このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
エレン「最愛」 ~探偵アルレルトの悲哀~
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- 1 : 2015/04/29(水) 15:18:44 :
- 進撃の巨人×探偵ガリレオのコラボです。
キャラ崩壊注意でよろしくお願いします。
登場人物
アルミン・アルレルト・・・・・・ウォール・シーナ大学きっての天才物理学教授。
サシャ・ブラウス・・・・・・警部補。
ジャン・キルシュタイン・・・・・・刑事。アルミンの高校時代からの友人。
エレン・イェーガー・・・・・・シガンシナ高校数学教師。数学の天才でアルミンの幼馴染み。
アニ・レオンハート・・・・・・美しきシングルマザー。弁当屋に勤務。
ダズ・・・・・・アニの元夫。
ミーナ・レオンハート・・・・・・アニとダズの娘。
ベルトルト・フーバー・・・・・・アニに想いを寄せる弁当屋の常連。アニの幼馴染み。
キッツ・ヴェールマン・・・・・・アルミンの助手。万年助手。
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- 2 : 2015/04/29(水) 16:06:27 :
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「次のニュースです。昨日、政治家のダリス・ザックレー氏が乗った船が突如として爆発し、ザックレー氏が死亡しました。船からは爆発物が見つからず、調査は難航しています。」
全ての現象には、必ず理由がある。
あり得ないと思われるようなことも、実は科学的に解明できることが多い。
やぁ、僕の名前はアルミン・アルレルト。ウォール・シーナ大学の教授だよ。
今日は僕の、忙しい一日の一部をまずは紹介するね。
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- 3 : 2015/04/29(水) 16:09:30 :
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~ウォール・シーナ大学、野外実験演習場~
ビーッ! ビーッ!
アルミン「発射ッ!」
キュイィィィィィ・・・・・・ ドゴオォォォンッ!!!
サシャ「うわッ!!」
アルミン「ふぅ、実験は成功だ。さて、サシャ。これがザックレー殺害事件のトリックだ。犯人はこのガウス加速器を使ったんだよ。」
サシャ「す、すごい威力ですね!?」
アルミン「僕の手にかかればもっといいものが出来るけどね。さぁ皆、片付け開始だよ!」
生徒一同「「「は~い!」」」
キッツ「サシャ警部補、君はもう帰るんだ。」
サシャ「ええ~~~~・・・・・・。」
キッツ「ええ~~~~・・・・・・じゃない! お前のせいでアルミン先生の仕事が遅れてるんだ! 今度捜査の協力依頼出したらただじゃおかないからな!」
サシャ「またよろしくお願いしますね! アルミン先生!」
アルミン「ええ~~~~・・・・・・。僕忙しいんだけど。」
キッツ「きけぇぇい!」
サシャ「うるさいなぁ万年補欠。」
キッツ「万年助手だ! いい加減覚えろバカ警部補!」
一同(((そこは認めるんだ。)))
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- 4 : 2015/04/29(水) 16:10:34 :
こんな風に、研究で多忙な僕の元へ、サシャ警部補が捜査依頼をよく持ってくる。
まぁでも現実的に不可能だなんて言われたら、僕も黙っちゃいられない。
全ての現象には、必ず理由がある。
この信念を、毎回僕は上手く利用されているって訳なんだ。分かってはいるんだけど・・・・・・どうしても好奇心が勝ってしまい、捜査協力をしちゃうんだよね。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 5 : 2015/04/29(水) 16:54:19 :
吹き始めた木枯らしが、凍える季節の到来を告げる。
みすぼらしい格好をした男が一人、冷たい風の中を彷徨うように歩いていた。
彼の名前はエレン・イェーガー。シガンシナ高校で数学を教えている教師。
今の彼には、密かな楽しみがあった。
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- 6 : 2015/04/29(水) 16:56:32 :
アニ「いらっしゃいませ! あら、エレン!」
エレン「はよ。ちょっと寒くなっちまったな。」
アニ「全くだね。いつものでいいかい?」
エレン「あぁ、ありがとな・・・・・・。」
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- 7 : 2015/04/29(水) 16:57:04 :
俺の密かな楽しみ・・・・・・。
一人暮らしをしている俺のアパートに住む隣人、アニ・レオンハートに毎朝、学校近くの弁当屋で会うことだ。
俺は元々、いつも昼食をそこで買っていた。それ自体何の楽しみもなかった。
でも、アニが俺の部屋の隣に引っ越してきて、この弁当屋で働き始めたのを見たとき、この時間は俺にとって特別なものとなった。
孤独な俺を救ってくれた・・・・・・俺は、アニに心を寄せるようになったんだ・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 8 : 2015/04/29(水) 22:44:58 :
~アニのアパート、夜~
私の住んでいるアパートは、とてもみすぼらしい二階建てで、お世辞にも母子が住むようなものとはいえず、むしろ一人暮らしに適したものだった。
アニ「ただいま。」
ミーナ「あ、お帰り! お母さん!」
今年高校に入った私の娘。
ミーナ「ねぇ、見て見て、お母さん。」
アニ「どうしたの?」
ミーナ「ジャ~ン!」つ数学のテスト
アニ「94点!? がんばったじゃない!? どうしたの!?」
ミーナ「えへへ・・・・・・お隣のエレンさんに教えてもらったんだ!」
アニ「へぇ、凄いんだね、エレン先生って!」
ミーナ「ちょっと! 凄いのは わ た し !」
キャハハハハ・・・・・・
ジャアキョウハゴホウビダネ
ホントニ!?
ゴチソウツクルネ!
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- 9 : 2015/04/29(水) 22:45:57 :
ミーナは無邪気に笑いながら、私をいたわってくれる。
家計が火の車なのを知っているミーナは、私の知らないところでコンビニのバイトをしていた。
母親のくせに、私は気付いてあげられなかったことを恥じた。
アニ「どうかな?」つビーフシチュー
ミーナ「うん! すごくおいしい!」パァァッ
アニ「良かった!」ホッ
満面の笑みを浮かべているミーナ。
遠回りを重ねに重ね、ようやく掴んだ小さな幸せ。
ミーナの為にも、守らなくちゃいけない。
でも、この幸せは、この後すぐに崩れ去ってしまったんだ。
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- 10 : 2015/04/30(木) 13:28:03 :
- 期待です
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- 11 : 2015/05/01(金) 00:54:52 :
- 期待ありがとうございます!
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- 12 : 2015/05/01(金) 00:55:01 :
ピンポーン!
アニ「! こんな時間に誰だろうね? ミーナ、出てくれる?」
ミーナ「うん、今行くね。」
ガチャリ!
ダズ「おう! 帰ったぞ!」ドタドタ!
アニミナ「「!!!」」
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- 13 : 2015/05/01(金) 00:55:34 :
傍若無人に部屋に入り込んできたこの男。私の元夫、ダズだ。
かつては誠実な人だった。顔は決して良くはなかったけど。
でも、会社を首になり、酒に溺れ、いつしかDVを受けるようになってしまった。
私はミーナを守るためにダズと離婚し、警察と相談して遠ざけた。
なのに・・・・・・どうして!?
