだね。後遺症が残ってもおかしくないほどの重症だったんだ。体のほうはもう少し様子を見ながら、ね」
バリー「あぁ…」
-
- 107 : 2013/12/03(火) 20:29:26 :
リヴァイ「話はその辺にしておけ。下を見ろ、バリー」
バリー「下?」
巨人「ウアァァァァァ…」
バリー「うおっ!なんじゃありゃ!?」
リヴァイ「あれが巨人だ。見事なアホ面だろう?」
バリー「絵とかで見たことはあるが、本物は初めてだ。あんな連中に、人類はビビってるのかよ」
ハンジ「あんなんでも、力や走力は半端じゃないし、捕まったら食べられてオダブツだからね。
誰だってビビっちゃうよ」
バリー「…あんな奴らのせいで、巨人教なんて馬鹿げた宗教ができちまったんだな…」
リヴァイ「…そう言うことになるな。あんなバケモノに身を捧げたところで、何にもならねぇというのに」
ハンジ「人は絶望したとき、何かにすがりたくなるものさ。かのエレナ・マンセルが、
調査兵だった夫の死を目の当たりにして、巨人教にすがったようにね…」
バリー「エレナ…」
-
- 108 : 2013/12/03(火) 20:35:27 :
リヴァイ「どうした?」
ハンジ「まさか、エレナと知り合いだとでも言うんじゃないだろうねぇ。彼女は何十年も前の人だよ?
しかも、実在したかどうかすら怪しいし」
バリー「…」
リヴァイ(…また要らんことを考えているのか?)
バリー「…よし」
ハンジ「ん?」
バリー「…ちょっくら行ってくるわ」タッ
パシュッ
ヒュゥゥゥゥゥゥンッ
ハンジ「え?ちょっ、バリー!勝手に行ったら危ないって!!」
バリー「心配するなって」
ハンジ「ああ…。もうあんなに下に…」
リヴァイ「…」
-
- 109 : 2013/12/03(火) 20:42:46 :
パシュッ
カキンッ
バリー「あっ!やべっ…!」
ハンジ「アンカー刺し損ねたっ!!だから危ないって言ったのにっ!!」
バリー「のわぁぁぁぁぁぁっ!!!」ドーンッ!
ハンジ「落ちたっ!!このままじゃっ!!」
リヴァイ「」タッ
パシュッ
ヒュゥゥゥゥゥゥンッ
ハンジ「さすがリヴァイ、行動が早いねっ!だけど、間に合うか!?」
-
- 110 : 2013/12/03(火) 20:51:28 :
巨人「ウアァァァァァ…」
バリー「やっべ!早く登らねぇと食われるっ!!」カチッ
バリー「ん?」
カチッ
バリー「マジかよっ!落ちた衝撃で壊れやがった!!登れねぇっ!!」
ハンジ「ウソぉっ!?リヴァイ、急いでっ!!」
リヴァイ「…チッ!」ヒュゥゥゥ…
巨人「ウアァァァァァ…」
バリー「やべっ!!こいつはマズい…」
巨人「」シーン…
バリー「…ん?」
ハンジ「…無反応?」
ハンジ(…やはり、私の思った通りなのか?)
-
- 111 : 2013/12/03(火) 20:58:09 :
リヴァイ「…もらった!」ヒュッ
ザシュッ!!
巨人「アァァァァ…」シュゥゥゥ…
バリー「おぉっ!!リヴァイ、すげぇっ!!」
リヴァイ「」スタッ
バリー「助かったぜ、サンキュ!」
リヴァイ「…」
バリー「どうした?」
ハンジ「リヴァイ」スタッ
リヴァイ「この距離で、バリーにまったく反応しなかった。これはやはり…」
ハンジ「…そのようだね」
バリー「二人して、何話してんだよ?」
ハンジ「とりあえず、ここは危険だから上に上がろう。私が一緒に行くから、掴まって」
バリー「?」
-
- 112 : 2013/12/03(火) 21:07:09 :
~壁上~
リヴァイ「さて…」
バリー「何だよ?」
ハンジ「バリー、よく聞いて。巨人というのは本来、人間を捕食対象として認識し、
人間以外の生物には一切の反応を示さない」
バリー「ああ、そのくらいは知ってるぜ」
ハンジ「だけどさっきの巨人は、君には全く興味を示さなかったよね」
バリー「そうだな。だけど、『奇行種』とか言う、わけの分からん奴もいるんだろ?それなんじゃねぇのか?」
ハンジ「いくら奇行種と言えど、これだけ目の前に人間がいるのに反応を示さない奴はいない。
彼らも、人間を捕食するという目的は、通常種と一緒だ」
バリー「…つまり、何が言いたい?」
リヴァイ「お前は人間じゃない。それだけだ」
-
- 114 : 2013/12/03(火) 21:16:19 :
-
バリー「は…!?人間じゃない?どういう意味だよ?」
ハンジ「一度死の体験をしたことによって、人間を超越した存在になったという事さ。
君は巨人に狙われることなく、壁外を行動することができる」
リヴァイ「調査兵団として、いや、人類として、願ってもない存在だな」
バリー「…人間じゃない…?」
ハンジ「そんなに落胆しないで。そんな悲壮な意味合いじゃないから。
ただ単に、巨人の標的にならなかったというだけで、君が…」
バリー「俺は…」
リヴァイ「おいバリー…」
-
- 118 : 2013/12/03(火) 21:26:07 :
バリー「…ふっ…」
バリー「ひゃはははははははははははははははははははははははははははっ!!!!!!」
リヴァ&ハン「!?」
バリー「今まで散々な扱いをされて、居場所を見つけたと思ったら処刑されて、蘇ったと思ったら、俺は人間じゃない!?
笑わせてくれるじゃねぇか!!」
バリー「人間じゃなきゃ何だ!?巨人か!?違うだろ!?ひゃははははははははははっ!!!!」
リヴァイ「落ち着け、バリー」
バリー「落ち着いてられるかよ!!俺は一体何なんだよ!?ええ!?」
ハンジ「まさか、こんなに錯乱するなんて…!」
バリー「巨人でもなく、人間でもないっ!!なんじゃそりゃ!?ひゃははははははははははっ……」
リヴァイ「…っ!」
ハンジ「バリー…」
-
- 119 : 2013/12/03(火) 21:33:25 :
バリー「ははははは……」
バリー「…」
ハンジ「…落ち着いた?」
バリー「…今、俺が何をするべきか」
リヴァイ「…何を言っている?」
バリー「誰のせいでこんなことになったのか。このクソッタレな人生への怒りを、誰に向ければいいのか」
ハンジ「ちょっと、何を…!?」
バリー「…俺はこれから、巨人教の連中を根絶やしにする。その後、俺を消した政府、兵団もすべて根絶やしにする」
リヴァイ「正気か!?敵は一人や二人じゃねぇんだぞ!?」
バリー「知ったことか。やると言ったらやる。俺が味わった苦痛と同じ分だけ、きっちりお礼参りと行かせてもらうぜ」
ハンジ「…兵団ってことは、私らも対象なのかい?」
バリー「いや。お前ら二人とエルヴィン、その他、世話になった調査兵は見逃してやる。
ここまで俺に付き合ってくれた恩があるしな」
-
- 120 : 2013/12/03(火) 21:40:51 :
リヴァイ「…また、行っちまうのか?」
ハンジ「ちょっとリヴァイ、何言ってるの!?止めなきゃダメでしょ!!」
バリー「止めても無駄だ。リヴァイなら分かってるだろ?」
リヴァイ「…」
ハンジ「…このバカ二人っ!そんなことして何になるのさ!?」
バリー「何度も言わせんな。狂った人生への復讐だ」
ハンジ「巨人教の関係者って、君みたいに、巨人教と関わった者の血縁者まで手にかけるつもり!?
それじゃ、君が受けてきた扱いと同じじゃないか!!」
バリー「安心しろ。俺が滅ぼす相手は現存の巨人教徒だけだ」
ハンジ「…」
-
- 121 : 2013/12/03(火) 21:47:22 :
リヴァイ「巨人教の連中は確かに脅威だが、存在するかしねぇか分からん連中の相手までは、
俺達じゃ手が回らんだろう。こいつに任せておけばいい」
ハンジ「…でもさ…」
リヴァイ「巨人教を滅ぼすところまでは見逃してやるが、その後については、俺達も黙っちゃいないぞ…」
バリー「…いずれ、その時が来たらな」
ハンジ「…もうっ!勝手にしろっ!!」
バリー「そう言うわけだ、また会う日まで、友よ…」
バリー「」スタスタ…
リヴァイ「…」
-
- 122 : 2013/12/03(火) 21:56:32 :
ハンジ「行っちゃったね…」
リヴァイ「見立て通り、奴は巨人に襲われなかったな」
ハンジ「人間を超越した存在、だってさ。我ながら、下らない大ホラ吹いたもんだよ」
リヴァイ「よほどショックだったみたいだな。人間じゃないと言われた後のあいつは、普通じゃなかった」
ハンジ「物の例えのつもりだったんだけどね。これじゃ、本当のことを知ったらどれだけショックを受けるか。
さっきのですら、感情の変化が唐突過ぎたね。『スイッチ』が入ったのかも」
リヴァイ「奴の体の違和感とやらも、いずれ元に戻るのか?」
ハンジ「どうだろうね。脳は問題ないみたいだけど、記憶を思い出すのに、に若干のラグがあるみたい」
リヴァイ「…」
ハンジ「…」
リヴァイ「」スタスタ…
ハンジ「ちょっと、どこ行くのさ?」
リヴァイ「…墓参りだ。そろそろ手入れしてやらねぇとな」
ハンジ「何も、今行かなくたって…」
リヴァイ(俺はいつか、あいつと拳を交えなければならないのか…?)
-
- 123 : 2013/12/03(火) 22:05:45 :
~現在~
エレン「…」
ミカサ「…」
アルミン「…」
ハンジ「以上が、私達とバリーとの昔話だよ。どう、分かった?」
エレン「いろいろと合点がいきました。つまりあいつは、巨人教を根絶やしにしている最中ってことなんですね」
ミカサ「そして、いずれは3兵団にも喧嘩を仕掛けてくるつもり…」
アルミン「それなら、バリーさんが巨人教の計画を察知していたのも頷けますね。ずっと追い続けていたんでしょうから…」
ハンジ「そうだろうね。私らが今日ここに来たのも、バリーらしき人物がトロスト区に現れたとの情報を聞きつけたからなんだ」
アルミン「そうだったんですか…」
-
- 124 : 2013/12/03(火) 22:13:03 :
駐屯兵「遅くなりました!」ザッ!
