このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
小さな『彼女』の物語
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- 1 : 2015/03/19(木) 18:31:35 :
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小さな『彼女』の物語
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- 2 : 2015/03/19(木) 18:32:48 :
私に、名前はない。
仮にあったとしても、私はそれを覚えていない。
何故なら、私は常に働いているから。
私の仲間達のために。
そして、私の《お母様》のために。
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- 3 : 2015/03/19(木) 18:33:01 :
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だから、既にそんな事には興味はない。
どうでも良い、といった方が良いだろうか。
とにかく私は、仲間とお母様の役に立てれば、それで良い。
ーー私は今日も働く。
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- 4 : 2015/03/19(木) 18:33:27 :
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- 5 : 2015/03/19(木) 18:33:35 :
今日は良い天気だ。
お天道様がはっきりと見えている。
今日は食べ物を探すには絶好の日だが、だからといって全てが上手くいく訳ではない。
何故なら、私たちは食べ物を得るために、大抵《黒い道》を通らなければならないからだ。
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- 6 : 2015/03/19(木) 18:34:02 :
〝それ〟は、お天道様の暖かさをかなり強く受け取る。
そして、お天道様から受け取ったその暖かさを、倍くらいにして私たちに与える。
曇っている日はまだ良いが、こうなると食べ物を運ぶのはひと苦労だ。
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- 7 : 2015/03/19(木) 18:34:16 :
更にたちが悪いのは、こんな日はお天道様の光は私たちのことも暖めてしまうこと。
私たちの黒い体躯を《黒い道》ごと照らし、暖める。
これは私たちには苦痛でしかない。
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- 8 : 2015/03/19(木) 18:34:31 :
つまり今日は、『食べ物を探すには絶好の日』だが、『その食べ物を運ぶには辛い日』なのだ。
それでも、私たちは止まることなく、食べ物を得るために働く。
やはりそれは、仲間と、そして《お母様》のために。
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- 9 : 2015/03/19(木) 18:34:48 :
ーー丸一日かけて探したが、特にこれといった食料は見つけられなかった。
家に戻った時、仲間たちは「こんな日もあるさ」と言ってくれた。
でも、私はその言葉に納得が出来なかった。
家で働いている仲間たちにしっかりとお返しを出来ないことが、何よりも悔しかった。
だから、今度出るときは必ず食料を持ち帰ると、自分に誓った。
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- 10 : 2015/03/19(木) 18:35:02 :
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- 11 : 2015/03/19(木) 18:35:08 :
今日はこの前とは違い、お天道様はよく見えない。
だが、辺りは良く見渡せるし、何より暖かすぎない。
何が言いたいのかというと、要は『今日は、食べ物を得るにはとても良い天気』なのだ。
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- 12 : 2015/03/19(木) 18:35:22 :
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前回のような失態を防ぐため、色々な場所を彼方此方 に探しまわる。
何故かは分からないが、今日はなんだか大物が取れそうな気がした。
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- 13 : 2015/03/19(木) 19:03:18 :
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お天道様がちょうど真上に上がる時間だろうか。
私は1つの、薄い大きな銀色の袋を見つけた。
袋の中には、大量の《ご馳走》。
それを見て、私は歓喜した。
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- 14 : 2015/03/19(木) 19:03:53 :
しかし、それはかなりの大きさで、1人では到底運べそうにないので、私は仲間を呼ぶために一旦そこを離れた。
大急ぎで仲間の元へと行く。
ーー何故急ぐのか。
その理由は、もし《ご馳走》が無くなってしまうと、私は嘘をついたことになり、《制裁》を受けてしまうからだ。
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- 15 : 2015/03/19(木) 19:04:12 :
更に、それの持ち主は、私たちの《天敵》ともいえる。
信頼を落とさないためにも、それは防がなくてはならない。
私は道を急いだ。
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- 16 : 2015/03/19(木) 19:04:26 :
仲間を連れて、私は《ご馳走》を見つけた場所へと戻った。
幸いなことに、それが無くなっているという最悪の事態は無かった。
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- 17 : 2015/03/19(木) 19:04:49 :
しかし、安堵するのも束の間。
《天敵》が来る前に、作業を早く終わらせなければいけない。
早急に、全員で入っている《ご馳走》を取り出していく。