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- 14 : 2015/05/01(金) 00:56:03 :
アニ「何しに来た!?」
ダズ「つれねえなぁ! 夫が帰ってきたんだぞ!」ペロンッ
ミーナ「キャッ!」
いやらしい手つきでミーナのお尻を触るダズ。
ダズ「おっ!? 今日はビーフシチューか!?」
アニ「出ていって!」
アニは引出しからお金を出すと、ダズに押し付けた。
待ってましたとばかりにダズが金額を確認し始める。
ダズ「へっ、言われなくても出ていってやるよ。」ニヤッ
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- 15 : 2015/05/01(金) 00:56:36 :
逃げても逃げても、まるで厄病神のようにこいつは現れる。
そして、毎回のように金を出すまで暴れまわる。
ダズは玄関で靴ひもを結びながら、吐き捨てるように言った。
ダズ「どうせお前らは俺から逃げらんねえんだ! また来るからな!」
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- 16 : 2015/05/01(金) 00:57:18 :
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ダズが丁度立ち上がろうとするその時だった。
ゴッ! ダズ「ぐあッ!」
アニ「! ミーナ!」
ミーナがスノーボールでダズの後頭部を殴打。
ダズ「テメエこの野郎!」
逆上したダズがミーナに襲い掛かった。
ミーナ「いやぁッ!」
アニ「やめてッ!」
――――――――――
エレン「!」
――――――――――
ダズはミーナをこたつの上に押し倒した。
何とか娘を守ろうとするアニの手に、こたつのコードが触れた。
ダズ「!!! ぐああぁあぁぁあぁあッ!!!」
首を絞められ、ダズはこたつの上に仰向けになった。
抵抗しようと右腕を動かそうとする。
ミーナ「母さん!」ガシッ!
ダズ「!!!」
その右手を、ミーナに抑え付けられた。
ダズ「がぁ・・・・・・あがぁ・・・・・・あぐ・・・・・・・・・・・・」
そのままダズは・・・・・・絶命した。
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- 17 : 2015/05/01(金) 18:48:00 :
――――――どうしよう・・・・・・。
人を・・・・・・殺してしまった。
母子二人は、自分たちが今やってしまったことを前に呆然としていた。
ピンポーン!
アニミナ「「!!!」」
アニ「・・・・・・私が、出る。こたつの中に、隠して。」
血の気が引いて蒼ざめるのを感じながら、アニは玄関へと向かった。
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- 18 : 2015/05/01(金) 18:48:34 :
ガチャッ エレン「あの・・・・・・こんばんは。」
アニ「エレン? どうしたの、こんな夜中に?」
エレン「いや、その・・・・・・大きな物音が聞こえたので・・・・・・どうしたのかなって思って・・・・・・。」
アニ「・・・・・・夜も遅いのにごめんなさい・・・・・・娘と・・・・・・はしゃいでしまって・・・・・・。」
エレン「・・・・・・そうですか。」
そっと、エレンはドアを閉めた。
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- 19 : 2015/05/01(金) 18:50:46 :
ミーナ「お母さん、警察に電話しないと・・・・・・。」
アニ「だめだ! ミーナ!」
ミーナ「でもッ!?」
――――――やっと幸せになれたのに! どうしてこんなことに!?
コンコンッ!
アニミナ「「!!!」」
ドアをノックする音が聞こえた。
ドアに駆け寄り、そっとドアノブを回して、僅かに隙間を空ける。
そこには・・・・・・今だに去りかねて、ドアの前で佇んでいるエレンがいた。
エレン「・・・・・・話してくれよ、アニ。一体、何があったんだ?」
アニ「・・・・・・実は。」
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- 20 : 2015/05/01(金) 18:51:40 :
それから私は、エレンに事の顛末を話した。
話ながら、涙が出てくるのを、私は止めることが出来なかった。
エレンは、私の話を黙って聞いてくれた。
・・・・・・しばらく沈黙が続いた後、口を開いたのはエレンだった。
エレン「・・・・・・話は分かったよ、アニ。全部俺に任せてくれねぇか?」
アニ「えっ!?」
エレン「・・・・・・お前らが捕まらねぇように俺が何とかするからさ。」
アニ「エレン・・・・・・。」
ミーナ「エレン先生・・・・・・。」
エレン「大丈夫だって・・・・・・心配すんなよ。」
そっとエレンは・・・・・・アニを抱き寄せる。
エレン「いいか、これからお前らに指示を出すから、絶対に指示に従えよ。」
アニ「・・・・・・いいよ、エレン。」
ミーナ「・・・・・・分かった。」
私たち母子は、エレンの言葉にゆっくりとうなずいた・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 21 : 2015/05/01(金) 18:53:09 :
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- 22 : 2015/05/01(金) 19:14:00 :
- 期待ですっ!
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- 23 : 2015/05/01(金) 20:08:02 :
- 期待ありがとうございます!
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- 24 : 2015/05/01(金) 20:08:40 :
~11月11日、早朝~
シガンシナ川の河川敷で、一人の死体が発見された。
~ウォール・マリア警察署~
エルヴィン「殺されたのはダズ・○○○。遺体の横にあった自転車から採取された指紋から判明。」
比較的治安のいいシガンシナ区での殺人事件に、警察署員は緊張の色が隠せなかった。
その日のうちに、調査本部が立てられ、エルヴィンが指揮を取ることになった。
エルヴィン「死体は服を着ておらず、顔は石でぐちゃぐちゃに潰されていた。ご丁寧にも指という指はバーナーで焼かれていた。ダズが借りていたレントルームがなければ指紋を採取できなかっただろう。」
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- 25 : 2015/05/01(金) 20:09:48 :
~時をさかのぼること一時間前、シガンシナ川河川敷~
サシャ「お疲れ様です! ジャン刑事!」
ジャン「おう、朝早くから呼び出して悪かったな。」
サシャ「いえいえ、昼食を奢っていただけるならいつでも呼び出しに応じますよッ!」キラッ!
ジャン(くそ、俺の懐がやべえな・・・・・・。)「で、仏様の様子は?」
サシャ「・・・・・・酷いです。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 26 : 2015/05/01(金) 21:01:32 :
エルヴィン『ここまでのことが出来るとなると怨恨の線が強いだろう。今回の事件で重要な参考人はひとり・・・・・・ダズの元夫、アニ・レオンハートだ。ジャンとサシャは早速聞き込みを始めてくれ。』
ジャン刑事と私は、エルヴィン管理官の指示の元、早速アニの住むアパートを訪れました。
何だか、とてもみすぼらしいアパートです。
ジャン「事前の調べではアニはダズにDVを受けていたらしいからな。この線がとても有力ってところだろう。」
サシャ「そうですけど、なんだか・・・・・・可哀想です。」
ジャン「・・・・・・お前なぁ、感情と勘だけで動くなって何度も言ってんだろ?」
サシャ「そうですけど・・・・・・。」
ジャン「ったく、感情と勘で動けば、辛いのはお前自身だぞ?」
―――――頭では分かっています。情に流されれば、辛いんだって・・・・・・。
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- 27 : 2015/05/01(金) 21:02:30 :
ピンポーン!
アニ「はい?」
ジャン「こんばんは、奥さん。警察のものです。ちょっとお話を聞いてもよろしいですか?」(おい!? 美人だな、奥さん!?)
