The earth of colorful ーモノクロの世界ー
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- 1 : 2015/06/20(土) 21:09:49 :
- 初めまして。秋刀魚というものです。
注意事項
・オリキャラ
・オリジナルな世界観
・ガバガバな上にありきたりな設定
・雑な日本語
・遅い更新
これらを認められない方はブラウザバック推薦。
重ねますがありきたりな設定です。パクリだなんだ言われたら心折れて消すので気になるレベルなら言ってください。
それでは始めます。
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- 2 : 2015/06/20(土) 21:28:48 :
雲ひとつない空と
カラッとした熱気が
夏の訪れが間近に控えたことを予感させる朝。
「行ってきます!」バタン
高校1年生の色彩描 は、いつも通りの日常を消化しようと家を出た。
今年から付け始めたワックスで固めた髪を気にしながら
スクールバッグをリュックのように背負って、坂道を自転車で下っていく。
beatsのヘッドホンから大音量で流れる「ないものねだり」が
昨日彼女から来たかまってLINEを、スタンプで終わらせたことを思い出させた。
キッ
坂道を下り終えると、黄色い光がちかちかと点滅し、やがてそれは行く手を阻む赤い光に変化して、チャリを止めさせた。
しばらく、目の前を様々な“色”が地球に毒を散布しながら走り去るのを見届けたら
青い光が、再びペダルを漕がせる許可を出した。
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- 3 : 2015/06/20(土) 21:48:30 :
ここの車道は舗装が終わったばかりで色が黒い。
そして、横断歩道の白線と組み合わされば。
白、黒、白、黒……
と繰り返される地面を見て
カチッ
色彩「?」
何かのスイッチが押された。そんな音が確かに聞こえた。
グニャア……
色彩「……っ!」
突然、頭の中を金属で叩かれたような痛みが走った。
とっさに自転車を止めて、痛みに悶える5秒。
────世界が歪んだ。
突然の痛みは、また突然、嘘のように消えた。
そしてまだ自分が横断歩道の真ん中に居るということに気づき、焦ってペダルを踏みながら前を見た。
……途端、色彩は凍ったように動きを止めた。
背筋を悪寒が全力ダッシュしたら、どばっと汗の洪水が
半袖のYシャツを即座に濡らした。
足は震え、体も揺れ始める。
消化しようとした日常は、消化不可能な程に膨れ上がり
圧倒的な非日常として、色彩の前に立ちふさがった。
色彩「…………は?」
震える手でヘッドホンを外すと、そこは無音。
そして、白黒の世界だった。
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- 4 : 2015/06/24(水) 13:56:27 :
色彩「………!?」
立っているのがやっとだった。
笑うことを堪えない膝で必死に立ち尽くした。
ピントのずれにずれた視界では、物事が正常に入らない。
次第に頭の中で順序は逆転して
今自分がこういう状態だから
視界が白黒で
音が何も聞こえないのだと
錯覚し始めようとしていた。
人通りは消え
車の一台も通らない
明らかに、さっきまでとは違いすぎたのだ。
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- 5 : 2015/07/13(月) 07:47:47 :
それでも
色彩の脳は必死に、助けを求める信号を放った。
ポケットの中の現実、スマートフォンを手に取ると
理由もなく安心した。
ほんのわずかに上がった口角にかすかな刺激を受けて
緊張感が和らいでいくのを感じた。
色彩は更なる安らぎを求めようと
スマホの電源ボタンに指を置き、そのまま押した。
彼女と二人で撮った写真が、待ち受けとして表れる
はずだった。
スマホは黒い画面のまま
色彩の表情がみるみる暗くなっていくのを映していた。
いや
何かの間違いだ。少し反応が鈍いだけだ。
そう思い込ませるように、再び、今度は強く押し込む。
色彩「………」
が、
画面は黒く、深く
色彩の思いをただただ拒絶した。
色彩「………」
嘘だろ───
───いや、まだ
希望を捨てるには早い。
相変わらず膝は爆笑しているが、
頭は冷静……とまでは言えないものの、考えることは可能だ。
今いるここが現実なら!
ガチャンッ
色彩はペダルを踏み始めた。
下ってきた坂道を上ろうと。
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- 6 : 2015/07/13(月) 15:45:49 :
坂道の上にあるはずだ。
希望が。日常が。今までが。
自分とそれを取り巻く、関わりのあるモノ全てを肯定する自宅 が
信じて、信じようとして、信じない自分を誤魔化すように必死に
季節がもたらす暑さを、全身に滲ませながら
一心不乱にペダルを踏み続けた。
そして
色彩「……!」
それは確かに存在した。
間違えるわけもない、色彩描の家が見えた。
相変わらず白黒の視界が続く、が。
カタンッ
家の前に自転車を止め、急ぎ足で玄関の扉を明けに行った。
ガチャッ!
扉を開けると、勢いのある風が色彩の肩を切った。
思わず目を閉じるが、すぐさま目を開ける。
するとそこには
母「今日は遅くなるの?遅くなるなら連絡しなさいよ」
食堂でトーストにバターを塗る母
弟「描ー!宿題手伝ってくれよ!まだ終わってねぇんだ!」
寝癖が残った頭を片手でぐしゃぐしゃにしながら、もう片方の手でトーストを口に突っ込む弟
父「…………」
そんな二人をまるで意に介さず、黙々と新聞に目を通す父の姿が。
まるっきり、家を出る前と同じやり取りが交わされた
家族の姿がそこにあった。
色彩「………皆……」
目の前の風景に手を伸ばす。それは色彩が望んだ、信じて疑わなかった
フッ
幻────
色彩「…………」
力が抜けたように伸ばした手を落として、色彩はほんの少し希望を見せてくれた幻に別れを告げた。
そして、白と黒が支配した、まるで生気を感じない我が家に
無言の挨拶を交わした。
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