このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品はオリジナルキャラクターを含みます。
この作品は執筆を終了しています。
risum maccus Et hariolantu cantes〜笑うピエロと歌うピエロ〜Episode of「ウタ」
- 東京喰種トーキョーグール
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- 38
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- 1 : 2015/04/19(日) 09:30:03 :
- 突然ですが、僕の好きな原作キャラクター
ウタについて書いたSSです!
原作キャラクターでも人形の高いウタですが、まぁ謎が多いこと!
そこで、自分が勝手に考えたものですがウタさんの過去について書きました!
ネタバレも含みます!
そこんとこ、よろしくお願いします!
-
- 2 : 2015/04/19(日) 09:32:43 :
- 雨の中、歌が聞こえる…
暗闇の中から…
激しく切ない…
それはまるで悪魔が歌っているかのよう…
しかし、それは悪魔などではなく
1人の少年だった
「やぁ、何を歌っているの?」
「…Song of mortem」
少年は答える
「僕も歌は好きだけど、聞いたことない歌だね」
「僕たちとおいでよ、名前は?」
「……ない」
「じゃあ、つけてあげる。
えっと……!そうだ!君の名前は、唄だ」
「ウタ……?」
「歌うから唄だよ。僕の名前は、スマイル。
よろしくね唄」
スマイルと名乗った男の目は赤かった──────
-
- 3 : 2015/04/19(日) 12:07:05 :
- わお。これは期待だ。最近ウタさん小物臭がしてるから。名誉挽回だ。
-
- 4 : 2015/04/19(日) 19:44:47 :
- ありがとうございます!
-
- 5 : 2015/04/19(日) 19:47:39 :
- 数年後──────4区とある廃屋のマンション
「〜♪〜♪〜♪」
いつもの陽気な鼻歌が後ろから聞こえてくる
「ウッタ〜ウッタ〜…ウタウタウタウタウタウタウタ」
「……」
「お〜い、ウッタん〜無視しないでよ〜ウター」
「…邪魔しないでよ、スマイルさん。手元がぶれる」
ウタと呼ばれた少年は陽気な男の方を振り向く
「だって、ウタが無視するからさー」
スマイルと呼ばれた男はウタの隣に座る
「…ねぇ、ウタ。また、ニコたちと喧嘩したの?ダメじゃないか、仲良くしないと」
ウタは無視して手元を動かしている
「……ウタ。何を作ってるの?」
「…マスク」
「え?マスク⁉︎見せてよ!」
「……はい」
ウタはマスクをスマイルに渡す
「おぉ!すごいじゃないか!うまいね!やっぱり、ウタは器用だね〜」
スマイルはマスクを試しに付けてみる
子供が作ったとは思えないほど、うまく出来た笑ったピエロのマスクだった
「それ…スマイルさんにあげる」
「え?いいのかい?」
「うん、元々スマイルさんへのプレゼントだし」
「ありがとう!ウタ!」
スマイルはウタに抱きつく
「……スマイルさん。苦しい」
ウタはスマイルを押し離す
「あぁ、ごめんよ。さぁ!皆のとこに戻ろう!」
「うん…」
スマイルはここ4区を仕切るボスだ
人望も厚く、強い
白鳩からも恐れられていた
そして、数年前に拾ったウタを自分の子同然に育てた
いつもニコニコして笑っていた
常時、赫眼だがその笑みは優しいものだった
「あ、ウーちゃんだ」
「イトリ…その呼び方やめろよ」
イトリと呼ばれた少女はクスクスと笑う
「ふふっ、照れてんの〜?かわいい〜」
「うっさい!」
「コラっ、ウタ。女の子に怒鳴っちゃだめだろう?」
「だって、こいつが…」
「え〜ん、ウーちゃん怖〜い」クスクス
「ってめ!」
「ほらほら、2人ともやめなさい」
「は〜い、スマイルさん」
「チッ」
「あ、ウタ!どこ行くんだ?」
「うるさいな、部屋だよ」
「ウタ!6時から会議すんの忘れんなよ!」
「わかってるよ」
ウタは部屋に入ると机に向かい自分の趣味であるマスク作りを始めた
ウタは元々、手先が器用であった
前に、スマイルがウタに作ってくれたマスクの出来には正直引いた
──────亀?
──────違うよ!ライオンだよ!
