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素敵な世界で踊りましょう-アニ・マルコ-
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- 1 : 2015/03/31(火) 02:15:28 :
- 25作目です。
104期生卒業前のお話。
2000年の記憶シリーズ(http://www.ssnote.net/series/1973)
の本編です。
最初の方は『104期3月誕生会』(http://www.ssnote.net/archives/33124)
の続き
途中からは『無自覚プレゼント』(http://www.ssnote.net/archives/33291)
の続きとなってますのでご注意ください!
誤字や脱字などあればご指摘お願いします。
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- 2 : 2015/03/31(火) 06:05:42 :
- *〔可憐な女性が洗練された美女になる話〕
26日、3月生まれのためのパーティーが終わった夜。
ジャンとエレンは、先にダンスのレッスンを終えていた。
残って指導を受けるアニはここまできて疑問を抱く。
「なんで私たちは踊ってるの」
「ふふ、これは秘密だけど……エレンの誕生日にアニと踊ってもらおうと思ってね」
「はぁ……」
興味なさげにため息をついたが
「……はぁ!?」
頭の回転が追いついたのか、今度は意味がわからないといった声をあげた。
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- 5 : 2015/03/31(火) 13:54:44 :
- 「今日の誕生日会、サプライズって話だったんだけどエレンには全然サプライズじゃなくてさ」
「エレンの誕生日当日にダンスパーティーを開こうって話になったんだ」
きっと104期の上位の中では一番優しそうな顔をもつマルコは、それこそ優しそうににこにこと笑った。
「あ、だからこのことはエレンに秘密ね! うまく話合わせておいて。約束!」
アニは約束が好きではない。
守れない可能性が高いからだ。
それに約束なんて1つでいい。
お父さんとの……
「……うん、わかった」
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- 6 : 2015/03/31(火) 22:30:45 :
- アニはちゃんと、エレンの誕生日までその約束を守った。
そしてダンスパーティーが終わって気がついたことがある。
「結局、あんた私と1回も踊ったことないよね」
「確かに。僕はアニと同じ踊りを教えてたからね」
エレンはもちろん、エレンと踊る前にジャンにも教えてもらいながら踊っていた。
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- 7 : 2015/03/31(火) 23:00:10 :
- 「アニは卒業前のプロム、やっぱりエレンと?」
「いや。誰とも約束してない」
プロムナードというのは自由参加であるし、何より男女のカップルで約束していないと踊りに参加できないのだ。
「あいつはミカサが誘うでしょ」
普通男から誘うものだが、エレンはきっと誰も誘わないだろうし誘われたら誰とでも踊るだろう。
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- 10 : 2015/04/01(水) 01:19:07 :
- 「いいの?」
「何が?」
「この間のエレンとアニの踊り、すごかったよ。なんていうんだろう……1つになってた」
「なかなかないよ。あんな短期間の練習であそこまで息が合うなんて」
マルコのベタ褒めに、アニは顔を下に向けた。
「私は、誰かに誘われることも誘うこともないよ」
「それに私が踊りを覚えたのはエレンの誕生日のため。舞踏会のためじゃない」
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- 11 : 2015/04/01(水) 02:49:57 :
- 「……あ!」
唐突に大きな声を出したマルコに驚いて、びくりと肩を上下させた。
「アニ」
そしてマルコは跪く。
「マルコ……?」
棒立ち状態のアニの手を優しく取り、手の甲にキスをした。
「僕と、プロムで踊って頂けませんか?」
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- 14 : 2015/04/01(水) 23:45:23 :
- 「アニ!」
「よう、おはよーさん」
「はい、ここに座ってね」
「よろしく……お願いします」
プロム当日、クリスタにメイクを施してもらいながらユミルに髪型をいじってもらうという約束をしていた。
「約束、ね……」
「あ、動いちゃダメ!」
アニは心でごめんなさいと謝る。
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- 15 : 2015/04/02(木) 08:15:46 :
- 「はい、出来上がり!」
「こっちも終わってるぞ」
2人は手際よく終わらせ、送り出す。
「ありがとう。着替えてくる」
「うん! いってらっしゃい」
「……あいつも変わったな」
「ふふ、そうだね。今はどのアニなのかな……」
「ま、私はクリスタ一筋だけどな!」
「もう、やめてよユミル~」
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- 18 : 2015/04/02(木) 21:54:51 :
- ドレスを着て、化粧もヘアメイクもした鏡に映る自分を見る。
そしてため息をついた。
「……私は、何をやってるんだろうね」
狭いこの世界で開かれる舞踏会。
