このSSは性描写やグロテスクな表現を含みます。
この作品は執筆を終了しています。
傷ついた『彼』の物語
-
- 1 : 2015/03/03(火) 17:27:22 :
-
重大なミスが発覚いたしましたので、書き直しという形を取らせていただきます。
ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。
-
- 2 : 2015/03/03(火) 17:29:29 :
-
傷ついた『彼』の物語
-
- 3 : 2015/03/03(火) 17:31:56 :
草むらに隠れた、しっぽの短い1匹の猫がいます。
見るからにやつれたその体には、所々何かに切られたような傷があります。
いったい、何があったのでしょうか?
…眠っているようですが、少し聞いてみましょう。
-
- 4 : 2015/03/03(火) 17:34:01 :
…もしもし、猫さん。ちょっと良いですか?
『………なに?』
おや、いきなり起こされてしまったようで、少し不機嫌そうですね。
声も出て無いです。
でも、質問は続けます。
起こしちゃってごめんなさい。でも、聞かせてください。その体の傷は、いったいどうしたのですか?
『……あの人に…』
…あの人、ですか?
『…うん』
…すいません。詳しく教えていただいても、良いですか?
『……良いよ。ちょっと長くなるけど…』
構いません。
『…分かった。教えてあげる。僕に、何があったのか』
-
- 5 : 2015/03/03(火) 17:36:46 :
_________________________
____________________
_______________
__________
_____
-
- 6 : 2015/03/03(火) 17:40:14 :
話は、僕がまだ小さい頃に遡る。
…僕の思い出せる1番古い記憶は、僕がまだ小さくて、大きなガラスの中にいたところからだ。
ガラスの外には、沢山の人がいてね?毎日のように僕のことを見に来るんだ。
可愛い、可愛いって言ってね。
-
- 7 : 2015/03/03(火) 17:42:28 :
悪い気はしなかったよ。むしろ、嬉しかった。
でも、ずっとガラスの中から外を見ているだけだったから、いつしか『外に出たい』って思うようになった。
-
- 8 : 2015/03/03(火) 17:48:29 :
そんなある日、僕はガラスケースの外に出された。
いつもガラスの中にいた僕にとって、生まれて初めての〝外〟だったんだ。
興味津々に周りを見渡していた僕に、いつも僕の世話をしてくれた人が言った。
「今日からあなたは、新しいところで暮らすんだよ」って。
-
- 9 : 2015/03/03(火) 17:50:14 :
そう言われた直後、僕は突然、小さな箱の中に入れられた。
あの時はパニックになったよ。
なんの前触れも無く、暗いところにいきなり入れられたからね。
-
- 10 : 2015/03/03(火) 17:58:53 :
箱の中にいた時、僕は自分がどこにいて、どうなっているのかが全く分からなかった。
ただ、聞いたことのない低い声と、いつも聞いている高い声が聞こえてくるだけだった。
しばらく話していたんだけど、高い声が、「大切にしてあげて下さいね」って言ったら、それきりその声は聞こえなくなった。
代わりに、たくさんの人の声が、ありとあらゆる場所から聞こえてきた。
-
- 11 : 2015/03/03(火) 18:02:11 :
どれくらい経ったんだろう。
疲れて半分寝ていたら、急に自分の周りが明るくなったんだ。
一気に目が覚めた。
そこで僕が見た景色は、今まで殆ど見たことがないような、不思議なものだった。
-
- 12 : 2015/03/03(火) 18:04:24 :
箱の中にいた時よりは、周りが見えるぶんずっと良かったけど、それでもやっぱり不安だった。
とりあえず近場に置いてあったものの、急に僕の体が宙に浮いた。
何かと思ったら、髭を生やした大きな男の人が「今日からよろしくな」って、僕に言ったんだ。
いきなりで驚いたけど、同時に分かった。
この人は僕のお父さんなのかって。
そして、今日から僕はこの家に住むんだなって。
-
- 13 : 2015/03/03(火) 18:06:05 :
こうして、僕はお父さんと一緒に住むことになった。
もちろん最初は警戒したさ。
