このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
苗木「恐怖は人に何をもたらすのか」
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- 1 : 2015/03/30(月) 19:36:57 :
- 不治の病さん考案の、『春のコトダ祭り』でございます。
参加者は、風邪不治さん、たけまんさん、シャガルさん、そして僕です。
カテゴリ(ダンガンロンパ)やジャンル(ホラー)、キーアイテム(コトダマ)や舞台(廃病院)を統一してのSSとなります。
次から投稿していきます‼
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- 2 : 2015/03/30(月) 19:41:40 :
今にも沈みそうな夕陽は辺りを赤く染め、闇が訪れる準備を始めていた。
僕の名前は苗木 誠だ。
国内でも有名な希望ヶ峰学園に、【超高校級の幸運】として通っている。
今日は学校が休みだったため、友達2人と街に足を運んだのだ。
今はその帰り道。
住宅地をゆっくりと進む。
「今日は楽しかったです‼」
そう言って僕に微笑む女性の名は舞園さやか。
僕と同じく希望ヶ峰学園に属する、【超高校級のアイドル】。
笑顔が素敵で、一緒にいると心が暖かくなるのを感じている。
そんな彼女に、僕は少なからず好意を抱いていた。
そして、その舞園さんと休日を過ごせる僕は、まさしく【超高校級の幸運】なのかもしれない。
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- 3 : 2015/03/30(月) 19:45:19 :
「どうしたの? ぼーっとして?」
「い、いや、夕陽が綺麗だなと思ってさ‼」
僕に質問を投げかけた少女は、夕陽を見つめると、納得したという表情で、
「そうだね‼ 凄く綺麗だと思うよ‼」
と、感動の声をあげた。
僕としては舞園さんのことを考えてたことがひとまず誤魔化せたようなので、嬉しさと一緒に思わず笑みがこぼれた。
少なくとも、この思いを舞園さんに気づかれたくはない。
なぜなら、僕にとって人気アイドルである彼女は高嶺の花なのだ。
決してかなわないこの思いを、せめて彼女には隠していたい。
「久しぶりに、こんなに真っ赤な夕陽を見たよぉ」
またも感嘆の声をあげた少女の名前は不二咲 千尋。【超高校級のプログラマー】だ。
彼女は、舞園さんとは違った魅力を秘めている。
小動物を思わせるかのようなルックスに、守ってあげたくなるようなおっとりとした性格。
一部には熱狂的なファンがいるらしい。
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- 4 : 2015/03/30(月) 19:48:16 :
「苗木クンの家はこの近くなんですよね?」
「うん、ここら辺には詳しいよ」
舞園さんの問いかけに、僕は自慢気に答えた。
幼い頃からここの近くで育ってきた僕にとって、今僕たちがいる場所は、自分の庭と変わらない。
「でも楽しみだなぁ、苗木クンの家にお泊まりするの‼」
不二咲さんの発言のとおり、今日は僕の家に彼女たちを招いたのだ。
最初に断っておくが、決してやましい思いがあったわけではない。
この計画を提案したのは舞園さん自身だ。
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- 5 : 2015/03/30(月) 21:02:30 :
「その……舞園さんは大丈夫なの?」
「スキャンダルになったりしないかな?」
僕はおそるおそる彼女に尋ねる。
「大丈夫です‼ マネージャーさんにも話しましたし‼」
「そ、そっか」
もしかしたら、あの事について話したいのかもしれない。
そう思った僕は、それ以上は何も言わないことにした。
夕陽は沈み、徐々に暗くなっていく。
黄昏時と言うのだろうか。
人が少し離れた相手の顔を判別出来なくなる時間帯。
別の物が人に見え、人が認識し辛くなる。
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- 6 : 2015/03/30(月) 21:06:25 :
「暗くなってきちゃいましたね」
「うん、早めにボクの家に行こう」
歩くペースを少し上げると、不二咲さんの声が後ろから聞こえた。