亀かライオンかもわからないほど下手くそだったので、仕方なく自分で作った
それを皆に見せると、自分にも作ってくれと注文が殺到した
褒められて悪い気はしなかったし、マスクを作るのは楽しかったので、それ以来4区の喰種のマスクは皆ウタが作っている
その時、スマイルは拗ねたがウタがマスクをあげると機嫌が直った
本当にこの人は子供だなと改めて実感した
-
- 6 : 2015/04/19(日) 19:50:30 :
- 気づけば、時計は5時55分を指していた
(あ、やば。遅れる)
ウタは急いで部屋を出て、会議室に向かった
会議室といっても、地下室に長机を並べただけだが
ガチャ
会議室に入ると4区の幹部5人とスマイルが既に椅子に座っていた
ウタが子供にして、この会議に参加出来る理由は、彼の実力が認められていることがあるからである
「あ、ウタ。遅いよ、もう皆いるよ」
「ごめん、マスク作りしてた」
「よう、ウタ。俺のマスクは出来たか?」
「芝丸さん。もう少し待って、あとちょっとで出来る」
「おう、わかったよ。楽しみにしとくぜ」
芝丸は、スマイルの右腕で4区のNo.2だ
もちろん強く、頭もキレる。
スマイルほどでは、ないが…
「じゃあ、会議始めるよ。今回は白鳩の動きについてだ」
室内に緊張が走った
「最近、隣5区で大規模な喰種討伐作戦があったのは知っているね?」
「あぁ、知っているがそれがどうし──」
「その作戦は失敗している」
室内がざわついた
「え?…いや、おかしい!テレビや新聞では成功に終わったと…」
幹部の1人が声を張り上げる
「表向きにはね」
「マジかよ…じゃあ、CCGは民間人に嘘の報道を?」
「あぁ、だが悲報はそれだけじゃない」
「どういうことだ?」
「……その、駆逐対象は今ここ4区にいる」
一瞬、何を言っているかわからなかった
「近々、ここ4区で秘密裏に駆逐作戦が開始される」
「…おい、待てよスマイルさん…じゃあ、ここ4区は……」
「……戦場になる、全面戦争だ」
「マジかよ……」
会議室の中には下を向く者、椅子に深く座り天井を見る者と様々だった
幹部達は現実を受け入れることを出来ずにいた、ただ1人を除いて
「…なんだよ、簡単じゃん」
ウタだった
「要するに、来たやつ全員ぶっ殺せばいいんだろ?CCGだろうが、その喰種だろうが。ここ4区は俺たちの場所だろ?」
全員の顔が上がり、活気付いた
「…そうだ!俺たちの場所だ!白鳩の好きにも他区の喰種にも好きにはさせねぇ!」
「おぉ!やってんやんぜ!いいこと言うじゃねぇか!ウタ!」
「おい、皆待ってくれ!」
スマイルが声を張り上げ、皆に呼びかけた
「皆…僕たちの方針を忘れたか?」
「…無駄な殺しはしない。殺しを楽しまない」
芝丸が答えた
「そうだ、僕たち喰種は人を食らい生きる。食らうということは命を殺すことだ。
殺すことは悪であり、罪だ。
そして、多くの恨みと憎しみを買う。恨みと憎しみは悲しみに繋がる。
いくら、人でも一つの命。一つの生命だ。
僕は、この4区と仲間たちが傷つくのは嫌だ。でも、無駄に命を奪うのも嫌なんだ。
だから今回の戦闘、無駄な殺害はやめてほしい…頼む。」
全員が納得したように笑った
「何、改まって言ってんだよ。
俺たちは元々、あんたに拾われ助けてもらった身だぜ?
そんな、あんたの頼みを断れると思うか?俺たちは、あんたに何があっても着いて行く、それだけだ」
芝丸の言葉に全員が頷く
「皆、ありがとう…」
「だよな?ウタ!」
「……あぁ」
いつも、ニコニコ笑うスマイルが優位つ笑わないときがある
それは、命を奪うときである
どんな者に対してもそうで、例え仲間を殺した敵でも悲しみを帯びた顔で、できるだけ痛みがないように瞬殺する
そして、その遺体に謝まる
「ごめんなさい」と───────ヌルい
なぜ、それほどの力を持ちながら戦いを楽しまない!なぜ、殺すことに快感を覚えない!なぜ─────────────
────────────ウタ、ウタ!
芝丸に呼ばれ我に帰る
「あ、ごめん。聞いてなかった」
「おい、しっかりしろよ。これから、戦闘だぞ?」
「うん、気をつける」
「作戦通り頼むよ、ウタ」
本当にうまくいくのか、この作戦…
-
- 7 : 2015/04/19(日) 21:55:37 :
- ─────────────数時間前
「しかし、スマイルさん。何か、考えはあるんですか?
いくら何でも、こんな大規模な戦いじゃ死人を最小限にするのは難しいんじゃ…」
幹部の1人が質問する
「いや、あるよ。うまく、いけば死人は1人もでないよ」
スマイルはニヤッと笑う
「え⁉︎マジすか!一体、どんな…」
「あぁ…例の駆逐対象がいるだろう?奴を利用する」
「奴を?居場所はわかってるんですか?」
「うん奴は今、山中工場跡にいる」
「山中工場?確か、数年前に閉鎖になったあのバカでっかい工場ですよね?」
「そう、その工場は第一から第三練に分かれていて奴は第一練に身を潜めている」
「身を潜めている?なぜ?」
「白鳩の攻撃で傷を負ったみたいなんだ。傷の再生のために身を潜めているらしい」
「そういえば俺、奴のこと知らないっす」
1人の幹部がそう言うと全員が頷く
「確かにそういえば…スマイルさん、奴はどんな奴なんですか?」
「え?知らなかったの?…奴の呼び名は《ドゥーパー》レートはSSS」
全員が凍りつく
「でも、傷を負っているし、うまくいけば無事に作戦は成功するよ。話を戻すね。
作戦を大まかに言うと、奴をここ4区から追い出す、殺さずに」
「なるほど!殺さず奴をここから追い出せば、白鳩は奴を追いかけ4区から去る…」
「でも、そんな簡単にうまくいくか?」
「詳しく説明する。奴にはこれを食べてもらう」ゴトッ
スマイルは机の上に袋で包まれた物を置いた
匂いからしてこれは─────────
「人肉だ、これを食べてもらう。でも、これはただの人肉じゃない。ある物を染み込ませた」
「染み込ませた?」
「Rc抑制剤だよ」
「なるほど。確かに食べれば、勝機は見えますがどうやって…」
「そこで…ウタ、君の力が必要になる」
「俺の?」
─うん、作戦を詳しく説明するとね……
まず、第一練にウタが1人で向かいドゥーパーに接触する
残りの僕らは、2班に分かれ第二、第三で待機
ウタの能力で奴に肉を食わせる
弱った奴に、僕ら2班で奴を囲み4区を出るように交渉する
───────交渉…ですか?奴が聞き入れますかね?