だけどね、お父さんからは、安心できるような雰囲気があった。
だから、すぐに慣れたよ。
家にはお父さん1人だけだったけど、僕はこの家で沢山の愛情を受けた。
一緒に遊んで、一緒にご飯を食べて、一緒に寝た。
こんな生活がいつまでも続けば良いなって、そう思えた。
でも、それは叶わなかった。
-
- 14 : 2015/03/03(火) 18:11:45 :
ある日、僕はお父さんに、カゴの中に入れられた。
あの時と同じで、暗くて、狭かった。
でも、「少しの辛抱だからな」って言葉で、不安は和らいだ。
お父さんは僕の入ったカゴを持って、どこかへと移動し始めた。
-
- 15 : 2015/03/03(火) 18:17:04 :
箱の中に入っていた時間は、あの時よりは長くは無かった。
少し不安だったけどね。
箱から出ると、そこはお父さんの部屋とは違うところだった。
その部屋には、僕の知らない男の人がいた。
-
- 16 : 2015/03/03(火) 18:24:50 :
あの人を見たとき、僕は何かの嫌な感じがした。
でも、お父さんはあの人と仲良くお話ししてたから、大丈夫かなって思い直した。
-
- 17 : 2015/03/03(火) 18:33:03 :
あの人としばらくお話した後、お父さんは僕に「ごめんな。お父さんちょっと体の調子が悪くて病院に行かなきゃいけないから、しばらくこの家で暮らしてくれ」って言った。
その言葉を聞いて、僕は寂しくなった。
でも、お父さんの具合も心配だったから、『分かった』って返事したんだ。
お父さんは、「必ず迎えに来るからな」って言って、僕のことを撫でてくれた。
その後、お父さんは部屋を出た。
残ったのは、僕とあの人だけになった。
-
- 18 : 2015/03/03(火) 18:36:37 :
それから、僕とあの人の生活が始まった。
環境は変わったけど、生活はお父さんの時とあまり変わらなかった。
決定的に違うのは、あの人はお父さんとは違って、一緒に遊んで、一緒にご飯を食べて、一緒に寝てくれないことだった。
名前を呼んでくれることも無かった。
-
- 19 : 2015/03/03(火) 18:37:49 :
見るからに悪い人ってわけでは無さそうだった。
事実、いつもあの人は僕をニコニコとした顔で見ていたから。
でも、あの人の僕を見るときの目は笑ってなかった。
それが嫌で、僕はお父さんが早く迎えに来るのを、今か今かと待ち続けた。
-
- 20 : 2015/03/03(火) 18:41:41 :
-
- 21 : 2015/03/03(火) 18:42:00 :
かなり長い時間が経った。
僕はその間で、結構大きくなった。
前よりも早く走れるようになったし、高くジャンプすることも出来るようになった。
でも、それだけの時間が経っても、お父さんは僕を迎えに来ることはなかった。
-
- 22 : 2015/03/03(火) 18:58:39 :
-
「ーーはい、分かりました……ええ、大丈夫です…はい、それでは…」
ある日あの人は、"あいほーん"って機械にそう呟いた後、僕の方を向いて「お前のお父さん、居なくなったってよ」って言った。
ニコニコしながらね。
突然のことで、意味が分からなかった。
あの人の顔を見つめると、「何見てんだよ」って言われて、叩かれた。
だから、仕返しに噛み付いたんだ。
かなり強く噛み付いたから、あの人の手からは血が出ていた。
かなり痛そうにしていた。
-
- 23 : 2015/03/03(火) 19:03:05 :
あの人は僕を睨みつけて、血が出ている手を抑えて部屋の奥へと行った。
何か言ってたような気がしたけど、聞き取れなかった。
その日はそれで終わった。
-
- 24 : 2015/03/03(火) 19:08:44 :
数日後、あの人は手に黒い〝何か〟を持って、僕の所へと来た。
それには、1つの大きな〝眼〟が付いていた。
それは、僕のことをじっと見つめていた。
不気味だった。
-
- 25 : 2015/03/03(火) 19:12:19 :
あの人は〝それ〟を持ったまま、いきなり僕にご飯を出した。
いきなりの事で疑問に思ったけれど、出されたご飯からは美味しそうな匂いがしたから、深く考えずに食べたんだ。
-
- 26 : 2015/03/03(火) 19:15:28 :
その時、《ゴンッ》って音がした。
その音と同時に、急に頭が痛くなった。
なにかと思ってあの人を見ると、あの人は拳を握りながら、ニコニコと笑っていた。