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- 18 : 2015/03/19(木) 19:06:11 :
流石に全てを取り出すのは骨が折れるし、《天敵》にバレてしまう危険性もあるので、袋の中から少し取り出し、力を合わせてそれを一斉に引っ張る。
すると、少しずつだがそれは引きずられる。
もう一度繰り返す。
少し引きずられる。
何度も何度も、ひたすらに同じ事を繰り返す。
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- 19 : 2015/03/19(木) 19:06:27 :
同じ作業を何度も繰り返し、いい加減に疲れてきた。
でも止めない、止めてはいけない。
自分が最初に見つけたものだ。
仲間も手伝ってくれている。
手を抜いてはいけない。
自分にそう言い聞かせ、残っている力を全て使い、引っ張る。
家では皆が待っている。
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- 20 : 2015/03/19(木) 19:06:46 :
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- 21 : 2015/03/19(木) 19:06:53 :
日は既に沈み、月が昇り始めた頃、私たちはようやく《ご馳走》を持ち帰ることができた。
しかも運の良いことに、《天敵》に見つからず。
久しぶりの大物を持ってきたことで、仲間たちは大騒ぎだった。
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- 22 : 2015/03/19(木) 19:07:13 :
お母様も、大きな食料を持ち帰ってきた私たちのことを褒めてくれた。
嬉しかった。
この時だけは、自分が働いている理由が見いだせた。
大変だったが、今日はいい日だった。
次もこんな大きなものが取れるといいな、なんて思いながら、私は配給された今日の分の食事をかじった。
明日も頑張ろう。
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- 23 : 2015/03/19(木) 19:07:54 :
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- 24 : 2015/03/19(木) 19:07:58 :
今日はあいにくの雨だった。
空からは幾つもの水が落ちてきている。
外に出るのは危険だから、今日は特にすることは無い。
しかし、じっとしているのは苦手だから、万が一家にそれが落ちてきても大丈夫なように、家を少し変えようと思う。
ーー私は今日も働く。
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- 26 : 2015/03/19(木) 19:10:30 :
まず始めにすることは、入り口を少し塞ぐことだ。
こうすれば、水が中に入ってくる可能性は格段に減る。
全て塞がない理由は、単に空気の問題だ。
密封してしまっても平気ではあるが、元から少ない明かりの手段を完全に失ってしまうのであくまでも最終手段だ。
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- 27 : 2015/03/19(木) 19:11:50 :
…さて、そうしている内に作業が終わった。
もうしばらくは何もする事は無い。
…そういえば、作業班がまた家を新しくしたらしいな。
………久しぶりに、家の中で探検でもしてみるとしよう。
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- 28 : 2015/03/19(木) 19:12:08 :
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- 29 : 2015/03/19(木) 19:12:36 :
探検を始めて凡そ1時間。
…何だか家の彼方此方が騒がしい。
色々な場所から、叫び声が聞こえる。
そして、「防げ!防げ!」という声。
その言葉で、私はある1つのことに気付いた。
そして急いで、入口へと向かった。
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- 30 : 2015/03/19(木) 19:15:40 :
入口に近づくにつれ、聞こえてくるのは凄まじい轟音。
そして、止めどなく入ってくる水。
それが浸水だということは、一目瞭然だった。
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- 31 : 2015/03/19(木) 19:16:31 :
水の勢いは凄まじく、穴を塞ごうとする仲間たちを全て押し流す。
そして、流れ続ける水は彼方此方にある部屋を濡らし、削り、破壊していく。
穴を塞ごうにも、その材料たちが全て使い物にならない。
どう考えても、それを抑え切る手段は無かった。
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- 32 : 2015/03/19(木) 19:17:23 :
「水をあの部屋に全て流しなさい」
絶望した私たちが聞いたのは、その言葉。
その声の主は、お母様だった。
そしてその声を聞いた時、私も、仲間たちも驚愕した。
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- 33 : 2015/03/19(木) 19:17:55 :
確かに、彼女は普段は奥の部屋にいて、一部の者にしか見ることは出来ない。
しかし、私たちが驚いた理由は、お母様の出した《指示》。
水を流せと指示した場所は、まだ小さな子供達のいる部屋。
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- 34 : 2015/03/19(木) 19:18:25 :
ざわめきが起こり、皆がその言葉に反対する。
それもそうだ。幾ら何でも無茶が過ぎる。
子供たちを見殺しにすることなど出来ない。
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- 35 : 2015/03/19(木) 19:19:26 :
しかし、そのざわめきは、お母様の「黙りなさい」の一言で消えた。
静まりかえった事を確認し、お母様は話す。
「確かに、この案は最善とは言えません。反対する者が多いのが、その証拠です。」
「しかし、こうでもしなければ私たちは皆、死にます。」
「私はそれは嫌です。だから、あの子達には、私たちの為の『柱』となってもらいます。」
