このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
リヴァイ「納得のいく別れ方」
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- 1 : 2015/06/26(金) 13:42:25 :
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リヴァイ「てめぇに常々訊こうと思っていたことなんだが」
エルヴィン「なんだいリヴァイ」
冷ややかな視線と、その冷ややかさにも似た冷静さを湛えた声が、何万と積まれた封書の壁のそびえる部屋で交差する。
リヴァイ「財政難に陥る度にうちの兵団だけこうして出稼ぎ労働してるのは何故だ」
エルヴィン「まあ、そうだな。簡潔に述べるなら」
甘美に、そして物憂げに、伝票の束をパラパラと広げる。
エルヴィン「人類の勝利のため、だよ」
リヴァイ「誰が哲学的にまとめろっつったクソが」
彼はイライラと25通組で縛られている封書の束をナイフで解いていく。
エルヴィン「事実を述べたまでだ。そして個人的にはお前が哲学的などという言葉を不自由なく発するという現実に驚きを隠せないのだが」
リヴァイ「そんな気持ち悪い表情でびっくりしてやがったのか気持ち悪い」
エルヴィン「昨日は少し長く寝られたからなかなか爽やかに落ち着いていると自分では評価している」
リヴァイ「いや何が落ち着いてるんだ」
エルヴィン「それはそうと」
ふと伝票を捲る手を止め、時計を見る。
エルヴィン「ハンジはちゃんと集荷に行ったのか」
リヴァイ「さあな。鍵を取りに来た様子もねぇが」
エルヴィン「やれやれ…次の便に間に合えばいいとは言え、余裕を持たせなければミスも起こりやすい」
リヴァイ「クソメガネもあれだが、おまけにエレンが帰ってこねぇときてる」
エルヴィン「またか」
リヴァイ「集配に配属したのが間違いだったな」
彼はチッと舌打ちしてナイフを畳んだ。
リヴァイ「…面倒なのはあいつに限った話でもねぇが」
エルヴィン「適材適所って難しい」
リヴァイ「適所が限られてるやつ多すぎるだろどう考えても」
エルヴィン「団長がこんなことで悩むものだとは思ってもみなかった」
リヴァイ「俺も郵便事業で出稼ぎする事態に襲われるなんざ想像してなかったがな」
エルヴィン「だって誰も出資してくれないんだもん」
リヴァイ「信用ねぇからな調査兵団」
エルヴィン「団長ブルー入りましたって伝えておいて」
リヴァイ「人類の勝利って金かかんだな」
そこへ、重い空気の間隙から入り込んで来たのはミカサである。
ミカサ「エルヴィン団長、何か用件でしょうか」
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- 2 : 2015/06/27(土) 11:02:37 :
リヴァイ「エルヴィンならここにいやがる」
エルヴィン「…まあ…そうだな」(見れば分かるけどな)
ミカサ「それは見れば分かる…ので、わざわざ言わないでほしい」
エルヴィン「」
リヴァイ「ほう。で、なんだ」
エルヴィン(ほうって)
ミカサ「それを訊きに来た…というよりあなたには訊いていません」
リヴァイ「奇遇だな…俺もお前に訊いたりする用件はねぇ」
エルヴィン(さっきのなんだは俺宛てだったのか分かりにくい)
ミカサ「私は強い。とても強い。ので、指をくわえて見ていなさい」
エルヴィン(いや省き方)
リヴァイ(雑か)
エルヴィン「…ミカサ、君を呼んだのはだな」
彼女の注意を正しい方向に導こうと、彼は人差し指を立てる。
ミカサ「…はい」
エルヴィン「少し、特別な配達を引き受けてもらいたくてな」
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- 3 : 2015/06/27(土) 13:12:01 :
その頃、アルミンとジャンはトロスト区のとある市街地にて、いわゆる郵便配達を行っているところである。
ジャン「あー…ったく、やっと撒けたぜ。やっぱ俺この仕事嫌いだな」
アルミン「はは…でもまだ始めて2日しか経ってないんだよジャン」
ジャン「別によ、決まったルートで手紙を配って回ることに関して辟易しちゃいねぇよ」
ジャンは空の集配籠をトントンと叩いた。
ジャン「俺はな、自分の仕事がきっちり終わってんのによ、他の配達員どもの遅れをカバーしてやったりなんだりですんなり帰れねぇのがムカつくんだよ」
アルミン「ジャンは要領いいからね」
ジャン「あいつが毎日トチるもんだから、俺たちも毎日残業だぜちくしょう…」
アルミン「エルヴィン団長も資金繰りで頭痛いんだよ。しばらくの辛抱ってことで、ね」
ジャン「ふん…」
そこへ、ジャンの言うあいつが、二人のもとへ慌てて走ってくる。
サシャ「アルミン!ジャァン!」
ジャン「うるせぇパァンみたいに呼んでんじゃねぇ!」
サシャ「ジャンがパァンだったら世の中もっと平和ですよっ!!」
ジャン「なんでてめぇがキレてんだよこの芋女ッ!!」
アルミン(このやり取り毎回面倒すぎるしそろそろスキップ機能つけられないかな)
サシャ「はっ!キレてるで思い出しました!」
ジャン「ああ?何だよ?」
彼女は自身の集配籠をゴソゴソ漁り始めた。
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- 4 : 2015/07/04(土) 12:56:18 :
サシャ「これを見てくださいっ」
アルジャン「…?」
彼らはサシャの手にする一通の封筒に注目する。
アルミン「…還付?」
封筒の端には“宛所不明のためお返しいたします”と書かれた付箋が貼られている。
サシャ「そうです」
ジャン「いや宛先不明だから差出人に返すんだろ団長に習わなかったのかよ」
サシャ「私の郵便配達教育担当はハンジさぁんでしたから」
ジャン「どんな言い訳だよ」
アルミン「あっ…ジャン、これ宛先リヴァイ兵長だよ」
ジャン「はぁ?」
封筒の表にリヴァイ兵長というしっかりとした丁寧な字が並んでいる。
サシャ「はい!それはミステリーその1です!」
ジャン「チッ、誰だよこんな付箋貼ったのは。何てことはねぇだろ、リヴァイ兵長に配達すりゃいいんだよ」
アルミン「…その1って、まだ何かあるの?」
サシャ「いい質問ですねぇ」
アルミン(突然の池上さん)
彼女はくるっと封筒を裏返して見せた。
サシャ「この差出人を見てください」
アルミン「えっ…これって…」
ジャン「おいおい…いたずらにしちゃあたち悪すぎんじゃねぇのか…?」
そこにある“ペトラ・ラル”の文字に彼らは青ざめた。
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