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このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。

この作品はオリジナルキャラクターを含みます。

夏の日差しと彼女の笑顔

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  1. 1 : : 2015/08/07(金) 12:17:26
    どうもお久しぶりです

    今回は超高校級のSS作家シリーズです

    ヒロインは罪木 蜜柑ちゃんです

    ということは?作家さんのモデルはわかるかもしれません


    『注意』

    ・この作品は数部に渡る構成を考えています

    ・原作のネタバレ、筆者の妄想が多大に含まれており原作との相違があります

    ・説明不足な箇所があると思います。それはその後の部で明らかになるでしょう。そのような書き方を不快に感じる方は是非他の筆者様の作品を読んでください


    それでは、夏の思い出を呼び起こしましょう
  2. 2 : : 2015/08/07(金) 12:18:00
    幼い頃、夏が大好きだった

    照りつける太陽、熱気を含んだ風、曇りない青空

    そして

    『こっちだよー』

    汗ばんだ黒髪を揺らし俺に手を振る少女

    太陽よりも輝くアイツの笑顔が
  3. 3 : : 2015/08/07(金) 12:18:15
    ==============================================

    桜舞う4月

    卒業すれば人生の成功が約束されるという希望ヶ峰学園の校門の前で俺は1人佇んでいた

    高校1年の終業式に希望ヶ峰学園への転入を知らされた

    この学園に通う生徒たちは『超高校級』と呼ばれる、部門で他の追随を許さない才能を持っている人間たち

    不安と言う文字が心の中で踊り、心臓の音も周囲に聞こえそうなくらいだ

    「ふぅー・・・。」

    大きく深呼吸をして心を落ち着ける

    実を言うと不安だけが心を支配していたわけでは無い

    幼い頃の数日間だけ祖母の家で遊んだ時に一緒に遊んだくれた

    「蜜柑」

    俺の想い人と会える

    高揚する気持ちを心に持ち

    大きな一歩で校門を跨いだ
  4. 4 : : 2015/08/07(金) 12:18:36
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    転入生ということもあり

    誰もいない廊下で先生から教室に招かれるのを待っている

    先ほどチラリと見たところだと蜜柑の姿は見えなかった

    校門の前での不安は今はほとんど消え蜜柑に会えるということだけが頭の中を支配していた

    俺の事は覚えているだろうか

    夏休みのお盆限定で小学生の時遊んだことを

    俺は初恋の人だったからだろうか今、目を閉じても目の前は太陽が輝き向日葵が見上げるあの日のことが思い浮かぶ

    「話長いな…」

    教室の中を少し覗き込むと教壇で教師がにこやかに話していた

    まるで俺の事など存在しないかのように

    その時、俺に向けられる視線を感じた

    それは一番後ろの席窓側に座っている白髪の男子生徒だった

    敵意ではないだろう、でも何故だか背中に一筋の汗がこぼれ落ちた


    その男子生徒が口を開き教師と何事か話す

    そして、彼の視線がもう一度俺に向き、今度は教室にいる全員の視線が俺に向いた


    そこからの俺は

    教師の軽い謝罪を受け、教室に入った

    いや、入ろうとしたんだ 本当だ

    脳では入ろうとしている だが、体が動かない

    呼吸が苦しくなる

    教室の視線が俺に向き、何故が床が起き上がってくる

    そして、壁となった床が目の前へ来たときに俺の意識は無くなった
  5. 5 : : 2015/08/07(金) 12:19:00
    ==================================================

