このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
ダイヤモンドを砕きたい
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- 1 : 2015/07/15(水) 14:38:18 :
- 【警告】ここから先を読まなくてはいけない。
1.『ジョジョの奇妙な冒険part4 ダイヤモンドは砕けない』の原作終了後の夏休みが舞台です。
2.オリジナルキャラクターが登場します。
3.ノベライズ化作品は読んでいないので『The Book』を読んだ方には矛盾等が多々生まれるかもしれません。(読む機会が出来ても個人的にノベライズは公式の二次創作という考えなので反映させるつもりはありません)(別軸ないしn巡目と考えて頂ければ幸いです)
4.原作に敬意を払っています。払った上での二次創作ですが受け取り方によっては気分を害されるかもしれません、そういった場合は誤字脱字の指摘なども含め遠慮なくコメントをお願いいたします。
5.ホラー、オカルト、猟奇的、セクシャル、ミステリー要素が含まれます。
6.遅筆です。
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- 2 : 2015/07/15(水) 15:39:25 :
- 八月になりたてのある日のこと、
ひと月ほどある夏休みも始まりたてで、遠慮なく突き立てるような日差しも溺れるような湿気もこの時ばかりはガクセーを浮足立たせる材料の一つになっていた。
仗助「暑ィ〜〜」
億泰「こんな日はカキ氷でも食いてェな」
康一「昨日も食べたけどね…… あれ?」
呆れたように億泰にちらと視線を向けた康一が何かに気づいたように足を止める、それにつられるように二・三歩だけ先に歩を進めた仗助と億泰も足を止め後ろを振り返る。
仗助「オイ どうした?」
億泰「熱中症か?水飲め水!」
康一「イヤ、そうじゃあなくって」
「アレ」と言葉を続けながらゆっくりと腕を伸ばし指を指した先に、突き当たりに置かれた赤い自販機の足元にオリーヴのような色のセーラー服に身を包んだ少女がグッタリと座り込んでいた。
億泰「やばくねェか」
その言葉を封切りに三人は少女の元まで駆け寄った。
康一「あの 大丈夫ですか?」
仗助「億泰!さっきの水!」
億泰が少女にペットボトルを差し出すと、少女は震える手でそれを受け取り具合の悪さのためか気だるげに三回ほど喉を震わせた、お礼のつもりなのだろう。
呼吸よりも艶めかしく流れる首筋とその中を流れる水。
少女はペットボトルから唇を離しゆっくりと息を吸い直してから顔をあげた。
少女「すみません……ありがとうございます……」
まだ本調子では無いのか声は薄く震えており、三人はいよいよ本格手に心配になってきていた。
少女「だいぶ、楽に なりました」
仗助「イヤァ 楽なようには見えないっスけど……」
少女「……すみません…」
何に対しての謝罪なのか、日本人特有のそれなのか、少女は申し訳なさそうに俯く。
少女「ご迷惑をおかけしました」
康一「そんな!それより本当に大丈夫なんですか?」
億泰「おれんち近いからよ 良かったら休んでけよ」
仗助「それより救急車なんじゃあねぇの?」
少女は弾かれたように立ち上がる。
少女「救急車!?それは困りますッ!!」
仗助「困りますって言われてもよォ〜、死にそうな顔してるぜ?」
モタモタと何度か足踏みのように足を動かし、もう一度頭を深く下げてから少女は三人の間をくぐり、走り抜けた。
「ハァ!!?」
三人の声が重なる。
康一「追いかけ、る……?」
仗助「わざわざそこまでする必要なくねェか?」
億泰「マジに死んでたらどうすんだよ?熱中症はクレイジー・ダイヤモンドじゃどうにもならねぇんだろ?」
仗助は一度深く息を吐き出しうなじに手を当てると大きく一歩を踏み出した。
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- 3 : 2015/07/15(水) 16:06:06 :
- 角をまがり少女を追いかける、が
康一「あれ?」
億泰「脚スッゲー速ェ……って訳じゃあねェよなぁ?」
そこには全く閑散とした住宅街が広がっており、少女の見る影もなかった。
仗助「なんだったんだ……アイツ……」
まるで狐につままれたような心地になり、仗助はもう一度深く息を吐き出した。
康一「スタンド使いだったりして!な〜んて、はは、はは…」
冗談めかすが、その声は意図せず強張った。
仗助「だったら笑えねェぜ」
ぬるい、ぬるい、生ぬるい風が吹いき肌を撫で上げる。
仗助はその風と共に果てし無い嫌な予感を感じながらまっすぐに続く道を睨みつけた。
どうかこの町の誇りと平和が汚されることがないようにと、平穏な夏をひっそり願った。
そして、再びあのオリーヴを見つけることのできるようにと、もう既に確信に近い予感が現実になるように願った。
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- 4 : 2015/07/16(木) 15:31:10 :
- そしてその時は早々に訪れた。
仗助「(夕方だってのにまだ空が青いし気温も下がらねぇのなァ)」
母である朋子にお使いを頼まれた仗助はまだ明るく蒸し暑さの残る道からオーソンへと向かっている途中であった。
仗助「帰ったら夕飯までゲームすっかな」
なんの予定もない日というのは待ち遠しかった予定のその当日よりも心踊るもので、まだまだ十代半ばの仗助もそれは当然例外ではない。
正直、昼間の出来事、少女のことは気がかりではあったものの自らの杞憂であるのではないかという気持ちの方が勝り初めていたほどである。
仗助「あ」
少女「あ」
仗助がオーソンへ入ると同時に出てきたのはあの少女だった。
仗助「ちょっとお話しないッスか?」
少女「遠慮させてください」
少女の頬がひくひくと引き攣る。
出入り口じゃあ邪魔になる、一目もきになる。お使いは一時休止だとばかりに仗助は垂れた綺麗な目を細めた。
自分らしくない
分かっている。
本当になんてことない出来事だったのだ。
吉良吉影のことがあって神経質になっているのかもしれない。
何かに脅迫されたかのように彼女を疑わずにはいられない。
ただの女の子だ
(吉良の野郎もただのサラリーマンのようだった)
なんでこの子にこんなに執着しているのか自分でもわからない
(杜王町での行方不明者の異常値なんて承太郎さんに言われるまで気にしてもみなかった)
ただ 具合が悪くて、救急車なんて大事にしたくないだなんて年頃の女の子として全然不自然じゃあない。
角を曲がったら居なかった、ただ、ただそれだけだ。
グルグルと自問自答と猜疑心が仗助の頭の中を壊すように駆けずり回る。
たらり 汗が流れた。
少女「白い蛇から逃げているの」
仗助「……へっ?」
相手が口を開くなど思ってもみず、仗助思わず頓狂な声を出す。
少女「わたしとオハナシしたいんでしょ?」
無音映画のように奇麗にわらった。
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