サシャ(綺麗な人ですね・・・・・・。ちょっと憧れます。)
アニ「・・・・・・どうぞ、上がってください。」
それから私たちは、元夫であるダズが亡くなったということをお話ししました。
・・・・・・やっぱりちょっと変です。
妙に落ち着きがなくて、目線が泳いでいます。もしかすると・・・・・・
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- 28 : 2015/05/01(金) 21:03:46 :
ジャン「それで、奥さん・・・・・・昨日11月10日の夜は何をしてたんですか?」
アニ「・・・・・・娘と一緒にカラオケに行った後、二人で映画を見に行きました。」
ジャン「ほう・・・・・・もしよろしければ、映画のチケットなどを拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
アニ「ちょっと待ってくださいね。財布に入っていたかな・・・・・・。」
アニが席を立ち、映画のチケットを探し始めた。
―――――臭いな。
ジャンは確信していた。この女は犯人だ。
だが・・・・・・
アニ「ありました。映画のパンフレットの中に挟まっていました。」
ジャンサシャ「「!!!」」
日付を確認してみる・・・・・・確かに11月10日の夜だ。しかも・・・・・・ダズの推定死亡時刻、夜8時と被っている。
つまりこのチケットの存在は、アニには鉄壁のアリバイが存在するということを意味していた。
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- 29 : 2015/05/01(金) 21:04:47 :
アニのアパートを出た後、ジャンは改めてアニが行ったという映画館に足を運ぶことにした。
ジャン「サシャ・・・・・・お前はアニをどう思う?」
サシャ「・・・・・・私、アニは怪しいと思います。」
ジャン「・・・・・・勘か?」
サシャ「勘です。」
ジャン「・・・・・・はぁ、全くお前は・・・・・・まぁ俺もあの女が犯人だろうとは思うがな。」
サシャ「勘ですか!?」
ジャン「馬鹿かお前は? アニの話をおかしいとは思わなかったのか?」
サシャ「えっ!?」
ジャン「平日の夜だぞ? 平日にカラオケに行って映画館に行くか? 普通よぉ?」
サシャ「・・・・・・でも、証拠があるんですよね。」
ジャン「・・・・・・くそ、行き詰っちまったな・・・・・・。」
―――――あと一歩というところなんだが、鉄壁のアリバイがある。
ジャン「サシャ、徹底的にアニの交友関係を洗い出すぞ!」
サシャ「はい!」
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- 30 : 2015/05/01(金) 21:05:46 :
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エレン「」
――――――思いもしなかったな。
昔のダチと・・・・・・やりあうことになるなんてよぉ・・・・・・
~アニside~
ミーナ「凄いね・・・・・・全部エレン先生の言う通りになってる・・・・・・。」
アニ「・・・・・・どうしてだろうね? 私にも分からないよ・・・・・・。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 34 : 2015/05/02(土) 20:31:34 :
- 期待ですっ!
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- 35 : 2015/05/02(土) 20:40:10 :
- 期待ありがとうございます!
なんか別の物語に投稿するはずの文章を間違ってこっちに投稿してますた。
申し訳ありません。
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- 36 : 2015/05/02(土) 21:06:36 :
~数日後、ウォール・シーナ大学~
さて、僕は今大講堂で授業の真っ最中。
自分で言うのもなんだけど、僕の授業は女子大生に人気が高い。まぁだからといって手抜き手加減一切してない、ハードルの高い授業をしていると自負しているけど。
だから、奥のほうでジャンやサシャがこっそり座っていても、すぐに分かっちゃうんだよね。
アルミン「いいかい、思い付きや勘だけで行動するのは間違いの始まりだよ?」
ジャン「くくく、だってよ、サシャ。」
サシャ「私!?」
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- 37 : 2015/05/02(土) 21:07:12 :
アルミン「さて、僕に何の用かな? ジャン? サシャ?」
ジャン「白々しいこと聞くなよ。分かってんだろ?」
アルミン「全く君は本当に・・・・・・。」
サシャ「殺人事件が起こったんです! もう少しで犯人に辿り着きそうなのに、鉄壁のアリバイが崩せないんですよ。」
アルミン「それを突き止めるのが警察の仕事でしょ? 悪いけどこの話は僕の興味をひかないな。」
サシャ「もう! 興味がなければどうでもいいっていうんですか!」プンスカ
ジャン「相変わらずだな。だがよ、この事件、二人の容疑者がいるんだ。」
アルミン「二人?」
ジャン「そのうちの一人は・・・・・・エレン・イェーガーだ。」
アルミン「!!!」
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- 38 : 2015/05/02(土) 21:08:02 :
こうして私たちは、事件の顛末を話しました。
なぜでしょう・・・・・・こんなに悲しそうなアルミン先生を、私は見たことがありません。
サシャ「アルミン先生は、エレンを知っているんですか?」
アルミン「エレンは・・・・・・僕の幼馴染みだ。」
サシャ「えっ!?」
ジャン「俺にとっちゃ高校からのダチだ。」
サシャ「そ、そんな・・・・・・。」
アルミン「・・・・・・あり得ないよ。」
珍しく少し感情的になっています。やはり、心苦しいのでしょうか?
アルミン「僕の知っている人間の中で、天才と呼べる人間はエレンだけだ。殺人によって苦痛から逃れようなんて全く合理的じゃないよ。エレンはそんな短絡的なことをしない。」
ジャン「でも、エレンにはアニ・レオンハートの元に足繁く通ってた。殺害の動機はエレンにもある。」
しばらく考え込んだ後、アルミンは答えた。
アルミン「・・・・・・エレンは、今、何処に住んでるの?」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 39 : 2015/05/03(日) 17:05:35 :
アルミン『ぐあッ!』
いじめっ子『おい、悔しかったら殴り返してみろよ! この頭でっかち!』
アルミン『ふざけるな、そんなことしたら、君たちと同レベルじゃないかッ!』
いじめっ子『何だと!?』
エレン『止めろッ!』
―――
――
―
―――――なんだか、とても懐かしいことを思いだしちゃったな。
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- 40 : 2015/05/03(日) 17:06:58 :
エレンは、困ってる人間を放っておけない性格だった。
いじめられっ子だった6歳の僕を救い出してくれたのも彼。そして何より頭が良く、小学校高学年でわかったんだけど、特に数学では天才的な発想力を持っていた。
小学校も中学校も、高校、大学も一緒。僕らは親友だった。
特に高校生の時は、テストの成績をいつも競い合うライバルだった。
エレンは僕に物理学で勝ったことはなかったけれど、僕はエレンに数学で勝ったためしがない。
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- 41 : 2015/05/03(日) 17:09:18 :
でも、いつからか・・・・・・エレンと連絡が取りづらくなり、大学を卒業するころには音信不通になってしまった。
元々学部も校舎も違ったし、多忙を極めたこともあって、僕自身の人付き合いも減っていった。
そのまま僕は大学院へと進学し、多忙な日々を送るうちに、いつの間にか36歳になってしまった。
アルミン「エレン・・・・・・元気にしてるのかな・・・・・・。」
あの時の快活なエレンと、ジャンやサシャから聞いたエレンが、僕の中で全く繋がらない。
・・・・・・確かめなくちゃいけない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 42 : 2015/05/03(日) 17:10:54 :
苦痛に満ちた仕事が終わり、俺は家路を急いでた。
少しでも、少しだけでもアニのそばに居たい。
なぜなら・・・・・・
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- 43 : 2015/05/03(日) 17:11:20 :
日もすっかり暮れて、寒さが着こんだ上着の中に染み込んでくる。