「ねぇ……二人とも……」
彼女のその声は震えており、異常を感じずにはいられなかった。
「どうしたんですか?」
舞園さんがおもむろに振り返り、不二咲さんへと視線を向ける。
「後ろに、誰かがいるんだ」
「さっきから、ずっと」
その彼女の言葉は、僕の思考を一瞬停止させた。ゾクッとした原始的な恐怖が、僕の背筋を駆けていった。
だが、僕はすぐに冷静さを取り戻す。
「は、ははっ、気の所為だよ」
「暗いから、人がいるように見えるだけだって」
僕のその発言に対し、彼女は首をふるふると横に振った。
「違うんだぁ……で、電信柱の後ろに……」
不二咲さんのその言葉と共に、僕はゆっくりと電信柱に視線を持っていく。
額を、嫌な汗が流れて落ちていくのがわかった。
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- 7 : 2015/03/30(月) 21:39:25 :
白い服を着た人が、電信柱に隠れるようにして立っているのが見えた。
髪は黒く、禍々しい感じで、腰まで伸びている。
顔は髪の所為でよく見えない。
「ひっ……!?」
思わず恐怖の声が漏れ出す。
「に、逃げましょう」
舞園さんはそう言い、前へと歩き出した。
「う、うん……」
僕と不二咲さんもそれにつられて、歩く速度を上げる。
あまりの緊張に、足の感覚がどこかへいってしまいそうだった。
「……」
白い格好をした人物は、無言でついてくる。
後ろから怒気が飛んでくる気がした。
身体が震え出したのも、夜だからというだけではないだろう。
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- 8 : 2015/03/30(月) 22:00:20 :
「このまま、苗木クンの家に行くのはまずい気がします……!」
舞園さんは息を切らしながら、僕たちへとそう投げかける。
「そ、そうだね!」
「一回、どこかで振り切った方がいいかもしれない」
僕の頭に、一つの考えが浮かんでいた。
この地区で流行っている都市伝説。
『白い殺人鬼』
『白い殺人鬼』は夜に現れ、目をつけた人間をどこまでも追いかけ回すそうだ。
そして、捕まえたら鋭利な刃物で刺し殺す。
「ま、まさかね……」
都市伝説なんて馬鹿馬鹿しい、そう思って考えを止めた。
「この近くに、隠れられるような場所はありますか?」
「人に使われてないような感じの」
「えーっと、この直ぐ近くに廃病院があるよ!」
「は、廃病院!?」
「大丈夫かなぁ……」
不二咲さんの不安そうな声が、僕の恐怖をさらに煽る。
決して振り向きはしなかったが、白い奴との距離は、少しづつ近づいていった気がした。
「あっ、あそこの角を曲がれば、廃病院に着けるはずだ!」
思わず早口で語ってしまう。
それほど今の僕は、この恐怖から逃れたがっていた。
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- 9 : 2015/03/30(月) 23:15:06 :
廃病院は、住宅地を少し抜け、人気のないところにぽつりと立っている。
白かったこの建物は黒く汚れ、不気味な雰囲気を高めていた。
敷地内には雑草が生い茂り、まるで侵入者を拒むようである。
僕たちは、白い奴が辺りにいないことを確認し中に入った。
「さて、開けるよ……」
重いドアは軋みながらおもむろに開く。
中から、冷気が飛び出してくるのを身体で感じていた。
「うわ、真っ暗ですね……」
舞園さんの言葉が闇に反響し僕の耳に届く。
廃病院は電気が通っていないのか、数メートル先も見えないほどの暗闇に包まれていた。
「あ、ボクの携帯で明かりを灯すよ!」
そういうと不二咲さんは自らの懐を探り、携帯電話を取り出した。
本来ならば懐中電灯を使用するのが正しいのだろうが、持ち合わせているわけがない。
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- 10 : 2015/03/30(月) 23:30:36 :
- 期待です!(^_^ゞ
親方様ァー!(cvバサラの幸村)
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- 11 : 2015/03/31(火) 06:59:49 :
- >>10
期待あざっす‼