正直わからない…
でも、逃げるルートを提供すれば聞いてくれると思うし…奴もその状態では戦いたくないはずだ
もし、奴が肉を食わずウタを襲ったり、交渉が決裂した時…その時は…
戦うしかない、でも殺してはダメだ
弱らせ、白鳩に殺されるのを待つしかない……
どうだろう?やるかい?
「やりましょう!それしかない!」
「ウタもやってくれるかい?かなり、危険だから…断ってくれてもいい」
「それしか、ないんだろう?やるよ」
「ありがとう、ウタ。感謝するよ」
「で、俺の能力をどう使うんだ?」
「君には……女の子になってもらう」
「………えっ?」
-
- 8 : 2015/04/20(月) 00:24:21 :
- ……なんで俺はこんなカッコしてるんだ。
作戦のために、ウタに用意された服はワンピースにカーディガンと黒髪のウィングだった。
着るのに抵抗はあったが、吹っ切れ着てやった。
「くっ……ぶふっ」
「……お前ら、いつかぶっ殺す」
物陰に隠れて笑うイトリたちが鬱陶しい。
「ウーちゃん、そんな趣味あったの〜?」
横では芝丸さんたちが腹を抱えて笑う。
「……殺す」
「こら、ウタ!女の子に殺すとか言わない!」
「だってスマイルさん、あいつらが…あぁー‼︎テンメェ、イトリ!今、写真撮ったろ!消せ!」
「やっだよー」
ゲラゲラ笑うイトリを追いかける。
「ウ・タ・ちゃん♪www」
「ゼッテェ、ぶっ殺す‼︎」
「ウタ!何してんの、もう行くよ。」
「……くそっ!」
「キャハハハ、行ってらっしゃーい。
……ウタ!」
「んだよっ!」
「………死なないでね」
「死ぬかよ、俺が。行ってくる」
「皆、いいね?…行くぞ!」
「オォーッ‼︎」
三十人近くの喰種たちが喚声を上げる。
しかし、この時知るよしもなかった
この戦いから彼らの運命を大きく変えることとなることを──────────────
-
- 9 : 2015/04/20(月) 00:55:04 :
- ───────────山中工場跡第二練
作戦通り戦力が分散しないよう、
一班にスマイルと幹部一名、他十二名
二班に芝丸と幹部三名、他十五名
に分かれていた。
スマイルが無線で二班に指示を送る
〔こちら一班、スマイル。二班、芝丸着いたか?〕
〔こちら二班、芝丸。目的地点に到着しました。〕
〔よし、そのままウタから合図があるまで待機だ。〕
〔了解。〕
〔そこから、中は見えるか?〕
〔いえ、鉄骨などが邪魔で中は見えません。でも、確実に奴はいますね。〕
〔あぁ…奥からかなり強い赫子の鼓動を感じるね、これほどの鼓動…感じたことがない〕
〔弱っていてこれですもんね…。ウタは大丈夫でしょうか…〕
〔…ウタならやってくれるさ。もし、失敗してもウタには傷一つも付けさせやしない。あっ、ウタが出てきたよ。〕
物陰から、少女が出てきた。
綺麗な顔をしていて、小柄だ。
〔いつ、見てもすごいですね。とても、ウタには見えない…〕
〔…そうだね〕
ウタには、変わった能力があった。
それは、一度見たものの顔をコピーすることができる。
顔だけではない。声や癖、体格さえもコピーする。
コピーしたい人の情報を知れば知るほど、その人に近ずく。
いわば、コピー喰種。百面相の喰種である。
なぜ、そのようなことが出来るかは謎だが、赫子によるものだと言うことは間違いない。
少女は、ライトの光でこちらに合図をし第一練に入っていった。
死ぬなよ、ウタ─────────────
-
- 10 : 2015/04/20(月) 01:05:54 :
- 期待です、頑張って下さい!
-
- 11 : 2015/04/20(月) 01:47:59 :
- はい!ありがとうございます!
精一杯やらせていただきます!
-
- 12 : 2015/04/20(月) 20:11:22 :
- 有馬さんマスクから発想をえたかな?期待!
-
- 13 : 2015/04/20(月) 20:20:41 :
- はい!原作からヒントを貰いました!
-
- 14 : 2015/04/21(火) 19:53:10 :
- 私は顔だけ赫者で他は普通の喰種と同じだと推測していたのですが…コピー喰種…あなたの想像力には驚きました!期待です!
-
- 15 : 2015/04/21(火) 20:40:11 :
- ありがとうございます!