ふと見ると、俺のアパートの部屋の前に、人が立っている。
今の状況を考えると、恐らく警察関係者だろうけど・・・・・・。
部屋のインターホンを押していたそいつが降りてきた。
・・・・・・金髪で、背が低い男だ。
まるで・・・・・・アルミンみたいなやつだ・・・・・・懐かしい。
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- 44 : 2015/05/03(日) 17:12:19 :
「・・・・・・エレン?」
エレン「!!! ・・・・・・お前、アルミンか!?」
似ていると思った奴は、アルミンその人だった。
まさか・・・・・・こんなところで再会するなんて思わなかった。
しかも、こんな形で。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 45 : 2015/05/03(日) 17:45:53 :
およそ15年ぶりにあったエレンは、何だかとてもやつれて見えた。
当時の快活さはすっかり影を潜め、少し猫背になっている。
何がエレンをここまで変えてしまったのか・・・・・・彼の15年間の重みは相当なものだと感じた。
アルミン「随分・・・・・・久しぶりだね。」
僕は慎重に言葉を選んだ。本当は随分変わった理由を聞きたかったのだけど、時間が経ったことをまずは懐かしむことにした。
エレン「お前はほんと変わんねぇなぁ! 元気にしてたか?」
質問の意図を汲み取ったのか、エレンは僕の容姿について触れた。
アルミン「ちょっと傷ついたなぁ。少しは男らしくなったと思うんだけど。」
エレン「ははは・・・・・・まぁ少しは・・・・・・な。」
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- 46 : 2015/05/03(日) 17:47:04 :
会話が途切れる・・・・・・かつての親友を前にかけてあげる言葉が・・・・・・見つからない。
静まりかえった冬の夜に、吹き抜ける冷たい風の音が聞こえてくる。
エレン「・・・・・・まぁ、何だ・・・・・・立ち話もなんだしよ・・・・・・どっか飯でも食いに行かねえか? お前は明日予定でもあるのか?」
アルミン「いや、大丈夫だよ。通常通りの出勤だから、多少はね。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 47 : 2015/05/03(日) 22:38:24 :
僕たちはエレンのアパートの近所にあったバーに入った。
ショットに入ったウィスキーを片手に、僕らは昔話に花を咲かせていた。
エレン「・・・・・・――――はぁ、全く無駄な時間だったな。」
アルミン「仕方ないよ、エレン。同じ色が隣り合ってはいけない―――四色定理の面白さを理解できた高校生なんて、君くらいだったよ。」
エレン「・・・・・・だよな。」
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- 48 : 2015/05/03(日) 22:39:03 :
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エレンはこの四色定理が大好きだった。
隣接する領域が異なる色になるよう塗るには、四色あればいいということを証明した定理。
かつて僕は高校時代に、エレンに聞いたことがある。
アルミン『君はどうしてこの四色定理にこだわるんだい? とっくに証明されたんでしょ?』
すると、エレンからは意外な答えが返ってきた。
エレン『だってよ・・・・・・この数式、美しくねぇだろ?』
僕は目を丸くした。
アルミン『美しく・・・・・・ない!?』
たまげてしまった。エレンはただ快活なだけでない。数式に対する繊細な美意識も兼ね備えた人間。正に数学者の鑑だと思った。
だからこそ僕は、高校教師となった理由を知りたいとも思った。
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- 49 : 2015/05/03(日) 22:41:33 :
アルミン「僕は・・・・・・君は大学院に進学するものだと思っていたよ。どうして大学院に進学せず、僕の前から姿を消したの?」
すると、エレンの表情が曇った。そこに悲痛な感情が見え隠れしているのに、僕はすぐに気が付いた。
エレン「・・・・・・母さんが、病気で倒れたんだ。」
アルミン「えっ!? カルラさんが!?」
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- 50 : 2015/05/03(日) 22:42:19 :
――――――俺の家は元々、父さんが医者を務めている裕福な家庭だった。
でも、父さんが病気で急死し、母さんは女手一つで俺を育てるために、様々な仕事を掛け持ちした。
昼も夜も働いた・・・・・・そして、俺が大学三年生になって、進学の準備をし出した頃に、母さんは倒れた―――・・・・・・
アルミン「それで・・・・・・カルラさんは?」
エレン「・・・・・・死んだよ。」
――――俺は何もできなかった。
せめて夢を実現させて、母さんを・・・・・・安心させたかった。
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- 51 : 2015/05/03(日) 22:43:27 :
・・・・・・ごめんね・・・・・・エレン・・・・・・・・・・・・
一言俺に謝って、母さんは逝った。
何で俺に謝るんだよ。
夢も実現できなかった、この、親不孝者に。
アルミン「・・・・・・辛かったんだね、エレン。」
エレン「・・・・・・辛かったよ。何で・・・・・・生きてんだろうなって・・・・・・思えるほどにな・・・・・・。」
エレンの顔に、一種の絶望に満ちた表情が現れたのを見て、僕は堪らなくなった。
―――――僕の中で、今のエレンと、ジャンやサシャの話が繋がった。
・・・・・・エレンには、殺人に至る動機がある。
この残酷な真実に、僕は気が付いてしまった。
もう、後には引き返せない・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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- 52 : 2015/05/04(月) 00:36:27 :
- 期待です!!
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- 53 : 2015/05/04(月) 15:25:52 :
その日、僕はエレンの部屋で一泊した。
昔の友人たちの話やその進路。話したいことは尽きなかったが、明日も仕事なので、ほどほどにして眠りについた。
翌朝、僕らは懐かしのシガンシナ川の河川敷を歩きながら、それぞれの出勤先に向かい始めた。
アルミン「ここもホームレスが多くなったね。」
エレン「ああ、そうだな・・・・・・。いつみても同じことしてる。時計があるわけじゃねえのに、皮肉なもんだな。」
アルミン「君はこれから出勤かい?」
エレン「ああ、期末テストの作成もあるしな。しばらくは忙しいかな。」
アルミン「そうなんだ。」
エレン「幾何の問題と見せかけて、実は関数の問題だったとか、そういった問題を作るつもりなんだ。・・・・・・あいつらにわかるとは思えねえけどな。」
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- 54 : 2015/05/04(月) 15:27:15 :
―――やはりエレンは疲れたような顔をしている。
僕としてはそばにいてあげたかったが、僕にも仕事がある。それに・・・・・・
アルミン「じゃあ、僕はこの電車に乗ってウォール・シーナまで行くから、ここでお別れだね・・・・・・久しぶりに会えてうれしかった。」
エレン「・・・・・・俺もだ、アルミン。久しぶりに楽しかったぞ。」
・・・・・・・・・・・・確かめたい。どうしてエレンが・・・・・・そんなことをしなくちゃならなかったのか。
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- 55 : 2015/05/04(月) 15:35:42 :
電車に乗って去っていくかつての親友を見送りながら、エレンは呟いた。
エレン「・・・・・・悪いな、アルミン。お前に勝ちは・・・・・・譲らねぇ。それに・・・・・・先手 は打った。」
心の奥に隠していた敵意を、ほんのわずかな悲しみと共に、幼馴染みに向けるエレン。
霜の降りた道を通り、弁当屋に向かって歩き始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 56 : 2015/05/04(月) 16:30:52 :
- >>52
いつも期待ありがとうございます!
-
- 57 : 2015/05/04(月) 21:03:15 :
- kitaiです!
-
- 58 : 2015/05/04(月) 22:49:46 :
- kitaiありがとうございます!