一同「!!」
ハンジ「おぉ、やっと来た。君も災難だったねぇ、本来は非番のはずだったのに」
駐屯兵「いえ、状況が状況ですから。この後のことは、我々が引き受けます」
リヴァイ「…話は終わりだ。お前らもさっさと帰れ。事件については憲兵団、
この場については駐屯兵団の仕事だ」
エレン「でも、事情聴取は…?」
ハンジ「今はとりあえずいいや。訓練兵団のほうに連絡して、後から伺うかもしれないから、その時はよろしく」
エレン「はぁ、分かりました…」
ハンジ「それじゃ、気を付けて」
3人「」ゾロゾロ…
-
- 126 : 2013/12/03(火) 22:22:58 :
-
アルミン(結局、バリーさんについては謎ばかり残ったな。そもそも、生き延びた理由も不明確だし、
会話の中の謎の『間』についても、はっきり分からなかった…)
アルミン(それに、おかしいと思ったのは、さっき頭をなでられた時。あの感触は…。
もしかしたら、普通の人じゃないのかもしれない…)
ハンジ「さて、私達も帰ろうか」
リヴァイ「…」チラッ…
ハンジ「?」
リヴァ&ハン「」スタスタ…
駐屯兵「…」ニヤァ…
-
- 131 : 2013/12/04(水) 19:18:28 :
-
~トロスト区~
婦人「はぁ、はぁ…」タッタッタッ
婦人(突然謎の男に襲撃されたって言うから逃げてきたけど、一体誰が襲ってきたって言うんだ?)
婦人(他の仲間たちは無事だろうか…?せっかくこの日のために計画を練って来たというのに、全てが台無しに…!)
ライナー「よぉ」
婦人「!?」ピタッ
ライナー「先回りしといて正解だったな。あんたも、巨人教徒なんだよな?」
婦人「だから何だ?お前たちは一体何者だ?」
ライナー「訓練兵さ。巨人教徒の訓練兵と入れ替わって、今回の計画阻止の一端を担わせてもらったがな」
婦人「じゃあ、仲間たちを襲撃したというのも…?」
ベルトルト「残念ながら、それは僕達じゃない。それどころか、そいつも僕ら兵士に恨みがあるようだった」
アニ「あんたらのせいで危うくとばっちりだよ。どうしてくれるんだい?」
-
- 132 : 2013/12/04(水) 19:23:16 :
婦人「…私をどうする気だ?」
ライナー「別に痛めつけようって言うわけじゃない。憲兵団に差し出すくらいはさせてもらうがな。
巨人を壁内に招き入れようなんて、馬鹿こと考える奴の気が知れん」
アニ(よく言うよ、まったく…)
ベルトルト(これはどっちのライナーが言ってるんだろう…?)
婦人「ここまでか…!」
バリー「ああ、ここまでだな。お前の人生は」
一同「!?」
-
- 133 : 2013/12/04(水) 19:30:19 :
ライナー「あんたは…」
バリー「また会ったな、訓練兵。そいつの足止めご苦労さん」
ライナー「別にあんたのためにやったんじゃない。こいつを捕まえて、憲兵団に連れて行かなきゃならないんでな」
バリー「そいつは無理だ。なぜなら、こいつは今この場で死ぬからな」チャキ
ベルトルト「…またあのガトリングガンかっ!」
アニ「ここで撃つなんて、正気!?」
バリー「ほら、死にたくなけりゃどけ、訓練兵。こいつの威力は本物だぜ?」
婦人「…アルバス?」
バリー「はぁ?」
婦人「あんた、アルバスかい!?どうしてここに!?死んだはずじゃなかったのかい!?」
バリー「気でも狂ったか、クソ女。俺はアルバスなんて間抜けな名前じゃねぇよ!」
婦人「だけど、そっくりなんだよ、死んだ息子に!」
バリー「俺の知ったことか!その息子が死んだっつーなら、もうどこにもいねぇだろうが!!」
婦人「…っ!」
-
- 134 : 2013/12/04(水) 19:35:22 :
ライナー「…アニ」ボソッ
アニ「何だい?」ボソッ
ライナー「この女を連れて行け。あとから俺達も追いかける」
アニ「何言ってんだい!?あいつはとんでもない武器を持ってるんだよ!ここにいたら、あんたらが殺される!!」
ライナー「だからといって、このままでも全員死ぬ。兵士として、民間人を殺させるわけにはいかんだろう。
お前がこいつを連れて先に逃げるんだ!」
アニ「あんた…!」
ベルトルト「とりあえず、僕もライナーに賛成だ。この人から、他の教徒についての情報もあぶりだせるかもしれない。
行ってくれ、アニ!」
バリー「何ごちゃごちゃ喋ってんだよ!どかないなら、まとめてあの世に送ってやるぜ?」
-
- 135 : 2013/12/04(水) 19:41:29 :
ライナー「行け!!アニ!!」
アニ「…ほらあんた、こっちに来な!逃げるよっ!!」ダッ!
婦人「え?ちょっ…!!」ダッ!
バリー「あっ!!てめぇコラ、逃げるつもりか!?」
ライナー「おっと、行かせるわけにはいかん」
ベルトルト「ちょっと僕達と遊んでくれるかい?」
バリー「てめぇら、本気で邪魔しようってのか…!?」
バリー「上等だコラァ!!二人まとめて吹き飛びやがれぇぇぇぇぇっ!!!!」チャキ
ライナー「マズいっ!!」ダッ!
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!!!!!
ベルトルト「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
-
- 136 : 2013/12/04(水) 19:49:31 :
ライナー「物陰に隠れろっ!!!」
バリー「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラっ!!!!!!!」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!!!!!
バリンッ!!
ドゴドゴドゴドゴッ!!!!
ザザザザザッ!!!!
住民「うわっ!!なんだっ!!!」
住民「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
住民「ガラスがっ!物がっ!!!」
住民「みんな、逃げろぉぉぉぉっ!!!」
ウワアァァァァァァァァァァァァァァァッ……
-
- 137 : 2013/12/04(水) 19:53:06 :
ライナー「はぁ、はぁ…。あいつ、ほんとに容赦なしだな…」
ベルトルト「どれだけ乱射すれば気が済むんだ…」
ライナー「この辺りの人はみんな逃げれたようだな…」
バリー「隠れてねぇで出てきやがれ、ガキ共っ!!」
ベルトルト「いつまでも隠れていられないよ、このままじゃ…」
ライナー「だからと言って、俺達がすぐ逃げるわけにもいかん。できるだけここで時間を稼ぐんだ」
ベルトルト「…」
-
- 138 : 2013/12/04(水) 19:58:57 :
シーン…
ライナー「…なんだ?急に静かになったぞ?」
ベルトルト「弾切れ?それとも、諦めた…?」
ライナー「まさか。油断させようとしているのかもしれん。気を抜くなよ…」
ベルトルト「うん…」
バリー「見つけたぞ、クソ女!!!覚悟しやがれっ!!」
ライ&ベル「!?」
ライナー「何だと!?まさか、アニ達があいつに見つかったのか!?」
ベルトルト「逃げてなかったのか!?何てことだ、助けに行かないとっ!!」
ライ&ベル「」バッ!
バリー「…そこにいたのか」チャキ…
ライ&ベル「!?」
ライナー(しまった…!さっきのは、俺達を誘い出すための狂言かっ!!)
ベルトルト(駄目だ、もう一度隠れようとしても、この距離じゃ間にあわない…)
-
- 140 : 2013/12/04(水) 20:04:18 :
-
バリー「…あばよ」
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!!!!!
ライ&ベル「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
ドサッ…
ライナー「」
ベルトルト「」
バリー「…かわいそうに。おとなしく俺の言うことを聞いてれば、こんな無残な最期を迎えることもなかっただろ」
バリー「…さて、女共はどこ行きやがった?金髪のチビも、こいつらが寂しくねぇように逝かせてやるか」
ガヤガヤ…
バリー(何だ?壁のほうがまた騒がしくなってきたな。先に少し覗いてみるか…)
-
- 142 : 2013/12/04(水) 20:11:35 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アニ「」タッタッ
婦人「ちょっと、どこまで連れていく気だ?」
アニ「黙ってついてくればいいさ。殺されたくなかったらね」
婦人「あんた…」
???「おい、あんたら!」
アニ&婦人「!?」
教徒「あんたも巨人教の仲間だよな。確か名前は…」
教徒「…アリア・マンセルさんでよかったよな?」
アリア「…そうだ」
アニ(アリア・マンセル…)
-
- 144 : 2013/12/04(水) 20:16:23 :
教徒「壁にいた仲間が皆殺しにされたって聞いたが、本当なのか?」
アリア「そうらしい。私は逃げろと言われて壁を離れたので、詳しいことは知らない。
だが途中で、仲間を殺した奴と思われる男に出会った」
教徒「何だって!?大丈夫だったのかい!?」
アリア「なんとかな。この娘が逃げるのに協力してくれた」
教徒「こっちのお嬢ちゃんが?」
アリア「訓練兵だそうだ。他にもガタイのいい男二人がいたが、今頃どうなったかな」
-
- 145 : 2013/12/04(水) 20:20:14 :
アニ「言っとくけど、あんたらを見逃す気は無いよ。ここで眠らせて、憲兵に突き出すから」
教徒「おいおい、恐ろしいこと言ってるな、お嬢さん」
アリア「それは困るな。せっかく一緒に逃げた仲だ、友達になれると思ったのに残念だな」
アニ「そんなもんこっちから願い下げだよ。誰が好き好んで、あんたらみたいな頭のイカれた集団と…」
パァンッ!
アニ「…え?」
教徒「そういう事なら、生かしておく理由はないよな」⊃銃
アニ(…私、撃たれたの?そういえば、胸のあたりが熱いような…)ガクンッ!