「恨むなら、恨みなさい。私はそれでも構わない。」
「ただ、私はこのまま何もせずに、あなた達を失いたくはないのです。」
お母様のその言葉に、私も、仲間たちも涙を流した。
そして、謝罪の言葉をその部屋にかけ、そこに水を流す準備を、始めた。
流れ来る水から、家を守る為に。
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- 36 : 2015/03/19(木) 19:19:41 :
流れ込んで来る水を背に受けて、水の流れを変える。
壁となった背にぶつかった水は、流れを部屋の方へと変える。
そして、幼い子供たちのいる部屋に、ゆっくりながらも入っていく。
歯を食いしばりなから、私たちは水を受け流し続けた。
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- 37 : 2015/03/19(木) 19:19:52 :
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- 38 : 2015/03/19(木) 19:22:14 :
ーーどれくらいの時間が経っただろうか。煩 かった轟音は既に止み、身を張って流し続けた水は既に、部屋一杯に溜まっている。
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- 39 : 2015/03/19(木) 19:23:21 :
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奥行きが広いその部屋ですら、なみなみと溜まっていたのだ。
だから、そういう面では、お母様の指示は正しかった。
水の量が予想よりもずっと多く、速かったから、子供たちを助ける余裕が無かったこと。
だから彼女は一族の長として、家の為、仲間たちの為に、身を切る思いで子供たちを切り捨てたのだ。
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- 40 : 2015/03/19(木) 19:25:22 :
お母様は、『恨むなら私を恨め』と言った。
多分その言葉は、仲間たちだけに言ったものでは無いのだろう。
その言葉の中にはきっと、子供たちの事も入っている。
だから、お母様はああ言ったのだ。
その判断によって起きた犠牲の、罰を受けようと。
だが、あの時お母様があの指示を出さなければ、下手をすれば全てが終わっていたかもしれない。
だから私には、お母様を恨むなんてことは出来なかった。
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- 41 : 2015/03/19(木) 19:26:03 :
…そろそろ作業に戻ろう。
あの水の所為で、家は大きなダメージを負っている。
早く、復旧させないと…
そう考え、私はあの部屋に一礼し、作業に戻った。
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- 42 : 2015/03/19(木) 19:26:35 :
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- 43 : 2015/03/19(木) 19:26:46 :
三日程経っただろうか……
お天道様が三度、顔を出したから間違ってはいない筈だ。
濡れていた地面はある程度の水分を失い、程よい感じになっている。
だが、まだ私たちの家は復旧作業が終わっていない。
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- 44 : 2015/03/19(木) 19:27:01 :
何故なら、濡れて使い物にならない土を外に出す作業に追われているからだ。
流石のお天道様も、家の端々までは照らすことは出来なかった。
別に力仕事には慣れているので、身体的な負担はそこまで無いが、それが多量にあるので多少精神的に厳しい。
が、仲間たちも一緒に働いているので、私だけが泣き言を言うわけにはいかない。
気を引き締め、作業に戻ろうとした。
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- 45 : 2015/03/19(木) 19:27:36 :
その瞬間、突然家が揺れた。
幸いにも、持っていたものがそこまで大きくは無かったので、バランスを崩すことは無かった。
また水が入ってくるのかと思ったが、あの時のような連続の轟音ではなく、一回一回起こっている。
気になった私は、家の外へと出た。
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- 46 : 2015/03/19(木) 19:27:52 :
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- 47 : 2015/03/19(木) 19:28:18 :
外へ出た私が見たものは、足を何度も上げ、落としている《天敵》の姿だった。
数は二つ程で、声を出しながらそれをしている。
《天敵》の下では、黒い何かが幾つか動いていた。
私は、何かと思いそこへと近づいてしまった。
それが、間違いであることに気付かずに。
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- 48 : 2015/03/19(木) 19:28:32 :
《天敵》が何をしているかを漸ようやく理解した時、私はその場で固まった。
そこで見たものは、潰され、殆ど形を失った仲間たち。
そして、まだ生きている仲間を容赦なく潰している《天敵》。
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- 49 : 2015/03/19(木) 19:28:52 :
「ねぇ、まだここにもいたよ!」
「マジか!じゃあやっつけろ!」
不意にそんな音が聞こえた。
それと同時に、私の周りにできる影。
見上げると、そこには《天敵》の足。
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- 50 : 2015/03/19(木) 19:30:07 :
硬直した身体を無理やり動かし、家へと逃げる。
家へ入れれば、《天敵》は手出しを出来ない。
迫る影を躱 し続け、逃げ続ける。
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- 51 : 2015/03/19(木) 19:30:49 :
影が迫る。避ける。
迫る。避ける。
それを繰り返し、家まで後一歩の所まで来た。
これで逃げ切れる。
「なら、こうだ!」
だがそう思った瞬間、その音と共に、家が潰された。
あまりにも突然に起きた光景に、私は動けなくなった。