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- 12 : 2015/03/31(火) 07:00:46 :
「えいっ」
不二咲さんが目の前を照らす。
僕の目に飛び込んできたのは、片手にナイフを持ち、白い服を身につけた人間だった。
「ッッッッ!?」
身体が勝手に動く。
おぼろげながら捉えた映像。
それは、白い奴が不二咲さんに飛びかかり、ナイフを腹部に刺す光景だった。
「え、ぐ……」
血の気の引いた顔で、不二咲さんは床に倒れ込む。
僕は反射的にその場から逃げ出した。
二人共、いざとなったら僕が身をていして助ける。
そう思っていた。
ただ、僕が人間として産まれてきた以上、そうすることはかなわないようだ。
身体が無意識に恐怖から逃れようとする。
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- 13 : 2015/03/31(火) 13:06:25 :
「な、何なんだよっ……!!」
情けない声が漏れ出す。
僕は真っ暗な廊下を少し走った後、ドアを乱暴に開け病室に飛び込んだ。
ドアを勢いよく閉じ、悪臭を放つベッドの下に潜る。
舞園さんを置いてきてしまった。
そう思ったが、あそこに戻る勇気は微塵も湧いてこない。
「ごめんね……」
僕はただ、彼女たちに謝り、息を殺してジッと潜めた。
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- 14 : 2015/03/31(火) 13:10:10 :
カツン、カツンと、廊下を歩く音が聞こえる。
ここの病院の構造は、一階に正面玄関があり、長い廊下に病室が幾つかある。
長い廊下を抜けると、階段が奥に設置されており、それは二階につながっていた。
僕が知っているのはここまで。
僕が小さい頃、友達と一緒に肝試しに来た記憶が鮮明に蘇る。
二階は流石に怖くて、誰もそこには行こうとしなかった。
廊下を誰かが歩く音はさらに大きくなり、その音は僕の病室の前で止まる。
「来るな……来るな……!」
僕は心の中で願っていたつもりだったが、極度の恐怖からか、声に出てしまったようだ。
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- 15 : 2015/03/31(火) 15:22:00 :
ガラリ……、
引き戸がゆっくりと開けられ、誰かが入って来た。
ヒタ、ヒタ、と、この病室を物色している。
「あぅ……はぁっ……」
胃が締め付けられるようなもどかしいほどの緊張と、身体が浮くような非現実感。
「……」
ベッドの下からではわからないが、おそらく白い奴は、僕の近くに立っている。
すると不思議なことに、僕の脳がセパレート色の映像を写し始めた。
これが走馬灯って奴なのか……?
一つ一つの映像が光を放ち、目の前を様々な光景が飛び交う。
音声までもがその映像に加わる。
『苗木クン……ここまで言えばわかるわね?』
『ひれ伏せ、愚民』
『アァンゴラァ‼』
『あぁ……アタシがブスだから』
『兄弟‼ 喧嘩は止めろ‼』
ははは、どうも懐かしいや。
もう会えないんだろうなぁ。
『ッ‼ これはっ‼』
『え……あの……?』
『いいじゃねえかよ』
あの事も、結局はわからなかった。
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- 16 : 2015/03/31(火) 15:23:23 :
都市伝説は実在する。
それが僕の結論だ。
ベッドのシーツに薄白い手がかけられ、少しずつ捲られていく。
どうせ殺すなら、楽に殺してくれ。
そう願い、目を瞑った。
「みーつけた、お兄ちゃん」
思わず閉じていたまぶたを大きく見開き、声の主を凝視する。
「こまる……!?」
僕の驚いた顔を見つめ、僕の妹は微笑んだ。
「さ、そこから出て」
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- 17 : 2015/03/31(火) 17:00:12 :
「ッ!?……う、うん」
こまるの口角は上がっていたが、目が全く笑っていない。
笑顔が、むしろ不気味だった。
「お、お前が……白い殺人鬼なのか?」
「ん? 違うよ?」
「私はただ、ある人に言われてここでお兄ちゃんが来るのを待っていただけ」
「で、本当に来たんだよ‼ びっくりしちゃったぁ‼」
「……意味がわからない」