アニ「」ドサッ…
教徒「威勢はよかったが、あっけなかったな。兵士と言えど、所詮はただの人間か」
-
- 147 : 2013/12/04(水) 20:25:51 :
-
アリア「甘い。貸せ…」
教徒「あんた、何を…?」
パァンッ!パァンッ!パァンッ!!!
教徒「うわっ!」
アニ「」
教徒「後頭部を三発も…!あんた、エグいことするなぁ…」
アリア「このぐらいやっておけばいいだろう。ほら、返す」⊃銃
教徒「まがいなりにも、あんたを助けてくれた奴だろう。恐ろしいねぇ、あんたは」
アリア「助けてくれと頼んだ覚えはない。それに…」
教徒「それに…?」
アリア「…」
-
- 149 : 2013/12/04(水) 20:31:14 :
-
教徒「浮かない顔だな。何かあったのかい?」
アリア「息子…に、似ていた。例の男が」
教徒「アルバス、って言ったかな、息子さんの名前は。でも、そいつはもう…」
アリア「ああ、もう死んでいる。死んでいるはずなんだ…」
教徒「まぁ、世の中には似た人間が3人はいるって言うからな。他人の空似ってやつだよ」
アリア「そうだな…」
アリア(…そういえば、今までアルバスのことを忘れていたな。巨人教の末裔と言われ、
あの子と一緒に、村の連中から忌み嫌われた日々を思い出す)
アリア(…私は今、大嫌いだったはずのその巨人教に身を置いているのか。冷静に考えると、とんでもない話だな)
アリア(…私は、このままでよいのだろうか?あの子は、今の私を見たらどう思うだろう。
あれだけ巨人教を嫌っていた子だ。失望し、私を殺しにかかるかもしれない)
アリア(…まぁ、あの子がいない今、そんなことを考えていても無意味か)
アリア「アルバス…」
-
- 150 : 2013/12/04(水) 20:36:07 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
エレン「しかし、とんでもない目に合ったな、俺達。キース教官、どう思ってるかな?」
ミカサ「さすがに、怒られはしないと思う。好きで無断外泊したわけではないから」
エレン「確かにな。アルミン、お前はどう思う?」
アルミン「…」
エレン「アルミン?どうしたんだ?」
アルミン「あっ…。ごめん、ちょっと考え事をしてて…」
エレン「考え事?」
アルミン「うん」
-
- 151 : 2013/12/04(水) 20:42:19 :
ミカサ「もしかして、バリーのこと?」
アルミン「相変わらず鋭いね、ミカサ。そうだよ、ちょっと彼にはいろいろと不可解な点が多くてね。
ハンジ分隊長の話を聞いていて、さらに疑問が深まったよ」
エレン「確かに謎が多い奴だったけど、そこまで深く考えるほどだったか?」
ミカサ「それは単純にエレンが深く考えていないだけ」
エレン「そうかよ…」
アルミン「バリーのこともそうだけど、もう一つ疑問なのは、話の中に出てきた
『アルバス・マンセル』という人物」
ミカサ「私も気になっていた。わざわざ名前を出しておきながら、話の中ではその人物が一度も登場していない」
アルミン「過去に憲兵団が作ったリストの中で、捕まっていなかったのは彼だけ。
その彼が、その後どうなったのかについても話してもらえなかったね」
ミカサ「分隊長達は、意図的に彼にまつわる部分を隠して話していた?」
アルミン「どうだろうね?これについては、僕らがいくら頭を捻ったところで答えは出ないよ」
エレン「…話についていけん」
-
- 152 : 2013/12/04(水) 20:52:30 :
ガヤガヤ…
アルミン「何だろう?壁のほうが騒がしいね」
ミカサ「また何か事件だろうか?」
エレン「行ってみるか?」
アルミン「いやぁ、正直なところ、これ以上面倒事に関わりたくはないんだけどね…」
エレン「お前がそういうことを言うのは珍しいな。今回の件は、相当堪えたな」
ミカサ「当然。一生の不覚だった。二度とこんなことがないよう、鍛錬に励むつもり」
エレン「何をどう鍛錬するんだよ…」
アルミン「ははは、相変わらずだねぇ…」チラッ
アルミン「!?」
-
- 153 : 2013/12/04(水) 20:58:09 :
エレン「どうした?」
アルミン「…エレン、壁のほうを…」
アルミン「前門の開閉扉を見て…」
エレン「開閉扉がどうしたって…」
エレン「!?」
ミカサ「そんな、まさか…!?」
アルミン「…開いている。徐々にではあるけど、確実に!!前門扉が開いている!!」
エレン「冗談じゃねぇぞ!!そんなことしたら、巨人が入ってきちまう!!」
ミカサ「何故!?一体誰がこんなことを!?」
-
- 155 : 2013/12/04(水) 21:03:13 :
-
アルミン「巨人教の連中は全員抑えたはずだ!壁上には駐屯兵がいたし、動力室にも配備されているはず!!
こんなことをできる人間がいるはずが…!!」
バリー「下らねぇこと考えてるヒマがあるなら、さっさと行動しろ。この瞬間にも、時間は進んでるんだ」
エレン「バリー!!」
ミカサ「あなた、どこから…!?」
バリー「どっからだっていいだろうが。前門が開いてるのが見えたんでな。
理由は分からんが、巨人教の残党が動力室に忍び込んだんだろう」
バリー「さっさと止めねぇと、エライことになるだろ。一緒に来るのか?来ねぇのか?」
エレン「そうだった!早く行くぞ、お前ら!!」
アルミン「バリーさん、どうして…?」
バリー「何度も言わせんなよ。俺は、巨人教の連中の思い通りにはさせねぇんだ。
今回はたまたま、前門が開くのを阻止することが、お前らと利害の一致になる。それだけだ!!」
アルミン「…ありがとうございます」
バリー「ほら、さっさと行くぞ!」
-
- 156 : 2013/12/04(水) 21:08:58 :
~前門前~
住民「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
住民「どうして扉がいきなり!?このままでは、巨人が入ってくる!!」
住民「急いで避難だ!!避難を優先しろっ!!」
エレン「うわっ!もうあんなに開いてやがる!!」
アルミン「早く動力室に行かないとっ!」
ミカサ「…もう遅い」
巨人「」ノシッ…
バリー「入ってきやがったか…。10メートル級が一体、まだまだ増えるかもな」
エレン「そんな、どうにかしないと…」
-
- 157 : 2013/12/04(水) 21:13:46 :
教徒「おお、我らが絶対神よ、よくぞ参られた!」
巨人「」ズシンズシン…
教徒「さぁ、愚かな人間どもに制裁を!そして、我々巨人教徒に、自由と幸福を!!」
巨人「」ズシンズシン…
エレン「あのおっさん、あんなところで何してやがる!!喰われちまうぞ!!」
バリー「行くな馬鹿野郎!!お前も食われちまうぞ!」
エレン「だけどよっ!!」
バリー「…もう、あいつはダメだ」
-
- 159 : 2013/12/04(水) 21:18:53 :
-
巨人「アァ?」
教徒「…絶対神よ、どうなされた?」
巨人「」ヌッ!
教徒「!?」ガシッ!!
教徒「な!?何をなさるのですかっ!?お離し下さい!!」ジタバタ
巨人「アー」カパッ
教徒「そ…そんな馬鹿なっ!!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
バクンッ!!
巨人「」モグモグ…
アルミン「…食べられた…」
バリー「あれが事実だ。巨人教の連中が、神だのなんだのと崇めようと、巨人には何も伝わらん。
頭がイカれたクソ教団の末路があれよ」
-
- 160 : 2013/12/04(水) 21:23:32 :
エレン「この…」
ミカサ「…エレン?」
エレン「この、クソ野郎があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」ダッ!
アルミン「エレン、どこへ!?」
バリー「待て、馬鹿野郎!!」ガシッ!
エレン「離せっ!!俺はあの巨人を駆逐してやるんだ!!俺は巨人を絶対に許さねぇっ!!!」バタバタ
バリー「丸腰の訓練兵ごときがに何ができるってんだ!!黙って俺に任せとけ!!」
エレン「何言ってんだあんた!!そんなガトリングが巨人に効くわけねぇだろ!?」
-
- 161 : 2013/12/04(水) 21:30:14 :
バリー「そうだなぁ。だから、これを用意してある」バッ
アルミン「…立体機動装置!?」
ミカサ「これをどこから?」
バリー「まぁ、いろいろとな」
アルミン「…ずいぶんと血が付着していますね。尋常じゃないくらい。しかもこの形、僕には見覚えがあります」
バリー「だったらどうした?」
エレン「アルミン、見覚えがあるってどういうことだ?」
アルミン「誰かと一緒に整備する機会があれば、自然とその人が使っている装置の型を覚えるモノさ。
そして、その型の装置の持ち主に、心当たりがある」
バリー「…」
-
- 162 : 2013/12/04(水) 21:35:58 :
アルミン「バリーさん、ライナーはどこですか?一緒じゃないんですか?」
エレン「!?」
ミカサ「…」
バリー「さっきそこで会った」
アルミン「その装置はどうして?ライナーに借りたとでも?」
バリー「ああ、そんなところだな」
アルミン「そうですか。では、その付着しているおびただしい量の血液、それはどう説明するつもりですか?」
バリー「転んだ時に、ちょっとな。もういいだろう。早くしねぇと、被害が拡大しちまうぞ」
-
- 163 : 2013/12/04(水) 21:41:03 :
アルミン「もう少しだけ。あなたが所持している銃弾、僕らが最初に出会った時より減っていますね。どうしてですか?」
バリー「使ったらなくなるに決まってるだろ」
ミカサ「…まさか!?」
アルミン「もう一度聞きます。ライナーはどこですか?」
バリー「…しつけぇな。答えりゃいいんだろ?」
エレン「…おい」
バリー「今頃、さっき喰われた教祖と会ってるかもな。向こう側でよ!」ニヤァ
エレン「てめぇええええええええええええっ!!!!!」ダッ!!
バリー「イキがるんじゃねぇぞガキがっ!!!」バキッ!!
エレン「ぐあっ!!」ドサッ!
アルミン「エレンっ!」
ミカサ「お前…!!」ギロッ!