まだまだ、これからですよ(笑)
-
- 16 : 2015/04/23(木) 20:27:34 :
- ──────────山中工場跡第一練
第一練の中は不気味な冷気が充満していた。
────────────ハァ…ハァ…
歩いているだけで、息苦しくなる。
自分の呼吸が乱れているのがわかった。
ここにいるだけで、気がおかしくなりそうだった。
────────────くそっ…どこだ
全然、見つからない。
でも、いることは確かだ。
さっきより、冷気も増した気がする…
工場の中はかなり広く三階まであり、当時の機械などがそのままにされ、割れた窓ガラスが散乱していた。
三階に上がると確信した。
────────────奴はこの階にいる
奥へ、またその奥へ進むと人の呼吸音が聞こえてきた。
─────────乱れた呼吸音、この匂いは…怪我をした時に出るステロイドと血。
奴は本当に傷を負っているのか…。
でも、油断大敵だ。相手はSSS、舐めない方がいい…。
点検室のような所を抜けると魔釜がしい殺気を感じた。物陰に身を隠し様子を伺った。
─────────────いた奴だ
しかし、意外だった。
もっとゴリラみたいにデカイ奴だと思ったが、細身で長身だ。
髪は目が隠れるぐらい長い…不気味な奴だ…
さぁ、どういくか…
その時、ウタはうっかりガラスの破片を踏んでしまった
周りに音が響いた
─────────ヤバい!気づかれ…
「おい」
ビクッ‼︎
少女の身体は震えた。まるで、首に刃を突きつけられた気分になり、全身から刺さるように汗が噴き出した。
恐る恐る、振り返る。すると、そこには身の丈二mほどの長身の不気味な男が立っていた。
こ、こいつ、いつの間に後ろに⁉︎
「あ?餓鬼?……お前、喰種か。とっとと失せろ、殺すぞ。」
殺すぞ その一言で全身が震え、悪寒が走った。これがSSSレート…
しかし、逃げ訳にはいかない。
「お、お兄さん、怪我…してるの?」
声が裏返りそうになったが、なんとか言葉を発した。
「うるせぇ、失せろ。殺すぞ!」
チッ…それしか言えねぇのか、ボキャブラリーのねぇやつ。
肉食わせれるかな…
「私…お肉持ってるよ?」
「!…本当か?」
「う、うん。食べる?」
「…あぁ、よこせ」
少女は肩にぶら下げたカバンから肉を取り出し、差し出した。ドゥーパーは警戒することなく肉を取った。
…よし!これで作戦成功だな。
あとは、スマイルさん達に…
「おい」
「え?」
次の瞬間、少女の視界は真っ暗になった──
-
- 17 : 2015/04/23(木) 21:27:33 :
- ─────────────第二練
スマイルは時計をチラチラ見て落ち着かない様子だった。
くそっ…遅い、ウタはどうなってる…
ここから、中は見えないし……
「スマイルさん」
「どうしたんだい、キジくん?」
キジはスマイルの班の《耳》の役割だった。
喰種の筋力は人の四倍〜七倍あると言われているが、他にも五感が優れている。
もちろん個体差もあり、あまり優れていない者もいれば、五感全て優れている者もいる。
スマイル達は班には一人ずつ、嗅覚に優れた《鼻》、聴覚に優れた《耳》、視覚に優れた《目》がいる。
これにより、索敵能力の向上。警備の強化ができる。
「ハイ、三百m先複数の足音あり接近中。目と判断した結果、恐らく…白鳩かと…」
周りが騒つく。
「皆、落ち着くんだ。こうなったら、奴と白鳩を戦わせ、その間に退くよ。」
…予想していなかった訳じゃないが、タイミングが悪いな…
とりあえず、芝丸くんに…
その時、第一練から大きな物音がなった。
「ッ!ウタぁ‼︎」
─────────────第一練
「カハァ!…ゴホッゴホッ!」
「この餓鬼…舐めたことしてくれるじゃねぇか…俺が気づかねぇとでも思ったか?」
ドゥーパーは肉をウタの方に投げつける。
…くそっ気づかれた…とにかく、逃げねぇと…ッ!ヤベェ!今の腹蹴りで骨が何本か折れた!俺、再生遅せぇのに!動けねぇ!
「死ね」
ウタは死を覚悟した。
しかし、その時ガラスが割れる音と共にスマイル達が飛び込んできた。
「ウタ!下がれ‼︎」
「誰だ、テメェら…殺すぞぉぉお‼︎」
ドゥーパーの赫子がスマイルに繰り出されるが、躱し接近。
手に持っていた注射器をドゥーパーの目に差し込んだ!
「ぐあぁぁ!…ッあつい!テメェらぁあ!」
「退け‼︎」
スマイルはウタを抱え込み走りだす、それに続き全身が走る。
「おいっ!スマイルさんあいつに何を⁉︎」
「Rc抑制剤を直接目に流し込んだ!」
「じゃあ!なんで退く‼︎交渉は⁉︎」
「白鳩だ!近ずいている!このままじゃ、僕たちも危ない!」
「マジかよ…」
「ウタ!君のマスクだ!つけろ!」
スマイルはウタにピエロマスクを渡す。
「スマイルさん!出口です!」
「そのまま、走り抜けるよ‼︎」
しかし、彼らの足は止まった。
白のコート…アタッシュケース───白鳩だ
「ヤベェ!囲まれた!スマイルさん!」
「くっ…!」
〔HQ。こちら、鵜原副司令。ターゲットが潜伏していると思われる、山中工場跡に到着。しかし、中から複数体の喰種出現。率いているのはSSレート《ピエロ》。繰り返す、複数体の喰種出現。率いているのはSSレート《ピエロ》。戦闘許可を求む。〕
〔こちらHQ。戦闘を許可する。〕
「総員!戦闘態勢!相手はSSレート《ピエロ》だ!首を取れ‼︎」
「了解‼︎」
「スマイルさん…あいつら、やる気みたいですよ。」
「やむ得ない…全員、応戦しながら走り抜けろ!相手の数はおよそ二百!出来るだけ殺さず、武器を壊し無力化しろ!逃げ延びたら、アジトに集合!死ぬなよ!」
「オオォウ!」
「総員、構えろ!来るぞぉ!」
「行くぞぉぉお‼︎」
ウオオォォ─────────────
-
- 18 : 2015/04/23(木) 22:58:36 :
- 両者がぶつかり、悲鳴と金属音が響く。
スマイルはウタを抱えながら素手で応戦する。
「スマイルさん!下ろせ!大丈夫だよ!」
「でも!」
「フッ!」
スマイルの後ろから白鳩の攻撃!