手に持っているものは、無表情にじっと僕を見つめていた。
-
- 27 : 2015/03/03(火) 19:19:28 :
-
その日くらいから、少しずつ〝それ〟は酷くなっていった。
叩くかれたり、殴られたり、蹴られたりすることはは毎日のようにあった。
酷い時には、壁に向かって投げられたりもした。
痛かった。
僕を攻撃している時、あの人は何故かとても楽しそうに見えた。
そして、あの人が手に持っている〝黒い眼〟は、叩かれてている僕を、ただじっと見ていた。
-
- 28 : 2015/03/03(火) 19:51:37 :
そしてこんな生活が続いたある時、『あれ』は起こった。
あの時、僕は眠っていた。
ぐっすりとね。
でも突然、僕は真横に吹っ飛んだ。
自分の元いたところを見ると、あの人が立っていた。
すぐに分かったよ、蹴っ飛ばされたんだって。
-
- 29 : 2015/03/03(火) 19:59:14 :
あの人は僕を見て、どこからか銀色の長いものを取り出した。
それを持って、姿勢を低くして一歩僕へと近づく。
嫌な予感がして、僕は一歩後ろへと下がった。
近づく。下がる。近づく。下がる。
何度か繰り返すと、体が壁に当たった。
逃げる場所が無くなった。
その瞬間、あの人は持っていた銀色の長いものを、僕に振るった。
-
- 30 : 2015/03/03(火) 20:00:36 :
当たった場所から血が出た。
痛かった。
でも、逃げ道は無かった。
そのまま、僕は銀色に斬られ続けた。
-
- 31 : 2015/03/03(火) 20:06:16 :
「この前のお礼だ」って言って、あの人はそれを大きく振り上げた。
それによって僕は、逃げ道を見つけた。
振り上げた方の手の横を、出せる限りのスピードで駆け抜けようとした。
その時、《ダンッ!》って大きな音が床から響いた。
それとほぼ同時に、僕のしっぽに激痛が走った。
今まで経験したことがないような、ものすごい痛みだった。
-
- 32 : 2015/03/03(火) 20:11:32 :
痛みを堪えながら、必死に逃げる場所を探した。
その時、ドアが開いている事に気付いたんだ。
無我夢中で、そこから外へと出た。
壁があったから、そこを飛び越えた。
そこに地面があると思っていた。
でも僕は空にいた。
そして、真っ逆さまに下へと落ちていった。
-
- 33 : 2015/03/03(火) 20:11:58 :
空中に身を投げ出すような形になった僕は、必死に体制を立て直そうとした。
でも、短くなってしまった短いしっぽだと、上手くバランスを整えられなかった。
そのまま、僕は地面に叩きつけられるような形になった。
-
- 34 : 2015/03/03(火) 20:13:13 :
運が良かったのは、地面が柔らかくて、少し水分を含んだ緑色のものが、僕のクッションになってくれた事だった。
僕は、自分が落ち始めたところであろう上を見た。
そこからは、あの人が僕を見て嗤っていた。
一目散に、そこから逃げた。
-
- 35 : 2015/03/03(火) 20:13:33 :
_________________________
____________________
_______________
__________
_____
-
- 36 : 2015/03/03(火) 20:17:36 :
『…これが、理由だよ』
…そうだったんですか。
『もうあそこには戻れない…だから、今度はここで僕はお父さんを待つんだ』
でも、あなたのお父さんは……。
『僕はあの人の言うことは信じないよ。だって、お父さんは言ったんだ。「必ず迎えに来る」って』
………
-
- 37 : 2015/03/03(火) 20:20:38 :
『だから、きっとお父さんは僕を探しに来てくれる。だって、僕をガラスの中から…暗い、はこのなかから…だして、くれたんだもの……』
………
『…ふあぁ…はなしてたら、ねむくなっちゃった。わるいけど、もうねるね。おこさないでよ……』
-
- 38 : 2015/03/03(火) 20:21:02 :
…そう言うと、猫さんは目をつむって、眠り始めました。
途中で何かを呟きましたが、それきり猫さんは動かなくなりました。
___『やっと会えたね、お父さん…』
fin
-
- 39 : 2015/03/03(火) 20:21:30 :
-
あとがき
如何でしたでしょうか?