-
- 164 : 2013/12/04(水) 21:47:04 :
バリー「あいつらが悪いんだよ。巨人教の女を殺せるところだったのに、邪魔しやがって。
安心しろ。寂しくねぇように、相方のノッポ野郎も一緒に送ってやったよ」
アルミン「ベルトルトまで…」
エレン「クズ野郎がっ!!!お前がっ!!お前が二人をっ!!!!」
ミカサ「…エレン、後ろっ!!」
エレン「!?」
巨人「」ヌッ…
アルミン「エレンっ、危ないっ!!」
巨人「アァァァ…」ブオンッ
エレン(掴まれるっ!!)
-
- 165 : 2013/12/04(水) 21:51:20 :
ズバッ!!
巨人「アァァァァ…」シュゥゥゥ…
バリー「他人を案じるより、まずは自分の身を案じるのが先だ。それすらできねぇヒヨっ子に、仲間の仇を取るなんてのは到底無理だぜ?」
エレン「バリー、てめぇ…!」
ミカサ「エレン、落ち着いて。この男は許せないけど、丸腰の状態でこの場に留まるのは危ない。
ここはいったん退くべき!!」
アルミン「ミカサの言う通りだ!今の僕らでは、ここにいても何もできない!!」
エレン「…クソッ!!」
バリー「賢明な判断だぜ。戦場で生き残れるのは、力のあるやつと賢い奴だ。
お前も、せいぜいその二人を見習って、長生きできるように尽くすんだな」
エレン「…後で覚えてろよ、クズ野郎!!」
-
- 166 : 2013/12/04(水) 21:56:46 :
巨人「アァァァァ…」
バリー「おっと、なんだかんだで俺の初陣ってことになるのか?
4年前の時は戦闘にすらならなかったが、今回は違うぜ?」
バリー「巨人教と兵団を滅ぼしたら、次はお前らの番だ。覚悟しとけと、仲間に伝えとくんだな!」
教徒「おぉ、素晴らしい。ついに巨人様が、そのご神体を我々に現した…」
アリア「…これが、巨人様?」
バリー「!?」
アリア「…これが、我々の絶対神。これにすがれば、私達は救われる…?」
バリー「てめぇか、クソ女!!どっから湧いて出た!?」
アリア「あなたもいたの…。やはりあなたは、アルバスではないの…?」
バリー「違ぇって言ってんだろうが!!お前もさっさとここから離れやがれ!!
お前をぶっ殺すのは俺だ!!巨人ごときに喰われやがったら、タダじゃおかねぇぞ!!」
-
- 167 : 2013/12/04(水) 21:59:25 :
アリア「…」
巨人「アァァァァ…」
教徒「おぉ…」
アリア「…違う。私達が追い求めたのは、こんな奴じゃないっ!!」
教徒「何を言うかアリア!巨人様に対して無礼だぞっ!!」
バリー「…アリア?」
バリー「…っ!」ズキッ!
-
- 168 : 2013/12/04(水) 22:04:48 :
巨人「アァァァァ…」
教徒「巨人様…。さぁ、その神々しいお姿を、もっと近くで…」
巨人「」ヌッ
教徒「」ガシッ!
エレン「また人がっ!!」
教徒「えっ?いったい何を…?」
アリア「ひっ!!」
アルミン「そっちの、えっと…、アリアさんっ!早く逃げてっ!!」
アリア「あ…あぁ…」ガタガタ
ミカサ「ダメだ、恐怖で我を忘れている!!」
-
- 169 : 2013/12/04(水) 22:11:29 :
巨人「」アーン
教徒「そんなっ!!やめて!!やめてくださいっ!!いやあぁぁぁぁぁぁっ!!!」
バクンッ
巨人「」ゲップ
アリア「…これが、巨人…!」ガタガタ
エレン「おいバリー、何してんだ!!早くその人を逃がせよ!!」
バリー「…はっ!!」
バリー「俺に命令するとはいい度胸だな、クソガキ!!言われなくてもやってやるよ!!」
アリア「…アルバスっ!」
バリー「だから俺はアルバスじゃねぇって何度も言ってん…」
バリー「…っ!」ズキッ!
バリー(何なんだよ、さっきからよぉ…!)
-
- 170 : 2013/12/04(水) 22:17:07 :
エレン「おい、なんでまた止まるんだっ!!動けよ馬鹿野郎!!」
巨人「」ヌッ…
アリア「あ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
………アルバス………
バリー「!!」
バリー「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」ダッ!!
巨人「」ブオンッ!
バリー「ふっ!!」ドゴッ!!
アリア「あっ!!」ドサッ!
巨人「」ガシッ!
バリー「!?」
アルミン「マズい、バリーさんが掴まれた!!」
-
- 171 : 2013/12/04(水) 22:23:01 :
巨人「?」メキメキ
ボキンッ!
バリー「がぁっ!!」
巨人「」ポイッ
バリー「ぐあっ!!!」ドサッ!!
アルミン「バリーさんっ!」
アリア「なに、これ…?」
エレン「…おい、どうなってるんだ?あいつの右腕はっ!?」
ミカサ「巨人に握りつぶされて腕が千切れてしまっている。しかし、あの腕は…!」
-
- 172 : 2013/12/04(水) 22:32:19 :
バリー「…ったく、相変わらず俺は巨人に嫌われてるみてぇだな。もうちょい丁寧に扱えっつーの」
バリー「…これ以上遊んでる時間もなさそうだ。さっさとケリを…」スカッ…
バリー「…あれ?」
アリア「…あんた、右腕がっ!!」
バリー「…なんだよ、これ!?」
アルミン(問題は、右腕がないことじゃない。彼の、腕が付いていた場所から…)
右腕「」バチバチ…
バリー「」バチバチ…
アリア「…何コレ、機械…!?」
-
- 173 : 2013/12/04(水) 22:38:20 :
バリー「…なんてこった、俺の右腕は機械の腕だったってのか…!?」
ハンジ「右腕だけじゃないよ」
バリー「!?」
パシュゥゥゥ…
リヴァイ「…ふんっ!」バッ!
ズバァァァァッ!!
巨人「アァァァァ…」バタンッ!
巨人「」シュゥゥゥゥゥ…
エレン「リヴァイ兵士長!!」
ミカサ「すごい、あの速度で巨人を…!」
-
- 174 : 2013/12/04(水) 22:48:23 :
バリー「ハンジてめぇ、俺の腕のことを知ってやがったのか!?ってか、腕だけじゃねぇってどういうことだ!?」
ハンジ「リヴァイ、こうなった以上、もう隠し通せないよ」
リヴァイ「そのようだな。ここが潮時か」
バリー「お前ら、いったい何を言って…?」
ハンジ「話は4年前、君が憲兵団に処刑された日にさかのぼる。あの時君は、奇跡的な生還を果たしたよね?」
バリー「あ、あぁ、そうだな…」
ハンジ「…悪いけど、あれは嘘なんだ。君はあの時、確かに死んだんだよ」
エレン「は!?」
アル&ミカ「…!?」
バリー「…言ってる意味が分からねぇな。だったら、ここにいる俺は一体何なんだよ?」
ハンジ「…それは、君の体が答えを知っている。その、機械の体がね」
バリー「…おいおい、いよいよ理解が追い付かなくなってきやがった。ちゃんと説明してもらえるか?」
ハンジ「…」
-
- 176 : 2013/12/05(木) 18:42:53 :
-
~846年・調査兵団本部~
ナイル「…と、言うわけで、こいつの死刑を執行した。死亡の確認を頼む」
バリー「」
リヴァイ「…おい、なんなんだこれは?」
ハンジ「…ひどすぎでしょ…」
ナイル「政府からのお達しだ、巨人教に関わったと思われるものが素直にこちらの要求に従わない場合、こうなる」
リヴァイ「」ガッ!
ナイル「貴様、何をっ!!」
ハンジ「ちょっと、リヴァイ!」
-
- 177 : 2013/12/05(木) 19:41:06 :
リヴァイ「…政府だか何だか知らねぇが、何の権限があって人一人殺せるんだ?
こいつが巨人教の一員として、直接何かを企てた証拠でもあるのか?」
ナイル「貴様、離せっ!」
リヴァイ「危険因子だからという理由で殺されたのなら、俺も黙っているわけにはいかねぇな。
ナイル、例えば俺がお前をこの場で殺したとしても、報復としての正当性は認められる。違うか?」
ナイル「…貴様、正気かっ!?」
ハンジ「ちょっと、やめてってば!!」
エルヴィン「そこまでだ、リヴァイ」
リヴァイ「…エルヴィン」
-
- 178 : 2013/12/05(木) 19:45:24 :
エルヴィン「ナイルを離せ。命令だ」
リヴァイ「…」パッ
ナイル「…っはぁ!」ザッ
エルヴィン「すまなかったな、ナイル。バリーを連れてきてくれたのか。ご苦労だった」
ナイル「…とんでもない狂犬を連れてきたものだな、エルヴィン。ちゃんと鎖につないでおけ。私は帰るぞ」スタスタ
エルヴィン「…」
バタン…
リヴァイ「…エルヴィン、お前、あんなクソ野郎の肩を持つつもりか?」
エルヴィン「」スタスタ…
ハンジ「エルヴィン?どうしたの、そっちは壁だよ?」
エルヴィン「」スッ…
エルヴィン「」ドゴォッ!!!!!
リヴァ&ハン「!?」
-
- 179 : 2013/12/05(木) 19:49:42 :
エルヴィン「」ドゴッ!!ドゴッ!!
ハンジ「ちょっと!何で壁殴ってるのさ!!やめなって!!」ガッ!