    「・・・・。」

    目を開けると自宅の天井では無かった

    身体を動かさず目だけで周囲の状況を把握する

    周りはカーテンで囲われている

    「保健室?もしくは病院か?」

    そう考えているときに左側のカーテンが開いた

    「だっ・・・大丈夫・・・ですかぁ?」

    透き通った声、とても懐かしい声に反射的に起き上がり声のした方向へ向く

    「あ、」

    彼女だった、彼女は急に起き上がった俺を見て短い悲鳴をあげる

    やっと会えた、こんな形で出会うとは少し情けない気もしたがそんなことより嬉しかった

    また彼女の笑顔が見れるはず

    「すみませぇーん・・・驚かせてしまいましたよね・・・どうか、私をどれだけ殴ってもいいので許してください」

    目じりに浮かぶ涙と本気で謝る彼女の姿がそこにあり

    少し冷静になってみるとあの長く風になびいていた髪はまるではさみの切れ味でも調べた髪のようにざっくばらんになっていて

    腕や足に包帯が巻かれている

    「あ・・・あのぉ・・・お身体は平気ですか?」

    まだ、目じりに涙を浮かべた彼女が俺に問いかける

    言わないと、あれだけ考えていた彼女との会話

    「ひさ

    「あ、初めまして罪木 蜜柑です・・・自己紹介遅れてすみません」

    思考が止まった

    俺はずっと覚えていたが彼女の記憶からは俺はいなかったようだ

    こみ上げる涙をこらえる 鼻の頭がつーんとする

    相当ショックだがここで蜜柑を困らせるわけにはいかないし後で思い出してくれればいい

    「はじめまして、よろしくね」

    震えそうになる声を抑えながら俺は彼女に対して2度目の自己紹介をした
  6. 6 : : 2015/08/07(金) 12:21:19
    ================================================

    入学して1か月、ようやくクラスの雰囲気にも慣れ

    クラスメイトとも会話を楽しめるようになった。

    あの日保健室のベッドの上で今までの人生の中で最大の衝撃と最大の絶望を味わった

    初恋の蜜柑は姿、表情まで変わってしまい、俺の事も忘れていた

    それなのに俺は彼女のことを嫌いになれず、好きなままでいた

    「おにぃ!」

    何故なのかはわからない、あれから消しゴムを拾ってもらった時の数回の言葉のキャッチボール以外会話できていなかった

    「うーらーーーっ!」

    腰に衝撃が走ると同時に体がエビ反りになる

    その衝撃を殺そうと数歩前に進んだ後、後ろを振り返る

    「おにぃのくせにわたしのこと無視するなんて生意気!」

    そう俺に指をさす黄色いツインテールの女子学生

    「ごめん、ちっと考え事してた」

    素直に謝罪をし、彼女が俺を呼んだ理由を待った

    「まぁ、用なんて無いんだけどねー」

    ニヒヒと口を押えて笑う

    用もないのに考え事を中断させられ暴力まで振るわれたんだ

    少し文句でもいってやろう
  7. 7 : : 2015/08/07(金) 12:21:53
    「あのなぁ・・・

    「ねぇおにぃ」

    俺の文句を中断し西園寺が話し出す

    「過去に闇ってある?」

    過去に闇?どういうことだ?