-
- 59 : 2015/05/04(月) 22:50:01 :
今日も弁当屋は繁盛していた。
人当たりもよく美しい従業員と、大柄だが気前もよく、懐の深いおかみさんの情にほだされる常連客が多いのが、この弁当屋の人気の秘訣だった。
遠くからわざわざ足を運ぶ人もいるくらいに。
ベルトルト・フーバーも、この弁当屋の評判を聞いてやってきた男の一人だった。
ベルトルト「ここが・・・・・・噂のお弁当屋さんか・・・・・・。」
期待しながら店の中に入ると、思わぬ人物が僕の目の前に現れた。
-
- 60 : 2015/05/04(月) 22:50:34 :
アニ「・・・・・・ベルトルト?」
僕の幼馴染み・・・・・・小学生だった僕の想い人。
可愛らしかった金髪の女の子が、鼻の通った美人になった。
ベルトルト「もしかして・・・・・・アニ!?」
おかみさん「なんだい、アニ? 知り合いかい!?」
豪快ではあるものの、満面の笑みでおかみさんが尋ねてくる。
アニ「ええ、私の・・・・・・幼馴染みです。」
少し恥ずかしそうに、はにかむアニ。
-
- 61 : 2015/05/04(月) 22:51:20 :
すると、粋なおかみさんがこんなことを言ってくれた。
おかみさん「アニ! あんた少し休憩してきな!」
アニ「えっ!?」
おかみさん「あたしゃ大丈夫だからね。ほら、ぼさっとしないでお行き! 30分で帰ってくるんだよ!」
アニ「・・・・・・ありがとうございます。」
おかみさんに一礼して、アニは僕の元に歩み寄ってきた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 62 : 2015/05/05(火) 00:57:41 :
何て懐かしいんだろう。
背の低い私を、ベルトルトはいつでも見下ろしてきたのが気に入らなくて、私たちはいつもケンカばかりしてた。
男勝りな性格をしていた私は、背の大きいベルトルトをいつも泣かしては叱られていた。
中々素直になれなかった。
-
- 63 : 2015/05/05(火) 00:58:19 :
でも、私たちが小学2年生の時、ベルトルトが親の都合で遠くに引っ越すことになってしまった。
その時私は、ベルトルトの前で初めて泣いた。
そんな私の手を、ベルトルトは握ってくれた。
ベルトルト『アニ・・・・・・だいじょうぶだよ。大きくなったら、ぼくがアニのおむこさんになってあげるから。』
アニ『ベルトルト・・・・・・大好きだよ。』
切ない約束を交わして、私たちは離れ離れになった。
私たちの・・・・・・初恋だった。
-
- 64 : 2015/05/05(火) 00:59:24 :
あの時からもう20年以上もたつ。
ベルトルトはまるで巨人のような、立派な体格になっていた。
ベルトルト「覚えてるかい? アニ? 僕との約束。」
何だかほほえましくて、素直に話せた。
アニ「覚えてるよ。私のお嫁さんになってくれるって話だね?」
ベルトルト「お婿さんだよ! もう、かわってないな。アニは。」
アニ「・・・・・・そうかもね。」
-
- 65 : 2015/05/05(火) 00:59:59 :
胸が・・・・・・ときめくのを感じる。
あの時と、少し似ている・・・・・・あの感覚。
やっぱり・・・・・・30分だけじゃ、物足りない。
ベルトルト「じゃあ、また来るよ、アニ。」
背の高い彼は、手を振って去っていった。
エレン「」
・・・・・・・・・・・・誰だよ?
アイツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 66 : 2015/05/05(火) 01:21:33 :
~ストヘス区、ストヘス酒場~
僕はこの日、ジャンと一緒に飲む約束をしていた。
ただ、こんな事件が起こってしまった日には、どうしてもその話になってしまうのは避けられなかった。
-
- 67 : 2015/05/05(火) 01:22:12 :
ジャン「それで、どれだけわかったんだよ? アルミン?」
アルミン「さっぱりわからないよ、ジャン。」
この事件の容疑者の筆頭はアニだ。でも、ダズが殺害された時間。アニは確かに映画館にいた。
アニの鉄壁のアリバイを、どうしても崩せない。
アルミン「ジャン・・・・・・エレンの出勤簿は、手に入れられたのかい?」
ジャン「ああ、手に入れた。エレンは11月10日と11日、体調不良を理由に欠勤してやがる。」
アルミン「じゃあ・・・・・・。」
ジャン「ダズが殺害された11月10日、エレンにはアリバイがねぇ。」
-
- 68 : 2015/05/05(火) 01:23:14 :
・・・・・・調べれば調べるほど、エレンへの容疑が固まっていく。
僕は焦っていた。
エレンには、確かに殺害の動機がある。
アニの為に、ダズを殺した・・・・・・そう考えることも十分に可能だ。
でも、エレンはそんな短絡的なことをしない。
なのに・・・・・・どうしてもエレンに辿り着いてしまう。
-
- 69 : 2015/05/05(火) 01:24:57 :
ジャン「そうだ、アルミン・・・・・・エレンが、今回の事件の真犯人かもしれねえ。」
少しの間ためらったが、しぶしぶ僕も頷いた。
アルミン「でも、決定的な証拠が何一つないんだ。アリバイがないからといって、それは決定打じゃないよ。」
ジャン「ああ、俺も引き続き調べるとするか・・・・・・はぁ。」
ため息をついて、ジャンは呟いた。
ジャン「かつてのダチを疑うなんてよぉ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 70 : 2015/05/05(火) 14:30:13 :
- フォロワーしてくれて有り難うございます!進撃のMGSさん!!!
私、あまり探偵ssは知りませんが、
頑張って更新して下さい!!
コメントは私のssにくれれば嬉しいです!
-
- 71 : 2015/05/05(火) 15:26:21 :
アニ「いらっしゃいませ。」
帰り道、僕は寄り道をして、アニが勤務しているという弁当屋に寄ることにした。
アルミン「あの、海苔弁当一つ下さい。」
アニ「ありがとうございます。お客さん、この店は初めてですね?」
アルミン「え、あ、はい。」
アニ「ふふ、ぜひまたいらしてくださいね。はい、海苔弁当です。」
アルミン「あ、ありがとうございます。」
-
- 72 : 2015/05/05(火) 15:26:53 :
自然な笑顔を振りまく、飾らない女性。気取らない彼女に、エレンは心惹かれたのだろうか?
だから・・・・・・エレンは・・・・・・
いやッ! そんなはずはないッ!!!
ない・・・・・・はず・・・・・・なのに・・・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 73 : 2015/05/05(火) 15:38:21 :
- 期待ですっ♪( ´▽`)
-
- 74 : 2015/05/05(火) 16:12:14 :
- おお、期待ありがとうございます♪
-
- 75 : 2015/05/05(火) 16:12:45 :
この日の夜は、強い大雨になった。
生憎、自転車通勤の私は、傘を持ってきていなかった。
アニ「参ったね・・・・・・ん?」
目の前に、車が一台停まった。
ドアの窓から、低いけど思いやりにあふれた言葉が聞こえてくる。
ベルトルト「大丈夫かい? 車で送ってくよ?」
アニ「・・・・・・まったく、そういうところ、昔と変わらないね。」
ため息をついて見せたが、内心嬉しかった。
-
- 76 : 2015/05/05(火) 16:13:13 :
アニ「・・・・・・送ってくれて、感謝してるよ。」
ベルトルト「ふふ、また、買いに来るね。」
車を走らせて去っていくベルトルトに、少しずつほだされていくのが、自分でもわかった。
-
- 77 : 2015/05/05(火) 16:13:39 :
アニ「!!!」
気が付いてしまった・・・・・・アパートの階段で・・・・・・
エレン「」
エレンが、怒りと嫉妬に満ちた表情でこちらを睨んでいることに・・・・・・。
しばらくエレンは私を見つめた後、静かに、自分の部屋へと戻っていった。
私は・・・・・・しばらく体がすくんで、動けなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 78 : 2015/05/05(火) 16:15:05 :
それからというもの、エレンの行動は日に日にエスカレートしていった。
朝晩の出勤の際は、隙あらば後を付けられたのはまだ序の口。
郵便物は荒らされ、玄関の先にカメラが置かれている時さえあった。
-
- 79 : 2015/05/05(火) 16:15:30 :
そして、極めつけは、一通の封筒だった。
中を開けると・・・・・・・・・・・・
そこには、ベルトルトと私が一緒に写った写真が出てきた。
アニ「う・・・・・・。」
そして、もう一つ・・・・・・手紙が出てきた。
-
- 80 : 2015/05/05(火) 16:16:40 :
アニ・レオンハート様
お前に聞きたい。あの男は、何者だ?