エルヴィン「…っ!」
リヴァイ「…珍しいな、お前がここまで感情を表に出すとは」
エルヴィン「…はぁ、はぁ、すまない。冷静じゃなかった」
ハンジ「うわっ!手が真っ赤じゃないか!!大丈夫なの!?」
エルヴィン「…バリーを守り切れなかったのは、私の責任だ。そう考えると、悔しさとやり切れなさがこみ上げてきてな」
ハンジ「エルヴィン…」
リヴァイ「…まったく、お前は幸せ者だな、バリー。エルヴィンからここまで想ってもらえてるんだからな」
エルヴィン「リヴァイ、ズルいぞ。バリーのことはお前が一番よく想っているくせに。
勝手に私の名前を持ち出すんじゃない」フフッ
リヴァイ「…」
-
- 180 : 2013/12/05(木) 19:55:12 :
ハンジ「…あのさ」
リヴァイ「なんだ?」
ハンジ「…リヴァイ、バリーがもし、もう一度目を覚ます可能性があるとしたら、すがってみる気はある?」
リヴァイ「…何を言ってやがる?」
エルヴィン「もう一度目を覚ます?死者の蘇生なんて言うのは、夢のまた夢の話だろう」
ハンジ「死者の蘇生…。厳密にいえばそれとはまた違うんだけど、まぁ蘇生っちゃ、蘇生かな」
リヴァイ「…できるのか?そんなことが」
ハンジ「内地の工場都市に、昔いたんだ。機械工学の権威が。その人がかつて研究していたものの中に、
人間の脳と機械人形を接続して、生前の人間の記憶を持った機械人形を生み出す、というものがあったらしいんだ」
エル&リヴァ「!?」
ハンジ「だけど、そんなものはイカれた発想だという事で、内地を追われて今はウォール・ローゼのどこかで
ひっそりと研究を続けているという噂さ」
-
- 181 : 2013/12/05(木) 20:00:15 :
リヴァイ「おいおい、もしそれが本当なら…」
エルヴィン「とてつもない大発明という事になるな…」
ハンジ「本当ならね。だけど、そんなもの成功したという話は全く聞かないし、
そもそもそれの研究が本当に行われているのかすら怪しい」
ハンジ「けど、確認もしないで『無理』と決めつけるのもどうかと思うからね。
ダメもとで、探ってみる価値はあるんじゃないかな?」
リヴァイ「…可能性はほぼゼロに近いが、それが本当なら、壁外調査で死んだ連中にも適用できるかもしれないな」
エルヴィン「あまり発想の飛躍はよくないぞ。そんなことが簡単にできるのなら、
この世界における人の生死の理を根本から否定することになる。天界のお偉いさんが黙っていないぞ」
リヴァイ「そんな連中がいたとしても、クソ喰らえだ。この世における神なんざ、
連中がアホみたいに崇める巨人くらいなものだろう?」
エルヴィン「…まったくだな」
-
- 182 : 2013/12/05(木) 20:03:51 :
ハンジ「早速、私のほうでリサーチしてみるよ。でも、あまり過度な期待は抱かないでね?」
エルヴィン「分かっている。よろしく頼んだ」
ハンジ「はいよ♪」
バリー「」
リヴァイ「…」
リヴァイ(…本当に、お前ともう一度…)
-
- 183 : 2013/12/05(木) 20:09:23 :
~二週間後~
ハンジ「みんなっ!!お待たせっ!!」
リヴァイ「騒々しいな。見つけたのか?」
ハンジ「うんっ!!本当にいたんだよ、その人がっ!!連れてきちゃった!!」
エルヴィン「何っ!?ここにか!?」
ハンジ「うんっ!!紹介するよ、機械人形研究の第一人者、ハルキモさん!」
ハルキモ「…どうも」
エルヴィン「ハルキモ…?もしや、かつて内地の工場都市にて、工場長として現行の立体機動装置への改良や、
訓練所の装置を開発したゼノフォン・ハルキモの…?」
ハルキモ「…子孫にあたりますな。もっとも、頭脳はゼノフォンよりも上である自信がありますが」
-
- 184 : 2013/12/05(木) 20:15:47 :
リヴァイ「これは、とんでもない大物だったな。俺達の要望は聞いているか?」
ハルキモ「ええ。死者の脳を機械人形に移植し、蘇らせたいという事でしたよね?
まったく、どこで噂を聞きつけたのか知りませんが、物好きな方々だ」
エルヴィン「単刀直入に聞きましょう。それは、可能なのですか?」
ハルキモ「可能、ではありますな。しかし、あくまで技術的には、ですが…」
エルヴィン「…何かほかの問題でも?」
ハルキモ「機械人形と言えど、そう簡単に作り出せるものではありません。人間の脳と接続して、生前と同じように行動させる。
そんなことが容易にできるわけがない。量産なんて以ての外ですな」
リヴァイ「やはり、か…」
ハルキモ「一体生み出すのでさえ、馬鹿にならない費用が発生します。
ましてや、死者の蘇生という人知の理を超越した大禁忌、誰が好んで手を貸すでしょう」
ハルキモ「理論はある。しかし、実証するための材料がない。そのせいで私は内地で異端者扱いされ、
現在に至るというわけです」
-
- 185 : 2013/12/05(木) 20:19:57 :
エルヴィン「なるほど。思ったより単純な理由で助かりました」
ハルキモ「…と、言いますと?」
エルヴィン「お金さえあれば、実証できた。そうおっしゃるのでしょう?」
ハルキモ「…あなたはなかなか分かってらっしゃる。その通り、実証できるだけの理論はあるのです!」
ハンジ「ここまで言うのだから、期待できるでしょ、リヴァイ?」
リヴァイ「…あぁ、そのようだな」
ハンジ「まったく、クールに振る舞っちゃって。心の中では飛び上がるほどうれしいくせに」
-
- 186 : 2013/12/05(木) 20:24:19 :
エルヴィン「費用の方はこちらで何とかしましょう。あなたには、早速作業に取り掛かってほしい」
ハルキモ「分かりました。ですが、私が手を貸せるのは、今回限りということになります」
リヴァイ「何故だ?」
ハルキモ「実は、ちょっと病を患っておりましてな。残りはもう長くないのです」
エルヴィン「何と…!」
ハルキモ「ですが、最後の最後で未練を果たすことができそうでよかった。
この研究が正しかったという証明、ただそれだが欲しかった。あなた方には感謝します」
ハンジ「ハルキモさん…」
ハルキモ「それでは、遺体のほうに案内してもらえますかな?」
ハンジ「はい。極力腐食は抑えるように努力していましたが、死後2週間以上経っていても大丈夫ですか?」
ハルキモ「余程のことがない限りは大丈夫ですな。まずは、見てみてからですが」
バタン…
-
- 187 : 2013/12/05(木) 20:34:42 :
リヴァイ「…」
エルヴィン「とんでもない話になって来たな、リヴァイ」
リヴァイ「そのようだ。量産できねぇってのが残念だが、それでも十分だろう」
エルヴィン「…もっと早く、出会っていればな。人類の歴史をひっくり返す大発明なだけに、勿体ない」
リヴァイ「…」
-
- 188 : 2013/12/05(木) 20:41:44 :
~3か月後~
ハルキモ「…みなさん、バリー氏の脳移植、及び機械人形との接続作業が終了しました」
ハンジ「…それで、バリーは!?」
ハルキモ「どうでしょうな。目を覚まさない事には何とも…」
ハンジ「そうですか…」
リヴァイ「…奴が目を覚ました時、本当に元に戻っているのか?」
ハルキモ「少なくとも、生前に所持していた記憶は間違いなく。ただ、何せ人体と機械を繋いでおりますからな。
記憶をダウンロードする際、少々ラグが発生するかもしれません」
リヴァイ「…まぁ、そのくらいは。些細なことだ」
-
- 189 : 2013/12/05(木) 20:46:38 :
エルヴィン「待ってください。彼が人間時の記憶を有しているという事は、当然、食事や睡眠などの日常行動の記憶もありますよね?
でもそれらは、機械人形としても変わらずに行えるものなのですか?」
ハルキモ「いえ、機械である以上、それらの行動は必要ありません。ですが、人間としての記憶を持っている以上、
それらを行えないことが知れれば、当然疑問を抱くでしょう」
ハルキモ「なので、記憶のダウンロード装置に、少々仕掛けをさせていただきました」
ハンジ「仕掛け?」
ハルキモ「はい。彼が記憶を引き出す際、脳内に保存されている情報であれば、装置が自動的に検索し引き出します。
ですが、脳内に保存されていない情報、例えば、今朝の食事の情報など」
ハルキモ「そう言ったものに関しては、装置のほうで記憶を、言い方は悪いですが、ねつ造するのです。
つまり、過去に行った行動として、脳に記憶を植え付けるのです」
リヴァイ「話について行けねぇが、要するに、装置のほうで記憶を作り出すから問題ないって言う解釈でいいのか?」
ハルキモ「簡単に言えばそうですね。所詮、脳の記憶というのは情報でしかありません。
ねつ造された情報だとしても、自分では疑いようがありませんからね」
ハンジ「なかったことを、あったことにする。そう考えると、人の記憶ってのは単純で、
相当脆弱な情報の塊ってことなんだね」
-
- 191 : 2013/12/05(木) 20:51:58 :
-
エルヴィン「彼をだまし続けることになるようで、少々気が引けるな…」
リヴァイ「周りが黙っていれば、あいつも自分が機械だとは気付かねぇ。そういうことだな?」
ハルキモ「そういうことになりますな。こんな非現実的な事実は、暴露しないほうが彼のためにもなりましょう」
リヴァイ「…」
エルヴィン「…」
ハルキモ「私の仕事はここまでです。それでは、この辺で失礼させていただきましょう」
ハンジ「目覚めるまで立ち会ってはくれないんですか?」
ハルキモ「そうしたいのはやまやまですが、もう身体のほうが持たないのです。
最後は、人目に付かないところでひっそりと逝きたいのです。許してください」
ハンジ「そうですか…」
-
- 192 : 2013/12/05(木) 20:56:13 :
ハルキモ「この研究の資料については、この後破棄させていただきます」
エルヴィン「破棄!?なぜです!?」
ハルキモ「もし仮にこんなものが政府に知れてしまえば、間違いなくやつらは技術を流用し、
ヘタすれば戦争の道具と化してしまうかもしれません。そんなことは、あってはならない」
ハルキモ「それに、本来なら人間を復活させるなどという行為自体、馬鹿げている。
今回、それを実証してみて初めて、それが分かりましたよ」
エルヴィン「そうですか…」
ハルキモ「それでは。彼の元へ行ってあげてください。目を覚ましたのに一人ぼっちでは、かわいそうですからね…」
ハンジ「…じゃあ、行こうか。バリーのところへ」
リヴァイ「…あぁ」
エルヴィン「そうするとしよう」
ハンジ「ハルキモさん、今回は本当にありがとうございました。お元気で、って言うのはおかしいですけど…」
ハルキモ「…ふっ。いずれ会えましょう。向こう側で、ですけどね」
ハンジ「…」
-
- 193 : 2013/12/05(木) 20:58:09 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バリー「」パチッ
ハンジ「あっ!!バリー、目が覚めた!?」
バリー「…ここは?」
リヴァイ(…本当に目を覚ました。俺は今、夢でも見てるんだろうな、きっと)
-
- 194 : 2013/12/05(木) 21:05:16 :
~現在・トロスト区~
ハンジ「…と、言うわけなんだ」
バリー「…は?」
リヴァイ「すぐに理解できないのも無理はない。だが、お前はこの世界で唯一、人間の脳と機械の体を持つ
新人類というのは、紛れもない事実だ。」
アルミン「…駄目だ、僕でも理解が追い付かない。いったい、どんな技術を用いればそんなことができるんだ!?」
エレン「アルミンに分からねぇなら、俺に分かる訳ねぇな…」
ミカサ「巨人が興味を示さなかったのも、人間の体じゃないから…?」
バリー「つまり俺はあの日から4年間、ずっと機械に踊らされてたってことなのか…?」
ハンジ「体は機械だけど、脳は紛れもなく君の物さ。4年以上前の記憶、それは間違いなく、
君が歩んできた人生の記憶そのものだよ」
バリー「…つーことは、あの忌々しいガキの頃の記憶も本物ってことか」
-
- 195 : 2013/12/05(木) 21:08:53 :
バリー「だがよ…」
リヴァイ「…」
バリー「俺は確かに、今朝も飯を食ったし、毎日そこらで寝てる!それも、全部機械が勝手に作り出した記憶だっていうのかよ!?」
ハンジ「…そういうことになるね」
エレン「バリー、言ってたよな、朝飯にうまい肉を食ったって。あれも…」
バリー「…嘘っぱちかよ…」
エレン「会話の中にいちいち変な間があったのも、ラグ?とかってやつのせいだったんだな…」
バリー「巨人が俺に見向きもしねぇのも、大事なことをすっかり忘れちまう癖も、結局そういう事かよ…。
合点がいったぜ…」
リヴァイ「…」
-
- 196 : 2013/12/05(木) 21:13:10 :
バリー「…作られた記憶を信用して、今まで馬鹿みたいに生かされてきてたってことか!