「ッ!ウラッ!」
ウタの赫子─────────二本の鱗赫がクインケをなぎ払った。
「ウタ!」
「なっ?大丈夫だろ?」
「すまないな」
「いいよ、別に。背中は任せろ」
「…あぁ、頼んだよ」
「あれがピエロか、強いな」
「二体いたとは…」
「取り囲め!奴らを逃がすな!」
「チッ…うるせぇ奴らだな‼︎」
「ッ!」
小さいピエロの二本の赫子は重く、何人かの捜査官を吹き飛ばした。
クインケが壊れ、倒れた白鳩にトドメを刺そうとした。
「ウタ!ダメだ!」
「どうして、」
ウタはスマイルの目を見て言いかけていた言葉を飲み込んだ。汗が出た。
「…ッわかったよ!」
ウタは倒れた白鳩から離れた。
──────────あぁ、殺してぇ
ウタはムズムズしながらも白鳩と対峙する。
その時、右目で捉えた。スマイルの後ろを。
「スマイルさん!あぶねぇ‼︎」
「ッ!」
ガキィィンッ‼︎
スマイルはとっさに赫子を出しクインケを防ぐ。
「ほうっ…羽赫か」
「ぐっ!」
両者が距離を取る。
「鵜原さん!」
「全員、待機だ」
「…ッ!ウバラだと!」
「知ってんのか?芝丸さん」
「あぁ、有名な特等だよ…こいつにかなりの同胞が殺られた…」
「特等⁉︎マジかよ!スマイルさん!」
「大丈夫だ!下がってろ!」
「フン…行くぞ!」
鵜原が接近──大剣型のクインケを振るう!
───────────勝負は一瞬!
スマイルも赫子を繰り出す!
ガァァッン‼︎
金属音と共に鵜原のクインケが散った!
「くっ…」
「フゥ…ごめんなさい…」
……甘い。倒した相手にごめんなさいだと…あんたは、ヌルすぎるよ。スマイルさん………ッ!
鵜原はまだ諦めていなかった。
体勢を立て直しスマイルに襲いかかる。
「スマッ…チッ!」
次の瞬間、鮮血が飛び散った。
ウタの赫子が鵜原を貫いていた。
「ふガァァッ!」
「ッ!ウタぁ‼︎」
「スマイルさん!あんたは甘ぇんだよ!」
そう言うと、ウタは次々に白鳩を殺していった。
悲鳴が飛び交う。
「ウタ!やめろ‼︎殺すな!退け!」
「ウラァ!死ね!虫どもがぁぁ‼︎」
「貴様ぁぁ!アギッ!」
一人また一人と殺していく。
「あはははっ!死ね死ね死ね‼︎」
「ウタ!来い!」
芝丸などに抑えられる。
「離せよ!」
「今は退くんだよ‼︎」
「……ッチッ!わかったから、離せ!」
ウタ達は追われぬよう森林の中に逃げた。
「逃がすな!追え!」
しかし、人が喰種に走って追いつけるはずなく数体の喰種を逃がしてしまった─────
-
- 19 : 2015/04/25(土) 18:11:57 :
「カハァハァ……ハァ…ここまで…来れば…大丈夫でしょう…」
「み、皆大丈夫か?」
全員が息を切らし倒れ込んでいた。
「ハァ…ハァ…なんとか…」
「ハァ…ハァ…!スマイルさんは⁉︎」
「ここにいるよ」
茂みの中からスマイルとウタが出てきた。
「良かった…二人とも無事だったか…」
「何人…生き残った?」
「………三十三人にいて…今ここにいるのは九人です…」
「…………そう……か…」
スマイルはしばらく下を見た後、ウタの方に歩み寄った。
「ウタ」
「なん…」ドガァ!
スマイルはウタを殴り胸ぐらを掴んだ。
「す、スマイルさん!何を⁉︎」
「いってぇな、何すんだよ」
「……ぜ……ろした…」
「あ?」
「なぜ殺した‼︎」
「あんたを助けようとしてだよ」
「殺す必要はなかったろ‼︎」
「…チッ!あんたは甘ぇんだよ‼︎これは戦いだろうが!殺しあいだろうが!生きるか死ぬかだ!殺したくないだ?知るか‼︎テメェの願望だろうが!それに他人を付き合わせんじゃねぇよ!」
ウタはスマイルの手を振りほどいた。
「お、おい、ウタ!どこ行くんだよ!」
「先に帰る!」
ウタはそう言うと茂みの中に消えていった。
「スマイルさん…」
「…大丈夫……さぁ、皆ウチに帰ろう」
その日の空には綺麗な満月があった─────
-
- 20 : 2015/04/25(土) 21:28:40 :
- ─────────────戦いから三日後
風の噂で、ドゥーパーが白鳩に討伐されたことを聞いた。
あの戦いで二十四人が死に4区の戦力は半分以上に削られた。
そのだけでなく、白鳩にも目をつけられるなど、追い討ちをかけるように4区に災難が降りかかった。
─────────────「ウタは?」
スマイルが窓の修理をしていた芝丸に聞いた。
「まだ…部屋にこもってます。持っていった肉もまだ部屋の前にありましたし…」
「そう…ありがとう。」
────────────スマイルさんに殴られた時、殴りかえすことができなかった…とても、無理だった。
あの目…何度か見たことがある…
強い恐怖を感じた…全身が凍りつき汗も出た…
戦闘の時もそうだ…ウバラを倒した時…
あれは…ほんの一瞬だったが
笑って…た……?