俺がどれだけの犠牲を払ってきたか? 分かっているのか?
これは・・・・・・俺に対する、重大な・・・・・・裏切りだ。
-
- 81 : 2015/05/05(火) 16:17:14 :
ミーナ「・・・・・・母さんッ!!!」
ミーナは、今にも泣きそうだ。
私だって泣きたい。これじゃあ・・・・・・・・・・・・ダズがエレンに取って替っただけ。
ミーナ「私、ここにいるから・・・・・・大丈夫だから・・・・・・。」
アニ「!!!」
気が付くと、娘に抱きしめられていた。
アニ「ごめんね・・・・・・母親失格だね・・・・・・私・・・・・・うう・・・・・・うぐ・・・・・・」
娘の腕の中で、私は涙を流した・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 82 : 2015/05/05(火) 16:19:03 :
僕は、エレンが真犯人かもしれないと思っていながら、依然として何一つ決定的な証拠を見つけられないでいた。
事態が急展開を見せたのは、僕が弁当屋に足を運んでから、一週間後のことだった。
ウォール・マリア警察署に、一本の電話が入った。
「管理官! 本件の犯人と名乗る男が自首してきましたッ!!!」
-
- 83 : 2015/05/05(火) 16:19:49 :
あまりに衝撃的な一報に、捜査員全員に緊張が走る。
「その男の名前は・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・エレン・イェーガーですッ!!!」
ジャンサシャ「「!!!」」
―――――いったいどうなってんだ!? あいつが、出頭してきただとッ!!??
-
- 84 : 2015/05/05(火) 16:20:50 :
数分後、ジャンはとある男に電話をかけていた。
ジャン「エレンが・・・・・・いきなりダズを殺したのは自分だと出頭してきやがった!」
アルミン「えっ!!??」
―――――僕の手から力が抜け、携帯電話をそっと机の上に置いた。
-
- 85 : 2015/05/05(火) 16:21:27 :
どうしていきなり出頭したんだッ!?
これじゃあエレンが・・・・・・殺人犯になってしまう!!!
――――――いや、どうしてエレンは・・・・・・殺人犯になろうとしているの?
僕はハッとした。そしてこの時、エレンの次の言葉が思い出された。
-
- 86 : 2015/05/05(火) 16:22:01 :
エレン『幾何の問題と見せかけて、実は関数の問題だったとか、そういった問題を作るつもりなんだ。』
-
- 87 : 2015/05/05(火) 16:22:33 :
――――――僕は、知らず知らずエレンに推理を誘導されていた。
久しぶりに再会したあの時、エレンはわざと、ダズ殺害の動機があることをほのめかした。
僕は、エレンを半ば信じる故に彼の無罪を願ったし、エレンを半ば疑った故に証拠集めに奔走した。
そして、エレンがダズを殺害したと思い込まされた。
つまり僕は、エレンに対する友情に付け込まれ、利用されたのだ。
そうまでしてエレンは、アニを守ろうとしている。
となるとアニは恐らく・・・・・・クロだ。
言いようがないほど悲しかった・・・・・・
そして僕は一から、仮説を立て直すことにした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 88 : 2015/05/05(火) 23:47:04 :
ウォール・マリア警察署では、ジャンによる取り調べが始まっていた。
ジャン「ふざけんなよ、エレン。お前は初対面の人間を、何のためらいもなく殺したってのか!?」
エレン「アニにまとわりつく害虫を駆除しただけだ。たまたま人間に形が似ていただけだ。」
ジャン「そもそもどうやってダズのことを知ったんだ!?」
エレン「あいつがダズに付きまとわれてたのを知ってた。俺はアニのことなら何でも知ってんだよ。」
――――何だかエレン・・・・・・歪です。
これは・・・・・・私の乏しい知識の中で言うところの、ストーカーなんでしょうか?
-
- 89 : 2015/05/05(火) 23:47:55 :
その後、私たちはエレンのアパートへと移動しました。
エレン本人を伴い、実況見分です。
エレンが証言した通り、ダズの絞殺に使ったこたつのコードが発見され、いよいよエレンの容疑が固まりました。
それに・・・・・・・・・・・・
エレン「その本棚の奥に・・・・・・隠しマイクがあります。」
棚の奥から盗聴用のマイクが発見されたんです。
「・・・・・・典型的なストーカーだな。」
-
- 90 : 2015/05/05(火) 23:48:42 :
すると、ジャンがいきなりエレンの胸倉に掴みかかった。
ジャン「・・・・・・テメエ、ずっとアニのストーカーしてて、邪魔する奴を、殺しやがったのかッ!!!」
サシャ「やめてくださいッ!!! いつもは感情に流されるなって言ってるじゃないですか!?」
ジャン「ぐう・・・・・・クソがぁッ!!!」
ジャンの気持ち・・・・・・分かります。
感情に流されれば・・・・・・辛いんだって・・・・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 91 : 2015/05/05(火) 23:57:48 :
- 期待です!
-
- 92 : 2015/05/06(水) 00:14:03 :
- 期待ありがとうございます!
出来れば今夜仕上げたいと思います!
-
- 93 : 2015/05/06(水) 00:27:52 :
収監された拘置所で横になって、俺は考え事をしていた。
誰もいなくなった教室に座り、僕は考え事をしていた。
エレアル「「同じ・・・・・・色が・・・・・・隣同士になってはいけない。」」
これは俺たち(僕たち)が高校生の時の話だ。
-
- 94 : 2015/05/06(水) 00:28:38 :
アルミン『ねぇエレン!!! あのフェルマーの最終定理が証明されたって知ってる!!??』
エレン『当たり前だろ!? 世紀の瞬間だぜ!? しかもネット上に匿名で発表されたそうじゃねえか!?』
アルミン『凄いよなぁ・・・・・・そうそう、その証明方法って何だったかって知ってる!?』
エレン『え・・・・・・それは・・・・・・まだ・・・・・・。』
アルミン『ふふん。まだまだ甘いねぇ。』
アルミン『実はね、エレン。この定理は物理学的なアプローチで解かれたんだよ!』
エレン『!!! マジかよ!? お前の専門じゃねえか!?』
アルミン『えへへ・・・・・・。だから僕、凄いこと考えちゃった。』
エレン『な、何だよ!?』
アルミン『僕ら二人が組めば・・・・・・何だって証明できるかもしれない! いつか二人で、懸賞のかかった公式を証明しようよ!』
エレン『いいな! それ! よしッ、乗ったぞ、アルミン!』
俺たちは・・・・・・・・・・・・
僕たちは・・・・・・・・・・・・
どこで違う色になってしまったんだろう・・・・・・・・・・・・
-
- 95 : 2015/05/06(水) 00:29:14 :
講堂の扉が開く。
アルミン「・・・・・・サシャ?」
サシャ「ここにいたんですね? アルミン先生。」
アルミン「・・・・・・エレンは・・・・・・どうなったの?」
サシャ「・・・・・・エレンは、アニにストーカーを働いていました。そして、アニにまとわりついていたダズを殺害したんです。間もなくエレンは送検される方針です。」
-
- 96 : 2015/05/06(水) 00:30:18 :
アルミンは、サシャから顔をそむけた。
アルミン「いよいよ、エレンらしくないよ・・・・・・。」
サシャ「? どういうことですか!?」
その時の顔は忘れられません。
まるで何か疲れたような、悲哀の表情を浮かべたアルミンの顔を。
アルミン「僕がこの真相を暴いたところで・・・・・・誰も幸せにはなれないんだ。」
――――僕は辿り着いていた。
この事件の裏に隠された真相。恐るべきアリバイトリックに。
-
- 97 : 2015/05/06(水) 00:31:35 :
サシャ「・・・・・・アルミンが心の苦痛に耐えきれないのなら・・・・・・私も、一緒に受け止めます!」
アルミン「・・・・・・サシャ・・・・・・・・・・・・。」
サシャ「教えてください・・・・・・エレンは・・・・・・何をしたんですか!?」
ありがとう・・・・・・サシャ・・・・・・。
アルミン「これから話すことは、全部僕の仮説だ・・・・・・今からは、サシャ警部補でなく、サシャ・ブラウスとして、僕の話を聞いてほしい。エレンは―――――・・・・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
- 98 : 2015/05/06(水) 00:33:15 :
- 期待です!