リヴァイ、なんで黙ってた!?場合によっちゃ、ここでお前を血祭りにあげなきゃならねぇぞ!!」
リヴァイ「…お前の気持ちは分かる。俺へ恨みを持つのも、正当性がある」
バリー「…よし、歯ぁ食いしばれ」
ハンジ「やめなよバリー!口止めするように仕向けたのはリヴァイじゃないんだ!!
それに、君がショックを受けないように、あえて今まで黙っていたんだよ!!」
バリー「…っ!」
アリア「…つまりは、あんたのためだったんだよ。分かってやっておくれ」
バリー「うるせぇっ!こっちの話に介入してくんな!!お前に何が分かんだよ!!」
ハンジ「あなたは…?」
アリア「アリア・マンセル。巨人教徒だ」
リヴァイ「…この光景を見ても、まだ巨人教を名乗るか?」
アリア「…いや、もう終わりだ。所詮はただの幻想でしかなかった。巨人なんて…」
リヴァイ「それだけ分かれば十分だ。二度と巨人教に関わるな」
-
- 197 : 2013/12/05(木) 21:18:43 :
アリア「…まったく、今考えてみれば、馬鹿な話だ。巨人教のせいで人生を狂わされたのに、
その巨人教に身を置くことになるなんて。死んだ息子が知っていたら、なんと言うか…」
ハンジ「…マンセル、という事は、アルバスの母親だね?」
アリア「そうだ。確か、アルバスの死を私の元に告げに来たのは、あんただったな」
ハンジ「覚えていてもらえて光栄だなぁ。そう、調査兵団のアルバス・マンセルは死んだ」
ハンジ「…4年前にね」
バリー「アルバス…?」
バリー「」ズキッ!
バリー(…またこれかよっ!誰だよ、アルバスってよ!!)
-
- 200 : 2013/12/05(木) 21:30:16 :
-
ハンジ「アリアさん、息子さんの顔は覚えてるよね?」
アリア「当然!忘れるわけがないっ!ちょうど、ここにいるこの男に瓜二つで…」
バリー「!?」
アルミン「…まさか!?」
エレン「どうした、アルミン!?」
ミカサ「私も、分かったかもしれない。アルバスの正体…」
ハンジ「バリー、思い出してごらん。無理せず、ゆっくり。君の、本当の名を…」
バリー「本当の名、だと…!?」
バリー(本当の名…?俺はバリーじゃないってのか!?俺は…!)
バリー「…」
バリー「…!!!!!」
ハンジ「思い出したかい?」
バリー「…相変わらず、ふざけた脳だな、俺のは。こんな大事なことも忘れちまうのか」
リヴァイ「…」
バリー「バリーってのは、俺が地下街で生活するようになってから名乗っていた名だ。俺の本当の名は…」
バリー「…アルバス・マンセル!!忌々しき、マンセルの性を継ぐ者だ!!」
-
- 202 : 2013/12/05(木) 21:35:10 :
-
アリア「…アルバス!!やっぱり…」
エレン「あいつが、例のアルバスだったのか!?」
アルミン「追っ手の目をかわすには、偽名を使うのは基本中の基本。彼はバリーの名で地下に住み、
アルバスを探す者達の目をすり抜けていたんだ」
リヴァイ「俺がバリーの本名を知ったのは、奴が憲兵団に処刑された後だった。
地下街にいたころ、俺にも本名を明かさなかったところを見ると、俺も信用されてなかったらしいな」
バリー「すまねぇな、そういうつもりじゃなかったんだ。万が一、俺が見つかっちまったときに、
お前が下手に何かを知ってると一緒に迷惑を被っちまうんじゃねぇかと思ってよ」
ハンジ「バリーなりの思いやりってやつだよ。なんだかんだで、お互いにいい友達じゃないか」
リヴァイ「…ふん」
バリー「…へへっ」
-
- 203 : 2013/12/05(木) 21:40:24 :
アリア「アルバス…」
バリー「おぉ、すまねぇな、お袋。その…、死んじまってよ…」
アリア「アルバスっ!!」ダキッ!
バリー「おわっ!ちょっ、やめろ、こんなとこで!!みんな見てんだろがっ!!」
アリア「アルバス!アルバスっ!!」ギュゥゥゥ!!
バリー「…ったく」
リヴァイ「」ジー…
ハンジ「」ニヤニヤ
エレン「」シーン…
アルミン「」ニコニコ
ミカサ(私も、エレンとアレを…!)
バリー「お前らっ!見世物じゃねぇんだぞ!!どっか行きやがれ!!」
ハンジ「まぁいいじゃない、減るもんじゃないし」
-
- 205 : 2013/12/05(木) 21:45:20 :
-
バリー「ったく、お袋もお袋だぜ。あれだけ俺らを苦しめた巨人教に、なんで入っちまうんだよ!」
アリア「ごめんなさい、アルバス!あなたが死んで、私はどうかしていた!
許してもらえなくても構わない!!でも、どうかもう、私のそばを離れないでっ!!」
バリー「…お袋」
ライナー「ほら見ろ、俺達がこの人を守って正解だったろ?」
エレン「ライナーっ!!ベルトルトもっ!!」
ベルトルト「最初からこうなるって分かってれば、あんな苦労しなくて済んだのにな…」
バリー「お前ら、なんでここにいる!?俺が確かに殺したはず!?」
ライナー「知らないな。大方、お前の脳が適当な記憶を作り出したんじゃないのか?」
ライナー(…こういう感じでごまかせばいいんだよな?)
ベルトルト(知らないよ…)
バリー「…そうか。またこのアタマが…」
ライナー(うまくいったようだ)
ベルトルト(…)
-
- 207 : 2013/12/05(木) 21:54:47 :
-
エレン「ったく、脅かすなよ。てっきりお前らが殺されたとばかり思ってたぜ」
アルミン「じゃあなんで、バリーさんはライナーの立体機動装置を持ってたの?」
ライナー「あ、あぁ、ちょっと邪魔だから外しておいたら、いつの間にか盗られてた」
ライナー(と、いう事にしておこう)
ベルトルト(バリーの記憶があいまいなのをいいことに好き勝手なことを…)
アルミン「じゃあ、あの血痕は?」
ライナー「え?結婚?」
ベルトルト「どうせクリスタの秘蔵写真でも見ながら、鼻血垂らしてたんでしょ?」
ライナー「はっ!?」
アルミン「うわぁ…」ドンビキ…
ライナー(…ベルトルトお前ぇぇぇぇぇっ!!!!)
ベルトルト「♪」
-
- 209 : 2013/12/05(木) 22:03:41 :
-
リヴァイ「さて、無駄話はここまでだ。依然として前門は開いたまま、このまま放っておけば
巨人は次々に侵入してくるだろう」
ハンジ「きっと動力室に巨人教の残党が忍び込んでるはずだ。君たち訓練兵は、動力室に向かってくれ。
私とリヴァイで、前門から侵入しようとする巨人を食い止めるから」
エレン「分かりました!」
ミカサ「本来なら私も巨人を仕留める役に回らなければならないけど、今回ばかりは仕方がない…」
ライナー「俺とベルトルトも動力室に向かおう。敵が何人潜んでいるか分からん、人では多いほうがいいだろう」
ベルトルト「うん…」
-
- 211 : 2013/12/05(木) 22:13:47 :
-
バリー「俺も行かせてもらうぜ!」
エレン「バリー、お前はやめとけ。どうせ、巨人教の連中を殺したいとか、そんな理由だろ?」
バリー「いやっ、まぁそれもあるけどよ…。そうじゃなくて、お袋がここにいるんだ、
これ以上危険にさらすわけにはいかねぇ。お前らガキ共だけじゃ不安だからな、俺様が万全サポートってワケだ」
エレン「そうかよ…」
ライナー「こいつも来るのか…」ハァ
リヴァイ「決まったらさっさと行動しろ。巨人は待ってはくれねぇぞ!」
一同「おうっ!!」
-
- 214 : 2013/12/06(金) 19:03:50 :
-
~前門・動力室~
教徒「馬鹿な連中だな。まさか他の駐屯兵にも教徒が紛れているとは思いもしなかっただろう」
教徒「ここからじゃ巨人様のご神体を拝めねぇが、それは任務が終わった後のお楽しみだ」
バリー「ほう、そいつはよかったな。楽しそうで何よりだ」
教徒「!?」
バリー「残念ながら、いくらお前らが巨人を崇めようと、向こうはお前らのことを餌としか思っちゃいない。
何なら、確かめるか?」ガシッ!