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- 52 : 2015/03/19(木) 19:35:41 :
「え い っ !」
オトがキこえる。
カゲがゆっくりとセマる。
ウゴけない。
ーーそして、ワタシはツブされた。
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- 53 : 2015/03/19(木) 19:35:49 :
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- 54 : 2015/03/19(木) 19:46:05 :
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「女王様!」
何やら慌てた様子の衛兵の声に気付き、女王はゆっくりと身体を起こす。
「…何事です?」
「説明は後で致します!ですからこちらへ!」
衛兵は女王の質問にまともに答えず、女王を部屋から連れ出した。
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- 55 : 2015/03/19(木) 19:56:03 :
「……此方 です」
「一体何がーー」
女王が案内されたのは、倒れ、果てた仲間を安置する、所謂 遺体置き場。
説明を求めようとした女王は、そこに置かれていたものを見て、硬直した。
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- 56 : 2015/03/19(木) 20:02:00 :
目にしたのは、潰され、誰が誰なのかも分からなくなった働き者たちだった。
「こ、これは……」
「《天敵》にやられました。ここにいる、全員です」
やっとの事でそれだけ口にした女王に、衛兵は悔しそうにそう言った。
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- 57 : 2015/03/19(木) 20:09:20 :
「……すまないけど、少し1人にさせてもらえないかしら」
「…分かりました。貴女 様のお気が住むまで」
女王の言葉に頷き、衛兵は部屋を出た。
「…うっ、うう……」
そして、衛兵の居なくなったその部屋で、女王は1人、静かに泣いていた。
fin
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- 58 : 2015/03/19(木) 20:09:44 :
あとがき
如何でしたでしょうか?
既にお分かりの方もいらっしゃると思います。
今回、主人公として挙げた生き物は、蟻です。
小さな時殆どの方が潰したであろう、あの蟻です。
今回はそれを題材としました。
彼女らも、しっかりと生きています。
何故理由も無いのに潰したのかなと、疑問に思っています。
…まぁ、今更どうしようもありませんが。
それでは、今回はこれにて。
ありがとうございました。
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- 59 : 2015/03/24(火) 09:27:57 :
- 乙
最後まで蟻ってのがわからなかった…
擬人化ってやつですか?
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- 60 : 2015/03/24(火) 10:00:32 :
>>59
ヤンデレカムイ 様
コメントありがとうございます。
まぁ、そんな様なものですかねぇ…
蟻 という答えを簡単に出されないよう、視点や名称を普段人間が使うようなものに変えました。
例を挙げるなら、巣→家でしょうか…
私自身初めての試みでしたので、至らない所もあったと思いますが…
ご覧頂き、ありがとうございました。
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- 61 : 2015/03/24(火) 10:02:40 :
- おー意味がわかったら
すべて理解したつもりでいるおれ
銀の袋はキャラメル?
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- 62 : 2015/03/24(火) 10:17:11 :
>>61
ヤンデレカムイ 様
ow...
そこの表現を詳しくするのを忘れていました…
私はあの場面では、ポテトチップス の事を考えてました。
現代人は何かとポテトチップスの袋をポイ捨てしてますからねぇ…
因みに、その後の描写である『天敵』は、ゴミの回収者さんをイメージしています。
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- 63 : 2015/03/24(火) 10:23:02 :
- ああ…ポイ捨て
ダメ、ゼッタイ
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- 64 : 2015/03/24(火) 10:27:42 :
- 薄いお菓子の
銀の袋
と書いたほうが伝わりやすいかと
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- 66 : 2015/03/30(月) 13:25:53 :
- おもしろかったです!
次回作も期待してます(^^)
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- 67 : 2015/03/30(月) 13:51:47 :
>>66
惚夏@今週は旅行ー 様
コメントありがとうございます。
その様なお褒めのお言葉を頂けまして幸いです。
これからの作品も、ご期待に添えられますように頑張ります。
ご覧頂き、ありがとうございました。
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- 71 : 2016/06/15(水) 17:20:06 :
- コメント消去乙www
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- 72 : 2016/06/15(水) 17:20:35 :
- 上がっているかと思えば…(笑)
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- 73 : 2016/06/15(水) 17:21:50 :
- >>1
辞めろよ…
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
『生き物たち』の物語 シリーズ
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