    俺の過去?初恋が闇とでも言うのか?闇なはずなんてない

    「無いよ」

    考えた挙句俺は答えた

    「だろうね、おにぃは無いと思ったよ」

    また、ニヒヒと笑ったが先ほどよりは悲しそうな表情だった

    「このクラスの中でおにぃ以外は全員持ってるんだよ」

    何をもっていると聞いたところで何と返ってくるかわかってはいたが

    「何を?」

    と聞いた、真面目で深刻な雰囲気に耐えられなかった

    きっと軽口で答えてくれるだろう

    「闇だよ」
  8. 8 : : 2015/08/07(金) 12:22:18
    真っすぐな目で俺を見つめて答える

    まるで俺の茶化しを叱るような目で

    「わたしは男どものは知らないし女子のだってほとんど知らないよ」

    返答に困る俺を一瞥して続ける

    「でも、わたしはゲロブタの事はわかる」

    そう、先ほどの真面目で深刻な雰囲気の他にもう一つ持った感情は

    嫌悪感

    同族嫌悪では無く、西園寺は彼女を使いっぱしりにしたり罵声を浴びせる

    気になる子にそんなことをする同棲に対して好意は持てるはずも無く

    俺は彼女を苦手にしていた

    「おにぃがわたしに対して思ってることはわかるよ」

    全てを見透かしたように西園寺は口を開く

    「まぁ、どうでもいいけど少しだけ聞いてよ」

    それから西園寺は彼女の俺の知らない 空白の時間に何があったかを話した

    あまりにも壮絶で、悲惨な彼女の過去に俺は相槌を打つことができず黙って聞くことしかできなかった

    「わたしが知ってるのはそれくらいかな」

    西園寺は話し終わったとばかりに放課後の教室から出ようとする
  9. 9 : : 2015/08/07(金) 12:22:34
    「おい」

    俺の呼びかけで彼女が立ち止まる

    どうして俺にそんな話をしたんだ

    お前はどんな過去でどんな闇を抱えているんだ

    俺が彼女を好きなことを何故わかるんだ?

    全てを聞きたかった

    「どうし

    「助けてほしいと思ったから」

    西園寺は俺の発言を遮りドアを開く

    そして廊下に出ると顔だけでこちらを一瞥し

    「わたしの親友をね」

    それだけ言い残し去った

    過去の闇

    彼女が変わってしまったのは過去にそんなことがあったから

    他のクラスメイトも持っている

    彼女の闇を俺は払拭することができるだろうか

    夕日が射す教室で俺は独り佇んでいた
  10. 10 : : 2015/08/07(金) 12:22:51
    ==================================================

    授業中俺は前日の事を考えていた

    1か月間見てきた日常の中に俺は過去の闇というのをクラスメイトから感じることはできなかった

    本当にあるのだろうかこいつらに闇など

    ボーっと考えていると1人の生徒と目が合った

    その女生徒は口を開き声を出さずに話しかけてきた

    『なにかあった?』

    俺は静かに首を振り相手の問いに答えた

    カメラを首から下げた彼女は少し怒った顔をして黒板を指差し

    『じゅ ぎょ う』

    と言って拳を握りしめた

    慌てて首を縦に振りシャーペンを握り黒板を見た

    この一か月を振り返ると超高校級の写真家である彼女は写真をたくさん撮っていた

    もしかすると写真に何か手がかりがあるかもしれない

    俺は授業が終わった後彼女に話しかけようと思った
  11. 11 : : 2015/08/07(金) 12:23:27
    ==================================================

    チャイムが鳴り昼休みになる

    彼女に話しかけようと思い立ち上がろうとしたとき

    「ねぇ、アンタ」

    少し怒りをはらんだ声で呼び止められる

    それは、俺は話しかけようとした小泉 真昼だった

    「授業は真面目に受けなさいよ」

    優等生で学級委員を務めている彼女は真面目で少しのことも目に留めることで男子からは少し恐れられていた

    「うん、悪かった 少し考え事をしてたんだ」

    素直に謝罪と理由を話した

    「考え事があるなら、放課後にいっぱい時間あるでしょ!」

    彼女は細かい表情も気づく

    左右田はそれで毎回のように怒られていた

    真剣な顔をしつつも彼女の違和感を探っていた

    「だいたいねー 授業中に黒板も見ずに」

    時が止まった

    わかった、小泉 真昼の違和感
  12. 12 : : 2015/08/07(金) 12:24:11

    彼女は真面目な生徒であり、学級委員を務めている

    そんな彼女が何故 遠くの斜め後ろにいる俺がぼーっとしていたことが分かったんだ?