スマイルさん…あんた一体………
コンコン
ドアのノック音で我に返った。
「ウタ」
スマイルの声に一瞬、冷や汗をかいてしまった。
あの時から、なぜかスマイルさんが怖い。
『なぜ』ではないか…理由はわかってる。
「開けてくれないか?」
無視して、布団に包まった。
「…そうか。じゃあここで話そうかな」ヨイショ
スマイルはドアの前に座り話し始めた。
「…お肉…食べてないんだって?ちゃんと、食べないと大きくなれないよ?」
「…」
「…ウタ。僕は君に生きて欲しいんだよ。他の皆もそう」
「…」
「…喰種は食らうたびに命と向き合わなければならない、そして骸の上を平気で歩けるほど、心は強く出来ていない。だから…感情を殺す。一つの自己防衛さ。そうやって生きてきた喰種は命の価値を忘れ、ただの化け物になってしまう」
「…」
「僕は……君に命の価値を忘れて欲しくないし、化け物にもなってほしくない」
「…」
「君は僕の息子であり、喰種だ。それだけは変わらない」
「…」
「こんな言葉を知ってるかい?ラテン語だけど…」
『Nec possum tecum vivere,nec sine te.』
意味は…
『私はあなたとともに生きてはいけない──私はあなたなしでは生きていけない』
「わかり合うのは難しいよ、でも生き合うのはもっと難しい。だから、わかって欲しい。君は…美しく生きてくれ」
……俺は馬鹿だ。スマイルさんはこんなに俺のことを考えてくれていた、なのにスマイルさんを疑ってしまった。信じようとはしなかった。俺は…
「…スマイルさん」
「ん?」
「俺は…」
その時、彼らの第六感に近いものだろうか、しかし確実に感じ取った。
奴らだ────────────白鳩だ
-
- 21 : 2015/04/25(土) 22:10:09 :
-
「ウタァ‼︎」
バァンッ!
ウタは部屋を飛びたし、先に走るスマイルに続いた。
「スマイルさん!」
「キジくん!」
ちょうど、キジも彼らを探していたようだ。
「キジくん、数は⁉︎」
「およそ百、囲まれています!」
「マズイな…皆は⁉︎」
「エントランスホールに全員集まってます!」
「よし、急ぐぞ!」
三人がエントランスホールにつくと、芝丸たちが机などを積み上げ、バリケードを作っていた。
「芝丸くん!けが人はいるか?」
「ッ!スマイルさん!大丈夫です、全員無事です……しかし、ここは完全に囲まれてます、こんなバリケードじゃ足止めにもならない…」
「芝丸さん!奴らこっちに銃口を‼︎」
「どうする‼︎」
「ここは皆で立ち向かえば…」
「バカ!あの数じゃ無理だ!」
「じゃあ、どうするんだ!」
全員が怒りと恐怖で焦っていたがその時、スマイルが口を開いた。
「…皆、集まってくれ考えがある」
全員が静まり、スマイルを中心に円を組んだ。
「このままでは、危ない。だから…僕が囮になり奴らを引きつける。その間に、芝丸くん。君が皆を連れて地下道から5区に逃げてくれ」
「なっ⁉︎」
皆が反対した。あの数は無理だ、死んでしまうと。
「スマイルさん…出来ません。いくら、あなたでも無理だ。」
「これしかないよ」
「ッ!じゃあ!俺も残ります!俺はスマイルさんに一生ついていくって決めてんだ!だから…」
スマイルは微笑み、芝丸の肩に手を置いた。
「君は強い。その強さで皆を守ってくれ。お願いする」
スマイルは深々と頭を下げた。
「くッ…わかり…ました」
「ありがとう」
「……スマイルさん、任せてください!全員無傷で逃しますよ!」
「あぁ、頼んだよ。僕も片付いたらすぐに追う」
「よしっ、皆しっかり付いて来いよ!」
「…スマイルさん」
「なんだいウタ、不安かい?」
「当たり前だろ…あの数じゃ…もし死んだら…」
「僕が死ぬと思う?」ニヤッ
「でも…」
「僕なら、大丈夫…またあとでね」
「ウーちゃん、早く!」
「ほら、早くいきな。イトリは君が守るんだよ?」
「うん」
「いい子だ」
スマイルはウタにニッコリ笑った。しかし、その笑顔は余りにも寂しそうだった。
「スマイルさん…行ってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
スマイルはそう言うと、光の中を歩いていった…
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- 22 : 2015/04/25(土) 22:31:10 :
- ───いつだって、死ぬのは怖くなかった。
ただ…まだ死にたくなかった。
僕には、やることがある。
いや、やらなければならない。
だから…例え、何百の敵だろうが、四肢をもがれようが、生きる。
絶対に───────────────
〔HQ。《ピエロ》を発見。これより、討伐作戦を開始する〕
〔了解。慎重にかかれ。〕
『総員、クインケを展開!敵はたった一体。確実に仕留めろ‼︎』
『ハッ‼︎』
────────────よし、行くか
「よし、スマイルさん。行くか!」
「ウタ⁉︎なんでいる!早く、戻れ!」
「やだよ。まずさ、あんな顔で大丈夫って言われても不安だよ。あんたは、笑顔が取り柄だろ?しっかり、しろよ」
「うっ…でも、もし死んだら…」
「俺が死ぬと思う?」ニヤッ
「たく…とんだドラ息子だよ」
「へへっ…悪りぃなスマイルさん、着いてきて。余りにも、イトリが大丈夫そうだったんでな」
「いや、謝るなよ。君が決めた道だ。後悔はするなよ?」
「あぁ、しないよ。俺の道だ」
「よし…三十分だ、三十分耐えるぞ」
「おう!」
「終わったら、イトリに謝りなよ?」
「謝るな、謝れ、どっちだよ…」
「ハハッ、それもそうだな。よし、じゃあ」
「────────────行くぞ‼︎」
『ウオォォッ‼︎』
二人のピエロが白鳩の群れに飛び込んだ
-
- 23 : 2015/04/28(火) 22:53:50 :
「くっ…こいつらバカか⁉︎」
「たった、二体で何が出来る!」
「たかが、二体でも出来ることはあるよ」
スマイルは羽赫を矢状にし大量に発射する。
「防げ‼︎」
ガッガッガッ!