このお話はフィクションですが、これと同じ事や、似た事はいつ起きてもおかしくはありません。
私は、このお話を読んだことによって、生命の尊さを知ってほしいと願い、疎い文章ではありますが、執筆いたしました。
世界から、このような暴力が無くなることを祈ります。
簡単ではありましたが、今回はこれにて。
最後まで読んで頂き、有難う御座いました。
ではまた。
-
- 40 : 2015/03/06(金) 14:07:26 :
- 感動です。お疲れ様でした(*≧m≦*)
-
- 41 : 2015/03/06(金) 20:50:42 :
>>40
いちご大福 様
ご覧いただき、ありがとうございました。
稚拙な文章でしたので、上手く伝えられたかどうかが不安でしたが、そのコメントを頂き、自信を持つ事が出来ました。
此方こそ、本当にありがとうございました。
-
- 42 : 2015/03/12(木) 17:13:49 :
- 良かったと思うかもと思う。
-
- 43 : 2015/03/12(木) 19:21:48 :
>>42
たいちょ@相棒とかうらやま 様
コメントありがとうございます。
未だに文章のレベルが低いので、至らないところも沢山有ります。
これから頑張って上げていきますので、ご容赦を…
ご覧頂き、ありがとうございました。
-
- 44 : 2015/03/16(月) 19:16:37 :
- 感動しました。
猫好きとしてはツライ…(´Д` )
いつになったらこんなことが起きないような世の中になるんでしょうね…待ち遠しいです。
『猫だって、人間と同じ「命」を持っている』。
そんなことが思い知らされました。
最後、猫ちゃんは安らかに眠れたからそれはそれでいいと思います。
傷つけられて死んでしまうわけではないのだから。
一番嫌な、一番残酷な死に方はそれですもんね。
このssを見てよかったです。
ありがとうございました。
-
- 45 : 2015/03/16(月) 21:10:06 :
>>44
ねここ@やっぱりこの名前! 様
コメントありがとうございます。
虐待、いじめ、無益な殺生…
これらは無くそうと思ってもなかなか無くならないというのが現状です。
ですので私は、これらを少しでも『減らす』事が出来るように、執筆致しました。
命の重さはどれも同じです。
途中で書くのが嫌になりましたが、それでも、減らし、無くす為に今伝えられるものは伝えたいのです。
長くなりましたが、ご覧頂き、ありがとうございました。
-
- 46 : 2015/03/18(水) 05:09:51 :
- うあぅ…ウルッと来てしまった
感動…
-
- 47 : 2015/03/18(水) 08:27:25 :
>>46
@半霊のぬこ@セトマリhshs 様
コメントありがとうございます。
どうやって文章を書けばいいのか分からず、試行錯誤を繰り返し漸く出来ましたが、お褒めの言葉を頂き感謝です。
ご覧頂き、ありがとうございました。
-
- 49 : 2016/06/15(水) 17:23:16 :
- ウワァ オマエクズダナァ
-
- 50 : 2016/06/15(水) 17:23:38 :
- 消えとけ
-
- 51 : 2016/06/15(水) 17:24:25 :
- SSが荒れる→>>1辞める→俺達万歳
- 著者情報
- この作品はシリーズ作品です
-
『生き物たち』の物語 シリーズ
- 「私小説」カテゴリの最新記事
- 「私小説」SSの交流広場
- 私小説 交流広場