    彼女が真面目なことも優秀なことも間違ってはいない

    彼女は観察をしているんだ

    他の生徒を、全員を一歩引いて見ている

    輪に混ざらず1人でいるわけでは無く女子グループの中にいる

    「成程ね」

    そう呟いてしまった。今怒られている最中だというのに

    はっと顔を見ると般若のような顔になっていた

    「あんたねー」

    相手は怒りで冷静を失っている

    何故俺を怒るかわかる、彼女はクラスメイトの中で孤立している生徒を許さないから

    だから彼女は個性が強いメンバーの中で上手く立ち回りその中でみんなの仲を繋いでいる

    そんな彼女に俺は一番孤立しやすい生徒だからこうして気にかけている

    ただ理由を知りたい、その為には2人で話をしたい

    「黙ってちゃわかんないでしょ!ちゃんと聞いてるの?」

    よし

    「ごめん、聞いてなかった」

    閻魔大王のような顔になる

    「いや、小泉の使ってるカメラって最近買い換えた?」

    「え?」

    相手が俺の問いを問い返した

    今は畳み掛ける

    「いや、いつも使ってる割には綺麗だからさ 買い替えたのかなーって思って前のがあったら安く譲ってもらおうと思って」

    「何?写真に興味があるの?」

    よし、彼女の顔がいつもの顔になる

    「おー!カメラくらいならオレがつく・・・」

    ヘラヘラしながら左右田が後ろから声をかけて来るがそれを目で牽制する

    「そうなんだ、部活入ってないし趣味程度で始めてみようかなぁて思ったんだ」

    大丈夫、彼女は写真家として褒められるのが弱い

    「残念だけど、これは高校生になったとき買った奴だよ ちゃんと手入れしてるからね」

    顔が綻ぶ

    「そうかー、今度カタログか何かあったら教えてくれない?」

    これで彼女との約束ができるはず

    「いや、カタログは持ってないなぁ」

    うわー、マジかよ

    「でも、中学生の時に使ってたやつはあるから取りにきなよ」

    「え?」

    「ちょっと型が古いけどちゃんと撮れるよ」

    これは少しすんなりすぎないか?

    「わかった、んじゃ放課後に」
  13. 13 : : 2015/08/07(金) 12:24:28
    そう、わかったことがある

    いや、確認だな

    確かに西園寺の言うとおり

    クラスメイトには”過去に闇”が存在する
  14. 14 : : 2015/08/07(金) 12:24:43
    ==================================================

    全員の過去を知ることに2ヶ月の時間を費やした

    解決するために動いたわけでは無い

    知ろうとするだけでそれだけの時間を使ってしまったのだ

    それに、初恋の彼女の顔を思い出す

    そう、解決方法がわからないものや俺では解決に至らないものがあった

    「ふぅ・・・」

    今は7月梅雨も明け蒸し暑い季節になってきた

    ちょっと待てって?

    わかってるよ、全員の闇を知りたいのだろう

    それでも今は話すべきでは無いんだ

    『俺には時間が無いのだから』
  15. 15 : : 2015/08/07(金) 12:24:56
    =================================================

    9月に修学旅行がある

    夏休み後の初日というぶっとんでいるスケジュールなのだ

    だから7月の半ばである今日 修学旅行についてクラスで話し合いが決められた

    修学旅行と言っても俺を含めて15人

    例のごとく学級委員の彼女は男子と女子のグループに分けた

    誰一人孤立するようなことが無いように

    そして、皆の笑顔を観察者として撮影しようと

    「ジャバウォック島ね・・・」

    9月の修学旅行の行先を呟く

    でも俺はその修学旅行には行けない
  16. 16 : : 2015/08/07(金) 12:25:16
    ==================================================

    「もう少しで夏休みになっちまう」

    今日は7月の14日

    そして今はその夜 学生寮の自分の部屋で焦る気持ちを抑えながらそう呟く

    =================================================
  17. 17 : : 2015/08/07(金) 12:25:44
    ――少し俺の話をしよう