壁の中に囚われた人類。
そんな彼らと一緒に踊る私。
こんな茶番なんかに―――
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- 19 : 2015/04/02(木) 22:26:58 :
- グレーのタキシードと青のネクタイをしたマルコが、プロムのお誘いをした時のように跪く。
そして、優しく微笑んだ。
「お手をどうぞ」
……エレン。
あんたあの時言った言葉、マルコから教わったでしょ。
「……どうも」
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- 20 : 2015/04/02(木) 23:37:49 :
- パーティー会場にいるのは、着飾った訓練兵達だ。
様々な格好でそれぞれのダンスを踊る。
「今日のアニ、すごく大人っぽくて綺麗だね」
「褒めてもなにもないけど」
「本心だよ。洗練されて……“美女”って言葉がすごく似合う」
「……そう」
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- 21 : 2015/04/03(金) 02:10:09 :
- 初めてマルコと手を合わせたアニは驚いた。
「本当に踊るの上手だね」
なにも意識しなくても身体が勝手に動く。
彼に引っ張られ、それについていく。
ただそれだけなのに、とても心が弾んだ。
「それはアニに命を預けてるからだよ」
「は……?」
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- 26 : 2015/04/04(土) 00:02:56 :
- 「立体機動に全てを託して空を飛ぶ感覚。アニならわかるでしょ? それと同じだよ」
「パートナーに身を委ねろ、ってこと?」
マルコは優しく微笑んだ。
「うん、そういうこと」
「……いいよ、命を預けて、踊ってあげる」
この酷い世界で。
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- 29 : 2015/04/04(土) 15:01:56 :
- いつだったか、星を見ながらマルコとこんな話をした。
「アニ、この世界はとっても素敵だね」
私はそんなこと思わないけど
「なんで?」
だって、誰も私を必要としてない
「そんなことないよ。僕が必要としてる」
やめて
「アニがいるから、僕は自分が何をしたいのか、明確にすることができた」
そんなこと言わないで
「アニのおかげで、この世界が綺麗に見えたんだ」
それは間違いだ
「だから約束しよう。君はずっと前を向いていて」
ごめんなさい
「僕は絶対についていくから」
私は逃げるの
前を向くことから
約束から
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- 30 : 2015/04/04(土) 17:10:41 :
無事、解散式を終えた104期訓練兵達。
しかし待っていたのは兵科選択の日ではなく
5年ぶりに、壁が壊される日だった。
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- 31 : 2015/04/05(日) 23:58:27 :
- 「ごめんな、さい……」
内地に行くんじゃなかったの。
なんで勝手に死んでるの。
やっぱり約束は嫌いだ。
マルコ……
どうして、私をおいていったの。
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- 32 : 2015/04/06(月) 14:58:27 :
『ライナー、アニ。所属兵科を決める前に壁を壊そう』
『だな。解散式のあと、皆の気が緩んでる時にするのがいいと思う』
『……それが一番いいね』
「皆で、帰るために」
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- 33 : 2015/04/06(月) 16:06:31 :
- 彼が死んだのは、私のせいだ。
私が殺したようなもの。
だから、せめて
あんたが命を預けた立体機動装置を
憲兵に持っていくよ。
これで私についてくるって約束も
前を向くって約束も
果たせるでしょ?
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- 34 : 2015/04/06(月) 17:58:06 :
- 本当はこんなことに使いたくなかったけど……
あんたなら私をわかってくれるよね。
ごめんなさい、マルコ。
この世界は、酷くて素敵だね。
〔そして戦士は踊る〕
-END-
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- 35 : 2015/04/06(月) 23:39:19 :
- 泣ける…!。(°´○`°)。切なさとかが凄く伝わってくるよ~!
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- 36 : 2015/05/10(日) 14:08:44 :
- 引き込まれた
乙
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- 37 : 2015/05/10(日) 22:23:00 :
- >>35
りお
返事遅くなった(つд⊂)
そこまで言ってもらえるなんて・・・!
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- 38 : 2015/05/10(日) 22:28:05 :
- >>36
とあさん
それが目的なので嬉しいです!!
ありがとうございます♪
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