「じゃあ、お前は知ってたのか!?」
「今日、僕たちが白い奴に襲われ、ここに来ることを!?」
「うーん、襲われるかは知らなかったけど、ここで待ってるとお兄ちゃんに会えるとは教えてもらったよ」
「というか、今はそんなこと関係ないでしょ?」
「は!? 何言ってんだ‼ こま……」
こまるの名前を呼ぼうとしたが、威圧的な目を向けられ、僕は途中で黙り込んだ。
「私知ってるんだよ?」
「お兄ちゃんが、舞園さんのことで悩んでること」
「だって相談にものってあげたしね‼」
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- 18 : 2015/03/31(火) 17:27:13 :
「そ、それがどうした!?」
「だから、私が忘れさせてがげるよ」
「私のことしか考えれないようにしてあげる」
「え……!?」
「私、辛かったんだよ?」
「好きな人から、好きな人の相談を持ちかけられたりしてさ」
「でも、その辛さも今日で終わり」
「だってお兄ちゃんの好きな人は私になるんだもん‼」
「く、狂ってるよ……間違ってる‼」
「早くここから逃げよう!?」
「舞園さんを助けないと!?」
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- 19 : 2015/03/31(火) 18:53:57 :
「…………は?」
「ねえねえねえ、お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」
「何で舞園とかいう雌豚の名前が出てくるの?」
「意味不明だよね」
「うーん、こりゃちょっと荒療治が必要かも」
そう言うとこまるは立ち上がり、病室に設置されていた点滴の針を手に取った。
「これでお兄ちゃんに、いろんな薬をいれてみようっと」
こまるはゆっくりと僕に近づいてくる。
「お、おい……止めろ!?」
「止めないよ?」
「違う‼ こんな奴でも、こまるは僕の大切な妹なんだ‼」
「え?」
こまるの首がナイフで斬りつけられ、そこから赤い飛沫が吹き出していく。
既に、こまるの背後には奴が立っていた。
白い奴が嗤った気がする。
殺人鬼、都市伝説がこまるを殺したのだ。
「ああああああああああああ!!?」
僕はその場から飛び起き、こまると白い奴の間を縫うように駆け抜ける。
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- 20 : 2015/03/31(火) 19:25:18 :
「はっあはっ……あはは……!?」
もう嫌だ。
不二咲さんは殺され、こまるも殺された。
次は誰だ? 誰が殺される?
「…………僕か」
僕は廊下を走り、正面玄関へと足を進めた。
しかし、急ブレーキをかける。
目の前に、ナイフを手に持つ、白い服を着た殺人鬼が立っていたのだ。
「な、何で……!?」
「何でそこにいるんだよぉぉ!!?」
これから殺される悔しさからか、目から涙が溢れ出す。
僕の方が先に病室を飛び出したはずなのに、こいつは今、僕の前に立ち塞がっている。
今思えば、こいつは病院でも先回りをしていた。
油断しきっていた僕たちを、ナイフで斬りつけてきたのだ。
人知を超えている。
まさに瞬間移動とか、そういった類いのものだ。
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- 21 : 2015/03/31(火) 19:34:02 :
「……」
ゆっくりとした足取りで、白い奴は近づいてきた。
ナイフが僅かな光を怪しく反射し、輝く。
二度目の走馬灯。
僕の脳は未だかつてないほど思考を回転させる。
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- 22 : 2015/03/31(火) 19:42:24 :
==議論開始==
【瞬間移動】
瞬間移動がウィークポイント。
これにコトダマを撃ち込む。
[白い服>
[長い髪>
[あの事>
駄目だ。全くわからない。
けど、だからこそ霧切さんの言葉が蘇る。
『真相は、必ず理論で説明できる』
だったらこの現象にも、必ず理論があるはず……。
これだ。
見つけた。
この瞬間移動のトリック。
[白い服>【瞬間移動】
これで半分。
そして、
[長い髪>【瞬間移動】
これで正解だ。
BREAK!!!
白い奴は二人いた……?