轟音と共に辺りを蹴散らす。
「ッ…つ、強い」
「シッ!」
怯んだ白鳩に高速接近し蹴りを放つ。
スマイルの放たれた蹴りはクインケをもへし折る。
「ッ!こいつ…《不殺のピエロ》か!気をつけろ!クインケを狙ってくるぞ!」
「じゃあ、こっちが鵜原特等をやった《必殺のピエロ》!」
「そういうこと…だぁ‼︎」
ウタの赫子は辺りを蹴散らし、白鳩を吹き飛ばす。
「まぁ、もう殺さねぇけどな」
「ッ!ウタ!後ろ!」
「フッ!」
「ぐうぅぅ!」
白鳩のクインケが脇腹を捉え、ウタは片膝から崩れ、その間に取り押さえられてしまった。
「ウ─────!」
言葉の途中で白鳩のクインケが繰り出されるが飛んで回避する。
くそっ、敵が多すぎる。このままじゃ…
この時、スマイルはらしくないことをしてしまった。
戦い慣れ、戦いを熟知している彼の凡ミス。
多数の白鳩相手の時、飛んで攻撃を回避してはいけないことを────────────
ダッダッダッ‼︎
白鳩の羽赫のクインケがスマイルに発射される。
「ッ‼︎…ふぐっ‼︎」
何発か当たってしまったが、致命傷ではない。
地面に受身をして着地。
しかし、数発の内の一発が足に当たっていたせいで、着地がブレてしまった。
しまっ───────────────
複数のクインケがスマイルの体を貫通し、左腕が斬り落とされる。
「アアァァッあぁッ‼︎」
鮮血が花火の様に打ち上がり、スマイルは片膝から倒れた。
「ぁぁ──────────ッ‼︎」
声が出なかった、出せなかった。
やっとの思いで声を振り絞った。
「スマイルさん!─────ッどけよ!」
ウタは取り押さえていた白鳩を赫子で吹き飛ばし、スマイルに駆け寄る。
「通すなっ!止めろぉ‼︎」
何十ものクインケの中を切り抜けようとするが叶わず、全身から血が噴き出し崩れ落ちた。
「ガハァ…ハァ…ハァ…ハァ…」
「無様だな」
一人の白鳩が近ずいてきて、ウタの首元にクインケを突き付けた。
「たった二体のゴミが、我々に敵うわけないだろう」
そう言うと、クインケでウタのマスクを剥がした。
「ん?…なんだ思ったより若いな」
「あんたは、加齢臭がここまでするぞ?」
「フンッ…まだ、戯れる余裕があるか。まぁいい、せめてもの情けだ。辞世の句でも聞いてやろう」
「…ねよ……が」
「ん?」
「死ねよ、クソが‼︎」
「フンッ……死ねっ‼︎」
白鳩はクインケを振りかざした─────
-
- 24 : 2015/05/03(日) 00:20:29 :
-
────────────────ヒュンッ!
その時、何かが空を切る音の直後に悲鳴が聞こえた。
恐る恐る目を開けた。
そこには、白鳩が倒れていて転がり回っていた。
「あぁぁぁ──────ッ!腕がぁぁ‼︎」
男の両腕はなかった。
白鳩達は動揺していた。
しかし自分はすぐに理解した。
「ッ‼︎スマイルさん!」
安心した。しかし、只ならぬ違和感。そして、疑問。
何かおかしい……
「あんた…誰…だ?」
口を開かず、ずっと立っている男に問いた。
すると、男は奇妙な笑みを見せた、悪寒が走る。
『やだなぁ、ウタ…僕だよ、スマイルだ』
その笑みは恐ろしく、全身から刺すように汗が噴き出した。
体が凍りつき動かなかった、いや動けなかった。
しかし、白鳩達の対応は早い。
「まだ、生きてるか!このゴミめ!」
何人かの白鳩がスマイルを取り囲んだ。
「慎重にかかれ!奴の傷は完全には再生していない…」
『なら、何?僕を殺せるの?この僕をさぁぁぁぁぁぁ‼︎』
スマイルの高速移動に白鳩が追いつけるはずも無く、次々と血しぶきが舞う。
『アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼︎弱ェー弱ェー!皆んな、ミンチになぁーれ♪』
血しぶきが霧のようになり、悲鳴が飛び交う。
そこは、まるで地獄絵図だった。
しかし、ウタはその光景に高揚した────
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- 25 : 2015/05/03(日) 10:48:08 :
- スマイルさん…
-
- 26 : 2015/05/03(日) 14:20:11 :
- 最初は嘘かと思った。
でも、赤い花が咲くたびに実感する。
これは、現実だと。
赤い花は咲いてはすぐに枯れた。
そして、それは花などでは無く「死」であった。
その花は哄笑する悪魔が咲かせていく。
一つ二つと…
その悪魔は紛れも無く、スマイルであった。
なぜだ、スマイルさん…あんたは────
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- 27 : 2015/05/03(日) 16:48:54 :
- ────────────ここはどこだ?
暖かい…
いい匂いがする…
とても、懐かしい感覚…
────────────────ッ
なんだ、誰かが…呼んでる?
────────────────…さ…ん
聴き覚えのある声…
──────────────す…るさん
君は…
────────────スマイルさん!
ウタ…?