    俺はこの学園に編入生と言う異例の形で入学している

    超高校級のSS作家

    その肩書き、確かに俺はSSを書いていた

    それでも、1つ下の同人作家のように莫大な売り上げを出したわけではない

    表向きの肩書き


    中学生の時俺は希望ヶ峰学園というものを知った

    そして彼女がその推薦を受けたこともWEBページで見た

    どうしても俺は希望ヶ峰学園に入りたかった

    希望ヶ峰学園には予備学科と言うものがありそこに入ろうとも考えた

    両親がいない俺は莫大な授業料、入学金を払うことができず

    金貸しにも頼ろうとしたが中学生の俺には借りられるわけも無く

    奨学金を認められてない 断念せざるを得なかった


    ただ、違和感に気が付いた

    学園祭では莫大な収益金をてに入れることができ

    生徒は希望ヶ峰学園で過ごす間は能力活動で出た利益の50%を学園に納めることになっている

    そして国からの援助金も相当なものだろう

    予備学科からも莫大な金額を貰っている

    どういうことだろうか 学園を運営するにしては多すぎる


    高校1年生の夏に俺は希望ヶ峰学園の学園長にアポイントメントをとった

    普段なら絶対に会えない相手だが

    電話で違和感について話すと応じてくれた

    「すみません、お呼び立てしてしまって」

    目の前のスーツに身を包んだ男性に謝罪をする

    「いいんだ」

    そう向かいの席に座ると男性は名刺を俺に渡して口を開いた

    「電話で言ったこと、君の考えは当たっている 私たちは学園である一大プロジェクトをしている」

    あっさりと、昨日の晩御飯でも話すかのごとくためらいも無く話した

    「はぁ・・・」

    そして鞄の中の書類を手に取る

    「君は高校1年生、希望ヶ峰学園に入学しようとするが両親との死別して金銭的な理由から断念」

    なるほどね とつぶやきもう一度口を開く

    「入学をしようとしてきっかけは」

    俺の目を見つめた

    わかるはずもない 卒業すれば人生の成功が約束されるという学園だ

    俺の初恋何てわかるわけが無い

    「罪木 蜜柑に会いたいがため」
  18. 18 : : 2015/08/07(金) 12:26:14
    頭をハンマーで殴られたような衝撃に目の前が暗くなる