教徒「がっ!!」メキメキ…
エレン「やめろバリー!死んじまうぞ!!」
バリー「殺さねぇよ。ほら、これで捕まえやすくなったろ」
教徒「ブクブクブク…」チーン…
アルミン「相変わらずあなたは…」
-
- 215 : 2013/12/06(金) 19:12:49 :
ライナー「おい!教徒は一人だけか!?それなら、さっさと前門を閉めよう!」
ベルトルト「このハンドルを回して、歯車を動かして門を閉めるみたいだ。人手が要る、協力してくれ」
エレン「分かった。おいバリー、行くぞ!」
バリー「いちいち命令すんじゃねぇよ、ガキが!」
バリー(まったく、気に障る奴だぜ。まぁ、そこが気に入ってるんだけどな…)グラッ…
バリー「!?」ボキンッ!!
ミカサ「…バリー?」
ベルトルト「…足が、折れたっ!?」
-
- 216 : 2013/12/06(金) 19:20:21 :
バリー(やべっ!さっき巨人に捕まれた時、足のほうにもキてたのかっ!?)
アルミン「危ないっ!落ちるっ!!」
歯車「」ガラガラ…
エレン「マズいっ!あの回ってる歯車に落ちたら、タダじゃ済まないぞ!!
ライナー、ベルトルト、ハンドルを回す手を止めろ!!」
バリー「」ヒュゥゥゥ…
ライナー「ダメだ!止めても間に合わんっ!!」
バリー(なんてこったい。俺の人生の転機には、いっつもこんなんだな…)
エレン「バリぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!」
グシャッ!!ボキボキボキッ!!!
-
- 218 : 2013/12/06(金) 19:25:16 :
-
~壁外~
グシャッ!!ボキボキボキッ!!!
リヴァ&ハン「!?」
ハンジ「何!?今、ものすごい音がしたよ!!」
リヴァイ「動力室で何かあったのか!?前門が閉まりかけていたのが、止まりやがった」
ハンジ「心配だね。リヴァイ、とりあえず今は巨人の姿は見えないから、ちょっと見てきて!」
リヴァイ「壁外にお前一人残して行けってのか?」
ハンジ「危なくなったら退避するよ。それよりも、扉が閉まらないことのほうが心配でしょ!?」
リヴァイ「…分かった。気を付けろよ」
ハンジ「はいよ」
リヴァイ「」タッタッタッ
-
- 219 : 2013/12/06(金) 19:32:43 :
~動力室~
リヴァイ「おい、何があった!?」
エレン「リヴァイ兵士長!バリーがっ…!!」
リヴァイ「バリーがどうした…」
リヴァイ「…これは、どういうことだ?」
バリー「…すまねぇな、リヴァイ。ドジって、落ちちまった。歯車に巻き込まれて、体がメチャメチャだぜ…」
ライナー「引っ張り出そうにも、全然抜けないんです!」
ベルトルト「強引にハンドルを回すこともできそうですが、そうするとバリーの体がバラバラに!」
バリー「だから言ってるだろうが!俺は機械だから、痛くもかゆくもねぇんだよ!!黙って無理やりにでも回せっつーんだよ!!」
ミカサ「でも、あなたの体を作れる人はもういない!
これ以上壊れてしまったら、あなたにはもう、まともな体がなくなってしまう!」
アルミン「せっかくお母さんに会えたのに、そんなのあんまりでしょう!?兵士長、どうにかなりませんか!?」
-
- 220 : 2013/12/06(金) 19:39:22 :
リヴァイ「お前ら…」
バリー「おいリヴァイ、こいつら駄目だ!甘ちゃん集団で話にならん!!お前からも言ってやってくれ!!」
リヴァイ「お前は、どうしたい?自分の体がなくなっても構わないか?」
ベルトルト「兵士長っ!!」
ライナー「何を言ってるんですかっ!?」
バリー「…そいつは愚問だぜ、リヴァイ。俺の体と壁内人類の命、どっちが重いかなんて、いちいち答えねぇと駄目か?」
リヴァイ「…そういうことだ。お前ら、ハンドルを回せ」
エレン「そんなっ!」
アルミン「本気ですか!?」
リヴァイ「いい加減にしろ、ガキ共!!てめぇらの下らん感情論に付き合ってるヒマはねぇんだ!!
さっさと前門を閉めろ!!命令だっ!!!!!」
一同「」ビクッ!!
-
- 221 : 2013/12/06(金) 19:44:45 :
リヴァイ「やらねぇのなら、俺がやる。どけ、腰抜け共」スタスタ
バリー「頼むぜ、リヴァイ。やっぱりお前だけが頼りだな。分かったか、ガキ共。
何を優先すべきか、そんなのも分からねぇようじゃ、兵士なんて勤まらねぇぜ」
一同「…っ!」
バリー「思えば、ナイルの野郎が俺を処刑したのも、そういう事だったのかもな。
俺が巨人教の一員として動き出す可能性、リスク。それと住民の命を天秤にかけた」
バリー「結果的に俺を処刑した。至極当然な結果と言える。納得だぜ」
リヴァイ「そろそろ黙れ。ハラ括る用意はいいか?」
バリー「そんなもん、とっくにできてるよ。どうせ痛くもかゆくもねぇんだ、括る必用なんかねぇさ」
-
- 222 : 2013/12/06(金) 19:51:44 :
リヴァイ「なら、行くぞ…」ガッ
エレン「」ガッ
リヴァイ「お前…」
エレン「すみませんでした、もう俺は迷いません。やりましょう、兵士長!」
ミカサ「」ガッ
アルミン「」ガッ
ライナー「」ガッ
ベルトルト「」ガッ
リヴァイ「…やるなら、最初からそうしていろ。馬鹿共が」
バリー「…見直したぜ、ガキ共…」
バリー「いや、兵士諸君…」
-
- 223 : 2013/12/06(金) 19:56:56 :
リヴァイ「行くぞ…」
一同「はいっ!!」
リヴァイ「…ふんっ!!」グググッ!
一同「…ふんっ!!」グググッ!!
歯車「」ゴ…ゴゴゴ…
バリー「きたぜ…!」メキメキ
一同「う……うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」ゴゴゴゴゴッ!!
歯車「」ゴゴゴゴゴゴッ!!
バリー(…ありがとよ)
バキバキバキバキバキッ!!!!!!!!!!
-
- 224 : 2013/12/06(金) 20:07:56 :
~トロスト区~
住民「おぉ、前門が閉まっていくぞ…」
住民「助かった…」
住民「しかし、巨人教なんてとんでもない奴らがいたもんだな!」
アリア「…」
アリア(アルバス、やったのね…)
アニ「…」[壁]₋・)チラッ
アニ(あの女、アリアって言ったね。あいつの前に出ていくのはマズいね。私が死んだと思ってるだろうから。
さすがに、ライナー達みたいなごまかし方はできないし…)
-
- 225 : 2013/12/06(金) 20:13:24 :
住民「」コソコソ…
アニ(何だい、あいつは?不審な動きだね。アリアのほうに近付いて、何する気だい…?)
住民「」⊃刃物
アニ(あれはっ!あいつ、アリアを殺す気かっ!?)
アニ(あの女を守る義理はないけど、だからって目の前で殺させるわけにもいかないね!
仕方ないけど、ここはっ…)ダッ!
アリア「…なんだ?」
住民「…死ねっ、巨人教がっ!!!」ヒュッ!
アリア「ひっ!!」
-
- 226 : 2013/12/06(金) 20:18:46 :
アニ「…ふんっ!」ドゴッ!
住民「うわっ!」ドサッ!
アリア「…あんたはっ!?」
アニ「この女に手を出すなら容赦しないよ。こいつは憲兵団に突き出して、然るべき処置を施してもらうんだから。
文句があるならかかってきな」
住民「やっ、兵士っ…!失礼しましたっ!!」ダッ!
アニ「まったく…」
アリア「あんたは、私が殺したはずじゃ…!?」
アニ「…」
アニ(こうなるから出てきたくなかったのに…)ハァ…
-
- 227 : 2013/12/06(金) 20:25:35 :
アリア「あんた、一体…」
パァンッ!
アニ「!?」
アリア「」バタッ…!
アニ「銃撃!?どこから…!?」
住民「やったぞ、巨人教の奴をぶっ殺したぜ!!」
憲兵「そこまでだ!貴様、何をやっている!?」
住民「やべっ!」ダッ!
憲兵「待てっ!!」
駐屯兵「おい、あっちで人が撃たれてるぞ!」
-
- 228 : 2013/12/06(金) 20:33:17 :
アリア「」
アニ「…っ!」
駐屯兵「君、怪我は!?」
アニ「…大丈夫です」
駐屯兵「…そうか」
アニ「…その人は?」
駐屯兵「…残念ながら」
アリア「」
アニ(なんてことだい!私が目の前にいながら、みすみすこいつを…!)
アニ(…ごめんなさい)
-
- 229 : 2013/12/06(金) 20:41:12 :
~3日後・訓練兵団施設~
キース「貴様ら、よくぞ無事に戻ってきた。トロスト区では、いろいろとあったようだな」
エレン「ええ、まぁ…」
ミカサ「なんとか…」
アルミン「はい…」
キース「ブラウン達は勝手な行動をしていたようだが、事件解決にも尽力したようであるから、今回は大目に見ることにする」
キース「…だが!」
3人「!!」
キース「揃いも揃って簡単に捕まるとは、いったい何をしておるのだ!?それでも貴様ら、兵士の端くれか!?」
キース「まったく、貴様らの親は、知らない者についていくなと教えなかったのか!!」
ミカサ(あぁ、またこれだ…)
アルミン(最初に捕まった時も、こんなこと言われたなぁ…)
エレン(父さん、母さん、なんかゴメン…)
キース(グリシャよ、貴様の教育は一体どうなっておるのだ!?)