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- 23 : 2015/03/31(火) 19:44:57 :
驚くほど単純な答え。
一方が動き、一方が隠れて、両方が同時に現れない。
これだけで瞬間移動したように見える。
さらに、このトリックに一役買ったのが、白い服と長い髪。
服装を似せ顔を髪で隠すことで、お互いの見かけを限りなく近づけた。
どういう訳かはわからないが、白い奴は2人いる。
まだだ、まだ終わっていない。
【ここに来るのを予知されていた理由】
こまるだけでなく、白い奴も、僕たちがここにくることを知っていた。
じゃないと待ち伏せできない。
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- 24 : 2015/03/31(火) 19:59:08 :
でも、ここに来るのを提案したのは僕だ。
それを知ることなんて出来るはずが……、
いや、まさか、僕はそう提案するように誘導された?
彼女の発言が自然と浮かび上がった。
「この近くに、隠れられるような場所はありますか?」
「人に使われてないような感じの」
舞園さんが誘導した……?
あらかじめここの地区を調査して、僕が選びそうなところに待ち伏せさせた?
つまり、舞園さんがクローー。
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- 25 : 2015/03/31(火) 20:09:23 :
でも動機がない。
クロになる動機が……。
わかってる。
わかってたよ。
僕はそれを認めたくなかっただけだ。
『ッ‼ これはっ‼』
『え……あの……?』
『いいじゃねえかよ』
その日偶然、僕は学校に早く着いてしまった。
そして見たんだ。
桑田クンと舞園さんがキスをしている光景を。
桑田クンは僕のことなど気にもせず、まるで見せつけるように舞園さんを求めた。
舞園さんも最初は躊躇っていたが、桑田クンと唇を重ねたことで枷が切れたのか、彼だけを見つめるようになった。
僕はそれでも、彼女のことが好きだったんだ。
いつかは振り向いてくれるんじゃないかって。
こんな平凡な僕でも、いつかはチャンスがあるんじゃないかって。
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- 26 : 2015/03/31(火) 20:37:55 :
けど彼女の答えは、“死ね”だった。
桑田クンとの付き合いがバレればスキャンダルになるのだろう。
だから殺す。
交渉をしなかったのは、僕を信じることすらしなかったから。
『苗木クン……私ですよ、舞園さやかです』
『えっ!? 覚えててくれたの!?』
『もちろんじゃないですか‼』
『だって、中学の頃、3年間も同じ学校にいたんですよ?』
『そ、そっか……』
ああ、やっぱり僕は、ただのモブAじゃないか。
だったらモブらしく、ここで殺されるべきだろう。
でも、
「モブだからこそ、いつだって役を降りるさ」
「君を好きだったモブは、もういないよ」
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- 27 : 2015/03/31(火) 20:39:29 :
僕は白い奴を身を退いて躱し、そのまま後ろを向かずに走った。
正面玄関のドアを蹴り開け、廃病院から脱出する。
家に帰るまでずっと駆け続けた。
「……ハァハァ」
走ったことで乱れた呼吸を整え、僕はこまるの部屋を訪れる。
こまるは携帯を家においていたのか、持ち主を亡くした携帯は、ただぽつりと机の上にあった。
「……」
無言でそれを開き、メールを確認する。
そこにはこまると舞園さんのやり取りが残されていた。
『舞園さん、桑田先輩とキスしていたらしいじゃないですか。いいんですか? アイドルがそんなことして』
『……何が望みですか?』
『話しが早くて助かります。私とお兄ちゃんが二人っきりになれる環境を作ってください』
『わかりました……』
僕の所為だった。
舞園さんは、秘密を知っている僕を殺すつもりだったんだ。
だけど、僕はこまるに相談した。
こまるはそれを餌に、舞園さんを利用しようとした。
舞園さんは、秘密を知ったこまるも殺した。
これが事件の真相だ。
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- 28 : 2015/03/31(火) 20:41:15 :
「もう‼ 何で苗木クンを逃がしちゃうんですか‼」
私はマネージャーに罵声を飛ばす。
「ご、ごめんなさい……!!」
男のくせに長い髪を垂らし、マネージャーは私に頭を下げた。
長い髪はかつらであり、地毛ではない。
とはいえ、こんなかっこ悪いかつらを桑田クンに着けさせるのは生理的に嫌だった。
彼は私の彼氏らしく、カッコ良くしてもらわなければならない。
マネージャーと桑田クン、その2人が白い殺人鬼の正体。
『結論から言おう、都市伝説は実在する』
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- 29 : 2015/03/31(火) 20:42:00 :