-
- 99 : 2015/05/06(水) 01:13:23 :
- 期待ありがとうございます!
最後まで一気に上げていきます!
-
- 100 : 2015/05/06(水) 01:15:07 :
翌日、エレンは送検されるために、拘置所を後にすることになった。
ジャン「なぁ、ちょっといいか?」
エレン「・・・・・・何だよ?」
ジャン「最後に・・・・・・お前に面会の希望者がいるんだ。この部屋の中で待ってる。」
エレン「・・・・・・そうか。」
―――――なんとなくわかった。
部屋の中で、誰が待っているのか。
手錠をはめられたエレンが、部屋の中に入っていった。
-
- 101 : 2015/05/06(水) 01:15:33 :
-
アルミン「やぁ・・・・・・ちょっと、やつれたね。」
エレン「・・・・・・まぁな。」
お互いに机に向かい合って座った。
静かに、僕のほうからエレンにしゃべりかける。
アルミン「これから君に聞かせたいのは、僕の仮説だ・・・・・・この事件についてのね。」
エレン「そうかよ・・・・・・。」
意を決して、僕は語り始めた。
-
- 102 : 2015/05/06(水) 01:16:55 :
-
アルミン「一見すると、エレンがアニにストーカーを働き、アニにまとわりつくダズを君が殺したように見えるこの事件。」
アルミン「でもこの事件の裏には、隠されたもう一つの事件があった・・・・・・幾何の問題と見せかけて、実は関数の問題。皮肉にも、君のその言葉で気付かされたよ。」
エレン「はは・・・・・・本当に皮肉だな。」
アルミン「・・・・・・君のアリバイトリックは完璧だ。」
アルミン「アニにとっては不思議だっただろう。なぜみんな11月10日 のことばかり聞くのかってね。」
アルミン「なんせ、アニがダズを殺してしまったのは11月9日 の夜だったんだから。」
アルミン「そう、君は・・・・・・アニのアリバイを作るため――――・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・何の関係もない人間を殺し、ダズの死体に仕立て上げたんだ。」
-
- 103 : 2015/05/06(水) 01:17:56 :
エレン「」
アルミン「恐らく君は、身元の割れないホームレスにお金を握らせたんだろうね。」
アルミン「そのホームレスにレントルームをダズの名前で一日を過ごさせ、自転車で河川敷に呼び出し、こたつのコードで首を絞めて殺害した。」
アルミン「そして、石でホームレスの顔を潰し、指紋をバーナーで焼ききった。」
アルミン「普通ならこう思うだろうね・・・・・・身元を分からせないように細工をするためだって。でも実際は違った。」
アルミン「自転車にあえて指紋を残し、発見を早めさせ、死体のすり替えに意識をいかせないようにしたんだ。」
-
- 104 : 2015/05/06(水) 01:18:52 :
エレン「」
アルミン「発見された遺体は無事ダズと誤認された。でも、君の工作はまだ終わらない。」
アルミン「あの出来過ぎたアニのアリバイもその一つ。」
アルミン「まずはアニに疑いの目を向けさせ、鉄壁のアリバイが成立したところで、アリバイのない君がダズ殺しの真犯人として浮かんでくるように仕向けた。」
アルミン「僕も君の心理操作に引っかかったよ。僕も君がダズ殺しの犯人だと半ば盲信していた。」
-
- 105 : 2015/05/06(水) 01:19:43 :
アルミン「そして、君のストーカー行為。それすらも伏線だろう?」
エレン「」
アルミン「君は自分の嫉妬心すら利用して、さも自分がダズ殺しの真犯人であるかのように振る舞ったんだ。すべては―――――・・・・・・
・・・・・・・・・・・・アニのアリバイを成立させて、自分が罪を、被るためにッ!」
アルミン「・・・・・・・・・・・・これが僕の仮説だよ、エレン。」
-
- 106 : 2015/05/06(水) 01:20:48 :
エレン「・・・・・・仮説は、実証して初めて定説になるんだろ? その証拠はあんのかよ?」
アルミン「・・・・・・ないよ。君のアリバイトリックは完璧だった。」
エレン「・・・・・・話にならねえな。ジャン、もういいぜ、話は終わったからよ。」
部屋の外で待機していたジャンに話しかけ、ゆっくりと立ちあがった。
去り際に、エレンは呟いた。
エレン「仮に、別の死体が浮かんできたとしても、発見される頃には俺の裁判は終わってる。アニが裁かれることはない。」
アルミン「・・・・・・・・・・・・残念だよ、エレン。君のその素晴らしい頭脳を、こんなことにしか使えなかったなんて。」
部屋の外に出て、エレンはこっちを振り返った。
エレン「・・・・・・・・・・・・そんなこと言ってくれんのは、お前だけだよ、アルミン。」
アルミン「!!! 待ってエレン、どうして君はそこまで――――――バタンッ!!!
-
- 107 : 2015/05/06(水) 01:22:22 :
――――――ジャンとサシャに先導されて、俺は拘置所の廊下を歩き出した。
外から差し込んでくる光が眩しい。
-
- 108 : 2015/05/06(水) 01:22:55 :
拝啓 アニ・レオンハート様 ミーナ・レオンハート様
エレン『・・・・・・よし。』
セミの鳴き声が喧しかったあの夏の日・・・・・・俺は自分の部屋で、首を括って死のうとしていた。
生きていても・・・・・・辛いだけだと思ってた。
丁度その時だったんだ。
ピンポーン!
アニ『ごめん下さ~い!』
引っ越しの挨拶をしに、お前らが現れたのは。
-
- 109 : 2015/05/06(水) 01:23:25 :
アニ『初めまして。隣に引っ越してきたアニ・レオンハートです。』
ミーナ『ミーナです。これ、つまらないものですが、受け取ってください。』
久しぶりに・・・・・・胸がときめくのを感じた・・・・・・。
俺は・・・・・・なんで今・・・・・・死のうとしていたんだろう?