-
- 230 : 2013/12/06(金) 20:49:55 :
~さらに4日後・調査兵団本部~
リヴァイ「…着いたか」
バリーの墓「」
リヴァイ「不思議なもんだな。この土の下に肉体があるのに、それとは別に、精神は地上で活動してるんだからな」
リヴァイ「…なぁ、バリーよ」
バリー「まったくだぜ。自分の墓を自分の目で拝むことになるとは思っても見なかった。ある意味、貴重な体験だな」
リヴァイ「チッ!生首は生首らしくおとなしくしてろ。気持ち悪ぃ」
バリー「生首って言うなよ!仕方ねぇだろ、身体は全部ぶっ壊れちまったんだからよ!」
-
- 231 : 2013/12/06(金) 20:58:30 :
リヴァイ「しかし、お前が目を覚ますとは思ってなかった。相変わらず、無駄にしぶとい奴だな」
バリー「本当だな。できれば、歯車に挟まれたのもねつ造された記憶であってほしかったんだが、現実は甘くねぇな」
リヴァイ「まったくだ」
バリー「…」
リヴァイ「…」
バリー「なぁ…」
リヴァイ「なんだ?」
バリー「俺のお袋は…」
リヴァイ「…」
バリー「本当に死んだのか?」
リヴァイ「知ってたのか」
バリー「ハンジが教えてくれた」
リヴァイ「あのクソ眼鏡…」
バリー「巨人教を恨む住民に銃撃されたんだとよ。まぁ、妥当だな」
リヴァイ「本気で言ってるのか?」
バリー「そうでなきゃ、俺が殺ってた」
リヴァイ「冗談はその姿だけにしとけ」
バリー「相変わらず冷てぇな、お前」
リヴァイ「本当のことだ」
-
- 232 : 2013/12/06(金) 21:02:26 :
バリー「お袋もこの下に?」
リヴァイ「その方が本望だろう。母親も、お前も」
バリー「まぁな」
リヴァイ「なら、いい」
バリー「…」
リヴァイ「…」
-
- 233 : 2013/12/06(金) 21:16:20 :
バリー「…なぁ」
リヴァイ「なんだ?」
バリー「少し、不安になるんだよ。お袋と過ごした記憶、お前と一緒にいたころの記憶。
これが本当に俺の記憶なのか。また、装置のほうでねつ造した記憶なんじゃねぇかってな」
リヴァイ「…」
バリー「俺の記憶ってのは、単純な情報を脳に与えて、俺自身に信じ込ませちまってるだけだろ?
本当だって言われても、疑いようがねぇ。リヴァイ、どうなんだ?」
リヴァイ「母親のことについては、俺は知らん。だが、俺とお前のことについては、すべて事実だ。
信じるかどうかは、お前の勝手だがな」
バリー「…へへっ、ありがとよ。信じるぜ、リヴァイ」
リヴァイ「…ふんっ」
バリー「…」
リヴァイ「…」
-
- 234 : 2013/12/06(金) 21:28:54 :
バリー「…なぁ」
リヴァイ「さっきからしつこいぞ」
バリー「頼みがあるんだ」
リヴァイ「断る」
バリー「俺が死んだら…」
リヴァイ「聞かん」
バリー「俺の体と、お袋と、一緒の墓に…」
リヴァイ「言うな」
バリー「お前の手で…」
リヴァイ「やめろと言っているだろうがっ!!!!!」
-
- 235 : 2013/12/06(金) 21:42:49 :
バリー「…」
リヴァイ「…すまん、取り乱した」
バリー「気持ちは分かるけどよ。もう、この体も持たねぇみてぇなんだよ」
リヴァイ「だからどうした」
バリー「自分でも分かんだよ。最期の刻くらいよ…」
リヴァイ「…」
バリー「本当なら、とっくに死んでる筈の奴なんだ、俺は。こんな姿になってまで、生き延びてちゃいけねぇんだよ」
バリー「それに、なんだか最近、やけに眠てぇんだ。機械だから、眠いってのはおかしな話だけどな。
これがきっと、俺にとっての『死』ってやつなんだよ」
バリー「きっともうすぐ、俺は完全に止まっちまうんだろう。
そうなったらよ、俺もこの墓に入れてほしいんだ。お前の手で、な」
バリー「どうせ入ってるのは、俺とお袋だろ?嫌がるような奴はいねぇ、問題ねぇだろ。
親友の最後の望みってことでよ、頼まれてくれねぇか、リヴァイ?」
リヴァイ「…」
-
- 236 : 2013/12/06(金) 22:13:08 :
バリー「なんか喋れよ。俺だけ一方的に喋って、寂しいじゃねぇか」
リヴァイ「機械のくせに、寂しいなんて感情があるんだな」
バリー「そりゃ、あるさ。脳ミソは人間だからな。それに、正直、メチャクチャ悲しいぜ?
だけど、いくら頑張っても、涙なんて一滴も出やしねぇ。それがまた悲しい」
バリー「俺の代わりに泣いてくれたっていいのに、相変わらずお前はポーカーフェイス気取りやがって。
最期に何か、かける言葉はねぇのか?」
リヴァイ「…もう、無理するな」
バリー「…」
リヴァイ「…限界なんだろう?俺なんかのために、無理しなくていい」
バリー「…ばれてたか。そうさ、もう…今にも…止まっちま…いそうだ……」
リヴァイ「お前がこれ以上苦しむ姿は見たくない。さっさと寝ろ」
バリー「お前らしいな…。そう言ってくれると…ありがたい…ぜ…」
バリー「それじゃ…逝くわ……」
リヴァイ「達者でな。俺はまだ、そっちには行けん。だが、いずれまた会いに行く」
バリー「…待ってるぜ…」
バリー「…じゃあな、友よ…」
バリー「」
リヴァイ「…逝ったか…」
-
- 238 : 2013/12/06(金) 22:25:42 :
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
バリーの墓「」
リヴァイ(まったく、二度も俺を置いて行きやがって。向こうで会ったら、覚えていろ…)
リヴァイ「…」
リヴァイ(騒々しい奴だったが、いなくなると寂しいもんだな。部下を失った時とは、また違う感覚だ…)
リヴァイ「…」
リヴァイ(そういえば、ハンジの奴が言ってたな。人間でも巨人でもない、第3の存在。
何かふさわしい名前はないだろうか、と…)
リヴァイ(結局、あいつが勝手に命名して呼んでたな。お前のことを…)
リヴァイ「第3の男《デァ・ドリッテ》と…」
-
- 239 : 2013/12/06(金) 22:52:57 :
リヴァイ「…」
リヴァイ「」ツー…
リヴァイ(…いかんな。どうやら、汗というのは、目からも流れるらしい。知らなかった)
リヴァイ「…止まんねぇな、汗の野郎。クソッ!」
リヴァイ「」ゴシゴシ
リヴァイ「…」
リヴァイ「そういえば、あいつに対して俺は、一度も言ったことがなかったな…」
リヴァイ「これが最初で最後だ。聞き逃すなよ…」
リヴァイ「…じゃあな、友よ」
スタスタ…
リヴァイ「第3の男」・完
-
- 240 : 2013/12/06(金) 22:54:17 :
- 本エピソードはこれで終了です。
相変わらずごちゃごちゃした設定ばっか盛り込んでしまって、混乱させてしまってたとしたら申し訳ないです(>_<)
感想等はこちらまで。最後までご支援ありがとうございました<m(__)m>
-
- 241 : 2013/12/07(土) 12:05:05 :
- あれ?僕も目から汗が... (´;ω;`)
-
- 243 : 2013/12/07(土) 16:19:41 :
- >>242
はい、気をつけます(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)
-
- 245 : 2013/12/08(日) 00:28:25 :
- いい話だぁ~(´;ω;`)
-
- 246 : 2013/12/08(日) 10:39:33 :
- ウグッッ‼ば、バリーィィィー(T_T)
-
- 248 : 2013/12/17(火) 11:42:09 :
- http://www.barysan.net/img/topimg.gif
バリーさあああん
ごめん。ふざけたけどめっちゃ感動した
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- 250 : 2013/12/17(火) 22:39:57 :
- >>249
だってバリィさん・・・
ご当地キャラが生首になって死んでしまうんだよ・・・ご当地人気ガタ落ちだよ・・・
というか、面白すぎです。いままでssノートでそこそこ面白い人はいっぱいいたけど、ここまでうまいのは初めてで感動しました。
-
- 252 : 2020/10/06(火) 10:10:45 :
- 高身長イケメン偏差値70代の生まれた時からnote民とは格が違って、黒帯で力も強くて身体能力も高いが、noteに個人情報を公開して引退まで追い込まれたラーメンマンの冒険
http://www.ssnote.net/archives/80410
恋中騒動 提督 みかぱん 絶賛恋仲 神威団
http://www.ssnote.net/archives/86931
害悪ユーザーカグラ
http://www.ssnote.net/archives/78041
害悪ユーザースルメ わたあめ
http://www.ssnote.net/archives/78042
害悪ユーザーエルドカエサル (カエサル)
http://www.ssnote.net/archives/80906
害悪ユーザー提督、にゃる、墓場
http://www.ssnote.net/archives/81672
害悪ユーザー墓場、提督の別アカ
http://www.ssnote.net/archives/81774
害悪ユーザー筋力
http://www.ssnote.net/archives/84057
害悪ユーザースルメ、カグラ、提督謝罪
http://www.ssnote.net/archives/85091
害悪ユーザー空山
http://www.ssnote.net/archives/81038
【キャロル様教団】
http://www.ssnote.net/archives/86972
何故、登録ユーザーは自演をするのだろうか??
コソコソ隠れて見てるのも知ってるぞ?
http://www.ssnote.net/archives/86986
http://www.ssnote.net/categories/%E9%80%B2%E6%92%83%E3%81%AE%E5%B7%A8%E4%BA%BA/populars?p=18
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