    「まだ、入学できなかったことを後悔しているね」

    人当たりのいいような笑顔俺に向ける

    俺にはまるで

    歯がガチガチと音を立てる

    寒い 夏で節約の為に冷房をつけていない俺の家なのに真冬の大地に裸でいるような寒さ

    なのに体中の毛穴から汗が噴き出す

    俺はとんでもないことをしてしまったのかもしれない

    目の前にいるのは悪魔なんてものじゃない

    もっと得体のしれない何か

    恐怖しか無い何か

    男性は笑顔を崩すことなく俺の返答を待っている

    「は・・・い」

    呼吸も絶え絶えにかすれた声でそう答えた

    「そうかい、ならば」

    もう一度 鞄に手を伸ばす

    急激に喉が渇き唾液を飲み込む音がする

    今度は何が出てくるんだ

    鞄から手が離れる直前に固く目を閉じる

    「どうしたんだい?私は今君に危害を加えようとはしてないよ」

    目を開ける 男性の後ろにある時計は目を閉じて5分を経過していることをさしていた

    「これは?」

    男性がテーブルの上に置いた一枚の紙

    一体なんなのだろう緊張から弱視になり紙の文字を読むことができない

    「転入手続きだよ、希望ヶ峰学園への」

    時が止まる 何と言ったのだろうか

    「もし、入りたいのであればここにサインを」

    そういうと胸ポケットからペンを取り出し俺に渡す

    俺はサインを書こうとノック式のペンを出し

    紙を手元に手繰り寄せる

    ペンが紙に触れようかと言う時 男性が口を開く

    「まぁ、待とう 条件があるんだ」
  19. 19 : : 2015/08/07(金) 12:26:46
    ペンが止まる

    「君は希望ヶ峰学園に転入する代わりにカムクライズルプロジェクトというものを受けてもらう」

    「カムクライズル?」

    カムクライズル・・・それは確か

    「そうだよ、カムクライズルは希望ヶ峰学園の創始者だ。あらゆる才能を備えた万能の天才」

    「その人のことはわかったけど、プロジェクトとは?」

    人間は突拍子もないことを言われると逆に冷静になる

    「脳外科手術によって人工の天才をつくる」

    何を言ってるんだこいつは全く

    「成功確率は極めて低い、そして成功したとしても被験者の人格は失われる」

    産まれてきて最高のギャグだった

    「まさか」

    ハハハと乾いた笑いを出しその場の笑いを誘う

    「嘘だと思ってくれても構わない、その場合転入の話も無くなったということだ」

    真剣な目を俺に向ける

    それはその話が嘘ではないことを告げていた

    「どうして俺にそんな話をするんです?もしこの話を口外したらどうするんです?まさか軟禁でもするつもりですか?」

    男性はふっと少し息を吐く

    「急に質問が多くなったね、それではお答えしよう」

    少し空気が凍りつく

    「もし、口外をしたらどうする?という問いへの答えは どうにもならない、何故ならその資金は日本から出ている。遅かれ早かれこの事は公開される」

    一拍置きまた口を開く

    「軟禁でもするつもりか?という質問はさっきの答えからする必要はない」

    「最後に」

    心拍数があがる、そして汗が噴き出す

    「どうして君にそんな話をするのかというのは」

    数秒の間 それは一瞬であったはずだが数時間のように感じられた

    「君がサインをすると思ったからだ」

    目の前が真っ赤になり立ち上がる

    「何を言っているんですかあんたは!俺がその話を聞いてサインをするとでも?ふざけるなそんなことするわけねーじゃねぇか」

    捲し立てるように続ける

    「高校で会えなかったら卒業後に会えばいいじゃねぇか!お前はそんなこともわからずに来たのかとんでもない馬鹿だなクソッたれ」

    男性は黙って俺の話を聞いていた
  20. 20 : : 2015/08/07(金) 12:27:16
    そして俺の罵倒が終わると男性が口を開く

    「すまないね、もう1つ付け加えなければいけないことがあった」

    「何だよ」

    「最初は予備学科の諸君を使おうとしたというか使った」

    使った?・・・

    「被験者は耐えられなかった、残念ながらね」

    耐えられなかった、つまり死んだということ

    「あらゆる才能を支える器というのはなかなかいない物なんだ」

    そして、また口を開く

    「元々才能が無い物に才能を植え付けるということができなかったということ99人の犠牲はそれを教えてくれた」

    99人の犠牲 才能が無い物にできなかったこと それってつまり

    「そう、希望ヶ峰学園77期生の1人を使うことにした本当はもっと被験者を増やしたいのだが1%を切る成功率では話にならないんだ」

    77期生、俺らの学年 1人 そして 俺の入学意図を知りここに来たということは

    心臓が破裂する程振動する

    先ほどから流れていた汗も引き、口の渇きが激しい

    まさか・・・

    「そっ・・・その1人って・・・」

    「察する通りだよ罪木 蜜柑君だ」

    やはりそうだった

    胃液が逆流する


    それから十数分たった

    「落ち着いてはいられないと思うが聞いてくれ」

    男性は彼女の才能は卒業後に成功が難しいということ

    希望ヶ峰学園では卒業後に成功をおさめられるような人間しか卒業をさせたくはないが自主退学以外の退学は今までにないことであること

    「君はどうするんだい?」

    俺は無言でペンを持った


    サインされた紙をカバンに入れ玄関へ向かう

    「それではよろしくな被験者No.100君」
  21. 21 : : 2015/08/07(金) 12:29:49
    ここまでが一部となります

    時が飛び飛びになっていて読みにくかったかもしれません

    本当に申し訳ありませんが。この一部がこれから繰り広げられる展開に無くてはならない物です

    それでは実家帰省します

    帰省後編集をするかもしれません

    では!素敵な夏を
  22. 22 : : 2015/08/10(月) 18:29:38

    すでに物凄く面白いです…!この先どうなるのか気になって夏を過ごせません!
    (USBメモリ見つかってよかったです…)ボソッ
  23. 23 : : 2015/08/10(月) 19:34:40
    >>22

    この先はすぐ書く(数年後)

    見つかってないよ
    新しく別の話書いてるんだよ!
    見つかったら罪木SSストック3つになるよ(全部恋愛)

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