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ベルトルト「彼女が僕は後ろにそれで独りなっちゃうんだ」

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  1. 1 : : 2015/07/06(月) 11:16:48

    ライナー「終わった終わった…さーて帰るか」

    ベルトルト「…」

    ライナー「おいベルトルト、突っ立ってどうした。寮に戻ろうぜ」

    ベルトルト「…」

    ライナー「…ははあ、演劇で木の役でも任されたんだな」

    ベルトルト「…」

    ライナー「それで今、練習中と」

    ベルトルト「…」

    ライナー「…」


    ライナー「……ベルトルト、お前…」

  2. 2 : : 2015/07/06(月) 11:18:19

    ライナー「今日の訓練で、友人の盛大なボケにツッコミを入れる優しささえ失っちまったか」

    ライナー「ああ、不憫過ぎて涙が出そうだ」

    ベルトルト「…ユミルは」

    ライナー「ん?ユミル?…そうか、そういや今日は俺とお前とユミルの三人班だったな。高身長が揃いも揃って、奇遇だぜ」

  3. 3 : : 2015/07/06(月) 11:19:15

    ライナー「しかしあいつのことだ。もう先に帰ったんじゃねえか?いつも通り愛しのクリスタと一緒にな」

    ベルトルト「ユミルは言ったんだ、いいって」

    ライナー「あ?」

    ベルトルト「ユミルはいいって言うから、僕は、迷って」

    ライナー「…?」

    ベルトルト「一瞬が一生に感じるぐらい迷って悩んで迷って」

    ライナー「おい、どうした」

    ベルトルト「たら迷ってたら後ろに」

    ライナー「おい」

    ベルトルト「後ろに、後ろから」

    ライナー「おい!」グイ

  4. 4 : : 2015/07/06(月) 11:21:22

    ライナー「俺の声が聞こえるか?それとも、お前の耳は飾りか?」

    ベルトルト「…ああ。大丈夫、大丈夫…」

    ライナー「なんだってんだ、急に独り語り始めて…疲れてるのか?」

    ベルトルト「僕は平気だ、大丈夫…」

    ライナー「まあ、ゆっくり休め。ひとまず今日の訓練は終わったんだからな」

    ベルトルト「くれぐれも君みたいになったりしないよ」

    ライナー「なに?」

    ベルトルト「僕、知ってたんだ。夜…寝る前に君が壁に向かって喋ってるの」

    ライナー「…は?」

    ベルトルト「隣で寝てる僕にしか聞こえないぐらいの声だったけど、毎晩毎晩欠かさずに」

    ライナー「ち、ちょっと待て」

    ベルトルト「喋ってたよね」

  5. 5 : : 2015/07/06(月) 15:00:26

    ライナー「…なにをどう間違えたか知らねえが、俺に見えないお友達と喋る趣味はねえぞ?」

    ベルトルト「いつだったかなあ。たしか、訓練兵団に入って2年経った頃だっけな」

    ライナー「どうやらこいつの耳は飾りらしい」

    ベルトルト「その時から、始まったんだ」

    ライナー「確かに喋っちゃいたが、壁を相手にした覚えはないぜ」

    ベルトルト「その時から、始まったんだ」

    ライナー「あーあーわかった。焦らしはナシだ、さっさとネタばらししてやる」

    ベルトルト「夜な夜な聞こえる君の声が、今も耳にこびりついてるよ」

    ライナー「俺は壁と喋ってたんじゃない」

    ベルトルト「独りで話題を出して、相槌を打って…」

    ライナー「ありゃお前に喋りかけてたんだ」


    ベルトルト「…」

    ベルトルト「はは」

  6. 6 : : 2015/07/06(月) 15:21:32
    期待
  7. 7 : : 2015/07/06(月) 18:22:32
    >>6ありがとうございます!
  8. 8 : : 2015/07/06(月) 18:22:47

    ベルトルト「僕も同等だな」

    ライナー「ん?」

    ベルトルト「こうして独りで喋ってる…。これじゃ君と変わらない」

    ライナー「そうだな」

    ベルトルト「もう、だめだ。今のナシ。ナシナシ」

    ライナー「はあ?」

    ベルトルト「…」

    ライナー「…」

    ライナー「…寮、戻らねえのか?」

  9. 9 : : 2015/07/06(月) 19:42:03

    ベルトルト「…ユミルは言ったんだ。いいって」

    ライナー「ああ?なんだって?」

    ベルトルト「私は、いい、って。だけどそんなのだめだから、僕は躊躇して」

    ライナー「ほー、そうか」

    ベルトルト「迷いは最大の致命傷だよね。来てたんだ、後ろから」

    ライナー「そいつあすげえや」

    ベルトルト「後ろから、後ろからグサッて」

    ライナー「なるほどなるほど」

    ベルトルト「あ、グサッじゃないな。ザシュッかな」

    ライナー「ふーむ、それで?」

    ベルトルト「目の前で彼女が後ろから、私はいいからって。そんなの、そんなの全然よくないのに、それで僕は独りに」

    ライナー「おお、そうだったのか」

    ベルトルト「君はずっと前からいなかった。ううんいなくなってたから、消えてたから僕は」

    ライナー「ぷっ…はは、言うなあお前も」

    ベルトルト「独りになっちゃうんだ」

  10. 10 : : 2015/07/06(月) 19:44:26

    ライナー「ははは…」

  11. 11 : : 2015/07/06(月) 19:45:48

    ライナー「あー笑った笑った…なるほどなあ」

    ベルトルト「ライナー、なにしてるんだ?」ヒョコ

    ライナー「なにって、お前と喋ってんだよ」

    ベルトルト「…またか」

    ライナー「ん?よく聞こえなかったな…悪いがもう一度言ってくれ」

    ベルトルト「…早く寝た方がいい。明日も訓練が待ってる」

    ライナー「はは、お前もな」

    ベルトルト「ああ…おやすみ」

    ライナー「おやすみ…おっと、悪い。掛け布団落とした」ドサッ

    ベルトルト「わっ、2段ベッドの上から落とすなんて…みんなが起きちゃうよ」

    ライナー「すまん、以後気を付ける…ついでに拾ってくれると助かるんだが」

    ベルトルト「はい。おやすみ」ゴソ、ドサ

    ライナー「おう、おやすみ」ゴソゴソ

  12. 12 : : 2015/07/06(月) 19:46:37

    ベルトルト「僕も寝よう…よいしょ、ちょっと詰めて」

    ライナー「ん…」

    ベルトルト「ありがとう」モゾモゾ

    ベルトルト「兵団に入ってから2年経ったね」

    ライナー「…さっき、夢見てよ」

    ベルトルト「…どんな?」

    ライナー「なんだったか……絶対に、正夢になってほしくない…」

    ライナー「そんな夢だ……」

    ベルトルト「…」

    ライナー「…」

    ベルトルト「……おやすみ」


    ベルトルト「君は夢を見てるよ」

    ベルトルト「今も」

  13. 13 : : 2015/07/06(月) 19:50:04
    〜完〜

    前半はライナーの夢か、もしくは独りになったベルトルトの妄想です
  14. 14 : : 2015/07/06(月) 20:18:03
    乙でした
    こういうssいいですね。これからも頑張ってください
  15. 15 : : 2015/07/06(月) 20:42:04
    >>14
    重ね重ねありがとうございます!
    ひとりよがりなモノしか書けませんが、よければまた見てやってください!

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