「桑田クーン、どこですか? 今はとりあえず帰りましょう‼」
私は1階に響き渡る音量で、桑田クンを呼んだ。
「あ、ああぁ……!?」
マネージャーが私の背後で震えた情けない声を出す。
「何なんですか‼」
苛立ちをぶつけながら、私は後ろに振り向く。
そこには、白い服を着た人物が立っていた。
『火のないところに煙は立たないのと同じで、何かがないところに都市伝説は生まれない』
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- 30 : 2015/03/31(火) 20:43:09 :
「あ、桑田クン‼ そこにいたんですね‼」
私は愛嬌を振りまき、彼に近寄ろうとしたところで気づく。
白い服を着た人物は、手に何かを持っている。
何か……?
それは人の顔面だった。
「きゃああああ!? 桑田クン!? そんなもの棄ててくださいよ‼」
白い服を着た人物はその顔面を棄てようとはせず、私に無言で近づいてくる。
「ひっ……!? や、く、くわ……!?」
桑田クンがそもそも私の命令に応じるわけがなかった。
なぜなら、白い奴が持っている顔面は、桑田クンだったのだから。
「いやああああああ!!?」
『……後日、廃病院で数人の遺体が発見された』
『その中には、舞園さんと桑田クンの死体もあったようだ』
『つまり、都市伝説は実在する』
『君も気をつけた方がいい』
『嘘くさい都市伝説にはね』
END
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- 31 : 2015/03/31(火) 20:45:58 :
- 終わりです。始まって2日で終わらせる僕、まさしく有能(笑)ですね。
ホラーは始めてでしたが、無事完結して良かったです‼ 是非、他の参加者さんのSSも見てみてください‼
-
- 32 : 2015/03/31(火) 21:05:33 :
- 面白かったです!
ガクブルでした!!!!
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- 33 : 2015/03/31(火) 21:22:00 :
- >>32
そう言っていただけると嬉しいです‼
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- 34 : 2015/04/01(水) 07:20:35 :
- 完璧すぎてぐうの音も出ません!
すっごく怖かったです!
Deさんご参加ありがとうございました\(^o^)/
また何か企画やりましょう!お疲れ様でした(^з^)-☆
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- 35 : 2015/04/01(水) 08:29:58 :
- >>34
ぐうぅ‼ サンキューベリーマッチです‼
また今度何かやりましょう‼
-
- 36 : 2015/04/01(水) 18:19:29 :
- 読みました…面白いからつい一気に読んじゃいましたけど怖すぎです!
夜寝れないですよ!どうしましょう!!!
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- 37 : 2015/04/01(水) 18:23:00 :
- >>36
ベッドの下とか気をつけてくださいね‼
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- 38 : 2015/04/01(水) 18:25:22 :
- >>37
やめてください!寝る場所ベットなんです!
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- 39 : 2015/04/03(金) 04:17:13 :
- 寝れなくなりました。乙です!
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- 40 : 2015/04/05(日) 00:28:40 :
- ホラー系苦手なんすけど面白かったです
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- 42 : 2015/05/23(土) 21:09:02 :
- んっん~?結局犯人は、人か?都市伝説?
どっちだ?←馬鹿
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- 43 : 2015/05/24(日) 16:50:41 :
- >>42
そこら辺ぼかして終わらせたんで、わからない方が多分正常ですよ!!!
個人的に、都市伝説的B級ホラーが一番怖いです。身近でも起こりそうで。
- このスレッドは書き込みが制限されています。
- スレッド作成者が書き込みを許可していないため、書き込むことができません。
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