彼は暗闇の中から光が差したような感覚だった。
目の前には、少年が立っていた…
そして、自分の周りには
おびただしい量の────────肉塊が
「これ…は?……ッ!これは一体⁉︎」
スマイルの体は返り血で真っ赤になっていた。
倒れているのは、白鳩たちだった。
『これ…を……俺が…ち、違う!僕じゃない!俺だ!僕は……僕はぁぁぁ!消えろよ!俺のだ!僕だ‼︎消えろ、消えろ、消えろ、消えろ、消えろ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよ消えろよぉぉぉぉぉぁ‼︎』
スマイルは自分の頭を地面に叩きつけ続けた。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい‼︎ッ楽しかった‼︎なぶり殺してやった!バラバラにしてやった!あははははははははぁ‼︎』
「スマイル…さん」
『……う……タ?』
「わかったよ、あんたのことが…やっと…」
『ウタ……違う違うよ、僕は…僕は…殺したかっただけだ……違う、何を言ってるんだ僕は……アッぁっ違うぅぅぅ‼︎僕はぁぁぁぁぁぁ!』
「スマイルさん…ありがとう」
『えっ?…ッ!』
スマイルは腹部に痛みを感じた、その直後に右の視界が暗くなった。左眼で捉えたのは、自分の腹と右眼に刺さるウタの赫子だった。
『ぐっ…ッ!ああァァっ!な、何をするんだ…ウタぁッ!』
「さぁ、何だろ…制裁かな?」
『どういう…』
「あんたは……今まで殺しを否定していたな。それは、自分を認めたくなかったからだろ?自分の中に潜む闇…もう一人の自分。それは、あまりにも醜い存在…
読めたよ。あんたが、自分を否定してまで殺しを禁じた理由。
償いだ。罪の償いのためにもう一人の自分を封じ、俺たち……いや、僕たちに強要した。」
『それは、認める…でも!』
「あんたは弱いな!」
『ッ!』
「甘いんだよ!何が、償いだ!そんな物、消えるわけないだろ!常にこの世界では死が飛び交っている。そして、生き残るは強者のみ!
世界は力だ!全ては、力で解決する‼︎
だから、安心しろ!スマイル!もういい!」
『え?……』
「弱者はいらない。僕が君になり、君が俺になる」
───────笑わないピエロはいらない‼︎
この日、僕は唄を捨てた──────
-
- 28 : 2015/05/03(日) 17:11:57 :
- 歌が聞こえる…
暗闇の中から…
激しく切ない…
それはまるで悪魔が歌っているかのよう…
しかし、それは悪魔などではなく
彼であった
「ッ!スマイルさん!皆んな、スマイルさんが帰ってきたよ!」
「本当か、イトリ‼︎」
「ほら、あそこ!」
両眼が赤く輝く彼は、こちらを見据えて歩んでいた。
「スマイルさん!」
皆が、彼に駆け寄った。
「スマイルさん!大丈夫⁉︎怪我は⁉︎…て言うかウタはどこに…」
「すまない、イトリ。僕だ、ウタだ」
「え?…なんで、スマイルさんの顔してるの?…す、スマイルさんは?」
彼女の瞳から涙が流れた。
崩れながら、ウタに問い続けた。
「スマイルさんは…僕を庇って死んだ…」
「そ、そんな……嘘だ…嘘だ…」
皆、泣き崩れた。泣き続けた。声が枯れ、喉が潰れるまで。
「僕は……ここに《ピエロ》を築く。スマイルのため、僕らのため」
全員が頷き、彼らの中の何かが変わった。
何かはわからないが、確実に何かが…
「ねぇ、ウタ…あなた、本当にウタなの?話し方もまるで…」
「何を言っているんだいイトリ。僕はウタだよ」
-
- 29 : 2015/05/03(日) 17:29:41 :
- 数年後────────────────
トーカ「ウタさん。喰種のマスク作ってくれる人」
ウタ「ウタです…」
カネキ(ピアスにタトゥー…すごい見た目だな…怖い…)
「カネキです…よ…よろしくお願いします…」
ウタ「きみが芳村さんが言ってたコか…」クンクン
カネキ「…⁉︎」
ウタ「…匂い、変わってるね。とても…」
───────とても、おもしろくなりそうだ
end.
to: No.Face
-
- 30 : 2015/05/03(日) 18:52:03 :
- 最後まで、ご愛読ありがとうございました!
Mr.Eです‼︎
いかがでしたか?
僕の一番好きなキャラを元にしたので力が入りました!
でも、短編にしようと思ったのでちょっと大雑把になってしまったとこもありましたね(笑)
原作キャラの過去考えるのは、まぁー難しいですね。
その中でも、ウタさんやピエロのメンツは特に難しいです(笑)
まぁ、でも何とかなったんで良しとしましょう(笑)
ちなみに「Song of mortem」はラテン語で「死の歌」と言う意味です。
-
- 31 : 2015/05/05(火) 19:29:03 :
- 執筆お疲れ様でした!
東京喰種原作で少しだけ、ウタさんと四方さんの過去編が紹介されている以外は過去の掘り下げが少ないからか、ウタさんがメインのこのお話はとても新鮮に感じられました。
地の文も綺麗にまとまっていて読みやすかったです。乙でした( ´ ▽ ` )
次回作も期待です!
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- 32 : 2015/05/05(火) 19:59:36 :
- ≫31
ありがとうございます!
そう言ってもらえて嬉しいです!
次回作も頑張りますんで、応援よろしくお願いします!
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- 33 : 2015/06/17(水) 18:24:39 :
- 文章力たかすぎけんしん 羨ましいです。
あ あとすごい面白かったです
-
- 34 : 2015/06/17(水) 18:59:01 :
- >>33
ありがとうございます!
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