この女 を・・・・・・守りたい。
今度こそ・・・・・・大切な人を・・・・・・守りたい。
-
- 110 : 2015/05/06(水) 01:24:13 :
それから俺は、アニに会うために弁当屋にも通ったし、ミーナに乞われれば、数学を教えてあげたりもした。
とても・・・・・・充実していた・・・・・・。
幸せだった・・・・・・。
事あるごとに窓を開けて、二人の声に耳を傾けていた。
そのたびに、想いは募った。
アニ・・・・・・ミーナ・・・・・・
あのベルトルトとかいう男なら、お前らを幸せにしてくれるだろう。
だからどうか・・・・・・幸せになって欲しい。
・・・・・・お前らの幸せが・・・・・・俺の、幸せだから・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・エレン・・・・・・。」
-
- 111 : 2015/05/06(水) 01:24:59 :
エレン「・・・・・・えっ!?」
思わず振り返ると、そこには・・・・・・
アニ「ごめん・・・・・・なさい・・・・・・私だけが・・・・・・幸せになんか、なれないッ!」
エレン「・・・・・・・・・・・・何言ってんだよ・・・・・・アニ?」
-
- 112 : 2015/05/06(水) 01:25:39 :
-
アニ「サシャから全部・・・・・・聞いたんだッ!」
エレン「・・・・・・はは・・・・・・・・・・・・あはは・・・・・・・・・・・・」
それは、天才エレン・イェーガーただ一つの・・・・・・誤算だった。
アニ「私も・・・・・・罪を償うからッ!」
エレン「どうして・・・・・・・・・・・・どぉしてぇぇぇぇぇッ!!??」
アニ「ごめんなさいッ!!!」
膝をついて、アニが涙を流し始めた。
-
- 113 : 2015/05/06(水) 01:27:01 :
エレンは一瞬空を仰ぎ、そして、がっくりと膝をついた。
エレン「あぁああぁぁ・・・・・・うわあああぁぁあううぅぅ・・・・・・あぁぁあぁぁぁぁぁああぁぁッ!!!」
それは、降り積もった悲しみを、すべて吐き出すような慟哭だった。
警官が彼を車に乗せようとすると、ジャンがそれを制止した。
ジャン「せめて・・・・・・泣かせてやってくれ・・・・・・・・・・・・頼むから・・・・・・・・・・・・」
かくいうジャンの頬も、濡れていた。
-
- 114 : 2015/05/06(水) 01:27:42 :
僕のいる部屋まで、エレンの慟哭は聞こえてきた。
・・・・・・分かってたんだ。
僕が真相を暴けば、エレンが守りたかったものを・・・・・・無にしてしまうって・・・・・・・・・・・・
どうか・・・・・・僕を・・・・・・許して・・・・・・・・・・・・
アルミン「うう・・・・・・うぅぅうぅうぅ・・・・・・・・・・・・」
僕は、額をドアに押し当て、嗚咽を漏らすのを堪えることが出来なかった。
-
- 115 : 2015/05/06(水) 01:28:22 :
―――――大切な人を守りたい。
歪な純愛が生んでしまった悲劇は、慟哭と嗚咽の中に、幕を下ろした。
-
- 116 : 2015/05/06(水) 01:29:01 :
-
- 117 : 2015/05/06(水) 01:29:35 :
~数日後~
重い雲が垂れ込める寒空の下、大学構内のベンチに、僕はただ一人で座っていた。
―――――アルミン。
ふと、後ろから声をかけられた。
サシャ「・・・・・・アニが、殺害を認めました。ミーナちゃんも、殺人幇助の容疑で逮捕される方針です。ただ・・・・・・エレンは依然として、事実を否認しています。」
アルミン「・・・・・・そう、なんだ・・・・・・。」
-
- 118 : 2015/05/06(水) 01:30:27 :
まるで心を無くしたかのように、虚ろな表情をしているアルミンを見るのは、辛いです。
サシャ「隣・・・・・・座ってもいいですか?」
アルミン「・・・・・・座って、サシャ。」
アルミン「・・・・・・エレンは友情を利用し、僕を操ったけど、エレン自身は愛情に操られていたっていうのは、何だか・・・・・・皮肉なものだね。」
サシャ「どういうことですか?」
アルミン「もし・・・・・・僕が友情を知らず、エレンが愛情を知らなかったら・・・・・・僕はこんなに苦しまなかっただろうし、エレンは人を・・・・・・――――」
涙が出てきたことに気付き、僕は言葉を切った。
サシャ「・・・・・・でも、エレンは、アニを愛していたからこそ、生きていられたんだと思います。」
アルミン「・・・・・・何なんだろうね、人の感情って・・・・・・。人を救うこともあれば、裏切ることもある。時に僕らは、人形も同然に操られて過ちを犯してしまうんだ。」
サシャ「・・・・・・アルミンは、これからどうするつもりですか?」
-
- 119 : 2015/05/06(水) 01:31:39 :
しばらく考え込んだ後、少し悲しみをにじませた笑顔を作って答えた。
アルミン「エレンに・・・・・・会いに行くよ。・・・・・・心を、開いてくれるまで。だって、エレンは僕の・・・・・・
・・・・・・・・・・・・親友・・・・・・だから。」
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- 120 : 2015/05/06(水) 01:32:13 :
手の甲に、冷たい感触が走る。
サシャ「雪・・・・・・ですね・・・・・・。」
静かに・・・・・・積もり始める雪は、本格的な冬の到来を告げていた。
アルミン「・・・・・・僕の、研究室に来なよ、サシャ。」
サシャ「えっ?」
アルミン「・・・・・・コーヒーくらいは、淹れるからさ。」
そういうと、アルミンは立ち上がって、研究棟へ歩き始めた。
サシャ「はい。」
寂しく映る・・・・・・アルミンの背中を、サシャは追いかけた。
おしまい
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- 121 : 2015/05/06(水) 08:51:57 :
- 良かったですっ!!執筆お疲れ様でした!
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- 122 : 2015/05/06(水) 22:26:15 :
- >>121
読んでいただいてありがとうございます。
エレンとアルミン。親友同士の争い、そして、感情が今回のテーマでした。
進撃と容疑者Xの献身のコラボ。楽しんでいただけて良かったです。
次回は・・・・・・久しぶりにエレンを大活躍させるssを書きたいと思います。
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- 123 : 2023/07/04(火) 01:40:03 :
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2 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 16:43:56 このユーザーのレスのみ表示する
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16 : 2021年11月6日 : 2021/10/31(日) 19:01:59 このユーザーのレスのみ表示する
ちょっと時間あったから3つだけ作った
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36 : 2021年11月6日 : 2021/10/13(水) 19:43:59 このユーザーのレスのみ表示する
理想は登録ユーザーが20人ぐらい増えて、noteをカオスにしてくれて、管理人の手に負えなくなって最悪閉鎖に追い込まれたら嬉しいな
22 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:37:51 このユーザーのレスのみ表示する
以前未登録に垢あげた時は複数の他のユーザーに乗っ取られたりで面倒だったからね。
46 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:45:59 このユーザーのレスのみ表示する
ぶっちゃけグループ二個ぐらい潰した事あるからね
52 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 20:48:34 このユーザーのレスのみ表示する
一応、自分で名前つけてる未登録で、かつ「あ、コイツならもしかしたらnoteぶっ壊せるかも」て思った奴笑
89 : 2021年11月6日 : 2021/10/04(月) 21:17:27 このユーザーのレスのみ表示する
noteがよりカオスにって運営側の手に負えなくなって閉鎖されたら万々歳だからな、俺のning依存症を終わらせてくれ
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